説明

表面検査方法及び表面検査装置

【課題】 異形状の検査対象物であっても、短時間、且つ高い精度で表面の検査が可能な表面検査方法及び表面検査装置を提供する。
【解決手段】 高速判定ステーション3における短時間での判定で中立品であると判定されたコンロッド2aのみが、高精度判定ステーション5においてより高い精度で判定される。したがって、検査対象物がコンロッド2のように異形状であっても、短時間、且つ高い精度での判定処理が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査方法及び表面検査装置に関して、特に、撮像された対象物の画像に基づいて当該対象物の表面が検査される表面検査方法及び表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CCDカメラ等の撮像装置によって検査対象物が撮像されて、該撮像された検査対象物の画像に基づいて当該検査対象物の表面が検査される表面検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような表面検査装置は、例えば、電子部品の製造ラインにインラインで設備されて、当該電子部品の外観検査に用いられる。ところで、表面検査装置をエンジンのコンロッド(検査対象物)のプレス成形ラインにインラインで設備する場合には、CCDカメラによって撮像されるコンロッドの画像の処理速度(判定速度)を当該プレス成形ラインの製造サイクルタイムよりも短く設定する必要がある。この場合、コンロッドの製造サイクルタイムは電子部品のような小型部品と比較して若干長くなるが、検査対象範囲(取込み範囲)が広くなることから、撮像された画像の処理速度(判定速度)を確保するためには、CCDカメラの1回の取込みでコンロッドを広範囲に取込む必要がある。しかしながら、検査対象物を広範囲に取込む場合には、撮像される画像のデータ密度が低下することにより、判定処理精度(OK/NG判定の精度)の確保が困難になる。
【0003】
そこで、取込み回数を増やして、コンロッドを狭範囲に取込むことにより撮像される画像のデータ密度を高めることが考えられる。しかしながら、取込み回数を増やした場合には、撮像された画像の処理速度(判定速度)を確保するのが困難になる。また、CCDカメラは、検査対象物の表面に照射された光の反射光が受光平面に結像されて、該像が光電変換されることにより当該検査対象物の画像が撮像されるが、検査対象物がコンロッドのように異形状(平坦でない形状)である場合には、表面が粗いため光源の位置によって表面における反射光の拡散状態が変化して、撮像される画像にばらつきが生じる。そして、従来の表面検査装置では、光源が固定されているために、光源の光の照射角度が部品表面の部位によって異なり、同一状態の面であっても明暗が同一の反射光が得られず、画像の精度の確保が困難であった。したがって、従来、コンロッド等の異形状鍛造部品の表面検査は、検査員による目視検査が主であった。
【特許文献1】特開平9−26399号公報(段落番号0016〜0042、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、異形状の検査対象物であっても、短時間、且つ高い精度で表面の検査が可能な表面検査方法を提供することにある。
また、第2の目的は、異形状の検査対象物であっても、短時間、且つ高い精度で表面の検査が可能な表面検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記第1の目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の表面検査方法は、検査対象物の画像が撮像されて、該撮像された画像に基づいて検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される高速判定ステップと、該高速判定ステップによって中立品と判定された検査対象物の画像が高速判定ステップよりも高い精度で撮像されて、該撮像された画像に基づいて、中立品と判定された検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される高精度判定ステップと、の各ステップを含んで構成されることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表面検査方法において、高速判定ステップでは、中立品と判定された検査対象物の中立部位の座標が確定されて、高精度判定ステップでは、撮像装置が検査対象物の中立部位の座標に基づいて撮像装置位置決め用ロボットによって位置決めされることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表面検査方法において、高精度判定ステップでは、撮像装置の光源が検査対象物の中立部位の座標に基づいて光源位置決め用ロボットによって位置決めされることを特徴とする。
【0007】
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の表面検査装置は、検査対象物の画像が撮像されて、該撮像された画像に基づいて検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される高速判定ステーションと、該高速判定ステーションによって中立品と判定された検査対象物の画像が高速判定ステーションよりも高い精度で撮像されて、該撮像された画像に基づいて、中立品と判定された検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される高精度判定ステーションと、を含んで構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の表面検査装置において、高速判定ステーションは、検査対象物の画像が撮像される第1の撮像装置と、該第1の撮像装置によって撮像された検査対象物の画像に基づいて、検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される第1の判定装置と、該第1の判定装置によって中立品と判定された検査対象物の中立部位の座標が確定されて該検査対象物の中立部位の座標データが高精度判定ステーションへ出力される中立部位座標確定装置と、を含んで構成されて、高精度判定ステーションは、第1の判定装置によって中立品と判定された検査対象物の画像が撮像される第2の撮像装置と、該第2の撮像装置が中立部位座標確定装置の座標データに応じて位置決めされる撮像装置位置決め用ロボットと、第2の撮像装置によって撮像された検査対象物の画像に基づいて、検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される第2の判定装置と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の表面検査装置において、高精度判定ステーションは、第2の撮像装置用の光源が中立部位座標確定装置の座標データに応じて位置決めされる光源位置決め用ロボットを備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の表面検査装置において、高速判定ステーションと高精度判定ステーションとの間に、第1の判定装置によって中立品と判定された検査対象物がストックされる中立ストックが設けられることを特徴とする。
【0010】
したがって、請求項1に記載の発明によれば、高速判定ステップでは、画像の処理速度(判定速度)を重視した処理が行われて、検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される。そして、高精度判定ステップでは、精度を重視した判定処理が行われて、高速判定ステップにおいて中立品であると判定された検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される。
請求項2に記載の発明によれば、高精度判定ステップでは、高速判定ステップで確定された検査対象物の中立部位の座標に基づいて、撮像装置が撮像装置位置決め用ロボットによって位置決めされる。
請求項3に記載の発明によれば、高精度判定ステップでは、高速判定ステップで確定された検査対象物の中立部位の座標に基づいて、光源が光源位置決め用ロボットによって位置決めされる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、高速判定ステーションでは、画像の処理速度(判定速度)を重視した処理が行われて、検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される。そして、高精度判定ステーションでは、精度を重視した判定処理が行われて、高速判定ステップにおいて中立品であると判定された検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される。
請求項5に記載の発明によれば、高速判定ステーションでは、第1の撮像装置によって撮像された検査対象物の画像が第1の判定装置によって判定処理されて、当該検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される。そして、中立品であると判定された検査対象物の中立部位の座標が中立部位座標確定装置によって確定される。また、高精度判定ステーションでは、中立部位座標確定装置によって確定された中立部位の座標に基づいて、撮像装置位置決め用ロボットによって第2の撮像装置が位置決めされる。そして、該第2の撮像装置によって撮像された検査対象物の画像が第2の判定装置によって判定処理されることにより、当該検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される。
【0012】
請求項6に記載の発明によれば、第2の撮像装置用の光源が、中立部位座標確定装置によって確定された中立部位の座標に基づいて光源位置決め用ロボットによって位置決めされる。
請求項7に記載の発明によれば、高速判定ステーションによって中立品であると判定された検査対象物が中立ストックを経由して高精度判定ステーションに搬送される。
【発明の効果】
【0013】
異形状の検査対象物であっても、短時間、且つ高い精度で表面の検査が可能な表面検査方法及び表面検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。本表面検査装置は、CCDカメラ1(第1の撮像装置)によって撮像されたコンロッド2(検査対象物)の画像が、処理速度を重視して判定処理される高速判定ステーション3と、該高速判定ステーション3において中立品であると判定されたコンロッド2(以下、コンロッド2aと称する。)が搬入されて、CCDカメラ4(第2の撮像装置)によって撮像されたコンロッド2aの画像が、処理精度を重視して判定処理される高精度判定ステーション5と、を含んで構成される。これにより、本表面検査装置では、高速判定ステーション3において中立品であると判定されたコンロッド2aが抜出されて、該中立品であると判定されたコンロッド2aのみが上記高精度判定ステーション5においてより高い精度で判定処理されるため、判定処理の速度と精度との双方が確保される構造になっている。なお、本表面検査装置は、コンロッド2のプレス成形ラインにおける、脱脂洗浄ステーションのライン下流に設備される。
【0015】
図1に示されるように、上記高速判定ステーション3は、上記脱脂洗浄ステーションによって脱脂洗浄されたコンロッド2が所定位置に位置決め保持される検査台6を備えて、該検査台6の上方には、上記CCDカメラ1と光源7(本実施の形態では、蛍光灯。)とが配設される。そして、上記高速判定ステーション3では、CCDカメラ1の1回の取込み(光源7によってコンロッド2の表面に照射された光の反射光の取込み)によって、検査台6に保持されたコンロッド2の外観全体の画像が撮像される構造になっている。また、図2に示されるように、上記高速判定ステーション3は、マイクロコンピュータによって構成される判定装置8(第1の判定装置)を備えて、該判定装置8によって上記CCDカメラ1によって撮像されたコンロッド2の画像が所定の判定方式(本実施の形態では、パターンマッチング。)で判定処理されることにより、コンロッド2が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される構造になっている。
【0016】
また、図3に示されるように、上記高速判定ステーション3は、所定位置に設定された原点に対して、上記判定装置8によって中立品であると判定されたコンロッド2aの中立部位11(判定装置8によって中立であると判定された基因となる部位)の座標(以下、中立部位11の座標と称する。)が確定される中立部位座標確定装置12を備える。さらに、上記高速判定ステーション3は、上記判定装置8の判定結果に基づいてコンロッド2が選別される選別装置13を備える。なお、本表面検査装置では、選別装置13によって選別されたコンロッド2が、合格品搬送路、不合格品搬送路、中立品搬送路に振り分けられる構造になっている。また、図2に示されるように、上記高速判定ステーション3では、判定装置8、中立部位座標確定装置12、並びに選別装置13が、主制御装置9に接続された高速判定ステーション制御装置10によって制御される構造になっている。
【0017】
図1に示されるように、上記高精度判定ステーション5は、上記中立品搬送路によって上記高速判定ステーション3と連絡されており、上記判定装置8によって中立品であると判定されたコンロッド2aが位置決め保持される検査台14を備える。また、高精度判定ステーション5は、アームロボット15(撮像装置位置決め用ロボット)に装着されるCCDカメラ4と、アームロボット16(光源位置決め用ロボット)に装着される光源17(本実施の形態では、LED。)とを備える。また、上記高精度判定ステーション5は、マイクロコンピュータによって構成されるロボット制御装置18を備えて、該ロボット制御装置18のデータ格納部(メモリ)には、中立部位11の座標とCCDカメラ4の位置とを相対させたカメラ位置決め用データと、中立部位11の座標と光源17の位置とを相対させた光源位置決め用データとが格納される。
【0018】
そして、上記高精度判定ステーション5では、上記データ格納部に格納された各位置決めデータに基づいてCCDカメラ4と光源17とが位置決めされて、該CCDカメラ4によって上記検査台14に保持されたコンロッド2aの中立部位11が、高速判定ステーション3におけるCCDカメラ1によるコンロッド2の取込みよりも狭範囲(高いデータ密度)で取込まれて、中立部位11の画像が撮像される構造になっている。また、図2に示されるように、上記高精度判定ステーション5は、マイクロコンピュータによって構成される判定装置19を備えて、上記CCDカメラ4によって撮像されたコンロッド2aの画像が、該判定装置19によって所定の判定方式(本実施の形態では、パターンマッチング。)で判定処理されて、コンロッド2aが合格品、不合格品のいずれかに判定される構造になっている。
【0019】
また、上記高精度判定ステーション5は、上記判定装置19の判定結果に基づいてコンロッド2aが選別される選別装置22を備えて、該選別装置22によって選別されたコンロッド2aが、合格品搬送路、不合格品搬送路に振り分けられる構造になっている。なお、上記高精度判定ステーション5では、中立品であると判定されたコンロッド2aに複数箇所の中立部位11がある場合には、CCDカメラ4及び光源17が、中立部位座標確定装置12によって確定された各座標に位置決めされて、各座標に位置決めされたCCDカメラ4によって各中立部位11が狭範囲に取込まれて各中立部位11の画像が順次撮像される。そして、CCDカメラ4によって撮像されたコンロッド2aの各中立部位11の画像が上記判定装置19によって判定処理されて、各判定結果が全て合格品であるとの判定だった場合にのみ、中立品であると判定されたコンロッド2aが最終的に合格品であると判定される構造になっている。
【0020】
なお、図1に示されるように、本表面検査装置は、上記中立品搬送路に中立ストッカ23が設けられて、該中立ストッカ23に高精度判定ステーション5での判定を待機するコンロッド2aが収容される。また、図2に示されるように、上記高精度判定ステーション5では、判定装置19、アームロボット15,16、並びに選別装置22が、主制御装置9に接続された高精度判定ステーション制御装置20によって制御される構造になっている。
【0021】
次に、本表面検査装置の作用を説明する。なお、ここでは、本表面検査装置がコンロッド2のプレス成形ラインにインラインで設備される場合を説明する。まず、プレス成形機によって所定の製造サイクルタイム(本実施の形態では、6秒/個。)で鍛造成形されたコンロッド2(検査対象物)は、脱脂洗浄された後、本表面検査装置における高速判定ステーション3に搬入される。該高速判定ステーション3では、搬入されたコンロッド2が検査台6に位置決め保持された後、該コンロッド2の外観全体がCCDカメラ1(第1の撮像装置)の1回の取込みによって取込まれて、当該CCDカメラ1によってコンロッド2の画像が撮像される。そして、高速判定ステーション3では、上記CCDカメラ1によって撮像された画像に、判定装置8(第1の判定装置)によってパターンマッチングによる判定処理が施されて、コンロッド2が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される。
【0022】
なお、本実施の形態では、上記高速判定ステーション3における処理能力が、2秒/個以下である。上記高速判定ステーション3では、中立品であると判定されたコンロッド2aの中立部位11の座標が中立部位座標確定装置12によって確定される。さらに、高速判定ステーション3では、判定装置8の判定結果に基づいて、コンロッド2が、選別装置13によって選別されて合格品搬送路、不合格品搬送路、中立品搬送路に振り分けられる。そして、中立品であると判定されたコンロッド2aは、中立ストッカ23を経由して、高精度判定ステーション5に搬入される。高精度判定ステーション5では、搬入されたコンロッド2aが検査台6に位置決め保持された後、上記中立部位座標確定装置12によって確定された中立部位11の座標に基づいて、CCDカメラ4(第2の撮像装置)及び光源17が、アームロボット15(撮像装置位置決め用ロボット)及びアームロボット16(光源位置決め用ロボット)によって位置決めされる。
【0023】
そして、高精度判定ステーション5では、CCDカメラ4によって、コンロッド2aの中立部位11が、高速判定ステーション3におけるCCDカメラ1での取込みよりも狭範囲に取込まれて当該中立部位11の画像が撮像される。さらに、CCDカメラ4によって撮像された高いデータ密度(CCDカメラ1によって撮像された画像データと比較して高いデータ密度)の画像に、判定装置19(第2の判定装置)によってパターンマッチングによる判定処理が施されて、コンロッド2aが合格品、不合格品のいずれかに判定される。そして、該判定装置19の判定結果に基づいて、コンロッド2aが、選別装置22によって選別されて合格品搬送路、不合格品搬送路に振り分けられる。
【0024】
なお、本表面検査装置では、上記高速判定ステーション3において中立品であると判定されたコンロッド2aに複数箇所の中立部位11がある場合には、中立部位座標確定装置12によって確定された各座標にCCDカメラ4及び光源17が各中立部位11に位置決めされて、該CCDカメラ4によって各中立部位11が狭範囲に取込まれて各中立部位11の画像が順次撮像される。そして、撮像された各中立部位11の画像が判定装置19によって判定処理されて、該判定装置19の各判定結果が全て合格品であるとの判定だった場合にのみ、中立品であると判定されたコンロッド2aが最終的に合格品であると判定される。
【0025】
この実施の形態では以下の効果を奏する。
本表面検査装置では、高速判定ステーション3において、CCDカメラ1(第1の撮像装置)の1回の取込みによってコンロッド2(検査対象物)の外観全体の画像が撮像されると共に、該撮像された画像が判定装置8(第1の判定装置)によって短時間で判定処理されて、コンロッド2が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される。また、本表面検査装置では、中立品であると判定されたコンロッド2aが高精度判定ステーション5に搬入されて、該高精度判定ステーション5において、CCDカメラ4(第2の撮像装置)によってコンロッド2aの中立部位11が狭範囲で取込まれて、当該中立部位11の画像がより高い精度(解像度)で撮像される。そして、該撮像された画像が判定装置19(第2の判定装置)によってより高い精度で判定処理されて、コンロッド2aが合格品、不合格品のいずれかに判定される。
【0026】
したがって、本表面検査装置では、高速判定ステーション3における短時間での判定で中立品であると判定されたコンロッド2aのみが、高精度判定ステーション5において時間を掛けてより高い精度で判定されるため、検査対象物がコンロッド2のように異形状であっても、短時間、且つ高い精度での判定処理が可能になる。これにより、表面検査装置全体として判定に要する時間(高速判定ステーション3における判定時間、本実施の形態では2秒/個以下。)をコンロッド2の製造サイクルタイム(本実施の形態では、6秒/個。)よりも短くすることが可能になる。そして、本表面検査装置をコンロッド2のプレス成形ラインにインラインで設備することが可能になり、生産工程が合理化されて生産性を向上させることができる。
【0027】
また、本表面検査装置では、高速判定ステーション3において、中立品であると判定されたコンロッド2aの中立部位11の座標が中立部位座標確定装置12によって確定されて、該確定された座標に基づいて、高精度判定ステーション5においてコンロッド2aの中立部位11にアームロボット15(撮像装置位置決め用ロボット)及びアームロボット16(光源位置決め用ロボット)によってCCDカメラ4及び光源17が位置決めされる。これにより、検査対象物がコンロッド2のように異形状であっても、ばらつきのない判定処理に向けて好適な画像を撮像することが可能になる。
さらに、本表面検査装置では、高速判定ステーション3と高精度判定ステーション5とを連絡する中立品搬送路に中立ストッカ23が設けられるため、高速判定ステーション3においてコンロッド2aが連続して中立品であると判定された場合であっても、当該コンロッド2aを中立ストッカ23で待機させることにより、高速判定ステーション3の処理が停止されるようなことがない。
【0028】
なお、実施の形態は上記に限定されるものによればなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施の形態では、高速判定ステーション3において、CCDカメラ1(第1の撮像装置)の1回の取込みによってコンロッド2(検査対象物)の外観全体の画像が撮像されるが、当該高速判定ステーション3における判定処理時間がコンロッド2の製造サイクルタイムよりも短いといった条件を満たせば、CCDカメラ1の取込み回数を複数回に設定してもよい。この場合、複数台の固定されたCCDカメラ1によってコンロッド2の外観全体の画像が撮像されるように構成してもよいし、1台のCCDカメラ1及び光源7をアームロボット等で移動させて取込み回数を増やしてもよい。
【0029】
本実施の形態では、高速判定ステーション3及び高精度判定ステーション5において、撮像された画像に、パターンマッチングによる判定処理が施されるが、判定方式は、判定処理時間がコンロッド2の製造サイクルタイムよりも短いといった条件を満たせば、例えば二値化による判定処理であってもよい。
高速判定ステーション3又は高精度判定ステーション5において不合格品が連続して発生した場合にラインストップさせて、金型の点検完了後、ラインを再スタートさせるように構成してもよい。このように構成することにより、金型の不具合に基因して不合格品を大量に生じさせてしまう事態が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本表面検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】本表面検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】表面検査装置の説明図で、特に、中立部位座標確定装置の機能を説明するための図である。
【符号の説明】
【0031】
1 CCDカメラ(第1の撮像装置)、2 コンロッド(検査対象物)、3 高速判定ステーション、4 CCDカメラ(第2の撮像装置)、5 高精度判定ステーション、8 判定装置(第1の判定装置)、11 中立部位、12 中立部位座標確定装置、15 アームロボット(撮像装置位置決め用ロボット)、16 アームロボット(光源位置決め用ロボット)、19 判定装置(第2の判定装置)、23 中立ストッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の画像が撮像されて、該撮像された画像に基づいて検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される高速判定ステップと、該高速判定ステップによって中立品と判定された前記検査対象物の画像が前記高速判定ステップよりも高い精度で撮像されて、該撮像された画像に基づいて、中立品と判定された前記検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される高精度判定ステップと、の各ステップを含んで構成されることを特徴とする表面検査方法。
【請求項2】
前記高速判定ステップでは、中立品と判定された前記検査対象物の中立部位の座標が確定されて、前記高精度判定ステップでは、撮像装置が前記検査対象物の中立部位の座標に基づいて撮像装置位置決め用ロボットによって位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の表面検査方法。
【請求項3】
前記高精度判定ステップでは、前記撮像装置の光源が前記検査対象物の中立部位の座標に基づいて光源位置決め用ロボットによって位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面検査方法。。
【請求項4】
検査対象物の画像が撮像されて、該撮像された画像に基づいて検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される高速判定ステーションと、該高速判定ステーションによって中立品と判定された前記検査対象物の画像が前記高速判定ステーションよりも高い精度で撮像されて、該撮像された画像に基づいて、中立品と判定された前記検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される高精度判定ステーションと、を含んで構成されることを特徴とする表面検査装置。
【請求項5】
前記高速判定ステーションは、検査対象物の画像が撮像される第1の撮像装置と、該第1の撮像装置によって撮像された前記検査対象物の画像に基づいて、前記検査対象物が明確な合格品、明確な不合格品、中立品のいずれかに判定される第1の判定装置と、該第1の判定装置によって中立品と判定された前記検査対象物の中立部位の座標が確定されて該検査対象物の中立部位の座標データが前記高精度判定ステーションへ出力される中立部位座標確定装置と、を含んで構成されて、前記高精度判定ステーションは、前記第1の判定装置によって中立品と判定された前記検査対象物の画像が撮像される第2の撮像装置と、該第2の撮像装置が前記中立部位座標確定装置の座標データに応じて位置決めされる撮像装置位置決め用ロボットと、前記第2の撮像装置によって撮像された前記検査対象物の画像に基づいて、前記検査対象物が合格品、不合格品のいずれかに判定される第2の判定装置と、を含んで構成されることを特徴とする請求項4に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記高精度判定ステーションは、前記第2の撮像装置用の光源が前記中立部位座標確定装置の座標データに応じて位置決めされる光源位置決め用ロボットを備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記高速判定ステーションと前記高精度判定ステーションとの間に、前記第1の判定装置によって中立品と判定された前記検査対象物がストックされる中間ストックが設けられることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−220438(P2006−220438A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31784(P2005−31784)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】