説明

表面処理剤組成物、表面処理方法、表面処理基材、共重合体及びその製造方法

【課題】基材表面に高い親水性を付与することができ、得られる親水化表面が優れた耐水性を示す表面処理剤組成物を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩モノマーから導かれる構成単位及びグリシジル(メタ)アクリレートモノマーから導かれる構成単位を含む共重合体と、加水分解性シリル基及び、共重合体中のエポキシ基と反応して共有結合を形成しうるアミノ基をそれぞれ1つ以上含むアミノシラン化合物と、溶媒とを含む表面処理剤組成物により、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理剤組成物、その表面処理剤組成物を用いた表面処理方法、表面処理基材、表面処理剤組成物に利用可能な共重合体及び共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス、金属等の基材表面に親水性を付与する処理を施し、防汚性、汚染の自己洗浄性、防曇性、水等の速乾性、帯電防止性等を向上させる試みが広くなされている。
【0003】
基材に親水性を付与する方法として、加水分解性シリル基を含む構成単位及び/又はポリマー末端の加水分解性シリル基と、親水性基を含む構成単位とを有する親水性ポリマーを含んだ組成物を基材にコーティングする方法が提案されている。
例えば、特許文献1〜3では、加水分解性シリル基を含む構成単位及び親水性基を含む構成単位を有する親水性ポリマーを含んだ、基材表面の親水化処理用組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−222998号公報
【特許文献2】特開2010−47739号公報
【特許文献3】特開2010−90373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討によると、加水分解性シリル基を含む構成単位及び親水性基を含む構成単位を有するポリマーと、溶媒とを含む組成物で基材表面をコーティングすることで、基材表面が親水化されても、基材表面の親水化が長時間持続しない場合があった。すなわち、基材表面の耐久性、とりわけ耐水性に改善の余地があった。特に水中に長時間浸漬された場合でも、基材表面で親水性が維持されるような優れた耐水性を持つ基材を得ることは困難であった。
【0006】
この実状に鑑み、本発明の課題は、基材表面に高い親水性を付与するとともに、長時間水中に浸漬されても付与された親水性が維持される優れた耐水性を付与する基材の表面処理剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意検討した結果、親水性基として特定のアミノ基を含む構成単位とエポキシ基を含む構成単位とを有する共重合体と、アミノシラン化合物と、溶媒とを含む表面処理剤組成物を用いれば、耐水性に優れた親水性コーティング層を基材に付与できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
従って、本発明は、耐水性に優れた基材表面の親水化処理を行うことができる表面処理剤組成物、その表面処理剤組成物を用いた表面処理方法、表面処理基材、表面処理剤組成物に利用可能な共重合体及び共重合体の製造方法を提供するものであり、以下の[1]〜[11]のいずれかに関するものである。
【0009】
[1].構成単位として下記一般式(I)
【化1】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、下記一般式(II)
【化2】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体(i)、
加水分解性シリル基と前記共重合体(i)中のエポキシ基と反応しうるアミノ基をそれぞれ1つ以上含むアミノシラン化合物(ii)、並びに
溶媒(iii)を含む表面処理剤組成物。
[2].前記アミノシラン化合物(ii)が下記一般式(III)
【化3】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)で表されるアミノアルコキシシラン(iia)である[1]に記載の表面処理剤組成物。
[3].前記共重合体(i)中のエポキシ基と前記アミノシラン化合物(ii)中のアミノ基を反応させて共有結合を形成させた[1]又は[2]に記載の表面処理剤組成物。
[4].構成単位として下記一般式(I)
【化4】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、下記一般式(IV)
【化5】


(ただし、qは1〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、Zは−NH−、−NH−A−NH−又は−NH(A−NH)−を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表される構成単位(4)を少なくとも1種、含む共重合体。
[5].構成単位としてさらに下記一般式(II)
【化6】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む[4]に記載の共重合体。
[6].[4]又は[5]に記載の共重合体と溶媒(iii)とを含む表面処理剤組成物。
[7].前記表面処理が基材表面へ親水性を付与する処理である[3]又は[6]に記載の表面処理剤組成物。
[8].基材上に[3]、[6]又は[7]に記載の表面処理剤組成物を塗布したのち、乾燥させて基材表面にコーティング層を形成させる基材の表面処理方法。
[9].[4]又は[5]に記載の共重合体を含むコーティング層が付与された表面処理基材。
[10].ラジカル重合開始剤の存在下、溶媒中で、下記一般式(V)
【化7】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)
で表される(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)少なくとも1種と、
下記一般式(VI)
【化8】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表されるグリシジル(メタ)アクリレート(2’)少なくとも1種とを共重合反応させる工程(ア)、及び、
前記工程(ア)の重合前、重合中又は重合後の反応液と、下記一般式(III)
【化9】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表されるアミノアルコキシシラン(iia)とを混合し、前記グリシジル(メタ)アクリレート(2’)及び/又は前記工程(ア)で得られた共重合体中のエポキシ基と前記アミノアルコキシシラン(iia)中のアミノ基とを反応させて共有結合を形成させる工程(イ)、
を有することを特徴とする[4]又は[5]に記載の共重合体の製造方法。
[11].構成単位として下記一般式(I)
【化10】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)
で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、
下記一般式(II)
【化11】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体(i)、と
下記一般式(III)
【化12】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表されるアミノアルコキシシラン(iia)とを混合し、前記共重合体(i)中のエポキシ基と前記アミノアルコキシシラン(iia)中のアミノ基とを反応させて共有結合を形成させる工程(イ’)を有することを特徴とする、[4]又は[5]に記載の共重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水中に長時間浸漬しても高い親水性を維持する、耐水性に優れた親水化処理を基材表面に実施可能な表面処理剤組成物、及び表面処理剤組成物に含まれる共重合体を提供することができる。また、この表面処理剤組成物を用いた表面処理を基材表面に施すことによって、耐水性に優れた親水性コーティング層を有する基材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1において得られたメタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメタクリル酸グリシジルの共重合体のIRスペクトルを示した図である。
【図2】実施例1において得られたメタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメタクリル酸グリシジルの共重合体とN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応物のIRスペクトルを示した図である。
【図3】実施例7において得られたメタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメタクリル酸グリシジルの共重合体と3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応物のIRスペクトルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の表面処理剤組成物は、一つの態様では、構成単位として、下記一般式(I)
【0013】
【化13】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)で表される構成単位(1)を少なくとも1種及び、下記一般式(II)
【0014】
【化14】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体(i)、及び、加水分解性シリル基と前記共重合体(i)中のエポキシ基と反応しうるアミノ基をそれぞれ1つ以上含むアミノシラン化合物(ii)、並びに溶媒(iii)を含む表面処理剤組成物である。
【0015】
本発明の表面処理剤組成物は、別の態様では、構成単位として下記一般式(I)
【0016】
【化15】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、下記一般式(IV)
【0017】
【化16】


(ただし、qは1〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、Zは−NH−、−NH−A−NH−又は−NH(A−NH)−を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)で表される構成単位(4)を少なくとも1種、含む共重合体(iv)と、溶媒(iii)とを含む表面処理剤組成物である。
【0018】
本発明の表面処理剤組成物を構成する重合体(i)等を構成する構成単位(1)は、通常、(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)から導かれる。構成単位(1)において、Rは水素原子又はメチル基である。構成単位(1)の構造を示す前記一般式(I)中、R、R、及びRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。前記一般式(I)中、Xa−としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、カルボン酸イオン、ジカルボン酸イオン、リン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、スルファミン酸イオンを例示できるが、親水性付与という観点からは、塩素イオンが好ましい。前記一般式(I)中、pの値としては、2〜5が好ましく、3〜4がより好ましい。
【0019】
本発明の表面処理剤組成物に構成する重合体(i)等を構成する構成単位(2)は、通常、グリシジル(メタ)アクリレート(2’)から導かれる。構成単位(2)において、Rは水素原子又はメチル基である。構成単位(2)の構造を示す前記一般式(II)中、qの値としては、1〜2が好ましい。
【0020】
本発明の表面処理剤組成物を構成する共重合体(i)において、通常(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩モノマー(1’)から導かれる構成単位(1)と通常グリシジル(メタ)アクリレートモノマー(2’)から導かれる構成単位(2)のモル比は、(1)/(2)の比として、99/1〜10/90の範囲が例示でき、99/1〜50/50の範囲が好ましく、95/5〜60/40の範囲がより好ましく、90/10〜65/35の範囲がさらに好ましく、85/15〜65/35の範囲が特に好ましく、80/20〜65/35の範囲が最も好ましい。なお、共重合体の構成単位のモル比は、共重合体から直接測定することも可能であるが、この重合反応の性質上仕込みの各モノマーのモル比とほぼ一致することが知られており、重合反応時の各モノマーのモル比によって推定してもよい。
構成単位(1)の比率が低すぎないので、この共重合体(i)を含む表面処理剤組成物が親水性付与の効果を有する。また、構成単位(2)の比率が低すぎないので、この共重合体を含む表面処理剤組成物で処理して得られる親水性表面が耐水性を有する。
【0021】
本発明の表面処理剤組成物において、構成単位(1)と構成単位(2)とを含む共重合体(i)の平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレングリコール換算の共重合体(i)の重量平均分子量と、各構成単位の分子量及びモル比から算出される構成単位の加重平均分子量とから求めることができ、10〜10000の範囲にあることが好ましく、30〜8000の範囲がより好ましく、50〜5000の範囲がさらに好ましく、80〜3000の範囲が特に好ましく、100〜2000の範囲が最も好ましい。
【0022】
本発明の表面処理剤組成物に用いられる共重合体(iv)を構成する構成単位(4)は、(メタ)アクリル酸アミノアルコキシシランモノマー(IV)から導かれる場合がある。構成単位(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、R、及びRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。構成単位(4)の構造を表す前記一般式(IV)中、qの値としては、1〜2が好ましく、rの値としては3〜4が好ましく、sの値としては0〜1が好ましい。前記一般式(IV)中、アルキレン基は置換又は無置換のアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。前記一般式(IV)中、Zとしては、−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH(CH−CH−NH)−、−NH(CH−(CH−NH)−、−NH(CH−(CH−NH)−、−NH(CH−(CH−NH)−を例示できる。
【0023】
本発明の表面処理剤組成物に用いられる構成単位(1)及び構成単位(4)を構成単位として含む共重合体(iv)は、本発明の表面処理剤組成物の有する効果、特に親水性付与の効果を損なわない限りにおいて、さらに第3成分として構成単位(1)及び構成単位(4)以外の構成単位を含んでもよい。第3成分としては、目的化合物の製造時に未反応の残余モノマー、又は残余モノマーに含まれる反応基に試薬を反応させて得られるモノマーから導かれる構成単位が例示できる。
ここで、残余モノマーから導かれる構成単位としては、下記一般式(II)
【0024】
【化17】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)が挙げられる。構成単位(2)は、通常、グリシジル(メタ)アクリレートモノマー由来である。ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、qの値としては、1〜2が好ましい。
この構成単位(2)と反応させる試薬としては、加水分解性シリル基又は親水性基を有する求核剤を例示できる。
また、本発明の表面処理剤組成物に用いられる、第3成分を有する共重合体(iva)は、構成単位(1)及び構成単位(4)に加えて、さらに構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体である。
【0025】
本発明の表面処理剤組成物を構成する共重合体(iv)における構成単位(1と構成単位(4)のモル比、及び構成単位(2)をさらに含む共重合体(iva)における各成分のモル比は、それぞれ(1)/(4)の比、又は(1)/[(4)+(2)]の比として、99/1〜10/90の範囲が例示でき、99/1〜50/50の範囲が好ましく、95/5〜60/40の範囲がより好ましく、90/10〜65/35の範囲がさらに好ましく、85/15〜65/35の範囲が特に好ましく、80/20〜65/35の範囲が最も好ましい。なお、共重合体中の構成単位のモル比は、共重合体から直接測定することも可能であるが、この重合反応の性質上仕込みの各モノマーのモル比とほぼ一致することが知られており、重合反応時の各モノマーのモル比によって推定してもよい。
また、共重合体(iva)において構成単位(4)と構成単位(2)のモル比は、(4)/(2)の比として、99/1〜10/90の範囲が例示でき、99/1〜20/80の範囲が好ましく、99/1〜30/70がより好ましく、99/1〜40/60の範囲がさらに好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アミノアルコキシシランモノマーはグリシジル(メタ)アクリレートモノマー(2’)中のエポキシ基にアミノアルコキシシランのアミノ基が反応して生成されるものであり、かかる反応は定量的であるため、(4)/(2)の値、すなわちエポキシ基へのアミノアルコキシシランの導入率は、反応時の、グリシジル(メタ)アクリレートモノマー(2’)とアミノアルコキシシランのモル比によってほぼ決定される。
構成単位(1)の比率が低すぎないので、この共重合体を含む表面処理剤組成物が親水性付与の効果を有する。また、構成単位(4)の比率が低すぎないので、この共重合体を含む表面処理剤組成物で処理して得られる親水性表面が耐水性を有する。
【0026】
本発明の表面処理剤組成物において、構成単位(1)及び構成単位(4)を含む共重合体(iv)又は構成単位(2)をさらに含む共重合体(iva)の平均重合度は、これらの共重合体の原材料となる共重合体(i)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量と、共重合体(i)の各構成単位の分子量及びモル比から算出される構成単位の加重平均分子量とから求めることができ、10〜10000の範囲にあることが好ましく、30〜8000の範囲がより好ましく、50〜5000の範囲がさらに好ましく、80〜3000の範囲が特に好ましく、100〜2000の範囲が最も好ましい。
【0027】
本発明の表面処理剤組成物に用いられるアミノシラン化合物(ii)は、加水分解性シリル基と前記共重合体(i)等の中のエポキシ基と反応しうるアミノ基をそれぞれ1つ以上含むものである。ここで、加水分解性シリル基としては、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエトキシシシル基、トリプロポキシシリル基等のアルコキシシリル基、トリクロロシリル基、ジメチルクロロシリル基、トリブロモシリル基、トリヨードシリル基等のハロシリル基を例示でき、加水分解性シリル基の数としては1〜2個を例示できる。また、本発明に用いられるアミノシラン化合物(ii)が含むアミノ基の数としては1〜3個を例示でき、好ましくはアミノ基を2つ有するジアミノシラン化合物である。また、本発明のアミノシラン化合物は、好ましくは5〜25の炭素原子を有する。
【0028】
本発明に用いられるアミノシラン化合物(ii)は、好ましくは、下記一般式(III)
【化18】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)に表されるアミノアルコキシシラン(iia)である。
【0029】
前記一般式(III)中、R、及びRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。前記一般式(III)中、rの値としては3〜4が好ましく、sの値としては0〜1が好ましい。前記一般式(IV)中、アルキレン基は置換又は無置換のアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。前記一般式(III)中、Yとしては、NH−、NH−(CH−NH−、NH−(CH−NH−、NH−(CH−NH−、NH−(CH−NH−を例示できる。
【0030】
前記一般式(III)で表されるアミノアルコキシシラン(iia)としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルエチルジエトキシシラン、4−アミノブチルジエチルエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルジメチルエトキシシラン、4−アミノブチルジエチルメトキシシラン、4−アミノブチルエチルジメトキシシラン、4−アミノブチルトリプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシランを例示できる。中でも、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく、エポキシ基との反応性が特に高いことから、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
【0031】
本発明の表面処理剤組成物において、アミノシラン化合物(ii)は、構成単位(2)中のエポキシ基に対して、10〜100モル%含まれることが例示でき、20〜100モル%含まれることが好ましく、30〜100モル%含まれることがより好ましく、40〜100モル%含まれることが特に好ましい。
【0032】
本発明の表面処理剤組成物に用いられる溶媒(iii)としては、水及び/又は有機溶媒が例示できる、ここで、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶媒が好ましい。
【0033】
本発明の表面処理剤組成物において、溶媒(iii)が全体の1〜99wt%となるように含まれることが例示でき、5〜95wt%となるように含まれることがより好ましく、残部が前述の共重合体(iv)等、又は、アミノシラン化合物を含む態様においては、前述の共重合体(i)等及びアミノシラン化合物(ii)である。
【0034】
本発明の表面処理剤組成物は、基材への接着性を向上させ、また本発明の表面処理剤組成物を用いて行われる表面処理の耐久性を向上させるために、シランカップリング剤を全体の10wt%以下の範囲でさらに含んでもよい。ここでシランカップリング剤としては、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランを例示できる。
また、本発明の表面処理剤組成物は、組成物成分の分散安定性及び基材への塗布性を向上させるために、界面活性剤を全体の10wt%以下の範囲でさらに含んでもよい。ここで、界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系界面活性剤を例示できる。
【0035】
本発明のアミノシラン化合物(ii)を含む態様の表面処理剤組成物においては、構成単位(2)中のエポキシ基とアミノシラン化合物(ii)中のアミノ基を反応させることが好ましい。かかる反応を進行させる手段としては、加熱することが好ましい。ここで、反応温度としては、25℃以上が例示でき、25〜100℃が好ましく、30〜80℃がより好ましく、35〜70℃がさらに好ましい。また、反応時間としては15〜30時間を例示できる。
【0036】
本発明の表面処理剤組成物を含む表面処理剤は、基材表面に親水性、防汚性、汚染の自己洗浄性、防曇性、水等の速乾性、帯電防止性を付与する処理に用いることが可能であるが、中でも基材表面に親水性を付与する処理に好適である。
【0037】
本発明の表面処理剤組成物によって表面処理可能な基材としては、加水分解性シリル基と反応し、結合を形成する無機物質であれば特に限定されず、その形状も限定されない。例えば、鉄、アルミニウム、銅、銀、金等の金属、ガラス、プラスチック又はセラミクスからなる基板、繊維、クロス、フィルム、微粒子又はコーティング層を挙げることができる。中でも、ガラス製の基材、例えばガラスクロスやスライドガラスが、本発明の表面処理剤組成物による表面処理の効果が大きいため好ましい。
【0038】
本発明の表面処理剤組成物を用いて基材を処理する場合には、本発明の表面処理剤組成物と酸を混合し、放置し、得られる処理液を用いることが好ましい。なお、酸は、アルコキシシリル基又はハロシリル基等の加水分解性シリル基を加水分解できる酸であれば特に限定されないが、好ましくは、pKaが大きくとも5.0である酸であり、特に好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、アミド硫酸、グリコール酸、酢酸等を用いることができる。
ここで、処理液には、本発明の表面処理剤組成物の固形分が、1〜20wt%含まれることが好ましく、3〜10wt%含まれることがより好ましい。また、処理液のpHは、1.0〜6.0であることが好ましく、2.0〜5.0であることがより好ましく、2.5〜4.0であることがさらに好ましい。なお、pHは室温条件下(23±5℃)でpHメーター(HORIBA社製)により測定するものとする。
【0039】
本発明の表面処理方法では、本発明の表面処理剤組成物を前記基材に塗布し、乾燥させる。
表面処理剤組成物を前記基材に塗布する方法としては、フローコート(浸漬法)、スピンコート等を例示することができる。例えば、フローコートの場合、前記の処理液に、3〜60秒間、好ましくは、5〜30秒間に基材を浸漬することで行うことができる。
表面処理剤組成物を前記基材に塗布した後、加熱、乾燥させて表面処理剤組成物を硬化させることができる。ここで、加熱、乾燥の条件としては、60〜200℃、好ましくは80〜160℃で、例えば5〜120分間加熱、乾燥することを例示できる。
加熱、乾燥することで本発明の表面処理剤組成物中の溶媒が除去されるとともに、本発明の表面処理剤組成物に含まれる共重合体の加水分解性シリル基が基材表面と反応し、結合して、親水性のコーティング層が基材表面に形成される。
【0040】
本発明の表面処理基材は、本発明の表面処理剤組成物に含まれる構成単位(1)及び構成単位(4)含む共重合体(iv)、又は構成単位(1)及び構成単位(4)並びに構成単位(2)を含む共重合体(iva)を含有するコーティング層を表面に有する。前記共重合体(iv)中の加水分解性シリル基と基材が結合することによってコーティング層は基材表面に強固に結びついており、これにより耐久性、特に耐水性を有するものと推定される。また、前記共重合体(iv)中の第4級アミノ基に起因して、コーティング層は優れた親水性を有するものと推定される。
【0041】
本発明の共重合体(iv)は、構成単位として下記一般式(I)
【0042】
【化19】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)で表される、通常は(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩モノマーから導かれる構成単位(1)を少なくとも1種、及び、下記一般式(IV)
【0043】
【化20】


(ただし、qは1〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、Zは−NH−、−NH−A−NH−又は−NH(A−NH)−を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)で表される、(メタ)アクリル酸アミノアルコキシシランモノマーから導かれる場合がある構成単位(4)を少なくとも1種、含む共重合体である。
【0044】
本発明の共重合体(iv)の構成単位である構成単位(1)は、通常(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩モノマー(1’)から導かれる。構成単位(1)において、Rは水素原子又はメチル基である。構成単位(1)の構造を示す前記一般式(I)中、R、R、及びRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。前記一般式(I)中、Xa−としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、カルボン酸イオン、ジカルボン酸イオン、リン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、スルファミン酸イオンを例示できるが、親水性付与という観点からは、塩素イオンが好ましい。前記一般式(I)中、pの値としては、2〜5が好ましく、3〜4がより好ましい。
【0045】
本発明の共重合体(iv)の構成単位である構成単位(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、R、及びRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。構成単位(4)の構造を表す前記一般式(IV)中、qの値としては、1〜2が好ましく、rの値としては3〜4が好ましく、sの値としては0〜1が好ましい。前記一般式(IV)中、アルキレン基は置換又は無置換のアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。前記一般式(IV)中、Zとしては、−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH−(CH−NH−、−NH(CH−CH−NH)−、−NH(CH−(CH−NH)−、−NH(CH−(CH−NH)−、−NH(CH−(CH−NH)−を例示できる。
【0046】
本発明の共重合体(iv)は、本発明の共重合体を含む表面処理剤組成物の有する効果、特に親水性付与の効果を損なわない限りにおいて、さらに第3成分として(I)、(IV)以外のモノマーを含んでもよい。第3成分としては、目的化合物の製造時に未反応の残余モノマー、又は残余モノマーに含まれる反応基に試薬を反応させて得られるモノマーに由来する構成単位が例示できる。
ここで、残余モノマーに由来する構成単位としては、下記一般式(II)
【0047】
【化21】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表されるグリシジル(メタ)アクリレートモノマー由来の構成単位(2)が挙げられる。ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、qの値としては、1〜2が好ましい。
この構成単位(2)と反応させる試薬としては、加水分解性シリル基又は親水性基を有する求核剤を例示できる。
また、本発明の第3成分を有する共重合体(iva)は、構成単位(1)及び構成単位(4)に加えて、さらに構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体である。
【0048】
本発明の共重合体(iv)における構成単位(1)と構成単位(4)のモル比、及び構成単位(2)をさらに含む共重合体(iva)における各成分のモル比は、それぞれ(1)/(4)又は(1)/[(4)+(2)]の比として、99/1〜10/90の範囲が例示でき、99/1〜50/50の範囲が好ましく、95/5〜60/40の範囲がより好ましく、90/10〜65/35の範囲がさらに好ましく、85/15〜65/35の範囲が特に好ましく、80/20〜65/35の範囲が最も好ましい。なお、共重合体中の構成単位のモル比は重合体から直接測定することも可能であるが、重合反応時の各モノマーのモル比からも精度良く推定できる。
また、共重合体(iva)において構成単位(4)と(2)のモル比は、(4)/(2)の比として、99/1〜10/90の範囲が例示でき、99/1〜20/80の範囲が好ましく、99/1〜30/70がより好ましく、99/1〜40/60の範囲がさらに好ましい。なお、構成単位(4)は構成単位(2)中のエポキシ基にアミノアルコキシシランのアミノ基が反応して生成されるものであり、かかる反応は定量的であるため、構成単位(4)/(2)の値、すなわちエポキシ基へアミノシラン化合物の導入率は、反応時の、構成単位(2)とアミノアルコキシシランのモル比によって決定される。
構成単位(1)の比率が低すぎないので、この共重合体を含む表面処理剤組成物が親水性付与の効果を有する。また、構成単位(4)の比率が低すぎないので、この共重合体を含む表面処理剤組成物で処理して得られる親水性表面が耐水性を有する。
【0049】
本発明の共重合(iv)又は共重合体(iva)の平均重合度は、これらの共重合体の原材料となる共重合体(i)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量と、共重合体(i)の各構成単位の分子量及びモル比から算出される構成単位の加重平均分子量とから求めることができ、10〜10000の範囲にあることが好ましく、30〜8000の範囲がより好ましく、50〜5000の範囲がさらに好ましく、80〜3000の範囲が特に好ましく、100〜2000の範囲が最も好ましい。
【0050】
本発明の共重合体は、ラジカル重合開始剤の存在下、溶媒中で、下記一般式(V)
【0051】
【化22】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)で表される(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)と、下記一般式(VI)
【0052】
【化23】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表されるグリシジル(メタ)アクリレート(2’)とを共重合させる工程(ア)と、前記工程(ア)の重合前、重合中又は重合後の反応液と、下記一般式(III)
【0053】
【化24】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)で表されるアミノアルコキシシラン(iia)とを混合し、前記グリシジル(メタ)アクリレート(2’)及び/又は前記工程(ア)で得られた共重合体中のエポキシ基と前記アミノアルコキシシラン(iia)中のアミノ基とを反応させて共有結合を形成させることで製造可能である。
【0054】
本発明の製造方法に用いる原材料である(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)において、Rは水素原子又はメチル基である。前記一般式(V)中、R、R、及びRとしてはメチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。前記一般式(V)中、Xa−としては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、カルボン酸イオン、ジカルボン酸イオン、リン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、スルファミン酸イオンを例示できるが、親水性付与という観点からは、塩素イオンが好ましい。前記一般式(V)中、pの値としては、2〜5が好ましく、3〜4がより好ましい。
【0055】
本発明の製造方法の原材料である(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)としては、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリプロピルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリプロピルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリプロピルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリプロピルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリプロピルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリエチルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリプロピルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリメチルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリエチルアンモニウムエチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリプロピルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリプロピルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリプロピルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリプロピルアンモニウムメチルサルフェート、(メタ)アクリロイルアミノブチルトリプロピルアンモニウムエチルサルフェートを例示できる。中でも、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが入手容易性の点から好ましい。
【0056】
本発明の製造方法に用いる原材料であるグリシジル(メタ)アクリレート(2’)において、Rは水素原子又はメチル基であり、qの値としては、1〜2が好ましい。
【0057】
本発明の製造方法に用いる原材料であるグリシジル(メタ)アクリレート(2’)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルエチル(メタ)アクリレートを例示できる。中でも、グリシジルメタクリレートが入手容易性の点から好ましい。
【0058】
本発明の製造方法に用いる原材料であるアミノアルコキシシラン(iia)において、R、及びRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基を例示できる。前記一般式(III)中、rの値としては3〜4が好ましく、sの値としては0〜1が好ましい。前記一般式(IV)中、アルキレン基は置換又は無置換のアルキレン基であり、直鎖状であっても分岐状であってもよい。前記一般式(III)中、Yとしては、NH−、NH−(CH−NH−、NH−(CH−NH−、NH−(CH−NH−、NH−(CH−NH−を例示できる。
【0059】
本発明の製造方法に用いる原材料であるアミノアルコキシシラン(iia)としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン、4−アミノブチルエチルジエトキシシラン、4−アミノブチルジエチルエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルジメチルエトキシシラン、4−アミノブチルジエチルメトキシシラン、4−アミノブチルエチルジメトキシシラン、4−アミノブチルトリプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジエチルエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルジエチルメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシランが例示できる。中でも、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく、エポキシ基との反応性が高いことから、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
【0060】
本発明の製造方法に用いるラジカル重合開始剤としては、第三−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドのような有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)のような脂肪族アゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムのような無機過酸化物、硝酸アンモニウム、硝酸カリウムのような硝酸塩等が挙げられる。また、空気等の酸素を含む気体、放射線、紫外線、可視光線を例示できる。
【0061】
本発明の製造方法において用いる溶媒としては、有機溶媒を例示できる。ここで、有機溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが好ましい。
【0062】
本発明の製造方法において、(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)とグリシジル(メタ)アクリレート(2’)は、1’/2’のモル比として、99/1〜10/90の範囲で共重合させることが例示でき、99/1〜50/50の範囲が好ましく、95/5〜60/40の範囲がより好ましく、90/10〜65/35の範囲がさらに好ましく、85/15〜65/35の範囲が特に好ましく、80/20〜65/35の範囲が最も好ましい。
【0063】
本発明の製造方法において、反応液中の(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)とグリシジル(メタ)アクリレート(2’)とを合わせたモノマー濃度としては、10〜90wt%を例示でき、25〜75wt%がより好ましく、35〜65wt%がさらに好ましく、35〜55wt%が特に好ましい。モノマー濃度が25〜75wt%の場合、得られる共重合体を用いることで、耐水性に優れた親水化処理を基材に施すことができる。モノマー濃度が35〜65wt%の場合、特に耐水性に優れた親水化処理を基材に施すことができる。一方、共重合体の製造という観点からは、モノマー濃度が35%より低い場合、収率が低くなる場合がある。また、モノマー濃度が55%より高い場合、重合反応時に反応液の粘性が上昇し、重合反応中に反応液を溶媒で希釈する必要が生じる場合がある。
【0064】
本発明の製造方法において、重合開始剤の使用量及び使用方法は特に限定されないが、全モノマーの合計モル量に対して、2〜10モル%の重合開始剤を反応液に添加することを例示できる。
【0065】
本発明の製造方法においては、(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)、グリシジル(メタ)アクリレート(2’)及び溶媒を含む反応液に、ラジカル重合開始剤を加え、室温下または加熱条件下、適宜撹拌操作を加えることにより共重合反応が行われる。重合温度は−100〜80℃が好ましい。また、重合時間は1〜100時間が好ましい。
【0066】
本発明の製造方法において、アミノアルコキシシラン(iia)の使用量は、グリシジル(メタ)アクリレート(2’)中のエポキシ基に対して、10〜200モル%を例示でき、20〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましく、40〜100モル%がさらに好ましい。
【0067】
本発明の製造方法において、アミノアルコキシシラン(iia)は、重合前、重合中又は重合後の、(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)、グリシジル(メタ)アクリレート(2’)及び/又はこれらの共重合体を含む反応液と混合する。中でも、重合後の反応液と混合することが、重合前又は重合中に混合する場合と比較して、反応液が低粘度となるため好ましい。
本発明の製造方法の別の態様として、(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)とグリシジル(メタ)アクリレート(2’)とを原材料として合成された共重合体(i)を開始物質とし、この共重合体を含む溶液にアミノアルコキシシラン(iia)を混合してもよい。
【0068】
本発明の製造方法において、アミノアルコキシシラン(iia)と反応液とを混合した後、アミノアルコキシシラン(iia)中のアミノ基と、グリシジル(メタ)アクリレート(2’)及び/又は共重合体中のエポキシ基とを反応させ、共有結合を形成させる。
本発明の製造方法の前記工程(ア)の重合前又は重合中の反応液とアミノアルコキシシラン(iia)とを混合した場合には、例えば、25〜80℃の反応温度で、15〜30時間をかけて反応を行わせることで、かかるエポキシ基とアミノ基との反応と共重合反応を同時に進行させることができる。
一方、前記工程(ア)の重合後の反応液とアミノアルコキシシラン(iia)とを混合した場合には、これらを混合した後に加熱することで、アミノアルコキシシラン(iia)中のエポキシ基と共重合体中のアミノ基との反応を進行させることができる。ここで、反応温度としては、25℃以上が例示でき、25〜100℃が好ましく、30〜80℃がより好ましく、35〜70℃がさらに好ましい。また、反応時間としては15〜30時間を例示できる。
【0069】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0070】
先ず、実施例及び比較例で得られた、反応物の平均重合度及び表面処理を受けたガラスの接触角の測定方法を示す。
【0071】
[平均重合度]
反応物の平均重合度は、反応物である共重合体を構成する各構成単位の分子量及びこれらのモル比から算出される構成単位の加重平均分子量で、反応物の重量平均分子量を除すことで求めた。
ここで、反応物の重量平均分子量(Mw)は、日立L−6000型高速液体クロマトグラフを使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC法)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L−6000、検出器はショーデックスRI−101示差屈折率検出器、カラムはショーデックスアサヒパックの水系ゲル濾過タイプのGS−220HQ(排除限界分子量3,000)とGS−620HQ(排除限界分子量200万)とを直列に接続したものを用いた。サンプルは溶離液で0.5g/100mlの濃度に調製し、20μlを用いた。溶離液には、0.4モル/リットルの塩化ナトリウム水溶液を使用した。カラム温度は30℃で、流速は1.0ml/分で実施した。標準物質として、分子量106、194、440、600、1470、4100、7100、10300、12600、23000などのポリエチレングリコールを用いて較正曲線を求め、その較正曲線を基に共重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0072】
[接触角]
接触角は、乾燥させたガラス表面上の1μLの水に対する接触角を、協和界面科学(株)製DM−301を用いて測定した。
なお、一般的に、接触角が小さい程、基材表面の親水性が高いことを意味する。
【0073】
[実施例1]
(i)メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(75モル%)とメタクリル酸グリシジル(25%)との共重合体の合成
先ず、温度計、撹拌機、冷却管を備えた100mL3つ口フラスコに、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(和光ケミカル(株)製;以下、MAPTACと記載することもある)の98%溶液20.27g(MAPTAC0.09モル相当分)、メタクリル酸グリシジル(東京化成工業(株)製;以下、GMAと記載することもある)の100%溶液4.26g(GMA0.03モル相当分)及びエタノール35.79g(モノマー濃度40wt%調整相当量)を加え、ウォーターバスで60℃に加温した。
次いで、得られるモノマー濃度40wt%液にラジカル重合開始剤ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製;以下、V−601と記載することもある)1.24g(モノマーに対して4モル%相当分)を添加して重合させ、MAPTACとGMAの共重合体(以下、P(MAPTAC/GMA)と記載することもある)を得た。得られたP(MAPTAC/GMA)溶液は粘性が高いため、エタノール20.1gを加えて希釈した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液は固形分濃度が30wt%であり、アセトン溶媒での再沈収率は95%であった。また、得られたP(MAPTAC/GMA)の重量平均分子量は99000であり、平均重合度は490であった。
再沈物のIRスペクトル(図1)には、エポキシ基に由来する900cm−1付近の吸収が観測されたことから、MAPTACとGMAの共重合反応が進行していることが確認された。また、この反応の性質上、その共重合比は、モノマーの仕込みにほぼ一致しているものと推定された。
【0074】
(ii)P(MAPTAC/GMA)とN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランの反応物の合成
先ず、温度計、撹拌機、冷却管を備えた100mL3つ口フラスコに、(i)で得られたP(MAPTAC/GMA)溶液21.17gとエタノール31.72gを加え、室温で混合した。
次いで、得られた液に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製;以下、AEAPTMSと記載することもある)の95%溶液1.87g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して100モル%相当分)を添加し、40℃で24時間反応させ、P(MAPTAC/GMA)とAEAPTMSの反応物(以下、P(MAPTAC/GMA)−AEAPTMSと記載することもある)を得た。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液は固形分濃度が16wt%であった。
反応終了後の溶液でTLCのスポットの移動が見られたこと、アセトン溶媒での再沈物のIRスペクトル(図2)よりSi−O−Cに由来する1064cm−1の吸収が観測されたことから、反応が進行していることが確認された。
【0075】
(iii)表面処理ガラスの作成
先ず(ii)で得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液の固形分濃度が5.0wt%、35%濃塩酸(ナカライテスク(株)製)2.5wt%、水が92.5wt%となるように、水、塩酸、P(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液の順で混合し、室温で1時間静置し、ガラス処理液を作成した。なお、ガラス処理液のpHは、室温条件下(23±5℃)でpHメーター(HORIBA社製)により測定して、2.6であった。
次いで、スライドガラス(アズワン(株)製)をガラス処理液に10秒間浸漬し、引き上げた後、130℃で15分間加熱処理して乾燥させ、スライドガラスを表面処理剤でコーティングした。
【0076】
[実施例2]
実施例1の(ii)においてAEAPTMS95%溶液1.87gに代えて、AEAPTMS95%溶液0.94g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して50モル%相当分)を用いた以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液は固形分濃度が16%であった。
【0077】
[実施例3]
実施例1の(i)において、MAPTAC98%溶液20.27gに代えてMAPTAC98%溶液13.51g(MAPTAC0.06モル相当分)を用い、GMA100%溶液4.26gに代えてGMA100%溶液2.84g(GMA0.02モル相当分)、エタノール35.79gに代えてエタノール37.27g(モノマー濃度30wt%調整相当量)を用いた。また、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液の希釈は行わなかった。
実施例1の(ii)において、P(MAPTAC/GMA)溶液21.17gとエタノール31.72gに代えて、P(MAPTAC/GMA)溶液17.73gとエタノール21.93gを用いた。また、AEAPTMS95%溶液1.87gに代えて、AEAPTMS95%溶液1.41g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して100モル%相当分)を用いた。
それ以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液は固形分濃度が27wt%であり、アセトン溶媒での再沈収率は93%であった。また、得られたP(MAPTAC/GMA)の重量平均分子量は30000であり、平均重合度は150であった。
また、得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液は固形分濃度が14wt%であった。
【0078】
[実施例4]
実施例1の(i)において、エタノール35.79gに代えてエタノール315.68g(モノマー濃度60wt%調整相当量)を用いた。なお、反応液の粘性が高くなるため共重合反応中にエタノール20.1gを分割して添加して希釈し、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液にさらにエタノール20.1gを加えて希釈した。
実施例1の(ii)において、P(MAPTAC/GMA)溶液21.17gとエタノール31.72gに代えて、P(MAPTAC/GMA)溶液20.05gとエタノール32.84gを用いた。また、AEAPTMS95%溶液1.87g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して100モル%相当分)を用いた。
それ以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液は固形分濃度が32wt%であり、アセトン溶媒での再沈収率は93%であった。また、得られたP(MAPTAC/GMA)の重量平均分子量は320000であり、平均重合度は1600であった。
また、得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液は固形分濃度が15wt%であった。
【0079】
[実施例5]
実施例1の(i)において、MAPTAC98%溶液20.27gに代えてMAPTAC98%溶液18.02g(MAPTAC0.08モル相当分)を用い、GMA100%溶液4.26gに代えてGMA100%溶液5.69g(GMA0.04モル相当分)、エタノール35.79gに代えてエタノール34.66g(モノマー濃度40%調整相当量)を用いた。また、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液の希釈は行わなかった。なお、V601は1.86g(モノマーに対して6モル%相当分)を用いた。
実施例1の(ii)において、P(MAPTAC/GMA)溶液21.17gとエタノール31.72gに代えて、P(MAPTAC/GMA)溶液5.61gとエタノール15.47gを用いた。また、AEAPTMS95%溶液1.87gに代えて、AEAPTMS95%溶液0.94g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して100モル%相当分)を用いた。
それ以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液は固形分濃度が43%であり、アセトン溶媒での再沈収率は95%であった。また、得られたP(MAPTAC/GMA)の重量平均分子量は52000であり、平均重合度は270であった。
また、得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液は固形分濃度が17%であった。
【0080】
[実施例6]
実施例1の(i)において、MAPTAC98%溶液20.27g(MAPTAC0.09モル相当分)を用い、GMA100%溶液4.26gに代えてGMA100%溶液1.42g(GMA0.01モル相当分)、エタノール35.79gに代えてエタノール31.53g(モノマー濃度40%調整相当量)を用いた。また、得られたP(MAPTAC/GMA)溶液は、エタノール27.6gで希釈した。
実施例1の(ii)において、P(MAPTAC/GMA)溶液21.17gとエタノール31.72gに代えて、P(MAPTAC/GMA)溶液24.13gとエタノール29.91gを用いた。また、AEAPTMS95%溶液0.935gに代えて、AEAPTMS95%溶液0.82g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して100モル%相当分)を用いた。
それ以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)は固形分濃度が31%であり、アセトン溶媒での再沈収率は105%であった。また、得られたP(MAPTAC/GMA)の重量平均分子量は99000であり、平均重合度は470であった。
また、得られたP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMSは固形分濃度が15%であった。
【0081】
[実施例7]
実施例1の(ii)において、AEAPTMS95%溶液1.87gに代えて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製;以下、APTMSと記載することもある)97%溶液1.48g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して100モル%相当分)を用いた以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)−APTMSは固形分濃度が14%であった。
反応終了後の溶液でTLCのスポットの移動が見られたこと、アセトン溶媒での再沈物のIRスペクトル(図3)よりSi−O−Cに由来する1064cm−1の吸収が観測されたことから、反応が進行していることが確認された。
【0082】
[実施例8]
実施例1の(ii)において、AEAPTMS95%溶液1.87gに代えて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製;以下、APTMSと記載することもある)97%溶液0.74g(P(MAPTAC/GMA)中のGMAに対して50モル%相当分)を用いた以外は実施例1と同様にして表面処理ガラスを作成した。
なお、得られたP(MAPTAC/GMA)−APTMSは固形分濃度が15%であった。
【0083】
[比較例1]
実施例1の(iii)において、P(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液に代えて、実施例1の(i)と同様にして得られたP(MAPTAC/GMA)溶液を用いて表面処理ガラスを作成した。
【0084】
[比較例2]
ポリアリルアミン(日東紡績(株)製;濃度20.6%のポリアリルアミンエタノール溶液、重量平均分子量3000;以下、PAAと記載することもある、またアリルアミンをAAと記載することもある)溶液27.72g、エタノール84.11gを加え、撹拌しながらウォーターバスを用いて30℃に加温した。
次いで、得られる液に、3−グリシドプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製;以下、GPTMSと記載することもある)2.36g(PAAのアミノ基に対して10モル%)を滴下した。滴下終了後、30℃で24時間反応させることにより、固形分濃度6%のGPTMS(10モル%)とAA(90%)とを含む高分子化合物(P(GPTMS/AA)ということもある)を得た。
次いで、実施例1の(iii)において、P(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS溶液に代えて、得られたP(GPTMS/AA)溶液を用いて表面処理ガラスを作成した。
ここで、P(GPTMS/AA)は、従来技術による各種の親水性ポリマーの中で、親水性基の中でも特に親水性の高い第1級アミノ基を有するため、特に親水性に優れたポリマーであると推定される。そのため、本明細書においては、このP(GPTMS/AA)を比較例として用いた。
【0085】
[親水性及び耐水性評価試験]
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られた表面処理ガラスおいて、未洗浄時の表面処理ガラスの接触角を測定することで、表面処理ガラスに親水性が付与されたか否かを評価した。
次いで、室温(23±5℃)の水中に表面処理ガラスを2日間浸漬した。その後、表面処理ガラスを水中から引き上げて、接触角を測定することで、表面処理ガラスに施された表面処理が耐水性を有するか否かを評価した。
なお、比較例3として未処理のスライドガラスについて同様の評価を行った。
親水性及び耐水性の評価結果は表1に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
なお、表1において、反応基モル%は、シラン化合物がAEAPTMS又はAPTMSの場合は、P(MAPTAC/GMA)中のGMAが有するエポキシ基に対する値であり、シラン化合物がGPTMSの場合は、PAAが有するアミノ基に対する値である。
【0088】
表1に示すように、親水基(第4級アミノ基)と加水分解性シリル基(アルコキシシリル基)を側鎖に有する高分子化合物であるP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS又はP(MAPTAC/GMA)−APTMSを含む表面処理剤で処理された実施例1〜8の表面処理ガラスは高い親水性を示した。さらに、実施例1〜8の表面処理ガラスは、親水基(第4級アミノ基)のみを有する高分子化合物であるP(MAPTAC/GMA)を含む表面処理剤で処理された比較例1の表面処理ガラスよりもはるかに高い耐水性を示した。
一方、親水基(第1級アミノ基)と加水分解性シリル基(アルコキシシリル基)を側鎖に有する高分子化合物であるP(GPTMS/AA)を含む表面処理剤で処理された比較例2の表面処理ガラスは耐水性を示さなかった。
また、比較例3の未処理スライドガラスは、親水性及び耐水性を示さなかった。
【0089】
これらの結果より、P(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS又はP(MAPTAC/GMA)−APTMSを用いて、耐水性に優れた親水性コーティングを基材に施せることが確認された。また、P(MAPTAC/GMA)−AEAPTMS又はP(MAPTAC/GMA)−APTMSは、親水基と加水分解性シリル基を側鎖に有する高分子化合物の中でも、とりわけ基材への親水性及び耐水性付与に優れることが確認された。
【0090】
実施例1〜8の比較より、P(MAPTAC/GMA)においてMAPTAC:GMA=3:1であり、モノマー濃度が30〜60%であり、AEAPTMSの添加量がP(MAPTAC/GMA)のGMAに対して50〜100モル%であるP(MAPTAC/GMA)−AEAPTMSを含む表面処理剤が、特に優れた親水性及び耐水性を表面処理ガラスに付与可能なことが確認された。
【0091】
[耐温水性の評価試験]
50℃の温水中に実施例1、3〜6及び比較例1〜2で得られた表面処理ガラスを15日間浸漬した。温水への浸漬から5日及び15日が経過した時点で、表面処理ガラスを水中から引き上げて、接触角を測定することで、表面処理ガラスに施された表面処理が耐温水性を有するか否かを評価した。
親水性及び耐温水性の評価結果は表2に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
なお、表2において、対反応基モル%は、シラン化合物がAEAPTMSの場合は、P(MAPTAC/GMA)中のGMAが有するエポキシ基に対する値であり、シラン化合物がGPTMSの場合は、PAAが有するアミノ基に対する値である。
【0094】
表2に示すように、親水基(第4級アミノ基)と加水分解性シリル基(アルコキシシリル基)を側鎖に有する高分子化合物を含む本発明の表面処理剤で処理した表面処理ガラスは、比較例に比べて極めて高い耐温水性を示すことが確認された。
【0095】
また、実施例1、3、4〜6の比較より、P(MAPTAC/GMA)においてMAPTAC:GMA=3:1であり、モノマー濃度が40〜60%である場合に、特に優れた耐温水性を表面処理ガラスに付与可能なことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の表面処理剤組成物を用いることで、基材表面に高い親水性を付与することができ、さらに得られる親水化表面は優れた耐久性、とりわけ耐水性を有する。それに伴い、本発明の表面処理剤組成物を用いることで、防汚性、防曇性、耐候性を基材に付与することができる。従って、本発明の表面処理剤組成物は、例えば、親水化処理剤、防曇剤、防汚コート剤として利用できる。また、抗菌又は防カビのための添加剤を本発明の表面処理剤組成物に含有させることで、本発明の表面処理剤組成物は、抗菌剤や防カビ剤として利用できる。
一方、本発明の表面処理基材は、例えば、防汚性や防曇性が求められる、浴室用又は洗面所用鏡、車両用ミラーのような鏡、及び眼鏡レンズ、光学レンズのような光学物品等に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成単位として下記一般式(I)
【化1】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)
で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、
下記一般式(II)
【化2】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体(i)、
加水分解性シリル基と前記共重合体(i)中のエポキシ基と反応しうるアミノ基をそれぞれ1つ以上含むアミノシラン化合物(ii)、並びに
溶媒(iii)
を含む表面処理剤組成物。
【請求項2】
前記アミノシラン化合物(ii)が下記一般式(III)
【化3】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表されるアミノアルコキシシラン(iia)である請求項1に記載の表面処理剤組成物。
【請求項3】
前記共重合体(i)中のエポキシ基と前記アミノシラン化合物(ii)中のアミノ基を反応させて共有結合を形成させた、請求項1又は2に記載の表面処理剤組成物。
【請求項4】
構成単位として下記一般式(I)
【化4】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)
で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、
下記一般式(IV)
【化5】


(ただし、qは1〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数示し、Zは−NH−、−NH−A−NH−又は−NH(A−NH)−を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表される構成単位(4)を少なくとも1種、含む共重合体。
【請求項5】
構成単位としてさらに下記一般式(II)
【化6】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む請求項4に記載の共重合体。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の共重合体と溶媒(iii)とを含む表面処理剤組成物。
【請求項7】
前記表面処理が基材表面へ親水性を付与する処理である請求項3又は6に記載の表面処理剤組成物。
【請求項8】
基材上に請求項3、6又は7に記載の表面処理剤組成物を塗布したのち、乾燥させて基材表面にコーティング層を形成させる基材の表面処理方法。
【請求項9】
請求項4又は5に記載の共重合体を含むコーティング層が付与された表面処理基材。
【請求項10】
ラジカル重合開始剤の存在下、溶媒中で、下記一般式(V)
【化7】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRは独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)
で表される(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩(1’)少なくとも1種と、
下記一般式(VI)
【化8】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表されるグリシジル(メタ)アクリレート(2’)少なくとも1種とを共重合反応させる工程(ア)、及び、
前記工程(ア)の重合前、重合中又は重合後の反応液と、下記一般式(III)
【化9】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表されるアミノアルコキシシラン(iia)とを混合し、前記グリシジル(メタ)アクリレート(2’)及び/又は前記工程(ア)で得られた共重合体中のエポキシ基と前記アミノアルコキシシラン(iia)中のアミノ基とを反応させて共有結合を形成させる工程(イ)、
を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の共重合体の製造方法。
【請求項11】
構成単位として下記一般式(I)
【化10】


(ただし、pは1〜6の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xa−はカウンターイオンを示し、aは該カウンターイオンの価数を示す)
で表される構成単位(1)を少なくとも1種、及び、
下記一般式(II)
【化11】


(ただし、Rは水素原子又はメチル基を示し、qは1〜3の整数を示す)
で表される構成単位(2)を少なくとも1種、含む共重合体(i)、と
下記一般式(III)
【化12】


(ただし、rは2〜5の整数を示し、sは0〜2の整数を示し、YはNH−又はNH−A−NH−を示し、R、及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を示し、Aは炭素数2〜5のアルキレン基を示す)
で表されるアミノアルコキシシラン(iia)とを混合し、前記共重合体(i)中のエポキシ基と前記アミノアルコキシシラン(iia)中のアミノ基とを反応させて共有結合を形成させる工程(イ’)を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の共重合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−31247(P2012−31247A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170199(P2010−170199)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】