説明

表面が拡張したモジュールを有するスマートカード

【課題】モジュールを担持するカードを備えたスマートカードにおいて、大きな寸法のモジュールを信頼性高く固定できるようにする。
【解決手段】モジュールを担持するカード2を備えたスマートカード1において、該モジュールはそれ自身で少なくとも一つの電子チップ4を支持する支持体3を含み、この支持体3はカード2の表面に固定されており、支持体3が該表面上において、カード2の少なくとも一つの縁まで広がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスマートカード、より正確には、モジュールを担持するカードを備えたスマートカードに関するものであって、該モジュールは、それ自身で少なくとも一つの電子チップを支持する支持体で構成され、この支持体はカードの表面に固定されている。
【背景技術】
【0002】
既知のスマートカードは、規格化された形式のプラスチック製のカードで構成されており、その二つの形式は、ISO規格7810で規定されている「キャッシュカード」タイプと、携帯電話用のSIM「ミニカード」タイプである。スマートカードは支持体で構成される電子モジュールを担持しており、該支持体は、必要に応じてプリント回路を施された誘電体のシートで形成され、例えば電子メモリのような電子チップを支持している。一般的に、このチップは支持体の一つの面に接着させられ、支持体上に十分な厚みを形成するエポキシ樹脂の層によって保護されている。以下、この面を後面と称する。
【0003】
カードにモジュールを固定するため、カードは、第一の深さを有する第一のくぼみと、第二の深さを有する第二のくぼみとを備え、該第二のくぼみは第一のくぼみの底部に作製され、チップおよび樹脂を受け入れることを目的としている。支持体は、第二のくぼみの周りにある第一のくぼみに接着される。第一のくぼみはモジュールの表面積に等しい総面積を有しており、該モジュールはしたがって、その中にはめ込んで配置される。このようなカードの厚さは標準化され、約800ミクロンであり、第一の深さは約200ミクロン、また第二の深さは約400ミクロンである。
【0004】
このようなスマートカードに多量のデータを保存すること、したがってより大きなモジュールを配置すること、あるいはいくつかのモジュールを単一のカードに配置することが、実際に研究されている。このことは、電話帳、音楽、フィルム等を保存できる大容量のメモリカードを製作するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在用いられている構成には幾つかの問題がある。
【0006】
特にチップのサイズが大きい場合、モジュールの支持体の接着面積が不十分であることが判明し、モジュールの固定がうまくいかないこともありうる。実際、この接着面積は、チップおよび保護樹脂を受け入れる第二のくぼみの外にある、第一のくぼみの底部に限られる。その結果、一つまたは複数のチップの総面積が大きければ大きいほど、モジュールの面積と接着面積の比率が下がるため、この接着面積が不十分となることが判明している。
【0007】
この構成はまた、製造上の問題も提示している。第一のくぼみの深さが約200ミクロンであることを考慮すると、このくぼみは、カードの縁から一定の距離をとって製作しなければならず、該距離は鋳造方法の要請から課されるものである。この距離は最低で約200ミクロンでなければならない。実際、この距離を縮めることは困難で、また不可能でさえあるのだが、それは、非常に微細な内壁面にプラスチック材を注入することが不可能だからである。このことは、モジュールのサイズを大きくするという必要性に逆行する製造上の要請だが、カードのサイズは標準化されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこれらの問題を解決し、モジュールを担持するカードを備えたスマートカードを提案するものであり、該モジュールは、それ自身で少なくとも一つの電子チップを支持する支持体で構成され、この支持体がカードの表面に固定されるものであって、前記支持体が、前記表面上において、該カードの少なくとも一つの縁まで広がっていることを特徴とする。
【0009】
現行の標準寸法(少量の保護樹脂を含み、約10mm×8mmに相当)のチップを備えたモジュールの場合、本発明の解決法によって、カード上のモジュールの接着面積を広げ、したがってカードの信頼性を高めることが可能になる。この接着面積の拡大は、チップを支持する支持体の面積の増大によって得られる。
【発明の効果】
【0010】
特に、本発明によって、大きな寸法の一つまたは複数のチップを備えた、大きな寸法のモジュールを信頼性高く固定できるようになる。実際、カード上のモジュールの接着面積を減少させずに、第二のくぼみの寸法を広げることができる。
【0011】
本発明によって、カードの縁に存在する微細な内壁面を除去することで、カードの製造方法が単純化され、懸案であるカードの縁の鋳造手順が単純になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術による、「キャッシュカード」形式の提示用の支持体に取り付けた、取外し可能なミニカードSIM(携帯電話用の、英語のSubscriberIdentification Module)の正面図である。
【図2】図1のII−IIに沿った断面図である。
【図3】本発明による類似の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施態様によると、前記支持体はカードの全表面に広がっている。
【0014】
有利には、カードは前記支持体を受け入れるくぼみを備え、該くぼみは少なくともカードの一つの縁まで広がり、鋳造または機械加工で製作される。
【0015】
また、カードはチップを受け入れる少なくとも一つのくぼみを備えてもよい。
【0016】
好ましくは、スマートカードはミニカードである。
【0017】
本発明をこれ以降、本発明の好ましい実施態様のみを表示している図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0018】
図1は、従来技術による、「キャッシュカード」形式の提示用の支持体に取り付けた、取外し可能なSIMミニカード(携帯電話用の、英語のSubscriber Identification Module)の正面図である。
【0019】
図2は、図1のII−IIに沿った断面図である。
【0020】
図3は、本発明による類似の断面図である。
【0021】
以下の説明では、携帯電話用のSIMミニカードが問題となるが、本発明は、サイズや用途がなんであろうと、あらゆる種類のスマートカードに適用される。
【0022】
スマートカード1は、プラスチック材からなる規格化された形式のカード2で構成されている。スマートカードは支持体3(リードフレーム)で構成される電子モジュールを担持しており、該支持体は、必要に応じてプリント回路が施されたプラスチック製のシートで形成され、例えば電子メモリのような電子チップ4を支持する。一般的に、このチップ4は支持体3の表面に接着され、その支持体上に十分な厚みを形成するエポキシ樹脂の層によって保護されている。
【0023】
図面は、提示用の機能しか有さない「キャッシュカード」形式の支持カード5の上に取り付けたミニカード1を示している。ミニカード1を使用するためには、それを取り囲んでいる分割可能な舌状部品によってこのミニカードは取り外される。
【0024】
図1および図2は、従来技術によるスマートカード1を示している。
【0025】
モジュール3および4をカード2に固定するため、このカードは、第一の深さを有する第一のくぼみ6と、第二の深さを有する第二のくぼみ7を備えており、該第二のくぼみは、第一のくぼみ6の底部に作られ、チップおよび樹脂4を受け入れることを目的としている。支持体3は、第二のくぼみ7の周りの第一のくぼみ6の中に接着されている。第一のくぼみ6はモジュール3、4の表面積に等しい総面積を有し、該モジュールはしたがって、その中にはめ込んで配置される。
【0026】
したがって、モジュールの接着面積は、第一のくぼみの面積S6から第二のくぼみの面積S7を引いたものに等しくなる。
【0027】
図3は、本発明による図2の断面に類似した断面図である。
【0028】
ここで、モジュール3、4の接着面積は、カード2の面積Sから、チップおよび樹脂4を受け入れるためのくぼみの面積S7を引いたものに等しくなる。
【0029】
本発明によると、接着面積はカード2の少なくとも一つの縁まで広がり、好ましくは、図示したように、カード2の全ての縁まで広がる。換言すれば、接着したモジュールの支持体3は、カード2の全ての表面に広がる。そしてこの場合、くぼみ7のみが、従来技術によるものを下回る厚さのカード2に作られる。このくぼみ7は、鋳造または機械加工によって製作してもよい。
【0030】
したがって本発明により、規格化されたカードの寸法で、カード2の上のモジュール3、4の接着面積を広げ、したがってカードの信頼性を高めることができるようになる。
【0031】
また本発明によって、主として、このカード上に、より大きなサイズ、またはより多くのチップを備えた、さらに大きなサイズのモジュールを固定できるようになる。言うまでもなく、いくつかのチップを受け入れるために、カード2の上にいくつかのくぼみ7を製作してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 スマートカード
2 カード
3 支持体
4 電子チップ
5 支持カード
6 第一のくぼみ
7 第二のくぼみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールを担持するカード(2)を備えたスマートカード(1)であり、該モジュールは、それ自身で少なくとも一つの電子チップ(4)を支持するリードフレーム(3)を含み、このリードフレーム(3)が前記カード(2)の表面に固定されているスマートカードであって、前記リードフレーム(3)が、前記表面上において、前記カード(2)の少なくとも一つの縁まで広がっていることを特徴とするスマートカード(1)。
【請求項2】
前記リードフレーム(3)が前記カード(2)の全表面に広がっていることを特徴とする、請求項1に記載のスマートカード。
【請求項3】
前記カード(2)が前記リードフレーム(3)を受け入れるくぼみを備え、該くぼみが前記カード(2)の少なくとも一つの縁まで広がり、鋳造によって製作されることを特徴とする、請求項1または2に記載のスマートカード。
【請求項4】
前記カード(2)が前記リードフレーム(3)を受け入れるくぼみを備え、該くぼみが前記カード(2)の少なくとも一つの縁まで広がり、機械加工によって製作されることを特徴とする、請求項1または2に記載のスマートカード。
【請求項5】
前記カード(2)が、一つまたは複数のチップ(4)を受け入れる、少なくとも一つのくぼみ(7)を備えていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のスマートカード。
【請求項6】
前記スマートカード(1)がミニカードであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載のスマートカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−187564(P2009−187564A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88155(P2009−88155)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【分割の表示】特願2003−555433(P2003−555433)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(397062397)ジェムプリュス (35)
【氏名又は名称原語表記】GEMPLUS
【Fターム(参考)】