説明

表面弾性波素子及び反応容器

【課題】キュベットホイールへの着脱を繰り返しても少なくとも振動子の損傷を回避することが可能な表面弾性波素子とこの表面弾性波素子を用いた反応容器を提供すること。
【解決手段】電気端子7dと櫛型電極からなる振動子7b,7cとを有し、外部装置の挿入部に挿入することにより外部装置の装置端子が表面を摺動して電気端子と接続される表面弾性波素子7と表面弾性波素子を用いた反応容器6。表面弾性波素子7は、少なくとも振動子が、表面弾性波素子表面の装置端子が摺動する領域以外の領域に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面弾性波素子及び反応容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電基板表面において電気端子と櫛型電極からなる振動子とをバスラインによって接続し、前記電気端子から電力を供給することにより前記振動子に表面弾性波を励振させる表面弾性波素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−265423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された表面弾性波素子は、ガスセンサとして使用されるが、この他、においセンサヘッド等にも使用されており、近年は、自動分析装置で使用する反応容器に取り付け、反応容器に保持した液体を音波によって非接触で攪拌する攪拌手段としての使用が検討されている。
【0005】
この場合、反応容器は、自動分析装置のキュベットホイールに形成されたホルダと呼ばれる挿入部に挿入すると、装置側の端子が前記電気端子に接触して電力が供給されるように構成されている。このため、表面弾性波素子は、反応容器をキュベットホイールのホルダに着脱する都度、装置側の端子が圧電基板表面を摺動する。通常、表面弾性波素子は、振動子やバスラインを保護するため、これらの表面を保護膜で被覆している。しかし、表面弾性波素子は、反応容器のホルダへの着脱を繰り返すと、装置側の端子の摺動によって保護膜が破れ、振動子やバスラインを損傷する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、キュベットホイールへの着脱を繰り返しても少なくとも振動子の損傷を回避することが可能な表面弾性波素子とこの表面弾性波素子を用いた反応容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る表面弾性波素子は、電気端子と櫛型電極からなる振動子とを有し、外部装置の挿入部に挿入することにより前記外部装置の装置端子が表面を摺動して前記電気端子と接続される表面弾性波素子であって、少なくとも前記振動子は、前記表面弾性波素子表面の前記装置端子が摺動する領域以外の領域に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項2に係る反応容器は、電気端子と櫛型電極からなる振動子とを有する表面弾性波素子を備え、分析装置の容器保持部に挿入することにより当該分析装置の装置端子が前記表面弾性波素子の表面を摺動して前記電気端子と接続される反応容器であって、少なくとも前記振動子は、前記表面弾性波素子表面の前記装置端子が摺動する領域以外の領域に配置されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る反応容器は、上記の発明において、前記表面弾性波素子は、当該反応容器の壁面に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る反応容器は、上記の発明において、前記表面弾性波素子は、当該反応容器とは分離されており、音響整合層を介して当該反応容器と重ね合わせて前記容器保持部に挿入されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る反応容器は、上記の発明において、前記表面弾性波素子は、当該反応容器とは分離されており、前記容器保持部に前記反応容器とは別個に挿入されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る反応容器は、上記の発明において、前記容器保持部への挿入方向は、水平方向又は鉛直方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表面弾性波素子とこの表面弾性波素子を用いた本発明の反応容器は、少なくとも振動子が、表面弾性波素子表面の装置端子が摺動する領域以外の領域に配置されているので、キュベットホイールへの着脱を繰り返しても、装置端子は、少なくとも振動子が配置された領域を摺動することがないため、少なくとも振動子の損傷を回避することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の表面弾性波素子及び反応容器にかかる実施の形態1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の反応容器を用いて分析を行う自動分析装置の概略構成図である。図2は、本発明の反応容器を図1に示す自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を示すもので、図1のA部を部分的に断面にして示す拡大斜視図である。図3は、装置側端子を有し、キュベットホイールに取り付けられる接続部材の斜視図である。図4は、図3に示す接続部材の背面図である。
【0015】
自動分析装置1は、図1に示すように、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、検体容器移送機構10、分析光学系14、洗浄機構15、制御部17及び攪拌装置20を備えている。
【0016】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。
【0017】
キュベットホイール4は、図2に示すように、周方向に沿って設けた複数の仕切り板4aによって反応容器6を保持する容器保持部となる複数のホルダ4bが周方向に形成され、駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転されて反応容器6を搬送する。キュベットホイール4は、図2に示すように、各ホルダ4bの下部に対応する位置に半径方向に測光孔4cが形成され、測光孔4cの上部に接続部材5が設けられている。
【0018】
接続部材5は、表面弾性波素子7の入力端子7dを自動分析装置1の装置端子51bと接続するもので、プリント基板51と受電基板52を有している。プリント基板51は、可撓性を有する基板の一方の面に、図3及び図4に示すように、配線51aと基板面から突出した突条に成形された装置端子51bとを有している。受電基板52は、プリント基板51の配線51a及び装置端子51bを形成した面に取り付けられ、配線51aと接続される突起状の受電部52aが端面に設けられている。
【0019】
また、キュベットホイール4は、その近傍に試薬分注機構8,9が設けられている。キュベットホイール4に収容された各反応容器6は、試薬分注機構8,9によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。ここで、試薬分注機構8,9は、それぞれ水平面内を矢印方向に回動するアーム8a,9aに試薬を分注するプローブ8b,9bが設けられ、洗浄水によってプローブ8b,9bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0020】
一方、反応容器6は、光学的に透明な素材から成形され、図2及び図5に示すように、液体を保持する保持部6aを有する四角筒状の容器であり、側壁6bの下部に表面弾性波素子7が取り付けられている。反応容器6は、後述する分析光学系14から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器6は、キュベットホイール4の測光孔4cと対向する側壁6bの点線によって囲まれた領域が前記分析光を透過させる測光用の窓6cとして利用される。反応容器6は、使用に際して、表面弾性波素子7を仕切り板4a側に向けてホルダ4bにセットされる。これにより、反応容器6は、図7に示すように、接続部材5の各装置端子51bが対応する入力端子7dと接続される。
【0021】
表面弾性波素子7は、図5,図6に示すように、圧電基板7aの表面に櫛型電極(IDT)からなる振動子7b,7cがキュベットホイール4のホルダ4bへの挿入方向に距離を置いて配置されている。振動子7b,7cは、駆動制御部21から入力された駆動信号を表面弾性波(音波)に変換する発音部であり、振動子7b,7cを構成する複数のフィンガーが圧電基板7aの長手方向に沿って配列されている。また、表面弾性波素子7は、振動子7b,7cと電気端子となる入力端子7dとの間がバスライン7eによって接続されている。そして、表面弾性波素子7は、図5に示すように、入力端子7dの部分を除いて保護膜7fが被着されている。なお、振動子7b,7cは、必ずしも2つある必要はなく1つでもよい。また、振動子7b,7cは、同じ共振周波数とすることも、或いは異なる共振周波数とすることも可能である。
【0022】
ここで、接続部材5は、装置端子51bが基板面から突出した突条に成形されている。このため、反応容器6をホルダ4bへ挿入すると、表面弾性波素子7は、各装置端子51bが表面を長手方向に摺動した後、対応する入力端子7dと接続される。このとき、表面弾性波素子7は、圧電基板7a表面の装置端子51bが摺動する領域Bを図6に点線で示している。このため、表面弾性波素子7は、圧電基板7a表面の装置端子51bが摺動する図6に点線で示す領域B以外の領域Cに少なくとも振動子7b,7cを配置する。なお、表面弾性波素子7は、エポキシ樹脂等の音響整合層を介して反応容器6の側壁6bに取り付けられる。ここで、図6に示す表面弾性波素子7を含め、以下に説明する表面弾性波素子を示す図面では、振動子を構成する複数のフィンガーは省略している。
【0023】
検体容器移送機構10は、図1に示すように、フィーダ11に配列した複数のラック12を矢印方向に沿って1つずつ移送する移送手段であり、ラック12を歩進させながら移送する。ラック12は、検体を収容した複数の検体容器12aを保持している。ここで、検体容器12aは、検体容器移送機構10によって移送されるラック12の歩進が停止するごとに、水平方向に回動するアーム13aとプローブ13bとを有する検体分注機構13によって検体が各反応容器6へ分注される。このため、検体分注機構13は、洗浄水によってプローブ13bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0024】
分析光学系14は、試薬と検体とが反応した反応容器6内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射するもので、図1に示すように、発光部14a,分光部14b及び受光部14cを有している。発光部14aから出射された分析光は、反応容器6内の液体試料を透過し、分光部14bと対向する位置に設けた受光部14cによって受光される。受光部14cは、制御部17と接続されている。
【0025】
洗浄機構15は、ノズル15aによって反応容器6内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル15aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系14による分析が終了した反応容器6を洗浄する。
【0026】
制御部17は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、発光部14aの出射光量と受光部14cが受光した光量に基づく反応容器6内の液体試料の吸光度に基づいて検体の成分や濃度等を分析し、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部17は、図1に示すように、入力部18及び表示部19と接続されている。入力部18は、制御部17へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。入力部18は、攪拌装置20の表面弾性波素子7に入力する駆動信号の周波数を切り替える操作等にも使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0027】
攪拌装置20は、図8に示すように、駆動制御部21を有している。駆動制御部21は、制御部17を介して入力部18から入力される液体の検査項目、液体の性状又は液量等の情報に基づいて表面弾性波素子7に入力する駆動信号の周波数を変更し、音波を発生する発音部の位置を切り替える単一の駆動制御部である。駆動制御部21は、信号発生器22と駆動制御回路23とを備え、キュベットホイール4の外周にキュベットホイール4と対向させて配置されている(図1参照)。駆動制御部21は、キュベットホイール4が停止した際に、受電基板52の対応する受電部52aと接触し、駆動制御部21と表面弾性波素子7とを電気的に接続する接触子を有している。
【0028】
信号発生器22は、駆動制御回路23から入力される制御信号に基づいて発振周波数を変更可能な発振回路を有しており、数MHz〜数百MHz程度の高周波の駆動信号を表面弾性波素子7に入力する。駆動制御回路23は、メモリとタイマを内蔵した電子制御手段(ECU)が使用され、制御部17を介して入力部18から入力される制御信号に基づいて信号発生器22の作動を制御することにより、信号発生器22が表面弾性波素子7へ出力する駆動信号の電圧や電流を制御する。駆動制御回路23は、信号発生器22の作動を制御することにより、例えば、表面弾性波素子7が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。また、駆動制御回路23は、内蔵したタイマに従って信号発生器22が発振する高周波信号の周波数を変化させることができる。
【0029】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器6に試薬分注機構8,9が試薬容器2a,3aから試薬を順次分注する。試薬が分注された反応容器6は、検体分注機構13によってラック12に保持された複数の検体容器12aから検体が順次分注される。そして、キュベットホイール4が停止する都度、駆動制御部21の接触子が受電部52aと接触し、駆動制御部21と表面弾性波素子7とが電気的に接続される。このため、反応容器6は、分注された試薬と検体が、表面弾性波素子7が発する音波によって順次攪拌されて反応する。
【0030】
このようにして検体と試薬が反応した反応液は、キュベットホイール4が再び回転したときに分析光学系14を通過し、図8に示すように、発光部14aから出射された光束LBが透過する。これにより、反応容器6内の試薬と検体の反応液は、受光部14cで側光され、制御部17によって成分濃度等が分析される。そして、分析が終了した反応容器6は、洗浄機構15によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0031】
ここで、反応容器6は、キュベットホイール4のホルダ4bに着脱を繰り返した場合、接続部材5の各装置端子51bが圧電基板7aの表面を長手方向に摺動する。このとき、表面弾性波素子7は、被着した保護膜7f(図5参照)によって入力端子7d以外の部分が保護されているが、ホルダ4bへの着脱を繰り返すと、保護膜7fが破れ、振動子7b,7cやバスライン7eを損傷する恐れがある。しかし、表面弾性波素子7は、図6に示すように、圧電基板7a表面の装置端子51bが摺動する領域B以外の領域Cに少なくとも振動子7b,7cが配置されている。このため、表面弾性波素子7は、ホルダ4bに反応容器6の着脱を繰り返しても、装置端子51bが領域Cを摺動することがないので、振動子7b,7cを損傷することはない。
【0032】
ここで、本発明の表面弾性波素子7は、反応容器6をホルダ4bに挿入する際に、表面弾性波素子7表面の装置端子51bが摺動する領域以外の領域に少なくとも振動子7b,7cが配置されていればよい。このため、例えば、図9に示す反応容器6のように、表面弾性波素子7は、反応容器6を矢印で示す挿入方向に移動させてホルダ4bに挿入する際、その表面の装置端子51bが摺動する領域全体に入力端子7dを形成し、装置端子51bが摺動する領域以外の領域に少なくとも振動子7b,7cを配置してもよい。このように構成すると、反応容器6は、振動子7b,7cのみならず、バスライン7eの損傷を回避することができる。
【0033】
また、例えば、図10に示す反応容器6のように、表面弾性波素子7は、圧電基板7a表面の装置端子51bが摺動する領域以外の領域、即ち、入力端子7d,7dの間に振動子7cを配置すると共に、ホルダ4bへの挿入方向から見て入力端子7d,7dの後方に振動子7bを配置してもよい。このような構成とした場合、図10に示す反応容器6は、ホルダ4bへ挿入すると、装置端子51bが表面弾性波素子7の表面を殆ど摺動することなく入力端子7dに接続され、振動子7b,7cやバスライン7eは殆ど損傷を受けることはない。この場合、振動子7bは、2つ設けているので、保持部6aに保持された液体を広範囲に攪拌することができるが、1つであってもよい。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の表面弾性波素子及び反応容器にかかる実施の形態2について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の反応容器は、キュベットホイールのホルダに鉛直方向から挿入した。これに対し、実施の形態2の反応容器は、キュベットホイールのホルダに水平方向から挿入する。図11は、本発明の反応容器を本発明の表面弾性波素子と共に示す斜視図である。図12は、本発明の反応容器を自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を、キュベットホイールを部分的に断面にして示す拡大斜視図である。図13は、キュベットホイールに取り付けられる接続部材の正面図である。
【0035】
ここで、以下に説明する各実施の形態の反応容器は、実施の形態1と同じ自動分析装置1で使用され、攪拌装置20によって表面弾性波素子が駆動される。このため、自動分析装置1及び攪拌装置20に言及する必要がある場合には、自動分析装置1及び攪拌装置20と同一の構成部分には同一の符号を用いて説明している。
【0036】
反応容器30は、実施の形態1の反応容器6と同一の素材からなり、図11に示すように、液体を保持する保持部30aを有する四角筒状の容器であり、表面弾性波素子31が音響整合層を介して側壁30bに取り付けられている。反応容器30は、表面弾性波素子31を取り付けていない対向する側壁30bの点線によって囲まれた領域が分析光を透過させる測光用の窓30cとして利用される。反応容器30は、矢印で示す挿入方向に移動させてホルダ4eに挿入される。
【0037】
表面弾性波素子31は、表面弾性波素子7と同一の素材から構成され、図11に示すように、圧電基板31aの表面に櫛型電極からなる振動子31b,31cが上下に距離を置いて配置され、振動子31b,31cと入力端子31dとの間がバスライン31eによって接続されている。表面弾性波素子31は、入力端子31dの部分を除いて保護膜が被着されている。
【0038】
反応容器30は、以上のように構成され、キュベットホイールのホルダに水平方向から挿入される。このため、キュベットホイール4は、図12に示すように、半径方向外周側が開放され、矢印で示すように反応容器30を外周側から配置する複数のホルダ4eが複数の仕切り板4aによって周方向に形成されている。このとき、キュベットホイール4は、各ホルダ4eに接続部材33が設けられている。
【0039】
接続部材33は、表面弾性波素子31の入力端子31dを自動分析装置1の装置端子と接続するもので、図13に示すように、可撓性を有するプリント基板33aに配線33bと、板面から突出した突条に成形された装置端子33cと、接続用の同軸コネクタ33dとが設けられている。接続部材33は、プリント基板33aを点線に沿って90°折り曲げ、図12に示すように、短辺をキュベットホイール4の内周側に配置して、長辺が内周側からホルダ4eに挿着される。このとき、接続部材33は、長辺をホルダ4eに挿着したとき、装置端子33cがホルダ4eの内周側に配置されるように装置端子33cをプリント基板33aに形成しておく。
【0040】
実施の形態2の反応容器30は、以上のように構成されているので、反応容器30をホルダ4eに挿入すると、図14に示すように、接続部材33の各装置端子33cが表面弾性波素子31の対応する入力端子31dと接続される。このとき、装置端子33cは、ホルダ4eの内周側に配置されるようにプリント基板33aに形成してある。このため、反応容器30は、ホルダ4eへの挿入が終了したときに入力端子31dが装置端子33cに当接し、装置端子33cは殆ど表面弾性波素子31の表面を摺動することがない。従って、反応容器30は、キュベットホイール4のホルダ4eへの着脱を繰り返しても、装置端子33cが振動子31b,31cやバスライン31eを形成した領域を摺動しないので、振動子31b,31cやバスライン31eを損傷することはない。
【0041】
(実施の形態3)
次に、本発明の表面弾性波素子及び反応容器にかかる実施の形態3について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1,2の反応容器は、表面弾性波素子が側壁に取り付けられていた。これに対し、実施の形態3の反応容器は、表面弾性波素子が反応容器から分離されている。図15は、本発明の反応容器を本発明の表面弾性波素子と共に示すもので、反応容器を自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を、キュベットホイールを部分的に断面にして示す拡大斜視図である。
【0042】
反応容器35は、実施の形態1の反応容器6と同一の素材からなり、図15に示すように、液体を保持する保持部35aを有する四角筒状の容器であり、表面弾性波素子36とは分離されている。反応容器35は、音響整合層を介して表面弾性波素子36を側壁30bに重ね合わせてキュベットホイール4のホルダ4bに挿入される。反応容器35は、側壁35bの点線によって囲まれた領域が分析光を透過させる測光用の窓35cとして利用される。このとき、キュベットホイール4は、実施の形態1のキュベットホイール4と同様に、プリント基板51と受電基板52とを有する接続部材5が設けられている。
【0043】
表面弾性波素子36は、図15に示すように、圧電基板36aが側壁30bと同じ大きさであることを除いて実施の形態1の表面弾性波素子7と同様に構成され、圧電基板36aの表面に櫛型電極からなる振動子36b,36cがホルダ4bへの挿入方向に距離を置いて配置されている。また、表面弾性波素子36は、振動子36b,36cと入力端子36dとの間がバスライン36eによって接続されている。そして、表面弾性波素子36は、圧電基板36a表面の装置端子51bが摺動する領域以外の領域に少なくとも振動子36b,36cを配置する。ここで、表面弾性波素子36は、入力端子36dの部分を除いて保護膜が被着されている。
【0044】
表面弾性波素子36は、以上説明したように、圧電基板36aの装置端子51bが摺動する領域以外の領域に少なくとも振動子36b,36cが配置されている。このため、表面弾性波素子36は、ホルダ4bに反応容器35の着脱を繰り返しても、装置端子51bが振動子36b,36cを形成した領域を摺動することがないので、振動子36b,36cを損傷することはない。
【0045】
また、反応容器35は、実施の形態1の反応容器6と異なり、表面弾性波素子36とは分離されている。このため、反応容器35は、表面弾性波素子が取り付けられている反応容器と異なり、表面弾性波素子36が故障した場合には、他の表面弾性波素子36に変えればいつでも使用することができるので、使い勝手に優れているという利点がある。
【0046】
(実施の形態4)
次に、本発明の表面弾性波素子及び反応容器にかかる実施の形態4について、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態3の反応容器は、表面弾性波素子が反応容器から分離され、音響整合層を介して表面弾性波素子を重ね合わせた状態でキュベットホイールのホルダに挿入した。これに対し、実施の形態4の反応容器は、表面弾性波素子が反応容器から分離され、反応容器と表面弾性波素子とは別個にキュベットホイールのホルダに挿入される。図16は、本発明の反応容器を本発明の表面弾性波素子と共に示すもので、反応容器を自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を、キュベットホイールを部分的に断面にして示す拡大斜視図である。図17は、表面弾性波素子を正面側から見た斜視図である。図18は、キュベットホイールに取り付けられる接続部材の正面図である。
【0047】
反応容器40は、実施の形態1の反応容器6と同一の素材からなり、図16に示すように、液体を保持する保持部40aを有する四角筒状の容器であり、表面弾性波素子41とは分離されている。反応容器40は、キュベットホイール4のホルダ4bに表面弾性波素子41とは別個に挿入される。反応容器40は、測光孔4cと対向する側壁40bの点線によって囲まれた領域が分析光を透過させる測光用の窓40cとして利用される。
【0048】
表面弾性波素子41は、表面弾性波素子7と同一の素材から構成され、図17に示すように、圧電基板41aの表面に櫛型電極からなる振動子41b,41cが上下に距離を置いて配置され、振動子41b,41cと入力端子41dとの間がバスライン41eによって接続されている。表面弾性波素子41は、入力端子41dの部分を除いて保護膜が被着されている。
【0049】
このとき、キュベットホイール4は、図16に示すように、各ホルダ4bの測光孔4cと隣接する位置に半径方向に延びるスリット4fが外周側に形成され、内周側には実施の形態2の接続部材33と同一構成の接続部材42が設けられている。スリット4fは、キュベットホイール4の外周側から表面弾性波素子41が水平方向に挿入される。
【0050】
接続部材42は、図18に示すように、可撓性を有するプリント基板42aに配線42bと、板面から突出した突条に成形された装置端子42cと、接続用の同軸コネクタ42dとが設けられている。接続部材42は、プリント基板42aを点線に沿って90°折り曲げ、図16に示すように、短辺をキュベットホイール4の内周側に配置して、長辺が内周側からホルダ4bに挿着される。このとき、接続部材42は、長辺をホルダ4bに挿着したとき、装置端子42cがホルダ4bの内周側に配置されるように装置端子42cをプリント基板42aに形成しておく。
【0051】
反応容器40及び表面弾性波素子41は、以上のように構成され、反応容器40は、キュベットホイールのホルダに鉛直上方から挿入され、表面弾性波素子41は、スリット4fに水平方向外周側から挿入される。このとき、表面弾性波素子41は、反応容器40と接続部材42との間に配置され、反応容器40との間に音響整合層を配置する。
【0052】
このため、反応容器40をホルダ4bに挿入すると、接続部材42の各装置端子42cが表面弾性波素子41の対応する入力端子41dと接続される。このとき、装置端子42cは、ホルダ4bの内周側に配置されるようにプリント基板42aに形成してある。このため、反応容器40は、表面弾性波素子41と併せてホルダ4bへ挿入すると、表面弾性波素子41の入力端子41dが装置端子42cに当接し、装置端子42cは殆ど表面弾性波素子41の表面を摺動することがない。従って、表面弾性波素子41は、キュベットホイール4のホルダ4eへ反応容器40の着脱を繰り返しても、装置端子42cが振動子41b,41cやバスライン41eを形成した領域を摺動しないので、振動子41b,41cやバスライン41eを損傷することはない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の反応容器を用いて分析を行う自動分析装置の概略構成図である。
【図2】本発明の反応容器を図1に示す自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を示すもので、図1のA部を部分的に断面にして示す拡大斜視図である。
【図3】装置側端子を有し、キュベットホイールに取り付けられる接続部材の斜視図である。
【図4】図3に示す接続部材の背面図である。
【図5】図2に示す本発明の反応容器の下半側を示す断面図である。
【図6】図2に示す本発明の反応容器の下半側を示す正面図である。
【図7】キュベットホイールのホルダに反応容器を挿入した状態を水平に切断した断面図である。
【図8】本発明の反応容器の表面弾性波素子を駆動する駆動手段の構成を反応容器の斜視図と共に示すブロック図である。
【図9】本発明の反応容器の第一の変形例を示す斜視図である。
【図10】本発明の反応容器の第二の変形例を示す斜視図である。
【図11】本発明の反応容器を本発明の表面弾性波素子と共に示す斜視図である。
【図12】自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を、キュベットホイールを部分的に断面にして示す拡大斜視図である。
【図13】キュベットホイールに取り付けられる接続部材の正面図である。
【図14】キュベットホイールのホルダに本発明の反応容器を挿入した状態をキュベットホイールの外周側から見た正面図である。
【図15】本発明の反応容器を本発明の表面弾性波素子と共に示すもので、反応容器を自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を、キュベットホイールを部分的に断面にして示す拡大斜視図である。
【図16】本発明の反応容器を本発明の表面弾性波素子と共に示すもので、反応容器を自動分析装置のキュベットホイールに挿入する様子を、キュベットホイールを部分的に断面にして示す拡大斜視図である。
【図17】表面弾性波素子を正面側から見た斜視図である。
【図18】キュベットホイールに取り付けられる接続部材の正面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 キュベットホイール
4b ホルダ
5 接続部材
51 プリント基板
52 受電基板
51a 配線
51b 装置端子
52a 受電部
6 反応容器
6a 保持部
6b 側壁
6c 測光用の窓
7 表面弾性波素子
7a 圧電基板
7b,7c 振動子
7d 入力端子
7e バスライン
7f 保護膜
8,9 試薬分注機構
10 検体容器移送機構
11 フィーダ
12 ラック
12a 検体容器
13 検体分注機構
14 分析光学系
15 洗浄機構
17 制御部
18 入力部
19 表示部
20 攪拌装置
21 駆動制御部
22 信号発生器
23 駆動制御回路
B 装置端子が摺動する領域
C 装置端子が摺動する領域と隣接する領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気端子と櫛型電極からなる振動子とを有し、外部装置の挿入部に挿入することにより前記外部装置の装置端子が表面を摺動して前記電気端子と接続される表面弾性波素子であって、
少なくとも前記振動子は、前記表面弾性波素子表面の前記装置端子が摺動する領域以外の領域に配置されることを特徴とする表面弾性波素子。
【請求項2】
電気端子と櫛型電極からなる振動子とを有する表面弾性波素子を備え、分析装置の容器保持部に挿入することにより当該分析装置の装置端子が前記表面弾性波素子の表面を摺動して前記電気端子と接続される反応容器であって、
少なくとも前記振動子は、前記表面弾性波素子表面の前記装置端子が摺動する領域以外の領域に配置されることを特徴とする反応容器。
【請求項3】
前記表面弾性波素子は、当該反応容器の壁面に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の反応容器。
【請求項4】
前記表面弾性波素子は、当該反応容器とは分離されており、音響整合層を介して当該反応容器と重ね合わせて前記容器保持部に挿入されることを特徴とする請求項2に記載の反応容器。
【請求項5】
前記表面弾性波素子は、当該反応容器とは分離されており、前記容器保持部に前記反応容器とは別個に挿入されることを特徴とする請求項2に記載の反応容器。
【請求項6】
前記容器保持部への挿入方向は、水平方向又は鉛直方向であることを特徴とする請求項2に記載の反応容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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