説明

表面保護フィルム

【課題】粘着特性、透明性、巻き戻し性および耐熱性に優れた表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、基材層(B)が炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−1)10〜98重量%および、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−1)1〜45重量%、ショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−1)1〜45重量%からなる組成物から形成されること特徴とする表面保護フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学製品、建材、自動車部品等に使用される表面保護フィルムに関する。詳しくは、粘着特性、透明性、耐熱性に優れ、被着体等への汚染が少なく、フィルム表面の帯電防止性に優れ、さらにロール状から繰出す際の繰出し性が容易である表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムは、主として建材用や光学用途用の樹脂製品、金属製品、ガラス製品等の被着体に貼付して使用し、これらの輸送、保管や加工時の傷付きまたは異物混入を防ぐ役割を果たしている。これらの表面保護フィルムは、一般には粘着性の無い表面層と、前記被着体と粘着させるための粘着層とからなる。表面層は通常、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体から形成される。
【0003】
近年、液晶画面、プラズマディスプレイ(PDP)やリアプロジェクション画面等に用いる部材、いわゆる光学製品の開発が進んでいる。これら光学製品を保護するための表面保護フィルムに対し、傷付きや異物混入のみならず、表面保護フィルムを貼付した状態で製品検査ができる様な透明性や、高温状態で貼付しても適度な粘着力が発現する等の特性が所望されている。
【0004】
一方、表面保護フィルムを建材や自動車部品用途に使用した場合、表面保護フィルムを貼付した状態で熱成形される場合があり、高い耐熱性が要求されている。
また、比較的粘着力の高い表面保護フィルムでは、ロール状の製品から繰出すことが困難なため、粘着層に離型フィルムを貼り合わせた状態でロール状とし、被着体への貼付の際にこの離型フィルムを剥がして使用している。このような工程を採用すると、大量の廃棄物が発生することから、離型フィルムが無くても容易にロールから繰出すことのできる表面保護フィルムが求められている。
【0005】
特開2006−116769号公報には、ポリエチレン成分を主体とした表面保護フィルムが開示されている。しかしながら、同公報による方法では、一部用途部材に対しては適用可能であるが、粘着力が低く、また透明性も不充分で、被着体の用途には限りがあった。
さらに、表面保護フィルムに求められる特性として、輸送時または保管時に埃等の異物付着を防止する機能や、フィルム剥離時の帯電により被着体が損傷するのを防ぐ目的で、帯電防止性が要求されている。
【0006】
特開2007−131735号公報には、アイオノマー樹脂主体とした組成物を用いることにより帯電防止性を有するフィルムが得られることが開示されている。しかしながら、同公報による方法では、表面保護フィルムとした際の透明性およびロールからの繰出し性が不充分であった。
【特許文献1】特開2006−116769号公報
【特許文献2】特開2007−131735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光学製品、建材製品や自動車部品の保管、輸送、加工、検査時に保護するための表面保護フィルムとして要求される特性、特には、粘着特性、透明性、耐熱性、帯電防止性およびロールからの繰出し性に優れた表面保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、ある特定の樹脂組成物からなる基材層、または該基材層と特定の表面層を有する表面保護フィルムにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち 本発明は、
1.基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、基材層(B)が、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−1)10〜98重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−1)1〜45重量%、およびショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−1)1〜45重量%からなる組成物から形成されること特徴とする表面保護フィルム、
2.表面層(A)、基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも3層からなる表面保護フィルムであり、表面層(A)が、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−2)10〜100重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−2)0〜45重量%、およびショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−2)0〜45重量%からなる組成物から形成されること特徴とする1項記載の表面保護フィルム、
3.粘着層(X)が、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーから形成されることを特徴とする1または2項に記載の表面保護フィルム、
4.基材層(B)に使用される炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−1)が、4−メチルペンテン−1系(共)重合体であることを特徴とする1〜3項のいずれかに記載の表面保護フィルム、
5.基材層(B)に使用される熱可塑性樹脂(c−1)が、分子鎖中にポリエチレン連鎖を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の表面保護フィルム、
6.表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層をT−ダイから押出成形して得られる多層フィルムである前項1〜5のいずれかに記載の表面保護フィルム、
7.50μm厚みで測定したヘイズが20%以下であることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の表面保護フィルム、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表面保護フィルムは、粘着特性、透明性、巻き戻し力および耐熱性に優れ、光学用途、建材用途、自動車部品用途等に保護フィルムとして優れた効果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明について詳細に説明する。
本発明は、基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも2層、または表面層(A)、基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも3層からなる表面保護フィルムである。
【0011】
基材層(B)は、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするオレフィン(共)重合体(a−1)、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−1)およびショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−1)からなる組成物から形成される。
【0012】
炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするオレフィン(共)重合体(a−1)としては、炭素数4以上のα−オレフィンを50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%含有する。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられるが、好ましくは4−メチルペンテン−1である。
好ましいオレフィン(共)重合体(a−1)としては、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1と炭素数6〜20のα−オレフィンを挙げることができる。炭素数6〜20α−オレフィンとしては、例えば1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどである。
【0013】
オレフィン(共)重合体(a−1)は、融点が150〜300℃、好ましくは180〜280℃、より好ましくは200〜250℃の範囲にある。融点がこのような好ましい範囲にあると、成形性が良好で、耐熱性に優れた表面保護フィルムが得られる。
また、オレフィン(共)重合体(a−1)は、230℃で測定したMFRが、0.1〜500g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分、より好ましくは1〜100g/10分の範囲にある。
【0014】
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−1)は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一部または全部をアルカリ金属で中和することで得られる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。なお、本発明で使用されるアイオノマー中には、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチルのような不飽和カルボン酸エステルが一部共重合されていてもよい。
アイオノマー中に含むアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどを挙げることができる。
【0015】
ショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−1)は、ショアーA硬度が80以下、好ましくは30〜75、より好ましくは40〜72の範囲にある。具体的には、芳香族ビニルモノマーと共役ジエンとの共重合体から誘導されるポリマーや、共役ジエンの重合体またはエチレンと共役ジエンとの共重合体から誘導されるポリマーで、分子内中にハードセグメントとソフトセグメントを有する、いわゆる熱可塑性エラストマーを挙げることができる。例えばポリスチレン・ポリエチレンブチレン・ポリスチレンブロックポリマー(SEBS)、ポリスチレン・ポリイソプレン・ポリスチレンブロックポリマー(SIS)、ポリスチレンブタジエンポリマーの水素化物(HSBR)、ポリスチレン・ポリエチレンブチレン・ポリエチレンブロックポリマー(SEBC)、ポリエチレン・ポリエチレンブチレン・ポリエチレンブロックポリマー(CEBC)などを挙げることができる。
好ましくは、分子鎖中にポリエチレン結晶を有するポリスチレン・ポリエチレンブチレン・ポリエチレンブロックポリマー(SEBC)、ポリエチレン・ポリエチレンブチレン・ポリエチレンブロックポリマー(CEBC)である。
【0016】
本発明の表面保護フィルムの基材層は、上記のα−オレフィン(共)重合体(a−1)、アイオノマー樹脂(b−1)および熱可塑性樹脂(c−1)からなる組成物から形成される。
基材層(B)中のα−オレフィン(共)重合体(a−1)の含有量としては、10〜98重量%、好ましくは20〜98重量%、より好ましくは40〜95重量%、アイオノマー樹脂(b−1)の含有量としては、1〜45重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、熱可塑性樹脂(c−1)としては、1〜45重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%である。
【0017】
該組成物中には、本発明の表面保護フィルムとしての特性を損なわない範囲で、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤、耐候剤、結晶核剤などの各種添加剤や、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エラストマー等の樹脂改質剤を添加することも可能である。
【0018】
前記α―オレフィン(共)重合体(a−1)、アイオノマー樹脂(b−1)および熱可塑性樹脂(c−1)、さらに必要に応じて添加剤や改質剤は、例えば、単軸または二軸押出機やフィーダールーダー等により混錬した上で、さらにフィルム状に加工しても良いが、押出機を兼ね備えたT−ダイ成形機に直接投入し、本発明の表面保護フィルムの基材層とすることもできる。
【0019】
本発明においては、前記基材層(B)に隣接して表面層(A)を設け、後述の粘着層(X)と併せて、例えば、表面層(A)/基材層(B)/粘着層(X)のような順番で積層された少なくとも3層からなる表面保護フィルムとすることができる。
【0020】
表面層(A)は、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−2)10〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−2)0〜45重量%、好ましくは0〜35重量%、より好ましくは0〜25重量%、および、ショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−2)0〜45重量%、好ましくは0〜35重量%、より好ましくは0〜25重量%からなる組成物から形成される。
【0021】
前記α−オレフィン(共)重合体(a−2)、アイオノマー樹脂(b−2)、および熱可塑性樹脂(c−2)としては、それぞれ前述の基材層を形成する組成物における、α−オレフィン(共)重合体(a−1)、アイオノマー樹脂(b−1)、および熱可塑性樹脂(c−1)と同様な重合体を挙げることができる。すなわち、基材層(B)と表面層(A)における、(a−1)と(a−2)、(b−1)と(b−2)、(c−1)と(c−2)は互いに同一であっても異なっていてもよい。
しかし、本発明においては、表面層(A)を基材層(B)とは異なる組成の組成物を用いて設けることで、透明性およびロールからの繰出し性が向上し、好ましい。
【0022】
本発明の表面保護フィルムにおいて、粘着層(X)としては、表面保護フィルムの粘着層として使用されている公知の粘着剤であれば使用することが可能であるが、フィッシュアイの発生による被着体損傷や、粘着剤の被着体への移行、いわゆる糊残りの観点から、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーであることが好ましい。
【0023】
オレフィン系エラストマーとしては、融点が110℃以下、好ましくは融点が100℃以下、さらに好ましくは融点が80℃以下または融点が観測されない炭素数2〜20のα−オレフィン重合体または共重合体、ないしはエチレンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体である。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1・1−ブテン共重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。粘着力の経時安定性の点から、好ましくは、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体である。さらに好ましくはプロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体である。
【0024】
スチレン系エラストマーとしては、ポリスチレン相をハードセグメントとして有する公知のスチレン系エラストマーが使用できる。具体的には、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SEBS)、およびこれらの水素化物、スチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)を挙げることができる。
【0025】
上記オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーを、単独または各々異なる組成の成分をブレンド使用することで、本発明の表面保護フィルムにおける粘着層(X)を形成することができる。また、本発明においては、粘着力の制御を目的として、さらには本発明の特性を損なわない範囲で、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂改質剤や、帯電防止剤、結晶核剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0026】
上記オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマー、および必要に応じて樹脂改質剤または添加剤を含む粘着層(X)は、前記表面層(A)を積層することもある基材層(B)と積層することにより、本発明の表面保護フィルムとすることができる。
【0027】
基材層(B)と粘着層(X)、また、さらに表面層(A)を積層する方法については特に制限は無いが、あらかじめT−ダイ成形またはインフレーション成形にて得られた表面層フィルム上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により積層する方法や、基材層および粘着層を独立してフィルムとした後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、表面層、基材層、粘着層の各成分を多層の押出機に供して成形する共押出成形が好ましい。
【0028】
本発明においては、さらに必要により、基材層(B)と粘着層(X)との間に少なくとも1層の中間層を設けることも可能である。フィルムの機械強度や透明性制御を目的として、また、表面層(A)および粘着層(X)との接着力が不足する場合には、中間層としてポリオレフィン樹脂や接着性樹脂ないしは接着剤を使用しても良い。
中間層としては特に制限はないが、一般には、融点が100℃以上のポリプロピレンやポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィンや、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン系エラストマーなどが使用できる。中間層を接着層として使用する場合には、変性ポリオレフィンや、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマーなどが用いられる。これらの中で、生産性および透明性の点から、ポリプロピレンやポリオレフィンエラストマーを中間層として使用するのが好ましい。
【0029】
本発明の表面保護フィルムは、基材層(B)の厚みが、0.1〜300μm、好ましくは0.5〜200μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1〜15μmである。また、粘着層(X)の厚みが、0.1〜50μm、好ましくは0.3〜40μm、より好ましくは0.5〜30μmである。
本発明の表面保護フィルムの厚みは、少なくとも0.2μm以上であり、通常1〜300μm、好ましくは2〜200μm、より好ましくは3〜100μmである。
【0030】
上記好ましい形態の基材層(B)、粘着層(X)および必要に応じて表面層(A)や中間層を使用することで、透明性に優れた表面保護フィルムが得られ、特には光学用途に対して好適に利用できる。
本発明の表面保護フィルムの好ましい透明性としては、50μmの厚みで測定したヘイズが20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下となる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明を実施例により詳細説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0032】
[評価法]
粘着力:
アクリル板を幅50mm、長さ125mmに切断し、この試験板に加圧式ロールラミネーターを用いて貼り付ける。次いで、300mm/分の速度で剥離(180度剥離)した時の剥離力を測定し、25mm幅あたりの剥離力を粘着力(N/25mm)とする。
【0033】
巻き戻し力:
ロール状サンプルを用い、300mm/分の速度でロールから引き剥がす時の剥離力(N/25mm)を測定し、巻き戻し力とする。
ヘイズ:JIS K7105に準拠し、厚み50μmのフィルムにて測定した。
【0034】
帯電減衰時間[秒]:
lectro−Tech Systems、Inc.製 Model 406D StAtic DecAy Meter
印加電圧=5000V(+側、−側の電荷による評価)
減衰率;10%、1%減衰(5000V→500V、50V)
測定雰囲気;23℃×50%RH、および23℃×30%RH
試料を測定雰囲気下で24時間以上保管してからフィルムの内面について測定を行った。
【0035】
実施例1
表面層および粘着層用に30mmφの単軸押出機および基材層用に40mmφ単軸押出機を兼ね備えダイ幅500mmの3種3層T−ダイ成形機に以下の樹脂組成物を供給し、表面層厚みを10μm、粘着層厚み10μm、基材層厚み30μm、トータル厚み50μmの表面保護フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表−1に示す。
表面層:
ポリ4−メチルペンテン−1(商品名:TPX、銘柄名:RT18、融点=240℃、MFR260=26g/10分、三井化学社製)100重量%。
基材層:
ポリ4−メチルペンテン−1(商品名:TPX、銘柄名:MX002、融点=235℃、MFR260=22g/10分、三井化学社製)60重量%、アイオノマー樹脂(商品名:エンティラ、銘柄名:MK400、MFR190=1g/10分、三井・デュポンポリケミカル社製)20重量%、およびCEBC;ポリエチレン・ポリエチレンブチレン・ポリエチレンブロックポリマー(商品名:ダイナロン、銘柄名:6200P、MFR230=2.5g/10分、ショアーA硬度66、JSR社製)20重量%。
粘着層:
PEBR;プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(エチレン含量13モル%、ブテン含量19モル%、融点は観測されない、MFR230=7g/10分)45重量%、SIBS;スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマー(商品名:シブスター、銘柄名:062T、MFR230=8.0g/10分、カネカ社製)35重量%、SEBS;スチレン−ブタジエン共重合体水素添加物(商品名:タフテック、銘柄名:H1221、MFR230=4.5g/10分、旭化成社製)10重量%、およびh−PP;ホモポリプロピレン(銘柄名:F107BV、融点=160℃、MFR230=7g/10分、プライムポリマー社製)10重量%。
【0036】
実施例2、比較例1、2、3
各種層の樹脂組成を表1記載の樹脂組成とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表−1に示す。
【0037】
【表1】

注)表中の不可は、電荷のチャージ不足のため、測定不可能であることを示す。
【0038】
TPX−1:
ポリ4−メチルペンテン−1(商品名:TPX、銘柄名:RT18、融点=240℃、MFR260=26g/10分、三井化学社製)。
TPX−2:
ポリ4−メチルペンテン−1(商品名:TPX、銘柄名:MX002、融点=235℃、MFR260=22g/10分、三井化学社製)。
アイオノマー樹脂:
アニオン性特殊樹脂(商品名:エンティラ、銘柄名:MK400、MFR190=1g/10分、三井・デュポンポリケミカル社製)。
CEBC:
ポリエチレン・ポリエチレンブチレン・ポリエチレンブロックポリマー(商品名:ダイナロン、銘柄名:6200P、MFR230=2.5g/10分、ショアーA硬度66、JSR社製)。
r−PP:
ランダムポリプロピレン(銘柄名F327、ショアーA硬度90以上、プライムポリマー社製)。
PEBR:
プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(エチレン含量13モル%、ブテン含量19モル%、融点は観測されない、MFR230=7g/10分)。
SEBS:
スチレン−ブタジエン共重合体水素添加物(商品名:タフテック、銘柄名:H1221、MFR230=4.5g/10分、旭化成社製)。
SIBS:
スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマー(商品名:シブスター、銘柄名:062T、MFR230=8.0g/10分、カネカ社製)。
h−PP:
ホモポリプロピレン(銘柄名:F107BV、融点=160℃、MFR230=7g/10分、プライムポリプロ社製)。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の表面保護フィルムは、粘着特性、透明性、巻き戻し力および耐熱性に優れ、光学用途、建材用途、自動車部品用途との保護フィルムとして産業上の利用価値は極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、基材層(B)が、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−1)10〜98重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−1)1〜45重量%、およびショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−1)1〜45重量%からなる組成物から形成されること特徴とする表面保護フィルム。
【請求項2】
表面層(A)、基材層(B)および粘着層(X)の少なくとも3層からなる表面保護フィルムであり、表面層(A)が、炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−2)10〜100重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体から誘導されるアイオノマー樹脂(b−2)0〜45重量%、およびショアーA硬度が80以下の熱可塑性樹脂(c−2)0〜45重量%からなる組成物から形成されること特徴とする請求項1記載の表面保護フィルム。
【請求項3】
粘着層(X)が、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーから形成されることを特徴とする請求項1または2記載の表面保護フィルム。
【請求項4】
基材層(B)に使用される炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体(a−1)が、4−メチルペンテン−1系(共)重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面保護フィルム。
【請求項5】
基材層(B)に使用される熱可塑性樹脂(c−1)が、分子鎖中にポリエチレン連鎖を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面保護フィルム。
【請求項6】
表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層をT−ダイから押出成形して得られる多層フィルムである請求項1〜5のいずれかに記載の表面保護フィルム。
【請求項7】
50μm厚みで測定したヘイズが、20%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2009−262423(P2009−262423A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115168(P2008−115168)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】