説明

表面弾性波装置

【課題】 表面弾性波素子及び実装基板間を封止している封止樹脂が表面弾性波素子の励振部に至るまで流入するのを防止できる表面弾性波装置を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる表面弾性波装置1は、表面弾性波素子2がバンプ4を実装基板3に介して接続され、表面弾性波素子2の外周縁を封止樹脂5で封止した構成を有し、表面弾性波素子2の励振部6と実装基板3との間には振動空間7が確保されたものであって、表面弾性波素子2には、バンプ4及び励振部6を取り囲んだ外側樹脂流入防止堰9と、励振部6を取り囲んだ内側樹脂流入防止堰10とが設けられており、外側樹脂流入防止堰9の高さh1はバンプ4の高さh2と実装基板3に形成された電極ランド8の高さh3との合算高さh4より低く設定され、かつ、内側樹脂流入防止堰10の高さh5はバンプ4の高さh2より低く設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面弾性波装置にかかり、特には、表面弾性波素子を実装基板との間で封止している封止樹脂が表面弾性波素子の励振部に至るまで流入するのを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面弾性波装置の一例としては、特許文献1で開示され、図21で側断面を示すような構造とされたものがある。すなわち、この表面弾性波装置51は、表面弾性波素子(SAWデバイスチップ)52及び実装基板53が一体化された構成を有しており、表面弾性波素子52の機能面と実装基板53の実装面とはバンプ54を介して接続されている。
【0003】
そして、表面弾性波素子52の機能面には、平面構造を図示した図22でも示すように、くし型電極部(以下、IDTという)などからなる励振部56が形成されており、この励振部56と実装基板53の実装面との間で振動空間57が確保された表面弾性波素子52の外周縁は、エポキシ樹脂などのような熱硬化型樹脂である封止樹脂58を使用したうえで封止されている。なお、この際、実装基板53の実装面には、平面構造を図示した図23で示すように、バンプ54を固定的に接続するための電極ランド59が形成されている。
【0004】
また、表面弾性波装置51にあっては、表面弾性波素子52と実装基板53との間を封止している封止樹脂58が表面弾性波素子52の励振部56へと流入するのを防止するため、バンプ54の高さよりも低い高さとされ、かつ、励振部56を取り囲んで配置された内外二重の樹脂流入防止堰61,62が表面弾性波素子52の機能面に設けられている。すなわち、ここでの樹脂流入防止堰61,62は、フォトレジストで形成され、封止樹脂58の流入を防止する堰として機能するものであり、これらの高さがバンプ54よりも低く設定されているのは、実装基板53に対する表面弾性波素子52のフェイスダウンボンディング時に押圧されるバンプ54の十分な接続強度を得る必要上、樹脂流入防止堰61,62と実装基板53の実装面との間に僅かな隙間を確保するためである。
【0005】
このような構造とされた表面弾性波装置51では、表面弾性波素子52の外周縁を封止するために塗布された封止樹脂58が、表面張力の作用により外側の樹脂流入防止堰61と実装基板53との隙間にまで、また、場合によっては、内側の樹脂流入防止堰62と実装基板53との隙間にまで到達する。ところが、これらの隙間が狭隘であるため、樹脂流入防止堰61,62を越えて封止樹脂58が流入することは起こらず、表面弾性波素子52の励振部56に至るまで封止樹脂58が流入することは防止される。
【0006】
【特許文献1】特開平8−316778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の表面弾性波装置51においては、樹脂流入防止堰61,62とバンプ54との位置関係についての配慮がなされておらず、樹脂流入防止堰61,62のいずれもが励振部56を取り囲んで設けられているに過ぎない。そこで、樹脂流入防止堰61,62のそれぞれが電極ランド59と対向していたり、電極ランド59が形成されずに露出している実装基板53の実装面そのものと対向していたりする。このような場合、本来的には均一であるべき隙間の大きさ、つまり、樹脂流入防止堰61,62と実装基板53の実装面との離間間隔が不均一となってしまう。
【0008】
その結果、表面弾性波素子52の機能面に対して内外二重の樹脂流入防止堰61,62を設けているにも拘わらず、封止樹脂58が樹脂流入防止堰61,62を越えて流入するのを防止できなくなり、封止樹脂58が表面弾性波素子52の励振部56にまで流入して付着することが起こる。このようになると、表面弾性波装置51の性能低下を招くことが避けられず、表面弾性波装置51の不良品率が増加することになってしまう。
【0009】
本発明はこれらの不都合に鑑みて創案されたものであり、表面弾性波素子及び実装基板間を封止している封止樹脂が表面弾性波素子の励振部に至るまで流入することを確実に防止できる表面弾性波装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表面弾性波装置は、圧電基板上に形成された少なくとも1つのくし型電極部からなる励振部を機能面に有する表面弾性波素子と、実装基板と、封止樹脂とを備え、実装基板の実装面と表面弾性波素子の機能面とが対向するように、表面弾性波素子と実装基板とがバンプを介して接続され、かつ、表面弾性波素子の外周縁を封止樹脂で封止した構成を有しており、表面弾性波素子の励振部と実装基板の実装面との間に振動空間が確保されてなる表面弾性波装置であって、表面弾性波素子の機能面には、バンプ及び励振部を取り囲んで配置された外側樹脂流入防止堰と、前記バンプの内側に励振部を取り囲んで配置された内側樹脂流入防止堰を有することを特徴とする
【0011】
本発明の表面弾性波装置は、外側樹脂流入防止堰と内側樹脂流入防止堰とを有しているので、外側樹脂流入防止堰で封止樹脂をせき止めることができなくても、内側樹脂流入防止堰で封止樹脂をせき止めることができ、封止樹脂が表面弾性波素子の励振部に至るまで流入することに伴う不良の発生を防止することができる。
【0012】
このとき、外側樹脂流入防止堰の高さは、内側樹脂流入防止堰よりも高いことが好ましい。特に、外側樹脂流入防止堰の高さは、表面弾性波素子と実装基板とをバンプを介して接続した後のバンプの高さと実装基板の実装面に形成された電極ランドの高さとの合算高さよりも低く設定され、かつ、内側樹脂流入防止堰の高さは、表面弾性波素子と実装基板とをバンプを介して接続した後のバンプの高さよりも低く設定されていることが好ましい。
【0013】
そして、少なくとも内側樹脂流入防止堰は、表面弾性波素子の機能面及び実装基板の実装面よりも封止樹脂の濡れ性が不良な材料を使用して形成されたものであることが好ましい。また、内側樹脂流入防止堰は、第1の内側樹脂流入防止堰と第2の内側樹脂流入防止堰からなることが好ましい。特に、第1の内側樹脂流入防止堰と第2の内側樹脂流入防止堰とは同程度の高さを有するものであることが好ましい。このとき、第1の内側樹脂流入防止堰と第2の内側樹脂流入防止堰とは、同一の材料を使用して形成されたものであることが好ましい。
【0014】
更に、外側樹脂流入防止堰は段差を有することが好ましい。更にまた、第1及び第2の発明の表面弾性波装置における外側樹脂流入防止堰の段差は、少なくとも1つの凹部によって構成されている、又は、少なくとも1つの凸部によって構成されていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の表面弾性波装置は、外側樹脂流入防止堰と対向するように、実装基板上に形成された基板側樹脂流入防止堰を更に有することが好ましい。特に、外側樹脂流入防止堰と基板側樹脂流入防止堰との合算高さは、表面弾性波素子と実装基板とをバンプを介して接続した後のバンプの高さと実装基板の実装面に形成された電極ランドの高さとの合算高さよりも低く設定されていることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図、図2は実施の形態1にかかる実装基板の構造を示す平面図であり、図3は実施の形態1にかかる表面弾性波素子の構造を示す平面図である。そして、図4は第1の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図、図5は第2の変形例にかかる側断面図であり、図6は第3の変形例にかかる側断面図である。また、図7は実施の形態1にかかる表面弾性波素子の製造手順を示す説明図であり、図8は表面弾性波装置の製造手順を示す説明図である。
【0017】
実施の形態1にかかる表面弾性波装置1は、図1で示すように、対向しあう状態として配置された表面弾性波素子(SAWデバイスチップ)2の機能面と実装基板3の実装面とがAuからなるバンプ4を介して互いに接続され、かつ、表面弾性波素子2の外周縁がエポキシ樹脂などのような熱硬化型樹脂である封止樹脂5によって封止された構成を有している。そして、表面弾性波素子2の機能面、つまり、圧電基板上に形成されたIDTや反射器、配線部からなる表面弾性波素子2の励振部6と、アルミナなどの誘電体からなる実装基板3の実装面との間には、表面弾性波を励振するために必要な振動空間7が確保されている。なお、実装基板3の実装面には、図2で示すように、バンプ4を固定的に接続するための電極ランド8が位置決めしたうえで形成されている。なお、図3における弾性表面波素子2のIDTや反射器、配線部は略して示してある。よって、これと異なっていても良い。
【0018】
一方、表面弾性波素子2の機能面には、この表面弾性波素子2と実装基板3との間を封止している封止樹脂5が表面弾性波素子2の励振部6へと流入するのを防止する外側樹脂流入防止堰9と内側樹脂流入防止堰10とが設けられている。すなわち、図3で示すように、この際における表面弾性波素子2の機能面には、バンプ4及び励振部6の双方共を取り囲む圧電基板の外周位置に配置され、平面視矩形枠形状を有する外側樹脂流入防止堰9と、励振部6のみを取り囲む内周位置に配置されて平面視矩形枠形状を有する内側樹脂流入防止堰10とが設けられている。なお、外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10は角部が丸みを帯びた形状であってもよい。
【0019】
外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10は、表面弾性波素子2の機能面及び実装基板3の実装面よりも封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料、例えば、感光性ポリイミド樹脂やBCB(樹脂成分:ベンゾシクロブテン)、Zcoat(樹脂成分:環状ポリオシフィン)などを用いたフォトレジスト法によって形成されたものであり、ここでの外側樹脂流入防止堰9は、下側層9aと上側層9bとが積層された2層構造を有している。
【0020】
これらの外側樹脂流入防止堰9と内側樹脂流入防止堰10とに用いられる材料は、表面弾性波装置1をプリント基板に半田で実装する際のリフローへの耐熱性に優れていることが望ましいが、リフロー時の温度は使用する半田の材料によって異なる。例えば、Sn−Pb共晶半田のリフロー時の温度は180℃、また、Sn−Ag−Cu系半田のリフロー時の温度は220℃であり、これらのことを考慮すると、外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10に用いられる材料は260℃の温度に耐えることができればよい。
【0021】
すなわち、外側樹脂流入防止堰9と内側樹脂流入防止堰10とを形成する材料には、次のような特性を有することが求められる。まず、半田による実装時のリフローに対する耐熱性であり、上述のように、260℃での大きな変形、分解、アウトガスを生じないことが求められる。但し、封止樹脂5で封止した後の変形については、必須要件ではない。
【0022】
次に、封止樹脂5の流入を防止するため、表面弾性波素子2の圧電基板、実装基板3の表面や実装基板3上に配置された電極ランド8などの表面よりも封止樹脂5に対する濡れ性が悪いことが好ましい。また、誘電率が低いことが求められる。誘電率が大きい場合には、樹脂流入防止堰9,10の配置によって電気的特性、特に、入力容量が変化し、その結果、表面弾性波装置1の特性劣化が生じることもあるため、特には、表面弾性波素子2を構成する圧電基板の有する誘電率よりも低いことが望ましい。更に、樹脂流入防止堰9,10の形成後は、封止樹脂5によって変形しない硬度を有していることが必要となる。更にまた、表面弾性波素子2と実装基板3との線膨張係数の違いに起因して発生する表面弾性波の変形をなくすため、硬度が低いことが望ましい。
【0023】
一方、温度変化に対応する必要上、表面弾性波素子2の圧電基板と同程度の線膨張係数を有することが求められる。例えば、圧電基板がLiTaO3 である場合の線膨張係数は、表面弾性波の伝搬方向で約15ppm/℃、表面弾性波の伝搬方向と垂直方向で約7ppm/℃であり、樹脂流入防止堰9,10を形成する材料の線膨張係数はこれらの近いことが望ましい。なお、内側樹脂流入防止堰10の線膨張係数は、励振部6に当接するのを防ぐため、バンプ4の線膨張係数よりも小さいことが望ましい。
【0024】
また、表面弾性波素子2の圧電基板に対し、高さ一定で作成可能な材質を有することが求められる。すなわち、樹脂流入防止堰9,10の最小幅は数十μmであり、所定の位置に精度良く形成するためには感光性樹脂であることが望ましい。更に、高さ方向のうねりがあると間隔が不均一になるので、凹凸の少ない、粒径が小さい材質であることが望ましい。更にまた、樹脂流入防止堰9,10の形成後には、例えば、洗浄工程や封止樹脂の塗布工程、加熱工程があるため、これらの処理に耐えることができ、しかも、封止樹脂5中の成分にも耐えられる耐薬品性を有することが求められる。
【0025】
ところで、外側樹脂流入防止堰9の高さh1は、バンプ4の接続後の高さh2と実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さh3との合算高さh4(=h2+h3)よりも低く設定され(h1<h4)、かつ、内側樹脂流入防止堰10の高さh5はバンプ4の接続後の高さh2よりも低く設定されている(h5<h2)。このとき、外側樹脂流入防止堰9の高さh1が、バンプ4の接続後の高さh2と実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さh3との合算高さh4よりも低く設定されているので、外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との間には僅かな隙間Sが確保される。
【0026】
なお、外側樹脂流入防止堰9の高さh1がバンプ4の接続後の高さh2と実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さh3との合算高さh4よりも高い場合には、外側樹脂流入防止堰9の高さ(厚み)の分だけバンプ4を押圧できないため、実装基板3と表面弾性波素子2とを機械的に接続した際の十分な接続強度が得られない。つまり、実装基板3に対する表面弾性波素子2のフェイスダウンボンディング時に押圧されるバンプ4の十分な接続強度を得るには、外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との間に隙間Sを確保する必要があり、外側樹脂流入防止堰9の高さh1がバンプ4の接続後の高さh2と実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さh3との合算高さh4よりも低く設定された本実施の形態では、外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との間に隙間Sを確保できる結果として十分な接続強度が得られる。
【0027】
外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との間の隙間Sは、0〜15μmであることが望ましい。また、内側樹脂流入防止堰10の高さh5をバンプ4の接続後の高さh2よりも低くしておくと、内側樹脂流入防止堰10が実装基板3の実装面に形成された電極ランド8と接触するのを防止できる。なお、内側樹脂流入防止堰10の高さh5がバンプ4の接続後の高さh2よりも高いと、内側樹脂流入防止堰10が実装基板3の電極ランド8と接触し、バンプ4を押圧できいため、実装基板3と表面弾性波素子2との十分な接続強度を得ることが困難となる。
【0028】
更に、内側樹脂流入防止堰10の幅寸法を封止樹脂5の濡れ量以上としておくことにより、この内側樹脂流入防止堰10の高さh5を低くし得る。更にまた、外側樹脂流入防止堰9が下側層9a及び上側層9bを積層したものである場合には、その下側層9aを内側樹脂流入防止堰10と同一の高さh5とすることが好ましい。これにより、外側樹脂流入防止堰9の下側層9aと内側樹脂流入防止堰10とを同じ工程で形成することができ、また、外側樹脂流入防止堰9を下側層9aと上側層9bで2回に分けて形成するため、高アスペクトの外側樹脂流入防止堰9を形成することが可能となる。
【0029】
本実施の形態にかかる表面弾性波装置1では、表面弾性波素子2の機能面における外側樹脂流入防止堰9がバンプ4よりも外周位置に設けられ、かつ、上記した高さ関係が採用される結果、外側樹脂流入防止堰9は実装基板3の実装面そのもの、つまり、電極ランド8が形成されずに露出した実装面と対向することになり、外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との間にはh4−h1の均一な離間間隔を有する隙間Sが確保される。従って、表面弾性波素子2の外周縁を封止する封止樹脂5が外側樹脂流入防止堰9まで到達した場合でも、外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との隙間Sが均一な離間間隔を有しているため、この外側樹脂流入防止堰9を越えてまで封止樹脂5が流入することは起こらない。
【0030】
そして、封止樹脂5が外側樹脂流入防止堰9を越えて流入することがあったとしても、バンプ4の接続後の高さh2よりも低い高さh5とされた内側樹脂流入防止堰10が表面弾性波素子2の励振部6を取り囲む内周位置に設けられているので、外側樹脂流入防止堰9を越えてきた少量の封止樹脂5が内側樹脂流入防止堰10を越えて表面弾性波素子2の励振部6に至るまで流入することは確実に防止される。更に、この際、内側樹脂流入防止堰10が封止樹脂5に対する濡れ性の不良な材料から形成されていれば、外側樹脂流入防止堰9では流入防止が困難であった封止樹脂5中の低分子成分が表面弾性波素子2の機能面を伝って流入することをより確実に防止し得る。
【0031】
なお、本実施の形態では、外側樹脂流入防止堰9がバンプ4の全てを取り囲んで配置され、内側樹脂流入防止堰10が励振部6のみを取り囲んで配置されるとしているが、このような構造に限られず、外側樹脂流入防止堰9がバンプ4の一部及び励振部6を取り囲んで配置されており、かつ、内側樹脂流入防止堰10が少なくとも励振部6を取り囲んで配置されていればよい。すなわち、外側樹脂流入防止堰9は実装基板3の実装面と対向する状態で配置されていればよく、その結果として外側樹脂流入防止堰9と実装基板3の実装面との間に均一な離間間隔を有する隙間Sが確保されていればよいのである。
【0032】
ここでの内側樹脂流入防止堰10は、外側樹脂流入防止堰9を越えた封止樹脂5が表面弾性波素子2の励振部6にまで流入することを防止し得ればよく、少なくとも励振部6を取り囲んで配置されていればよい。また、本実施の形態では、封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料を用いて外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10を形成しているが、これらの双方共が封止樹脂5に対する濡れ性の不良なものである必要はない。すなわち、封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料は、封止樹脂5中の低分子成分の流入を防止するのに特に有効であるから、封止樹脂5の流入を確実に防止することが必要な内側樹脂流入防止堰10が封止樹脂5に対する濡れ性の不良なものであれば、外側樹脂流入防止堰9の形成材料はより一般的なフォトレジスト材料であってもよい。
【0033】
更に、表面弾性波素子2の機能面に形成された外側樹脂流入防止堰9が下側層9a及び上側層9bを積層したものである場合には、その下側層9aが表面弾性波素子2の励振部6、つまり、IDTなどと同様の金属材料を用いて形成されたものであってもよい。しかし、外側樹脂流入防止堰9が積層して構成されたものである必然性はなく、図4で示すように、この外側樹脂流入防止堰9が当初から高さh1として一体的に形成されたものであってもよいことは勿論である。
【0034】
更にまた、本実施の形態では、図1で示したように、表面弾性波素子2の外周縁のみが封止樹脂5によって封止されており、表面弾性波素子2の天面は外部に露出しているが、このような構造に限定されず、表面弾性波素子2の外周縁だけではなくて天面も封止樹脂5によって封止された構成であってよい。なお、封止樹脂5は塗布時の温度下で15Pa・s〜150Pa・sの粘度を有していることが望ましく、この程度の粘度を有する場合には流入をより確実に防ぐことが可能となる。つまり、封止樹脂5の粘度が小さいと流入しやすくなり、粘度が大きいと封止性を悪化させる気泡が入りやすいため、粘度の下限値は励振部6への流入により、その上限値は気泡の発生により規定される。
【0035】
ところで、本実施の形態においては、以下のような変形例を採用することも可能である。まず、図5で示すように、表面弾性波素子2の機能面に設けられた外側樹脂流入防止堰9に所定幅の溝(凹部)9cを形成することにより、外側樹脂流入防止堰9に段差を形成してもよい。このようにすれば、外側樹脂流入防止堰9における外側の角端部で封止樹脂5の流入を阻止できなくても、内側の角端部によって封止樹脂5の流入を阻止することが可能となる。なお、外側樹脂流入防止堰9に凸部を形成して段差を設けることによっても、同様の効果が得られる。
【0036】
また、図6で示すように、外側樹脂流入防止堰9と内側樹脂流入防止堰10との間に、外側樹脂流入防止堰(第1の外側樹脂流入防止堰)9と隣接するようにして外側樹脂流入防止堰(第2の外側樹脂流入防止堰)11を設けてもよい。このような構造であれば、外側樹脂流入防止堰(第1の外側樹脂流入防止堰)9で封止樹脂5の流入を阻止できなくても、外側樹脂流入防止堰(第2の外側樹脂流入防止堰)11でもって封止樹脂5の流入を阻止することが可能になる。
【0037】
更に、図示省略しているが、内側樹脂流入防止堰10に所定幅の溝を形成してもよく、このような構造である場合には、内側樹脂流入防止堰10の大きさを変更しなくても内側樹脂流入防止堰10と励振部6との離間距離が大きくなり、封止樹脂5が励振部6に至るまで流入することがなくなる。また、この内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10の内側位置に第2の内側樹脂流入防止堰を隣接する状態で設けてもよく、このような構造を採用すれば、第2の内側樹脂流入防止堰によって内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10と励振部6との離間距離が更に大きくなるため、励振部6に対する封止樹脂5の流入を確実に阻止し得る。
【0038】
更にまた、この場合には、第2の内側樹脂流入防止堰が内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10と同程度の高さを有し、この第2の内側樹脂流入防止堰が内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10と同一の材料を使用して形成されたものであることが好ましい。つまり、このような構造であれば、第2の内側樹脂流入防止堰を内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10と同時的に形成することができる。
【0039】
次に、本実施の形態にかかる表面弾性波装置1及び表面弾性波素子2の製造方法を、図7及び図8に基づいて簡単に説明する。
【0040】
まず、表面弾性波素子の製造手順を図示した図7で示すように、ダイシングされることによって多数の表面弾性波素子2となる、バンプ4及び励振部6(図示省略)が複数形成された圧電基板12(LiTaO3 ウエハ)を用意し、バンプ4及び励振部6が形成済みの表面弾性波素子領域13毎に対し、外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10をそれぞれ形成する。なお、圧電基板12がLiTaO3 でなく、LiNbO3 などの他の材料からなる基板であってもよい。
【0041】
また、誘電体基板の表面上にZnOなどのような圧電薄膜が形成されたものを圧電基板12に代えて使用することも可能である。更に、以上の説明では、バンプ4が形成された表面弾性波素子領域13に外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10を形成するとしているが、外側樹脂流入防止堰9及び内側樹脂流入防止堰10を形成した後にバンプ4を形成する手順でもよい。
【0042】
すなわち、ここでは、IDTや反射器などからなる励振部6が形成された圧電基板12であるLiTaO3 ウエハ上に対し、バンプ4及び励振部6を取り囲んで配置される外側樹脂流入防止堰9の下側層9aと、励振部6のみを取り囲んで配置される内側樹脂流入防止堰10とを、これらの高さh5がバンプ4の接続後の高さh2よりも低くなるように留意しながら感光性ポリイミド樹脂などを用いたフォトレジスト法により同時に形成することが行われる。引き続き、外側樹脂流入防止堰9の下側層9a上に、実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さh3よりも高い高さh1−h5となるようにしながら上側層9bを積層して形成する。
【0043】
その結果、圧電基板12の表面弾性波素子領域13それぞれには、高さh1となってバンプ4及び励振部6を取り囲む外側樹脂流入防止堰9と、高さh5とされたうえで励振部6のみを取り囲んだ内側樹脂流入防止堰10とが内外二重で形成されている。その後、圧電基板12であるLiTaO3 ウエハをチップサイズにダイシングすると、表面弾性波素子領域13のそれぞれと対応した個々の表面弾性波素子2が作製される。
【0044】
ところで、表面弾性波素子2の機能面に設けられた外側樹脂流入防止堰(第1の外側樹脂流入防止堰)9と内側樹脂流入防止堰10との間に外側樹脂流入防止堰(第2の外側樹脂流入防止堰)11を設けたり、内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10の内側位置に第2の内側樹脂流入防止堰を設けたりする場合には、圧電基板12における表面弾性波素子領域13毎に対し、これらの外側樹脂流入防止堰(第2の外側樹脂流入防止堰)11及び第2の内側樹脂流入防止堰を外側樹脂流入防止堰(第1の外側樹脂流入防止堰)9及び内側樹脂流入防止堰(第1の内側樹脂流入防止堰)10と共に形成することが行われる。
【0045】
更に、表面弾性波素子2の各々と対応する領域、つまり、素子対応領域14毎に電極ランド8が予め形成され、後に実装基板3となる集合基板15を用意したうえ、図8で示すように、ダイシングされた表面弾性波素子2の各々を集合基板15の素子対応領域14毎に対してフェイスダウンボンディングで実装する。その後、図示省略しているが、集合基板15に実装された表面弾性波素子2それぞれの外周囲に封止樹脂5を塗布して硬化させたうえ、集合基板15をチップサイズにダイシングすると、図1で示したような構造を有する表面弾性波装置1が作製される。
【0046】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図、図10は表面弾性波素子の構造を示す平面図であり、図11は実装基板の構造を示す平面図である。そして、図12は実施の形態2にかかる表面弾性波素子の製造手順を示す説明図であり、図13は表面弾性波装置の製造手順を示す説明図である。なお、実施の形態2にかかる表面弾性波装置の全体構造は実施の形態1と基本的に異ならないので、図9〜図13において図1〜図8と互いに同一または相当する部品、部分には同一符号を付し、ここでの詳しい説明は省略する。
【0047】
実施の形態2にかかる表面弾性波装置21は、図9で示すように、表面弾性波素子(SAWデバイスチップ)2の機能面が実装基板3の実装面にバンプ4を介して接続されたものであり、表面弾性波素子2の外周縁のみが封止樹脂5で封止された構成を有している。そして、表面弾性波素子2の機能面に形成された励振部6、つまり、IDTや反射器、配線部である表面弾性波素子2の励振部6と、アルミナなどの誘電体からなる実装基板3の実装面との間には振動空間7が確保されている。なお、図10における弾性表面波素子2のIDTや反射器、配線部は略して示してある。よって、これと異なっていても良い。
【0048】
また、表面弾性波素子2の機能面には、図10の平面図で示すように、表面弾性波素子2と実装基板3との間を封止している封止樹脂5、例えば、エポキシ樹脂などのような封止樹脂5が表面弾性波素子2の励振部6へと流入するのを防止するための外側樹脂流入防止堰22及び内側樹脂流入防止堰23が内外二重で設けられている。すなわち、この表面弾性波素子2の機能面には、バンプ4及び励振部6を取り囲む外周位置に配置されて平面視矩形枠形状を有する外側樹脂流入防止堰22と、励振部6のみを取り囲む内周位置に配置されて平面視矩形枠形状を有する内側樹脂流入防止堰23とが設けられている。なお、外側樹脂流入防止堰22の高さは内側樹脂流入防止堰23の高さh5と同じにされ、バンプ4の接続後の高さh2よりも低く設定されている(h5<h2)。
【0049】
一方、実装基板3の実装面には、図11の平面図で示すように、バンプ4を固定的に接続するための電極ランド8が位置決めして形成されると共に、表面弾性波素子2の機能面に形成されたバンプ4及び励振部6を取り囲んで配置される基板側樹脂流入防止堰24が、表面弾性波素子2に形成された外側樹脂流入防止堰22と対向する位置に形成されている。更に、このとき、基板側樹脂流入防止堰24の高さh6は、外側樹脂流入防止堰22の高さh5との合算高さh7(=h5+h6)がバンプ4の接続後の高さh2と実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さh3との合算高さh4(=h2+h3)よりも低くなるよう設定されている。
【0050】
そして、外側樹脂流入防止堰22及び内側樹脂流入防止堰23と基板側樹脂流入防止堰24とが上記したような高さ関係にあるため、表面弾性波素子2の機能面に形成された外側樹脂流入防止堰22と実装基板3の実装面に形成された基板側樹脂流入防止堰24との間には、h4−h7の均一な離間間隔を有する隙間Sが確保される。その結果、実装基板3に対する表面弾性波素子2のフェイスダウンボンディング時にバンプ4を押圧しても、対向しあって形成された外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24が当接することは起こらず、バンプ4の十分な接続強度を得ることが可能となる。
【0051】
表面弾性波装置21では、表面弾性波素子2の外周縁を封止している封止樹脂5が外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24まで到達した場合でも、外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24との隙間Sが均一であるため、外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24を越えてまで封止樹脂5が流入することは起こらない。また、封止樹脂5が外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24を越えて流入することがあったとしても、内側樹脂流入防止堰23が表面弾性波素子2の励振部6を取り囲んでいるので、外側樹脂流入防止堰22を越えてきた少量の封止樹脂5が励振部6に至るまで流入することは確実に防止される。
【0052】
なお、外側樹脂流入防止堰22と実装基板3の実装面との間の隙間Sは、0〜15μmであることが望ましい。つまり、この実装基板3上のうねり、傾きに起因し、外側樹脂流入防止堰22と実装基板3とが部分的に接することもあるが、隙間Sの平均的な間隔を上記値に設定しておくことによって封止樹脂5の流入を防ぐことが可能となる。
【0053】
また、外側樹脂流入防止堰22、内側樹脂流入防止堰23、基板側樹脂流入防止堰24のうちの少なくとも内側樹脂流入防止堰23は、実施の形態1と同様、表面弾性波素子2の機能面及び実装基板3の実装面よりも封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料、例えば、感光性ポリイミド樹脂などを用いて形成されたものであることが好ましい。このような構成であれば、外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24では流入を防止することが困難であった封止樹脂5中の低分子成分が、表面弾性波素子2の機能面を伝って流入するのをより確実に防止することが可能となる。
【0054】
封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料は、封止樹脂5中の低分子成分の流入防止に有効であり、封止樹脂5の確実な流入防止を求められる内側樹脂流入防止堰23が、封止樹脂5に対する濡れ性の不良なものであれば、外側樹脂流入防止堰22及び基板側樹脂流入防止堰24は、必ずしも封止樹脂5の濡れ性が不良である必要がない。よって、封止樹脂5の流入を確実に防止することが求められる内側樹脂流入防止堰23が、封止樹脂5に対する濡れ性の不良なものであれば、外側樹脂流入防止堰22の形成材料はより一般的なフォトレジスト材料であってもよい。更に、外側樹脂流入防止堰22、内側樹脂流入防止堰23、基板側樹脂流入防止堰24を形成する材料が、リフロー耐熱性(260℃)にも優れていることが望ましいのは勿論である。
【0055】
ところで、図示省略しているが、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の変形例を採用することが可能である。すなわち、表面弾性波素子2の機能面に設けられた外側樹脂流入防止堰22がバンプ4の一部及び励振部6を取り囲んで配置され、かつ、内側樹脂流入防止堰23が少なくとも励振部6を取り囲んで配置されたものであってよい。また、外側樹脂流入防止堰22及び内側樹脂流入防止堰23それぞれに溝を形成したり、外側樹脂流入防止堰22と内側樹脂流入防止堰23との間に第2の外側樹脂流入防止堰を設けたりしてもよく、更に、内側樹脂流入防止堰23の内側位置に第2の内側樹脂流入防止堰を設けてもよい。
【0056】
次に、本実施の形態にかかる表面弾性波装置21及び表面弾性波素子2の製造方法を、図12及び図13に基づいて簡単に説明する。
【0057】
まず、表面弾性波素子の製造手順を図示した図12で示すように、ダイシングされて多数の表面弾性波素子2となる、バンプ4及び励振部6(図示省略)が複数形成された圧電基板12(LiTaO3 ウエハ)を用意し、バンプ4及び励振部6が形成された表面弾性波素子領域13毎に対して外側樹脂流入防止堰22及び内側樹脂流入防止堰23をそれぞれ形成する。なお、圧電基板12としては、LiTaO3 だけではなく、LiNbO3 などの他の材料からなる基板であってもよい。
【0058】
また、ここでは圧電基板12としたが、誘電体基板の表面上にZnOなどの圧電薄膜が形成されたものを圧電基板12に代えて使用することも可能である。更に、バンプ4が形成された表面弾性波素子領域13に外側樹脂流入防止堰22及び内側樹脂流入防止堰23を形成するとしているが、外側樹脂流入防止堰22及び内側樹脂流入防止堰23を形成した後にバンプ4を形成する手順であってもよい。
【0059】
すなわち、この際には、IDTや反射器などからなる励振部6が形成された圧電基板12であるLiTaO3 ウエハ上に対し、バンプ4及び励振部6を取り囲んで配置される外側樹脂流入防止堰22と、励振部6のみを取り囲んで配置される内側樹脂流入防止堰23とを、これら双方共の高さh5がバンプ4の接続後の高さh2よりも低くなるように留意しながら感光性ポリイミド樹脂などを用いたフォトレジスト法により同時に形成することが行われる。
【0060】
引き続き、圧電基板12であるLiTaO3 ウエハをチップサイズにダイシングし、表面弾性波素子領域13のそれぞれと対応した個々の表面弾性波素子2を作製する。一方、表面弾性波素子2の各々と対応している領域、つまり、素子対応領域14毎に電極ランド8が予め形成され、後に実装基板3となる集合基板15を用意し、図13で示すように、用意した集合基板15の素子対応領域14毎における外側樹脂流入防止堰22との対向位置、つまり、表面弾性波素子2に形成された外側樹脂流入防止堰22と対向する位置に基板側樹脂流入防止堰24を形成する。
【0061】
その後、ダイシングされた表面弾性波素子2のそれぞれを、集合基板15の素子対応領域14毎に対してフェイスダウンボンディングで実装する。更に、引き続き、図示省略しているが、集合基板15に実装された表面弾性波素子2それぞれの外周囲に封止樹脂5を塗布して硬化させたうえ、集合基板15をチップサイズにダイシングして分割すると、図9で示したような構造を有する表面弾性波装置21が作製される。
【0062】
参考例1
図14は参考例1にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図、図15は表面弾性波素子の構造を示す平面図であり、図16は参考例1の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。なお、参考例1にかかる表面弾性波装置の全体構造は、実施の形態1と基本的に異ならないので、図14〜図16において図1〜図8と互いに同一または相当する部品、部分には同一符号を付し、ここでの詳しい説明は省略する。
【0063】
参考例1にかかる表面弾性波装置31は、図14で示すように、表面弾性波素子(SAWデバイスチップ)2の機能面が実装基板3の実装面にバンプ4を介して接続されたものであり、表面弾性波素子2の外周縁及び天面が封止樹脂5で封止された構成を有している。そして、表面弾性波素子2の機能面に形成された励振部6、つまり、IDTや反射器、配線部からなる表面弾性波素子2の励振部6と、アルミナなどの誘電体からなる実装基板3の実装面との間には振動空間7が確保されている。なお、図15における弾性表面波素子2のIDTや反射器、配線部は略して示してある。よって、これと異なっていても良い。
【0064】
一方、実装基板3の実装面には、図14で示すように、バンプ4を固定的に接続するための電極ランド8が位置決めして形成されている。また、表面弾性波素子2の機能面には、図15の平面図で示すように、表面弾性波素子2と実装基板3との間を封止している封止樹脂5、例えば、エポキシ樹脂などである封止樹脂5が表面弾性波素子2の励振部6へと流入するのを防止するための外側樹脂流入防止堰32が設けられている。すなわち、この表面弾性波素子2の機能面には、バンプ4及び励振部6を取り囲む外周位置に配置されて平面視矩形枠形状を有する外側樹脂流入防止堰32が設けられている。
【0065】
この外側樹脂流入防止堰32は、表面弾性波素子2の機能面及び実装基板3の実装面よりも封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料、例えば、感光性ポリイミド樹脂やBCB(樹脂成分:ベンゾシクロブテン)、Zcoat(樹脂成分:環状ポリオシフィン)などを用いたフォトレジスト法によって形成されたものである。そして、外側樹脂流入防止堰32に用いられる材料は、表面弾性波装置1をプリント基板に半田で実装する際のリフローへの耐熱性にも優れていることが望ましい。
【0066】
なお、リフロー時の温度は、使用する半田の材料によって異なる。例えば、Sn−Pb共晶半田のリフロー時の温度は180℃、Sn−Ag−Cu系半田のリフロー時の温度は220℃であり、これらの点を考慮すると、外側樹脂流入防止堰32に用いられる材料は260℃の温度に耐えることができればよい。また、この際における外側樹脂流入防止堰32は、図14で示すように、下側層32aと上側層32bとが積層された構造を有している。このような構成であれば、下側層32aを形成した上に上側層32bを形成できるため、単層で作製するのに比して高アスペクト比の堰を形成することが可能となる。
【0067】
更に、外側樹脂流入防止堰32は、接続後のバンプ4の高さと電極ランドの高さの合算高さよりも低く設定されている。そして、外側樹脂流入防止堰32が上記したような高さであるため、表面弾性波素子2の機能面に形成された外側樹脂流入防止堰32と実装基板3の実装面との間には、均一な離間間隔を有する隙間Sが確保される。その結果、実装基板3に対する表面弾性波素子2のフェイスダウンボンディング時にバンプ4を押圧しても、対向しあって形成された外側樹脂流入防止堰32が実装基板3に当接することは起こらず、バンプ4の十分な接続強度を得ることが可能となる。
【0068】
表面弾性波装置31においては、表面弾性波素子2の外周縁を封止している封止樹脂5が外側樹脂流入防止堰32まで到達した場合でも、外側樹脂流入防止堰32と実装基板3との隙間Sが均一であるため、外側樹脂流入防止堰32を越えてまで封止樹脂5が流入することは起こらない。なお、外側樹脂流入防止堰32と実装基板3の実装面との間の隙間Sは、0〜15μm程度であることが望ましい。
【0069】
ところで、本実施の形態における外側樹脂流入防止堰32は、図14及び図15で示すように、所定幅の溝(凹部)32cを有しており、この溝32cを有する結果として外側樹脂流入防止堰32は段差を有している。従って、外側樹脂流入防止堰32における外側の角端部で封止樹脂の流入を阻止できなかったとしても、内側の角端部によって封止樹脂の流入を阻止することが可能となる。
【0070】
すなわち、外側樹脂流入防止堰32に溝32cからなる段差があるため、封止樹脂5の流入を防止できる原理は以下の通りである。まず、封止樹脂5は表面弾性波素子2の外周縁の方向から塗布されるが、外側樹脂流入防止堰32に段差がない場合、外側樹脂流入防止堰32の角端部を超えた封止樹脂5は、そのまま励振部6まで達することがある。一方、外側樹脂流入防止堰32に段差がある場合には、封止樹脂5が外側樹脂流入防止堰32の角端部を超えたとしても、外側樹脂流入防止堰32を乗り越えた封止樹脂5は段差である溝32の底部に達する。
【0071】
すると、段差の角端部が作用し、表面張力の関係より封止樹脂5は励振部6へ向かう方向よりも段差方向に伝いやすくなる。つまり、封止樹脂5は励振部6へ向かう方向ではなく、溝32cの伸びる方向に封止樹脂5は伝わることとなる。よって、段差をつけた外側樹脂流入防止堰32を設けておけば、より確実に封止樹脂5の流入を防止することが可能となる。なお、図16で示すように、外側樹脂流入防止堰32に凸部を形成することで段差を設けても、同様の効果が得られる。このとき、段差が必ずしも直角である必要はなく、プロセス上発生するすそ引きやテーパー角を持っていてもよい。
【0072】
また、本実施の形態においても、第2の実施形態と同様に、実装基板3上の外側樹脂流入防止堰32と対向する位置に基板側樹脂流入防止堰を設けておいてもよいことは勿論である。更に、外側樹脂流入防止堰32と基板側樹脂流入防止堰との合算高さは、表面弾性波素子2と実装基板3とをバンプ4を介して接続した後のバンプ4の高さと実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さとの合算高さよりも低く設定されていることが好ましい。
【0073】
参考例2
図17は参考例2にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図、図18は表面弾性波素子の構造を示す平面図、図19は参考例2の第1の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図、図20は参考例2の第2の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。参考例2にかかる表面弾性波装置の全体構造は、実施の形態1と基本的に異ならないので、図17〜図20において図1〜図8と互いに同一または相当する部品、部分には同一符号を付し、ここでの詳しい説明は省略する。
【0074】
参考例2にかかる表面弾性波装置41は、図17で示すように、表面弾性波素子(SAWデバイスチップ)2の機能面が実装基板3の実装面にバンプ4を介して接続されたものであり、表面弾性波素子2の外周縁及び天面が封止樹脂5でもって封止された構成を有している。そして、表面弾性波素子2の機能面に形成された励振部6、つまり、IDTや反射器、配線部、パッド部である表面弾性波素子2の励振部6と、アルミナなどの誘電体からなる実装基板3の実装面との間には振動空間7が確保されている。なお、表面弾性波素子2は、2つのIDTが2段縦続接続されたものに限られない。
【0075】
実装基板3の実装面には、図17に示すように、バンプ4を固定的に接続するための電極ランド8が位置決めして形成されている。また、表面弾性波素子2の機能面には、図18の平面図で示すように、表面弾性波素子2と実装基板3との間を封止している封止樹脂5、例えば、エポキシ樹脂などのような封止樹脂5が表面弾性波素子2の励振部6へと流入するのを防止するための第1の外側樹脂流入防止堰42と、第2の外側樹脂流入防止堰43とが、内外二重で設けられている。すなわち、この表面弾性波素子2の機能面には、バンプ4及び励振部6を取り囲む外周位置に配置されて平面視矩形枠形状を有する第1の外側樹脂流入防止堰42と、第1の外側樹脂流入防止堰42の内周位置に配置されて平面視矩形枠形状を有する第2の外側樹脂流入防止堰43とが設けられている。なお、第1の外側樹脂流入防止堰42及び第2の外側樹脂流入防止堰43は角部が丸みを帯びた形状であってもよい。
【0076】
従って、表面弾性波装置41において、表面弾性波素子2の外周縁を封止している封止樹脂5が、第1の外側樹脂流入防止堰42を越えて流入することがあったとしても、第2の外側樹脂流入防止堰43が、第1の外側樹脂流入防止堰42の内周位置にバンプ4及び励振部6を取り囲んで設けられている結果、第1の外側樹脂流入防止堰42を越えてきた封止樹脂5のうちの低分子成分が励振部6に至るまで流入することを防止することができる。なお、表面弾性波素子2においては、表面上にSiO2などからなる保護膜が形成されていても良い。
【0077】
このとき、第1の外側樹脂流入防止堰42及び第2の外側樹脂流入防止堰43は、表面弾性波素子2の機能面や実装基板3の実装面よりも封止樹脂5に対する濡れ性が不良な材料、例えば、感光性ポリイミド樹脂やBCB(樹脂成分:ベンゾシクロブテン)、Zcoat(樹脂成分:環状ポリオシフィン)などを用いたフォトレジスト法により形成されている。なお、第1の外側樹脂流入防止堰42及び第2の外側樹脂流入防止堰43を形成するのに用いられる材料は、表面弾性波装置1をプリント基板に半田で実装する際のリフローへの耐熱性にも優れていることが望ましい。
【0078】
但し、リフロー時の温度は、用いられる半田の材料によって異なる。例えば、Sn−Pb共晶半田のリフロー時の温度は180℃、Sn−Ag−Cu系半田のリフロー時の温度は220℃であり、これらのことを考慮すると、外側樹脂流入防止堰32に用いられる材料は260℃の温度に耐えることができればよいものである。
【0079】
また、第1の外側樹脂流入防止堰42は、図17で示すように、下側層42aと上側層42bとが積層されてなる2層構造を有している。この構成であれば、下側層42aを形成した上に上側層42bを形成できるため、単層で作製するよりも高アスペクト比の堰を形成することができる。更に、第1の外側樹脂流入防止堰42の下側層42aと第2の外側樹脂流入防止堰43とは、同じ高さを有している。従って、第1の外側樹脂流入防止堰42の下側層42aと第2の外側樹脂流入防止堰43とを同じプロセスで形成することが可能となる。
【0080】
一方、第2の外側樹脂流入防止堰43は第1の外側樹脂流入防止堰42の高さよりも低く設定されており、かつ、第1の外側樹脂流入防止堰42は接続後のバンプ4の高さと電極ランドの高さの合算高さよりも低く設定されている。そして、第1の外側樹脂流入防止堰42及び第2の外側樹脂流入防止堰43が上記したような高さであるため、表面弾性波素子2の機能面に形成された第1の外側樹脂流入防止堰42と実装基板3の実装面との間には、均一な離間間隔を有する隙間Sが確保される。
【0081】
その結果、実装基板3に対する表面弾性波素子2のフェイスダウンボンディング時にバンプ4を押圧しても、対向しあって形成された第1の外側樹脂流入防止堰42及び第2の外側樹脂流入防止堰43が実装基板3と当接することは起こらず、バンプ4の十分な接続強度を得ることが可能となる。従って、表面弾性波装置41において、表面弾性波素子2の外周縁を封止している封止樹脂5が第1の外側樹脂流入防止堰42まで到達することがあっても、第1の外側樹脂流入防止堰42と実装基板3との隙間Sが均一であるため、第1の外側樹脂流入防止堰42を越えてまで封止樹脂5が流入することは起こらない。
【0082】
なお、第1の外側樹脂流入防止堰42と実装基板3の実装面との間における隙間Sの離間間隔は、0〜15μmであることが望ましい。
【0083】
また、第1の外側樹脂流入防止堰42には、図17及び図18で示すように、所定幅の溝(凹部)42cが形成されている。そして、溝42cが形成されている結果、第1の外側樹脂流入防止堰42は段差を有していることになり、第1の外側樹脂流入防止堰42における外側の角端部で封止樹脂5の流入を阻止できなかったとしても、その内側に位置する角端部によって封止樹脂5の流入を確実に阻止し得ることとなる。
【0084】
ここで、第1の外側樹脂流入防止堰42に形成された溝42cからなる段差によって、封止樹脂5の流入を防止できる原理を説明をする。まず、封止樹脂5は表面弾性波素子2の外周縁の方向から塗布されるが、第1の外側樹脂流入防止堰42に段差がない場合、第1の外側樹脂流入防止堰42の角端部を超えた封止樹脂5は、そのまま励振部6まで達することがある。しかし、第1の外側樹脂流入防止堰42に段差がある場合、封止樹脂5が第1の外側樹脂流入防止堰42の角端部を超えたところで、第1の外側樹脂流入防止堰42を乗り越えた封止樹脂5は段差である溝42cの底部に達する。
【0085】
そのため、段差の角端部が作用することになり、表面張力の関係に基づいて封止樹脂5は励振部6へ向かう方向よりも段差を伝いやすくなる。つまり、封止樹脂5は励振部6へ向かう方向ではなく、溝42cの伸びる方向に沿って封止樹脂5は伝わることになる。よって、段差をつけた外側樹脂流入防止堰42を設けることにより、封止樹脂5の流入を防止することが可能となる。なお、図19で示すように、第1の外側樹脂流入防止堰42に凸部を形成することで段差を設けることによっても、同様の効果を得ることができる。ここでの段差が直角である必要はなく、プロセス上発生するすそ引きやテーパー角を持っていてもよいことは勿論である。
【0086】
なお、本実施の形態の構造では、実施の形態1及び実施の形態2の構造に比べて次の点で有利である。実施の形態1及び実施の形態2の構造においては、IDT部とバンプの間に内側樹脂流入防止堰を配置する必要があるため、弾性表面波素子における圧電基板のレイアウトが複雑化する。これにより、信号側の配線部とアース側配線部の接近することで静電容量が増加することによる特性劣化が起こりやすくなるため、この問題を防ぐために圧電基板のサイズを拡大する必要があった。しかし、本実施の形態では内側樹脂流入防止堰を設けないので、圧電基板のサイズを大きくする必要がない。また、外側樹脂流入防止堰(本実施の形態における第1の外側樹脂流入防止堰)と圧電基板上のIDTや反射器、配線部が接触すると封止樹脂が流入する原因となるため、実装基板への弾性表面波素子の搭載精度等の製造ばらつきを考慮すると、圧電基板上のIDTや反射器、配線部などと外側樹脂流入防止堰(本実施の形態における第1の外側樹脂流入防止堰)との間には、ある一定の距離を空けることが必要である。本実施の形態では、第2の外側樹脂流入防止堰を、圧電基板上のIDTや反射器、配線部などと外側樹脂流入防止堰(本実施の形態における第1の外側樹脂流入防止堰)との間の領域にに配置しているため、第2の外側樹脂流入防止堰を追加しても圧電基板のサイズを大きくする必要はない。
【0087】
本実施の形態にあっては、以下のような変形例を採用することも可能である。すなわち、図20で示すように、表面弾性波素子2の機能面に設けられた第1の外側樹脂流入防止堰42が段差を有さない形状であってもよい。この場合でも、第1の外側樹脂流入防止堰42の内周位置に第2の外側樹脂流入防止堰43が設けられているので、表面弾性波素子2の外周縁を封止している封止樹脂5が第1の外側樹脂流入防止堰42を越えて流入することが起こっても、第2の外側樹脂流入防止堰43によって第1の外側樹脂流入防止堰42を越えてきた封止樹脂5のうちの低分子成分が励振部6に至るまで流入することを防止することが可能である。
【0088】
しかしながら、上記したように、第1の外側樹脂流入防止堰42が段差を有する形状である方が、より確実に封止樹脂5の流入を防止できることはいうまでもない。また、本実施の形態においても、第2の実施形態と同様、実装基板3上の第1の外側樹脂流入防止堰42と対向する位置に基板側樹脂流入防止堰を設けても良い。更に、第1の外側樹脂流入防止堰42と基板側樹脂流入防止堰との合算高さは、表面弾性波素子2と実装基板3とをバンプ4を介して接続した後のバンプ4の高さと実装基板3の実装面に形成された電極ランド8の高さとの合算高さよりも低く設定されていることが好ましい。
【0089】
(発明の効果)
本発明にかかる構成とされた表面弾性波装置であれば、表面弾性波素子及び実装基板間を封止している封止樹脂が表面弾性波素子の励振部に至るまで流入するのを確実に防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施の形態1にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図2】実施の形態1にかかる実装基板の構造を示す平面図である。
【図3】実施の形態1にかかる表面弾性波素子の構造を示す平面図である。
【図4】実施の形態1の第1の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図5】実施の形態1の第2の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図6】実施の形態1の第3の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図7】実施の形態1にかかる表面弾性波素子の製造手順を示す説明図である。
【図8】実施の形態1にかかる表面弾性波装置の製造手順を示す説明図である。
【図9】実施の形態2にかかる表面弾性波素子の構造を示す側断面図である。
【図10】実施の形態2にかかる表面弾性波素子の構造を示す平面図である。
【図11】実施の形態2にかかる実装基板の構造を示す平面図である。
【図12】実施の形態2にかかる表面弾性波素子の製造手順を示す説明図である。
【図13】実施の形態2にかかる表面弾性波装置の製造手順を示す説明図である。
【図14】参考例1にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図15】参考例1にかかる表面弾性波素子の構造を示す平面図である。
【図16】参考例1の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図17】参考例2にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図18】参考例2にかかる表面弾性波素子の構造を示す平面図である。
【図19】参考例2の第1の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図20】参考例2の第2の変形例にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図21】従来の形態にかかる表面弾性波装置の構造を示す側断面図である。
【図22】従来の形態にかかる表面弾性波素子の構造を示す平面図である。
【図23】従来の形態にかかる実装基板の構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 表面弾性波装置
2 表面弾性波素子
3 実装基板
4 バンプ
5 封止樹脂
6 励振部
7 振動空間
8 電極ランド
9 外側樹脂流入防止堰
10 内側樹脂流入防止堰
h1 外側樹脂流入防止堰の高さ
h2 バンプの高さ
h3 電極ランドの高さ
h4 合算高さ
h5 内側樹脂流入防止堰の高さ
h6 基板側樹脂流入防止堰の高さ
h7 合算高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上に形成された少なくとも1つのくし型電極部からなる励振部を機能面に有する表面弾性波素子と、実装基板と、封止樹脂とを備え、実装基板の実装面と表面弾性波素子の機能面とが対向するように、表面弾性波素子と実装基板とがバンプを介して接続され、かつ、表面弾性波素子の外周縁を封止樹脂で封止した構成を有しており、表面弾性波素子の励振部と実装基板の実装面との間に振動空間が確保されてなる表面弾性波装置であって、
表面弾性波素子の機能面には、バンプ及び励振部を取り囲んで配置された外側樹脂流入防止堰と、前記バンプの内側に励振部を取り囲んで配置された内側樹脂流入防止堰を有することを特徴とする、表面弾性波装置。
【請求項2】
前記外側樹脂流入防止堰の高さは、内側樹脂流入防止堰よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の表面弾性波装置。
【請求項3】
前記外側樹脂流入防止堰の高さは、表面弾性波素子と実装基板とをバンプを介して接続した後のバンプの高さと実装基板の実装面に形成された電極ランドの高さとの合算高さよりも低く設定され、かつ、内側樹脂流入防止堰の高さは、表面弾性波素子と実装基板とをバンプを介して接続した後のバンプの高さよりも低く設定されていることを特徴とする、請求項2に記載の表面弾性波装置。
【請求項4】
少なくとも内側樹脂流入防止堰は、表面弾性波素子の機能面及び実装基板の実装面よりも封止樹脂の濡れ性が不良な材料を使用して形成されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面弾性波装置。
【請求項5】
前記内側樹脂流入防止堰は、第1の内側樹脂流入防止堰と第2の内側樹脂流入防止堰からなることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表面弾性波装置。
【請求項6】
前記第1の内側樹脂流入防止堰と第2の内側樹脂流入防止堰とは同程度の高さを有するものであることを特徴とする、請求項5に記載の表面弾性波装置。
【請求項7】
前記第1の内側樹脂流入防止堰と第2の内側樹脂流入防止堰とは同一の材料を使用して形成されたものであることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の表面弾性波装置。
【請求項8】
前記外側樹脂流入防止堰は段差を有することを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の表面弾性波装置。
【請求項9】
前記外側樹脂流入防止堰の段差は、少なくとも1つの凹部によって構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の表面弾性波装置。
【請求項10】
前記外側樹脂流入防止堰の段差は、少なくとも1つの凸部によって構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の表面弾性波装置。
【請求項11】
前記外側樹脂流入防止堰と対向するように、実装基板上に形成された基板側樹脂流入防止堰を更に有することを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の表面弾性波装置。
【請求項12】
前記外側樹脂流入防止堰と基板側樹脂流入防止堰との合算高さは、表面弾性波素子と実装基板とをバンプを介して接続した後のバンプの高さと実装基板の実装面に形成された電極ランドの高さとの合算高さよりも低く設定されていることを特徴とする、請求項11に記載の表面弾性波装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−199664(P2008−199664A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116352(P2008−116352)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【分割の表示】特願2003−119119(P2003−119119)の分割
【原出願日】平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】