説明

表面に印刷層を有する熱可塑性樹脂成形品の製造方法

【課題】 本発明は、熱可塑性樹脂成形品の表面に精度良い鮮明な印刷層を付与することを課題とする。
【解決手段】 熱可塑性樹脂基材5表面に印刷層3を担持したプラスチックフィルム1を印刷層3を該基材5側に面して延性接着剤6によって接着し、上記熱可塑性樹脂基材5を加熱軟化した後、該基材5表裏に圧力差を及ぼして成形を行なう。成形時に発生する延伸力は、上記延性接着剤6によって吸収緩和され、印刷層3に歪みやひびわれ、あるいは延伸部分の画像濃度の低下等の欠陥が生ずることが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷層を表面に有する熱可塑性樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂成形品として、シートあるいは板状の熱可塑性樹脂を真空および/または圧空成形によって成形した成形品本体の表面に印刷層を設けたものが提供されている。
【0003】
従来、このような印刷層を有する熱可塑性樹脂成形品を製造するには、フィルムの一面に転写用インキによる印刷を施してなる転写フィルムを成形型の表面に貼り付け、該成形型上に加熱軟化状態のプラスチックシートを真空成形し、該印刷を上記成形されたプラスチックシートに転写する方法(例えば特許文献1参照)、あるいは支持体上に絵柄層を設けた転写シートを被転写体上に配置し、該転写シートを加熱するとともに真空吸引によって被転写体上に密着させ、その後支持体を剥離して該絵柄層を被転写体に転写する方法が提供されている(例えば特許文献2および特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−128840号公報
【特許文献2】特開平11−48389号公報
【特許文献3】特許第3099115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前者の方法は転写用フィルムを成形型上に貼り付けることが必要であり、したがって成形型を使用する真空成形等にしか適用出来ず、成形型を使用しない膨出成形等には適用出来ない。
後者の方法は、予め成形されている被転写体に転写シートを真空密着させるので、該転写シートにずれやしわよりが生ずるおそれがある。
また両者共に成形の際に転写シートが延伸力を受けて延伸し、転写シート上の印刷層に歪み、ひびわれ、あるいは延伸部分の画像濃度の低下等の欠陥が生じる。そのために印刷層の形成には比較的延伸に対応性のあるシルク印刷しか適用出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するための手段として、熱可塑性樹脂基材5表面に印刷層3を担持したプラスチックフィルム1を印刷層3を該基材5側に面して延性接着剤6によって接着し、上記熱可塑性樹脂基材5を加熱軟化した後、該基材5表裏に圧力差を及ぼして成形を行なう表面に印刷層3を有する熱可塑性樹脂成形品11の製造方法を提供するものである。
上記延性接着剤6はホットメルト型接着剤であることが望ましく、また上記印刷層3を担持したプラスチックフィルム1の印刷層3とは反対の面には補強プラスチックフィルム2が積層されており、該印刷層3を担持したプラスチックフィルム1を上記基材5表面に延性接着剤6によって接着した後、該補強プラスチックフィルム2を該印刷層3を担持したプラスチックフィルム1から剥離することが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
〔作用〕
印刷層3を担持したプラスチックフィルム1は、印刷層3を基材5側に面して延性接着剤6によって接着される。したがって該印刷層3を担持したプラスチックフィルム1を成形型の表面に貼り付ける必要がない。
上記プラスチックフィルム1を接着した基材5には、加熱軟化された上で該基材5の表裏に圧力差を及ぼして成形が行なわれるが、この際上記成形に伴う延伸力は延性接着剤6によって吸収緩和され、プラスチックフィルム1上の印刷層3に直接そのまゝ及ぼされない。したがって印刷層3に及ぼされる延伸力は軽減されるので、該印刷層3には歪み、ひびわれ、あるいは延伸部分の画像濃度の低下等の欠陥が生じない。
上記印刷層3を担持したプラスチックフィルム1の印刷層3とは反対側に補強プラスチックフィルム2を積層すると、該印刷層3を担持したプラスチックフィルム1が彎曲したり、しわがよったり、破れたりすることが防止出来、印刷や取扱いが容易になる。
【0008】
〔効果〕
本発明では、熱可塑性樹脂成形品の表面に、精度良く印刷層を設けることが出来、また該印刷層はシルク印刷以外、凸版印刷、平版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット方式、電子写真方式等種々の印刷方法が適用出来、精密かつ明瞭な印刷層を形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔熱可塑性樹脂基材〕
本発明に使用される熱可塑性樹脂基材の材料としては、例えばポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE等が例示される。上記熱可塑性樹脂基材は通常板状あるいはシート状である。

【0010】
〔印刷層を担持したプラスチックフィルム〕
印刷層を担持したプラスチックフィルム(以下受像フィルムと云う)のプラスチックフィルムとしては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、PSフィルム、ABSフィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、PMMAフィルム、PCフィルム、塩素化PVCフィルム、アクリル変性PVCフィルム、ポリエステルフィルム、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレンターポリマーフィルム、エチレン−塩化ビニル共重合体フィルム、変性PPEフィルム等が例示される。
上記プラスチックフィルムの厚さは、通常50〜200μmとされる。
【0011】
上記プラスチックフィルムと印刷層の間には印刷適性を改良するための処理が施されてもよい。上記処理としては、例えばコロナ放電処理、化学的侵蝕処理、火炎処理等の他アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のプライマー層を塗布あるいは積層によって形成するプライマー処理等が例示される。上記プライマー処理に使用する樹脂としては、特にインクジェット印刷適性、耐擦傷性、被膜形成性、柔軟性等に優れているポリビニルブチラールが好適であり、更に該ポリビニルブチラールのうちブチラール化度50モル%以上のものが好適である。
上記プライマー層の厚みは通常10〜50μmとされる。
【0012】
上記プラスチックフィルム表面には印刷層が形成担持される。上記印刷層は例えばシルク印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット方式、電子写真方式等によって形成することが出来る。
上記印刷方式のうちで好ましい方式としては版が不要であるインクジェット方式、電子写真方式がある。そのうちインクジェット方式は電子写真方式のような定着過程におけるしわの発生と云う問題がないのでより好ましい方式である。
【0013】
上記インクジェット方式において使用されるインクとしては、水性樹脂エマルジョンあるいは樹脂水溶液からなる水性インク、有機溶剤溶液からなる有機溶剤系インク、紫外線硬化型インク等が使用されるが、受像フィルムや該受像フィルム表面に形成されたプライマー層に対して接着性に優れる有機溶剤系インクの使用が好ましい。
上記印刷層の厚みは通常1μm前後である。
【0014】
〔補強プラスチックフィルム〕
上記受像フィルムは薄いので印刷あるいは取扱いの際、彎曲、しわより、破れ等が発生して、印刷、取扱いの場合の作業性が悪い。したがって上記受像フィルムの裏面(印刷層形成側とは反対側)に補強プラスチックフィルムを積層することが望ましい。
上記補強プラスチックフィルムとしては、上記受像フィルムの材料と同様なプラスチックが使用されるが、基材表面に上記積層プラスチックフィルムを接着した後、該受像フィルムから該補強プラスチックフィルムを剥離する場合には、層間接着強度が余り大きくないものを使用する。上記補強プラスチックフィルムの厚みは通常70〜130μmである。
上記受像フィルムと補強プラスチックフィルムとを積層するには通常ホットラミネーションが適用される。
【0015】
〔延性接着剤〕
本発明で使用する延性接着剤としては、例えばアクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等の合成ゴム、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー系接着剤等が例示される。
上記合成ゴム系接着剤や熱可塑性エラストマー系接着剤は通常溶液あるいはエマルジョンとして提供されるが、望ましくは弾性向上のために架橋剤を添加して部分的に架橋を行なうことが好ましい。
上記架橋剤としては、酸化亜鉛、イオウ、キノイド、キノン、サルファードナー、ジイミン、チウラム−チアゾール、マレイミド、過酸化物、金属酸化物、あるいはトリレンジイソシアナート、パラフェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアナート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアナート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、ω−キシリレンジイソシアナート、ω’−キシリレンジイソシアナート等のジイソシアナートあるいは上記イソシアナートのアダクト体等が例示される。
上記接着剤はホットメルト型接着剤であることが好ましいが、通常の接着剤であってもよい。
【0016】
〔熱可塑性樹脂成形品の製造〕
本発明の熱可塑性樹脂成形品の製造方法を以下に工程順に説明する。
(印刷工程)
図1において、1は印刷層3を担持するプラスチックフィルムであり、裏面にはホットラミネーションあるいは適当な接着剤によって補強プラスチックフィルム2が積層されている。
上記プラスチックフィルム1の表面には前記した方法により印刷層3が形成され受像フィルム4となる。
【0017】
(延性接着剤の塗布)
図2において、5は熱可塑性樹脂基材であり、該基材5の表面には接着剤6が塗布される。
【0018】
(受像フィルムの接着)
上記接着剤6が溶液型あるいはエマルジョン型の場合には、所望ならば前記架橋剤を所定量混合して該基材5表面に塗布した後、未乾燥あるいは半乾燥状態で受像フィルム4を接着し、その後必要ならば加熱乾燥あるいはキュアーする。
上記接着剤6がホットメルト型の場合には上記接着剤6の溶液あるいはエマルジョンを該基材5表面に塗布し乾燥するか、あるいは上記接着剤6の溶融物を該基材5表面に塗布し冷却固化させる。この場合も所望なれば前記架橋剤を所定量混合してもよい。
上記ホットメルト型接着剤6は予め基材5に塗布して乾燥あるいは固化させておく。
該受像フィルム4を該基材5表面に接着するには、該基材5表面の接着剤6を加熱軟化せしめるか、あるいは該受像フィルム4を加熱するか、あるいは該基材5表面の接着剤6を加熱軟化せしめると共に該受像フィルム4を加熱し、該受像フィルム4を該基材5表面に圧着する。この場合の加熱温度は上記ホットメルト型接着剤6の軟化温度(活性温度)以上とする。
受像フィルム4を該基材5表面に接着した状態は図3に示される。
【0019】
上記受像フィルム4に補強プラスチックフィルム2が積層されている場合には、該補強プラスチックフィルム2を剥離して図4に示す状態とする。更に上記受像フィルム4の表面にプライマー層が形成されている場合には、上記受像フィルム4を上記プライマー層から剥離し、上記プライマー層を受像フィルム4としてもよい。
【0020】
(成形)
上記受像フィルム4を表面に接着した基材5は真空成形、真空−圧空成形、ブロー成形等の該基材5の表裏に圧力差を及ぼして成形する方法によって成形されるが、この際所望なれば予備加熱を行なって基材に残存する歪みを除去するアニーリング処理を行なう。上記アニーリング処理の温度は、該基材5の材料である熱可塑性樹脂の熱変形温度程度に設定する。例えばPSの場合は100℃、ASの場合は100〜150℃、PMMAの場合は70〜100℃、PCの場合は130〜140℃程度である。
【0021】
一般的な真空成形方法を図5に示す。図に示す真空成形型7において8は基型であって型面には真空引きのための吸引孔9の複数個が設けられており、該基型8に相対して押圧型10が設けられている。
そして受像フィルム4を表面に接着した基材5は加熱軟化状態で真空成形型7の基型8と押圧型10の間にセットされ、該基型8を図示しない真空装置で真空引きしつゝ押圧型10を下降させ、該基型8と該押圧型10との間で図6に示すように該基材5を成形する。
このようにして図7に示すような表面に印刷層12を有する樹脂成形品11が製造される。
【0022】
本発明では上記真空成形の場合押圧型10に代えて上方から圧力気体を及ぼす真空−圧空成形が適用されても良いし、また下側を真空引きすることなく、上方から圧力気体を及ぼす圧空成形が適用されてもよい。
【0023】
更に図8に示すように孔部14を有する基板13の孔部14上に受像フィルム4を表面に接着した基材5を加熱軟化状態で差渡し、その上から蓋型15で密閉し、該蓋型15の導圧孔16から空気圧を及ぼして該基材5を点線に示すように膨出させて樹脂成形品11Aを製造するフリーブロー成形法、あるいはブロー成形型内に加熱軟化状態のパリソンを導入し、パリソン内に圧力空気を及ぼして成形を行なう通常のブロー成形等が適用される。
【0024】
本発明にあっては、上記成形時に基材5が延伸されるが、該延伸力は受像フィルム4を接着している延性接着剤6の弾性によって吸収緩和されるから、該受像フィルム4上の印刷層3には歪みやひびわれ、画像濃度の低下等の欠陥が生じない。更に受像フィルム4は基材5に接着されているので、該受像フィルム4を型に支持する必要がないからフリーブロー成形のような型のない成形法も適用出来る。
【実施例1】
【0025】
図1に示すプラスチックフィルム1として厚さ50μmのPMMAフィルムを使用した。補強プラスチックフィルム2としては厚さ100μmのポリエステルフィルムを使用し、該フィルム2は該プラスチックフィルム1の裏面にホットラミネーションによって積層されている。
該補強プラスチックフィルム2が積層されたプラスチックフィルム1表面にはグラビア印刷によって印刷層3を形成して受像フィルム4とした。
【0026】
基材5としては厚さ1.5mmのPMMA板を使用し、該基材5の表面にはウレタン系エラストマーホットメルト型接着剤6(50質量%メチルイソブチルケトン溶液)に架橋剤としてトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパンアダクトであるコロネートL−75(商品名:日本ポリウレタン社製 75質量%酢酸エチル溶液)を固形分比率で0.5質量%添加したものを、固形分として50g/mの割合で塗布し、常温で乾燥させた(図2参照)。
【0027】
上記基材5の接着剤6塗布表面を150℃に加熱して上記接着剤6を加熱軟化活性化し、上記受像フィルム4を印刷層3側を接着面として圧着した(図3参照)。冷却後該補強プラスチックフィルム2を剥離した(図4参照)。
【0028】
上記受像フィルム4を表面に接着した基材5は95℃で20分間アニーリングされて残存歪みを除去した後、150℃に加熱して図5に示すように真空成形型7によって所定形状に成形された(図6参照)。
このようにして図7に示すような表面に印刷層12を有する樹脂成形品11が製造されたが、該樹脂成形品11の印刷層12は延伸部分についても歪み、ひびわれ、画像濃度の低下等の欠陥のない精度の高いものであった。
【実施例2】
【0029】
プラスチックフィルム1として厚さ50μmのポリエステルフィルム表面にブチラール化度55モル%のポリビニルブチラール層(厚さ30μm)をプライマー層として形成したものを使用した。
補強プラスチックフィルム2としては、厚さ80μmポリエステルフィルムを使用し、該フィルム2は該プラスチックフィルム1の裏面にホットラミネーションによって積層されている。
上記補強プラスチックフィルム2が積層されたプラスチックフィルム1表面にはインクジェット方式によって印刷層3を形成して受像フィルム4とした。
【0030】
基材5としては厚さ2mmのPC板を使用し、該基材5の表面にはポリエステル系エラストマーホットメルト型接着剤(40質量%酢酸エチル−トルエン溶液)に液状ジフェニルメタンジイソシアナートを接着剤固形分に対して0.5質量%添加したものを、固形分として65g/mの割合で塗布し、70℃の温風乾燥により乾燥した。
【0031】
上記基材5の接着剤6塗布表面を130℃に加熱して上記接着剤6を加熱軟化活性化し、上記受像フィルム4を印刷層3側を接着面として圧着した。
【0032】
次いで上記受像フィルム4を表面に接着した基材5は135℃15分間アニーリングされて残存歪みを除去した後、160℃に加熱して図8に示すようにフリーブロー成形を行い、所定形状に成形した。このようにして樹脂成形品11Aが製造されたが、該樹脂成形品11Aの印刷層は実施例1と同様に延伸部分についても歪み、ひびわれ、画像濃度の低下等の欠陥のない精度の高いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は熱可塑性樹脂成形品の表面に精度良い鮮明な印刷層を付与することが出来るので、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1〜図7には本発明の一実施例が示される。
【図1】補強プラスチックフィルムを積層した受像フィルムの側断面図
【図2】延性接着剤を塗布した基材の側断面図
【図3】基材に受像フィルムを接着した状態の側断面図
【図4】補強プラスチックフィルムを剥離した状態の側断面図
【図5】真空成形前の説明側断面図
【図6】真空成形時の説明側断面図
【図7】成形品の斜視図
【図8】他の実施例の成形状態説明図
【符号の説明】
【0035】
1 プラスチックフィルム
2 補強プラスチックフィルム
3 印刷層
4 受像フィルム(印刷層を担持したプラスチックフィルム)
5 熱可塑性樹脂基材
6 延性接着剤
7 真空成形型
11,11A 熱可塑性樹脂成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂基材表面に印刷層を担持したプラスチックフィルムを印刷層を該基材側に面して延性接着剤によって接着し、上記熱可塑性樹脂基材を加熱軟化した後、該基材表裏に圧力差を及ぼして成形を行なうことを特徴とする表面に印刷層を有する熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
上記延性接着剤はホットメルト型接着剤である請求項1に記載の表面に印刷層を有する熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
上記印刷層を担持したプラスチックフィルムの印刷層とは反対の面には補強プラスチックフィルムが積層されており、該印刷層を担持したプラスチックフィルムを上記基材表面に延性接着剤によって接着した後、該補強プラスチックフィルムを該印刷層を担持したプラスチックフィルムから剥離する請求項1または2に記載の表面に印刷層を有する熱可塑性樹脂成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−23882(P2008−23882A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200271(P2006−200271)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000125978)株式会社きもと (167)
【Fターム(参考)】