説明

表面形状計測装置、表面形状計測方法、露光装置及びデバイス製造方法

【課題】
被測定物の表面形状を簡便かつ高精度に計測可能な表面形状計測装置を提供する。
【解決手段】
表面形状計測装置は、ウエハ4に塗布されたレジスト5の表面に接触してこの表面の高さ変化に応じて位置が変化する複数の非光学的検出素子1を有する高さ検出器ABPと、非光学的検出素子1に向けて測定光10aを発する光源10と、非光学的検出素子1からの測定光10aの反射光を受光することにより非光学的検出素子1の位置を検出する光検出器9とを有し、高さ検出器ABPは、非光学的検出素子1を保持するための開口20が形成された保持部2を備え、非光学的検出素子1は、保持部2の開口20に固定されずに配列され、レジスト5の表面に接触することにより位置が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状計測装置、表面形状計測方法、露光装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
投影露光装置においては、集積回路の微細化及び高密度化に伴い、より高い解像力でレチクルの回路パターンをウエハに投影露光することが要求されている。
【0003】
このような要求を達成するため、露光装置の方式として、ステッパーからスキャナーが主流になりつつある。ステッパーとは、略正方形状の露光領域をウエハに縮小して一括投影露光するステップ・アンド・リピート方式の露光装置である。一方、スキャナーとは、露光領域を矩形のスリット形状としてレチクルとウエハを相対的に高速走査し大画面を精度よく露光するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0004】
スキャナーは、露光中において、ウエハの所定の位置が露光スリット領域に差し掛かる前に、光斜入射系の表面位置検出手段によってそのウエハの所定位置における表面位置を計測する。そして、その所定位置を露光する際に、ウエハ表面を最適な露光像面位置に合わせる補正を行うことにより、ウエハの平面性の影響を低減することができる。
【0005】
特に、露光スリットの長手方向(すなわち、走査方向と直交する方向)には、ウエハの表面位置の高さ(フォーカス)だけではなく表面の傾き(チルト)を計測するため、露光スリット領域の前段及び後段に複数の計測点が設けられている。このようなスキャナーにおけるウエハの表面位置計測方法として、例えば、特許文献1に開示された方法がある。
【0006】
以下、従来の表面形状計測装置を備えた露光装置の構成について、簡単に説明する。図13は、従来の露光装置の概略構成図である。
【0007】
エキシマレーザ等を用いた光源800から射出された光(露光光)は、照明光学系801によって露光に適した所定形状の露光スリットに整形され、レチクル101上のパターン面を照明する。そのパターン面には露光すべき回路パターンが形成されており、回路パターンを通過した光が投影露光レンズ102を介して結像面に相当するウエハ103面上近傍に像形成する。
【0008】
レチクル101は、Y方向に走査駆動可能なレチクルステージRS上に保持されている。ウエハ103は、XYZ方向に走査駆動可能で、かつ、XYZ角軸周りに傾斜(チルト)補正可能なウエハステージWS上に保持されている。
【0009】
レチクルステージRSとウエハステージWSとを露光倍率に対応する速度比でY方向に走査させることにより、レチクル101上の回路パターンをウエハ103上のショット領域へと露光する。1つのショット領域への露光(ワンショット露光)が終了した後、ウエハステージWSは露光領域が次のショット領域となるようにウエハ103をステップ移動させる。そして、−Y方向への(すなわち、直前の走査方向と逆方向への)走査露光を行う。これら一連の動作はステップ・アンド・スキャンと呼ばれ、スキャナー特有の露光方法である。このステップ・アンド・スキャン動作によってウエハ103上のすべてのショット領域が露光される。
【0010】
ワンショット露光内での走査中には、フォーカス及びチルト検出系133によりウエハ103表面の面位置情報が取得され、露光像面からのずれ量が算出される。そして、Z方向及びチルト方向へのステージ動作によって略露光スリット単位でウエハ103表面の位置補正が行われる。図14は、フォーカス及びチルト検出系133の概略構成図である。ただし、この構成については特許文献1に詳しいため、具体的な説明は省略する。
【0011】
フォーカス及びチルト検出系133は、光学的にウエハ103の表面高さを計測している。ウエハ103の表面、さらに詳細にはウエハ103上に塗布されたレジストの表面に対し、光源LEDからマスク及び投光系を介して高入射角度で光を入射させる。そして、ウエハ103からの反射光の像ずれを、受光系を介して、CCD等の位置検出素子で検出する。ウエハ103上の複数の計測点に光を入射させ、それぞれの反射光を別個の位置検出素子に導き、異なる位置におけるウエハ103表面の高さ計測結果に基づいてウエハ103のチルト補正を行っている。
【0012】
しかしながら、集積回路の微細化及び高密度化に伴い、露光光学系の焦点深度が極めて小さくなっている。これに従い、露光対象としてのウエハ表面を最良結像位置(ベストフォーカス位置)に制御する際の許容範囲、すなわちフォーカス精度に対する要求もますます厳しくなっている。その結果、ウエハ上のパターンによる影響や、レジスト厚さムラに起因する面位置検出系の計測誤差も無視できない。
【0013】
図15は、ウエハ上のパターン段差に伴うレジスト厚変化による反射率変化を説明する図である。レジストの塗布されたウエハの反射率は、レジスト表面の反射光とレジスト裏面(ウエハパターン表面)の反射光との干渉により決まる。ウエハに段差が無い領域Aのレジスト厚Rtに比べて、段差部Bのレジスト厚Rt’は厚い。このため、A領域に照射された光のレジスト表面の反射光ka1とレジスト表面の反射光ka2の光路長差dAとB領域に照射された光のレジスト表面の反射光kb1とレジスト表面の反射光kb2の光路長差dBが異なる。その結果、A領域とB領域の反射率に差が生じる。このように、光が反射率変化のある領域に照射された場合、非対称な信号波形が生じることになる。
【0014】
図16は、パターンの無い領域C(またはパターン密度が粗な領域)とパターン密度が大きい領域Dの反射率差を説明する図である。領域CとDのレジスト厚は同等で、領域CとDのレジスト表面での反射光kc1,kd1の反射率はほぼ同等であるが、領域CとDはウエハ上のパターンの粗密度が異なるため、レジスト裏面での反射光kc2,kd2の反射率が異なる。また更にウエハパターンが照明光の波長以下になると、構造複屈折と呼ばれる反射での位相飛びの現象が発生し、レジスト裏面での反射光kc2,kd2の間の位相差に差が生じることにより、領域CとDの反射率に差が生じることになる。
【0015】
このように、ウエハパターンによって反射角度や反射強度が変化する。このため、反射光を受光した際の検出波形が非対称となることにより、検出誤差が生じ、また、検出波形のコントラストが著しく低下して正確な面位置検出が困難となる場合がある。特に、ウエハパターンのパターン寸法が65nm以下である場合、フォーカス計測精度を数nm以下に管理する必要があり、現在の光学的計測のみでは充分なフォーカス精度を確保することは困難である。
【0016】
このため、この問題を解決する方法として、特許文献2に開示されている方法がある。特許文献2には、原子間力顕微鏡(AFM)で使用するカンチレバーと同じ形状のものを複数配列したマルチカンチレバーを用いることが開示されている。また、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)と呼ばれる構造を利用してマルチカンチレバーが作製される。このようなマルチカンチレバーを用いることにより、光計測系による問題点を解消している。
【0017】
また特許文献2では、複数のカンチレバー等の高さバラツキを校正する場合のキャリブレーションに関しても、平面度が予め判明している治具としてのサンプルウエハ等を使用する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平6−260391号公報
【特許文献2】特開2006−112788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献2の方法では、光計測系による問題点を解消しているが、柔らかいレジストの接触時に、レジストを変形させるおそれがある。このため、接触部のバネ常数をさらに小さくし、よりソフトに接触する必要がある。
【0020】
また、キャリブレーションに使用するサンプルウエハ等は、平面度が予め判明している必要がある。このため、その計測精度や手間等により、高価なキャリブレーション方式となっている。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基板の表面形状を簡便かつ高精度に計測可能な表面形状計測装置及び表面形状計測方法を提供する。また、本発明は、そのような表面形状計測装置を備えた露光装置、及び、そのような露光装置を用いたデバイス製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明の一側面としての表面形状計測装置は、被測定物の表面に接触して該表面の高さ変化に応じて位置が変化する複数の非光学的検出素子を有する高さ検出器と、前記非光学的検出素子に向けて測定光を発する光源と、前記非光学的検出素子からの前記測定光の反射光を受光することにより前記非光学的検出素子の前記位置を検出する光検出器とを有し、前記高さ検出器は、前記非光学的検出素子を保持するための開口が形成された保持部を備え、前記非光学的検出素子は、前記保持部の前記開口に固定されずに配列され、前記被測定物の表面に接触することにより前記位置が変化する。
【0023】
本発明の他の側面や他の目的及び更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施例により明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被測定物の表面形状を簡便かつ高精度に計測可能な表面形状計測装置及び表面形状計測方法を提供することができる。また、本発明によれば、そのような表面形状計測装置を備えた露光装置、及び、そのような露光装置を用いたデバイス製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図2】実施例1における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触している状態である。
【図3】実施例1において、複数の非光学的検出素子が配列した構造の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図4】実施例1において、複数の非光学的検出素子が配列した構造の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触している状態である。
【図5】実施例1において、複数の非光学的検出素子を格子状に配置した高さ検出器の概略構成図である。
【図6】実施例1における光計測系で非光学的検出素子の高さ位置を測定する状態を示す拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図7】実施例1における光計測系で非光学的検出素子の高さ位置を測定する状態を示す拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図8】実施例1において、表面形状計測装置をツインステージの半導体露光装置に適用した場合の概略構成図である。
【図9】実施例1における光計測系の概略構成図である。
【図10】実施例2における表面形状計測装置の側面図である。
【図11】高さ検出器を用いてキャリブレーション計測を行う状態を示す図である。
【図12】高さ検出器を用いずにキャリブレーション計測を行う状態を示す図である。
【図13】従来の露光装置の概略構成図である。
【図14】図13に示される露光装置のフォーカス及びチルト検出系の概略構成図である。
【図15】光学的なオフセットの説明図である。
【図16】光学的なオフセットの説明図である。
【図17】実施例1における表面形状計測方法のフローチャートである。
【図18】実施例1における非光学的検出素子の高さバラツキのキャリブレーションを示すフローチャートである。
【図19】実施例2における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図20】実施例2における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触している状態である。
【図21】実施例2における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図22】実施例2における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触している状態である。
【図23】実施例6における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触していない状態である。
【図24】実施例6における高さ検出器の拡大断面図であり、非光学的検出素子が被測定物に接触している状態である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
本実施例の表面形状計測装置は、特に、半導体ウエハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板等の被処理体の表面形状を計測する表面形状計測装置である。本発明は、例えば、半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等をリソグラフィ工程によって製造する投影露光装置や投影露光方法に好適である。また、化学気相成長法(CVD)や化学機械研磨(CMP)後の薄膜の形状検査を行う装置にも適して用いられる。
[実施例1]
まず、本発明の実施例1について説明する。図8は、本実施例に係る露光装置Sの要部を概略的に示す構成図である。本図は、本実施例の表面形状計測装置をツインステージの半導体露光装置に適用した場合の概略構成図である。なお、この露光装置Sは、例えば米国特許4,861,162に開示される露光装置に本実施例の表面形状計測装置を適用して構成される。
【0028】
露光装置Sにおいて、ウエハ21(基板)は、計測ステージ22と露光ステージ23との2つのウエハ駆動ステージ間を、チャック24に吸着された状態で搬送される。露光ステージ23上では、露光光源からの露光光をレチクル上に導く照明光学系(不図示)を介して、投影光学系26によってレチクルのパターンをウエハ21上に投影される。ウエハ21(露光ステージ23)は基板駆動系(不図示)により駆動され、また、レチクルはレチクル駆動系(不図示)により駆動される。
【0029】
チャック24の上には、ウエハ21の位置計測のためのチャックマーク24aが設けられている。計測ステージ22において、このチャックマーク24aとウエハ21との間の3次元的な位置関係がアライメント検出系27を用いて計測される。その後、ウエハ21を吸着したままチャック24が露光ステージ23に移動する。露光ステージ23では、チャックマーク24aの3次元的な位置がアライメント検出系27によって計測される。その計測結果及びウエハ21とチャックマーク24aとの位置関係情報とを用いることにより、露光ステージ23におけるウエハ21の3次元的な位置(XYZ方向の位置)が把握される。
【0030】
露光装置Sには、基板の表面形状を計測するためのフォーカス検出系MP(表面形状計測装置)が設けられている。フォーカス検出系MPの内部には、後述のとおり、複数の球形状の非光学的検出素子1が格子状に配置された高さ検出器ABPが配置されている。非光学的検出素子1の材料としては、例えばシリコンが用いられる。
【0031】
図5は、本実施例において、複数の非光学的検出素子1を格子状に配置して構成された高さ検出器ABPの概略構成図である。図5に示されるように、本実施例の高さ検出器ABPには、1辺が30mmの正方形領域内に各々の非光学的検出素子1が2mm間隔で縦横に各16個(合計256個)配置されている。このように、本実施例において、非光学的検出素子1を格子状に複数配列した素子を、高さ検出器ABP(複数球形状の非光学的検出素子)と呼ぶ。高さ検出器ABPは、複数の非光学的検出素子1を二次元的に配列することにより測定領域を構成する。この測定領域の大きさは、被測定物(ウエハ)を露光する際のショット領域の大きさ以上であることが望ましい。
【0032】
なお、本実施例の高さ検出ABPは、図5に示される非光学的検出素子1の数及び配置に限定されるものではない。図5に示される構成の代わりに、基板の表面形状を計測するのに適した他の構成を採用してもよい。
【0033】
図1及び図2は、本実施例における高さ検出器ABPの拡大断面図であり、それぞれ、一つの非光学的検出素子1の周辺構造を示している。図1は、非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触していない状態であり、図2は、非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触している状態(計測時)である。
【0034】
図1に示されるように、非光学的検出素子1は球形状である。保持部2には開口20が形成されており、球形状の非光学的検出素子1はこの開口20に収まり保持されている。非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触していない場合、非光学的検出素子1は、その表面が開口20の外周部20aに接することにより、所定位置に保持される。このとき、非光学的検出素子1の一部(下端部)は、開口20から保持部2の下側に突出している。
【0035】
本実施例の保持部2は、例えばMEMS技術(Micro Electro Mechanical Systems)を用いて作製することができる。ただしこれに限定されるものではなく、他の方法を用いて作製してもよい。
【0036】
また、本実施例の高さ検出器ABPは蓋部3を有する。蓋部3は、非光学的検出素子1の位置の変化(移動領域)を所定範囲に制限する、保持部2に固定されている。
【0037】
図2に示されるように、本実施例における被測定物は、レジスト5が塗布されたウエハ4(シリコンウエハ)である。ただし、これに限定されるものではなく、本実施例における高さ検出器ABPは、他の被測定物の高さを測定することもできる。本実施例の計測時には、高さ検出器ABPをウエハ4(シリコンウエハ)の表面近傍に配置する。非光学的検出素子1は、その下端部が保持部2の下側に突出しているため、高さ検出器ABPとウエハ4上に塗布されたレジスト5との間の距離が所定距離より小さくなると、非光学的検出素子1はレジスト5の表面に接触する。
【0038】
非光学的検出素子1は、開口20の外周部20aに接することにより保持部2に保持されているが、機械的拘束を受けていない。すなわち、非光学的検出素子1は、保持部2の開口20に固定されずに配列され、被測定物の表面に接触することにより位置が変化する。
【0039】
このように、非光学的検出素子1は、保持部2に置かれているだけで、下側から上側に外力が加えられることにより、自由にその位置を変化させる。このため、図2に示されるように、非光学的検出素子1が被測定物であるレジスト5(ウエハ4)に接すると、非光学的検出素子1は、保持部2に対して上側に移動する。すなわち、非光学的検出素子1は、被測定物の表面に接触することにより、保持部2の開口20の内部において位置が変化する。
【0040】
高さ検出器ABPは、計測時において、レジスト5(ウエハ4)の表面近傍に配置され、この表面に接触して表面の高さ変化に応じて位置が変化する複数の非光学的検出素子1を配列して構成される。そして、非光学的検出素子1は、レジスト5の表面に接触することにより、機械的拘束を受けることなく位置が変化する。
【0041】
非光学的検出素子1は、被測定物であるウエハ4上のレジスト5の表面を傷つけないように、ウエハ4上のレジスト5の表面に接した状態で支持される。非光学的検出素子1の位置(非光学的検出素子1の高さ)は、レジスト5の表面の凹凸(高さ変化)に従って変化する。このとき、非光学的検出素子1の移動可能な領域は、蓋部3により所定範囲に制限される。このため、非光学的検出素子1は、上側に移動しても開口20の外側に排出されることはなく、開口20の内部に収まっている状態を維持する。
【0042】
高さ検出器ABPを以上のように構成し、非光学的検出素子1の位置(高さ)を後述のように光学的に検出することにより、ウエハ4上に塗布されたレジスト5の表面等の被測定物のZ方向位置(紙面垂直方向位置)を計測することができる。
【0043】
また、非光学的検出素子1をレジスト5の表面に配置して非光学的検出素子1の高さを計測することにより、図15及び図16に示されるような光学的なオフセットの発生を防止することができる。このため、ウエハ4に塗布されたレジスト5の表面形状(表面高さの変化)をより正確に計測することが可能になる。
【0044】
図3及び図4は、本実施例における高さ検出器ABPの拡大側面図であり、それぞれ、複数の非光学的検出素子1が配列している構造を示している。図3は、複数の非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触していない状態であり、図4は、複数の非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触している状態(計測時)である。
【0045】
図3に示されるように、複数の非光学的検出素子1は、格子状に形成された保持部2の開口20に収まるように配置されている。非計測時には、複数の非光学的検出素子1は、開口20の外周部20aに接して、保持部2に保持されている。このとき、複数の非光学的検出素子1の下端部は、いずれも同じように、保持部2の下方に突出している。
【0046】
一方、図4に示されるように、計測時には、複数の非光学的検出素子1の下端部は、ウエハ4上のレジスト5の表面等の被測定物の最上面に接触する。このとき、各々の非光学的検出素子1の位置は、レジスト5の表面の凹凸に従って異なる。すなわち、測定領域における複数の非光学的検出素子1の位置は、測定領域の二次元的な表面形状を反映することになる。
【0047】
ここで、非光学的検出素子1の位置は、蓋部3の存在により、その高さ方向において移動可能な領域が制限される。このため、非光学的検出素子1が開口20の外に排出されて計測ができないという状況にはならない。後述のとおり、複数の非光学的検出素子1の上部の部分を光計測系で計測することにより、それぞれの非光学的検出素子1の高さが計測可能となる。
【0048】
次に、非光学的検出素子1の高さを計測する計測方法について説明する。非光学的検出素子1の高さを計測する計測方式に関しては、光計測系を用いることができ、具体的な計測方法として種々の原理のものが用いられる。
【0049】
例えば、原子間力顕微鏡(AFM)に頻繁に用いられる光テコ方式と呼ばれる方法を使用してもよい。非光学的検出素子1は、計測プローブとウエハに塗布されたレジスト表面上に配置されるため、ウエハ表面の高さ位置に応じて上下移動する。
【0050】
非光学的検出素子1の上面に斜入射光を入射させ、その背面からの反射光を電荷結合素子(CCD)等の光検出器によって検出する。このようにして、非光学的検出素子1の高さ、すなわちウエハの表面形状を計測することができる。
【0051】
図9は、実施例1におけるフォーカス検出系(表面形状計測装置)の概略構成図である。本図は、複数の非光学的検出素子1による高さ計測を1つの光学系によって行う光テコ方式のフォーカス検出系MPを示している。
【0052】
また、図6及び図7は、実施例1における光計測系6で非光学的検出素子1の高さ位置を測定する状態を示す拡大断面図である。図6は、非光学的検出素子1が被測定物(レジスト5を塗布したウエハ4)に接触していない状態であり、図7は非光学的検出素子1が被測定物に接触した状態である。光計測系6と高さ検出器ABPとにより、フォーカス検出系MPが構成される。
【0053】
図9に示されるように、レーザー光源10(光源)は、高さ検出器ABP(複数の非光学的検出素子1)に向けて測定光10aを発する。レーザー光源10(光源)から発せられた測定光10aは、複数のスポット発生部11によって分割され、投光光学系12によって複数の非光学的検出素子1それぞれの背面1bに斜入射光8として入射される。複数の非光学的検出素子1の背面1bそれぞれからの反射光は、受光光学系13により光検出器9の受光面へ導かれる。このように、光検出器9は、非光学的検出素子1からの測定光の反射光を受光することにより非光学的検出素子1の位置を検出する。
【0054】
市販のAFMにおける光テコ方式では、光検出器として四分割センサが用いられるが、本実施例では二次元撮像素子(例えば、エリア型CCD等)が用いられる。光検出器9による受光位置は、非光学的検出素子1の背面1bの高さ位置(Z方向位置)に応じて変化する。このため、光検出器9で受光した光を光電変換することにより、複数の非光学的検出素子1のZ方向位置を正確に計測することができる。
【0055】
本実施例の表面計測方法は、図8に示されるように、ウエハ21を計測ステージ22上に搭載し、露光ステージ23上におけるウエハ21の露光前に、以下の計測シーケンスに基づいて行われる。
【0056】
図17は、本実施例における表面形状計測方法のフローチャートである。本図に示されるように、本実施例の表面形状計測方法は、近接ステップS101、光入射ステップS102、受光ステップS103、及び、位置算出ステップS104からなる。まず、近接ステップS101において、高さ検出器ABPを被測定物であるウエハ21に近接させ、保持部2の開口20に固定されずに配列された複数の非光学的検出素子1をウエハ21の表面に接触させる。これにより、ウエハ21の表面高さに応じて複数の非光学的検出素子1の位置を変化させる。
【0057】
この動作が完了した後、光入射ステップS102において、非光学的検出素子1に測定光10aを入射する。また、受光ステップS103において、非光学的検出素子1からの測定光10aの反射光を光検出器9により受光する。最後に、位置算出ステップS104において、光検出器9による受光位置に基づいて、非光学的検出素子1の位置を算出する。
【0058】
このように、まず、ウエハ21上で最初に露光されるショット領域の表面形状を複数の非光学的検出素子1により計測する。次に、計測ステージ22を駆動して、その他の各ショット領域における表面形状を、複数の非光学的検出素子1にて計測する。
【0059】
全てのショット領域の表面形状計測の終了後、ウエハ21のXY方向位置情報を得るため、アライメント検出系27(オフアクシススコープ)によってウエハアライメントを行う。多くの場合、グローバルアライメントによるウエハアライメントが行われる。このウエハアライメント時には、チャック24上に設けられたチャックマーク24aのXYZ位置をアライメント検出系27により計測する。
【0060】
ウエハアライメント終了後、ウエハ21を吸着した状態でチャック24が露光ステージ23へ移動する。そして、ウエハ21の露光を開始するとともに、計測ステージ22に未計測の新たなウエハ1を移動する。なお、露光シーケンスについては公知の方法と同様である。このため、露光シーケンスの説明は省略する。
【0061】
図2に示されるように、非光学的検出素子1とウエハ4との間の距離を設定するに際しては、ウエハ4の表面形状の高さバラツキを考慮する必要がある。ウエハ4の表面形状の高さバラツキの値よりも非光学的検出素子1とウエハ4と間の距離を近接させると、非光学的検出素子1の保持部2に被測定物であるウエハ4(レジスト5)の表面が接触する可能性がある。保持部2がレジスト5に接触すると、レジスト5の表面(被測定物の表面)を傷つけてしまう恐れがある。従って、非光学的検出素子1と被測定物との間の位置関係は、これらが接触するものの、被測定物に影響しない条件に設定する必要がある。
【0062】
例えば、最新の液浸レジストの硬さを計測し、それを変形させないように考慮した、非光学的検出素子1の重さ、大きさ、材質を選んで使用する。また、被測定物の絶対値の形状を計測するのではなく相対値を計測する場合、複数の非光学的検出素子1を被測定物の表面に配置することで、一様に下がっても、被測定物に塑性変形を起こさなければよい。このため、その条件で非光学的検出素子の仕様を決めることも可能である。
【0063】
また、非光学的検出素子1の材料に関して、リソグラフィ時のウエハ上のレジスト表面を計測する表面計測方法を実行する場合には、半導体プロセスの歩留まりを低下させる汚染対策を考慮する必要がある。具体的には、非光学的検出素子1を任意の金属材料で作製すると、半導体プロセスにおいて望ましくない金属汚染(メタルコンタミ)の発生源となる。このため、非光学的検出素子1の材料としては、汚染源とならない材料であるシリコン等を用いることが望ましい。
【0064】
また、非光学的検出素子1を例えば1000個以上配列して高さ検出器ABPを構成する際には、ナノメートルオーダーでの高さバラツキが発生する可能性がある。このため、ウエハ4の表面計測を行う前に、サンプルミラー工具(いわゆる治具、ウエハでも可)を用いて、複数の非光学的検出素子1それぞれの高さバラツキを校正するキャリブレーション作業が必要となる。本実施例によれば、このサンプルミラー工具は、予め平面度が判明している必要が無い。以下、非光学的検出素子1の高さバラツキを校正する場合のキャリブレーションの手順について説明する。
【0065】
図18は、本実施例における非光学的検出素子1の高さバラツキのキャリブレーションを示すフローチャートである。このキャリブレーションは、平面度が予め判明している治具としてのサンプルウエハ等を使用しない方法を提案するものである。また、このキャリブレーションは、高さ検出器ABPを使用した計測と使用しない計測の二つの計測結果を利用する。
【0066】
図11は、高さ検出器ABPを用いてサンプルウエハ31の平面高さを計測している状態を示したものである。まず、ステップS201において、高さ検出器ABPを用いてサンプルウエハ31(平面サンプル)の表面形状を計測する(第一計測ステップ)。サンプルウエハ31は、その平面度が予め判明している必要の無い治具である。
【0067】
図11に示されるように、サンプルウエハ31は、その表面計測範囲が高さ検出器ABPの下方に位置するように設定される。その後、サンプルウエハ31を+Z方向(高さ方向)、すなわち高さ検出器ABPに近接する方向)に移動させる。全ての非光学的検出素子1がサンプルウエハ31に接触するようにして、そのときの各非光学的検出素子1のZ方向位置を光学的に計測する。この計測値を、各非光学的検出素子1ij(ijはそれぞれ整数)において、Zij1とする。ステップS201が終了後、高さ検出器ABPを取り除く。
【0068】
次に、ステップS202において、高さ検出器ABPを用いることなく、サンプルウエハ31の表面形状を光計測系で計測する(第二計測ステップ)。図12は、高さ検出器ABPを用いずにサンプルウエハ31の平面高さを計測している状態を示したものである。このとき、サンプルウエハ31の表面の高さ位置(Z方向位置)は光学的に計測される。この計測値を、各非光学的検出素子1ij(ijはそれぞれ整数)において、Zij2とする。
【0069】
次に、ステップS203において、非光学的検出素子1の高さバラツキを算出する。すなわち、高さ検出器ABPを使用して得られた第一計測値Zij1と使用しないで得られた第二計測値Zij2の差分Zij1−Zij2をオフセットとして、各非光学的検出素子1ijに設定する。このように、ステップS203は、第一計測ステップで計測した第一計測値と第二計測ステップで計測した第二計測値との差から、非光学的検出素子1の高さバラツキを算出する補正値算出ステップである。
【0070】
図17に示される位置算出ステップS104において、ステップS203で算出した高さバラツキ(Zij1−Zij2)を用い、複数の非光学的検出素子1の位置を補正する(ステップS204)。このように、位置算出ステップS104は、補正値算出ステップで算出された非光学的検出素子1の高さバラツキに基づいて、非光学的検出素子1の位置を補正する位置補正ステップを含む。このため、本実施例の校正方法によれば、サンプルウエハ31の表面のバラツキに関係なく、各複数の非光学的検出素子1の大きさのバラツキも補正することができる。
【0071】
なお、高さ検出器ABPを使用する計測と使用しない計測のいずれを先に計測するかは、限定されるものではない。本実施例では、高さ検出器ABPを使用する計測を先に行ったが、これに代えて、高さ検出器ABPを使用する計測を後に行ってもよい。すなわち、ステップS201とステップS202の順番を入れ替えることもできる。
【0072】
上述のとおり、本実施例によれば、複数の非光学的検出素子1を備えた高さ検出器ABPを用いた非光学的な計測と、光学的な計測とを組み合わせている。このため、ウエハ上に塗布されたレジストの表面形状を光学的な方法のみによって計測する際に生じるオフセットが発生しない。また、キャリブレーションを行うことにより、複数の非光学的検出素子1の高さバラツキやサンプルウエハの平面度の影響を殆ど受けることなく、ナノメートルオーダーでの計測を高精度に行うことができる。
【0073】
また、本実施例では、表面形状計測方法の適用対象をリソグラフィ時のウエハ上のレジスト表面を計測する場合に関して説明した。ただし、本実施例はこれに限定されるものではない。
【0074】
本実施例は、特に、表面上に1μm以下の薄膜を形成した場合に効果的である。また、化学気相成長法(CVD)で膜を成膜した後や化学機械研磨(CMP)を行った後の表面形状を計測する際にも効果的である。
【0075】
このように、本実施例では、シリコン等の材料で形成した球形状の非光学的検出素子を保持部に格子状に複数乗せ、その複数の非光学的検出素子の位置について光計測する。本実施例によれば、基板の表面形状を簡便かつ高精度に計測することが可能となる。
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について説明する。図10は、本実施例における表面形状計測装置の側面図である。計測ステージ22(Zステージ)上には、チャック24を介してウエハ21が搭載されている。ウエハ21の上には高さ検出器ABPが配置され、光計測系6(Zセンサ)を用いて非光学的検出素子の位置が検出される。
【0076】
図19及び図20は、本実施例における高さ検出器ABPの拡大断面図であり、それぞれ、一つの非光学的検出素子51の周辺構造を示している。図19は、非光学的検出素子51が被測定物の表面に接触していない状態であり、図20は、非光学的検出素子51が被測定物の表面に接触している状態(計測時)である。この複数の非光学的検出素子51の形状は、実施例1のような球形状ではなく、球の上部、下部を平面とした形状となっている。
【0077】
市販のAFMでは、先端寸法が数10nmのプローブを用いて、XY面内での水平分解能を獲得している。しかし、本実施例の表面形状計測装置では、水平分解能は数100μm程度で足りる。スキャナー露光方式の半導体露光装置では、数mmの露光スリットが用いられている。このため、本実施例の水平分解能は数100μm程度で充分である。
【0078】
従って、複数の非光学的検出素子51の下部(レジスト接触部)の形状が1辺200μmの略正方形状でも問題はない。接触部を大きくすることで、却ってXY面内におけるレジスト5表面形状の微小なノイズ成分を低減して平均化効果を得ることができる。また、レジスト5上へのキズ付けの防止や複数の非光学的検出素子51の長期使用に伴う変形を防止する効果も得ることができる。このような効果を得るためには、複数の非光学的検出素子51の下部は少なくとも30nm以上であることが望ましい。
【0079】
本実施例では、非光学的検出素子51の上部も平坦面に形成し、その平坦面の部分について光計測系で高さ計測を行う。このため、非光学的検出素子51によれば、球形状の非光学的検出素子1と比較して、計測面積を向上させることができ、より高精度な計測が可能となる。
【0080】
このように、非光学的検出素子は球形状だけに限定されるものでなく、他の形状でもよい。例えば、上述のように、上部及び下部を平面状に形成することができる。また、非光学的検出素子を楕円形状や多角形としてもよい。また、検出する光計測系の光源の出力を低くして安価にするため、非光学的検出素子の少なくとも上部をメタルコート等により高反射にすることも有効である。
【0081】
なお、図20では、理解を容易にするためデフォルメされており、非光学的検出素子51と蓋部3との間が実際より広く示されている。実際には、非光学的検出素子51と蓋部3との間の距離は、非光学的検出素子51がレジスト5に接触して上に上がる分だけのクリアランスがあればよい。この距離は、少なくとも、非光学的検出素子51が保持部52の開口20から排出されないように構成されている必要がある。
【0082】
図21及び図22は、本実施例における他の高さ検出器ABPの拡大断面図であり、それぞれ、一つの非光学的検出素子61の周辺構造を示している。図21は、非光学的検出素子61が被測定物の表面に接触していない状態であり、図22は、非光学的検出素子61が被測定物の表面に接触している状態(計測時)である。
【0083】
図21及び図22に示されるように、それぞれの非光学的検出素子61の形状を、上部を大きく、及び、下部を小さくしてもよい。このとき、下部の被測定物に接触する部分を球面形状とし、上部を保持部62の上に置く。非光学的検出素子61の上部を光計測系で高さ計測することにより、被測定物の表面形状を簡便かつ高精度に計測することができる。
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について説明する。図8に示されるように、実施例1においては、ウエハ駆動ステージとして、計測ステージ22及び露光ステージ23の複数のステージを構成している。一方、本実施例では、実施例1とは異なり、一つのウエハ駆動ステージによって表面形状計測及び露光の両方を行う。
【0084】
本実施例では、複数のウエハ駆動ステージを使用する場合に比較して計測及び露光のスループットは低下するものの、装置全体の小型化及びコスト低減を実現することができる。また、ウエハ21を保持するチャック24を計測と露光とで異なるウエハ駆動ステージに載せ替える必要がない。このため、チャックマーク24aを基準としてウエハ21の3次元的位置を測定する必要がなく、チャックマーク24aが不要となる。
[実施例4]
次に、本発明の実施例4について説明する。実施例1〜3においては、複数の非光学的検出素子1によってショット領域全体を一度に計測している。つまり、複数の非光学的検出素子1が一度で表面形状を計測できる範囲(測定領域)が、一つのショット領域よりも広い領域となっている。
【0085】
しかしながら、例えばショット領域よりも小さい面積に配列された非光学的検出素子1を用いて複数回計測することにより、一つのショット領域の表面形状を計測することも可能である。非光学的検出素子1によってショット領域の一部の表面形状を計測し、測定領域が隣接するようにウエハ21を移動して再び表面形状を計測する。これを繰り返し複数回の計測によってショット領域全体の表面形状計測を行う。得られた複数個の計測データは、後の演算処理によって連結される。
【0086】
計測回数が増加して計測のスループットが低減するが、多数の非光学的検出素子1を配列してショット領域よりも大きな範囲を計測できる非光学的検出素子1の製作が計測精度の観点から困難である場合に、本実施例による計測が効果的である。もちろん光学的計測のみによる場合のようなオフセットが発生することはない。
[実施例5]
実施例1の複数の非光学的検出素子の上部の高さ計測の光計測系として、光てこ方式を使用していたが、本実施例はそれに限定されるものではない。光計測により高さ計測する方法であれば、計測方式に限定されるものではなく、基板の表面形状を簡便かつ高精度に計測可能な表面形状計測装置を提供することができる。光計測により高さ計測する方法としては、例えば、白色干渉方式やフーリエ変換モアレ法、位相シフト干渉法、波長走査干渉法等、多々存在する。
【0087】
上述のとおり、本実施例における光計測系は、非光学的検出素子の上部の高さ計測、及び、キャリブレーション用のサンプルウエハの高さ計測を行うだけであり、その計測物体の材質等は限定されている。このため、使用する波長は、レーザー等の単波長でも検出率の低下要因にはならない。
【0088】
特に、本実施例の計測を高速に行う場合、フーリエ変換モアレ法のように何も駆動しない計測方法や、半導体レーザーの発振波長を変えるだけでメカニカルに駆動がない波長走査干渉法が適して用いられる。
[実施例6]
次に、本発明の実施例6について説明する。図23及び図24は、本実施例における高さ検出器ABPの拡大断面図であり、それぞれ、一つの非光学的検出素子1の周辺構造を示している。図23は、非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触していない状態であり、図24は、非光学的検出素子1が被測定物の表面に接触している状態(計測時)である。
【0089】
図23及び図24では、説明を簡単にするため、球形状の非光学的検出素子1を表しているが、本実施例の非光学的検出素子は球形状に限定されるものではない。例えば図19又は図21に示されるような他の形状でもよい。
【0090】
本実施例では、特に、非光学的検出素子1を保持する保持部72の構成について説明する。実施例1では、複数の開口20を二次元的に配列した保持部2を構成し、各々の開口20に非光学的検出素子1を配置する。そして、非光学的検出素子1の高さを光学的に計測することで、基板の表面形状を簡便かつ高精度に計測可能とするものである。
【0091】
一方、本実施例において、保持部72は、非光学的検出素子1の高さを計測する光計測系(不図示)の計測光に対して透明な材質で構成されている。同様に、非光学的検出素子1の上部に設けられる蓋部73も、計測光に対して透明な材質で構成されている。
【0092】
例えば、計測光として、波長600nm程度の光を使用する場合、保持部72及び蓋部73の材質としては、硝子部材やアクリル等の部材を使用し、図23及び図24のような保持部72の加工も可能となる。このように、本実施例の計測光は、保持部72及び蓋部73に対して透明となっている。このため、不図示の光計測系は、非光学的検出素子1の上部を計測するだけでなく、非光学的検出素子1の無い部分の保持部72を透して、被測定物すなわちウエハ4上のレジスト5の表面形状を検出することができる。
【0093】
光計測時には、薄膜の多重反射や反射率の差で計測値の誤差が生じるが、これを解決することが本実施例の目的である。この場合の非光学的検出素子1の無い部分の保持部72を透してのレジスト5の表面計測も同様に計測誤差を生じる。ただし、この場合、その計測値はそのままレジスト5の表面の計測値とされるのではなく、非光学的検出素子1にレジスト5の表面に接触させるための姿勢制御に用いられる。このため、上記計測誤差が1ミクロン程度あるとしても問題は生じない。
【0094】
このように、本実施例では、非光学的検出素子1の高さを計測する光計測系の計測光に対して、保持部72及び蓋部73を透明な材質で構成する。このため、非光学的検出素子1にレジスト5の表面に接触させるための姿勢制御に光計測系を使用することも可能となる。
【0095】
デバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)は、前述のいずれかの実施例の露光装置を使用して感光剤を塗布した基板(ウエハ、ガラスプレート等)を露光する工程と、その基板を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される。
【0096】
本実施例によれば、ウエハ表面形状の高さバラツキやウエハパターンの粗密によって影響されることなく、ウエハ等の被処理体の表面形状を高精度に計測することができる。その表面形状計測結果は光学的計測の場合に発生するオフセットによる悪影響を受けることがない。結果的に、高精度なウエハパターンの露光が可能となり、ウエハ製造のスループットや歩留まり向上、ウエハの高性能化に寄与することができる。
【0097】
従って、本実施例によれば、被測定物の表面形状を簡便かつ高精度に計測可能な表面形状計測装置及び表面形状計測方法を提供することができる。また、本実施例によれば、そのような表面形状計測装置を備えた露光装置、及び、そのような露光装置を用いたデバイス製造方法を提供することができる。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
ABP:高さ検出器
MP:フォーカス検出系(表面計測装置)
RS:レチクルステージ
S:露光装置
WS:ウエハステージ
1:非光学的検出素子
2:フォルダ
3:蓋部
4:ウエハ
5:レジスト
6:光計測系
10:レーザー光源
10a:測定光
22:計測ステージ
23:露光ステージ
24:チャック
24a:チャックマーク
26:投影光学系
27:アライメント検出系
29:光検出器
101:レチクル
102:投影露光レンズ
103:ウエハ
133:フォーカス及びチルト検出系
800:光源
801:照明光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の表面に接触して該表面の高さ変化に応じて位置が変化する複数の非光学的検出素子を有する高さ検出器と、
前記非光学的検出素子に向けて測定光を発する光源と、
前記非光学的検出素子からの前記測定光の反射光を受光することにより前記非光学的検出素子の前記位置を検出する光検出器とを有し、
前記高さ検出器は、前記非光学的検出素子を保持するための開口が形成された保持部を備え、
前記非光学的検出素子は、前記保持部の前記開口に固定されずに配列され、前記被測定物の表面に接触することにより前記位置が変化することを特徴とする表面形状計測装置。
【請求項2】
前記非光学的検出素子は、球形状であり、
前記保持部は、前記非光学的検出素子が前記被測定物の表面に接触していない場合、該非光学的検出素子が前記保持部の前記開口の外周部に接することにより、該非光学的検出素子を所定位置に保持することを特徴とする請求項1記載の表面形状計測装置。
【請求項3】
前記高さ検出器は、前記複数の非光学的検出素子を二次元的に配列することにより測定領域を構成し、
前記測定領域の大きさは、前記被測定物を露光する際のショット領域の大きさ以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面形状計測装置。
【請求項4】
前記高さ検出器は、前記非光学的検出素子の前記位置の変化を所定範囲に制限する蓋部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の表面形状計測装置。
【請求項5】
前記保持部及び前記蓋部は、前記光源からの前記測定光に対して透明な材質から構成されていることを特徴とする請求項4記載の表面形状計測装置。
【請求項6】
高さ検出器を被測定物に近接させ、保持部の開口に固定されずに配列された複数の非光学的検出素子を該被測定物の表面に接触させることにより、該被測定物の表面高さに応じて該複数の非光学的検出素子の位置を変化させる近接ステップと、
前記非光学的検出素子に測定光を入射する光入射ステップと、
前記非光学的検出素子からの前記測定光の反射光を光検出器により受光する受光ステップと、
前記光検出器による受光位置に基づいて、前記非光学的検出素子の位置を算出する位置算出ステップとを有することを特徴とする表面形状計測方法。
【請求項7】
さらに、前記高さ検出器を用いて、平面サンプルの表面形状を計測する第一計測ステップと、
前記高さ検出器を用いることなく、前記平面サンプルの表面形状を光計測系で計測する第二計測ステップと、
前記第一計測ステップで計測した第一計測値と前記第二計測ステップで計測した第二計測値との差から、前記非光学的検出素子の高さバラツキを算出する補正値算出ステップとを有し、
前記位置算出ステップは、前記補正値算出ステップで算出された前記非光学的検出素子の高さバラツキに基づいて、該非光学的検出素子の前記位置を補正する位置補正ステップを含むことを特徴とする請求項6記載の表面形状計測方法。
【請求項8】
露光光源からの露光光をレチクル上に導く照明光学系と、
前記レチクルを駆動するレチクル駆動系と、
前記レチクルのパターンを基板に投影する投影光学系と、
前記基板を駆動する基板駆動系と、
請求項1乃至5のいずれか一に記載の表面形状計測装置とを有することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
請求項8記載の露光装置を用いて基板を露光するステップと、
露光された前記基板を現像するステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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