説明

表面改質処理装置、表面改質処理用密封容器及び表面改質処理方法

【課題】 コンタクトレンズ表面を均一に処理できるとともに、処理コストを低減でき、さらには、表面処理後のコンタクトレンズの取り扱いが容易になる表面改質処理装置、表面改質処理用密封容器及び表面改質処理方法を提供すること。
【解決手段】 ワークWが収容された密封容器11を設置可能な所定の間隔をおいて対向配置された一対の電極17,18と、その両電極17,18間において密封容器11を挟んで放電を行わせるための電源装置とを備える。密封容器11が両電極17,18間の間隔を通過するように、密封容器11を搬送するためのコンベア21を設ける。密封容器11内の空気を放電に先立って特定種類のガスに置換するガス置換機構22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコンタクトレンズ等の眼用レンズよりなるワークに対して親水性,すなわち水濡れ性の向上等の表面改質処理を行うための表面改質処理装置、表面改質処理方法、及びそれらの処理装置及び処理方法に用いる表面改質処理用密封容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンタクトレンズにおいては、装用時の異物感を解消して優れた装用感を得るために、コンタクトレンズの表面を改質して親水性を向上させ、涙液との馴染み、ひいては角膜とレンズ表面との馴染みを高めることが望まれている。
【0003】
このような要望に対処するために、例えば特許文献1に開示されるような表面改質処理装置が従来から提案されている。すなわち、この従来装置においては、チャンバが有底筒状の本体と、その本体上に着脱可能に嵌着される有蓋筒状の蓋体とから構成されている。本体内には円柱状の第1電極が配設され、その第1電極の上面に処理を行なうコンタクトレンズが載置されるようになっている。蓋体の内頂面には、針状の第2電極が第1電極と対向するように配設されている。
【0004】
そして、第1電極上にコンタクトレンズを載置するとともに、本体に蓋体を嵌着した状態で、チャンバ内において第1及び第2電極間に放電用電圧が印加されて、両電極間で発弧されてアーク放電が行われる。これにより、コンタクトレンズの表面がアーク放電に曝され、表面にラジカルが生成されて親水性に改質されるとしている。
【特許文献1】実開平7−9953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この従来の表面改質処理装置においては、表面改質がアーク放電により行われるため、そのアーク放電のためには大きな電位差を必要とし、電源装置の大型化を避けることができなかった。また、コンタクトレンズの全表面をアークに対して一様に曝して、均一処理を行うために、例えばコンタクトレンズを密閉されたチャンバ内において移動させる装置が必要となり、チャンバの構成が複雑になるとともに、チャンバ全体形状が大型化するものであった。以上のように、特許文献1の構成においては、電源装置やチャンバが大型化するため、結果として表面改質処理装置全体が大型化するものであった。
【0006】
また、前述のように、表面改質処理中にコンタクトレンズを動かしたとしても、アークを用いている限り、放電路が部分的であるため、コンタクトレンズの全表面の均一処理の保証は困難であり、処理のばらつきを避けることができなかった。しかも、表面改質処理の加工に際してはコンタクトレンズをチャンバに対して出し入れする必要があって、そのための時間と手間を要し、これが加工効率の低下を招き、コストアップの要因となるものであった。加えて、表面改質後のコンタクトレンズは、後工程に送るために、あるいは流通過程に送るために、容器に収容され、この手間のためにさらなるコストアップの原因となった。
【0007】
さらには、合成樹脂製のコンタクトレンズに対するアーク曝露により、窒素化合物等を含むガスが発生されるため、その化合物等がチャンバの内周面やチャンバ内のアーク電極等に付着する。このため、付着した化合物等を除去するために頻繁な清掃が要求され、いっそうのコストアップを招くものであった。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、前述した従来の問題点を解消して、表面改質処理装置の大型化を避けることができるばかりでなく、コンタクトレンズ表面を均一に処理できるとともに、処理コストを低減でき、さらには、表面処理後のコンタクトレンズの取り扱いが容易になる表面改質処理装置、表面改質処理用密封容器及び表面改質処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の表面改質処理装置に係る発明は、ワークが収容された密封容器を設置可能な所定の間隔をおいて対向配置された一対の電極と、その両電極間において密封容器を挟んで放電を行わせるための電源装置とを備え、前記放電により密封容器内のワークの表面改質を行うようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明において、前記密封容器が両電極間の間隔を通過するように、密封容器を搬送するための搬送手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記密封容器内の空気を所要の真空度まで吸引するための吸気手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明においては、請求項3に記載の発明において、前記吸気手段は、密封容器の柔軟性を有する栓を刺通する針状の口金を備え、その口金を介して吸気が行われるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記密封容器内の空気を特定種類のガスに置換するガス置換手段を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の発明においては、請求項5に記載の発明において、前記ガス置換手段は、密封容器の柔軟性を有する栓を刺通する針状の口金を備え、その口金を介してガス置換が行われるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載の発明においては、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記両電極間において放電開始のためのトリガを生じさせるトリガ機構を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に記載の発明においては、請求項7に記載の発明において、前記トリガ機構は、密封容器の柔軟性を有する栓を刺通して密封容器内に配置される針状のトリガ電極を有することを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に記載の発明においては、請求項8に記載の発明において、前記トリガ電極は、密封容器内の空気を吸引するための吸気手段の吸気用口金の機能を兼備することを特徴とするものである。
【0018】
請求項10に記載の発明においては、請求項8に記載の発明において、前記トリガ電極は、密封容器内のガスを置換するためのガス置換手段のガス置換用口金の機能を兼備することを特徴とするものである。
【0019】
請求項11に記載の発明においては、請求項1〜請求項10のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記両電極間の放電量を計測し、その計測結果を表示する計測手段を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
表面改質処理用密封容器に係る請求項12に記載の発明においては、絶縁材よりなり、表面改質処理が施されるワークを収容するための容器本体と、その容器本体の開口を密封する柔軟性を有する栓とを備え、耐圧機能を有することを特徴とするものである。
【0021】
請求項13に記載の発明においては、請求項12に記載の発明において、ワーク保持手段を内装したことを特徴とするものである。
表面改質処理方法に係る請求項14に記載の発明においては、ワークを密封状態で収容した絶縁材よりなる密封容器を一対の電極間に設置して、密封容器を挟んで両電極間において放電を行うことにより、前記ワークの表面改質を行うことを特徴とするものである。
【0022】
請求項15に記載の発明においては、請求項14に記載の発明において、前記放電に先だって密封容器内の空気が吸引されて、密封容器内が所要の真空度にされることを特徴とするものである。
【0023】
請求項16に記載の発明においては、請求項15に記載の発明において、前記密封容器の開口を密封した柔軟性を有する栓に針状をなす吸気用針口金を刺通した状態で空気の吸引を行うことを特徴とするものである。
【0024】
請求項17に記載の発明においては、請求項14〜16のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記密封容器内には、放電により密封容器内においてプラズマが発生するのに適したガスが封入されることを特徴とするものである。
【0025】
請求項18に記載の発明においては、請求項17に記載の発明において、前記密封容器内の空気を放電に先立って前記ガスに置換することを特徴とするものである。
請求項19に記載の発明においては、請求項18に記載の発明において、前記密封容器の開口を密封した柔軟性を有する栓に針状をなす置換用針口金を刺通した状態でガス置換を行うことを特徴とするものである。
【0026】
請求項20に記載の発明においては、請求項12〜請求項14のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記密封容器の開口を密封した柔軟性を有する栓に針状をなすトリガ電極を刺通し、前記両電極間に対する通電初期にトリガ電極に電圧を印加することを特徴とするものである。
【0027】
請求項21に記載の発明においては、請求項14〜請求項20のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記ワークはコンタクトレンズまたは眼内レンズであることを特徴とするものである。
【0028】
(作用)
請求項1に記載の発明においては、密封容器内にワークが保持された状態で、一対の電極間において密封容器を挟んで放電が行われる。これにより、密封容器内でプラズマが発生し、その密封容器内のワークに対してプラズマ処理にて親水性の向上のための表面改質処理が行われる。その後、密封容器は前記電極間の位置を離れて、内部にワークを収容したままの状態で、後処理工程あるいは流通過程に回される。従って、ワークを表面改質加工終了後に専用の容器に収容したりする作業等が不要となり、表面改質処理終了後の取り扱いが容易となる。
【0029】
また、密封容器内におけるプラズマ放電が1回行われるのみであるため、密封容器の内面に窒素化合物等が付着しても、その量はごくわずかであって、清掃除去等は不要である。また、密封容器を順に移動させることにより、密封容器を両電極間へ順に搬送しながら、複数のワークに対して表面改質処理を連続的に効率よく行うことができる。
【0030】
請求項2に記載の発明においては、搬送手段により、ワークを収容した密封容器を電極間へ順に搬送しながら、複数のワークに対して表面改質処理を連続的に行うことができる。
【0031】
請求項3に記載の発明においては、吸気手段により密封容器の内部が所要の真空度にされるため、その後のガスの適量封入を容易かつ適切に行うことができる。
請求項4に記載の発明においては、栓に口金を刺通するのみで、その口金を密封容器内の空間に連通させて、吸気を実行できるため、その吸気が容易である。
【0032】
請求項5に記載の発明においては、密封容器内の空気を特定種類のガスに置き換えた状態で、両電極間にて密封容器を挟んで放電が行われることにより、密封容器内でプラズマが発生する。これにより、密封容器内のワークに対してプラズマ処理にて均一に、かつ効率よく表面改質を行うことができる。
【0033】
請求項6に記載の発明においては、密封容器の栓に針状の口金を刺通した状態で、その口金を介して密封容器内の空気とガスとの置換を行うことができる。言い換えれば、栓に口金を刺通するのみで、その口金を密封容器内の空間に連通させて、ガス置換を実行できるため、そのガス置換が容易であるとともに、ガス置換のための複雑な構成が不要で、構成が簡単である。
【0034】
請求項7に記載の発明においては、両電極間に対する通電初期に、トリガ機構にてトリガ放電を発生させることにより、両電極間での放電を容易に開始させることができる。従って、両電極間の電位差をそれほど大きくする必要がなく、電源装置等を小型化できる。
【0035】
請求項8に記載の発明においては、密封容器の栓に針状のトリガ電極を刺通した状態で、密封容器を介して電極間において容易に放電させることができる。
請求項9に記載の発明においては、トリガ電極と吸気用口金とを別々に装備する必要がなく、構成を簡略化することができる。
【0036】
請求項10に記載の発明においては、トリガ電極とガス置換用口金とを別々に装備する必要がなく、構成を簡略化することができる。
請求項11に記載の発明においては、両電極間での放電量の計測結果に基づいて、密封容器内のワークの表面改質状況を容易に判別することができ、ワークの品質向上を図ることができる。
【0037】
請求項12に記載の発明においては、密封容器の構造が簡単で小型に形成することができるとともに、栓に針状の口金を刺通することにより、その口金を介して密封容器内の空気とガスとの置換を容易に行うことができる。
【0038】
請求項13に記載の発明においては、ワーク保持手段により密封容器内にワークを安定状態で収容保持することができ、プラズマ雰囲気中でワークを有効に表面改質できるとともに、ワークの搬送等においてワークに傷が付いたりするのを防止できる。
【0039】
請求項14に記載の発明においては、前記請求項1に記載の作用とほぼ同様の作用を得ることができる。
請求項15及び請求項16に記載の発明においては、前記請求項3または請求項4に記載の作用とほぼ同様の作用を得ることができる。
【0040】
請求項17に記載の発明においては、前記請求項5に記載の作用とほぼ同様の作用を得ることができる。
請求項18に記載の発明においては、前記請求項5に記載の作用とほぼ同様の作用を得ることができる。
【0041】
請求項19に記載の発明においては、前記請求項6に記載の作用とほぼ同様の作用を得ることができる。
請求項20に記載の発明においては、請求項7に記載の作用とほぼ同様の作用を得ることができる。
【0042】
請求項21に記載の発明においては、コンタクトレンズに対して親水性の向上等の表面改質処理を容易かつ効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、この発明によれば、親水性の向上のための表面改質処理を少ない手間で効率よく、従って低コストで行うことができるとともに、密封容器をワーク収容状態のままで、後処理工程あるいは流通過程に回すことができ、表面改質処理終了後の取り扱いが容易となる。また、密封容器内の内面に窒素化合物等が付着しても、その量はごくわずかであるため、清掃除去等は不要となり、この面からも加工の効率を向上して、コストダウンが可能になる等の効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態を、図及び図2に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態の表面改質処理装置においては、表面改質処理を行うワークとしてのコンタクトレンズWを収容するための密封容器11が用いられる。この密封容器11は、上面が開口し、ガラスや合成樹脂等の絶縁材により有底筒状に形成された容器本体12と、その容器本体12の上面開口部12aに着脱可能に嵌着された同様の絶縁材よりなる蓋体13とを備えている。容器本体12は、コンタクトレンズWの収容確認等の面から、透明なガラス製が好ましい。また、密封容器11の容積は、0.2〜500mlの範囲内であり、好ましくは2〜100mlの範囲内である。
【0045】
容器本体12の上面開口部12aと蓋体13との間には、開口部12aを密封するための柔軟性を有する栓としてのゴム栓14及びワーク保持手段としてのワークホルダ15の基端取付部15aが挟着支持されている。ワークホルダ15の下端には、前記コンタクトレンズWを着脱可能に保持するためのワーク保持部15bが形成されている。蓋体13及びワークホルダ15の基端取付部15aには、後述するガス置換用の口金24,25を挿通するための一対の挿通孔16が形成されている。そして、密封容器11は、全体として耐圧機能を有するように形成されている。
【0046】
図1及び図2に示すように、この表面改質処理装置では、一対のほぼ平板状の電極17,18が前記密封容器11を設置可能な所定の間隔をおいて平行に対向配置されている。これらの電極17,18の一方には、両電極17,18間において密封容器11を挟んだ状態で放電を行わせるための高周波電源よりなる電源装置19が接続され、他方にはアースが接続されている。この高周波の周波数は、1MHz〜2.4GHzの範囲内の所定の値に設定されている。両電極17,18間には、両電極17,18間における放電量を電流の積分値で計測して、その計測結果を表示するための計測手段としての計測器20が接続されている。
【0047】
前記両電極17,18間の直下には、密封容器11を搬送するための搬送手段としてのコンベア21が配設されている。そして、図2に示すように、このコンベア21の作動により、コンタクトレンズWを収容した密封容器11が両電極17,18間の空間を通過するように搬送されて、その搬送途中で両電極17,18間において密封容器11を挟んで気中放電が行われるようになっている。
【0048】
図1に示すように、前記コンベア21の上方には、前記密封容器11を挟んだ放電に先だって、密封容器11内の空気を特定種類のガスに置換するためのガス置換手段としてのガス置換機構22が配設されている。すなわち、このガス置換機構22においては、コンベア21の上方に支持体23が昇降可能に、かつコンベア21の搬送方向へ往復移動可能に配設されている。支持体23の下面には、空気を抜き取るための短い注射針状の第1口金24と、ガスを導入するための長い注射針状の第2口金25とが突設されている。なお、第1口金24及び第2口金25の長短関係は、前記とは逆に、第1口金24が長く、第2口金25が短くてもよく、あるいは両者24,25が同じ長さでもよい。そして、コンベア21により密封容器11が支持体23と対応する位置まで搬送された状態で、支持体23が下降されることにより、図1に鎖線で示すように、両口金24,25が各挿通孔16を介してゴム栓14に刺通されて、密封容器11内に突出されるようになっている。
【0049】
前記第1口金24には、第1流路51を介してガストラップ27及び真空ポンプ26が接続されている。そして、第1口金24がゴム栓14に刺通された状態で、真空ポンプ26が作動されることにより、密封容器11内の空気が第1口金24を介して吸引されて、密封容器11内が所要の真空度にされるようになっている。その真空度は、例えば0.01〜1.0Torrの範囲内で、好ましくは0.01〜0.8Torrの範囲内の値に設定される。前記第1口金24,ガストラップ27,真空ポンプ26等により吸気手段が構成されている。
【0050】
前記第2口金25には、第2流路52を介して流量調整器30及び圧力計31と、ガスタンク28,29とがそれぞれ接続されている。流量調整器30は、ガスの流量調整と、流路の開放及び遮断とを行う。これらのガスタンク28,29内には、例えば水素、酸素、あるいはメタン、エタノールガス等の炭化水素系ガス、あるいは窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスがそれぞれ単独で貯留されている。これらのガスは、コンタクトレンズWの表面改質のために、放電により密封容器11内でプラズマを発生させるのに適したガスが貯留されている。そして、第2口金25がゴム栓14に刺通された状態で、両流量調整器30の調整に基づいて、これらのガスタンク28,29内のガスが単独で、または混合して、密封容器11内に導入されるようになっている。ここで、ガス置換後の真空度は、例えば0.01〜2.0Torrの範囲内で、好ましくは0.1〜1.0Torrの範囲内の値に設定される。
【0051】
また、この表面改質処理装置では、前記両電極17,18間における放電発生のためのトリガを生じさせるトリガ機構32が装備されている。すなわち、この実施形態では、長い方の前記第2口金25がトリガ機構32のトリガ電極の機能を兼備し、その第2口金25には高電圧生成用の圧電素子33が接続されている。そして、両電極17,18に対する通電初期に、このトリガ電極を兼用する第2口金25が密封容器11のゴム栓14に刺通された状態で、圧電素子33に対して機械的圧力を付与させることにより、圧電素子33から第2口金25に高電圧が印加される。そして、この高電圧印加をトリガとして、両電極17,18間における放電が開始されるようになっている。
【0052】
次に、前記のように構成された表面改質処理装置により、コンタクトレンズWの表面改質処理を行う表面改質処理方法について説明する。
さて、この表面改質処理装置においては、密封容器11が蓋体13により密閉され、同密封容器11内のワークホルダ15にコンタクトレンズWが保持された状態で、コンベア21によりその密封容器11が電極17,18側に搬送される。そして、密封容器11がガス置換機構22の支持体23の下方位置まで搬送されると、図1に鎖線で示すように、支持体23が下降され、第1及び第2口金24,25がゴム栓14に刺通されて、密封容器11内に突出される。この状態で、真空ポンプ26の作動により、密封容器11内の空気が第1口金24を介して抜き取られて、密封容器11内が真空状態にされる。引き続き、両流量調整器30の調整に基づいて、ガスタンク28,29内のガスが単独で、または混合して、密封容器11内に導入される。
【0053】
このように、両口金24,25がゴム栓14に刺通されたままの状態で、支持体23がコンベア21の搬送方向へ密封容器11と一体的に移動されて、密封容器11が両電極17,18間に達すると、トリガ機構32のトリガ電極を兼用する第2口金25に対して圧電素子33から高電圧が印加される。すると、その高電圧印加をトリガとして、両電極17,18間において密封容器11を挟んで放電が行われる。これにより、密封容器11内でプラズマが発生し、その密封容器11内のコンタクトレンズWに対してプラズマ処理にてエッチング,グラフト重合等のコーティング等、親水性の向上のための表面改質処理が行われる。
【0054】
なお、このプラズマ照射時間は、0.5〜180秒の範囲内で設定されている。そして、このプラズマ照射中には、計測器20により両電極17,18間の放電量が計測表示される。従って、この計測器20を監視することにより、コンタクトレンズWに対して所要レベルの表面改質処理が施されたかどうかを確認することができる。そして、密封容器11が両電極17,18間を通過している間、あるいは通過後に、支持体23が上昇されて、両口金24,25が密封容器11のゴム栓14から抜き取られる。その後、密封容器11は、内部にコンタクトレンズWを収容するとともに、ガスを封入したままの状態で、後処理工程等を経て流通過程に回される。なお、密封容器11に封入されたガスは、ゴム栓14を透過して、徐々に大気中に放散される。
【0055】
以上のように、この表面改質処理装置においては、密封容器11内にプラズマ放電のための一対の電極17,18がコンタクトレンズWを収容する密封容器11の外部に設けられているため、密封容器11内に電極を組み込むためのスペースを確保する必要がなく、密封容器11を小型に形成することができる。また、ひとつの密封容器11内に対するプラズマ放電は1回行われるのみであって、密封容器11に窒素化合物等が付着しても、その量はごくわずかであるため、清掃除去等は不要である。ただし、密封容器11は、複数回繰り返し使用可能であり、その場合でも、密封容器11の内周面に対する窒素化合物等の付着量は、ごくわずかである。
【0056】
さらに、この表面改質処理装置では、両電極17,18間での放電に先立って、ガス置換機構22により密封容器11内の空気を特定種類のガスに置き換えているため、密封容器11内でプラズマが発生して、コンタクトレンズWに対してプラズマ処理にて均一に表面改質を行うことができる。しかも、この表面改質処理装置では、コンベア21が装備されているため、コンタクトレンズWを収容した密封容器11をコンベア21により両電極17,18間へ順に搬送しながら、複数のコンタクトレンズWに対して表面改質処理を連続的に効率よく行うことができる。
【0057】
そして、コンタクトレンズWの表面改質処理加工の終了後は、コンタクトレンズWを密封容器11内に収容したまま、後処理工程や流通段階に送ることができる。従って、コンタクトレンズWを表面改質加工終了後に専用の容器に収容したりする作業等が不要となり、表面改質処理終了後の取り扱いが容易となる。
【0058】
以上に述べた第1実施形態は以下の効果を発揮する。
・ 密封容器11を小型に形成することができ、その密封容器11を取り扱う表面改質処理装置を小型化できる。
【0059】
・ 密封容器11の内部が所要の真空度にされた後にガス置換が行われるため、置換ガスの適量封入を容易かつ適切に行うことができる。
・ 計測器20により放電量を計測できるために、その計測結果に基づいて、密封容器11内のコンタクトレンズWの表面改質状況を容易に判別することができ、コンタクトレンズWの品質向上を図ることができる。
【0060】
・ 密封容器11内の口金25により、両電極17,18間で放電のためのトリガを発生させることができる。このため、両電極17,18間のプラズマ放電を発生させるための電位差を低くすることができて、電源装置を小型化でき、ひいては表面改質処理装置の小型化に寄与できる。
【0061】
・ 口金25がトリガの電極を兼用するため、表面改質処理装置の部品点数を少なくして構成を簡単にすることが可能になる。
・ 密封容器11内の窒素化合物等の清掃除去等が不要なため、工数を省略して製造コストを低減できる。
【0062】
・ 密封容器11内のプラズマ雰囲気中でコンタクトレンズWに対してプラズマ処理が実行されるため、前述した従来のアーク放電による表面改質とは異なり、コンタクトレンズW全体に均一な表面改質を行うことができる。
【0063】
・ 密封容器11をコンベア21に搭載することにより、多数のコンタクトレンズWに対して表面改質処理を連続的に行うことができ、前記と同様に加工コストを低減できる。
・ コンタクトレンズWの表面改質処理加工の終了後は、コンタクトレンズWを密封容器11内に収容したまま、後処理工程や流通段階に送ることができ、取り扱いが容易となる。
【0064】
・ 密封容器11内に供給されるガスを適宜に選択することにより、コンタクトレンズWの材質等にあわせて、表面改質の程度等を調節でき、良好な品質のコンタクトレンズWを得ることができる。
【0065】
・ コンタクトレンズWが密封容器11内においてワークホルダ15により安定状態に収容保持されるため、コンベア21上での移送や加工終了後の搬送等によってコンタクトレンズWが損傷するのを防止でき、高品質のコンタクトレンズWの製造等に寄与できる。
【0066】
・ 密封容器11内の密封雰囲気内でプラズマ処理が行われるため、そのプラズマ処理によって有毒ガスが発生したとしても、そのガスが外部に漏れることはない。従って、ガス処理装置を用意する必要はない。
【0067】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、この第2実施形態以降の各実施形態においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0068】
さて、この第2実施形態においては、図4に示すように、密封容器11の構成が第1実施形態と異なる。すなわち、この第2実施形態においては、ゴム栓14がワークホルダ15の基端取付部15aと蓋体13の内面との間に介在されている。このため、この第2実施形態においては、ゴム栓14の変形が抑制され、密封容器11の耐圧機能が向上する。
【0069】
従って、この第2実施形態においては、前記第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を発揮する。
・ 密封容器11の耐圧機能が向上するため、密封容器11の真空度を高めて、密封容器11内の残留空気を少なくでき、従って、密封容器11内のプラズマ用のガスの純度を高めて、より効果的な表面改質処理を行うことができる。
【0070】
(第3実施形態)
次にこの発明の第3実施形態について説明する。
さて、この第3実施形態においては、図5に示すように、密封容器11の上面開口部12aに蓋体を兼用するゴム栓14が着脱可能に取り付けられている。また、密封容器11内にはワークホルダが設けられておらず、ワークとしてのコンタクトレンズWを密封容器11内に直接収容するようになっている。
【0071】
従って、この第3実施形態においては、前記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
・ 密封容器11の蓋体13が不要であるため、密封容器11の構成が簡単である。
【0072】
(第4実施形態)
次に、この第4実施形態を説明する。
この第4実施形態においては、図6に示すように、ガス置換機構22の支持体23の下面に空気抜き及びガス導入を兼用する1つの注射針状のガス置換用口金35が突設されている。このガス置換用口金35には切替バルブ53を介して図1に示した第1,第2流路51,52が接続され、切替バルブ53の切り替えにより、第1,第2流路51,52の一方がガス置換用口金35に接続される。また、支持体23の下面には、トリガ機構32を構成する注射針状のトリガ電極36が突設されている。そして、支持体23が密封容器11に向かって下降されたとき、これらのガス置換用口金35及びトリガ電極36がゴム栓14に刺通されて、密封容器11内に突出されるようになっている。
【0073】
従って、この第4実施形態によれば、ガス置換用口金35がゴム栓14に刺通された状態で、そのガス置換用口金35及び切替バルブ53を介して、密封容器11内の空気を吸引できるとともに、特定種類のガスと置き換えることができる。また、トリガ電極36がゴム栓14に刺通された状態で、トリガ電極36を介してトリガ放電を行って、両電極17,18間での放電を開始させることができる。
【0074】
従って、この第4実施形態では、前記第1実施形態とほぼ同様な効果を奏する。
(第5実施形態)
次に、この発明の第5実施形態について説明する。
【0075】
この第5実施形態においては、図7に示すように、密封容器11の蓋体13及びワークホルダ15の基端取付部15aに置換用パイプ41,42が貫通固定され、その置換用パイプ41,42の上端には常閉型のバルブ43,44が取り付けられている。
【0076】
一方、ガス置換機構22の支持体23には、前記バルブ43,44に接続されるとともに、そのバルブ43,44を開放させるジョイント45,46が設けられている。ジョイント45,46にはそれぞれ第1流路51,第2流路52が接続されている。前記各実施形態におけるゴム栓14は設けられていない。また、一方のパイプ41または42を長くして、その長い方のパイプ41または42にトリガ機構32の圧電素子33が接続されている。
【0077】
従って、この第5実施形態においては、密封容器11内のガス置換に際してバルブ43,44に対してジョイント45,46を接続すれば、バルブ43,44が開放されて、密封容器11内の空気が吸引されるとともに、ガスが置換される。
【0078】
従って、この第5実施形態においては、前記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
・ 密封容器11のゴム栓14に対して針を刺通させるものではないため、密封容器11の密閉性を向上できる。
【実施例】
【0079】
コンタクトレンズWとして、シリコン含有ガス透過性ハードコンタクトレンズ(株式会社メニコン製 商品名:メニコンZ)の棒材(ロット番号:A170―050131)より図3(a)に示すブランクス(約直径1cmのプレート)を5個作製後、前述したプラズマ処理による表面処理を行い、次の結果を得た。ここでは、第1実施形態の装置を用いて表面改質処理を実行した。すなわち、コンタクトレンズW(ブランクス)が収容された密封容器11をコンベア21上に設置して、ガス置換を行い、17,18間においてプラズマ放電を行った。
【0080】
ここで、ガス置換前の密封容器11内の真空度は、0.01Toorで、表面改質用の置換ガスは酸素である。この酸素を密封容器11内に真空度が0.8Toorとなるまで供給した。この状態でプラズマ放電を120秒間継続して、表面改質を実行した。
【0081】
このようにして表面改質された5個(No.1〜No.5)のコンタクトレンズWを、エルマ株式会社製のゴニオメータ式接触角測定装置(製品番号:G−1)を用いてテストした。すなわち、図3(a)(b)に示すように、各コンタクトレンズWに対して液適法により、3箇所ずつ水滴Cの接触角度θの測定を行い、得られた結果(3箇所の平均)を表1に示した。ここで、接触角度θが小さいほど親水性が向上していることを示す。
【0082】
【表1】

この表1から明らかなように、全ての種類のコンタクトレンズWについて、表面改質処理後は、表面改質処理前に対して親水性について明らかな向上が認められる。
【0083】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態において、ガス置換機構22の支持体23を定位置で昇降のみ可能に配設し、密封容器11がコンベア21により支持体23と対応する位置まで搬送されたとき、支持体23が下降されて、口金24,25,35及びトリガ電極36がゴム栓14に刺通され、その位置で密封容器11内の空気の吸引とガス置換とが行われるように構成すること。
【0084】
・ 密封容器11内の空気吸引を行うための口金35を長くして、その口金35にトリガ機構32の圧電素子を接続すること。
・ 密封容器11を断面楕円形状等の扁平形状にすること。このようにすれば、電極17,18間の間隔を狭めることができる。従って、トリガ機構32を省略することが可能になる。
【0085】
・ 密封容器11内に、あらかじめコンタクトレンズWを収容するとともに、プラズマ処理に適したガスを封入して保管しておき、その密封容器11に対して電極17,18間において放電を行うこと。
【0086】
・ 真空状態の密封容器11内にコンタクトレンズWを収容して保管しておき、プラズマ処理に先だって、密封容器11に注射針状の口金を用いてプラズマ処理に適したガスを注入すること。
【0087】
・ 密封容器11のガス置換を複数回行って同密封容器11内のガスを異なる種類のものと交換し、ガス交換ごとに放電による表面改質加工を実行すること。
・ 電極17,18間に供給される放電のための電流を直流電流とすること。
【0088】
・ 第1口金24及び第2口金25を有する支持体23や、あるいは電極17,18及びコンベア21を複数設けること。このようにすれば、密封容器11のガス置換やプラズマ処理を並行して実行でき、加工能率を向上できる。
【0089】
・ ワークとしてコンタクトレンズWに代えて眼内レンズを取り扱うこと。
(別の技術的思想)
前記各実施形態から把握される技術的思想は以下の通りである。
【0090】
(1) 表面改質のための放電時に、密封容器11内に封入されるガスは、水素、酸素等の活性ガス、メタン、エタノールガス等の炭化水素系ガス、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスのうちのいずれか単独で用いられる請求項14〜21のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。
【0091】
(2) 表面改質のための放電時に、密封容器11内に封入されるガスは、水素、酸素等の活性ガス、メタン、エタノールガス等の炭化水素系ガス、あるいは窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスのうちの少なくとも2種類が混合されて用いられる請求項14〜21のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。
【0092】
(3) 密封容器11内の真空度は0.01〜1.0Torrの範囲内である請求項14〜21のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。
(4) 密封容器11内の真空度は0.01〜0.8Torrの範囲内である請求項14〜21のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】第1実施形態の表面改質処理装置を示す構成図。
【図2】図1の表面改質処理装置の要部横断面図。
【図3】(a)は、液適法による親水性テストを示す斜視図、(b)は、同じく説明図。
【図4】第2実施形態の密封容器を示す断面図。
【図5】第3実施形態の密封容器を示す断面図。
【図6】第4実施形態の密封容器を示す断面図。
【図7】第5実施形態の密封容器を示す断面図。
【符号の説明】
【0094】
11…密封容器、12…容器本体、12a…上面開口部、14…ゴム栓、15…ワーク保持手段としてのワークホルダ、17,18…電極、19…電源装置、20…計測手段としての計測器、21…搬送手段としてのコンベア、22…ガス置換手段としてのガス置換機構、24…吸気手段を構成する第1口金、25…トリガ電極を兼用する第2口金、26…吸気手段を構成する真空ポンプ、28,29…ガスタンク、32…吸気手段を構成するトリガ機構、33…圧電素子、35…ガス置換用口金、36…トリガ電極、W…ワークとしてのコンタクトレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが収容された密封容器を設置可能な所定の間隔をおいて対向配置された一対の電極と、その両電極間において密封容器を挟んで放電を行わせるための電源装置とを備え、前記放電により密封容器内のワークの表面改質を行うようにしたことを特徴とする表面改質処理装置。
【請求項2】
前記密封容器が両電極間の間隔を通過するように、密封容器を搬送するための搬送手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の表面改質処理装置。
【請求項3】
前記密封容器内の空気を所要の真空度まで吸引するための吸気手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面改質処理装置。
【請求項4】
前記吸気手段は、密封容器の柔軟性を有する栓を刺通する針状の口金を備え、その口金を介して吸気が行われるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の表面改質処理装置。
【請求項5】
前記密封容器内の空気を特定種類のガスに置換するガス置換手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理装置。
【請求項6】
前記ガス置換手段は、密封容器の柔軟性を有する栓を刺通する針状の口金を備え、その口金を介してガス置換が行われるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の表面改質処理装置。
【請求項7】
前記両電極間において放電開始のためのトリガを生じさせるトリガ機構を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理装置。
【請求項8】
前記トリガ機構は、密封容器の柔軟性を有する栓を刺通して密封容器内に配置される針状のトリガ電極を有することを特徴とする請求項7に記載の表面改質処理装置。
【請求項9】
前記トリガ電極は、密封容器内の空気を吸引するための吸気手段の吸気用口金の機能を兼備することを特徴とする請求項8に記載の表面改質処理装置。
【請求項10】
前記トリガ電極は、密封容器内のガスを置換するためのガス置換手段のガス置換用口金の機能を兼備することを特徴とする請求項8に記載の表面改質処理装置。
【請求項11】
前記両電極間の放電量を計測し、その計測結果を表示する計測手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項10のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理装置。
【請求項12】
絶縁材よりなり、表面改質処理が施されるワークを収容するための容器本体と、その容器本体の開口を密封する柔軟性を有する栓とを備え、耐圧機能を有することを特徴とする表面改質処理用密封容器。
【請求項13】
ワーク保持手段を内装したことを特徴とする請求項12に記載の表面改質処理用密封容器。
【請求項14】
ワークを密封状態で収容した絶縁材よりなる密封容器を一対の電極間に設置して、密封容器を挟んで両電極間において放電を行うことにより、前記ワークの表面改質を行うことを特徴とする表面改質処理方法。
【請求項15】
前記放電に先だって密封容器内の空気が吸引されて、密封容器内が所要の真空度にされることを特徴とする請求項14に記載の表面改質処理方法。
【請求項16】
前記密封容器の開口を密封した柔軟性を有する栓に針状をなす吸気用針口金を刺通した状態で空気の吸引を行うことを特徴とする請求項15に記載の表面改質処理方法。
【請求項17】
前記密封容器内には、放電により密封容器内においてプラズマが発生するのに適したガスが封入されることを特徴とする請求項14〜16のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。
【請求項18】
前記密封容器内の空気を放電に先立って前記ガスに置換することを特徴とする請求項17に記載の表面改質処理方法。
【請求項19】
前記密封容器の開口を密封した柔軟性を有する栓に針状をなす置換用針口金を刺通した状態でガス置換を行うことを特徴とする請求項18に記載の表面改質処理方法。
【請求項20】
前記密封容器の開口を密封した柔軟性を有する栓に針状をなすトリガ電極を刺通し、前記両電極間に対する通電初期にトリガ電極に電圧を印加することを特徴とする請求項12〜請求項14のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。
【請求項21】
前記ワークはコンタクトレンズまたは眼内レンズであることを特徴とする請求項14〜請求項20のうちのいずれか一項に記載の表面改質処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−225520(P2006−225520A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41050(P2005−41050)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】