表面形状転写樹脂シートの製造方法
【課題】樹脂シートの表面に転写型を精度よく転写することができ、しかも形状ロールにおけるトラレ現象の発生を防止することができる表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】樹脂を加熱溶融状態でダイ58から連続的に押し出して樹脂シート53を形成し、当該樹脂シート53を上ロール63と中間ロール64とで挟み込み、次いで、樹脂シート53を中間ロール64に密着させたまま搬送し、搬送された樹脂シート53を中間ロール64と下ロール65とで挟み込む。中間ロール64と下ロール65とで挟み込む際に、下ロール65に形成された凹版転写型69を樹脂シート53の表面76に転写する。そして、下ロール65として、JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が35mN/m以下の表面を有する凹版転写型69を有する形状ロールを用いる。
【解決手段】樹脂を加熱溶融状態でダイ58から連続的に押し出して樹脂シート53を形成し、当該樹脂シート53を上ロール63と中間ロール64とで挟み込み、次いで、樹脂シート53を中間ロール64に密着させたまま搬送し、搬送された樹脂シート53を中間ロール64と下ロール65とで挟み込む。中間ロール64と下ロール65とで挟み込む際に、下ロール65に形成された凹版転写型69を樹脂シート53の表面76に転写する。そして、下ロール65として、JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が35mN/m以下の表面を有する凹版転写型69を有する形状ロールを用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板や光学フィルム用途などに利用することができる表面形状転写樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面形状転写樹脂シートは、溶融混練された樹脂をダイから連続的に押し出して樹脂シートを成形し、当該樹脂シートに転写型の凹凸形状を転写することによって得られるシートである。
表面形状転写樹脂シートの製造方法として、例えば、ダイから連続的に押し出された連続樹脂シートを、第一押圧ロールと第二押圧ロールとの間に挟み込む工程と、第二押圧ロールの表面に密着させたまま搬送する工程と、第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に挟み込む工程とを含む、製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、第三ロールに転写型が装着されており、第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に樹脂シートを挟みこんだ際、樹脂シートの表面に凹凸形状が転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面形状転写樹脂シートの用途として、液晶表示装置のバックライト装置に組み込まれる光拡散板や光学フィルムとしての使用用途などが普及しつつある。その場合、樹脂シートを製造する際に凹凸形状が精度よく転写されていないと(転写率が高くないと)、光拡散板および光学フィルムに設計どおりの光学特性を付与することが困難である。そのため、近年では、転写型を精度よく樹脂シートに転写させるための手法の確立が望まれている。
【0005】
そのような手法として、例えば、転写型が装着されたロール温度を高くする手法が考えられる。この手法では、ロールから樹脂シートに伝わる熱により樹脂シートの流動性を高めることができ、転写型の溝部の先端にまで樹脂を入り込ませることができるので、転写率の向上が期待できる。
しかしながら、ロール温度を高くし過ぎると、樹脂シートがロール表面に貼り付く「トラレ現象」が発生し易くなる。その結果、形状転写後の樹脂シートの表面に、その一部が盛り上がって形成される「タックマーク」が発生するという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、樹脂シートの表面に転写型を精度よく転写することができ、しかも形状ロールにおけるトラレ現象の発生を防止することができる表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法は、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを形成する工程と、JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が35mN/m以下の表面を有する転写型を有する形状ロールを用いて、当該連続樹脂シートの表面に前記転写型の前記表面を押し当てることにより、前記転写型の形状を転写する工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法では、前記形状ロールとして、前記表面に対して有機ポリシロキサン処理が施されている転写型を有する形状ロールを用いることが好適である。
また、本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法では、前記形状ロールとして、前記有機ポリシロキサン処理後、前記表面が洗浄された転写型を有する形状ロールを用いることが好適である。
【0009】
さらに、本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法では、前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、転写後の前記連続樹脂シートの厚さをT(mm)として表したときに、前記形状ロールの表面温度がTg−30(℃)〜Tg+50(℃)であり、前記連続樹脂シートの搬送速度が0.2/T(m/min)〜50/T(m/min)であり、前記形状ロールに接触する前の前記連続樹脂シートの表面温度がTg+50(℃)〜Tg+160(℃)であることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法によれば、転写型の表面(連続樹脂シートとの接触面)の濡れ張力が35mN/m以下であるので、形状ロールの温度が高くなっても、転写型に樹脂シートが貼り付く「トラレ現象」の発生を防止することができる。そのため、樹脂シートの搬送速度、樹脂シートの表面温度などの製造条件とともに、形状ロールの温度を適切にコントロールすることにより、転写型の凹部に樹脂を良好に入り込ませることができる。そのため、樹脂シートの表面に転写型を精度よく転写することができる。その結果、この製造方法により得られる樹脂シートを液晶表示装置の光拡散板や光学フィルムとして用いれば、優れた光学特性を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートが搭載された液晶表示装置の模式的な側面図である。
【図2】図2は、図1に示す液晶表示装置の模式的な斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光拡散板の模式的な斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光学フィルムの模式的な斜視図である。
【図4】図4は、光拡散板および光学フィルムの取り付け状態を示すランプボックスの要部拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法に使用される製造装置の概略構成図である。
【図6】図6は、下ロールに取り付けられた凹版転写型の模式断面図である。
【図7】図7は、凹版転写型の第1の変形例(略半円形状)を示す図である。
【図8】図8は、凹版転写型の第2の変形例(略プリズム形状)を示す図である。
【図9】図9は、図5に示すシート製造装置の変形例を示す図である。
【図10】図10は、実施例および比較例の転写型表面のIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<液晶表示装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートが搭載された液晶表示装置の模式的な側面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置の模式的な斜視図である。
液晶表示装置1(液晶テレビ)は、いわゆる直下型液晶表示装置であって、バックライトシステム2と、バックライトシステム2の前面に配置された液晶パネル3と、バックライトシステム2と液晶パネル3との間に配置された光学フィルム4とを備えている。なお、図1および図2では、液晶表示装置1を便宜的に、その前側を紙面上側に向けた姿勢で表している。また、以下の図で表される液晶表示装置1、バックライトシステム2、液晶パネル3などの各構成部材の縮尺は、説明の便宜上それぞれ設定されたものであり、全ての構成部材の縮尺が同じであるわけではない。
【0013】
バックライトシステム2は、四角板状の後壁5および後壁5の周縁から前方へ一体的に立設された四角枠状の側壁6を有し、前面側が開放された薄型箱状の樹脂製ランプボックス7と、ランプボックス7内に設けられた複数の線状光源8と、ランプボックス7の開放面9(前面)を塞ぐ光拡散板10とを備えている。
すなわち、箱状のランプボックス7は、その開放面9の輪郭が四角枠状の側壁6により区画され、側壁6および後壁5により囲まれる空間内に、線状光源8が設けられている。ランプボックス7の後壁5内面には、例えば、線状光源8から後壁5側へ入射する光を、ボックスの開放面9側へ反射させるための反射板(図示せず)が全体に取り付けられている。
【0014】
線状光源8は、例えば、直径が2mm〜4mmの円筒状ランプである。複数の線状光源8は、光拡散板10の背面18に対して一定間隔を空けた状態で、互いに平行に等しい間隔を空けて配置されている。
隣り合う線状光源8の中心同士の間隔Lは、省電力化の観点から、30mm〜60mmであることが好ましい。また、光拡散板10の背面18(例えば、背面18における中央部)と線状光源8の中心との距離Dは、薄型化の観点から、10mm〜20mmであることが好ましい。また、距離Dに対する間隔Lの比率(L/D)は、2.5〜4.0であることが好ましい。とりわけ、間隔Lは、40mm〜55mmであることが好ましく、距離Dは、13mm〜17mmであることが好ましい。また、線状光源8の数は、ランプボックス7のサイズ(液晶表示装置1の画面サイズ)および間隔Lにより必然的に決まるが、例えば、32型の液晶表示装置1では、6〜10本であることが好ましい。なお、図1および図2では、図解し易くするために、線状光源8を5本分だけ表している。
【0015】
また、線状光源8としては、例えば、蛍光管(冷陰極管)、ハロゲンランプ、タングステンランプなど、公知の筒形ランプを用いることができる。また、バックライトシステム2の光源としては、線状光源8に代えて、発光ダイオード(LED)などの点状光源などを用いることもできる。
液晶パネル3は、液晶セル11と、液晶セル11を厚さ方向両側から挟む1対の偏光板12,13とを備えている。このような液晶パネル3は、背面側の偏光板12と光拡散板10とが対向するように、バックライトシステム2の前面に配置される。
【0016】
液晶セル11としては、例えば、TFT型液晶セル、STN型液晶セルなど、公知の液晶セルを用いることができる。
光学フィルム4としては、特に制限されず、例えば、マイクロレンズフィルム、略半円状のレンチキュラーレンズフィルム、拡散フィルム、プリズムフィルム、反射型偏光分離フィルムなどが挙げられる。
<光拡散板および光学フィルムの構成>
図3Aは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光拡散板の模式的な斜視図である。図3Bは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光学フィルムの模式的な斜視図である。図4は、光拡散板の取り付け状態を示すランプボックスの要部拡大断面図である。
【0017】
図3Aに示すように、光拡散板10は、ランプボックス7の側壁6の枠形状とほぼ同じ四角の板状に形成されている。
光拡散板10の一方の主面(前面16)には、光拡散板10の1組の対向周縁間に延びる半楕円凸条17が多数筋状に形成されている。すなわち、光拡散板10の前面16には、半楕円凸条17と、隣り合う半楕円凸条17との間の凹溝19とが交互に形成されている。
【0018】
半楕円凸条17は、その形状に直交する切断面が略半楕円形状の輪郭を有している。多数の半楕円凸条17は、互いに平行に等しい間隔E1(例えば、1μm〜15μm)を空けて配置されている。隣り合う半楕円凸条17の中心同士の距離(ピッチP1´)は、例えば、200μm〜500μmである。また、半楕円凸条17の高さ(凹溝19の深さ)H1´は、例えば、100μm〜500μmである。また、半楕円凸条17のピッチP1´に対する高さH1´の比率(H1´/P1´)で表されるアスペクト比は、例えば、0.4以上、好ましくは、0.5〜0.7である。
【0019】
一方、光拡散板10の他方の主面(背面18)は、凹凸のない平坦面とされている。
また、図4に示すように、背面18から前面16における半楕円凸条17の頂部までの光拡散板10の厚さT1は、例えば、1mm〜4mmである。
また、図3Bに示すように、光学フィルム4は、光拡散板10の形状とほぼ同じ四角の板状に形成されている。
【0020】
光学フィルム4の一方の主面(前面20)には、光学フィルム4の1組の対向周縁間に延びる凸形状21が多数筋状に形成されている。この凸形状21は、たとえば、半楕円形状、プリズム形状などである(図3Bでは半楕円形状)。すなわち、光学フィルム4の前面20には、凸形状21と、隣り合う凸形状21との間の凹溝22とが交互に形成されている。
【0021】
多数の凸形状21は、互いに平行に等しい間隔E2(例えば、1μm〜15μm)を空けて配置されている。隣り合う凸形状21の中心同士の距離(ピッチP2´)は、例えば、30μm〜500μmである。また、凸形状21の高さ(凹溝22の深さ)H2´は、例えば、10μm〜500μmである。また、凸形状21のピッチP2´に対する高さH2´の比率(H2´/P2´)で表されるアスペクト比は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.4〜0.7である。
【0022】
一方、光学フィルム4の他方の主面(背面23)は、凹凸のない平坦面とされている。
また、図4に示すように、背面23から前面20における凸形状21の頂部までの光学フィルム4の厚さT2は、例えば、0.1mm〜1mmである。
光拡散板10および光学フィルム4の原料としては、特に制限されず、例えば、非晶性の透光性樹脂あるいは結晶性樹脂を用いることができる。
【0023】
用いられる非晶性透光性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、環状オレフィン共重合体、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)などが挙げられる。
【0024】
用いられる結晶性樹脂としては、例えば、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂などが挙げられる。
上記非晶性透光性樹脂および結晶性樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。また、これらのうち、光拡散板10の原料として用いられる場合には、好ましくは、スチレン系樹脂、ポリカーボネートが挙げられ、さらに好ましくは、スチレン系樹脂の単独使用が挙げられる。また、光学フィルム4の原料として用いられる場合には、好ましくは、ポリカーボネート、アクリル樹脂、MS樹脂、AS樹脂が挙げられる。
【0025】
また、光拡散板10および光学フィルム4には、必要により光拡散剤(光拡散粒子)を含有することができる。
光拡散剤としては、光拡散板10および光学フィルム4を構成する透光性樹脂と屈折率が異なり、透過光を拡散できる粒子であれば特に制限されず、例えば、無機系の光拡散剤として、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは、脂肪酸などで表面処理が施されたものであってもよい。
【0026】
また、例えば、有機系の光拡散剤として、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子などが挙げられ、好ましくは、重量平均分子量が50万〜500万の高分子量重合体粒子や、アセトンに溶解させたときのゲル分率が10質量%以上である架橋重合体粒子が挙げられる。
上記光拡散剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0027】
光拡散板10および光学フィルム4が光拡散剤を含有する場合、光拡散剤の配合割合は、透光性樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは、0.001〜0.01重量部である。また、光拡散剤は、上記透光性樹脂とのマスターバッチとして用いることができる。また、透光性樹脂の屈折率と光拡散剤の屈折率との差の絶対値は、光拡散性の観点から、通常、0.01〜0.20であり、好ましくは、0.02〜0.15である。
【0028】
また、光拡散板10および光学フィルム4には、必要により、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、蛍光増白剤、加工安定剤などの各種添加剤を添加することもできる。
紫外線吸収剤としては、特に制限されず、例えば、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤を添加する場合には、透光性樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤を0.1〜3重量部添加することが好ましい。上記した範囲であれば、紫外線吸収剤の表面へのブリードを抑制でき、光拡散板10および光学フィルム4の外観を良好に維持することができる。
【0029】
熱安定剤としては、特に制限されず、例えば、マンガン化合物、銅化合物などが挙げられる。熱安定剤を添加する場合には、紫外線吸収剤とともに添加し、透光性樹脂中の紫外線吸収剤1重量部に対して、熱安定剤を2重量部以下の割合で添加することが好ましく、透光性樹脂中の紫外線吸収剤1重量部に対して、熱安定剤を0.01〜1重量部添加することがさらに好ましい。
【0030】
また、酸化防止剤としては、特に制限されず、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合には、透光性樹脂100重量部に対して、酸化防止剤を0.1〜3重量部添加することが好ましい。
そして、光拡散板10は、図4に示すように、ランプボックス7内の線状光源8に対して半楕円凸条17が平行となる位置において、ランプボックス7の側壁6に対して光拡散板10の背面18を当接させて、ランプボックス7に固定されている。これにより、ランプボックス7の開放面9が光拡散板10により塞がれている。また、光学フィルム4は、光拡散板10の前方に配置されている。
<光拡散板(樹脂シート)の製造方法>
上記した光拡散板10および光学フィルム4は、下記の方法により製造された樹脂シートを切断することにより作製することができる。なお、以下では、光拡散板10を製造する場合について説明するが、光学フィルム4も下記の方法に倣って製造することができる。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法に使用される製造装置の概略構成図である。図6は、下ロールに取り付けられた凹版転写型の模式断面図である。
シート製造装置51は、原料樹脂をシート状に押し出して成形するシート成形機52と、押し出された樹脂シート53を押圧により成形するための一組の押圧ロール群54と、樹脂シート53を引き取るための一対の引取ロール群55とを備えている。
【0032】
シート成形機52は、例えば、一軸押出機、二軸押出機など、公知の押出成形機で構成されている。シート成形機52は、樹脂材料を加熱溶融(軟化)させるためのシリンダ56と、シリンダ56内に樹脂材料を投入するためのホッパ57と、シリンダ56内で軟化した樹脂材料を押し出すためのダイ58とを含んでいる。
ダイ58としては、通常の押出成形法に用いられる金属製のTダイなどが用いられる。ダイ58のリップ(ダイリップ59)の幅は、目的とする樹脂シート53の幅に合わせて選択され、例えば、200mm〜3000mmである。
【0033】
押圧ロール群54は、樹脂シート53を押圧により成形しながら、樹脂シート53の表裏面75,76に転写型により凹凸を形成する機構として、3つの押圧ロール63〜65を備えている。
なお、樹脂シート53の表面76が、光拡散板10の前面16を形成する面であり、最終的に形状加工が施される形状転写面である。一方、樹脂シート53の裏面75が、光拡散板10の背面18を形成する面であり、最終的に形状加工が施されない面(例えば、この実施形態では、平坦性が維持される平坦面)である。
【0034】
3つの押圧ロール63〜65は、それぞれ円柱状の金属製(例えば、クロム製、銅製、ニッケル製、ステンレス製など、あるいは樹脂製の表面材質である)ロールからなり、その周面の温度(表面温度)を調節する機能を有する冷却ロールである。3つの押圧ロール63〜65は、上から下へ向かって順に上ロール63、中間ロール64、および形状ロールとしての下ロール65として、軸線が相互に平行となるように上下方向に配置されている。
【0035】
上ロール63の周面66および中間ロール64の周面67は、この実施形態では、例えば、鏡面加工が施されることにより平滑面(鏡面)とされている。
下ロール65の周面68には、樹脂シート53に半楕円凸条17および凹溝19を形成するための凹版転写型69が設けられている。凹版転写型69は、例えば、円柱状の金属製ロールの上に銅メッキを施し、メッキされた金属製ロールを旋盤に設置し、ダイヤモンドバイトを用いて、銅メッキ層を狙いのレンズ形状に彫刻したり、ケミカルエッチングなどで溝を形成したりした後、銅上にクロムメッキ処理を施すことにより作製する。なお、凹版転写型69が設けられていない上ロール63および中間ロール64の表面にも、必要に応じて、例えば、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、Ni−Pメッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0036】
より精密な形状を再現よく形成するため、旋盤−ダイヤモンドバイトの組み合わせが好ましく、銅上に施すクロムメッキ厚は、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。
この凹版転写型69には、図6に示すように、半楕円凸条17とは反対型の半楕円凹溝70が、下ロール65の周方向に沿って多数筋状に形成されている。すなわち、凹版転写型69には、半楕円凹溝70と、隣り合う半楕円凹溝70との間の凸条71(この凸条71は凹溝19とは反対型であり、凹版転写型69の表面という場合には、この凸条71の表面のことをいう。)とが下ロール65の軸方向に沿って交互に配置されている。
【0037】
半楕円凹溝70の深さH1は、半楕円凸条17の高さH1´よりもやや大きく、例えば、10μm〜500μm、好ましくは、20μm〜300μm以下である。深さH1が過剰に大きすぎると、半楕円凹溝70の先端にまで樹脂を入り込ませることが難しくなる。 また、隣り合う半楕円凹溝70の中心同士の距離(ピッチP1)は、半楕円凸条17の形状に応じて適宜定められるが、例えば、30μm〜500μm、好ましくは、40μm〜450μmである。ピッチP1が30μm未満の場合、樹脂が下ロール65に接触してすぐに固化するおそれがあり、その結果、樹脂が半楕円凹溝70の先端にまで入り込まず、目標とする転写形状を得ることができないおそれがある。一方、ピッチP1が500μmを超えている場合、ピッチの筋が肉眼でも観察されたり、液晶パネル3や光学フィルム4などとのモアレ模様が現れたりするおそれがある。
【0038】
また、半楕円凹溝70のピッチP1に対する高さH1の比率(H1/P1)で表されるアスペクト比は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.4〜0.7である。
なお、半楕円凸条17の高さH1´と半楕円凹溝70の深さH1との差は、凹版転写型69が樹脂シート53に転写されて半楕円凸条17が形成される際の転写率(H1´/H1)(%)に起因するものである。
【0039】
このような形状の凹版転写型69の表面(樹脂シート53との接触面)には、有機ポリシロキサン処理が施されている。
有機ポリシロキサン処理とは、この実施形態では、下ロール65にクロムメッキを施した際に生じた微細な孔(マイクロクラック)を有機ポリシロキサンで埋める処理(封孔処理)のことをいい、例えば、有機ポリシロキサン溶液を凹版転写型69の表面に塗布し、乾燥させる方法、有機シロキサンを凹版転写型69の表面で重合させる方法、有機ポリシロキサンを凹版転写型69の材質(例えば、クロムメッキ)と化学的に反応させて結合させる方法により行うことができる。
【0040】
有機ポリシロキサンは、例えば、二官能シロキサン単位、三官能シロキサン単位および四官能シロキサン単位の骨格からなる。
シロキサン骨格を結合する官能基としては、例えば、炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは、炭素数1〜6の炭化水素基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基、例えば、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基本、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などのアルケニル基、例えば、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基、およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素などのハロゲン原子、シアノ基などで置換したもの、具体的には、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基、例えば、シアノエチル基などが挙げられる。
【0041】
また、有機ポリシロキサン処理後、凹版転写型69の表面を洗浄することにより、凹版転写型69の表面に残存する余分な有機ポリシロキサンを取り除くこともできる。これにより、有機ポリシロキサン処理が残存して凹版転写型69の表面に微細な凹凸が生じていても、その粗くなった表面を均すことができる。
この凹版転写型69の洗浄は、例えば、有機ポリシロキサン処理後の凹版転写型69の表面を、繊維(例えば、コットン、シルクなど)で拭く方法により行うことができる。
【0042】
上記のような有機ポリシロキサン処理が施されることにより、凹版転写型69の表面のJIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力は、35mN/m以下とされている。凹版転写型69の表面の濡れ張力は、好ましくは、5mN/m〜30mN/mである。
また、押圧ロール63〜65の回転軸にはそれぞれモータ(図示せず)が接続されていて、上ロール63および下ロール65が反時計回りに回転可能であり、中間ロール64が時計回りに回転可能である。すなわち、押圧ロール63〜65は、上から順に「反時計回りに回転可能」、「時計回りに回転可能」、「反時計回りに回転可能」である。これにより、全てのロール63〜65が樹脂シート53を挟みこんだ状態で同期回転することができる。また、押圧ロール63〜65の回転速度を適宜調節することにより、樹脂シート53の搬送速度を調整することができる。
【0043】
各押圧ロール63〜65の直径は、例えば、100mm〜500mmである。また、押圧ロール63〜65として金属製ロールが用いられる場合、その表面に、例えば、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、Ni−Pメッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。
また、中間ロール64の近くには、中間ロール64上を搬送される樹脂シート53の表面76(転写される側の表面)を加熱するためのヒータ72が設置されている。
【0044】
ヒータ72は、中間ロール64の周面67に対して離間するように対向配置されていて、搬送される樹脂シート53を表面76側から加熱する。ヒータ72としては、例えば、赤外ヒータなど、公知のヒータを用いることができる。また、ヒータ72は、樹脂シート53が搬送されるラインに設置するインラインタイプのものであってもよいし、作業者が手に持って測定できるハンディタイプのものであってもよい。
【0045】
一対の引取ロール群55は、樹脂シート53を厚さ方向両側から挟み込む一対の引取ロール85,86を含んでいる。
引取ロール85,86は、それぞれ円柱状のロール(通常、表面が樹脂製のロール)からなり、下側の引取ロール85の上端が下ロール65の下端と同じ高さ位置となるように対向設置されている。これにより、下ロール65から送出される樹脂シート53を、送出直後の高さで支持したまま水平搬送できるので、搬送抵抗を小さくすることができる。
【0046】
次いで、上記した製造装置を用いた樹脂シート53の製造方法を説明する。
(1)押出工程
まず、シート成形機52のホッパ57に原料樹脂が投入され、シリンダ56で溶融混練された後、フィードブロック(図示せず)に供給される。シリンダ56温度は、樹脂シート53が中間ロール64と接する前の表面75の中間ロール64入口温度T(R2前)が、例えば、200℃〜290℃の範囲となるように適宜調節する。具体的には、190℃〜250℃に設定される。
【0047】
次いで、フィードブロック(図示せず)内の樹脂が、ダイ58から押し出されることにより、連続的に樹脂シート53として押し出される。
(2)第1押圧工程および第1搬送工程
ダイ58から押し出された樹脂シート53は、まず、上ロール63と中間ロール64との間(ギャップ)に送り込まれ(この際、必要に応じてメルトバンクが形成される。)、上ロール63と中間ロール64とで挟み込まれて押圧される。その後、中間ロール64の周面67に裏面75(背面18)が密着して搬送される。搬送の際、樹脂シート53は中間ロール64により冷却されつつ、表面76側からヒータ72で加熱される。上ロール63および中間ロール64の表面温度としては、樹脂シート53の押出温度よりも低いことが好ましく、例えば、上ロール63の表面温度が40℃〜160℃であり、中間ロール64の表面温度が50℃〜200℃である。
【0048】
一方、ヒータ72の出力は、樹脂シート53が下ロール65と接する前の表面76の下ロール65入口温度T(R3前)が、例えば、原料樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、Tg+50℃≦T(R3前)≦Tg+160℃の範囲、好ましくは、Tg+70℃≦T(R3前)≦Tg+140℃の範囲となるように適宜調節する。これにより、適切な流動性を保持した状態の樹脂シート53を中間ロール64と下ロール65との間に突入させることができる。そのため、凹版転写型69の半楕円凹溝70の先端まで良好に樹脂を入り込ませることができる。
(3)第2押圧工程および第2搬送工程
その後、搬送される樹脂シート53は、中間ロール64と下ロール65との間(ギャップ)に入り込み、中間ロール64と下ロール65とで挟み込まれて押圧される。そして、中間ロール64と下ロール65との押圧の際、樹脂シート53の表面76(前面16)には、凹版転写型69の表面形状が転写されることによりシートの流れ方向(送出方向)に平行な筋状の半楕円凸条17が多数本形成される。
【0049】
その後、樹脂シート53は、下ロール65の周面68に表面76が密着して搬送される。樹脂シート53の押圧および搬送の際、下ロール65の表面温度T(R3)は、原料樹脂のガラス転移温度をTgしたとき、Tg−30℃≦T(R3)≦Tg+50℃の範囲、好ましくは、Tg−20℃≦T(R3)≦Tg+40℃の範囲に調節される。例えば、ガラス転移温度Tgが102℃のポリスチレン樹脂を使用する場合には、下ロール65の表面温度T(R3)の下限を72℃とし、上限を152℃となるように調節される。
【0050】
下ロール65の表面温度T(R3)が、上記した範囲であれば、凹版転写型69に樹脂シート53が貼り付く「トラレ現象」の発生を防止しつつ、凹版転写型69の半楕円凹溝70の先端まで良好に樹脂を入り込ませることができる。
搬送後、樹脂シート53は、下ロール65の下端において下ロール65から剥離して、引取ロール群55へと水平方向に送出される。その後、一対の引取ロール85,86により引き取られて樹脂シート53が製造される。そして、樹脂シート53がさらに冷却された後、適当な大きさで切断されることにより、上記光拡散板10を得ることができる。
【0051】
なお、樹脂シート53の搬送速度(製造ラインの速度)Vは、樹脂シート53(光拡散板10)の厚さT1を用いて、例えば、0.2/T1(m/min)≦V≦50/T1(m/min)の範囲、好ましくは、0.3/T1(m/min)≦V≦40/T1(m/min)の範囲となるように調節される。搬送速度Vが上記範囲であれば、凹版転写型69に樹脂シート53が貼り付く「トラレ現象」の発生を防止しつつ、比較的短いサイクルタイムで樹脂シート53を生産できるので、生産性がよい。
(4)作用効果
以上のように、本実施形態によれば、下ロール65の凹版転写型69の表面が、有機ポリシロキサン処理されている。これにより、下ロール65にクロムメッキを施した際に生じた微細な孔(マイクロクラック)を有機ポリシロキサンで埋めることができる。これにより、下ロール65の凹版転写型69の表面の濡れ張力は、35mN/m以下となっている。そのため、下ロール65の表面温度T(R3)が高くなっても、凹版転写型69に樹脂シート53が貼り付く「トラレ現象」の発生を防止することができる。その結果、とりわけ、樹脂シート53の下ロール65入口温度T(R3前)をTg+50℃≦T(R3前)≦Tg+160℃とし、下ロール65の表面温度T(R3)をTg−30℃≦T(R3)≦Tg+50℃とし、樹脂シート53の搬送速度Vを0.2/T1(m/min)≦V≦50/T1(m/min)とすることにより、凹版転写型69の半楕円凹溝70の先端まで樹脂を良好に入り込ませることができる。また、得られる樹脂シート53におけるタックマークの発生を防止することができる。
【0052】
よって、本実施形態によれば、光学設計により最適化された凹版転写型69の形状を、樹脂シート53の半楕円凸条17として良好に再現することができる。したがって、この樹脂シート53からなる光拡散板10は、優れた光学特性を発現することができる。また、上記の方法に倣って光学フィルム4を製造すれば、その光学フィルム4は、優れた光学特性を発現することができる。
【0053】
すなわち、この実施形態で開示された製造手法を用いることにより、従来の製造手法では転写困難であった難易度の高いプリズム形状や、高H1´/P1´比(0.5以上)、狭ピッチ形状(30μm以下)についても、転写率を精度よく向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。
【0054】
例えば、下ロール65の周面68には、凹版転写型69に代えて、図7に示す、略半円形状(シリンドリカルレンズ形状)の半円凹溝78を有する凹版転写型77や、図8に示す、略プリズム形状(例えば、頂点角度θが60°〜120°)のプリズム凹溝80を有する凹版転写型79を設けることもできる。
また、前述の実施形態では、凹版転写型69が設けられた形状ロールは、下ロール65として配置されていたが、図9に示すように、中間ロール64として配置されていてもよい。この場合、中間ロール64入口温度T(R2前)が、例えば、原料樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、Tg+50℃≦T(R2前)≦Tg+160℃の範囲、好ましくは、Tg+70℃≦T(R2前)≦Tg+140℃の範囲となるように適宜調節する。中間ロール64入口温度T(R2前)の調節は、ヒータ72を、ダイ58から押し出された樹脂シート53の裏面75(転写される側の表面)を加熱できるように設置し、そのヒータ72の出力を調節したり、シリンダ56の温度を調節したりすることにより行うことができる。
【0055】
また、前述の実施形態では、光拡散板10の背面18および光学フィルム4の背面23は、凹凸のない平坦面であるとしたが、例えば、エンボス加工などが施されて微細な凹凸を有するマット面であってもよい。その場合、樹脂シート53の裏面75をエンボス加工などすればよい。樹脂シート53の裏面75をエンボス加工するには、例えば、樹脂シート53の製造装置51において、中間ロール64の周面67にエンボス形状の転写型を設け、当該転写型を転写すればよい。
【0056】
また、押圧ロール群54は、前述の実施形態では、上ロール63、中間ロール64および下ロール65が鉛直方向に並べて配置される形態であったが、例えば、3つの押圧ロールが水平方向や斜め方向に並べて配置される形態であってもよい。
また、例えば、搬送または樹脂シート53と押圧ロール63〜65との密着を補助する転写技術上無関係なロールであれば、樹脂シート53および凹版転写型69に接するロール(タッチロール)が設けられていてもよい。
【0057】
また、例えば、光拡散板(樹脂シート)は、光拡散板10のような単層樹脂板に限定されるものではなく、例えば、2層樹脂板、3層樹脂板、4層以上の層からなる複数層の樹脂板であってもよい。
また、光拡散板10は、バックライト用の光拡散板として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【0058】
また、バックライトシステム2は、液晶表示装置用の面光源装置として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示す樹脂シート製造装置と同様の構成を有する装置を用いた。押圧ロールは、上ロールおよび中間ロールとして、表面にクロムメッキが施された鏡面冷却ロールを用いた。また、下ロールとして、表面材質がクロムからなり、当該表面の全域にロール回転方向と平行に凹型レンズ形状(凹溝)が形成され、有機ポリシロキサン処理が施された形状ロールを用いた。凹型レンズ形状を有する凹版転写型のピッチP1は353μm、深さH1は223.7μmであった。
【0060】
樹脂シートの製造に際しては、まず、スチレン樹脂(東洋スチレン株式会社製「HRM40」 Tg102℃)を、スクリュー径40mmの押出機に供給し、シリンダ温度210℃〜260℃で溶融混練した後、フィードブロックに供給した。
次いで、フィードブロック内の樹脂を、幅250mmのTダイを経由させて、Tダイ温度250℃〜260℃でシート状に押し出した。
【0061】
その後、押し出された樹脂シートを、上ロール(鏡面冷却ロール)と中間ロール(鏡面冷却ロール)で挟み込み、中間ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、中間ロールと下ロール(転写型装着ロール)とで挟み込み、下ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、下ロールから剥離した樹脂シートを引き取りロールで引き取った。これにより、表面(上面)に凹形状が転写された、厚さT1が2mmの表面形状転写樹脂シートを得た。なお、シートの搬送速度(ライン速度)は、0.65m/min(0.2/T1〜50/T1)であった。また、下ロールに接する前の樹脂シートの温度(下ロール入口温度T(R3前))は、ヒータにより調節した。
【0062】
そして、下ロール入口温度T(R3前)および下ロールの表面温度T(R3)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
形状転写率T(%)=樹脂シートの凸条の高さH1´/下ロールの凹溝の深さH1×100
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、JIS K 6768に準拠して以下の方法により測定したところ、23mN/mであった。
【0063】
具体的には、和光純薬工業株式会社製「濡れ張力試験用混合液」(以下、単に薬品とする。)を用いて試験を行った。まず、凹版転写型(ワーク)の温度を23℃付近で安定させた。次に、凹版転写型の表面を、エタノールを浸み込ませたウエスで拭いた。次に、薬品に綿棒を浸し、綿棒に付着した薬品を、流れないように凹版転写型の真上に1滴載せた。そして、液を載せた3〜5秒後に判定した。判定は、載せられた液を目視で観察することにより、「(1)液を弾いている」か「(2)液が濡れている」のどちらかを判断した。液が盛り上がり、大きさも変化しない場合を(1)と判断し、液が平らで、徐々に広がる場合を(2)と判断した。
【0064】
判定後、結果が(1)なら、より数値(濡れ張力)の小さな薬品に進み、結果が(2)なら、より数値(濡れ張力)の大きな薬品に進んだ。この操作を繰り返し、凹版転写型の表面を正確に濡らすことができる濡れ張力の薬品を絞り込み、その薬品の濡れ張力を測定結果とした。
<実施例2>
下ロール(形状ロール)として、実施例1の有機ポリシロキサン処理後、凹版転写型の表面をコットン布で拭くことにより、当該表面が洗浄されたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法・条件により、樹脂シートを作製した。
【0065】
そして、下ロール入口温度T(R3前)および下ロールの表面温度T(R3)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、23mN/mであった。
<比較例1>
下ロール(形状ロール)として、有機ポリシロキサン処理が施されていないロールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法・条件により、樹脂シートを作製した。
【0066】
そして、下ロール入口温度T(R3前)および下ロールの表面温度T(R3)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、42mN/mであった。
<実施例3>
図9に示す樹脂シート製造装置と同様の構成を有する装置を用いた。押圧ロールは、上ロールおよび下ロールとして、表面にクロムメッキが施された鏡面冷却ロールを用いた。また、中間ロールとして、表面材質がクロムからなり、当該表面の全域にロール回転方向と平行に凹型レンズ形状(凹溝)が形成され、有機ポリシロキサン処理が施された形状ロールを用いた。凹型レンズ形状を有する凹版転写型のピッチP1は353μm、深さH1は223.7μmであった。
【0067】
樹脂シートの製造に際しては、まず、ポリカーボネート樹脂(住友ダウ株式会社製「カリバー200−30」、JIS7212−1987に準拠して測定されたガラス転移温度Tg:147℃)を、スクリュー径40mmの押出機に供給し、シリンダ温度210℃〜260℃で溶融混練した後、フィードブロックに供給した。
次いで、フィードブロック内の樹脂を、幅250mmのTダイを経由させて、Tダイ温度250℃〜260℃でシート状に押し出した。
【0068】
その後、押し出された樹脂シートを、上ロール(鏡面冷却ロール)と中間ロール(転写型装着ロール)で挟み込み、中間ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、中間ロールと下ロール(鏡面冷却ロール)とで挟み込み、下ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、下ロールから剥離した樹脂シートを引き取りロールで引き取った。これにより、表面(下面)に凹形状が転写された、厚さT1が1.2mmの表面形状転写樹脂シートを得た。なお、シートの搬送速度(ライン速度)は、0.90m/min(0.2/T1〜50/T1)であった。
【0069】
そして、中間ロール入口温度T(R2前)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、中間ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、23mN/mであった。
<比較例2>
中間ロール(形状ロール)として、有機ポリシロキサン処理が施されていないロールを用いたこと以外は、実施例3と同様の方法・条件により、樹脂シートを作製した。
【0070】
製造の際、当該製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、42mN/mであった。
<評価>
(1)形状転写率Tおよびトラレ現象評価
実施例1〜2および比較例1により得られた形状転写率Tおよびトラレ現象評価の結果を下記表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例3および比較例2により得られた形状転写率Tおよびトラレ現象評価の結果を下記表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
(2)IR(Infrared Spectroscopy)分析
実施例1〜2および比較例1で使用された下ロール(形状ロール)の転写型表面の赤外吸収スペクトルを、ATR反射法にて測定した。得られたIRスペクトルを、図10に示す。
図10に示すように、実施例1の転写型表面には、有機ポリシロキサンのスペクトルと同じ波数の位置にピークが見られたが、実施例2および比較例1の転写型表面にはピークが見られなかった。実施例2にピークが見られなかったのは、コットン布で転写型表面を拭いたので、これにより、クロムメッキの微細な孔に入りきらなかった有機ポリシロキサンが取り除かれたためであると考えられる。
(3)TOF−SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)分析
実施例1〜2および比較例1で使用された下ロール(形状ロール)の転写型表面の一部を、TOF−SIMS装置(Physical Electronics社製)により分析した。測定条件は以下のとおりとした。また、測定結果を下記表3に示す。なお、表3では、トータルのPositiveイオンマススペクトルが1になるように、各Positiveイオンマススペクトルの強度を規格化した結果を示している。
・照射した一次イオン:69Ga+
・測定面積: 約80×80μm2
・検出した二次イオン:Positive(C5H15Si2O+およびC7H21Si4O4+)
・検出質量範囲: 0.5〜2000a.m.u
【0075】
【表3】
【0076】
表3に示すように、実施例1の転写型表面には、実施例2および比較例1に比べて、有機ポリシロキサン由来のPositiveイオン(C5H15Si2O+およびC7H21Si4O4+)が多く検出された。実施例2に検出されなかったのは、コットン布で転写型表面を拭いたので、これにより、クロムメッキの微細な孔に入りきらなかった有機ポリシロキサンが取り除かれたためであると考えられる。
【符号の説明】
【0077】
53 樹脂シート
58 ダイ
65 下ロール
64 中間ロール
69 凹版転写型
76 (樹脂シートの)表面
77 凹版転写型
79 凹版転写型
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板や光学フィルム用途などに利用することができる表面形状転写樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面形状転写樹脂シートは、溶融混練された樹脂をダイから連続的に押し出して樹脂シートを成形し、当該樹脂シートに転写型の凹凸形状を転写することによって得られるシートである。
表面形状転写樹脂シートの製造方法として、例えば、ダイから連続的に押し出された連続樹脂シートを、第一押圧ロールと第二押圧ロールとの間に挟み込む工程と、第二押圧ロールの表面に密着させたまま搬送する工程と、第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に挟み込む工程とを含む、製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、第三ロールに転写型が装着されており、第二押圧ロールと第三押圧ロールとの間に樹脂シートを挟みこんだ際、樹脂シートの表面に凹凸形状が転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面形状転写樹脂シートの用途として、液晶表示装置のバックライト装置に組み込まれる光拡散板や光学フィルムとしての使用用途などが普及しつつある。その場合、樹脂シートを製造する際に凹凸形状が精度よく転写されていないと(転写率が高くないと)、光拡散板および光学フィルムに設計どおりの光学特性を付与することが困難である。そのため、近年では、転写型を精度よく樹脂シートに転写させるための手法の確立が望まれている。
【0005】
そのような手法として、例えば、転写型が装着されたロール温度を高くする手法が考えられる。この手法では、ロールから樹脂シートに伝わる熱により樹脂シートの流動性を高めることができ、転写型の溝部の先端にまで樹脂を入り込ませることができるので、転写率の向上が期待できる。
しかしながら、ロール温度を高くし過ぎると、樹脂シートがロール表面に貼り付く「トラレ現象」が発生し易くなる。その結果、形状転写後の樹脂シートの表面に、その一部が盛り上がって形成される「タックマーク」が発生するという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、樹脂シートの表面に転写型を精度よく転写することができ、しかも形状ロールにおけるトラレ現象の発生を防止することができる表面形状転写樹脂シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法は、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを形成する工程と、JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が35mN/m以下の表面を有する転写型を有する形状ロールを用いて、当該連続樹脂シートの表面に前記転写型の前記表面を押し当てることにより、前記転写型の形状を転写する工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法では、前記形状ロールとして、前記表面に対して有機ポリシロキサン処理が施されている転写型を有する形状ロールを用いることが好適である。
また、本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法では、前記形状ロールとして、前記有機ポリシロキサン処理後、前記表面が洗浄された転写型を有する形状ロールを用いることが好適である。
【0009】
さらに、本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法では、前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、転写後の前記連続樹脂シートの厚さをT(mm)として表したときに、前記形状ロールの表面温度がTg−30(℃)〜Tg+50(℃)であり、前記連続樹脂シートの搬送速度が0.2/T(m/min)〜50/T(m/min)であり、前記形状ロールに接触する前の前記連続樹脂シートの表面温度がTg+50(℃)〜Tg+160(℃)であることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法によれば、転写型の表面(連続樹脂シートとの接触面)の濡れ張力が35mN/m以下であるので、形状ロールの温度が高くなっても、転写型に樹脂シートが貼り付く「トラレ現象」の発生を防止することができる。そのため、樹脂シートの搬送速度、樹脂シートの表面温度などの製造条件とともに、形状ロールの温度を適切にコントロールすることにより、転写型の凹部に樹脂を良好に入り込ませることができる。そのため、樹脂シートの表面に転写型を精度よく転写することができる。その結果、この製造方法により得られる樹脂シートを液晶表示装置の光拡散板や光学フィルムとして用いれば、優れた光学特性を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートが搭載された液晶表示装置の模式的な側面図である。
【図2】図2は、図1に示す液晶表示装置の模式的な斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光拡散板の模式的な斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光学フィルムの模式的な斜視図である。
【図4】図4は、光拡散板および光学フィルムの取り付け状態を示すランプボックスの要部拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法に使用される製造装置の概略構成図である。
【図6】図6は、下ロールに取り付けられた凹版転写型の模式断面図である。
【図7】図7は、凹版転写型の第1の変形例(略半円形状)を示す図である。
【図8】図8は、凹版転写型の第2の変形例(略プリズム形状)を示す図である。
【図9】図9は、図5に示すシート製造装置の変形例を示す図である。
【図10】図10は、実施例および比較例の転写型表面のIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<液晶表示装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートが搭載された液晶表示装置の模式的な側面図である。図2は、図1に示す液晶表示装置の模式的な斜視図である。
液晶表示装置1(液晶テレビ)は、いわゆる直下型液晶表示装置であって、バックライトシステム2と、バックライトシステム2の前面に配置された液晶パネル3と、バックライトシステム2と液晶パネル3との間に配置された光学フィルム4とを備えている。なお、図1および図2では、液晶表示装置1を便宜的に、その前側を紙面上側に向けた姿勢で表している。また、以下の図で表される液晶表示装置1、バックライトシステム2、液晶パネル3などの各構成部材の縮尺は、説明の便宜上それぞれ設定されたものであり、全ての構成部材の縮尺が同じであるわけではない。
【0013】
バックライトシステム2は、四角板状の後壁5および後壁5の周縁から前方へ一体的に立設された四角枠状の側壁6を有し、前面側が開放された薄型箱状の樹脂製ランプボックス7と、ランプボックス7内に設けられた複数の線状光源8と、ランプボックス7の開放面9(前面)を塞ぐ光拡散板10とを備えている。
すなわち、箱状のランプボックス7は、その開放面9の輪郭が四角枠状の側壁6により区画され、側壁6および後壁5により囲まれる空間内に、線状光源8が設けられている。ランプボックス7の後壁5内面には、例えば、線状光源8から後壁5側へ入射する光を、ボックスの開放面9側へ反射させるための反射板(図示せず)が全体に取り付けられている。
【0014】
線状光源8は、例えば、直径が2mm〜4mmの円筒状ランプである。複数の線状光源8は、光拡散板10の背面18に対して一定間隔を空けた状態で、互いに平行に等しい間隔を空けて配置されている。
隣り合う線状光源8の中心同士の間隔Lは、省電力化の観点から、30mm〜60mmであることが好ましい。また、光拡散板10の背面18(例えば、背面18における中央部)と線状光源8の中心との距離Dは、薄型化の観点から、10mm〜20mmであることが好ましい。また、距離Dに対する間隔Lの比率(L/D)は、2.5〜4.0であることが好ましい。とりわけ、間隔Lは、40mm〜55mmであることが好ましく、距離Dは、13mm〜17mmであることが好ましい。また、線状光源8の数は、ランプボックス7のサイズ(液晶表示装置1の画面サイズ)および間隔Lにより必然的に決まるが、例えば、32型の液晶表示装置1では、6〜10本であることが好ましい。なお、図1および図2では、図解し易くするために、線状光源8を5本分だけ表している。
【0015】
また、線状光源8としては、例えば、蛍光管(冷陰極管)、ハロゲンランプ、タングステンランプなど、公知の筒形ランプを用いることができる。また、バックライトシステム2の光源としては、線状光源8に代えて、発光ダイオード(LED)などの点状光源などを用いることもできる。
液晶パネル3は、液晶セル11と、液晶セル11を厚さ方向両側から挟む1対の偏光板12,13とを備えている。このような液晶パネル3は、背面側の偏光板12と光拡散板10とが対向するように、バックライトシステム2の前面に配置される。
【0016】
液晶セル11としては、例えば、TFT型液晶セル、STN型液晶セルなど、公知の液晶セルを用いることができる。
光学フィルム4としては、特に制限されず、例えば、マイクロレンズフィルム、略半円状のレンチキュラーレンズフィルム、拡散フィルム、プリズムフィルム、反射型偏光分離フィルムなどが挙げられる。
<光拡散板および光学フィルムの構成>
図3Aは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光拡散板の模式的な斜視図である。図3Bは、本発明の一実施形態に係る樹脂シートからなる光学フィルムの模式的な斜視図である。図4は、光拡散板の取り付け状態を示すランプボックスの要部拡大断面図である。
【0017】
図3Aに示すように、光拡散板10は、ランプボックス7の側壁6の枠形状とほぼ同じ四角の板状に形成されている。
光拡散板10の一方の主面(前面16)には、光拡散板10の1組の対向周縁間に延びる半楕円凸条17が多数筋状に形成されている。すなわち、光拡散板10の前面16には、半楕円凸条17と、隣り合う半楕円凸条17との間の凹溝19とが交互に形成されている。
【0018】
半楕円凸条17は、その形状に直交する切断面が略半楕円形状の輪郭を有している。多数の半楕円凸条17は、互いに平行に等しい間隔E1(例えば、1μm〜15μm)を空けて配置されている。隣り合う半楕円凸条17の中心同士の距離(ピッチP1´)は、例えば、200μm〜500μmである。また、半楕円凸条17の高さ(凹溝19の深さ)H1´は、例えば、100μm〜500μmである。また、半楕円凸条17のピッチP1´に対する高さH1´の比率(H1´/P1´)で表されるアスペクト比は、例えば、0.4以上、好ましくは、0.5〜0.7である。
【0019】
一方、光拡散板10の他方の主面(背面18)は、凹凸のない平坦面とされている。
また、図4に示すように、背面18から前面16における半楕円凸条17の頂部までの光拡散板10の厚さT1は、例えば、1mm〜4mmである。
また、図3Bに示すように、光学フィルム4は、光拡散板10の形状とほぼ同じ四角の板状に形成されている。
【0020】
光学フィルム4の一方の主面(前面20)には、光学フィルム4の1組の対向周縁間に延びる凸形状21が多数筋状に形成されている。この凸形状21は、たとえば、半楕円形状、プリズム形状などである(図3Bでは半楕円形状)。すなわち、光学フィルム4の前面20には、凸形状21と、隣り合う凸形状21との間の凹溝22とが交互に形成されている。
【0021】
多数の凸形状21は、互いに平行に等しい間隔E2(例えば、1μm〜15μm)を空けて配置されている。隣り合う凸形状21の中心同士の距離(ピッチP2´)は、例えば、30μm〜500μmである。また、凸形状21の高さ(凹溝22の深さ)H2´は、例えば、10μm〜500μmである。また、凸形状21のピッチP2´に対する高さH2´の比率(H2´/P2´)で表されるアスペクト比は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.4〜0.7である。
【0022】
一方、光学フィルム4の他方の主面(背面23)は、凹凸のない平坦面とされている。
また、図4に示すように、背面23から前面20における凸形状21の頂部までの光学フィルム4の厚さT2は、例えば、0.1mm〜1mmである。
光拡散板10および光学フィルム4の原料としては、特に制限されず、例えば、非晶性の透光性樹脂あるいは結晶性樹脂を用いることができる。
【0023】
用いられる非晶性透光性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、環状オレフィン共重合体、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)などが挙げられる。
【0024】
用いられる結晶性樹脂としては、例えば、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂などが挙げられる。
上記非晶性透光性樹脂および結晶性樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。また、これらのうち、光拡散板10の原料として用いられる場合には、好ましくは、スチレン系樹脂、ポリカーボネートが挙げられ、さらに好ましくは、スチレン系樹脂の単独使用が挙げられる。また、光学フィルム4の原料として用いられる場合には、好ましくは、ポリカーボネート、アクリル樹脂、MS樹脂、AS樹脂が挙げられる。
【0025】
また、光拡散板10および光学フィルム4には、必要により光拡散剤(光拡散粒子)を含有することができる。
光拡散剤としては、光拡散板10および光学フィルム4を構成する透光性樹脂と屈折率が異なり、透過光を拡散できる粒子であれば特に制限されず、例えば、無機系の光拡散剤として、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは、脂肪酸などで表面処理が施されたものであってもよい。
【0026】
また、例えば、有機系の光拡散剤として、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子などが挙げられ、好ましくは、重量平均分子量が50万〜500万の高分子量重合体粒子や、アセトンに溶解させたときのゲル分率が10質量%以上である架橋重合体粒子が挙げられる。
上記光拡散剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0027】
光拡散板10および光学フィルム4が光拡散剤を含有する場合、光拡散剤の配合割合は、透光性樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは、0.001〜0.01重量部である。また、光拡散剤は、上記透光性樹脂とのマスターバッチとして用いることができる。また、透光性樹脂の屈折率と光拡散剤の屈折率との差の絶対値は、光拡散性の観点から、通常、0.01〜0.20であり、好ましくは、0.02〜0.15である。
【0028】
また、光拡散板10および光学フィルム4には、必要により、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、蛍光増白剤、加工安定剤などの各種添加剤を添加することもできる。
紫外線吸収剤としては、特に制限されず、例えば、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤を添加する場合には、透光性樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤を0.1〜3重量部添加することが好ましい。上記した範囲であれば、紫外線吸収剤の表面へのブリードを抑制でき、光拡散板10および光学フィルム4の外観を良好に維持することができる。
【0029】
熱安定剤としては、特に制限されず、例えば、マンガン化合物、銅化合物などが挙げられる。熱安定剤を添加する場合には、紫外線吸収剤とともに添加し、透光性樹脂中の紫外線吸収剤1重量部に対して、熱安定剤を2重量部以下の割合で添加することが好ましく、透光性樹脂中の紫外線吸収剤1重量部に対して、熱安定剤を0.01〜1重量部添加することがさらに好ましい。
【0030】
また、酸化防止剤としては、特に制限されず、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合には、透光性樹脂100重量部に対して、酸化防止剤を0.1〜3重量部添加することが好ましい。
そして、光拡散板10は、図4に示すように、ランプボックス7内の線状光源8に対して半楕円凸条17が平行となる位置において、ランプボックス7の側壁6に対して光拡散板10の背面18を当接させて、ランプボックス7に固定されている。これにより、ランプボックス7の開放面9が光拡散板10により塞がれている。また、光学フィルム4は、光拡散板10の前方に配置されている。
<光拡散板(樹脂シート)の製造方法>
上記した光拡散板10および光学フィルム4は、下記の方法により製造された樹脂シートを切断することにより作製することができる。なお、以下では、光拡散板10を製造する場合について説明するが、光学フィルム4も下記の方法に倣って製造することができる。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造方法に使用される製造装置の概略構成図である。図6は、下ロールに取り付けられた凹版転写型の模式断面図である。
シート製造装置51は、原料樹脂をシート状に押し出して成形するシート成形機52と、押し出された樹脂シート53を押圧により成形するための一組の押圧ロール群54と、樹脂シート53を引き取るための一対の引取ロール群55とを備えている。
【0032】
シート成形機52は、例えば、一軸押出機、二軸押出機など、公知の押出成形機で構成されている。シート成形機52は、樹脂材料を加熱溶融(軟化)させるためのシリンダ56と、シリンダ56内に樹脂材料を投入するためのホッパ57と、シリンダ56内で軟化した樹脂材料を押し出すためのダイ58とを含んでいる。
ダイ58としては、通常の押出成形法に用いられる金属製のTダイなどが用いられる。ダイ58のリップ(ダイリップ59)の幅は、目的とする樹脂シート53の幅に合わせて選択され、例えば、200mm〜3000mmである。
【0033】
押圧ロール群54は、樹脂シート53を押圧により成形しながら、樹脂シート53の表裏面75,76に転写型により凹凸を形成する機構として、3つの押圧ロール63〜65を備えている。
なお、樹脂シート53の表面76が、光拡散板10の前面16を形成する面であり、最終的に形状加工が施される形状転写面である。一方、樹脂シート53の裏面75が、光拡散板10の背面18を形成する面であり、最終的に形状加工が施されない面(例えば、この実施形態では、平坦性が維持される平坦面)である。
【0034】
3つの押圧ロール63〜65は、それぞれ円柱状の金属製(例えば、クロム製、銅製、ニッケル製、ステンレス製など、あるいは樹脂製の表面材質である)ロールからなり、その周面の温度(表面温度)を調節する機能を有する冷却ロールである。3つの押圧ロール63〜65は、上から下へ向かって順に上ロール63、中間ロール64、および形状ロールとしての下ロール65として、軸線が相互に平行となるように上下方向に配置されている。
【0035】
上ロール63の周面66および中間ロール64の周面67は、この実施形態では、例えば、鏡面加工が施されることにより平滑面(鏡面)とされている。
下ロール65の周面68には、樹脂シート53に半楕円凸条17および凹溝19を形成するための凹版転写型69が設けられている。凹版転写型69は、例えば、円柱状の金属製ロールの上に銅メッキを施し、メッキされた金属製ロールを旋盤に設置し、ダイヤモンドバイトを用いて、銅メッキ層を狙いのレンズ形状に彫刻したり、ケミカルエッチングなどで溝を形成したりした後、銅上にクロムメッキ処理を施すことにより作製する。なお、凹版転写型69が設けられていない上ロール63および中間ロール64の表面にも、必要に応じて、例えば、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、Ni−Pメッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。
【0036】
より精密な形状を再現よく形成するため、旋盤−ダイヤモンドバイトの組み合わせが好ましく、銅上に施すクロムメッキ厚は、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。
この凹版転写型69には、図6に示すように、半楕円凸条17とは反対型の半楕円凹溝70が、下ロール65の周方向に沿って多数筋状に形成されている。すなわち、凹版転写型69には、半楕円凹溝70と、隣り合う半楕円凹溝70との間の凸条71(この凸条71は凹溝19とは反対型であり、凹版転写型69の表面という場合には、この凸条71の表面のことをいう。)とが下ロール65の軸方向に沿って交互に配置されている。
【0037】
半楕円凹溝70の深さH1は、半楕円凸条17の高さH1´よりもやや大きく、例えば、10μm〜500μm、好ましくは、20μm〜300μm以下である。深さH1が過剰に大きすぎると、半楕円凹溝70の先端にまで樹脂を入り込ませることが難しくなる。 また、隣り合う半楕円凹溝70の中心同士の距離(ピッチP1)は、半楕円凸条17の形状に応じて適宜定められるが、例えば、30μm〜500μm、好ましくは、40μm〜450μmである。ピッチP1が30μm未満の場合、樹脂が下ロール65に接触してすぐに固化するおそれがあり、その結果、樹脂が半楕円凹溝70の先端にまで入り込まず、目標とする転写形状を得ることができないおそれがある。一方、ピッチP1が500μmを超えている場合、ピッチの筋が肉眼でも観察されたり、液晶パネル3や光学フィルム4などとのモアレ模様が現れたりするおそれがある。
【0038】
また、半楕円凹溝70のピッチP1に対する高さH1の比率(H1/P1)で表されるアスペクト比は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.4〜0.7である。
なお、半楕円凸条17の高さH1´と半楕円凹溝70の深さH1との差は、凹版転写型69が樹脂シート53に転写されて半楕円凸条17が形成される際の転写率(H1´/H1)(%)に起因するものである。
【0039】
このような形状の凹版転写型69の表面(樹脂シート53との接触面)には、有機ポリシロキサン処理が施されている。
有機ポリシロキサン処理とは、この実施形態では、下ロール65にクロムメッキを施した際に生じた微細な孔(マイクロクラック)を有機ポリシロキサンで埋める処理(封孔処理)のことをいい、例えば、有機ポリシロキサン溶液を凹版転写型69の表面に塗布し、乾燥させる方法、有機シロキサンを凹版転写型69の表面で重合させる方法、有機ポリシロキサンを凹版転写型69の材質(例えば、クロムメッキ)と化学的に反応させて結合させる方法により行うことができる。
【0040】
有機ポリシロキサンは、例えば、二官能シロキサン単位、三官能シロキサン単位および四官能シロキサン単位の骨格からなる。
シロキサン骨格を結合する官能基としては、例えば、炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは、炭素数1〜6の炭化水素基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基、例えば、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基本、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などのアルケニル基、例えば、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基、およびこれらの炭化水素基の水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素などのハロゲン原子、シアノ基などで置換したもの、具体的には、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基、例えば、シアノエチル基などが挙げられる。
【0041】
また、有機ポリシロキサン処理後、凹版転写型69の表面を洗浄することにより、凹版転写型69の表面に残存する余分な有機ポリシロキサンを取り除くこともできる。これにより、有機ポリシロキサン処理が残存して凹版転写型69の表面に微細な凹凸が生じていても、その粗くなった表面を均すことができる。
この凹版転写型69の洗浄は、例えば、有機ポリシロキサン処理後の凹版転写型69の表面を、繊維(例えば、コットン、シルクなど)で拭く方法により行うことができる。
【0042】
上記のような有機ポリシロキサン処理が施されることにより、凹版転写型69の表面のJIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力は、35mN/m以下とされている。凹版転写型69の表面の濡れ張力は、好ましくは、5mN/m〜30mN/mである。
また、押圧ロール63〜65の回転軸にはそれぞれモータ(図示せず)が接続されていて、上ロール63および下ロール65が反時計回りに回転可能であり、中間ロール64が時計回りに回転可能である。すなわち、押圧ロール63〜65は、上から順に「反時計回りに回転可能」、「時計回りに回転可能」、「反時計回りに回転可能」である。これにより、全てのロール63〜65が樹脂シート53を挟みこんだ状態で同期回転することができる。また、押圧ロール63〜65の回転速度を適宜調節することにより、樹脂シート53の搬送速度を調整することができる。
【0043】
各押圧ロール63〜65の直径は、例えば、100mm〜500mmである。また、押圧ロール63〜65として金属製ロールが用いられる場合、その表面に、例えば、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、Ni−Pメッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。
また、中間ロール64の近くには、中間ロール64上を搬送される樹脂シート53の表面76(転写される側の表面)を加熱するためのヒータ72が設置されている。
【0044】
ヒータ72は、中間ロール64の周面67に対して離間するように対向配置されていて、搬送される樹脂シート53を表面76側から加熱する。ヒータ72としては、例えば、赤外ヒータなど、公知のヒータを用いることができる。また、ヒータ72は、樹脂シート53が搬送されるラインに設置するインラインタイプのものであってもよいし、作業者が手に持って測定できるハンディタイプのものであってもよい。
【0045】
一対の引取ロール群55は、樹脂シート53を厚さ方向両側から挟み込む一対の引取ロール85,86を含んでいる。
引取ロール85,86は、それぞれ円柱状のロール(通常、表面が樹脂製のロール)からなり、下側の引取ロール85の上端が下ロール65の下端と同じ高さ位置となるように対向設置されている。これにより、下ロール65から送出される樹脂シート53を、送出直後の高さで支持したまま水平搬送できるので、搬送抵抗を小さくすることができる。
【0046】
次いで、上記した製造装置を用いた樹脂シート53の製造方法を説明する。
(1)押出工程
まず、シート成形機52のホッパ57に原料樹脂が投入され、シリンダ56で溶融混練された後、フィードブロック(図示せず)に供給される。シリンダ56温度は、樹脂シート53が中間ロール64と接する前の表面75の中間ロール64入口温度T(R2前)が、例えば、200℃〜290℃の範囲となるように適宜調節する。具体的には、190℃〜250℃に設定される。
【0047】
次いで、フィードブロック(図示せず)内の樹脂が、ダイ58から押し出されることにより、連続的に樹脂シート53として押し出される。
(2)第1押圧工程および第1搬送工程
ダイ58から押し出された樹脂シート53は、まず、上ロール63と中間ロール64との間(ギャップ)に送り込まれ(この際、必要に応じてメルトバンクが形成される。)、上ロール63と中間ロール64とで挟み込まれて押圧される。その後、中間ロール64の周面67に裏面75(背面18)が密着して搬送される。搬送の際、樹脂シート53は中間ロール64により冷却されつつ、表面76側からヒータ72で加熱される。上ロール63および中間ロール64の表面温度としては、樹脂シート53の押出温度よりも低いことが好ましく、例えば、上ロール63の表面温度が40℃〜160℃であり、中間ロール64の表面温度が50℃〜200℃である。
【0048】
一方、ヒータ72の出力は、樹脂シート53が下ロール65と接する前の表面76の下ロール65入口温度T(R3前)が、例えば、原料樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、Tg+50℃≦T(R3前)≦Tg+160℃の範囲、好ましくは、Tg+70℃≦T(R3前)≦Tg+140℃の範囲となるように適宜調節する。これにより、適切な流動性を保持した状態の樹脂シート53を中間ロール64と下ロール65との間に突入させることができる。そのため、凹版転写型69の半楕円凹溝70の先端まで良好に樹脂を入り込ませることができる。
(3)第2押圧工程および第2搬送工程
その後、搬送される樹脂シート53は、中間ロール64と下ロール65との間(ギャップ)に入り込み、中間ロール64と下ロール65とで挟み込まれて押圧される。そして、中間ロール64と下ロール65との押圧の際、樹脂シート53の表面76(前面16)には、凹版転写型69の表面形状が転写されることによりシートの流れ方向(送出方向)に平行な筋状の半楕円凸条17が多数本形成される。
【0049】
その後、樹脂シート53は、下ロール65の周面68に表面76が密着して搬送される。樹脂シート53の押圧および搬送の際、下ロール65の表面温度T(R3)は、原料樹脂のガラス転移温度をTgしたとき、Tg−30℃≦T(R3)≦Tg+50℃の範囲、好ましくは、Tg−20℃≦T(R3)≦Tg+40℃の範囲に調節される。例えば、ガラス転移温度Tgが102℃のポリスチレン樹脂を使用する場合には、下ロール65の表面温度T(R3)の下限を72℃とし、上限を152℃となるように調節される。
【0050】
下ロール65の表面温度T(R3)が、上記した範囲であれば、凹版転写型69に樹脂シート53が貼り付く「トラレ現象」の発生を防止しつつ、凹版転写型69の半楕円凹溝70の先端まで良好に樹脂を入り込ませることができる。
搬送後、樹脂シート53は、下ロール65の下端において下ロール65から剥離して、引取ロール群55へと水平方向に送出される。その後、一対の引取ロール85,86により引き取られて樹脂シート53が製造される。そして、樹脂シート53がさらに冷却された後、適当な大きさで切断されることにより、上記光拡散板10を得ることができる。
【0051】
なお、樹脂シート53の搬送速度(製造ラインの速度)Vは、樹脂シート53(光拡散板10)の厚さT1を用いて、例えば、0.2/T1(m/min)≦V≦50/T1(m/min)の範囲、好ましくは、0.3/T1(m/min)≦V≦40/T1(m/min)の範囲となるように調節される。搬送速度Vが上記範囲であれば、凹版転写型69に樹脂シート53が貼り付く「トラレ現象」の発生を防止しつつ、比較的短いサイクルタイムで樹脂シート53を生産できるので、生産性がよい。
(4)作用効果
以上のように、本実施形態によれば、下ロール65の凹版転写型69の表面が、有機ポリシロキサン処理されている。これにより、下ロール65にクロムメッキを施した際に生じた微細な孔(マイクロクラック)を有機ポリシロキサンで埋めることができる。これにより、下ロール65の凹版転写型69の表面の濡れ張力は、35mN/m以下となっている。そのため、下ロール65の表面温度T(R3)が高くなっても、凹版転写型69に樹脂シート53が貼り付く「トラレ現象」の発生を防止することができる。その結果、とりわけ、樹脂シート53の下ロール65入口温度T(R3前)をTg+50℃≦T(R3前)≦Tg+160℃とし、下ロール65の表面温度T(R3)をTg−30℃≦T(R3)≦Tg+50℃とし、樹脂シート53の搬送速度Vを0.2/T1(m/min)≦V≦50/T1(m/min)とすることにより、凹版転写型69の半楕円凹溝70の先端まで樹脂を良好に入り込ませることができる。また、得られる樹脂シート53におけるタックマークの発生を防止することができる。
【0052】
よって、本実施形態によれば、光学設計により最適化された凹版転写型69の形状を、樹脂シート53の半楕円凸条17として良好に再現することができる。したがって、この樹脂シート53からなる光拡散板10は、優れた光学特性を発現することができる。また、上記の方法に倣って光学フィルム4を製造すれば、その光学フィルム4は、優れた光学特性を発現することができる。
【0053】
すなわち、この実施形態で開示された製造手法を用いることにより、従来の製造手法では転写困難であった難易度の高いプリズム形状や、高H1´/P1´比(0.5以上)、狭ピッチ形状(30μm以下)についても、転写率を精度よく向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。
【0054】
例えば、下ロール65の周面68には、凹版転写型69に代えて、図7に示す、略半円形状(シリンドリカルレンズ形状)の半円凹溝78を有する凹版転写型77や、図8に示す、略プリズム形状(例えば、頂点角度θが60°〜120°)のプリズム凹溝80を有する凹版転写型79を設けることもできる。
また、前述の実施形態では、凹版転写型69が設けられた形状ロールは、下ロール65として配置されていたが、図9に示すように、中間ロール64として配置されていてもよい。この場合、中間ロール64入口温度T(R2前)が、例えば、原料樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、Tg+50℃≦T(R2前)≦Tg+160℃の範囲、好ましくは、Tg+70℃≦T(R2前)≦Tg+140℃の範囲となるように適宜調節する。中間ロール64入口温度T(R2前)の調節は、ヒータ72を、ダイ58から押し出された樹脂シート53の裏面75(転写される側の表面)を加熱できるように設置し、そのヒータ72の出力を調節したり、シリンダ56の温度を調節したりすることにより行うことができる。
【0055】
また、前述の実施形態では、光拡散板10の背面18および光学フィルム4の背面23は、凹凸のない平坦面であるとしたが、例えば、エンボス加工などが施されて微細な凹凸を有するマット面であってもよい。その場合、樹脂シート53の裏面75をエンボス加工などすればよい。樹脂シート53の裏面75をエンボス加工するには、例えば、樹脂シート53の製造装置51において、中間ロール64の周面67にエンボス形状の転写型を設け、当該転写型を転写すればよい。
【0056】
また、押圧ロール群54は、前述の実施形態では、上ロール63、中間ロール64および下ロール65が鉛直方向に並べて配置される形態であったが、例えば、3つの押圧ロールが水平方向や斜め方向に並べて配置される形態であってもよい。
また、例えば、搬送または樹脂シート53と押圧ロール63〜65との密着を補助する転写技術上無関係なロールであれば、樹脂シート53および凹版転写型69に接するロール(タッチロール)が設けられていてもよい。
【0057】
また、例えば、光拡散板(樹脂シート)は、光拡散板10のような単層樹脂板に限定されるものではなく、例えば、2層樹脂板、3層樹脂板、4層以上の層からなる複数層の樹脂板であってもよい。
また、光拡散板10は、バックライト用の光拡散板として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【0058】
また、バックライトシステム2は、液晶表示装置用の面光源装置として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0059】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示す樹脂シート製造装置と同様の構成を有する装置を用いた。押圧ロールは、上ロールおよび中間ロールとして、表面にクロムメッキが施された鏡面冷却ロールを用いた。また、下ロールとして、表面材質がクロムからなり、当該表面の全域にロール回転方向と平行に凹型レンズ形状(凹溝)が形成され、有機ポリシロキサン処理が施された形状ロールを用いた。凹型レンズ形状を有する凹版転写型のピッチP1は353μm、深さH1は223.7μmであった。
【0060】
樹脂シートの製造に際しては、まず、スチレン樹脂(東洋スチレン株式会社製「HRM40」 Tg102℃)を、スクリュー径40mmの押出機に供給し、シリンダ温度210℃〜260℃で溶融混練した後、フィードブロックに供給した。
次いで、フィードブロック内の樹脂を、幅250mmのTダイを経由させて、Tダイ温度250℃〜260℃でシート状に押し出した。
【0061】
その後、押し出された樹脂シートを、上ロール(鏡面冷却ロール)と中間ロール(鏡面冷却ロール)で挟み込み、中間ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、中間ロールと下ロール(転写型装着ロール)とで挟み込み、下ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、下ロールから剥離した樹脂シートを引き取りロールで引き取った。これにより、表面(上面)に凹形状が転写された、厚さT1が2mmの表面形状転写樹脂シートを得た。なお、シートの搬送速度(ライン速度)は、0.65m/min(0.2/T1〜50/T1)であった。また、下ロールに接する前の樹脂シートの温度(下ロール入口温度T(R3前))は、ヒータにより調節した。
【0062】
そして、下ロール入口温度T(R3前)および下ロールの表面温度T(R3)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
形状転写率T(%)=樹脂シートの凸条の高さH1´/下ロールの凹溝の深さH1×100
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、JIS K 6768に準拠して以下の方法により測定したところ、23mN/mであった。
【0063】
具体的には、和光純薬工業株式会社製「濡れ張力試験用混合液」(以下、単に薬品とする。)を用いて試験を行った。まず、凹版転写型(ワーク)の温度を23℃付近で安定させた。次に、凹版転写型の表面を、エタノールを浸み込ませたウエスで拭いた。次に、薬品に綿棒を浸し、綿棒に付着した薬品を、流れないように凹版転写型の真上に1滴載せた。そして、液を載せた3〜5秒後に判定した。判定は、載せられた液を目視で観察することにより、「(1)液を弾いている」か「(2)液が濡れている」のどちらかを判断した。液が盛り上がり、大きさも変化しない場合を(1)と判断し、液が平らで、徐々に広がる場合を(2)と判断した。
【0064】
判定後、結果が(1)なら、より数値(濡れ張力)の小さな薬品に進み、結果が(2)なら、より数値(濡れ張力)の大きな薬品に進んだ。この操作を繰り返し、凹版転写型の表面を正確に濡らすことができる濡れ張力の薬品を絞り込み、その薬品の濡れ張力を測定結果とした。
<実施例2>
下ロール(形状ロール)として、実施例1の有機ポリシロキサン処理後、凹版転写型の表面をコットン布で拭くことにより、当該表面が洗浄されたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法・条件により、樹脂シートを作製した。
【0065】
そして、下ロール入口温度T(R3前)および下ロールの表面温度T(R3)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、23mN/mであった。
<比較例1>
下ロール(形状ロール)として、有機ポリシロキサン処理が施されていないロールを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法・条件により、樹脂シートを作製した。
【0066】
そして、下ロール入口温度T(R3前)および下ロールの表面温度T(R3)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、42mN/mであった。
<実施例3>
図9に示す樹脂シート製造装置と同様の構成を有する装置を用いた。押圧ロールは、上ロールおよび下ロールとして、表面にクロムメッキが施された鏡面冷却ロールを用いた。また、中間ロールとして、表面材質がクロムからなり、当該表面の全域にロール回転方向と平行に凹型レンズ形状(凹溝)が形成され、有機ポリシロキサン処理が施された形状ロールを用いた。凹型レンズ形状を有する凹版転写型のピッチP1は353μm、深さH1は223.7μmであった。
【0067】
樹脂シートの製造に際しては、まず、ポリカーボネート樹脂(住友ダウ株式会社製「カリバー200−30」、JIS7212−1987に準拠して測定されたガラス転移温度Tg:147℃)を、スクリュー径40mmの押出機に供給し、シリンダ温度210℃〜260℃で溶融混練した後、フィードブロックに供給した。
次いで、フィードブロック内の樹脂を、幅250mmのTダイを経由させて、Tダイ温度250℃〜260℃でシート状に押し出した。
【0068】
その後、押し出された樹脂シートを、上ロール(鏡面冷却ロール)と中間ロール(転写型装着ロール)で挟み込み、中間ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、中間ロールと下ロール(鏡面冷却ロール)とで挟み込み、下ロールの表面に巻きつけた状態で搬送し、下ロールから剥離した樹脂シートを引き取りロールで引き取った。これにより、表面(下面)に凹形状が転写された、厚さT1が1.2mmの表面形状転写樹脂シートを得た。なお、シートの搬送速度(ライン速度)は、0.90m/min(0.2/T1〜50/T1)であった。
【0069】
そして、中間ロール入口温度T(R2前)を変化させ、各条件下の製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、中間ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、23mN/mであった。
<比較例2>
中間ロール(形状ロール)として、有機ポリシロキサン処理が施されていないロールを用いたこと以外は、実施例3と同様の方法・条件により、樹脂シートを作製した。
【0070】
製造の際、当該製造工程におけるトラレ現象の発生の有無を確認した。また、得られた樹脂シートの断面を顕微鏡で観察し、凸条の高さH1´を測定することにより形状転写率Tを求めた。
また、下ロールの凹版転写型の表面の濡れ張力を、実施例1と同様の方法により測定したところ、42mN/mであった。
<評価>
(1)形状転写率Tおよびトラレ現象評価
実施例1〜2および比較例1により得られた形状転写率Tおよびトラレ現象評価の結果を下記表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例3および比較例2により得られた形状転写率Tおよびトラレ現象評価の結果を下記表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
(2)IR(Infrared Spectroscopy)分析
実施例1〜2および比較例1で使用された下ロール(形状ロール)の転写型表面の赤外吸収スペクトルを、ATR反射法にて測定した。得られたIRスペクトルを、図10に示す。
図10に示すように、実施例1の転写型表面には、有機ポリシロキサンのスペクトルと同じ波数の位置にピークが見られたが、実施例2および比較例1の転写型表面にはピークが見られなかった。実施例2にピークが見られなかったのは、コットン布で転写型表面を拭いたので、これにより、クロムメッキの微細な孔に入りきらなかった有機ポリシロキサンが取り除かれたためであると考えられる。
(3)TOF−SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)分析
実施例1〜2および比較例1で使用された下ロール(形状ロール)の転写型表面の一部を、TOF−SIMS装置(Physical Electronics社製)により分析した。測定条件は以下のとおりとした。また、測定結果を下記表3に示す。なお、表3では、トータルのPositiveイオンマススペクトルが1になるように、各Positiveイオンマススペクトルの強度を規格化した結果を示している。
・照射した一次イオン:69Ga+
・測定面積: 約80×80μm2
・検出した二次イオン:Positive(C5H15Si2O+およびC7H21Si4O4+)
・検出質量範囲: 0.5〜2000a.m.u
【0075】
【表3】
【0076】
表3に示すように、実施例1の転写型表面には、実施例2および比較例1に比べて、有機ポリシロキサン由来のPositiveイオン(C5H15Si2O+およびC7H21Si4O4+)が多く検出された。実施例2に検出されなかったのは、コットン布で転写型表面を拭いたので、これにより、クロムメッキの微細な孔に入りきらなかった有機ポリシロキサンが取り除かれたためであると考えられる。
【符号の説明】
【0077】
53 樹脂シート
58 ダイ
65 下ロール
64 中間ロール
69 凹版転写型
76 (樹脂シートの)表面
77 凹版転写型
79 凹版転写型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを形成する工程と、
JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が35mN/m以下の表面を有する転写型を有する形状ロールを用いて、当該連続樹脂シートの表面に前記転写型の前記表面を押し当てることにより、前記転写型の形状を転写する工程とを含むことを特徴とする、表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記形状ロールとして、前記表面に対して有機ポリシロキサン処理が施されている転写型を有する形状ロールを用いることを特徴とする、請求項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記形状ロールとして、前記有機ポリシロキサン処理後、前記表面が洗浄された転写型を有する形状ロールを用いることを特徴とする、請求項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、転写後の前記連続樹脂シートの厚さをT(mm)として表したときに、
前記形状ロールの表面温度がTg−30(℃)〜Tg+50(℃)であり、前記連続樹脂シートの搬送速度が0.2/T(m/min)〜50/T(m/min)であり、前記形状ロールに接触する前の前記連続樹脂シートの表面温度がTg+50(℃)〜Tg+160(℃)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項1】
樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを形成する工程と、
JIS K 6768に準拠して測定される濡れ張力が35mN/m以下の表面を有する転写型を有する形状ロールを用いて、当該連続樹脂シートの表面に前記転写型の前記表面を押し当てることにより、前記転写型の形状を転写する工程とを含むことを特徴とする、表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記形状ロールとして、前記表面に対して有機ポリシロキサン処理が施されている転写型を有する形状ロールを用いることを特徴とする、請求項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記形状ロールとして、前記有機ポリシロキサン処理後、前記表面が洗浄された転写型を有する形状ロールを用いることを特徴とする、請求項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、転写後の前記連続樹脂シートの厚さをT(mm)として表したときに、
前記形状ロールの表面温度がTg−30(℃)〜Tg+50(℃)であり、前記連続樹脂シートの搬送速度が0.2/T(m/min)〜50/T(m/min)であり、前記形状ロールに接触する前の前記連続樹脂シートの表面温度がTg+50(℃)〜Tg+160(℃)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−61836(P2012−61836A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258091(P2010−258091)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]