表面上のレドックス活性ポリマーの製造方法
本発明は、基板上に結合されたレドックス活性ポリマーの形成のための新規な方法を提供する。ある実施形態において、該方法には、少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基及び第2反応性部位又は第2反応性基を有するレドックス活性分子を用意する工程並びに表面をレドックス活性分子と接触させる工程が含まれ、ここで該接触は、該第1反応性部位又は第1反応性基による該表面への該レドックス活性分子の結合、そして第2反応性部位又は第2反応性基による、表面に結合したレドックス活性分子へのレドックス活性分子の結合となり、それにより、該表面に結合されたポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個の該レドックス活性分子を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子エレクトロニクスの分野に関する。特に、本発明は、表面上にレドックス活性分子を結合させ、そして重合させるための改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子の個別の酸化状態により情報を記憶又は操作するために、1つ又はそれ以上の有機分子を利用する、ハイブリッドエレクトロニクスデバイス及びチップの開発に対し関心が存在している(例えば、米国特許第6,208,553号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,324,091号明細書、米国特許第6,381,169号明細書及び米国特許第6,451,942号明細書並びにPCT公開第WO01/03126号明細書など)。
【0003】
ある実施形態において、ポルフィリン及び/又はメタロセン等の電気活性(レドックス活性)分子は、金又はシリコン等の導電性表面に、(直接的に又はリンカーを介して)共有結合している。この電気活性分子(群)は、印加電位(applied potential)の適用等により、カチオン状態にまで酸化され得る。電位を取り除いたとき、分子は、長期間電荷を貯蔵する。これが、記憶貯蔵デバイスの基礎を形成する。
【0004】
情報記憶のための分子材料を含有するハイブリッドチップを製造する際の一般的な試みとしては、電気活性表面への電荷貯蔵分子の効率的で有効な結合(電気カップリング)、電荷貯蔵分子(群)及び/又は関連する電解質(群)の配置の制御、及び対向電極への堆積/位置の制御が挙げられるが、これらに限定されない。特に、緊急の問題は、表面への分子の結合方法では、非常に高い濃度、高温度及び/又は反応性中間体の使用が必要とされることである(例えば、Clelandら、(1995年)J.Chem.Soc.Faraday Trans.、第91巻、第4001−4003頁;Buriak、(1999年)Chem.Commun.、第1051−1060頁;Linfordら、(1995年)J.Am.Chem.Soc.、第117巻、第3145−3155頁;Hamersら、(2000年)Acc.Chem.Res.、第33巻、第317−624頁;Haberら、(2000年)J.Phys.Chem.B、第104巻、第9947−9950頁参照)。このような条件は、小さい堅固な分子には容易に適用可能であるが、分子がより大きく及び/又は一層複雑になる場合、より不十分となっていき、しばしば失敗に終わる。
【0005】
他の問題点は、電気活性記憶素子の小型化に伴うものである。メモリセルの形状が、ナノスケールの規模まで収縮するのに伴い、セルの特徴をなす分子はより少なくなる。その結果、貯蔵された電荷を検出することがさらに困難になる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分子メモリ及び関連する応用において、形状が小さいというこの問題に対する1つの解決法が、情報記憶分子(例えば、レドックス活性分子)をZ次元(基板表面に対して垂直である方向)に積み重ねることであるという知見に負うものである。本発明者らは、本発明者らがシリコン及び他の表面上に単分子層を形成するために典型的に使用する条件下で、ポルフィリン系マクロ環及び他のレドックス活性分子を重合させることが可能であることを見出した。更に驚くべきことに、レドックス活性ポリマーが電気化学的に堅固であり(多数の読出し/書込みサイクルが可能)、同じ分子の単分子層のものに匹敵する(又は、より長い)電荷保持時間を示すことを見出した。
【0007】
これにより、ある実施形態において、本発明は、表面結合レドックス活性ポリマーを形成するための、表面上のレドックス活性ポリマーのパターン形成方法を提供する。この方法には、典型的に、少なくとも第1反応性部位又は第1反応性部基及び第2反応性部位又は第2反応性基を有するレドックス活性分子を用意する工程;及び、前記表面を前記レドックス活性分子と接触させる工程が含まれ、該接触工程が、該第1反応性部位又は第1反応性基による前記表面へのレドックス活性分子の結合、及び該第2反応性部位又は第2反応性基によるレドックス活性分子の結合を生じ、それにより前記表面に結合したポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個又は4個、より好ましくは少なくとも5個又は6個、最も好ましくは少なくとも8個、10個又は12個のレドックス活性分子を含むことを特徴とする。第1反応性部位又は第1反応性基と第2反応性部位又は第2反応性基とは、同じ種類(species)であってよく、又はこれらは異なる種類であってもよい。ある実施形態において、第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は第2反応性部位若しくは第2反応性基は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)である。好適なレドックス活性分子としては、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、レドックス活性分子は、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール(buckyball)、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジ(peri-bridged)ナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される。ある実施形態において、レドックス活性分子は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンであり、より好ましくは、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである。ある実施形態において、レドックス活性分子は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンであり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである。ある実施形態において、レドックス活性分子は、表1又は図4に示される分子である。
【0008】
ある実施形態において、前記接触工程には、表面を、式Y1−L1−Z1(式中、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、そしてY1は保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基である)を有するリンカーと接触させ、それにより、該リンカーが該表面に結合すること;及び、結合した該リンカーをレドックス活性分子と接触させ、それにより、該レドックス活性分子が、第1及び/又は第2反応性部位又は第2反応性基を介して相互にカップリングし、かつ該レドックス活性分子が、Y1並びに第1反応性部位又は第1反応性基及び/又は第2反応性部位又は第2反応性基を介してリンカーにカップリングし、それによりリンカーに結合されたポリマーを形成することが含まれ、ここでポリマーには少なくとも2個のレドックス活性分子が含まれることを特徴とする。種々のZ1としては、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール(tellurol)、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基が挙げられる。種々の実施形態において、−L1−Z1−は、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される。種々の実施形態において、L1は、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される。ある実施形態において、この方法には、更に、対向電極をポリマー(群)に(例えば、直接的に又はリンカーを介して)結合させることが含まれる。ある実施形態において、レドックス活性分子には、更に、1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有するレドックス活性分子(従って、キャッピング試薬として作用し得る)を含みうる。1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有するレドックス活性分子は、単一の利用可能な反応性基若しくは部位のみを有していてもよく、及び/又は、ブロックされている第2の反応性基又は反応性部位を有していてもよい。ある実施形態において、前記表面には、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、ドープされた第III族元素、ドープされた第IV族元素、ドープされた第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物及び/又は遷移金属窒化物から成る群より選択された材料が含まれている。前記表面には、水素により不動態化された表面が含まれてよい。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、表面結合レドックス活性ポリマーを形成するための、表面上におけるレドックス活性ポリマーのパターン形成方法を提供する。この方法には、典型的に、反応性部位若しくは基を有するリンカー及び/又は反応性部位若しくは基を有するレドックス活性分子が結合された表面を用意する工程;少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基及び第2反応性部位又は第2反応性基を有するレドックス活性分子を用意する工程;及び、該表面をレドックス活性分子と接触させる工程が含まれ、ここで該接触工程が、表面に結合された前記リンカー及び/又は前記レドックス活性分子へレドックス活性分子が結合し、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個又は4個、より好ましくは少なくとも5個又は6個、最も好ましくは少なくとも8個、10個又は12個のレドックス活性分子を含む、該表面に結合したポリマーを形成する条件下で行われることを特徴とする。第1反応性部位又は第1反応性基と第2反応性部位又は第2反応性基とは、同じ種類であってよく、又は異なる種類であってもよい。ある実施形態において、第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は第2反応性部位若しくは第2反応性基は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)である。好適なレドックス活性分子の範囲には、前記の並びに表1及び/又は図4に列記したレドックス活性分子が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、前記表面を用意する工程には、式S−Z1−L1−Y1(式中、Sは表面であり、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、そしてY1は保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基である)で表される、リンカーを結合した表面を用意することが含まれる。ある実施形態において、Y1は保護された反応性部位又は反応性基であり、そしてこの方法には、更に、Y1を脱保護することが含まれる。種々の実施形態において、表面にカップリングする前のZ1及び/又はZ1−L1及び/又はL1には、前記のZ1及び/又はZ1−L1及び/又はL1が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、この方法には、更に、対向電極をポリマー(群)に(例えば、直接的に又はリンカーを介して)結合させることが含まれる。ある実施形態において、レドックス活性分子には、更に、1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有する(従って、キャッピング試薬として作用し得る)レドックス活性分子が含まれ得る。該1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有するレドックス活性分子は、利用可能な反応性基若しくは部位を一つのみ有していてもよく、及び/又はブロックされている第2の反応性基又は反応性部位を有していてもよい。ある実施形態において、前記表面には、前記同定された表面材料の群より選択された材料が含まれている。表面には、水素により不動態化された表面が含まれてよい。
【0010】
他の実施形態において、本発明は、第1帯域を含む電気活性基板であって、該第1帯域が、式:Mn−L−Z−S(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、そしてnは、少なくとも3、好ましくは少なくとも4、5又は6、より好ましくは7、8又は9、最も好ましくは少なくとも10、12、15、20又は30である)で表される、レドックス活性単位を結合した表面を含む基板を提供する。ある実施形態において、該レドックス活性分子は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)により、相互に結合されている。好適なレドックス活性分子には、前記の並びに表1及び/又は図4に列記したレドックス活性分子が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、基板には、式:S−Z−L−Mn−Y−E(式中、Yはリンカー又は反応性部位若しくは基であり、Eは対向電極である)で表される、レドックス活性単位を結合した表面が含まれる。種々の実施形態において、Z、Z−L及びLとしては、Z1、Z1−L1及び/又はL1について前記同定した単位が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、電気活性基板には、更に、第2帯域が含まれ、この第2帯域には、レドックス活性単位(但し、このレドックス活性単位はMとは異なる)を結合した有する表面が含まれる。ある実施形態において、第1帯域はレドックス活性記憶セルである。
【0011】
本発明は、また、式:E−Y−Mn−L−Z−S(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、Yは反応性部位若しくは基又はリンカーであり、Eは対向電極であり、nは、少なくとも3又は4、より好ましくは少なくとも5又は6、最も好ましくは少なくとも8、10又は12である)で表される、レドックス活性単位を結合した表面を含むレドックス活性記憶セルを提供する。ある実施形態において、レドックス活性分子は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)により、相互に結合されている。好適なレドックス活性分子としては、前記のレドックス活性分子並びに表1及び/又は図4に列記したレドックス活性分子が挙げられるが、これらに限定されない。種々の実施形態において、Z、Z−L及びLの例には、Z1、Z1−L1及び/又はL1について前記同定した単位が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、導電性材料及び/又は半導性材料。記憶セルは、場合によりカプセルに入れられていてよい。
【0012】
データの記憶方法も提供される。この方法には、典型的に、例えば前記のような、1個又はそれ以上の記憶セルを含む装置を用意する工程、及び、対向電極に、Mnの酸化状態を固定するために十分な電流で電圧を印加する工程が含まれる。種々の実施形態において、この電圧は約2ボルトまでの範囲である。この電圧は、場合により、集積回路(例えば、ロジックゲート)の出力であってよい。ある実施形態において、この方法には、更に、Mnの酸化状態を検出し、それにより、その中に記憶されているデータを読み出す工程が含まれ得る。この検出工程には、場合により、Mnの酸化状態を回復させる工程が含まれる。ある実施形態において、この検出工程には、(例えば、読出し信号にフーリエ変換を実施することにより)時間ドメイン及び/又は周波数ドメイン内の読出し信号を解析する工程が含まれる。ある実施形態において、この検出工程では、ボルタンメトリー法(例えば、インピーダンス分光法、サイクリックボルタンメトリーなど)が利用される。ある実施形態において、この検出工程には、記憶媒体を電界に曝露させて、特徴周波数を有する電界振動を作成する工程及びこの特徴周波数を検出する工程が含まれる。ある実施形態において、Mnは、少なくとも8個の異なりかつ区別できる酸化状態を有する。
【0013】
また、メモリデバイスが本明細書に記載したような記憶セルを含むことを特徴とする、該メモリデバイスを含むコンピュータシステムが提供される。
【0014】
ある実施形態において、本発明は、中央処理ユニット、ディスプレイ、セレクタデバイス及びメモリデバイスを含み、該メモリデバイスが本明細書に記載したような記憶セルを含むことを特徴とするコンピュータシステムを提供する。
【0015】
ある実施形態において、本発明の方法により形成されたレドックス活性ポリマーは、「サンドイッチ配位化合物」ではない。
【0016】
(用語の定義)
用語「酸化」は、元素、化合物又は化学的置換基/サブユニット中の、1個又はそれ以上の電子の損失を指す。酸化反応において、電子は、反応中に含まれる元素(群)の原子により失われる。次いで、これらの原子上の電荷は、さらに正にならなくてはならない。電子は、酸化する種(species)から失われ、それにより電子は、酸化反応中の生成物として現れる。酸化反応における「遊離」した実体として電子が見掛け上生成するにもかかわらず、酸化される種、Fe2+(aq)から電子が失われるので、酸化はFe2+(aq)→Fe3+(aq)+e-の反応で起こっている。反対に、用語「還元」は、元素、化合物又は化学的置換基/サブユニットによる1個又はそれ以上の電子の獲得を指す。
【0017】
「酸化状態」は、元素、化合物又は化学的置換基/サブユニットの、電気的に中性な状態、又は電子の獲得又は損失によりもたらされる状態を指す。好ましい実施形態において、用語「酸化状態」は、中性の状態及び電子の獲得又は損失(還元又は酸化)により生じる、中性以外の全ての状態を含む状態を指す。
【0018】
用語「複数酸化状態」は、2個以上の酸化状態を意味する。好ましい実施形態において、酸化状態は、電子の獲得(還元)又は電子の損失(酸化)を反映し得る。
【0019】
2個又はそれ以上の酸化状態に関して用いる用語「異なりかつ区別できる」は、実体(原子、分子、凝集体、サブユニットなど)上の正味電荷が、2つの異なる状態で存在し得ることを意味する。この状態は、状態の間の差異が、室温(例えば、0℃〜約40℃)での熱エネルギーよりも大きいとき、「区別できる」と言われる。
【0020】
本発明の多サブユニット(例えば、ポリマー性)記憶分子のサブユニットに関して用いる用語「緊密に結合した」は、1つのサブユニットの酸化が、他のサブユニットの酸化電位(群)を変えるような、サブユニットの相互の配置を指す。好ましい実施形態において、この変更は、第2サブユニットの(非中性)酸化状態(群)が、第1サブユニットの非中性酸化状態とは異なり、かつ区別できる程度に十分である。好ましい実施形態において、該緊密な結合は、共有結合(例えば、単結合、二重結合、三重結合など)により達成される。しかしながら、ある実施形態において、該緊密な結合は、リンカーを介するか、イオン性相互作用によるか、疎水性相互作用によるか、金属の配位を介するか又は単純な機械的並置によっても可能である。サブユニットは、レドックスプロセスが単独の超大分子(supermolecule)の該プロセスである程に、緊密に結合しうることが理解される。
【0021】
用語「電極」は、電荷(例えば、電子)を記憶分子に及び/又は記憶分子から移送することができる全ての媒体を指す。好ましい電極は、金属又は導電性有機分子からなる。電極は、実質的に全ての二次元又は三次元形状(例えば、分離した線、パッド、平面、球、円筒など)に製造することができる。
【0022】
用語「固定電極」は、電極が、記憶媒体に対して本質的に安定であり、そして移動可能でないという事実を反映することを意図している。即ち、電極と記憶媒体とは、相互に本質的に固定された幾何学的関係で配置されている。勿論、この関係は、熱変化に伴う媒体の膨張及び収縮のために又は電極及び/又は記憶媒体を含む分子の構成における変化のために、幾分か変わることが認められる。しかしながら、全体の空間配置は本質的にはそのままであり変化しない。好ましい実施形態において、この用語は、電極が可動性「プローブ」(例えば、書込み用又は記録用「ヘッド」、原子力顕微鏡(AFM)チップ、走査トンネル顕微鏡(STM)チップなど)であるシステムを除外する意図を有する。
【0023】
用語「作用電極」は、記憶媒体及び/又は記憶分子の状態を設定又は読み出すために使用される、1つ又はそれ以上の電極に関する場合に使用される。
【0024】
用語「基準電極」は、作用電極から記録された測定値のための基準(例えば、特別の基準電圧)を与える、1つ又はそれ以上の電極に関する場合に使用される。好ましい実施形態において、本発明の一つのメモリデバイスにおける基準電極群は、同じ電位にあるが、幾つかの実施形態において、必ずしもそうである必要はない。
【0025】
記憶分子及び/又は記憶媒体並びに電極に関する用語「電気的にカップリングされた」は、電子が、記憶媒体/分子から電極へ、又は電極から記憶媒体/分子へ移動し、それにより記憶媒体/分子の酸化状態を変えるような、記憶媒体又は分子と電極との間の関連を指す。電気カップリングの例には、記憶媒体/分子と電極との間の直接的共有結合、間接的共有カップリング(例えば、リンカーを介する)、記憶媒体/分子と電極との間の直接的若しくは間接的イオン結合、又は他の結合(例えば、疎水性結合)が含まれ得る。更に、実際の結合は必要でなく、記憶媒体/分子を電極表面に単純に接触させればよい場合もある。また、媒体/分子と電極との間の電子トンネル通過を許容するために十分に、電極が記憶媒体/分子に密接しており、電極と記憶媒体/分子との間の如何なる接触も、必ずしも必要ではない場合もある。
【0026】
用語「レドックス活性ユニット」又は「レドックス活性サブユニット」は、適切な電圧の印加により酸化されるか又は還元されることができる分子又は分子の構成成分を指す。
【0027】
用語「レドックス活性」分子は、適切な電圧の印加により、酸化されるか又は還元されることができる分子又は分子の構成成分を指す。
【0028】
本明細書で使用される用語「サブユニット」は、分子のレドックス活性成分を指す。
【0029】
用語「電気化学セル」は、典型的には、基準電極、作用電極、レドックス活性分子(例えば、記憶媒体)及び、必要な場合には、電極の間の及び/又は電極と媒体との間に導電性を与えるための幾つかの手段(例えば、誘電体)を指す。幾つかの実施形態において、誘電体は記憶媒体の構成成分である。
【0030】
用語「記憶素子」、「メモリセル」又は「記憶セル」は、情報の記憶のために使用することができる電気化学セルを指す。好ましい「記憶セル」は、少なくとも1個、好ましくは2個の電極(例えば、作用電極及び基準電極)によりアドレスされた記憶媒体の個別の領域である。記憶セルは、個別にアドレスすることができ(例えば、固有の電極が,記憶素子各々に関連付けられる)又は特に、異なる記憶素子の酸化状態が区別できる場合、複数の記憶素子を1個の電極によりアドレスすることができる。記憶素子には、場合により、誘電体(例えば、対イオンが含浸された誘電体)が含まれてよい。
【0031】
用語「記憶位置」は、記憶媒体が配置されている個別のドメイン又は領域を指す。1個又はそれ以上の電極でアドレスされるとき、記憶位置は記憶セルを形成することができる。しかしながら、2個の記憶位置が同じ記憶媒体を含み、それによりこれらが本質的に同じ酸化状態を有し、そして両方の記憶位置が共通してアドレスされる場合、これらは1つの機能性記憶セルを形成し得る。
【0032】
特定の素子を「アドレスする」とは、記憶素子の酸化状態(群)を個別に特定するために電極を使用できるように、その記憶素子を電極と関連づける(例えば、電気的にカップリングさせる)ことを指す。
【0033】
用語「読み出す」又は「応答させる」は、1個又はそれ以上の分子(例えば、記憶媒体を含む分子)の酸化状態(群)を特定することを指す。
【0034】
「集積回路からの出力」とは、1個若しくはそれ以上の集積回路(群)及び/又は集積回路の1個若しくはそれ以上の構成成分により作られる電圧又は信号を指す。
【0035】
「ボルタンメトリーデバイス」は、電圧の印加又は電圧における変化の結果として、電気化学セル中に作られる電流を測定することができるデバイスである。
【0036】
「アンペロメトリーデバイス」は、特定の電位場(potential field)(「電圧」)の印加の結果として、電気化学セル中に作られる電流を測定することができるデバイスである。
【0037】
「ポテンショメトリーデバイス」は、電気化学セル中のレドックス分子の平衡濃度における差から得られるインターフェースを横切る電位を測定することができるデバイスである。
【0038】
「クーロメトリーデバイス」は、電気化学セルへの電位場(「電圧」)の印加の間に作られた正味電荷の可能なデバイスである。
【0039】
「インピーダンス分光法」は、電気化学セルの総インピーダンスを決定することができるデバイスである。
【0040】
「シヌソイド電圧電流計」は、電気化学セルの周波数ドメイン特性を決定することができるボルタンメトリーデバイスである。
【0041】
用語「ポルフィリン系マクロ環」は、ポルフィリン又はポルフィリン誘導体を指す。このような誘導体の例には、ポルフィリン核にオルト縮合又はオルトペリ縮合した(ortho−perifused)余分の環を有するポルフィリン、他の元素の原子によりポルフィリン環の1個又はそれ以上の炭素原子が置換されたポルフィリン(骨格置換)、他の元素の原子によるポルフィリン環の窒素原子の置換を有する誘導体(窒素の骨格置換)、ポルフィリンの周辺(メソ−、β−)又はコア原子に位置する水素以外の置換基を有する誘導体、ポルフィリンの1個又はそれ以上の結合が飽和している誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、デカヒドロポルフィリン、コルフィン(corphin)、ピロコルフィン(pyrrocorphin)など)、1個又はそれ以上のポルフィリン原子への1個又はそれ以上の金属の配位により得られる誘導体(メタロポルフィリン)、ポルフィリン環の中に挿入された、ピロール及びピロメテニル単位を含む、1個又はそれ以上の原子を有する誘導体(膨張ポルフィリン)、ポルフィリン環から1個又はそれ以上の基が除かれた誘導体(収縮ポルフィリン、例えば、コリン、コロール)並びに上記の誘導体の組み合わせ(例えば、フタロシアニン、サブフタロシアニン及びポルフィリン異性体)が含まれる。好ましいポルフィリン系マクロ環としては、少なくとも1個の5員環を含むものが挙げられる。
【0042】
用語「ポルフィリン」は、典型的には、4個の窒素原子及び2個の置換可能な水素(種々の金属原子が容易に置換され得る)と一緒に4個のピロール環から構成された環状構造を指す。典型的なポルフィリンはヘミンである。
【0043】
用語「マルチポルフィリンアレー」は、2個又はそれ以上の共有結合したポルフィリン系マクロ環の個別の数を指す。マルチポルフィリンアレーは、線状、環状又は分枝状であってよい。
【0044】
用語「サンドイッチ配置化合物」又は「サンドイッチ配置錯体」は、式LnMn-1(式中、Lはそれぞれ複素環状配位子(後述)であり、Mはそれぞれ金属であり、nは2以上、最も好ましくは2又は3であり、そしてそれぞれの金属は、一対の配位子の間に配置され、そして(金属の酸化状態に依存して)それぞれの配位子中の1個又はそれ以上のヘテロ原子(典型的に複数個、例えば、2、3、4、5個のヘテロ原子)に結合されている)で表される化合物を指す。従って、サンドイッチ配位化合物は、フェロセンのような有機金属化合物(金属が炭素原子に結合されている)ではない。サンドイッチ配位化合物中の配位子は、一般的に、積み重ねた配向(即ち、一般的に共表面的に(cofacially)配置され、そして相互に軸方向に揃えられているが、これらは相互にその軸の周りに回転していても、又は回転していなくてもよい)で整列されている(例えば、Ng及びJiang、(1997年)Chemical Society Reviews、第26巻、第433−442頁参照)。サンドイッチ配位錯体には、「二重サンドイッチ配位化合物」及び「三重サンドイッチ配位化合物」が含まれるが、これらに限定されない。サンドイッチ配位化合物の合成及び使用については、米国特許第6,212,093B1号明細書に詳細に記載されている。
【0045】
用語「二重サンドイッチ配位化合物」は、nが2であり、従って式L1−M1−L2(式中、L1及びL2はそれぞれ同じか又は異なっていてよい)を有する、上記のようなサンドイッチ配位化合物を指す(例えば、Jiangら、(1999年)、J.Porphyrins Phthalocyanines、第3巻、第322−328頁参照)。
【0046】
用語「三重サンドイッチ配位化合物」は、nが3であり、従って式L1−M1−L2−M2−L3(式中、L1、L2及びL3はそれぞれ同じか又は異なっていてよく、そしてM1及びM2は、同じか又は異なっていてよいい)を有する、上記のようなサンドイッチ配位化合物を指す(例えば、Arnoldら、(1999年)、Chemistry Letters、第483−484頁参照)。
【0047】
「リンカー」は、2個の異なる分子か、2個の分子のサブユニットを、又は基板に分子をカップリングさせるために使用される分子である。
【0048】
「基板」は、1個又はそれ以上の分子の結合のために適している、好ましくは固体の材料である。基板を形成することができる材料としては、ガラス、プラスチック、シリコン、ゲルマニウム、鉱物(例えば、石英)、半導性材料(例えば、ドープされたシリコン、ドープされたゲルマニウムなど)、セラミックス、金属などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
好ましい実施形態において、金属が「M」又は「Mn」(nは整数である)により指定されるとき、この金属には対イオンが付随し得ると認められる。
【0050】
「第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族元素又は材料」には、純粋な元素、第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素のドープされた変種及び/又は第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素の酸化された変種が含まれる。
【0051】
用語「耐熱性有機分子」又は「熱安定性有機分子」は、200℃〜400℃の温度で、好ましくは400℃で、少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間、より好ましくは少なくとも2〜5分間安定である(例えば、分解を示さない、又は実質的に分解を示さない)有機分子(例えば、ポルフィリン)を指す。
【0052】
「第III族、第IV族又は第V族基板」は、第III族、第IV族又は第V族元素を含む材料である。
【0053】
本明細書で使用される用語「遷移金属」は、典型的には、周期表の第3族〜第12族中の38種の元素を指す。典型的に、遷移金属は、それらの原子価電子又はそれらが他の元素と組み合わせるために使用する電子が、2個以上の殻内に存在し、その結果しばしば幾つかの共通した酸化状態を示すという事実により特徴付けられる。ある実施形態において、本発明の遷移金属の例には、1つ又はそれ以上の、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホジウム及び/又はこれらの酸化物及び/又は窒化物及び/又は合金及び/又は混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
「耐熱性有機分子を含む溶液」又は「レドックス活性分子を含む溶液」は、真の溶液に限定されず、それらの懸濁液、分散剤及びエマルジョンも含まれる。更に、この溶液は、耐熱性有機分子(群)を「含有する」目的に適している、ペースト、ゲル、エアロゲル及び本質的に全ての媒体を意図する。
【0055】
「結合基を有する分子」には、結合基が分子の固有の成分である分子、結合基を追加するために誘導された分子、及び結合基を含むリンカーを有するように誘導された分子が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
集積回路、メモリセルなどを含む製品のサイズがナノスケール規模にまで縮小するにつれ、これらの製品の素子の形成において利用可能な分子はさらにより少なくなるであろう。その結果、分子エレクトロニクスデバイスが小型化されるため、電荷(例えば、ビット状態)を記憶するのに利用可能な分子はさらにより少なくなり、そのため記憶された電荷を検出することは、ますます困難になる。
【0057】
本発明は、この問題に対する解決法の1つが、Z次元(基板表面に対して垂直である方向)における情報記憶分子(例えば、レドックス活性分子)を積み重ねることであるという知見に関する。本発明者らは、本発明者らがシリコン及び他の表面上に単分子層を形成するために典型的に使用する条件下で、ポルフィリン系マクロ環及び他のレドックス活性分子を重合させることが可能であることを見出した(例えば、2003年12月19日出願の、出願継続中の米国特許出願第10/742,596号明細書参照)。更に、レドックス活性ポリマーが電気化学的に堅固であり(多数の読出し/書込みサイクルが可能である)そして同じ分子の単分子層のものに匹敵する(又は、より長い)電荷保持時間を示すことは、驚くべき発見であった。
【0058】
I.表面上のレドックス活性ポリマーの形成
A)「一工程」重合及び結合
ある実施形態において、ポリマーを形成するためのレドックス活性分子の重合及びそれらの表面への結合は、「一工程」重合で実施される。このアプローチにおいて、利用可能な反応性部位又は反応性基(同じか又は異なる)を2個有するレドックス活性分子が用意される。この(乾燥状態で又は溶媒中で用意される)分子を、相互に及び基板表面に対して、高温度(例えば、少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約300℃、より好ましくは少なくとも約400℃)で接触させ、それにより、反応性部位又は反応性基を、相互に及び/又は基板と、又は基板上の部位若しくは反応性基と反応させて、分子の、相互の(それによりポリマーを形成する)及び基板に対する結合を生じる(例えば、図1参照)。
【0059】
種々の実施形態において、レドックス活性分子は、好ましくは、耐熱性分子であり、そして単独の分子種として又は異なる類の分子の種混合物として用意することができる。
【0060】
様々の実施形態において、前記分子を加熱して前記表面に接触させることが可能であり、かつ/又は、前記表面を加熱することが可能であり、かつ/又は、前記分子(群)と前記表面の両方を加熱することができる。更に、前記表面及び/又は前記分子(群)を、相互に接触させる前に加熱することが可能であり、かつ/又は、それらが接触状態にある間に加熱することができる。
【0061】
ある実施形態においては、レドックス活性分子を、有機溶媒(例えば、THF、メシチレン、ジュレン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ベンゾニトリル、アニソールなど)中に溶解させ、次いで、該分子を含有する該溶媒を、表面に適用することができる。種々の公知の方法の何れを用いても加熱を行うことができる。例えば、表面への適用の前に、該溶媒を加熱することができる。ある実施形態においては、該溶媒を表面に適用する前に、該溶媒及び表面の両方を加熱することができる。ある好ましい実施形態においては、該溶媒の適用後に、表面を加熱する。当該加熱は、表面を(例えば、オーブン内で)ベーキングすることにより行うのが便利である。ある好ましい実施形態においては、表面を、不活性雰囲気(例えば、アルゴン又は他の不活性ガス(群))下で加熱する(例えば、ベーキングする)。
【0062】
ある実施形態において、特に、製造において大サイズのウェーハ(例えば、直径が12インチ超)が使用される場合、本発明の無溶媒方法を使用することができる。該無溶媒方法においては、レドックス活性ポリマー(例えば、ポルフィリンポリマー、フタロシアニンポリマーなど)の層を、如何なる溶媒も使用しないで、所望の表面(例えば、シリコン、二酸化ケイ素、金属、金属酸化物、金属窒化物など)の上に形成させる。換言すると、前記結合工程を、完全に乾燥した環境中で実施することができる。種々の実施形態において、この方法では、固相分子を、それらを適切な温度に加熱することにより気相に転換し、次いで気相分子を所望の表面に移送する。この方法は、また、最大結合密度の達成を補助しうるよう、分子と基板温度とを別個に制御することを可能にする。この方法は、類似の技術(例えば、CVD及びMBE)が、半導体産業において材料を堆積するために既に使用中であるので、生産に容易に適用できる。
【0063】
あるアプローチにおいては、レドックス活性分子を、基板(例えば、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物又は遷移金属窒化物など)を含むチャンバー内で堆積させる。溶媒は蒸発除去されて、レドックス活性分子のみが残る。次いで、チャンバーを加熱して、該分子を揮発させる。該分子は、次いで基板表面に対して及び分子同士で接触し、そしてカップリングし、それにより結合したポリマーを形成する。
【0064】
他のアプローチにおいては、レドックス活性分子を乾燥粉末としてチャンバーの中に置く。再び、チャンバーを加熱して、該分子を揮発させる。該分子は、次いで基板表面に対して及び相互に接触し、そしてカップリングする。
【0065】
ある実施形態においては、表面にカップリングさせるべき分子を、基板の上に(例えば、乾燥形で、又は、次いで蒸発除去する溶媒の中で)直接堆積させる。次いで、該分子及び/又は該表面を(例えば、200℃以上に)加熱し、そして該分子を(例えば、イオン結合により、より好ましくは共有結合により)該表面にカップリングさせ、また、該分子同士の共有結合を形成させ、それによりポリマーを形成させる。
【0066】
全ての個別の有機分子の重合及び結合のために、種々のパラメーターを最適化することができる。該最適化可能なパラメーターとしては、(1)分子(群)の濃度、(2)ベーキング時間及び(3)ベーキング温度並びに4)反応性部位又は反応性基が挙げられる。所望の分子が重合し、そして基板に結合した後、得られる結合したポリマーを評価するためにサイクリックボルタンメトリーを実施することができる。ボルタンモグラム(voltammogram)の特異な特徴により、ポリマーの結合の効率及び電気化学的挙動が示される(例えば、Liら、(2002年)、Appl.Phys.Lett.、第81巻、第1494−1496頁;Rothら、(2003年)、J.Am.Chem.Soc.、第125巻、第505−517頁参照)。
【0067】
更に、数分間程度の短い(例えば、典型的には約1秒間〜約1時間、好ましくは約10秒間〜約30分間、より好ましくは約1分間〜約5、10又は15分間、最も好ましくは約30秒間〜約1又は2分間の)ベーキング時間により、高い表面被覆量が得られることが、驚くべき発見であった。ベーキング時間が短いと、処理工程で使用されるエネルギーの量を最小にすることができる。
【0068】
400℃のように高いベーキング温度を、分子の分解を伴わずに使用可能であることも、驚くべき発見であった。この結果は、CMOSデバイスを製作する際の多くの処理工程が、高温度処理を伴う点で、重要なものである。ある実施形態において、好ましいベーキング温度は、約125℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約400℃、より好ましくは約250℃〜約400℃、最も好ましくは約300℃〜約400℃の範囲内である。
【0069】
レドックス活性分子を重合させ、そして表面結合を達成するために、広範囲の種々の反応性部位又は反応性基を使用することができる。このような基としては、エチニル、エチル、ヨード+エチニル、ブロモ+エチニル、アミン+アルデヒド、アミン+イソシアナート、アミン+イソチオシアナート、アルデヒド+アセチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態において、反応性部位又は反応性基は、エチニル(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル、3−エチニルテルフェニルなど)である。
【0070】
ある実施形態において、レドックス活性分子上の利用可能な反応性部位又は反応性基(群)とは異なった反応性部位若しくは基又は反応性部位若しくは基を有するリンカーで誘導された(derivatized)基板を用意可能であることが特記されよう。このような例において、基板結合化学は、重合化学とは異なっているであろう。
【0071】
これに関連して、シリコン又は他の基板(例えば、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物又は遷移金属窒化物、遷移金属合金など)への結合用途に、種々の官能基が適していることが特記されよう。このような基としては、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキサルデヒド、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルが挙げられるが、これらに限定されない。このような基、例えば、エチル、メチル又はアレンが、オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリン及びメソ−テトラメシチルポルフィリンの亜鉛キレートとは実質的な結合を達成できないため、本質的には結合しないことも特記される。
【0072】
S−アセチルチオール、ブロモメチル、ヨードアリール及びエチンを介して結合が成功した先例はない。ヨードアリール基を介して結合が成功することは、直接的アリールSi結合をもたらす点で、非常に価値がある。これにより得られる情報記憶分子は、表面から垂直に配置させることができるので、続くパターン形成が容易となる。このような種々の官能基を介して結合する能力により、大きな万能性が得られる。
【0073】
ある実施形態においては、基板をオーブン内に置くことにより加熱が達成されるが、本質的には全ての便利な加熱方法を利用することができ、また、適切な加熱及び接触方法を、個別の(例えば、産業用)製造事情に応じて最適化することができる。従って、例えば、ある実施形態においては、結合かつ重合させるべきレドックス活性分子を含有する熱溶液中に前記表面を浸漬することにより、加熱を達成できる。局部加熱/パターン形成は、例えば、熱接触プリンタ又はレーザーを使用して達成することができる。加熱は、また、強制空気、対流式オーブン、輻射加熱などの使用によっても達成しうる。上記の実施形態は、限定ではなくて例示であることが意図される。
【0074】
B)「多工程」重合及び結合
ある実施形態において、本発明は、レドックス活性分子の、表面への結合及び/又は重合が、「段階的」方法で達成される、「多工程」結合及び重合方法の使用を意図する。このようなアプローチの一例では、図1に示す概略のように進行する。このようなアプローチ進行の一例を図2に示す。まず、表面結合基Z1及び反応性官能部位又は基Y1を有するリンカーL1を、適切な条件下で、結合が起こる表面(例えば、電極)上に露出させる。このリンカーは、表面に結合するために、単一の結合部位を有する線状構造又は複数の結合部位を有する多脚リンカーであってよい。ある実施形態において、このリンカーは、それ自体、電荷貯蔵分子を構成し得る。次いで、Y1に対して相補的な(但しY2に対しては相補的でない)官能基X1を有するレドックス活性分子(例えば、電荷貯蔵分子)(M)を添加し、重合を実施して、X1とY1とを結合させ、そして電荷貯蔵分子のポリマーのアレー(polymeric array)を生成させる。場合により、次いで、対向電極をこのポリマーのアレーに結合させることができる。このアプローチの利点の1つは、重合のための反応性基を結合させられない表面に対して、リンカーを結合可能であることである。
【0075】
このアプローチの他の変形例を、図3に示す。このアプローチにおいて、重合は、利用可能な反応性部位又は反応性基を1個のみ有するレドックス活性分子の存在下で行われる。この工程は、モノ誘導化(mono-derivatized)レドックス活性分子を与えること、及び/又は、複数の反応性部位若しくは基(ただし、それらのうち1個以外の全ての該部位若しくは基はブロックされている)を有するレドックス活性分子を与えること、及び/又は、複数の反応性部位若しくは基(ただし、それらの全ての該部位若しくは基はブロックされている)を与え、単一の反応性部位若しくは基を選択的に脱ブロックすることにより達成できる。利用可能な反応性部位又は反応性基を1個のみ有するレドックス活性分子は、キャッピング試薬として機能し、重合方法の末端停止を起こす。このアプローチの追加的例としては、その上に電極堆積を実施可能な官能基も有するキャッピング試薬の使用が挙げられる。
【0076】
ある実施形態において、このような段階的方法は、予め反応性部位若しくは基で誘導された、及び/又は、反応性部位若しくは基を有するリンカーで誘導された基板(例えば、1個又はそれ以上の電極を含むチップ)を用意し、次いで、例えば前記のようにして、重合反応を簡単に実施することによっても実施することができる。
【0077】
これらの実施形態は、例示を意図しての記載であり、本発明の限定を意図しない。本明細書に示した教示を使用して、他の結合/重合のスキームを案出可能である。
【0078】
C)ポリマー構造及び設計の変更
結合したポリマーの分子設計における変更は、多数の方法により達成できる。このような方法の例には、ポルフィリン系マクロ環の周りの置換基のパターンを変えることが含まれる。2個のエチンを、シス立体配置で(例えば、分子第192番)、トランス立体配置で(例えば、分子第197番)、1個のメソ−アリール環のメタ位で(例えば、分子第207番)又はポルフィリン系マクロ環のβ位でのような他の立体配置で配置させることができる。このような置換手法を組み合わせることが可能である。エチニルポルフィリンの混合物も使用できる。
【0079】
更に、少なくとも2つの方法、即ち、(1)一連の分子の第197番、第200番及び第201番、並びに192番及び217番の組に示されるようにポルフィリンに付属する基の表面上付属状況(facial encumbrance)を変える方法、並びに(2)分子第217番及び第219番に示されるようにポルフィリンとエチン基との間のリンカーの長さを伸ばす方法により、架橋性フィルムの多孔度を制御することができる。従って、例えば、ある実施形態においては、より長いリンカーを使用することができる。
【0080】
II.基板
本発明の方法において、レドックス活性(情報記憶)分子は、典型的には最終的に表面にカップリングされる。この表面は、不活性及び/又は非電導性表面であってよいが、更に典型的には、この表面は、電極及び/又は対向電極の表面であろう。
【0081】
電極及び/又は対向電極は、典型的には、電子を伝導することができる材料から作製される。電極及び/又は対向電極には、導体、半導体、超導体などが含まれ得る。ある実施形態において、電極及び/又は対向電極は、約10-2オーム・メートル未満、好ましくは約10-3オーム・メートル未満、より好ましくは約10-4オーム・メートル未満、最も好ましくは約10-5又は10-6オーム・メートル未満の抵抗率を有する。
【0082】
本発明の方法は、本質的に何れか又は全ての第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族材料(例えば、第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素、半導体及び/又はこれらの酸化物)及び/又は遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、合金又は遷移金属を含むコンポジットなどに共有結合されたレドックス活性分子のポリマーを形成するために適している。ある好ましい実施形態において、基板には、全ての、第III族、第IV族若しくは第V族材料(例えば、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛)、ドープされた第II族、第III族、第IV族、第V族及び第VI族元素又は純粋な若しくはドープされた第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素の酸化物又は遷移金属、遷移金属酸化物若しくは遷移金属窒化物が含まれる。ある好ましい実施形態において、前記表面は、第III族、第IV族又は第V族材料、より好ましくは第IV族材料(酸化物及び/又はドープされた変種)、なおより好ましくはシリコン若しくはゲルマニウム表面又はドープされた及び/又は酸化されたシリコン若しくはゲルマニウム表面である。
【0083】
本明細書中の教示から、ある実施形態において、基板のために使用できる材料の例には、Si、Ge、SiC、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W並びにこれらの酸化物及び窒化物が含まれるが、これらに限定されないことが理解されるであろう。
【0084】
第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族元素、遷移金属、遷移金属酸化物若しくは窒化物は、本質的に純粋であってよく、又はこれはドープされて(例えば、p−ドープ若しくはn−ドープされて)いてよく、及び/又は合金化されていてもよい。第II族〜第VI族元素と共に使用するための、特に第III族、第IV族及び第V族元素と共に使用するための、更に特に第IV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)と共に使用するための、p−及びn−ドーパントは、当業者に公知である。このようなドーパントの例には、リン化合物、ホウ素化合物、ヒ素化合物、アルミニウム化合物などが含まれるが、これらに限定されない。多くのドープされた第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族元素は半導体であり、この例には、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe、Ge及びSi並びにこれらの三元及び四元混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
この表面は、本質的にどのような形をとることもできる。例えば、これは、平面状基板、エッチングされた基板、他の基板上の堆積されたドメイン、堆積された又はエッチングされたウエルなどとして用意することができる。特に好ましい形の例には、固体エレクトロニクス製造方法における一般的用途の形態が含まれる。
【0086】
必ずしも必要ではないが、ある実施形態においては、前記表面を、使用前に、例えば、当業者に公知である標準的方法を用いて、清浄にする。従って、例えば、ある好ましい実施形態において、前記表面を、一連の溶媒(例えば、アセトン、トルエン、エタノール及び水)中の超音波処理により清浄にし、次いで上昇した温度(例えば、100℃)で標準的ウェーハクリーニング溶液(例えば、ピランハ(Piranha)(硫酸:30%過酸化水素、2:1))に曝露することができる。
【0087】
ある実施形態においては、基板表面から酸化物を除去し、そして該表面を水素により不動態化することができる。水素による不動態化のための多数のアプローチは、当業者に公知である。例えば、あるアプローチにおいては、分子状水素のフローを、磁界を横断して高密度マイクロ波プラズマを通して流す。この磁界は、サンプル表面を、帯電した粒子による衝突から保護する機能を果たす。こうして、該交差ビーム(CB)方法により、多くの半導体デバイスのために有害であるプラズマエッチング及び重イオンの衝突を回避することが可能となる(例えば、Balmashnovら、(1990年)、Semiconductor Science and Technology、第5巻、第242頁参照)。ある特に好ましい実施形態において、不動態化は、不動態化すべき表面をフッ化アンモニウム溶液(好ましくは酸素が散布されている)と接触させることにより達成される。
【0088】
表面を清浄化及び不動態化する他の方法は、当業者に公知である(例えば、Choudhury、(1997年)、The Handbook of Microlithography,Micromachining,and Microfabrication,Soc.Photo−Optical Instru.Engineer,Bard & Faulkner、(1997年) Fundamentals of Microfablicationなどを参照)。
【0089】
III.レドックス活性分子
多数のレドックス活性有機分子が、扱いやすいように十分に耐熱性であり、そして本発明の方法において非常に有効であることは、驚くべき発見であった。好適な耐熱性の有機分子の例には、典型的には、メタロセン(例えば、フェロセン)、ポルフィリン、膨張ポルフィリン、収縮ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、ポルフィリンアレー及びフタロシアニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
ある好ましい耐熱性有機分子としては、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−フォルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、タイプc三重[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィリン]、タイプc三重[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
ある実施形態において、前記レドックス活性分子はポルフィリンである。ポルフィリンの非結合位置上の適切な置換基の例には、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい置換基としては、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
ある実施形態において、前記レドックス活性分子はフタロシアニンである。フタロシアニンの非結合位置上の適切な置換基としては、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい置換基としては、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
エチン反応性基で誘導された、特に好ましいレドックス活性分子の例を、表1及び図4に示す。
【0094】
本発明の方法において使用される個々のレドックス活性分子の好適度合いは、容易に決定することができる。本発明の方法に従って、所望の分子(群)を、簡単に重合し、表面(例えば、水素パッシベートされた表面)にカップリングする。次いで、シヌソイドボルタンメトリーを、(例えば、本明細書中に又は米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,208,553号明細書、PCT公開第WO01/03126号明細書又はRothら、(2000年)、Vac.Sci.Technol.B、第18巻、第2359−2364頁;Rothら、(2003年)、J.Am.Chem.Soc.、第125巻、第505−517頁に記載されたようにして)実施して、1)分子(群)が表面にカップリングしたか否か、2)被覆(カップリング)の程度、3)カップリング手順の間に分子(群)が分解したか否か、及び4)複数回の読出し/書込み操作に対する分子(群)の安定性を評価することができる。
【0095】
また、あるレドックス活性分子が、特定の部位で高温度(例えば、200℃〜400℃)で分解する場合、「反応性」部位を、しばしば安定な保護基で誘導することが可能であることを特記する。この分子を本発明の方法に従って表面にカップリングさせることができ、そして次いで保護基を、有機分子から化学的に除去することができる。
【0096】
レドックス活性分子は、乾燥形、溶媒中、分散体、乳液、ペースト、ゲルなどの状態で用意することができる。好ましい溶媒、ペースト、ゲル、エマルジョン、分散剤などは、基板を実質的に分解することなく、第II族、第III族、第IV族、第V族及び/又は第VI族材料(群)及び/又は遷移金属及び/又はそれらの酸化物若しくは窒化物に適用することができ、そして基板にカップリングさせるべきレドックス活性分子(群)を、可溶化又は懸濁するが分解しない溶媒である。ある実施形態において、好ましい溶媒の例には、高沸点溶媒(例えば、約130℃よりも高い、好ましくは約150℃よりも高い、より好ましくは約180℃よりも高い初期沸点を有する溶媒)が含まれる。このような溶媒としては、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、キシレン、オルト−ジクロロベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
IV.表面結合基リンカー選択及びメモリ構成の最適化
ある実施形態において、レドックス活性ポリマーは、リンカーにより、好ましくは電導性リンカーにより、基板に結合され、かつ/又は、1個若しくはそれ以上のリンカーにより(ポリマー中で)相互に結合される。本発明の方法を使用して製造されたメモリデバイスにおいて、低電圧及び小さいセルサイズで、書込み及び/又は消去を高速で達成するために、リンカー(例えば、L1)のスケールを最適化することができる。
【0098】
最適なリンカーのサイズは、理論的に算出可能である(例えば、2003年5月27日出願の米国特許出願第60/473,782号明細書参照)。または、レドックス活性ポリマーを、例えば、本明細書に記載したようにして、表面にカップリングし、そしてボルタンメトリーを実施して結合されたポリマーの電気化学的特性を評価することによっても、リンカーを経験的に簡単に評価することができる。
【0099】
ある実施形態では、レドックス活性ポリマーを、リンカー(L)及び結合基(Z)により表面にカップリングさせる。Zは、リンカー上の保護された又は保護されていない反応性部位又は反応性基であってよい。このような基としては、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルが挙げられるが、これらに限定されない。電極への結合は、反応性部位Z上のプロトン(又は保護基)の損失により達成できる。Z−Lは、電荷貯蔵分子に結合可能である(Z−L−CMS−エチン)か、又は重合のために直接使用できる(Z−L−エチン)。
【0100】
ある好ましい実施形態において、結合基にはアリール基又はアルキル基が含まれる。ある好ましいアリール基の例には、官能基、例えば、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル及びジヒドロキシホスホリルが含まれる。ある一定の好ましいアルキル基の例には、官能基、例えば、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル及びジヒドロキシホスホリルが含まれる。
【0101】
ある実施形態において、結合基としては、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキサルデヒド、エチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、結合基としては、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、2−ブロモエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの結合基は例示であって、限定ではないことが意味される。
【0102】
適切なリンカー及び結合基(L−Z−)の例には、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;(b)4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;(c)4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル;(d)4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル;(e)4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル;(f)4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;(g)4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;(h)4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル;(i)4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル、4−アミノビフェニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
表面結合基の追加例としては、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、2−ブロモエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
上記の単座リンカー表面結合基に加えて、多座リンカーを使用することができる(例えば、Nikitin、(2003年)、Chem.Commun.、第282−283頁;Hu及びMattern、(2000年)、J.Org.Chem.、第65巻、第2277−2281頁;Yao及びTour、(1999年)、Org.Chem.、第64巻、第1968−1971頁;Foxら、(1998年)、Langmuir、第14巻、第816−820頁;Galoppini及びGuo、(2001年)、Am.Chem.Soc.、第123巻、第4342−4343頁;Dengら、(2002年)、Org.Chem.、第67巻、第5279−5283頁;Hectoら、(2001年)、Surface Science、第494巻、第1−20頁;Whitesell及びChang、(1993年)、Science、第261巻、第73−76頁;Galoppiniら、(2002年)、J.Am.Chem.Soc.、第67巻、第7801−7811頁;Siimanら、Bioconjugate Chem.、第11巻、第549−556頁参照)。
【0105】
チオール、カルボン酸、アルコール又はホスホン酸単位を有する三脚リンカー(tripodal linkers)が、平面状表面に直立の形状で分子デバイスをしっかり固定するために、特に魅力的である。このようなリンカーの具体例は、トリフェニルメタン単位又はテトラフェニルメタン単位の周りに作られ、1,1,1−トリス[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−トリス[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]メチル}フェニル、1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル}フェニル、1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル}フェニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
他の結合基の適合性は、容易に評価することができる。所望の結合基(群)を有する(直接的又はリンカー上)レドックス活性ポリマーを、本明細書に記載された方法に従って、基板(例えば、水素により不動態化されたシリコン)にカップリングし、次いで、結合の有効性を、電気化学的に、例えば、前記のようなシヌソイドボルタンメトリーを使用して評価することができる。
【0107】
V.基板上への有機分子(群)のパターン形成
ある実施形態において、本発明の方法は、基板の表面全体に均一なフィルムを形成するために結合されたレドックス活性ポリマーを形成するために実施される。他の実施形態においては、レドックス活性ポリマーは、表面上の、1つ又はそれ以上の分離した場所で形成される。ある実施形態においては、異なるレドックス活性分子/ポリマーが、表面上の異なる場所で形成される。
【0108】
レドックス活性ポリマーを形成する場所選定は、多数の手段のうちの何れかにより達成できる。例えば、ある実施形態においては、有機分子(群)を含む溶液を、表面上の特定の場所に選択的に堆積させることができる。ある他の実施形態においては、この溶液を表面上に均一に堆積させ、そして選択的ドメインを加熱することができる。ある実施形態においては、有機分子を全表面にカップリングさせ、次いで一定の領域から選択的にエッチングで除去することができる。
【0109】
表面をレドックス活性分子(群)と選択的に接触させるための最も一般的なアプローチには、レドックス活性ポリマーを不在とすべき表面の領域をマスクして、分子を含有する溶液又は気相を、この領域と接触できないようにする工程が含まれる。該工程は、基板をマスキング材料(例えば、ポリマーレジスト)により被覆し、そしてカップリングさせるべき領域のレジストを選択的にエッチング除去することにより容易に達成される。または、光活性可能レジストを表面に適用し、そして保護すべき領域内を(例えば、UV光により)選択的に活性化することができる。このような「フォトリソグラフ」法は、半導体産業において公知である(例えば、Van Zant、(2000年)、マイクロチップ製造:半導体プロセッシングへの実用的ガイド(Microchip Fabrication:A Practical Guide to Semiconductor Processing);Nishi及びDoering、(2000年)、半導体製造技術ハンドブック(Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology);Xiao、(2000年)、半導体製造技術入門(Introduction to Semiconductor Manufacturing Technology);Campbell、(1996年)、マイクロエレクトロニクス製造の科学と工学(The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication)(Oxford Series in Electrical Engineering),Oxford University Pressなど参照)。更に、表面上にレジストを密着印画することにより、レジストを表面上に簡単にパターン形成させることができる。
【0110】
他のアプローチにおいては、表面を分子と均一に接触させる。次いで、レドックス活性ポリマーを、分子を不在とすべき領域内で表面から選択的にエッチング除去する。エッチング方法は、当業者に公知であり、その例としては、プラズマエッチング、レーザーエッチング、酸エッチングなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
他のアプローチとしては、例えば、カップリングさせるべき領域内に試薬(群)を選択的に堆積するように形成された密着印画ヘッドの使用、特定の領域に試薬を選択的に限定するためのインクジェット装置の使用(例えば、米国特許第6,221,653号明細書参照)、特定の領域に試薬を選択限定配置する貯蔵槽の使用などが挙げられる。
【0112】
ある好ましい実施形態において、前記結合/重合反応は、数回繰り返される。反応(群)が完結した後、カップリングされなかった有機分子を、例えば、標準的な洗浄工程(例えば、ベンゾニトリル洗浄に続く、乾燥塩化メチレン中の超音波処理)を使用して、表面から洗浄除去する。
【0113】
上記の方法は、例示であることが意図される。本明細書に示した教示に鑑みて、他のアプローチが、半導体製造技術分野における当業者に明らかであろう。
【0114】
VI.産業的スケールアップ
本発明の方法は、商業生産稼動における使用に向けて容易にスケールアップされる。このようなスケールアップアプローチの一例を、図5に示す。この図は、気相分子結合用の二帯域炉1を示す。この装置において、分子粉末2は、1つの帯域内に保持され、そしてウェーハ3は、異なる帯域内に保持される。それぞれの帯域は、(例えば、単一のヒーター制御器により、又は、個別のヒーター制御器(例示6及び7において)により独立に調節可能なヒーター4、5により)個々に加熱することができる。それぞれの帯域は、必要な温度に独立に加熱することができる。温度を変化させることにより、分子蒸気圧を制御することができる。このシステムでは、また、ガス入口8を通り、オーブンを通り、ガス出口9の方に供給されるキャリヤガス(例えば、Ar、N2など)の使用が可能であり、このキャリヤガスを、分子蒸気を他の帯域内のウェーハに向けて輸送するために使用することができる。この炉は、また、キャリヤーガスの出口でポンプによりシステムを排気することにより、低圧(大気圧よりも低い)で運転することもできる。この低圧工程により、分子蒸気圧を極めて正確に制御できる。また、これにより、大気圧下での工程に比較して、不純物の量が減少する。
【0115】
図6に示す、他の装置形状は、気相分子結合法の高真空運転に適している。このアプローチにおいて、基板3は、真空炉チャンバー20内に配置される。結合させるべき分子(群)は、エフュージョンセル制御器24により制御されるエフュージョンセル(例えば、スペックス社(Specs)による低温度エフュージョンセルのような、クヌーセンセル(Kセル))22内に保持される。Kセル上のシャッター26を開いたり閉じたりすることにより、基板表面に到達し、そして結合した単分子層28を形成することができる分子の量を制御することができる。
【0116】
これらの方法は、例示であって、限定ではないことが意図される。本明細書の教示を使用して、当業者は、本明細書に記載した分子を加熱し、そして表面と接触させるための多数のアプローチを案出可能である。耐熱性分子又はこのような分子の混合物を加熱及び/又は蒸発するため、並びにこれらを上昇した温度の表面上にパターン形成又は均一に堆積するための装置及び方法は、市販品として入手可能であり、当業者によく知られている。このような方法としては、分子ビームエピタクシー(MBE)(例えば、スペックス・サイエンティフィック・インスツルメンツ社(SPECS Scientific Instruments, Inc.)、フロリダ州から入手可能な装置)、化学蒸着(CVD)(例えば、CVDイクイップメント社(CVD Equipment Corp.)から入手可能な装置)、液相エピタクシー堆積(LPE)(例えば、CVDイクイップメント社、ニューヨーク州ロンコンコマ(Ronkonkoma)から入手可能な装置)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
VII.基板に結合したレドックス活性ポリマーの使用
本発明の方法は、第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族材料表面に、好ましくは第III族、第IV族若しくは第V族表面及び/又は遷移金属(又は金属酸化物若しくは窒化物)材料の表面に共有結合された、レドックス活性ポリマーを形成するために使用することができる。
【0118】
該結合されたレドックス活性ポリマーは、広範囲の種々のハイブリッドコンポーネント及び/又はデバイス(例えば、電界効果トランジスタ、センサー、記憶素子など)を製作するために使用することができる。ある実施形態において、この方法は、情報がレドックス活性情報記憶分子中に記憶されることを特徴とするハイブリッドメモリデバイスを組み立てるために使用される。
【0119】
「分子メモリ」において、本明細書中に記載された、遷移金属及び/又は第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族材料にカップリングされたレドックス活性分子(1個又はそれ以上の非ゼロレドックス部位(non−zero redox sites)を有する分子)は、ビットを保存するために使用される(例えば、それぞれの酸化還元状態が、ビットを表す)。基板材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)に結合されたレドックス活性分子は、1個又はそれ以上のビットを種々の酸化状態で保存可能な記憶セルを形成する。ある実施形態において、該記憶セルは、1個又はそれ以上のレドックス活性分子を含み、そして異なりかつ区別可能な酸化状態を複数有する「記憶媒体」に電気的にカップリングされている固定電極により特徴付けられる。データは、電気的にカップリングされた電極を介して、1個又はそれ以上の電子を、該記憶媒体に添加すこと又は該記憶媒体から引き出すことにより、(好ましくは非中性)酸化状態中に記憶される。レドックス活性分子(群)の酸化状態は、例えば、米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,208,553号明細書及びPCT公開第WO01/03126号明細書に記載されているような、電気化学的方法(例えば、サイクリックボルタンメトリー)を使用して、設定及び/又は読出しが可能である。
【0120】
遷移金属並びに第II族、第III族、第IV族、第V族及び第VI族材料、特に第IV族材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)は、電子チップ製作において一般的に使用されるので、本明細書に示した方法は、現存する処理/製作技術に適合性を有する分子メモリチップの製作に、容易に組み込まれ得る。また、レドックス活性分子を含む記憶セルの構成及び使用の詳細は、米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,208,553号明細書及びPCT公開第WO01/03126号明細書に記載されている。
【0121】
VIII.コンピュータシステムにおける記憶デバイスの使用
コンピュータシステムにおいて、本発明の方法に従って製作された記憶デバイスが使用され得る。このようなコンピュータシステムの一例を、図7Aに示す。このコンピュータには、信号源(例えば、I/Oデバイス又はCPU)、本発明の記憶デバイス及び記憶デバイスの状態(群)を読み出すための適切な電気回路(例えば、ボルタンメトリー回路)が含まれている。操作において、保存すべきビットを表す電圧を、記憶デバイスの作用電極に印加し、それによりメモリを設定する。検索が(例えば、出力又は更なる処理のために)必要であるとき、記憶デバイスの状態(群)が、I/O回路により読み出され、そしてこの情報は、コンピュータ内の他の要素(例えば、CPU)に転送(pass off)される。
【0122】
図7Bは、標準コンピュータアーキテクチャ又はコンピュータシステム200の中に集積された、本発明のメモリデバイスを示す。システム200のハードウエアには、プロセッサ(CPU)205、メモリ206(分子メモリデバイスを含んでよい)、本発明の分子メモリデバイスを含むパーシステントストレージ(固定記憶域)208並びにローカルバス又はインターフェース210により繋げられた、グラフィックユーザインターフェース(GUI)220用のハードウエアが含まれている。パーシステントメモリ208には、図7Aに示される素子が含まれ得る。システム200には、更に、追加のハードウエアコンポーネント(図示せず)が含まれ得る。
【0123】
システム200は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーションであってよい。プロセッサ205は、例えば、マイクロプロセッサ、例えば、インテル社(Intel Corp.)(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara))により製造された、80386、80486又はPentium(登録商標)マイクロプロセッサであってよい。メモリ206の例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、バーチャルメモリ、分子メモリ(図11)又はプロセッサ205によりアクセス可能な全ての他の作用記憶媒体若しくはメディアが含まれ得る。パーシステントストレージ208の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、光若しくは光磁気ディスク、分子メモリ又は全ての他のパーシステントストレージメディアが含まれ得る。GUI220は、ユーザとシステム200との間のコミュニケーションを容易にする。そのハードウエアには、表示用ディスプレイ221及びセレクタデバイス(マウス、キーボードなど)222が含まれる。表示用ディスプレイ221を通して、システム200は、グラフィック及びテキスチャ出力をユーザに与えることができる。セレクタデバイス222から、システム200は、特定のウインドウ、メニュー及びメニュー項目のユーザの選択を示す入力を受け取ることができる。表示用ディスプレイ221には、例えば、陰極線管(CRT)若しくはフラットパネルディスプレイスクリーン又はヘッド−マウンティッドディスプレイ(head−mounted display)、例えばバーチャルリアリティディスプレイ(virtual reality display)が含まれ得る。セレクタデバイス222の例には、二次元ポインティングデバイス、例えば、マウス、トラックボール、トラックパッド、スタイラス、ジョイスティックなどが含まれる。その代替として、又は追加的に、セレクタデバイス222には、ファンクションキー及びカーソル制御キーを有する文字数字式キーボードのようなキーボードが含まれ得る。
【0124】
システム200のソフトウエアには、オペレーティングシステム250及びアプリケーションプログラム260が含まれる。システム200のソフトウエアには、更に、追加のアプリケーションプログラム(図示せず)が含まれ得る。オペレーティングシステム150は、例えば、IBM PC及びインテル80386、80486又はPentium(登録商標)プロセッサを有する又は模倣するコンパティブルコンピュータのための、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)95オペレーティングシステムであってよい。または、オペレーティングシステムを、分子メモリ素子を使用するオペレーションのために特定化することもできる。アプリケーションプログラム160は、オペレーティングシステム及びシステム200アーキテクチャと適合性のある全てのアプリケーションである。当業者は、広範囲のハードウエア及びソフトウエア形式が、種々の特定の実施形態において本発明のシステム及び方法を支持可能であることを認めるであろう。
【0125】
実施例
下記の実施例は、特許請求の範囲に記載の発明を例示するために記載されるが、この発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0126】
エチニル基を含有するレドックス活性分子のサイクリックボルタンメトリー及び被覆量
要約
2個(又はそれ以上)のエチニル基を有するポルフィリンを、Si(又は他の)表面上に単分子層を形成するために、本発明者らが典型的に使用する条件下で、重合させた。ポルフィリンを、少量の有機溶媒中に溶解させた。次いで、この分子を含有する溶媒の小滴を、シリコン基板の上に堆積させた。この基板を、不活性(アルゴン)雰囲気下で(例えば、200℃〜400℃で)焼成した。該ポルフィリンから、シリコン表面に共有結合したポルフィリンポリマーが生成した。このポリマーは電気化学的に堅固であり、そして同じ分子の単分子層のものに匹敵する(又は、単分子層のものよりも長い)電荷保持時間を示す。
【0127】
図1に、重合について研究した一連の分子を示す。表面被覆量は単分子層により示されるものよりも劇的に高いので、ポリマーは電気化学的に容易に検出できる。特に、Si上のポルフィリン単分子層は約10-10モルcm-2の表面被覆量を超えない。この挙動は、1個のエチニル基を含有する分子第184番により示される。一方、シス−又はトランス−立体配置で2個のエチニル基を含有する分子第192番及び第197番は、50倍以上大きい表面被覆量を示す。他方、3個以上のエチニル基が存在するとき、重合は起こるが、ボルタンメトリー応答は低下する(分子第199番及び第204番)。ボルタンメトリー応答の低下は、表面から成長する分子の拡大した架橋に起因するものと考えられる。本発明者らは、架橋の広がりは、分子設計及び製造手順の詳細の調節により制御できると確信する。
【0128】
遊離エチン(RCCH)の適切なパターンを有するポルフィリンによっては重合がもたらされるが、キャッピングしたエチンを有するものによっては重合がもたらされないことを特記する。この反応性における差異は、分子第217番(遊離エチン;フィルム)と第216番(TIPSキャッピングしたエチン;SAM)との比較、及び分子第219番(遊離エチン;フィルム)と第218番(TMSキャッピングしたエチン;SAM)との比較により証明される。
【0129】
エチニル基を含有するレドックス活性分子のサイクリックボルタンメトリー及び被覆量
[表1]
【0130】
本明細書に記載した実施例及び実施形態は、例示的なものであり、それに照らして種々の修正又は変更が、当業者に示唆され、本件特許出願の精神及び範囲並びに特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中に引用した全ての刊行物、特許及び特許出願は、全ての目的のためにそれらの全部を参照して本明細書に取り込まれる。
【0131】
関連する特許出願に対する相互参照
本件特許出願は、2004年3月11日付の出願の米国特許出願第10/800,147号に対する利益及び優先権を請求する。当該出願の内容は、その全体を援用して本特許明細書の一部となる。
米国政府が支援した研究及び開発下でなされた発明に対する権利に関する記述
本件発明は、陸軍により与えられた援助第MDA972−01−C−072号の下で政府支援によりなされた。アメリカ合衆国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】基板に結合されたレドックス活性ポリマーを形成するための、レドックス活性分子の結合及び重合を説明する図である。
【図2】基板へのレドックス活性分子の重合及び結合の「多段階的」方法を示す図である。
【図3】キャッピング試薬を使用する、基板へのレドックス活性分子の重合及び結合の「他段階的」方法を示す図である。
【図4】エチニル基を含有する幾つかの例示的レドックス活性分子を示す図である。
【図5】気相分子結合用の二帯域炉を示す図である。
【図6】基板への有機分子の結合のためにK−セルを利用するエピタクシーシステムを示す図である。
【図7A】本明細書に記載したメモリデバイスを具体化するコンピュータシステムを例示する図である。典型的に、メモリデバイスは密封された「チップ」として製作されるであろう。チップ上の及び/又はコンピュータ内の補助的電気回路により、メモリの中にビットを書き込むこと及び書き込まれた情報を検索することが、所望の通り可能になる。
【図7B】本明細書に記載したメモリデバイスを具体化するコンピュータシステムを例示する図である。標準コンピュータアーキテクチャ又はコンピュータシステム200の中に集積された、本発明のメモリデバイスを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子エレクトロニクスの分野に関する。特に、本発明は、表面上にレドックス活性分子を結合させ、そして重合させるための改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子の個別の酸化状態により情報を記憶又は操作するために、1つ又はそれ以上の有機分子を利用する、ハイブリッドエレクトロニクスデバイス及びチップの開発に対し関心が存在している(例えば、米国特許第6,208,553号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,324,091号明細書、米国特許第6,381,169号明細書及び米国特許第6,451,942号明細書並びにPCT公開第WO01/03126号明細書など)。
【0003】
ある実施形態において、ポルフィリン及び/又はメタロセン等の電気活性(レドックス活性)分子は、金又はシリコン等の導電性表面に、(直接的に又はリンカーを介して)共有結合している。この電気活性分子(群)は、印加電位(applied potential)の適用等により、カチオン状態にまで酸化され得る。電位を取り除いたとき、分子は、長期間電荷を貯蔵する。これが、記憶貯蔵デバイスの基礎を形成する。
【0004】
情報記憶のための分子材料を含有するハイブリッドチップを製造する際の一般的な試みとしては、電気活性表面への電荷貯蔵分子の効率的で有効な結合(電気カップリング)、電荷貯蔵分子(群)及び/又は関連する電解質(群)の配置の制御、及び対向電極への堆積/位置の制御が挙げられるが、これらに限定されない。特に、緊急の問題は、表面への分子の結合方法では、非常に高い濃度、高温度及び/又は反応性中間体の使用が必要とされることである(例えば、Clelandら、(1995年)J.Chem.Soc.Faraday Trans.、第91巻、第4001−4003頁;Buriak、(1999年)Chem.Commun.、第1051−1060頁;Linfordら、(1995年)J.Am.Chem.Soc.、第117巻、第3145−3155頁;Hamersら、(2000年)Acc.Chem.Res.、第33巻、第317−624頁;Haberら、(2000年)J.Phys.Chem.B、第104巻、第9947−9950頁参照)。このような条件は、小さい堅固な分子には容易に適用可能であるが、分子がより大きく及び/又は一層複雑になる場合、より不十分となっていき、しばしば失敗に終わる。
【0005】
他の問題点は、電気活性記憶素子の小型化に伴うものである。メモリセルの形状が、ナノスケールの規模まで収縮するのに伴い、セルの特徴をなす分子はより少なくなる。その結果、貯蔵された電荷を検出することがさらに困難になる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分子メモリ及び関連する応用において、形状が小さいというこの問題に対する1つの解決法が、情報記憶分子(例えば、レドックス活性分子)をZ次元(基板表面に対して垂直である方向)に積み重ねることであるという知見に負うものである。本発明者らは、本発明者らがシリコン及び他の表面上に単分子層を形成するために典型的に使用する条件下で、ポルフィリン系マクロ環及び他のレドックス活性分子を重合させることが可能であることを見出した。更に驚くべきことに、レドックス活性ポリマーが電気化学的に堅固であり(多数の読出し/書込みサイクルが可能)、同じ分子の単分子層のものに匹敵する(又は、より長い)電荷保持時間を示すことを見出した。
【0007】
これにより、ある実施形態において、本発明は、表面結合レドックス活性ポリマーを形成するための、表面上のレドックス活性ポリマーのパターン形成方法を提供する。この方法には、典型的に、少なくとも第1反応性部位又は第1反応性部基及び第2反応性部位又は第2反応性基を有するレドックス活性分子を用意する工程;及び、前記表面を前記レドックス活性分子と接触させる工程が含まれ、該接触工程が、該第1反応性部位又は第1反応性基による前記表面へのレドックス活性分子の結合、及び該第2反応性部位又は第2反応性基によるレドックス活性分子の結合を生じ、それにより前記表面に結合したポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個又は4個、より好ましくは少なくとも5個又は6個、最も好ましくは少なくとも8個、10個又は12個のレドックス活性分子を含むことを特徴とする。第1反応性部位又は第1反応性基と第2反応性部位又は第2反応性基とは、同じ種類(species)であってよく、又はこれらは異なる種類であってもよい。ある実施形態において、第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は第2反応性部位若しくは第2反応性基は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)である。好適なレドックス活性分子としては、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、レドックス活性分子は、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール(buckyball)、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジ(peri-bridged)ナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される。ある実施形態において、レドックス活性分子は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンであり、より好ましくは、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである。ある実施形態において、レドックス活性分子は、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンであり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである。ある実施形態において、レドックス活性分子は、表1又は図4に示される分子である。
【0008】
ある実施形態において、前記接触工程には、表面を、式Y1−L1−Z1(式中、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、そしてY1は保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基である)を有するリンカーと接触させ、それにより、該リンカーが該表面に結合すること;及び、結合した該リンカーをレドックス活性分子と接触させ、それにより、該レドックス活性分子が、第1及び/又は第2反応性部位又は第2反応性基を介して相互にカップリングし、かつ該レドックス活性分子が、Y1並びに第1反応性部位又は第1反応性基及び/又は第2反応性部位又は第2反応性基を介してリンカーにカップリングし、それによりリンカーに結合されたポリマーを形成することが含まれ、ここでポリマーには少なくとも2個のレドックス活性分子が含まれることを特徴とする。種々のZ1としては、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール(tellurol)、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基が挙げられる。種々の実施形態において、−L1−Z1−は、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される。種々の実施形態において、L1は、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される。ある実施形態において、この方法には、更に、対向電極をポリマー(群)に(例えば、直接的に又はリンカーを介して)結合させることが含まれる。ある実施形態において、レドックス活性分子には、更に、1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有するレドックス活性分子(従って、キャッピング試薬として作用し得る)を含みうる。1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有するレドックス活性分子は、単一の利用可能な反応性基若しくは部位のみを有していてもよく、及び/又は、ブロックされている第2の反応性基又は反応性部位を有していてもよい。ある実施形態において、前記表面には、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、ドープされた第III族元素、ドープされた第IV族元素、ドープされた第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物及び/又は遷移金属窒化物から成る群より選択された材料が含まれている。前記表面には、水素により不動態化された表面が含まれてよい。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、表面結合レドックス活性ポリマーを形成するための、表面上におけるレドックス活性ポリマーのパターン形成方法を提供する。この方法には、典型的に、反応性部位若しくは基を有するリンカー及び/又は反応性部位若しくは基を有するレドックス活性分子が結合された表面を用意する工程;少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基及び第2反応性部位又は第2反応性基を有するレドックス活性分子を用意する工程;及び、該表面をレドックス活性分子と接触させる工程が含まれ、ここで該接触工程が、表面に結合された前記リンカー及び/又は前記レドックス活性分子へレドックス活性分子が結合し、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個又は4個、より好ましくは少なくとも5個又は6個、最も好ましくは少なくとも8個、10個又は12個のレドックス活性分子を含む、該表面に結合したポリマーを形成する条件下で行われることを特徴とする。第1反応性部位又は第1反応性基と第2反応性部位又は第2反応性基とは、同じ種類であってよく、又は異なる種類であってもよい。ある実施形態において、第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は第2反応性部位若しくは第2反応性基は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)である。好適なレドックス活性分子の範囲には、前記の並びに表1及び/又は図4に列記したレドックス活性分子が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、前記表面を用意する工程には、式S−Z1−L1−Y1(式中、Sは表面であり、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、そしてY1は保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基である)で表される、リンカーを結合した表面を用意することが含まれる。ある実施形態において、Y1は保護された反応性部位又は反応性基であり、そしてこの方法には、更に、Y1を脱保護することが含まれる。種々の実施形態において、表面にカップリングする前のZ1及び/又はZ1−L1及び/又はL1には、前記のZ1及び/又はZ1−L1及び/又はL1が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、この方法には、更に、対向電極をポリマー(群)に(例えば、直接的に又はリンカーを介して)結合させることが含まれる。ある実施形態において、レドックス活性分子には、更に、1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有する(従って、キャッピング試薬として作用し得る)レドックス活性分子が含まれ得る。該1個のみの利用可能な反応性基又は反応性部位を有するレドックス活性分子は、利用可能な反応性基若しくは部位を一つのみ有していてもよく、及び/又はブロックされている第2の反応性基又は反応性部位を有していてもよい。ある実施形態において、前記表面には、前記同定された表面材料の群より選択された材料が含まれている。表面には、水素により不動態化された表面が含まれてよい。
【0010】
他の実施形態において、本発明は、第1帯域を含む電気活性基板であって、該第1帯域が、式:Mn−L−Z−S(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、そしてnは、少なくとも3、好ましくは少なくとも4、5又は6、より好ましくは7、8又は9、最も好ましくは少なくとも10、12、15、20又は30である)で表される、レドックス活性単位を結合した表面を含む基板を提供する。ある実施形態において、該レドックス活性分子は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)により、相互に結合されている。好適なレドックス活性分子には、前記の並びに表1及び/又は図4に列記したレドックス活性分子が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、基板には、式:S−Z−L−Mn−Y−E(式中、Yはリンカー又は反応性部位若しくは基であり、Eは対向電極である)で表される、レドックス活性単位を結合した表面が含まれる。種々の実施形態において、Z、Z−L及びLとしては、Z1、Z1−L1及び/又はL1について前記同定した単位が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、電気活性基板には、更に、第2帯域が含まれ、この第2帯域には、レドックス活性単位(但し、このレドックス活性単位はMとは異なる)を結合した有する表面が含まれる。ある実施形態において、第1帯域はレドックス活性記憶セルである。
【0011】
本発明は、また、式:E−Y−Mn−L−Z−S(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、Yは反応性部位若しくは基又はリンカーであり、Eは対向電極であり、nは、少なくとも3又は4、より好ましくは少なくとも5又は6、最も好ましくは少なくとも8、10又は12である)で表される、レドックス活性単位を結合した表面を含むレドックス活性記憶セルを提供する。ある実施形態において、レドックス活性分子は、エチニル基(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルなど)により、相互に結合されている。好適なレドックス活性分子としては、前記のレドックス活性分子並びに表1及び/又は図4に列記したレドックス活性分子が挙げられるが、これらに限定されない。種々の実施形態において、Z、Z−L及びLの例には、Z1、Z1−L1及び/又はL1について前記同定した単位が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、導電性材料及び/又は半導性材料。記憶セルは、場合によりカプセルに入れられていてよい。
【0012】
データの記憶方法も提供される。この方法には、典型的に、例えば前記のような、1個又はそれ以上の記憶セルを含む装置を用意する工程、及び、対向電極に、Mnの酸化状態を固定するために十分な電流で電圧を印加する工程が含まれる。種々の実施形態において、この電圧は約2ボルトまでの範囲である。この電圧は、場合により、集積回路(例えば、ロジックゲート)の出力であってよい。ある実施形態において、この方法には、更に、Mnの酸化状態を検出し、それにより、その中に記憶されているデータを読み出す工程が含まれ得る。この検出工程には、場合により、Mnの酸化状態を回復させる工程が含まれる。ある実施形態において、この検出工程には、(例えば、読出し信号にフーリエ変換を実施することにより)時間ドメイン及び/又は周波数ドメイン内の読出し信号を解析する工程が含まれる。ある実施形態において、この検出工程では、ボルタンメトリー法(例えば、インピーダンス分光法、サイクリックボルタンメトリーなど)が利用される。ある実施形態において、この検出工程には、記憶媒体を電界に曝露させて、特徴周波数を有する電界振動を作成する工程及びこの特徴周波数を検出する工程が含まれる。ある実施形態において、Mnは、少なくとも8個の異なりかつ区別できる酸化状態を有する。
【0013】
また、メモリデバイスが本明細書に記載したような記憶セルを含むことを特徴とする、該メモリデバイスを含むコンピュータシステムが提供される。
【0014】
ある実施形態において、本発明は、中央処理ユニット、ディスプレイ、セレクタデバイス及びメモリデバイスを含み、該メモリデバイスが本明細書に記載したような記憶セルを含むことを特徴とするコンピュータシステムを提供する。
【0015】
ある実施形態において、本発明の方法により形成されたレドックス活性ポリマーは、「サンドイッチ配位化合物」ではない。
【0016】
(用語の定義)
用語「酸化」は、元素、化合物又は化学的置換基/サブユニット中の、1個又はそれ以上の電子の損失を指す。酸化反応において、電子は、反応中に含まれる元素(群)の原子により失われる。次いで、これらの原子上の電荷は、さらに正にならなくてはならない。電子は、酸化する種(species)から失われ、それにより電子は、酸化反応中の生成物として現れる。酸化反応における「遊離」した実体として電子が見掛け上生成するにもかかわらず、酸化される種、Fe2+(aq)から電子が失われるので、酸化はFe2+(aq)→Fe3+(aq)+e-の反応で起こっている。反対に、用語「還元」は、元素、化合物又は化学的置換基/サブユニットによる1個又はそれ以上の電子の獲得を指す。
【0017】
「酸化状態」は、元素、化合物又は化学的置換基/サブユニットの、電気的に中性な状態、又は電子の獲得又は損失によりもたらされる状態を指す。好ましい実施形態において、用語「酸化状態」は、中性の状態及び電子の獲得又は損失(還元又は酸化)により生じる、中性以外の全ての状態を含む状態を指す。
【0018】
用語「複数酸化状態」は、2個以上の酸化状態を意味する。好ましい実施形態において、酸化状態は、電子の獲得(還元)又は電子の損失(酸化)を反映し得る。
【0019】
2個又はそれ以上の酸化状態に関して用いる用語「異なりかつ区別できる」は、実体(原子、分子、凝集体、サブユニットなど)上の正味電荷が、2つの異なる状態で存在し得ることを意味する。この状態は、状態の間の差異が、室温(例えば、0℃〜約40℃)での熱エネルギーよりも大きいとき、「区別できる」と言われる。
【0020】
本発明の多サブユニット(例えば、ポリマー性)記憶分子のサブユニットに関して用いる用語「緊密に結合した」は、1つのサブユニットの酸化が、他のサブユニットの酸化電位(群)を変えるような、サブユニットの相互の配置を指す。好ましい実施形態において、この変更は、第2サブユニットの(非中性)酸化状態(群)が、第1サブユニットの非中性酸化状態とは異なり、かつ区別できる程度に十分である。好ましい実施形態において、該緊密な結合は、共有結合(例えば、単結合、二重結合、三重結合など)により達成される。しかしながら、ある実施形態において、該緊密な結合は、リンカーを介するか、イオン性相互作用によるか、疎水性相互作用によるか、金属の配位を介するか又は単純な機械的並置によっても可能である。サブユニットは、レドックスプロセスが単独の超大分子(supermolecule)の該プロセスである程に、緊密に結合しうることが理解される。
【0021】
用語「電極」は、電荷(例えば、電子)を記憶分子に及び/又は記憶分子から移送することができる全ての媒体を指す。好ましい電極は、金属又は導電性有機分子からなる。電極は、実質的に全ての二次元又は三次元形状(例えば、分離した線、パッド、平面、球、円筒など)に製造することができる。
【0022】
用語「固定電極」は、電極が、記憶媒体に対して本質的に安定であり、そして移動可能でないという事実を反映することを意図している。即ち、電極と記憶媒体とは、相互に本質的に固定された幾何学的関係で配置されている。勿論、この関係は、熱変化に伴う媒体の膨張及び収縮のために又は電極及び/又は記憶媒体を含む分子の構成における変化のために、幾分か変わることが認められる。しかしながら、全体の空間配置は本質的にはそのままであり変化しない。好ましい実施形態において、この用語は、電極が可動性「プローブ」(例えば、書込み用又は記録用「ヘッド」、原子力顕微鏡(AFM)チップ、走査トンネル顕微鏡(STM)チップなど)であるシステムを除外する意図を有する。
【0023】
用語「作用電極」は、記憶媒体及び/又は記憶分子の状態を設定又は読み出すために使用される、1つ又はそれ以上の電極に関する場合に使用される。
【0024】
用語「基準電極」は、作用電極から記録された測定値のための基準(例えば、特別の基準電圧)を与える、1つ又はそれ以上の電極に関する場合に使用される。好ましい実施形態において、本発明の一つのメモリデバイスにおける基準電極群は、同じ電位にあるが、幾つかの実施形態において、必ずしもそうである必要はない。
【0025】
記憶分子及び/又は記憶媒体並びに電極に関する用語「電気的にカップリングされた」は、電子が、記憶媒体/分子から電極へ、又は電極から記憶媒体/分子へ移動し、それにより記憶媒体/分子の酸化状態を変えるような、記憶媒体又は分子と電極との間の関連を指す。電気カップリングの例には、記憶媒体/分子と電極との間の直接的共有結合、間接的共有カップリング(例えば、リンカーを介する)、記憶媒体/分子と電極との間の直接的若しくは間接的イオン結合、又は他の結合(例えば、疎水性結合)が含まれ得る。更に、実際の結合は必要でなく、記憶媒体/分子を電極表面に単純に接触させればよい場合もある。また、媒体/分子と電極との間の電子トンネル通過を許容するために十分に、電極が記憶媒体/分子に密接しており、電極と記憶媒体/分子との間の如何なる接触も、必ずしも必要ではない場合もある。
【0026】
用語「レドックス活性ユニット」又は「レドックス活性サブユニット」は、適切な電圧の印加により酸化されるか又は還元されることができる分子又は分子の構成成分を指す。
【0027】
用語「レドックス活性」分子は、適切な電圧の印加により、酸化されるか又は還元されることができる分子又は分子の構成成分を指す。
【0028】
本明細書で使用される用語「サブユニット」は、分子のレドックス活性成分を指す。
【0029】
用語「電気化学セル」は、典型的には、基準電極、作用電極、レドックス活性分子(例えば、記憶媒体)及び、必要な場合には、電極の間の及び/又は電極と媒体との間に導電性を与えるための幾つかの手段(例えば、誘電体)を指す。幾つかの実施形態において、誘電体は記憶媒体の構成成分である。
【0030】
用語「記憶素子」、「メモリセル」又は「記憶セル」は、情報の記憶のために使用することができる電気化学セルを指す。好ましい「記憶セル」は、少なくとも1個、好ましくは2個の電極(例えば、作用電極及び基準電極)によりアドレスされた記憶媒体の個別の領域である。記憶セルは、個別にアドレスすることができ(例えば、固有の電極が,記憶素子各々に関連付けられる)又は特に、異なる記憶素子の酸化状態が区別できる場合、複数の記憶素子を1個の電極によりアドレスすることができる。記憶素子には、場合により、誘電体(例えば、対イオンが含浸された誘電体)が含まれてよい。
【0031】
用語「記憶位置」は、記憶媒体が配置されている個別のドメイン又は領域を指す。1個又はそれ以上の電極でアドレスされるとき、記憶位置は記憶セルを形成することができる。しかしながら、2個の記憶位置が同じ記憶媒体を含み、それによりこれらが本質的に同じ酸化状態を有し、そして両方の記憶位置が共通してアドレスされる場合、これらは1つの機能性記憶セルを形成し得る。
【0032】
特定の素子を「アドレスする」とは、記憶素子の酸化状態(群)を個別に特定するために電極を使用できるように、その記憶素子を電極と関連づける(例えば、電気的にカップリングさせる)ことを指す。
【0033】
用語「読み出す」又は「応答させる」は、1個又はそれ以上の分子(例えば、記憶媒体を含む分子)の酸化状態(群)を特定することを指す。
【0034】
「集積回路からの出力」とは、1個若しくはそれ以上の集積回路(群)及び/又は集積回路の1個若しくはそれ以上の構成成分により作られる電圧又は信号を指す。
【0035】
「ボルタンメトリーデバイス」は、電圧の印加又は電圧における変化の結果として、電気化学セル中に作られる電流を測定することができるデバイスである。
【0036】
「アンペロメトリーデバイス」は、特定の電位場(potential field)(「電圧」)の印加の結果として、電気化学セル中に作られる電流を測定することができるデバイスである。
【0037】
「ポテンショメトリーデバイス」は、電気化学セル中のレドックス分子の平衡濃度における差から得られるインターフェースを横切る電位を測定することができるデバイスである。
【0038】
「クーロメトリーデバイス」は、電気化学セルへの電位場(「電圧」)の印加の間に作られた正味電荷の可能なデバイスである。
【0039】
「インピーダンス分光法」は、電気化学セルの総インピーダンスを決定することができるデバイスである。
【0040】
「シヌソイド電圧電流計」は、電気化学セルの周波数ドメイン特性を決定することができるボルタンメトリーデバイスである。
【0041】
用語「ポルフィリン系マクロ環」は、ポルフィリン又はポルフィリン誘導体を指す。このような誘導体の例には、ポルフィリン核にオルト縮合又はオルトペリ縮合した(ortho−perifused)余分の環を有するポルフィリン、他の元素の原子によりポルフィリン環の1個又はそれ以上の炭素原子が置換されたポルフィリン(骨格置換)、他の元素の原子によるポルフィリン環の窒素原子の置換を有する誘導体(窒素の骨格置換)、ポルフィリンの周辺(メソ−、β−)又はコア原子に位置する水素以外の置換基を有する誘導体、ポルフィリンの1個又はそれ以上の結合が飽和している誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、デカヒドロポルフィリン、コルフィン(corphin)、ピロコルフィン(pyrrocorphin)など)、1個又はそれ以上のポルフィリン原子への1個又はそれ以上の金属の配位により得られる誘導体(メタロポルフィリン)、ポルフィリン環の中に挿入された、ピロール及びピロメテニル単位を含む、1個又はそれ以上の原子を有する誘導体(膨張ポルフィリン)、ポルフィリン環から1個又はそれ以上の基が除かれた誘導体(収縮ポルフィリン、例えば、コリン、コロール)並びに上記の誘導体の組み合わせ(例えば、フタロシアニン、サブフタロシアニン及びポルフィリン異性体)が含まれる。好ましいポルフィリン系マクロ環としては、少なくとも1個の5員環を含むものが挙げられる。
【0042】
用語「ポルフィリン」は、典型的には、4個の窒素原子及び2個の置換可能な水素(種々の金属原子が容易に置換され得る)と一緒に4個のピロール環から構成された環状構造を指す。典型的なポルフィリンはヘミンである。
【0043】
用語「マルチポルフィリンアレー」は、2個又はそれ以上の共有結合したポルフィリン系マクロ環の個別の数を指す。マルチポルフィリンアレーは、線状、環状又は分枝状であってよい。
【0044】
用語「サンドイッチ配置化合物」又は「サンドイッチ配置錯体」は、式LnMn-1(式中、Lはそれぞれ複素環状配位子(後述)であり、Mはそれぞれ金属であり、nは2以上、最も好ましくは2又は3であり、そしてそれぞれの金属は、一対の配位子の間に配置され、そして(金属の酸化状態に依存して)それぞれの配位子中の1個又はそれ以上のヘテロ原子(典型的に複数個、例えば、2、3、4、5個のヘテロ原子)に結合されている)で表される化合物を指す。従って、サンドイッチ配位化合物は、フェロセンのような有機金属化合物(金属が炭素原子に結合されている)ではない。サンドイッチ配位化合物中の配位子は、一般的に、積み重ねた配向(即ち、一般的に共表面的に(cofacially)配置され、そして相互に軸方向に揃えられているが、これらは相互にその軸の周りに回転していても、又は回転していなくてもよい)で整列されている(例えば、Ng及びJiang、(1997年)Chemical Society Reviews、第26巻、第433−442頁参照)。サンドイッチ配位錯体には、「二重サンドイッチ配位化合物」及び「三重サンドイッチ配位化合物」が含まれるが、これらに限定されない。サンドイッチ配位化合物の合成及び使用については、米国特許第6,212,093B1号明細書に詳細に記載されている。
【0045】
用語「二重サンドイッチ配位化合物」は、nが2であり、従って式L1−M1−L2(式中、L1及びL2はそれぞれ同じか又は異なっていてよい)を有する、上記のようなサンドイッチ配位化合物を指す(例えば、Jiangら、(1999年)、J.Porphyrins Phthalocyanines、第3巻、第322−328頁参照)。
【0046】
用語「三重サンドイッチ配位化合物」は、nが3であり、従って式L1−M1−L2−M2−L3(式中、L1、L2及びL3はそれぞれ同じか又は異なっていてよく、そしてM1及びM2は、同じか又は異なっていてよいい)を有する、上記のようなサンドイッチ配位化合物を指す(例えば、Arnoldら、(1999年)、Chemistry Letters、第483−484頁参照)。
【0047】
「リンカー」は、2個の異なる分子か、2個の分子のサブユニットを、又は基板に分子をカップリングさせるために使用される分子である。
【0048】
「基板」は、1個又はそれ以上の分子の結合のために適している、好ましくは固体の材料である。基板を形成することができる材料としては、ガラス、プラスチック、シリコン、ゲルマニウム、鉱物(例えば、石英)、半導性材料(例えば、ドープされたシリコン、ドープされたゲルマニウムなど)、セラミックス、金属などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
好ましい実施形態において、金属が「M」又は「Mn」(nは整数である)により指定されるとき、この金属には対イオンが付随し得ると認められる。
【0050】
「第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族元素又は材料」には、純粋な元素、第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素のドープされた変種及び/又は第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素の酸化された変種が含まれる。
【0051】
用語「耐熱性有機分子」又は「熱安定性有機分子」は、200℃〜400℃の温度で、好ましくは400℃で、少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間、より好ましくは少なくとも2〜5分間安定である(例えば、分解を示さない、又は実質的に分解を示さない)有機分子(例えば、ポルフィリン)を指す。
【0052】
「第III族、第IV族又は第V族基板」は、第III族、第IV族又は第V族元素を含む材料である。
【0053】
本明細書で使用される用語「遷移金属」は、典型的には、周期表の第3族〜第12族中の38種の元素を指す。典型的に、遷移金属は、それらの原子価電子又はそれらが他の元素と組み合わせるために使用する電子が、2個以上の殻内に存在し、その結果しばしば幾つかの共通した酸化状態を示すという事実により特徴付けられる。ある実施形態において、本発明の遷移金属の例には、1つ又はそれ以上の、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホジウム及び/又はこれらの酸化物及び/又は窒化物及び/又は合金及び/又は混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
「耐熱性有機分子を含む溶液」又は「レドックス活性分子を含む溶液」は、真の溶液に限定されず、それらの懸濁液、分散剤及びエマルジョンも含まれる。更に、この溶液は、耐熱性有機分子(群)を「含有する」目的に適している、ペースト、ゲル、エアロゲル及び本質的に全ての媒体を意図する。
【0055】
「結合基を有する分子」には、結合基が分子の固有の成分である分子、結合基を追加するために誘導された分子、及び結合基を含むリンカーを有するように誘導された分子が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
集積回路、メモリセルなどを含む製品のサイズがナノスケール規模にまで縮小するにつれ、これらの製品の素子の形成において利用可能な分子はさらにより少なくなるであろう。その結果、分子エレクトロニクスデバイスが小型化されるため、電荷(例えば、ビット状態)を記憶するのに利用可能な分子はさらにより少なくなり、そのため記憶された電荷を検出することは、ますます困難になる。
【0057】
本発明は、この問題に対する解決法の1つが、Z次元(基板表面に対して垂直である方向)における情報記憶分子(例えば、レドックス活性分子)を積み重ねることであるという知見に関する。本発明者らは、本発明者らがシリコン及び他の表面上に単分子層を形成するために典型的に使用する条件下で、ポルフィリン系マクロ環及び他のレドックス活性分子を重合させることが可能であることを見出した(例えば、2003年12月19日出願の、出願継続中の米国特許出願第10/742,596号明細書参照)。更に、レドックス活性ポリマーが電気化学的に堅固であり(多数の読出し/書込みサイクルが可能である)そして同じ分子の単分子層のものに匹敵する(又は、より長い)電荷保持時間を示すことは、驚くべき発見であった。
【0058】
I.表面上のレドックス活性ポリマーの形成
A)「一工程」重合及び結合
ある実施形態において、ポリマーを形成するためのレドックス活性分子の重合及びそれらの表面への結合は、「一工程」重合で実施される。このアプローチにおいて、利用可能な反応性部位又は反応性基(同じか又は異なる)を2個有するレドックス活性分子が用意される。この(乾燥状態で又は溶媒中で用意される)分子を、相互に及び基板表面に対して、高温度(例えば、少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約300℃、より好ましくは少なくとも約400℃)で接触させ、それにより、反応性部位又は反応性基を、相互に及び/又は基板と、又は基板上の部位若しくは反応性基と反応させて、分子の、相互の(それによりポリマーを形成する)及び基板に対する結合を生じる(例えば、図1参照)。
【0059】
種々の実施形態において、レドックス活性分子は、好ましくは、耐熱性分子であり、そして単独の分子種として又は異なる類の分子の種混合物として用意することができる。
【0060】
様々の実施形態において、前記分子を加熱して前記表面に接触させることが可能であり、かつ/又は、前記表面を加熱することが可能であり、かつ/又は、前記分子(群)と前記表面の両方を加熱することができる。更に、前記表面及び/又は前記分子(群)を、相互に接触させる前に加熱することが可能であり、かつ/又は、それらが接触状態にある間に加熱することができる。
【0061】
ある実施形態においては、レドックス活性分子を、有機溶媒(例えば、THF、メシチレン、ジュレン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ベンゾニトリル、アニソールなど)中に溶解させ、次いで、該分子を含有する該溶媒を、表面に適用することができる。種々の公知の方法の何れを用いても加熱を行うことができる。例えば、表面への適用の前に、該溶媒を加熱することができる。ある実施形態においては、該溶媒を表面に適用する前に、該溶媒及び表面の両方を加熱することができる。ある好ましい実施形態においては、該溶媒の適用後に、表面を加熱する。当該加熱は、表面を(例えば、オーブン内で)ベーキングすることにより行うのが便利である。ある好ましい実施形態においては、表面を、不活性雰囲気(例えば、アルゴン又は他の不活性ガス(群))下で加熱する(例えば、ベーキングする)。
【0062】
ある実施形態において、特に、製造において大サイズのウェーハ(例えば、直径が12インチ超)が使用される場合、本発明の無溶媒方法を使用することができる。該無溶媒方法においては、レドックス活性ポリマー(例えば、ポルフィリンポリマー、フタロシアニンポリマーなど)の層を、如何なる溶媒も使用しないで、所望の表面(例えば、シリコン、二酸化ケイ素、金属、金属酸化物、金属窒化物など)の上に形成させる。換言すると、前記結合工程を、完全に乾燥した環境中で実施することができる。種々の実施形態において、この方法では、固相分子を、それらを適切な温度に加熱することにより気相に転換し、次いで気相分子を所望の表面に移送する。この方法は、また、最大結合密度の達成を補助しうるよう、分子と基板温度とを別個に制御することを可能にする。この方法は、類似の技術(例えば、CVD及びMBE)が、半導体産業において材料を堆積するために既に使用中であるので、生産に容易に適用できる。
【0063】
あるアプローチにおいては、レドックス活性分子を、基板(例えば、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物又は遷移金属窒化物など)を含むチャンバー内で堆積させる。溶媒は蒸発除去されて、レドックス活性分子のみが残る。次いで、チャンバーを加熱して、該分子を揮発させる。該分子は、次いで基板表面に対して及び分子同士で接触し、そしてカップリングし、それにより結合したポリマーを形成する。
【0064】
他のアプローチにおいては、レドックス活性分子を乾燥粉末としてチャンバーの中に置く。再び、チャンバーを加熱して、該分子を揮発させる。該分子は、次いで基板表面に対して及び相互に接触し、そしてカップリングする。
【0065】
ある実施形態においては、表面にカップリングさせるべき分子を、基板の上に(例えば、乾燥形で、又は、次いで蒸発除去する溶媒の中で)直接堆積させる。次いで、該分子及び/又は該表面を(例えば、200℃以上に)加熱し、そして該分子を(例えば、イオン結合により、より好ましくは共有結合により)該表面にカップリングさせ、また、該分子同士の共有結合を形成させ、それによりポリマーを形成させる。
【0066】
全ての個別の有機分子の重合及び結合のために、種々のパラメーターを最適化することができる。該最適化可能なパラメーターとしては、(1)分子(群)の濃度、(2)ベーキング時間及び(3)ベーキング温度並びに4)反応性部位又は反応性基が挙げられる。所望の分子が重合し、そして基板に結合した後、得られる結合したポリマーを評価するためにサイクリックボルタンメトリーを実施することができる。ボルタンモグラム(voltammogram)の特異な特徴により、ポリマーの結合の効率及び電気化学的挙動が示される(例えば、Liら、(2002年)、Appl.Phys.Lett.、第81巻、第1494−1496頁;Rothら、(2003年)、J.Am.Chem.Soc.、第125巻、第505−517頁参照)。
【0067】
更に、数分間程度の短い(例えば、典型的には約1秒間〜約1時間、好ましくは約10秒間〜約30分間、より好ましくは約1分間〜約5、10又は15分間、最も好ましくは約30秒間〜約1又は2分間の)ベーキング時間により、高い表面被覆量が得られることが、驚くべき発見であった。ベーキング時間が短いと、処理工程で使用されるエネルギーの量を最小にすることができる。
【0068】
400℃のように高いベーキング温度を、分子の分解を伴わずに使用可能であることも、驚くべき発見であった。この結果は、CMOSデバイスを製作する際の多くの処理工程が、高温度処理を伴う点で、重要なものである。ある実施形態において、好ましいベーキング温度は、約125℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約400℃、より好ましくは約250℃〜約400℃、最も好ましくは約300℃〜約400℃の範囲内である。
【0069】
レドックス活性分子を重合させ、そして表面結合を達成するために、広範囲の種々の反応性部位又は反応性基を使用することができる。このような基としては、エチニル、エチル、ヨード+エチニル、ブロモ+エチニル、アミン+アルデヒド、アミン+イソシアナート、アミン+イソチオシアナート、アルデヒド+アセチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態において、反応性部位又は反応性基は、エチニル(例えば、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル、3−エチニルテルフェニルなど)である。
【0070】
ある実施形態において、レドックス活性分子上の利用可能な反応性部位又は反応性基(群)とは異なった反応性部位若しくは基又は反応性部位若しくは基を有するリンカーで誘導された(derivatized)基板を用意可能であることが特記されよう。このような例において、基板結合化学は、重合化学とは異なっているであろう。
【0071】
これに関連して、シリコン又は他の基板(例えば、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物又は遷移金属窒化物、遷移金属合金など)への結合用途に、種々の官能基が適していることが特記されよう。このような基としては、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキサルデヒド、エチン、ビニル、ヒドロキシメチルが挙げられるが、これらに限定されない。このような基、例えば、エチル、メチル又はアレンが、オクタエチルポルフィリン、メソ−テトラフェニルポルフィリン、メソ−テトラ−p−トリルポルフィリン及びメソ−テトラメシチルポルフィリンの亜鉛キレートとは実質的な結合を達成できないため、本質的には結合しないことも特記される。
【0072】
S−アセチルチオール、ブロモメチル、ヨードアリール及びエチンを介して結合が成功した先例はない。ヨードアリール基を介して結合が成功することは、直接的アリールSi結合をもたらす点で、非常に価値がある。これにより得られる情報記憶分子は、表面から垂直に配置させることができるので、続くパターン形成が容易となる。このような種々の官能基を介して結合する能力により、大きな万能性が得られる。
【0073】
ある実施形態においては、基板をオーブン内に置くことにより加熱が達成されるが、本質的には全ての便利な加熱方法を利用することができ、また、適切な加熱及び接触方法を、個別の(例えば、産業用)製造事情に応じて最適化することができる。従って、例えば、ある実施形態においては、結合かつ重合させるべきレドックス活性分子を含有する熱溶液中に前記表面を浸漬することにより、加熱を達成できる。局部加熱/パターン形成は、例えば、熱接触プリンタ又はレーザーを使用して達成することができる。加熱は、また、強制空気、対流式オーブン、輻射加熱などの使用によっても達成しうる。上記の実施形態は、限定ではなくて例示であることが意図される。
【0074】
B)「多工程」重合及び結合
ある実施形態において、本発明は、レドックス活性分子の、表面への結合及び/又は重合が、「段階的」方法で達成される、「多工程」結合及び重合方法の使用を意図する。このようなアプローチの一例では、図1に示す概略のように進行する。このようなアプローチ進行の一例を図2に示す。まず、表面結合基Z1及び反応性官能部位又は基Y1を有するリンカーL1を、適切な条件下で、結合が起こる表面(例えば、電極)上に露出させる。このリンカーは、表面に結合するために、単一の結合部位を有する線状構造又は複数の結合部位を有する多脚リンカーであってよい。ある実施形態において、このリンカーは、それ自体、電荷貯蔵分子を構成し得る。次いで、Y1に対して相補的な(但しY2に対しては相補的でない)官能基X1を有するレドックス活性分子(例えば、電荷貯蔵分子)(M)を添加し、重合を実施して、X1とY1とを結合させ、そして電荷貯蔵分子のポリマーのアレー(polymeric array)を生成させる。場合により、次いで、対向電極をこのポリマーのアレーに結合させることができる。このアプローチの利点の1つは、重合のための反応性基を結合させられない表面に対して、リンカーを結合可能であることである。
【0075】
このアプローチの他の変形例を、図3に示す。このアプローチにおいて、重合は、利用可能な反応性部位又は反応性基を1個のみ有するレドックス活性分子の存在下で行われる。この工程は、モノ誘導化(mono-derivatized)レドックス活性分子を与えること、及び/又は、複数の反応性部位若しくは基(ただし、それらのうち1個以外の全ての該部位若しくは基はブロックされている)を有するレドックス活性分子を与えること、及び/又は、複数の反応性部位若しくは基(ただし、それらの全ての該部位若しくは基はブロックされている)を与え、単一の反応性部位若しくは基を選択的に脱ブロックすることにより達成できる。利用可能な反応性部位又は反応性基を1個のみ有するレドックス活性分子は、キャッピング試薬として機能し、重合方法の末端停止を起こす。このアプローチの追加的例としては、その上に電極堆積を実施可能な官能基も有するキャッピング試薬の使用が挙げられる。
【0076】
ある実施形態において、このような段階的方法は、予め反応性部位若しくは基で誘導された、及び/又は、反応性部位若しくは基を有するリンカーで誘導された基板(例えば、1個又はそれ以上の電極を含むチップ)を用意し、次いで、例えば前記のようにして、重合反応を簡単に実施することによっても実施することができる。
【0077】
これらの実施形態は、例示を意図しての記載であり、本発明の限定を意図しない。本明細書に示した教示を使用して、他の結合/重合のスキームを案出可能である。
【0078】
C)ポリマー構造及び設計の変更
結合したポリマーの分子設計における変更は、多数の方法により達成できる。このような方法の例には、ポルフィリン系マクロ環の周りの置換基のパターンを変えることが含まれる。2個のエチンを、シス立体配置で(例えば、分子第192番)、トランス立体配置で(例えば、分子第197番)、1個のメソ−アリール環のメタ位で(例えば、分子第207番)又はポルフィリン系マクロ環のβ位でのような他の立体配置で配置させることができる。このような置換手法を組み合わせることが可能である。エチニルポルフィリンの混合物も使用できる。
【0079】
更に、少なくとも2つの方法、即ち、(1)一連の分子の第197番、第200番及び第201番、並びに192番及び217番の組に示されるようにポルフィリンに付属する基の表面上付属状況(facial encumbrance)を変える方法、並びに(2)分子第217番及び第219番に示されるようにポルフィリンとエチン基との間のリンカーの長さを伸ばす方法により、架橋性フィルムの多孔度を制御することができる。従って、例えば、ある実施形態においては、より長いリンカーを使用することができる。
【0080】
II.基板
本発明の方法において、レドックス活性(情報記憶)分子は、典型的には最終的に表面にカップリングされる。この表面は、不活性及び/又は非電導性表面であってよいが、更に典型的には、この表面は、電極及び/又は対向電極の表面であろう。
【0081】
電極及び/又は対向電極は、典型的には、電子を伝導することができる材料から作製される。電極及び/又は対向電極には、導体、半導体、超導体などが含まれ得る。ある実施形態において、電極及び/又は対向電極は、約10-2オーム・メートル未満、好ましくは約10-3オーム・メートル未満、より好ましくは約10-4オーム・メートル未満、最も好ましくは約10-5又は10-6オーム・メートル未満の抵抗率を有する。
【0082】
本発明の方法は、本質的に何れか又は全ての第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族材料(例えば、第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素、半導体及び/又はこれらの酸化物)及び/又は遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、合金又は遷移金属を含むコンポジットなどに共有結合されたレドックス活性分子のポリマーを形成するために適している。ある好ましい実施形態において、基板には、全ての、第III族、第IV族若しくは第V族材料(例えば、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛)、ドープされた第II族、第III族、第IV族、第V族及び第VI族元素又は純粋な若しくはドープされた第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族元素の酸化物又は遷移金属、遷移金属酸化物若しくは遷移金属窒化物が含まれる。ある好ましい実施形態において、前記表面は、第III族、第IV族又は第V族材料、より好ましくは第IV族材料(酸化物及び/又はドープされた変種)、なおより好ましくはシリコン若しくはゲルマニウム表面又はドープされた及び/又は酸化されたシリコン若しくはゲルマニウム表面である。
【0083】
本明細書中の教示から、ある実施形態において、基板のために使用できる材料の例には、Si、Ge、SiC、Au、Ag、Cu、Al、Ta、Ti、Ru、Ir、Pt、Pd、Os、Mn、Hf、Zr、V、Nb、La、Y、Gd、Sr、Ba、Cs、Cr、Co、Ni、Zn、Ga、In、Cd、Rh、Re、W並びにこれらの酸化物及び窒化物が含まれるが、これらに限定されないことが理解されるであろう。
【0084】
第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族元素、遷移金属、遷移金属酸化物若しくは窒化物は、本質的に純粋であってよく、又はこれはドープされて(例えば、p−ドープ若しくはn−ドープされて)いてよく、及び/又は合金化されていてもよい。第II族〜第VI族元素と共に使用するための、特に第III族、第IV族及び第V族元素と共に使用するための、更に特に第IV族元素(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)と共に使用するための、p−及びn−ドーパントは、当業者に公知である。このようなドーパントの例には、リン化合物、ホウ素化合物、ヒ素化合物、アルミニウム化合物などが含まれるが、これらに限定されない。多くのドープされた第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族元素は半導体であり、この例には、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、AlS、AlP、AlSb、PbS、PbSe、Ge及びSi並びにこれらの三元及び四元混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
この表面は、本質的にどのような形をとることもできる。例えば、これは、平面状基板、エッチングされた基板、他の基板上の堆積されたドメイン、堆積された又はエッチングされたウエルなどとして用意することができる。特に好ましい形の例には、固体エレクトロニクス製造方法における一般的用途の形態が含まれる。
【0086】
必ずしも必要ではないが、ある実施形態においては、前記表面を、使用前に、例えば、当業者に公知である標準的方法を用いて、清浄にする。従って、例えば、ある好ましい実施形態において、前記表面を、一連の溶媒(例えば、アセトン、トルエン、エタノール及び水)中の超音波処理により清浄にし、次いで上昇した温度(例えば、100℃)で標準的ウェーハクリーニング溶液(例えば、ピランハ(Piranha)(硫酸:30%過酸化水素、2:1))に曝露することができる。
【0087】
ある実施形態においては、基板表面から酸化物を除去し、そして該表面を水素により不動態化することができる。水素による不動態化のための多数のアプローチは、当業者に公知である。例えば、あるアプローチにおいては、分子状水素のフローを、磁界を横断して高密度マイクロ波プラズマを通して流す。この磁界は、サンプル表面を、帯電した粒子による衝突から保護する機能を果たす。こうして、該交差ビーム(CB)方法により、多くの半導体デバイスのために有害であるプラズマエッチング及び重イオンの衝突を回避することが可能となる(例えば、Balmashnovら、(1990年)、Semiconductor Science and Technology、第5巻、第242頁参照)。ある特に好ましい実施形態において、不動態化は、不動態化すべき表面をフッ化アンモニウム溶液(好ましくは酸素が散布されている)と接触させることにより達成される。
【0088】
表面を清浄化及び不動態化する他の方法は、当業者に公知である(例えば、Choudhury、(1997年)、The Handbook of Microlithography,Micromachining,and Microfabrication,Soc.Photo−Optical Instru.Engineer,Bard & Faulkner、(1997年) Fundamentals of Microfablicationなどを参照)。
【0089】
III.レドックス活性分子
多数のレドックス活性有機分子が、扱いやすいように十分に耐熱性であり、そして本発明の方法において非常に有効であることは、驚くべき発見であった。好適な耐熱性の有機分子の例には、典型的には、メタロセン(例えば、フェロセン)、ポルフィリン、膨張ポルフィリン、収縮ポルフィリン、線状ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、ポルフィリンアレー及びフタロシアニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
ある好ましい耐熱性有機分子としては、5−[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(メルカプトメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−フォルミルフェニル)−15−フェニル−10,20−ジ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモメチルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−エチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ブロモフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヒドロキシフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−ヨード−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−ヨードフェニル)−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−ヨードフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15−トリス(4−エチニルフェニル)−20−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,15−ビス(3−エチニルフェニル)−10,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラキス(4−エチニルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ジメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(3,5−ジエチニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、3,7−ジブロモ−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(2−(トリメチルシリル)エチニル)フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−[4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル]−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ヨードフェニル)−10,20−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−15−メシチルポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルフェニル)−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス(4−エチニルビフェン−4’−イル)−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−ビニルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(ヒドロキシメチル)−10,15,20−トリメシチルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト亜鉛(II)、5−(4−アリルフェニル)−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィナト銅(II)、タイプc三重[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5,15−ビス(4−エチニルフェニル)−10,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィリン]、タイプc三重[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[(tert−ブチル)4フタロシアニナト]Eu[5−[4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル]−10,15,20−トリ−p−トリルポルフィリン]、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)ビフェン−4’−イル]−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)、5,10−ビス[4−(2−(トリイソプロピルシリル)エチニル)フェニル]−15,20−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ポルフィナト亜鉛(II)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
ある実施形態において、前記レドックス活性分子はポルフィリンである。ポルフィリンの非結合位置上の適切な置換基の例には、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい置換基としては、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
ある実施形態において、前記レドックス活性分子はフタロシアニンである。フタロシアニンの非結合位置上の適切な置換基としては、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルなどが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい置換基としては、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
エチン反応性基で誘導された、特に好ましいレドックス活性分子の例を、表1及び図4に示す。
【0094】
本発明の方法において使用される個々のレドックス活性分子の好適度合いは、容易に決定することができる。本発明の方法に従って、所望の分子(群)を、簡単に重合し、表面(例えば、水素パッシベートされた表面)にカップリングする。次いで、シヌソイドボルタンメトリーを、(例えば、本明細書中に又は米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,208,553号明細書、PCT公開第WO01/03126号明細書又はRothら、(2000年)、Vac.Sci.Technol.B、第18巻、第2359−2364頁;Rothら、(2003年)、J.Am.Chem.Soc.、第125巻、第505−517頁に記載されたようにして)実施して、1)分子(群)が表面にカップリングしたか否か、2)被覆(カップリング)の程度、3)カップリング手順の間に分子(群)が分解したか否か、及び4)複数回の読出し/書込み操作に対する分子(群)の安定性を評価することができる。
【0095】
また、あるレドックス活性分子が、特定の部位で高温度(例えば、200℃〜400℃)で分解する場合、「反応性」部位を、しばしば安定な保護基で誘導することが可能であることを特記する。この分子を本発明の方法に従って表面にカップリングさせることができ、そして次いで保護基を、有機分子から化学的に除去することができる。
【0096】
レドックス活性分子は、乾燥形、溶媒中、分散体、乳液、ペースト、ゲルなどの状態で用意することができる。好ましい溶媒、ペースト、ゲル、エマルジョン、分散剤などは、基板を実質的に分解することなく、第II族、第III族、第IV族、第V族及び/又は第VI族材料(群)及び/又は遷移金属及び/又はそれらの酸化物若しくは窒化物に適用することができ、そして基板にカップリングさせるべきレドックス活性分子(群)を、可溶化又は懸濁するが分解しない溶媒である。ある実施形態において、好ましい溶媒の例には、高沸点溶媒(例えば、約130℃よりも高い、好ましくは約150℃よりも高い、より好ましくは約180℃よりも高い初期沸点を有する溶媒)が含まれる。このような溶媒としては、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、キシレン、オルト−ジクロロベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
IV.表面結合基リンカー選択及びメモリ構成の最適化
ある実施形態において、レドックス活性ポリマーは、リンカーにより、好ましくは電導性リンカーにより、基板に結合され、かつ/又は、1個若しくはそれ以上のリンカーにより(ポリマー中で)相互に結合される。本発明の方法を使用して製造されたメモリデバイスにおいて、低電圧及び小さいセルサイズで、書込み及び/又は消去を高速で達成するために、リンカー(例えば、L1)のスケールを最適化することができる。
【0098】
最適なリンカーのサイズは、理論的に算出可能である(例えば、2003年5月27日出願の米国特許出願第60/473,782号明細書参照)。または、レドックス活性ポリマーを、例えば、本明細書に記載したようにして、表面にカップリングし、そしてボルタンメトリーを実施して結合されたポリマーの電気化学的特性を評価することによっても、リンカーを経験的に簡単に評価することができる。
【0099】
ある実施形態では、レドックス活性ポリマーを、リンカー(L)及び結合基(Z)により表面にカップリングさせる。Zは、リンカー上の保護された又は保護されていない反応性部位又は反応性基であってよい。このような基としては、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルが挙げられるが、これらに限定されない。電極への結合は、反応性部位Z上のプロトン(又は保護基)の損失により達成できる。Z−Lは、電荷貯蔵分子に結合可能である(Z−L−CMS−エチン)か、又は重合のために直接使用できる(Z−L−エチン)。
【0100】
ある好ましい実施形態において、結合基にはアリール基又はアルキル基が含まれる。ある好ましいアリール基の例には、官能基、例えば、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ホルミル、ブロモメチル、ビニル、アリル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、メルカプト、メルカプトメチル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル及びジヒドロキシホスホリルが含まれる。ある一定の好ましいアルキル基の例には、官能基、例えば、ブロモ、ヨード、ヒドロキシル、ホルミル、ビニル、メルカプト、セレニル、S−アセチルチオ、Se−アセチルセレノ、エチニル、2−(トリメチルシリル)エチニル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル及びジヒドロキシホスホリルが含まれる。
【0101】
ある実施形態において、結合基としては、アルコール、チオール、S−アセチルチオール、ブロモメチル、アリル、ヨードアリール、カルボキサルデヒド、エチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、結合基としては、4−(ヒドロキシメチル)フェニル、4−(S−アセチルチオメチル)フェニル、4−(Se−アセチルセレノメチル)フェニル、4−(メルカプトメチル)フェニル、4−(ヒドロセレノメチル)フェニル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ヒドロキシメチル、S−アセチルチオメチル、Se−アセチルセレノメチル、メルカプトメチル、ヒドロセレノメチル、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−[2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチニル]フェニル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、2−ブロモエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの結合基は例示であって、限定ではないことが意味される。
【0102】
適切なリンカー及び結合基(L−Z−)の例には、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;(b)4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;(c)4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル;(d)4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル;(e)4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル;(f)4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;(g)4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;(h)4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル;(i)4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル、4−アミノビフェニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
表面結合基の追加例としては、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル、2−ブロモエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
上記の単座リンカー表面結合基に加えて、多座リンカーを使用することができる(例えば、Nikitin、(2003年)、Chem.Commun.、第282−283頁;Hu及びMattern、(2000年)、J.Org.Chem.、第65巻、第2277−2281頁;Yao及びTour、(1999年)、Org.Chem.、第64巻、第1968−1971頁;Foxら、(1998年)、Langmuir、第14巻、第816−820頁;Galoppini及びGuo、(2001年)、Am.Chem.Soc.、第123巻、第4342−4343頁;Dengら、(2002年)、Org.Chem.、第67巻、第5279−5283頁;Hectoら、(2001年)、Surface Science、第494巻、第1−20頁;Whitesell及びChang、(1993年)、Science、第261巻、第73−76頁;Galoppiniら、(2002年)、J.Am.Chem.Soc.、第67巻、第7801−7811頁;Siimanら、Bioconjugate Chem.、第11巻、第549−556頁参照)。
【0105】
チオール、カルボン酸、アルコール又はホスホン酸単位を有する三脚リンカー(tripodal linkers)が、平面状表面に直立の形状で分子デバイスをしっかり固定するために、特に魅力的である。このようなリンカーの具体例は、トリフェニルメタン単位又はテトラフェニルメタン単位の周りに作られ、1,1,1−トリス[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−トリス[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]メチル}フェニル、1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル}フェニル、1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−トリス[4−(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル}フェニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
他の結合基の適合性は、容易に評価することができる。所望の結合基(群)を有する(直接的又はリンカー上)レドックス活性ポリマーを、本明細書に記載された方法に従って、基板(例えば、水素により不動態化されたシリコン)にカップリングし、次いで、結合の有効性を、電気化学的に、例えば、前記のようなシヌソイドボルタンメトリーを使用して評価することができる。
【0107】
V.基板上への有機分子(群)のパターン形成
ある実施形態において、本発明の方法は、基板の表面全体に均一なフィルムを形成するために結合されたレドックス活性ポリマーを形成するために実施される。他の実施形態においては、レドックス活性ポリマーは、表面上の、1つ又はそれ以上の分離した場所で形成される。ある実施形態においては、異なるレドックス活性分子/ポリマーが、表面上の異なる場所で形成される。
【0108】
レドックス活性ポリマーを形成する場所選定は、多数の手段のうちの何れかにより達成できる。例えば、ある実施形態においては、有機分子(群)を含む溶液を、表面上の特定の場所に選択的に堆積させることができる。ある他の実施形態においては、この溶液を表面上に均一に堆積させ、そして選択的ドメインを加熱することができる。ある実施形態においては、有機分子を全表面にカップリングさせ、次いで一定の領域から選択的にエッチングで除去することができる。
【0109】
表面をレドックス活性分子(群)と選択的に接触させるための最も一般的なアプローチには、レドックス活性ポリマーを不在とすべき表面の領域をマスクして、分子を含有する溶液又は気相を、この領域と接触できないようにする工程が含まれる。該工程は、基板をマスキング材料(例えば、ポリマーレジスト)により被覆し、そしてカップリングさせるべき領域のレジストを選択的にエッチング除去することにより容易に達成される。または、光活性可能レジストを表面に適用し、そして保護すべき領域内を(例えば、UV光により)選択的に活性化することができる。このような「フォトリソグラフ」法は、半導体産業において公知である(例えば、Van Zant、(2000年)、マイクロチップ製造:半導体プロセッシングへの実用的ガイド(Microchip Fabrication:A Practical Guide to Semiconductor Processing);Nishi及びDoering、(2000年)、半導体製造技術ハンドブック(Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology);Xiao、(2000年)、半導体製造技術入門(Introduction to Semiconductor Manufacturing Technology);Campbell、(1996年)、マイクロエレクトロニクス製造の科学と工学(The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication)(Oxford Series in Electrical Engineering),Oxford University Pressなど参照)。更に、表面上にレジストを密着印画することにより、レジストを表面上に簡単にパターン形成させることができる。
【0110】
他のアプローチにおいては、表面を分子と均一に接触させる。次いで、レドックス活性ポリマーを、分子を不在とすべき領域内で表面から選択的にエッチング除去する。エッチング方法は、当業者に公知であり、その例としては、プラズマエッチング、レーザーエッチング、酸エッチングなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
他のアプローチとしては、例えば、カップリングさせるべき領域内に試薬(群)を選択的に堆積するように形成された密着印画ヘッドの使用、特定の領域に試薬を選択的に限定するためのインクジェット装置の使用(例えば、米国特許第6,221,653号明細書参照)、特定の領域に試薬を選択限定配置する貯蔵槽の使用などが挙げられる。
【0112】
ある好ましい実施形態において、前記結合/重合反応は、数回繰り返される。反応(群)が完結した後、カップリングされなかった有機分子を、例えば、標準的な洗浄工程(例えば、ベンゾニトリル洗浄に続く、乾燥塩化メチレン中の超音波処理)を使用して、表面から洗浄除去する。
【0113】
上記の方法は、例示であることが意図される。本明細書に示した教示に鑑みて、他のアプローチが、半導体製造技術分野における当業者に明らかであろう。
【0114】
VI.産業的スケールアップ
本発明の方法は、商業生産稼動における使用に向けて容易にスケールアップされる。このようなスケールアップアプローチの一例を、図5に示す。この図は、気相分子結合用の二帯域炉1を示す。この装置において、分子粉末2は、1つの帯域内に保持され、そしてウェーハ3は、異なる帯域内に保持される。それぞれの帯域は、(例えば、単一のヒーター制御器により、又は、個別のヒーター制御器(例示6及び7において)により独立に調節可能なヒーター4、5により)個々に加熱することができる。それぞれの帯域は、必要な温度に独立に加熱することができる。温度を変化させることにより、分子蒸気圧を制御することができる。このシステムでは、また、ガス入口8を通り、オーブンを通り、ガス出口9の方に供給されるキャリヤガス(例えば、Ar、N2など)の使用が可能であり、このキャリヤガスを、分子蒸気を他の帯域内のウェーハに向けて輸送するために使用することができる。この炉は、また、キャリヤーガスの出口でポンプによりシステムを排気することにより、低圧(大気圧よりも低い)で運転することもできる。この低圧工程により、分子蒸気圧を極めて正確に制御できる。また、これにより、大気圧下での工程に比較して、不純物の量が減少する。
【0115】
図6に示す、他の装置形状は、気相分子結合法の高真空運転に適している。このアプローチにおいて、基板3は、真空炉チャンバー20内に配置される。結合させるべき分子(群)は、エフュージョンセル制御器24により制御されるエフュージョンセル(例えば、スペックス社(Specs)による低温度エフュージョンセルのような、クヌーセンセル(Kセル))22内に保持される。Kセル上のシャッター26を開いたり閉じたりすることにより、基板表面に到達し、そして結合した単分子層28を形成することができる分子の量を制御することができる。
【0116】
これらの方法は、例示であって、限定ではないことが意図される。本明細書の教示を使用して、当業者は、本明細書に記載した分子を加熱し、そして表面と接触させるための多数のアプローチを案出可能である。耐熱性分子又はこのような分子の混合物を加熱及び/又は蒸発するため、並びにこれらを上昇した温度の表面上にパターン形成又は均一に堆積するための装置及び方法は、市販品として入手可能であり、当業者によく知られている。このような方法としては、分子ビームエピタクシー(MBE)(例えば、スペックス・サイエンティフィック・インスツルメンツ社(SPECS Scientific Instruments, Inc.)、フロリダ州から入手可能な装置)、化学蒸着(CVD)(例えば、CVDイクイップメント社(CVD Equipment Corp.)から入手可能な装置)、液相エピタクシー堆積(LPE)(例えば、CVDイクイップメント社、ニューヨーク州ロンコンコマ(Ronkonkoma)から入手可能な装置)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
VII.基板に結合したレドックス活性ポリマーの使用
本発明の方法は、第II族、第III族、第IV族、第V族又は第VI族材料表面に、好ましくは第III族、第IV族若しくは第V族表面及び/又は遷移金属(又は金属酸化物若しくは窒化物)材料の表面に共有結合された、レドックス活性ポリマーを形成するために使用することができる。
【0118】
該結合されたレドックス活性ポリマーは、広範囲の種々のハイブリッドコンポーネント及び/又はデバイス(例えば、電界効果トランジスタ、センサー、記憶素子など)を製作するために使用することができる。ある実施形態において、この方法は、情報がレドックス活性情報記憶分子中に記憶されることを特徴とするハイブリッドメモリデバイスを組み立てるために使用される。
【0119】
「分子メモリ」において、本明細書中に記載された、遷移金属及び/又は第II族、第III族、第IV族、第V族若しくは第VI族材料にカップリングされたレドックス活性分子(1個又はそれ以上の非ゼロレドックス部位(non−zero redox sites)を有する分子)は、ビットを保存するために使用される(例えば、それぞれの酸化還元状態が、ビットを表す)。基板材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)に結合されたレドックス活性分子は、1個又はそれ以上のビットを種々の酸化状態で保存可能な記憶セルを形成する。ある実施形態において、該記憶セルは、1個又はそれ以上のレドックス活性分子を含み、そして異なりかつ区別可能な酸化状態を複数有する「記憶媒体」に電気的にカップリングされている固定電極により特徴付けられる。データは、電気的にカップリングされた電極を介して、1個又はそれ以上の電子を、該記憶媒体に添加すこと又は該記憶媒体から引き出すことにより、(好ましくは非中性)酸化状態中に記憶される。レドックス活性分子(群)の酸化状態は、例えば、米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,208,553号明細書及びPCT公開第WO01/03126号明細書に記載されているような、電気化学的方法(例えば、サイクリックボルタンメトリー)を使用して、設定及び/又は読出しが可能である。
【0120】
遷移金属並びに第II族、第III族、第IV族、第V族及び第VI族材料、特に第IV族材料(例えば、シリコン、ゲルマニウムなど)は、電子チップ製作において一般的に使用されるので、本明細書に示した方法は、現存する処理/製作技術に適合性を有する分子メモリチップの製作に、容易に組み込まれ得る。また、レドックス活性分子を含む記憶セルの構成及び使用の詳細は、米国特許第6,272,038号明細書、米国特許第6,212,093号明細書、米国特許第6,208,553号明細書及びPCT公開第WO01/03126号明細書に記載されている。
【0121】
VIII.コンピュータシステムにおける記憶デバイスの使用
コンピュータシステムにおいて、本発明の方法に従って製作された記憶デバイスが使用され得る。このようなコンピュータシステムの一例を、図7Aに示す。このコンピュータには、信号源(例えば、I/Oデバイス又はCPU)、本発明の記憶デバイス及び記憶デバイスの状態(群)を読み出すための適切な電気回路(例えば、ボルタンメトリー回路)が含まれている。操作において、保存すべきビットを表す電圧を、記憶デバイスの作用電極に印加し、それによりメモリを設定する。検索が(例えば、出力又は更なる処理のために)必要であるとき、記憶デバイスの状態(群)が、I/O回路により読み出され、そしてこの情報は、コンピュータ内の他の要素(例えば、CPU)に転送(pass off)される。
【0122】
図7Bは、標準コンピュータアーキテクチャ又はコンピュータシステム200の中に集積された、本発明のメモリデバイスを示す。システム200のハードウエアには、プロセッサ(CPU)205、メモリ206(分子メモリデバイスを含んでよい)、本発明の分子メモリデバイスを含むパーシステントストレージ(固定記憶域)208並びにローカルバス又はインターフェース210により繋げられた、グラフィックユーザインターフェース(GUI)220用のハードウエアが含まれている。パーシステントメモリ208には、図7Aに示される素子が含まれ得る。システム200には、更に、追加のハードウエアコンポーネント(図示せず)が含まれ得る。
【0123】
システム200は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーションであってよい。プロセッサ205は、例えば、マイクロプロセッサ、例えば、インテル社(Intel Corp.)(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara))により製造された、80386、80486又はPentium(登録商標)マイクロプロセッサであってよい。メモリ206の例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、バーチャルメモリ、分子メモリ(図11)又はプロセッサ205によりアクセス可能な全ての他の作用記憶媒体若しくはメディアが含まれ得る。パーシステントストレージ208の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、光若しくは光磁気ディスク、分子メモリ又は全ての他のパーシステントストレージメディアが含まれ得る。GUI220は、ユーザとシステム200との間のコミュニケーションを容易にする。そのハードウエアには、表示用ディスプレイ221及びセレクタデバイス(マウス、キーボードなど)222が含まれる。表示用ディスプレイ221を通して、システム200は、グラフィック及びテキスチャ出力をユーザに与えることができる。セレクタデバイス222から、システム200は、特定のウインドウ、メニュー及びメニュー項目のユーザの選択を示す入力を受け取ることができる。表示用ディスプレイ221には、例えば、陰極線管(CRT)若しくはフラットパネルディスプレイスクリーン又はヘッド−マウンティッドディスプレイ(head−mounted display)、例えばバーチャルリアリティディスプレイ(virtual reality display)が含まれ得る。セレクタデバイス222の例には、二次元ポインティングデバイス、例えば、マウス、トラックボール、トラックパッド、スタイラス、ジョイスティックなどが含まれる。その代替として、又は追加的に、セレクタデバイス222には、ファンクションキー及びカーソル制御キーを有する文字数字式キーボードのようなキーボードが含まれ得る。
【0124】
システム200のソフトウエアには、オペレーティングシステム250及びアプリケーションプログラム260が含まれる。システム200のソフトウエアには、更に、追加のアプリケーションプログラム(図示せず)が含まれ得る。オペレーティングシステム150は、例えば、IBM PC及びインテル80386、80486又はPentium(登録商標)プロセッサを有する又は模倣するコンパティブルコンピュータのための、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)95オペレーティングシステムであってよい。または、オペレーティングシステムを、分子メモリ素子を使用するオペレーションのために特定化することもできる。アプリケーションプログラム160は、オペレーティングシステム及びシステム200アーキテクチャと適合性のある全てのアプリケーションである。当業者は、広範囲のハードウエア及びソフトウエア形式が、種々の特定の実施形態において本発明のシステム及び方法を支持可能であることを認めるであろう。
【0125】
実施例
下記の実施例は、特許請求の範囲に記載の発明を例示するために記載されるが、この発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0126】
エチニル基を含有するレドックス活性分子のサイクリックボルタンメトリー及び被覆量
要約
2個(又はそれ以上)のエチニル基を有するポルフィリンを、Si(又は他の)表面上に単分子層を形成するために、本発明者らが典型的に使用する条件下で、重合させた。ポルフィリンを、少量の有機溶媒中に溶解させた。次いで、この分子を含有する溶媒の小滴を、シリコン基板の上に堆積させた。この基板を、不活性(アルゴン)雰囲気下で(例えば、200℃〜400℃で)焼成した。該ポルフィリンから、シリコン表面に共有結合したポルフィリンポリマーが生成した。このポリマーは電気化学的に堅固であり、そして同じ分子の単分子層のものに匹敵する(又は、単分子層のものよりも長い)電荷保持時間を示す。
【0127】
図1に、重合について研究した一連の分子を示す。表面被覆量は単分子層により示されるものよりも劇的に高いので、ポリマーは電気化学的に容易に検出できる。特に、Si上のポルフィリン単分子層は約10-10モルcm-2の表面被覆量を超えない。この挙動は、1個のエチニル基を含有する分子第184番により示される。一方、シス−又はトランス−立体配置で2個のエチニル基を含有する分子第192番及び第197番は、50倍以上大きい表面被覆量を示す。他方、3個以上のエチニル基が存在するとき、重合は起こるが、ボルタンメトリー応答は低下する(分子第199番及び第204番)。ボルタンメトリー応答の低下は、表面から成長する分子の拡大した架橋に起因するものと考えられる。本発明者らは、架橋の広がりは、分子設計及び製造手順の詳細の調節により制御できると確信する。
【0128】
遊離エチン(RCCH)の適切なパターンを有するポルフィリンによっては重合がもたらされるが、キャッピングしたエチンを有するものによっては重合がもたらされないことを特記する。この反応性における差異は、分子第217番(遊離エチン;フィルム)と第216番(TIPSキャッピングしたエチン;SAM)との比較、及び分子第219番(遊離エチン;フィルム)と第218番(TMSキャッピングしたエチン;SAM)との比較により証明される。
【0129】
エチニル基を含有するレドックス活性分子のサイクリックボルタンメトリー及び被覆量
[表1]
【0130】
本明細書に記載した実施例及び実施形態は、例示的なものであり、それに照らして種々の修正又は変更が、当業者に示唆され、本件特許出願の精神及び範囲並びに特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中に引用した全ての刊行物、特許及び特許出願は、全ての目的のためにそれらの全部を参照して本明細書に取り込まれる。
【0131】
関連する特許出願に対する相互参照
本件特許出願は、2004年3月11日付の出願の米国特許出願第10/800,147号に対する利益及び優先権を請求する。当該出願の内容は、その全体を援用して本特許明細書の一部となる。
米国政府が支援した研究及び開発下でなされた発明に対する権利に関する記述
本件発明は、陸軍により与えられた援助第MDA972−01−C−072号の下で政府支援によりなされた。アメリカ合衆国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】基板に結合されたレドックス活性ポリマーを形成するための、レドックス活性分子の結合及び重合を説明する図である。
【図2】基板へのレドックス活性分子の重合及び結合の「多段階的」方法を示す図である。
【図3】キャッピング試薬を使用する、基板へのレドックス活性分子の重合及び結合の「他段階的」方法を示す図である。
【図4】エチニル基を含有する幾つかの例示的レドックス活性分子を示す図である。
【図5】気相分子結合用の二帯域炉を示す図である。
【図6】基板への有機分子の結合のためにK−セルを利用するエピタクシーシステムを示す図である。
【図7A】本明細書に記載したメモリデバイスを具体化するコンピュータシステムを例示する図である。典型的に、メモリデバイスは密封された「チップ」として製作されるであろう。チップ上の及び/又はコンピュータ内の補助的電気回路により、メモリの中にビットを書き込むこと及び書き込まれた情報を検索することが、所望の通り可能になる。
【図7B】本明細書に記載したメモリデバイスを具体化するコンピュータシステムを例示する図である。標準コンピュータアーキテクチャ又はコンピュータシステム200の中に集積された、本発明のメモリデバイスを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に結合したレドックス活性ポリマーを形成するための、表面上のレドックス活性ポリマーのパターン形成方法であって、
少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基と、第2反応性部位又は第2反応性基とを有するレドックス活性分子を用意する工程;及び
該表面を該レドックス活性分子と接触させる工程を含み、
ここで、該接触工程が、第1反応性部位又は第1反応性基による表面への該レドックス活性分子の結合、及び、第2反応性部位又は第2反応性基による、該表面に結合した該レドックス活性分子へのレドックス活性分子の結合を生じることにより、該表面に結合したポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個の該レドックス活性分子を含むことを特徴とする該方法。
【請求項2】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが同じ種類である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが異なる種類である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は前記第2反応性部位若しくは第2反応性基が、リンカーにより前記レドックス活性分子に結合されている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1反応性部位又は第1反応性基がエチニル基である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2反応性部位又は第2反応性基がエチニル基である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項5及び6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記レドックス活性分子が、表1に示される分子である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記接触工程に、前記表面を、式:
Y1−L1−Z1
(式中、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、Y1は保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基である)
を有するリンカーと接触させ、前記リンカーを前記表面に結合する工程;及び
結合したリンカーを前記レドックス活性分子と接触させ、前記レドックス活性分子が、前記第1及び/又は前記第2反応性部位又は第2反応性基を介して相互にカップリングし、かつ前記レドックス活性分子が、Y1並びに前記第1及び/又は前記第2反応性部位又は第2反応性基を介してリンカーにカップリングし、リンカーに結合されたポリマーを形成する工程が含まれ、ここで前記ポリマーには少なくとも2個の前記レドックス活性分子が含まれることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項16】
Z1が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択される、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
−L1−Z1−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
Lが、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
対向電極を前記ポリマーに結合させる工程を更に含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記対向電極が、前記ポリマーに直接結合される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記対向電極が、リンカーを介して前記ポリマーに結合される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記レドックス活性分子に、更に、利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有するレドックス活性分子が含まれる、請求項15記載の方法。
【請求項23】
利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有する前記レドックス活性分子が、ブロックされた第2の反応性基又は反応性部位を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記表面に、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、ドープされた第III族元素、ドープされた第IV族元素、ドープされた第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物及び遷移金属窒化物から成る群より選択された材料が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記表面に、シリコン、ゲルマニウム、ドープされたシリコン及びドープされたゲルマニウムから成る群より選択された材料が含まれる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記表面が、水素により不動態化された表面である、請求項24記載の方法。
【請求項27】
表面結合レドックス活性ポリマーを形成するための、表面上のレドックス活性ポリマーのパターン形成方法であって、
反応性部位若しくは基を有するリンカー及び/又は反応性部位若しくは基を有するレドックス活性分子が結合した表面を用意する工程;
少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基と、第2反応性部位又は第2反応性基とを有するレドックス活性分子を用意する工程;及び
該表面を該レドックス活性分子と接触させる工程を含み、
ここで、該接触工程が、該リンカー及び/又は該表面に結合されたレドックス活性分子への該レドックス活性分子の結合、及び、レドックス活性分子の重合を生じることにより、該表面に結合されたポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個の該レドックス活性分子を含むことを特徴とする該方法。
【請求項28】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが同じ種類である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが異なる種類である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は前記第2反応性部位若しくは第2反応性基が、リンカーにより前記レドックス活性分子に結合されている、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記第1反応性部位又は第1反応性基がエチニル基である、請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記第2反応性部位又は第2反応性基がエチニル基である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項31及び32の何れか1項記載の方法。
【請求項34】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項36】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項27記載の方法。
【請求項37】
該レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項27記載の方法。
【請求項38】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項27記載の方法。
【請求項39】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項27記載の方法。
【請求項40】
前記レドックス活性分子が、表1に示される分子である、請求項27記載の方法。
【請求項41】
前記表面を用意する工程に、下記式で表される、リンカーを有する表面を用意する工程が含まれることを特徴とする、請求項27記載の方法。
式: S−Z1−L1−Y1
(式中、Sは表面であり、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、かつ、Y1は保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である。)
【請求項42】
Y1が保護された反応性部位又は反応性基であること、及び、更に、Y1を脱保護する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記表面にカップリングする前のZ1が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基であることを特徴とする、請求項41記載の方法。
【請求項44】
該表面にカップリングする前のZ1−L1−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項41記載の方法。
【請求項45】
L1が、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
対向電極を前記ポリマーに結合させる工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項47】
前記対向電極が、前記ポリマーに直接結合される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記対向電極が、リンカーを介して前記ポリマーに結合される、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記レドックス活性分子に、更に、利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有するレドックス活性分子が含まれる、請求項27記載の方法。
【請求項50】
利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有する前記レドックス活性分子が、ブロックされた第2の反応性基又は反応性部位を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
第1帯域を含む電気活性基板であって、該第1帯域が、下記式で表されるレドックス活性単位を結合した表面を含むことを特徴とする、該基板。
Mn−L−Z−S
(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、かつ、nは、少なくとも3である。)
【請求項52】
前記レドックス活性分子がエチニル基を介して相互に結合されている、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項53】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項52記載の電気活性基板。
【請求項54】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項55】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項56】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項57】
前記レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項58】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項59】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項60】
前記レドックス活性分子が、表1に示される分子を含む、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項61】
前記基板に、下記式で表される、レドックス活性単位を結合した表面が含まれることを特徴とする、請求項51記載の電気活性基板。
S−Z−L−Mn−Y−E
(式中、Yはリンカー又は反応性部位または基であり、Eは対向電極である。)
【請求項62】
前記表面にカップリングする前のZが、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項63】
前記表面にカップリングする前のZ−L−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項64】
Lが、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項65】
更に、第2帯域を含むこと、ここで該第2帯域には、結合されたレドックス活性単位を有する表面が含まれ、該レドックス活性単位はMとは異なることを特徴とする、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項66】
前記第1帯域がレドックス活性記憶セルである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項67】
下記式で表されるレドックス活性単位を結合した表面を含む記憶セル。
E−Y−Mn−L−Z−S
(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、Yは反応性部位又は基又はリンカーであり、Eは対向電極であり、nは、少なくとも3である。)
【請求項68】
前記レドックス活性分子がエチニル基を介して相互に結合されている、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項69】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項68記載の電気活性基板。
【請求項70】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項71】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項72】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項73】
前記レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項74】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項75】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項76】
前記レドックス活性分子が、表11に示される分子を含む、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項77】
前記表面にカップリングする前のZが、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項78】
前記表面にカップリングする前の−L−Z−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項79】
Lが、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項80】
前記対向電極が導電性材料を含む、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項81】
前記対向電極が半導電性材料を含む、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項82】
前記記憶セルがカプセルに封入されている、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項83】
データの記憶方法であって、
i)1個又はそれ以上の請求項67記載の記憶セルを含む装置を用意する工程;及び
ii)前記対向電極に、Mnの酸化状態を固定するために十分な電流で電圧を印加する工程
が含まれる方法。
【請求項84】
前記電圧が約2ボルトまでの範囲である、請求項83記載の方法。
【請求項85】
前記電圧が集積回路の出力である、請求項83記載の方法。
【請求項86】
前記電圧がロジックゲートの出力である、請求項83記載の方法。
【請求項87】
更に、前記Mnの酸化状態を検出し、それにより、その中に記憶されているデータを読み出す工程が含まれる、請求項83記載の方法。
【請求項88】
前記Mnの酸化状態の検出工程に、更に、Mnの酸化状態を回復させる工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項89】
前記検出工程に、時間ドメイン内の読出し信号を解析する工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項90】
前記検出工程に、周波数ドメイン内の読出し信号を解析する工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項91】
前記検出工程に、該読出し信号にフーリエ変換を施す工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項92】
前記検出工程にボルタンメトリー法が利用される、請求項87記載の方法。
【請求項93】
前記検出工程にインピーダンス分光法が利用される、請求項87記載の方法。
【請求項94】
前記検出工程に、前記記憶媒体を電界に曝露して特徴周波数を有する電界振動を作る工程及び該特徴周波数を検出する工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項95】
前記Mnが、少なくとも8個の異なり、かつ区別できる酸化状態を有する、請求項87記載の方法。
【請求項96】
コンピュータシステムにおけるメモリデバイスであって、請求項67記載の記憶セルを含むメモリデバイス。
【請求項97】
中央処理ユニット、ディスプレイ、セレクタデバイス及びメモリデバイスを含むコンピュータシステムであって、該メモリデバイスが請求項67記載の記憶セルを含むことを特徴とする、該コンピュータシステム。
【請求項1】
表面に結合したレドックス活性ポリマーを形成するための、表面上のレドックス活性ポリマーのパターン形成方法であって、
少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基と、第2反応性部位又は第2反応性基とを有するレドックス活性分子を用意する工程;及び
該表面を該レドックス活性分子と接触させる工程を含み、
ここで、該接触工程が、第1反応性部位又は第1反応性基による表面への該レドックス活性分子の結合、及び、第2反応性部位又は第2反応性基による、該表面に結合した該レドックス活性分子へのレドックス活性分子の結合を生じることにより、該表面に結合したポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個の該レドックス活性分子を含むことを特徴とする該方法。
【請求項2】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが同じ種類である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが異なる種類である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は前記第2反応性部位若しくは第2反応性基が、リンカーにより前記レドックス活性分子に結合されている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1反応性部位又は第1反応性基がエチニル基である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2反応性部位又は第2反応性基がエチニル基である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項5及び6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記レドックス活性分子が、表1に示される分子である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記接触工程に、前記表面を、式:
Y1−L1−Z1
(式中、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、Y1は保護されている又は保護されていない反応性部位又は反応性基である)
を有するリンカーと接触させ、前記リンカーを前記表面に結合する工程;及び
結合したリンカーを前記レドックス活性分子と接触させ、前記レドックス活性分子が、前記第1及び/又は前記第2反応性部位又は第2反応性基を介して相互にカップリングし、かつ前記レドックス活性分子が、Y1並びに前記第1及び/又は前記第2反応性部位又は第2反応性基を介してリンカーにカップリングし、リンカーに結合されたポリマーを形成する工程が含まれ、ここで前記ポリマーには少なくとも2個の前記レドックス活性分子が含まれることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項16】
Z1が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択される、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
−L1−Z1−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
Lが、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
対向電極を前記ポリマーに結合させる工程を更に含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記対向電極が、前記ポリマーに直接結合される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記対向電極が、リンカーを介して前記ポリマーに結合される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記レドックス活性分子に、更に、利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有するレドックス活性分子が含まれる、請求項15記載の方法。
【請求項23】
利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有する前記レドックス活性分子が、ブロックされた第2の反応性基又は反応性部位を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記表面に、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、ドープされた第III族元素、ドープされた第IV族元素、ドープされた第V族元素、遷移金属、遷移金属酸化物及び遷移金属窒化物から成る群より選択された材料が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記表面に、シリコン、ゲルマニウム、ドープされたシリコン及びドープされたゲルマニウムから成る群より選択された材料が含まれる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記表面が、水素により不動態化された表面である、請求項24記載の方法。
【請求項27】
表面結合レドックス活性ポリマーを形成するための、表面上のレドックス活性ポリマーのパターン形成方法であって、
反応性部位若しくは基を有するリンカー及び/又は反応性部位若しくは基を有するレドックス活性分子が結合した表面を用意する工程;
少なくとも第1反応性部位又は第1反応性基と、第2反応性部位又は第2反応性基とを有するレドックス活性分子を用意する工程;及び
該表面を該レドックス活性分子と接触させる工程を含み、
ここで、該接触工程が、該リンカー及び/又は該表面に結合されたレドックス活性分子への該レドックス活性分子の結合、及び、レドックス活性分子の重合を生じることにより、該表面に結合されたポリマーを形成する条件下で行われ、該ポリマーが、少なくとも2個の該レドックス活性分子を含むことを特徴とする該方法。
【請求項28】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが同じ種類である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第1反応性部位又は第1反応性基と前記第2反応性部位又は第2反応性基とが異なる種類である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記第1反応性部位若しくは第1反応性基及び/又は前記第2反応性部位若しくは第2反応性基が、リンカーにより前記レドックス活性分子に結合されている、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記第1反応性部位又は第1反応性基がエチニル基である、請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記第2反応性部位又は第2反応性基がエチニル基である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項31及び32の何れか1項記載の方法。
【請求項34】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項36】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項27記載の方法。
【請求項37】
該レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項27記載の方法。
【請求項38】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項27記載の方法。
【請求項39】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項27記載の方法。
【請求項40】
前記レドックス活性分子が、表1に示される分子である、請求項27記載の方法。
【請求項41】
前記表面を用意する工程に、下記式で表される、リンカーを有する表面を用意する工程が含まれることを特徴とする、請求項27記載の方法。
式: S−Z1−L1−Y1
(式中、Sは表面であり、Z1は表面結合基であり、L1は共有結合又はリンカーであり、かつ、Y1は保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である。)
【請求項42】
Y1が保護された反応性部位又は反応性基であること、及び、更に、Y1を脱保護する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記表面にカップリングする前のZ1が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基であることを特徴とする、請求項41記載の方法。
【請求項44】
該表面にカップリングする前のZ1−L1−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項41記載の方法。
【請求項45】
L1が、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
対向電極を前記ポリマーに結合させる工程を更に含む、請求項27記載の方法。
【請求項47】
前記対向電極が、前記ポリマーに直接結合される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記対向電極が、リンカーを介して前記ポリマーに結合される、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記レドックス活性分子に、更に、利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有するレドックス活性分子が含まれる、請求項27記載の方法。
【請求項50】
利用可能な反応性基又は反応性部位を1個のみ有する前記レドックス活性分子が、ブロックされた第2の反応性基又は反応性部位を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
第1帯域を含む電気活性基板であって、該第1帯域が、下記式で表されるレドックス活性単位を結合した表面を含むことを特徴とする、該基板。
Mn−L−Z−S
(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、かつ、nは、少なくとも3である。)
【請求項52】
前記レドックス活性分子がエチニル基を介して相互に結合されている、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項53】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項52記載の電気活性基板。
【請求項54】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項55】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項56】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項57】
前記レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項58】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項59】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項60】
前記レドックス活性分子が、表1に示される分子を含む、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項61】
前記基板に、下記式で表される、レドックス活性単位を結合した表面が含まれることを特徴とする、請求項51記載の電気活性基板。
S−Z−L−Mn−Y−E
(式中、Yはリンカー又は反応性部位または基であり、Eは対向電極である。)
【請求項62】
前記表面にカップリングする前のZが、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項63】
前記表面にカップリングする前のZ−L−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項64】
Lが、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項65】
更に、第2帯域を含むこと、ここで該第2帯域には、結合されたレドックス活性単位を有する表面が含まれ、該レドックス活性単位はMとは異なることを特徴とする、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項66】
前記第1帯域がレドックス活性記憶セルである、請求項51記載の電気活性基板。
【請求項67】
下記式で表されるレドックス活性単位を結合した表面を含む記憶セル。
E−Y−Mn−L−Z−S
(式中、Sは基板であり、Zは表面結合基であり、Lはリンカー又は共有結合であり、Mはレドックス活性分子であり、Yは反応性部位又は基又はリンカーであり、Eは対向電極であり、nは、少なくとも3である。)
【請求項68】
前記レドックス活性分子がエチニル基を介して相互に結合されている、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項69】
前記エチニル基が、エチニル、4−エチニルフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルビフェニル、3−エチニルフェニル、4−エチニルテルフェニル及び3−エチニルテルフェニルから成る群より選択されたエチニル基である、請求項68記載の電気活性基板。
【請求項70】
前記レドックス活性分子が、ポルフィリン系マクロ環、ポルフィリン、ポルフィリン系マクロ環のサンドイッチ配位化合物及びメタロセンから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項71】
前記レドックス活性分子が、線状ポリエン、環状ポリエン、ヘテロ原子置換線状ポリエン、ヘテロ原子置換環状ポリエン、テトラチアフルバレン、テトラセレナフルバレン、金属配位錯体、バッキーボール、トリアリールアミン、1,4−フェニレンジアミン、キサンテン、フラビン、フェナジン、フェノチアジン、アクリジン、キノリン、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、テトラチオテトラセン及びペリブリッジナフタレンジカルコゲニドから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項72】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項73】
前記レドックス活性分子が、4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ペンチル及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むポルフィリンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項74】
前記レドックス活性分子が、アリール、フェニル、シクロアルキル、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、パーフルオロアルキル、パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、チオシアナート、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシル、スルホキシル、スルホニル、アミド及びカルバモイルから成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項75】
前記レドックス活性分子が、メチル、t−ブチル、ブトキシ、フルオロ及びH(置換基なし)から成る群より選択された置換基を含むフタロシアニンである、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項76】
前記レドックス活性分子が、表11に示される分子を含む、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項77】
前記表面にカップリングする前のZが、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホン酸、ホスホノチオアート、アミン、ニトリル、4−ホルミルフェニル、4−(ブロモメチル)フェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル、ブロモ、ヨード、ホルミル、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル、4−(エチニル)ビフェン−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェン−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル及び2−ブロモエチルから成る群より選択された、保護されているか又は保護されていない反応性部位又は反応性基である、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項78】
前記表面にカップリングする前の−L−Z−が、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル、4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル、4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル、4−シアノビフェニル、4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル及び4−アミノビフェニルから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項79】
Lが、共有結合、1,4−フェニレン、4,4’−ジフェニルエチン、4,4’−ジフェニルブタジイン、4,4’−ビフェニル、4,4’−スチルベン、1,4−ビシクロオクタン、4,4’−アゾベンゼン、4,4’−ベンジリデンアニリン及び4,4″−テルフェニルから成る群より選択される、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項80】
前記対向電極が導電性材料を含む、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項81】
前記対向電極が半導電性材料を含む、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項82】
前記記憶セルがカプセルに封入されている、請求項67記載のレドックス活性記憶セル。
【請求項83】
データの記憶方法であって、
i)1個又はそれ以上の請求項67記載の記憶セルを含む装置を用意する工程;及び
ii)前記対向電極に、Mnの酸化状態を固定するために十分な電流で電圧を印加する工程
が含まれる方法。
【請求項84】
前記電圧が約2ボルトまでの範囲である、請求項83記載の方法。
【請求項85】
前記電圧が集積回路の出力である、請求項83記載の方法。
【請求項86】
前記電圧がロジックゲートの出力である、請求項83記載の方法。
【請求項87】
更に、前記Mnの酸化状態を検出し、それにより、その中に記憶されているデータを読み出す工程が含まれる、請求項83記載の方法。
【請求項88】
前記Mnの酸化状態の検出工程に、更に、Mnの酸化状態を回復させる工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項89】
前記検出工程に、時間ドメイン内の読出し信号を解析する工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項90】
前記検出工程に、周波数ドメイン内の読出し信号を解析する工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項91】
前記検出工程に、該読出し信号にフーリエ変換を施す工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項92】
前記検出工程にボルタンメトリー法が利用される、請求項87記載の方法。
【請求項93】
前記検出工程にインピーダンス分光法が利用される、請求項87記載の方法。
【請求項94】
前記検出工程に、前記記憶媒体を電界に曝露して特徴周波数を有する電界振動を作る工程及び該特徴周波数を検出する工程が含まれる、請求項87記載の方法。
【請求項95】
前記Mnが、少なくとも8個の異なり、かつ区別できる酸化状態を有する、請求項87記載の方法。
【請求項96】
コンピュータシステムにおけるメモリデバイスであって、請求項67記載の記憶セルを含むメモリデバイス。
【請求項97】
中央処理ユニット、ディスプレイ、セレクタデバイス及びメモリデバイスを含むコンピュータシステムであって、該メモリデバイスが請求項67記載の記憶セルを含むことを特徴とする、該コンピュータシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4】
【図4】
【図4】
【図4】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4】
【図4】
【図4】
【図4】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2007−528614(P2007−528614A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502934(P2007−502934)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007639
【国際公開番号】WO2005/086826
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(500027932)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (39)
【出願人】(504418958)ザ ノースカロライナ ステイト ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007639
【国際公開番号】WO2005/086826
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(500027932)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (39)
【出願人】(504418958)ザ ノースカロライナ ステイト ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】
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