説明

表面実装型パルストランス並びにその製造方法及び製造装置

【課題】一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機を用いて表面実装型パルストランスの巻線作業を行う場合の、巻線作業時間を短縮する。
【解決手段】表面実装型パルストランス10は、巻芯部11a並びに該巻芯部11aの両端に設けられた鍔部11b,11cを有し、基板上に設置されるドラム型コア11と、巻芯部11aに巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、一次巻線の両端部を継線する端子電極E1,E2と二次巻線の中間タップを継線する端子電極E3とが鍔部11bの表面に設けられ、一次巻線の中間タップを継線する端子電極E4と二次巻線の両端部を継線する端子電極E5,E6とが鍔部11cの表面に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面実装型パルストランス並びにその製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンなどの機器をLANや電話網などのネットワークに接続する場合、ケーブルを通して侵入するESD(ElectroStatic Discharge,静電放電)や高電圧から機器を守る必要がある。そこで、ケーブルと機器の接続点を構成するコネクタにはパルストランスが用いられる。
【0003】
従来用いられているパルストランスはドーナツ型の磁心(トロイダルコア)に一次コイルと二次コイルを巻回して作られており(例えば特許文献1を参照。)、一次コイルに印加される電圧のうち交流成分(パルス)のみを二次コイルに伝えるという性質を有する。直流成分は二次コイルに伝わらないため、パルストランスはESDや高電圧を遮断することができる。
【0004】
ところで、近年はパルストランスにも小型化・表面実装化が求められており、そのためにトロイダルコアではなくドラム型コアを用いる例が登場している。そのようなパルストランスを表面実装型パルストランスという。
【0005】
図16に、表面実装型パルストランスの典型的な構成例を示す。また、図17は、図16に示す表面実装型パルストランス1の等価回路を示す図である。
【0006】
図16に示すように、表面実装型パルストランス1はドラム型コア2を有し、ドラム型コア2は、ワイヤを巻回するための巻芯部2aと、巻芯部2aの両端に設けられた鍔部2b,2cとを有している。鍔部2b,2cの上面にはそれぞれ3つの端子電極P1〜P3,P4〜P6が設けられている。
【0007】
図16及び図17に示すように、巻芯部2aにはワイヤS1〜S4が巻回されており、ワイヤS1の両端S1a,S1bはそれぞれ端子電極P1,P2に、ワイヤS2の両端S2a,S2bは端子電極P2,P3に、ワイヤS3の両端S3a,S3bは端子電極P4,P5に、ワイヤS4の両端S4a,S4bは端子電極P5,P6にそれぞれ継線されている。
【0008】
表面実装型パルストランス1は平衡入出力の回路であり、図17に示すように、端子電極P1とP3はそれぞれ平衡入力のプラス側端子IN+とマイナス側端子IN−になる。また、端子電極P4とP6はそれぞれ平衡出力のプラス側端子OUT+とマイナス側端子OUT−になる。各ワイヤは、端子IN+から端子IN−に向かって電流が流れた場合に、端子OUT+から端子OUT−に向かって誘導電流が流れるよう、巻芯部2aに巻回される。端子電極P2,P5は、それぞれ入力側,出力側の中間タップCTとなる。
【0009】
図18は、表面実装型パルストランス1の巻線工程を示す図である。同図に示すように、巻線工程は1層目の巻回工程((a)〜(d))と2層目の巻回工程((e)〜(h))に分かれる。
【0010】
1層目の巻回工程では、ワイヤS1とワイヤS4とがバイファイラ巻きされる。具体的には、まずワイヤS1の端部S1aを端子電極P1に継線し(a)、次にワイヤS4の端部S4aを端子電極P5に継線する(b)。そして、ワイヤS1とワイヤS4を一緒にして巻芯部2aの一端側から巻き始め、一端側から見て反時計周りに巻芯部2aに巻回する。巻回が終了したら、ワイヤS1の端部S1bを端子電極P2に継線し(c)、次にワイヤS4の端部S4bを端子電極P4に継線する(d)。
【0011】
2層目の巻回工程では、ワイヤS2とワイヤS3とがバイファイラ巻きされる。なお、図18(e)〜(h)では1層目のワイヤS1,S4の描画を省略している。具体的には、まずワイヤS3の端部S3aを端子電極P4に継線し(e)、次にワイヤS2の端部S2aを端子電極P2に継線する(f)。そして、ワイヤS2とワイヤS3を一緒にして巻芯部2aの一端側から巻き始め、一端側から見て反時計周りに巻芯部2aに巻回する。巻回が終了したら、ワイヤS3の端部S3bを端子電極P5に継線し(g)、次にワイヤS2の端部S2bを端子電極P3に継線する(h)。
【特許文献1】特開平7−161535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の表面実装型パルストランスでは、図18に示すように鍔部2b,2cに交互に継線していくことになるため、一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機を用いて巻線作業を行った場合、巻線作業に要する時間が長くなり、製造コストが上がってしまうという問題があった。
【0013】
したがって、本発明の目的の一つは、一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機を用いて巻線作業を行う場合の巻線作業時間を短縮できる表面実装型パルストランス並びにその製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明による表面実装型パルストランスは、巻芯部並びに該巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有し、基板上に設置されるドラム型コアと、巻芯部に巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、前記一次巻線の両端部を継線する第1及び第2の端子電極と前記二次巻線の中間タップを継線する第3の端子電極とが前記第1の鍔部の表面に設けられ、前記一次巻線の中間タップを継線する第4の端子電極と前記二次巻線の両端部を継線する第5及び第6の端子電極とが前記第2の鍔部の表面に設けられることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、同じタイミングで継線される2つの端子電極(第1の端子電極と第3の端子電極、第4の端子電極と第6の端子電極、第2の端子電極と第3の端子電極、第4の端子電極と第5の端子電極)の両方が1つの鍔部に位置することになるので、一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機を用いて巻線作業を行う場合の巻線作業時間を短縮できる。
【0016】
また、上記表面実装型パルストランスにおいて、前記第3の端子電極は、前記第1の鍔部の基板対向面の、前記基板面内で磁心方向と垂直な第1の方向の一端寄り又は他端寄りに設けられ、前記第4の端子電極は、前記第2の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の一端寄り又は他端寄りに設けられることとしてもよい。これによれば、第1及び第2の端子電極を第3の端子電極と離して設置し、第5及び第6の端子電極を第4の端子電極と離して設置することができるので、一次巻線と二次巻線の絶縁を確実に行うことができるようになる。また、表面実装型パルストランスが大きくなってしまうことを抑制できる。
【0017】
また、上記表面実装型パルストランスにおいて、前記第1及び第2の端子電極は、前記第1の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の一端寄りに設けられ、前記第3の端子電極は、前記第1の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の他端寄りに設けられ、前記第4の端子電極は、前記第2の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の一端寄りに設けられ、前記第5及び第6の端子電極は、前記第2の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の他端寄りに設けられることとしてもよい。これによれば、一次巻線に関する端子電極(第1,第2,第4の端子電極)と二次巻線に関する端子電極(第3,第5,第6の端子電極)とを表面実装型パルストランスの第1の方向両側に分離できるので、一次巻線と二次巻線の絶縁をより確実に行うことができるようになる。
【0018】
また、上記表面実装型パルストランスにおいて、前記第3の端子電極と前記第1及び第2の端子電極それぞれとの離隔距離は、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極の離隔距離よりも長く、前記第4の端子電極と前記第5及び第6の端子電極それぞれとの離隔距離は、前記第5の端子電極と前記第6の端子電極の離隔距離よりも長いこととしてもよい。これによれば、一次巻線と二次巻線の絶縁をさらに確実に行うことができるようになる。
【0019】
また、上記表面実装型パルストランスにおいて、前記一次巻線は、前記第1の端子電極と前記第4の端子電極の間を接続する第1のワイヤと前記第4の端子電極と前記第2の端子電極の間を接続する第2のワイヤとにより構成され、前記二次巻線は、前記第5の端子電極と前記第3の端子電極の間を接続する第3のワイヤと前記第3の端子電極と前記第6の端子電極の間を接続する第4のワイヤとにより構成され、前記第1の鍔部から第2の鍔部に向かう巻回方向を前記第1の鍔部から見た場合の、前記第1及び第4のワイヤの巻回方向と、前記第2及び第3のワイヤの巻回方向とが互いに逆になっていることとしてもよい。これによれば、巻き始めの際及び巻き終わりの際に、各ワイヤを巻芯部の一端から他端まで引き延ばす必要がなくなる。
【0020】
また、上記表面実装型パルストランスにおいて、前記第1乃至第4のワイヤは、同一ターン内における、前記第1のワイヤと前記第3のワイヤの線径方向の距離と、前記第1のワイヤと前記第4のワイヤの線径方向の距離と、前記第2のワイヤと前記第3のワイヤの線径方向の距離と、前記第2のワイヤと前記第4のワイヤの線径方向の距離とが等しくなるよう巻回されていることとしてもよい。これによれば、巻線間の磁気結合の効率が良く、周波数特性の良好な表面実装型パルストランスを得ることが可能になる。
【0021】
また、本発明による表面実装型パルストランスの製造方法は、巻芯部並びに該巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有し、基板上に設置されるドラム型コアと、巻芯部に巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、前記一次巻線の両端部を継線する第1及び第2の端子電極と前記二次巻線の中間タップを継線する第3の端子電極とが前記第1の鍔部の表面に設けられ、前記一次巻線の中間タップを継線する第4の端子電極と前記二次巻線の両端部を継線する第5及び第6の端子電極とが前記第2の鍔部の表面に設けられる表面実装型パルストランスの製造方法であって、前記一次巻線のプラス側端部の前記第1の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のマイナス側端部の前記第6の端子電極への継線とを同時に行い、前記一次巻線のマイナス側端部の前記第2の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のプラス側端部の前記第5の端子電極への継線とを同時に行うことを特徴とする。
【0022】
これによれば、同じタイミングで継線する2つの端部(一次巻線のプラス側端部と二次巻線の中間タップ、一次巻線の中間タップと二次巻線のマイナス側端部、一次巻線のマイナス側端部と二次巻線の中間タップ、一次巻線の中間タップと二次巻線のプラス側端部)の継線作業をそれぞれ同時に行えるので、一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機を用いて巻線作業を行う場合の巻線作業時間を短縮できる。
【0023】
また、本発明による表面実装型パルストランスの製造装置は、巻芯部並びに該巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有し、基板上に設置されるドラム型コアと、巻芯部に巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、前記一次巻線の両端部を継線する第1及び第2の端子電極と前記二次巻線の中間タップを継線する第3の端子電極とが前記第1の鍔部の表面に設けられ、前記一次巻線の中間タップを継線する第4の端子電極と前記二次巻線の両端部を継線する第5及び第6の端子電極とが前記第2の鍔部の表面に設けられる表面実装型パルストランスの製造装置であって、前記一次巻線のプラス側端部の前記第1の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のマイナス側端部の前記第6の端子電極への継線とを同時に行い、前記一次巻線のマイナス側端部の前記第2の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のプラス側端部の前記第5の端子電極への継線とを同時に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明によれば、一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機を用いて表面実装型パルストランスの巻線作業を行う場合の、巻線作業時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランス10の外観構造を示す略斜視図である。また、図2は表面実装型パルストランス10の平面図である。図2(a)は1層目のワイヤのみを示し、図2(b)は2層目のワイヤも示している。図3は、図1のA−A'線断面図であり、各ワイヤの巻回構造の詳細を示している。以下、これらの図を参照しながら、表面実装型パルストランス10の構成について説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、表面実装型パルストランス10はドラム型コア11と、ドラム型コア11に取り付けられた板状コア12と、ドラム型コア11に巻回されたワイヤS1〜S4とを備えている。
【0028】
ドラム型コア11は、棒状の巻芯部11aと、巻芯部11aの両端に設けられた鍔部11b,11cとを備え、これらが一体化された構造を有している。ドラム型コア11は基板(後述)上に設置して用いるものであり、鍔部11b,11cの上面11bs,11csを基板に対向させた状態で該基板に貼り付けられる。板状コア12は、鍔部11b,11cの下面(上面11bs,11csの反対側の面)と固着している。
【0029】
なお、ドラム型コア11及び板状コア12は、比較的透磁率の高い磁性材料、例えばNi−Zn系フェライトやMn−Zn系フェライトの焼結体によって作られている。なお、Mn−Zn系フェライトなどの透磁率の高い磁性材料は、固有抵抗が低く導電性を有しているのが通常である。
【0030】
鍔部11bの上面11bsには3つの端子電極E1〜E3が形成されており、鍔部11cの上面11csには3つの端子電極E4〜E6が形成されている。端子電極E1〜E3は、図1に示したx方向(基板面内で磁心方向(y方向)と垂直な方向)の一端側から、この順で配置されている。同様に、端子電極E4〜E6も、x方向の一端側から、この順で配置されている。端子電極E1〜E6にはワイヤS1〜S4の各端部が熱圧着により継線される。
【0031】
なお、端子電極E3は、図1及び図2から明らかなように、端子電極E1,E2から少し離して設けてある。端子電極E4についても同様に、端子電極E5,E6から少し離して設けてある。これは一次巻線と二次巻線の間の耐圧を確保するためである。この点については、後に再度詳しく説明する。
【0032】
ワイヤS1〜S4は被覆導線であり、巻芯部11aに2層構造で巻回される。つまり、図2(a)(b)及び図3に示すように、ワイヤS1,S4がバイファイラ巻き(2本のワイヤを交互に並べて単層巻きすること。)により1層目を構成し、ワイヤS2,S3がバイファイラ巻きにより2層目を構成する。ワイヤS1〜S4のターン数は互いに同一である。
【0033】
なお、図2(a)(b)に示すように、ワイヤS1〜S4の巻回方向は1層目と2層目とで異なっている。すなわち、例えば鍔部11bから鍔部11cに向かう巻回方向を鍔部11bから見た場合、ワイヤS1,S4の巻回方向は時計周りであるのに対し、ワイヤS2,S3の巻回方向は反時計周りであり、互いに逆になっている。このようにしているのは、巻き始めの際及び巻き終わりの際に各ワイヤを巻芯部11aの一端から他端まで引き延ばさないで済むようにするためであるが、その詳細については後述する。
【0034】
ワイヤS1〜S4と端子電極E1〜E6の結線について説明する。図2(a)に示すように、ワイヤS1の一端S1a,他端S1bはそれぞれ端子電極E1,E4に継線され、ワイヤS4の一端S4a,他端S4bはそれぞれ端子電極E3,E6に継線される。また、図2(b)に示すように、ワイヤS2の一端S2a,他端S2bはそれぞれ端子電極E4,E2に継線される。また、ワイヤS3の一端S3a,他端S3bはそれぞれ端子電極E5,E3に継線される。
【0035】
図4は、以上の構成により実現される表面実装型パルストランス10の等価回路である。
【0036】
図4に示すように、端子電極E1とE2はそれぞれ平衡入力のプラス側端子IN+とマイナス側端子IN−になる。また、端子電極E5とE6はそれぞれ平衡出力のプラス側端子OUT+とマイナス側端子OUT−になる。端子電極E3,E4は、それぞれ入力側,出力側の中間タップCTとなる。ワイヤS1,S2は表面実装型パルストランス10の一次巻線を構成し、ワイヤS3,S4は表面実装型パルストランス10の二次巻線を構成する。また、ドラム型コア11と板状コア12は表面実装型パルストランス10の閉磁路を構成している。
【0037】
表面実装型パルストランス10の動作について、再度図2(b)を参照しながら、より詳しく説明しておく。図2(b)には、表面実装型パルストランス10の平衡入力電流i及び平衡出力電流iと、動作時に巻芯部11aに発生する磁界mも示している。同図に示すように、端子電極E1,E2に平衡入力電流iを流し込むと、ワイヤS1,S2が巻回されている巻芯部11aには、鍔部11b側にS極、鍔部11c側にN極を有する磁界mが発生する。この磁界mは、ワイヤS3,S4に誘導電流を発生させ、この誘導電流が平衡出力電流iとなる。したがって、図4に示した等価回路が実現される。
【0038】
ここで、上述したように、ワイヤS1,S4の巻回方向とワイヤS2,S3の巻回方向とは互いに逆になっている。これにより、各ワイヤを、継線される鍔部の最寄位置で巻き始め、かつ巻き終わることが可能になっている。つまり、仮にワイヤS1,S4の巻回方向とワイヤS2,S3の巻回方向とを同一とした場合、表面実装型パルストランス10に上記のような動作をさせるためには(特に、磁界mによって平衡出力電流iを発生させるためには)、ワイヤS2,S3を端子電極E2,E3に継線した後、鍔部11c側まで引き延ばして巻き始め、巻き終わりでは鍔部11b側から端子電極E4,5まで引き延ばして継線する必要が生ずるが、表面実装型パルストランス10では、このような引き延ばしが不要になっている。
【0039】
次に、図5は、表面実装型パルストランス10が実装されるプリント基板50の平面図である。
【0040】
図5に示すプリント基板50上の領域51は表面実装型パルストランス10の搭載領域である。同図に示すように、搭載領域51には6つのランドパターン52〜57が設けられている。ランドパターン52,53は一対の平衡伝送線路STL1,SBL1に接続されるパターンであり、表面実装型パルストランス10の端子電極E1,E2に接続される。ランドパターン56,57は平衡伝送線路STL2,STL2に接続されるパターンであり、表面実装型パルストランス10の端子電極E5,E6に接続される。ランドパターン54,55はそれぞれ、表面実装型パルストランス10の二次巻線(ワイヤS3,S4),一次巻線(ワイヤS1,S2)の中間タップ用線路CTL2,CTL1に接続されるパターンであり、表面実装型パルストランス10の端子電極E3,E4に接続される。
【0041】
このようなレイアウトにより、平衡伝送線路STL1,SBL1と平衡伝送線路STL2,STL2とを平行且つ直線的に形成することができる。これにより、プリント基板上における配線パターンの迂回などが不要となることから、配線パターンの占有面積が必要以上に増大することがなく、しかも、配線パターンの対称性を確保することが可能となる。これにより、装置全体の小型化と信号品質の向上を両立させることが可能となる。
【0042】
なお、図5では中間タップ用線路CTL1,CTL2を個別に設けているが、中間タップを単にグランドに接続する場合には、1つの中間タップ用線路CTLをランドパターン54,55の両方に接続することとしてもよい。
【0043】
次に、表面実装型パルストランス10の製造装置(自動巻線機)及び製造方法を説明する。
【0044】
図6〜図13は、表面実装型パルストランス10のワイヤ巻回作業を行う自動巻線機70の構成と、自動巻線機70が行う巻線作業の各工程とを示す図である。
【0045】
初めに自動巻線機70の構成について説明する。図6及び図7に示すように、自動巻線機70は、ドラム型コア11を鍔部11bで固定する台71と、ワイヤを一時固定する3つの固定器72a〜72cと、ドラム型コア11の一方側に設けられた3つのガイドピン73a〜73cと、図示しないボビンから繰り出されるワイヤを引き回す2つのノズル74a,74bと、ヒーター75(図6に、鍔部との接触面の形状のみを点線で示す。)と、カッター76(図7に、断面の形状のみを点線で示す。)とを備えている。
【0046】
なお、自動巻線機70は、継線作業を実施するためのヒーター75とカッター76を1つずつしか有しておらず、2つの鍔部の両方で一度に継線作業を行うことはできない。
【0047】
さて、自動巻線機70はまず、図6に示すようにノズル74a,74bから繰り出されるワイヤをそれぞれ固定器72a,72cに固定する。なお、このときノズル74a,74bから繰り出されるワイヤはそれぞれワイヤS1,S4となる。
【0048】
次に、自動巻線機70は、ノズル74a,74bを、それぞれガイドピン73a,73cを経由して鍔部11c付近まで移動させる。これにより、ワイヤS1,S4はそれぞれ端子電極E1,E3上を通ることになる。
【0049】
自動巻線機70は、ワイヤS1,S4が端子電極E1,E3上にある状態で、ヒーター75を鍔部11b上に移動させ、さらに下降させて鍔部11bの表面に接触させる。これにより、ワイヤS1,S4は端子電極E1,E3に熱圧着され、熱圧着された部分はそれぞれ端部S1a,S4aとなる。
【0050】
熱圧着が完了したら、自動巻線機70はヒーター75を移動し、次に図7に示すようにカッター76を鍔部11bの巻芯部11aと反対側の端部に沿って下降させ、ワイヤS1,S4を切断する。
【0051】
次に、図7に示すように、自動巻線機70はノズル74a,74bを鍔部11b付近まで移動させ、ノズル74aがノズル74bから見て鍔部11b側に来るように隣接配置する。そして、その位置から、ノズル74a,74bを図7に示す方向Bに沿って移動させる。同時に、ドラム型コア11を、磁心方向を中心にして図7に示す方向R1に回転させる。これらの動作により、巻芯部11aには図8に示すようにワイヤS1,S4がバイファイラ巻きされる。なお、自動巻線機70は、各ワイヤの位置関係が図3に示した関係になるよう、ドラム型コア11の回転速度とノズル74a,74bの動作とを制御する。
【0052】
必要ターン数の巻回が終了したら、自動巻線機70は、図8に示すようにノズル74a,74bをそれぞれ端子電極E4,E6の上を超えて移動させることによってワイヤS1,S4を端子電極E4,E6の上まで引き回し、さらにヒーター75を鍔部11c上に移動させ、下降させて鍔部11cの表面に接触させる。これにより、ワイヤS1,S4は端子電極E4,E6に熱圧着され、熱圧着された部分はそれぞれ端部S1b,S4bとなる。
【0053】
熱圧着が完了したら、自動巻線機70はヒーター75を移動し、次に図9に示すようにカッター76を鍔部11cの巻芯部11aと反対側の端部に沿って下降させ、ワイヤS1,S4を切断する。以上で、1層目の巻回作業が完了する。
【0054】
2層目では、自動巻線機70はまず、図10に示すようにノズル74a,74bから繰り出されるワイヤをそれぞれ固定器72b,72cに固定する。なお、このときノズル74a,74bから繰り出されるワイヤはそれぞれワイヤS2,S3となる。
【0055】
次に、自動巻線機70は、ノズル74a,74bを、それぞれガイドピン73b,73cを経由して鍔部11c付近まで移動させる。これにより、ワイヤS2,S3はそれぞれ端子電極E2,E3上を通ることになる。なお、端子電極E3上でワイヤS3とワイヤS4とが重ならないよう、ノズル74bをガイドピン73cから鍔部11cに移動させる際には、磁心方向に対して若干斜めに移動させることが好ましい。
【0056】
自動巻線機70は、ワイヤS2,S3が端子電極E2,E3上にある状態で、ヒーター75を鍔部11b上に移動させ、さらに下降させて鍔部11bの表面に接触させる。これにより、ワイヤS2,S3は端子電極E2,E3に熱圧着され、熱圧着された部分はそれぞれ端部S2b,S3bとなる。
【0057】
熱圧着が完了したら、自動巻線機70はヒーター75を移動し、次に図11に示すようにカッター76を鍔部11bの巻芯部11aと反対側の端部に沿って下降させ、ワイヤS2,S3を切断する。
【0058】
次に、図11に示すように、自動巻線機70はノズル74a,74bを鍔部11b付近まで移動させ、ノズル74bがノズル74aから見て鍔部11b側に来るように隣接配置する。そして、その位置から、ノズル74a,74bを図11に示す方向Bに沿って移動させる。同時に、ドラム型コア11を、磁心方向を中心にして図11に示す方向R2に回転させる。方向R2は、前述の方向R1とは逆方向になっている。これらの動作により、既に巻芯部11aに巻回されているワイヤS1,S2の上に、図12に示すようにワイヤS2,S3がバイファイラ巻きされる。なお、自動巻線機70は、各ワイヤの位置関係が図3に示した関係になるよう、ドラム型コア11の回転速度とノズル74a,74bの動作とを制御する。
【0059】
必要ターン数の巻回が終了したら、自動巻線機70は、図12に示すようにノズル74a,74bをそれぞれ端子電極E4,E5の上を超えて移動させることによってワイヤS2,S3を端子電極E4,E5の上まで引き回し、さらにヒーター75を鍔部11c上に移動させ、下降させて鍔部11cの表面に接触させる。これにより、ワイヤS2,S3は端子電極E4,E5に熱圧着され、熱圧着された部分はそれぞれ端部S2a,S3aとなる。
【0060】
熱圧着が完了したら、自動巻線機70はヒーター75を移動し、次に図13に示すようにカッター76を鍔部11cの巻芯部11aと反対側の端部に沿って下降させ、ワイヤS2,S3を切断する。以上で、2層目の巻回作業が完了する。
【0061】
以上説明したように、自動巻線機70は、同じタイミングで継線する2つの端部(端部S1aとS4a、端部S1bとS4b、端部S2bとS3b、端部S2aとS3a)の継線作業(ヒーター75による熱圧着及びカッター76による切断)をそれぞれ同時に行っている。したがって、1つずつ継線する背景技術(図18)に比べて、巻線作業時間が大幅に短縮される。具体的には、背景技術による表面実装型パルストランス1の巻線作業には自動巻線機を用いて44秒かかっていたが、自動巻線機70を用いる表面実装型パルストランス10の巻線作業は18秒で完了するようになった。
【0062】
このような巻線作業時間の短縮を可能にしたのは、上述した表面実装型パルストランス10の構成、及び表面実装型パルストランス10の該構成に対応した自動巻線機70の構成である。
【0063】
まず、表面実装型パルストランス10については、同じタイミングで継線する2つの端部(端部S1aとS4a、端部S1bとS4b、端部S2bとS3b、端部S2aとS3a)の両方が1つの鍔部に位置している。これにより、自動巻線機70のような、一度に片方の鍔部にしか継線作業を行えない自動巻線機でも、2つの端部を同時に継線することが可能になっている。
【0064】
次に、自動巻線機70については、3つのガイドピン73a〜73cをドラム型コア11の一方側に設けているので、ノズル74a,74bの移動によって各ワイヤを端子電極上に引き回す際、同じ方向から引き回すことが可能になっている。これにより、例えば端部S1aとS4aを端子電極E1,E3に継線する際、ワイヤS1,S4をドラム型コア11の同じ側から端子電極E1,E3上に引き回すことができるので、2つの端部を同時に継線することが可能になっている。
【0065】
逆に言えば、自動巻線機70では、ガイドピン73a〜73cをドラム型コア11の両側に設ける必要がない。これにより、自動巻線機の構成を簡易なものとすることが可能になる。
【0066】
以下、表面実装型パルストランス10が奏するその他の効果について説明する。
【0067】
表面実装型パルストランス10では、一次巻線(ワイヤS1,S2)が継線される端子電極と二次巻線が継線される端子電極とが同一の鍔部上に設けられることになるため、鍔部上での一次巻線と二次巻線の間の耐圧を確保するために、ある程度端子電極間の距離を空ける必要がある。このことはドラム型コア11のサイズを大きくしてしまう原因となるが、表面実装型パルストランス10ではサイズが大きくなることの抑制が可能になっている。以下、詳しく説明する。
【0068】
図14は、図2bにも示した表面実装型パルストランス10の平面図である。同図に示すように、端子電極E1,E2は、鍔部11bの基板対向面11bsのx方向の一端寄りに設けられ、端子電極E3は、鍔部11bの基板対向面11bsのx方向の他端寄りに設けられる。そして、端子電極E3と端子電極E1,E2それぞれとの離隔距離D13,D23は、端子電極E1と端子電極E2の離隔距離D12よりも長くなっている。
【0069】
同様に、端子電極E4は、鍔部11cの基板対向面11csのx方向の一端寄りに設けられ、端子電極E5,E6は、鍔部11cの基板対向面11csのx方向の他端寄りに設けられている。そして、端子電極E4と端子電極E5,E6それぞれとの離隔距離D45,D46は、端子電極E5と端子電極E6の離隔距離D56よりも長くなっている。
【0070】
このように、表面実装型パルストランス10では、鍔部11bの表面上で端子電極E3と端子電極E1,E2を離し、鍔部11cの表面上で端子電極E3と端子電極E5,E6を離したので、端子電極E1,E2の間に端子電極E3を設け、端子電極E5,E6の間に端子電極E4を設ける場合に比べ、表面実装型パルストランス10のサイズを小さくすることができる。つまり、表面実装型パルストランス10のサイズが大きくなることを抑制できている。
【0071】
次に、表面実装型パルストランス10は、巻線間の磁気結合の効率が良く、周波数特性が良好となっている。以下、詳しく説明する。
【0072】
図15は、図3に示した各ワイヤの巻回構造を示す断面図のうち、1ターン分(図3において点線で囲んだ部分X)を拡大した模式図である。
【0073】
図15に示すように、同一ターン内におけるワイヤS1〜S4は、ワイヤS1がワイヤS3,S4と接触し、ワイヤS2がワイヤS3,S4と接触する位置関係を有している。これにより、同一ターン内における、ワイヤS1とワイヤS3の線径方向の距離(ワイヤの中心部を基準とした距離。以下同じ。)L13と、ワイヤS1とワイヤS4の線径方向の距離L14と、ワイヤS2とワイヤS3の線径方向の距離L23と、ワイヤS2とワイヤS4の線径方向の距離L24とが互いに等しくなっている。
【0074】
また、2層目のワイヤS2,S3は、1層目のワイヤS1,S4の間に形成される窪みに嵌り込むように配置されており、ワイヤS2,S3の線径方向の位置は、ワイヤS1,S4と半ピッチずれている。したがって、同一ターン内においてワイヤS1とワイヤS2とは接触せず、ワイヤS1とワイヤS2の線径方向の距離L12は、同一ターン内におけるワイヤS3とワイヤS4の線径方向の距離L34よりも長い。一方、同一ターン内においてワイヤS3とワイヤS4とは接触しているため、上記距離L34は、上述した距離L13、L14、L23、L24と等しくなっている。
【0075】
このように、表面実装型パルストランス10によれば、同一ターン内における一次巻線と二次巻線との距離L13、L14、L23、L24が互いに等しく、また、同一ターンにおいてこれらが接触していることから、巻線間の磁気結合の効率が良く、周波数特性が良好となっている。
【0076】
なお、本発明においては、各ワイヤの巻回構造を図3及び図15に示したようにすることは必須ではない。例えば、2層目のワイヤS2,S3の位置を入れ替えてもよい。こうする場合、自動巻線機70によりワイヤS2,S3を巻回するためにノズル74a,74bを鍔部11b付近まで移動させる際(図11)、図11に示したように、ノズル74bがノズル74aから見て鍔部11b側に来るように隣接配置するのではなく、ノズル74aがノズル74bから見て鍔部11b側に来るように隣接配置することになる。したがって、図11に示したようにノズルの位置を入れ替えてワイヤS2,S3を交差させる必要がなくなる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスの外観構造を示す略斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスの平面図である。(a)は1層目のワイヤのみを示し、(b)は2層目のワイヤも示している。
【図3】図1のA−A'線断面図であり、各ワイヤの巻回構造の詳細を示している。
【図4】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスの等価回路を示す図である。
【図5】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスが実装されるプリント基板の平面図である。
【図6】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図7】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図8】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図9】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図10】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図11】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図12】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図13】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスのワイヤ巻回作業を行う自動巻線機の構成と、自動巻線機が行う巻線作業の工程とを示す図である。
【図14】本発明の好ましい実施の形態による表面実装型パルストランスの平面図である。
【図15】図3において点線で囲んだ部分Xを拡大した模式図である。
【図16】本発明の背景技術による表面実装型パルストランスの外観構造を示す略斜視図である。
【図17】本発明の背景技術による表面実装型パルストランスの等価回路を示す図である。
【図18】本発明の背景技術による表面実装型パルストランスの巻線工程を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
E1〜E6 端子電極
S1〜S4 ワイヤ
52〜57 ランドパターン
72a〜72c 固定器
73a〜73c ガイドピン
10 表面実装型パルストランス
11 ドラム型コア
11a 巻芯部
11b,11c 鍔部
12 板状コア
50 プリント基板
51 搭載領域
52〜57 ランドパターン
70 自動巻線機
71 台
72a〜72c 固定器
73a〜73c ガイドピン
74a,74b ノズル
75 ヒーター
76 カッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部並びに該巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有し、基板上に設置されるドラム型コアと、
巻芯部に巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、
前記一次巻線の両端部を継線する第1及び第2の端子電極と前記二次巻線の中間タップを継線する第3の端子電極とが前記第1の鍔部の表面に設けられ、
前記一次巻線の中間タップを継線する第4の端子電極と前記二次巻線の両端部を継線する第5及び第6の端子電極とが前記第2の鍔部の表面に設けられることを特徴とする表面実装型パルストランス。
【請求項2】
前記第3の端子電極は、前記第1の鍔部の基板対向面の、前記基板面内で磁心方向と垂直な第1の方向の一端寄り又は他端寄りに設けられ、
前記第4の端子電極は、前記第2の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の一端寄り又は他端寄りに設けられることを特徴とする請求項1に記載の表面実装型パルストランス。
【請求項3】
前記第1及び第2の端子電極は、前記第1の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の一端寄りに設けられ、
前記第3の端子電極は、前記第1の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の他端寄りに設けられ、
前記第4の端子電極は、前記第2の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の一端寄りに設けられ、
前記第5及び第6の端子電極は、前記第2の鍔部の基板対向面の、前記第1の方向の他端寄りに設けられることを特徴とする請求項2に記載の表面実装型パルストランス。
【請求項4】
前記第3の端子電極と前記第1及び第2の端子電極それぞれとの離隔距離は、前記第1の端子電極と前記第2の端子電極の離隔距離よりも長く、
前記第4の端子電極と前記第5及び第6の端子電極それぞれとの離隔距離は、前記第5の端子電極と前記第6の端子電極の離隔距離よりも長いことを特徴とする請求項2に記載の表面実装型パルストランス。
【請求項5】
前記一次巻線は、前記第1の端子電極と前記第4の端子電極の間を接続する第1のワイヤと前記第4の端子電極と前記第2の端子電極の間を接続する第2のワイヤとにより構成され、
前記二次巻線は、前記第5の端子電極と前記第3の端子電極の間を接続する第3のワイヤと前記第3の端子電極と前記第6の端子電極の間を接続する第4のワイヤとにより構成され、
前記第1の鍔部から第2の鍔部に向かう巻回方向を前記第1の鍔部から見た場合の、前記第1及び第4のワイヤの巻回方向と、前記第2及び第3のワイヤの巻回方向とが互いに逆になっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表面実装型パルストランス。
【請求項6】
前記第1乃至第4のワイヤは、同一ターン内における、前記第1のワイヤと前記第3のワイヤの線径方向の距離と、前記第1のワイヤと前記第4のワイヤの線径方向の距離と、前記第2のワイヤと前記第3のワイヤの線径方向の距離と、前記第2のワイヤと前記第4のワイヤの線径方向の距離とが等しくなるよう巻回されていることを特徴とする請求項5に記載の表面実装型パルストランス。
【請求項7】
巻芯部並びに該巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有し、基板上に設置されるドラム型コアと、
巻芯部に巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、
前記一次巻線の両端部を継線する第1及び第2の端子電極と前記二次巻線の中間タップを継線する第3の端子電極とが前記第1の鍔部の表面に設けられ、
前記一次巻線の中間タップを継線する第4の端子電極と前記二次巻線の両端部を継線する第5及び第6の端子電極とが前記第2の鍔部の表面に設けられる表面実装型パルストランスの製造方法であって、
前記一次巻線のプラス側端部の前記第1の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、
前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のマイナス側端部の前記第6の端子電極への継線とを同時に行い、
前記一次巻線のマイナス側端部の前記第2の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、
前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のプラス側端部の前記第5の端子電極への継線とを同時に行うことを特徴とする表面実装型パルストランスの製造方法。
【請求項8】
巻芯部並びに該巻芯部の両端に設けられた第1及び第2の鍔部を有し、基板上に設置されるドラム型コアと、
巻芯部に巻回され、それぞれ中間タップが設けられる一次巻線及び二次巻線とを備え、
前記一次巻線の両端部を継線する第1及び第2の端子電極と前記二次巻線の中間タップを継線する第3の端子電極とが前記第1の鍔部の表面に設けられ、
前記一次巻線の中間タップを継線する第4の端子電極と前記二次巻線の両端部を継線する第5及び第6の端子電極とが前記第2の鍔部の表面に設けられる表面実装型パルストランスの製造装置であって、
前記一次巻線のプラス側端部の前記第1の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、
前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のマイナス側端部の前記第6の端子電極への継線とを同時に行い、
前記一次巻線のマイナス側端部の前記第2の端子電極への継線と前記二次巻線の中間タップの前記第3の端子電極への継線とを同時に行い、
前記一次巻線の中間タップの前記第4の端子電極への継線と前記二次巻線のプラス側端部の前記第5の端子電極への継線とを同時に行うことを特徴とする表面実装型パルストランスの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−109267(P2010−109267A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281761(P2008−281761)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】