表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法
【課題】所定のパターンを有する光源を用いて表面が鏡面反射の性質を有する被検査物について、微細な傷を測定することができる。
【解決手段】面光源3A,3Bから周期式が既知の前記パターン光を所定の位相ずつずらしながら被検査物100に投射可能した状態で、撮像装置5で被検査物を撮像し、撮像画像の画素ごとに、前記撮像装置5により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値を前記光源3A,3Bが照射するパターン光の周期式にあてはめ、画素ごとのパターン光の周期変化及び振幅を演算し、撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査する。
【解決手段】面光源3A,3Bから周期式が既知の前記パターン光を所定の位相ずつずらしながら被検査物100に投射可能した状態で、撮像装置5で被検査物を撮像し、撮像画像の画素ごとに、前記撮像装置5により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値を前記光源3A,3Bが照射するパターン光の周期式にあてはめ、画素ごとのパターン光の周期変化及び振幅を演算し、撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物を光学的な手段により撮像して、当該被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する方法の一つとして、被検査物の表面に光を照射し、被検査物の表面を撮像し、撮像された画像から被検査物表面の欠陥の有無を検査する方法が広く行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この検査方法において、光源に所定のパターン、たとえば、白黒の縞状パターンを有する光を用い、被検査物の表面に投影されたその縞状パターンの変化を測定することにより、表面形状たとえば、三次元形状や表面に付された凹凸などの傷を測定する技術(位相シフト法)が開示されている(非特許文献1)。この方法では、縞状パターンを移動させ、位相画像により、計測対象物の凹凸や高さなどの情報を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平05−307007号公報
【非特許文献1】「応力・ひずみ・形状・変形の高速高精度全視野計測の研究」 和歌山大学システム工学部 光メカトロニクス学科、光波画像計測研究室 編 2005年12月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記方法は、被検査物の表面に投影された縞状パターンを撮像するものであるから、被検査物の表面に縞状パターンが鮮明に投影されない場合、例えば、被検査物表面が鏡面反射を有するものである場合、縞状パターンを鮮明に撮像することができず、測定が困難となっていた。
【0006】
図12に、位相シフト法を用いた検査装置を用いて表面が鏡面反射を有する被検査物を検査する場合の撮像手段と光源との位置関係を示す。図12において、光源であるプロジェクター102と撮像手段であるカメラ103,104との位置関係として、光源からの照射光に対して正反射位置に配置されるカメラ103と、正反射位置からずらして配置され拡散光を撮像するカメラ104が挙げられる。プロジェクター102から投射される縞状パターンの光Lは、拡散しながら被検査物101に照射され、被検査物101表面で反射する。反射光は、被検査物101の表面への入射角度に対して正反射して進むこととなる。
【0007】
このとき、カメラ103は、一部の光のみを正反射光として受光する。したがって、カメラ103では、被検査物101の表面に投射された一部の光のみを撮像可能であり、被検査物の表面に投影された縞状パターンを撮像することができない。
【0008】
一方、カメラ104では、被検査物の表面で拡散された光を撮像することができるが、鏡面反射の性質を持つ被検査物101では、プロジェクター102からの投射光が表面で拡散しないため、拡散光がカメラ104に入射せず、縞状パターンの撮像は不可能である。
【0009】
このように表面が鏡面反射の性質を有する被検査物では、位相シフト法により表面形状を計測することは困難であった。
【0010】
また、表面が拡散面である被検査物であっても、位相シフト法では、細かな傷は計測することができないという問題があった。位相シフト法で、傷による縞模様のひずみに基づいて、傷による縞状パターンの位相θのズレを検出して、表面に存在する凹凸を測定するものである。しかし、微細な傷の場合、縞状パターンの位相θのズレが画像上に顕在化されにくい。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、所定のパターンを有する光源を用いて表面が鏡面反射の性質を有する被検査物について、微細な傷を測定することができる表面形状検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の表面欠陥検査装置を提供する。
【0013】
本発明の第1態様によれば、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、輝度が周期的に変化するパターンを有するパターン光をその周期を変化させながら照射する光源と、パターン光が投影された前記被検査物を撮像する撮像装置と、前記撮像された画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査する演算部とを備えた表面欠陥検査装置であって、
前記光源は、周期式が既知の前記パターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射可能な面光源であり、
前記演算部は、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値及び前記光源が照射するパターン光の周期式に基づいて、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査装置を提供する。
【0014】
本発明の第2態様によれば、前記面光源は、被検査物の測定面よりも大きい面積の発光面を有することを特徴とする、第1態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0015】
本発明の第3態様によれば、前記演算部は、前記複数の撮像画像の輝度値に基づいて、前記分割領域におけるパターン光の位相値を算出し、
前記算出された位相値を前記周期式に代入することにより前記振幅値を演算することを特徴とする、第1又は第2態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0016】
本発明の第4態様によれば、前記面光源は、フラットパネルディスプレイで構成されていることを特徴とする、第1から第3態様のいずれかの表面欠陥検査装置を提供する。
【0017】
本発明の第5態様によれば、前記フラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイであることを特徴とする第4態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0018】
本発明の第6態様によれば、前記液晶ディスプレイは、発光面に偏光フィルムが貼着されていることを特徴とする第5態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0019】
本発明の第7態様によれば、前記液晶ディスプレイは、発光面にポリエステルフィルムが貼着されていることを特徴とする第5態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0020】
本発明の第8態様によれば、前記フラットパネルディスプレイは、プラズマディスプレイであることを特徴とする第4態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0021】
本発明の第9態様によれば、前記面光源は、前記パターン光を投射する投射器と、前記投射器から発光されたパターン光が映写されるスクリーンとを備えることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの表面欠陥検査装置を提供する。
【0022】
本発明の第10態様によれば、前記分割領域は、前記撮像画像の画素単位に構成されていることを特徴とする、第1から第9態様のいずれか1つの表面欠陥検査装置を提供する。
【0023】
本発明の第11態様によれば、前記所定のパターンは縞状パターンであることを特徴とする、第1から第10態様のいずれか1つの表面欠陥検査装置を提供する。
【0024】
本発明の第12態様によれば、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、面光源から輝度が周期的に変化する周期式が既知のパターンを有するパターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射し、
前記被検査物に投影された前記パターンを撮像して前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像を得、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値を前記光源が照射するパターン光の周期式にあてはめ、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、たとえば、縞状パターンのようなパターン光を発光する光源が面光源であるため、鏡面反射の性質を有する被検査物にパターンを投影することができ、また、被検査物の表面に投影されたパターンを撮像装置で撮影することができる。よって、面光源は、被検査物の測定面よりも大きい面積の発光面とすることが好ましく、この構成により、測定面全体にパターンを写し出すことができ、測定の領域を大きくすることができる。
【0026】
また、本発明によれば、周期式が既知のパターン光の位相をずらしながら撮像することで、撮像の結果から撮像画像中のパターンの周期変化及び振幅を演算することができ、当該求められた振幅の値に基づいて、欠陥を判定することができる。すなわち、欠陥が存在している部分については、被検査物表面の反射特性が異なるため、欠陥が存在しない部分と比較して、求められた振幅の値が異なる。このことを利用して、振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて被検査物の表面欠陥を検査する。
【0027】
また、振幅画像により被検査物の表面粗さを検査することができる。すなわち、振幅画像は表面が光沢面であれば、強い反射を表し振幅強度は強くなる。また、表面が粗い状態であれば、拡散光が多くなり、一方向から観察される光は弱くなり、振幅強度は弱くなる。このように振幅画像を得ることにより被検査物の表面の粗さや傷などの表面欠陥を測定することができる。
【0028】
本発明の構成によれば、被検査物の表面欠陥によるパターン光の模様のひずみ、すなわち、周期式の周期に基づく欠陥検査と比較して、詳細なパターンで被検査物表面の欠陥を検査することができるため、小さな欠陥を検出することができる。
【0029】
上記構成において、面光源をフラットパネルディスプレイで構成することにより、鮮明なパターン光を発光することができ、また、ディスプレイの場所があれば被検査物へのパターンの投影が可能で有ることから、装置の設置領域を小さくすることができる。
【0030】
また、フラットパネルディスプレイとしては、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイを用いることができるが、液晶ディスプレイの場合は、表面にポリエステルフィルムを貼付けることで、ディスプレイから投影される光が無偏光となり、対象物と干渉することを防止することができる。また液晶ディスプレイ表面に偏光フィルムを貼り付ける事でサンプル表面の偏光特性との干渉を防止することができる。
【0031】
また、面光源としてパターン光を投射する投射器と、前記投射器から発光されたパターン光が映写されるスクリーンを用いることで、容易にスクリーンを大きくすることができ、大きなパターン光を発光することができる。また、被検査物の形状に合わせて、スクリーンを変形することもでき、これによりパターン光が被検査物に投影される面積を広げ、より広い範囲を一度に計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る表面欠陥検査装置について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1Aは、本発明の1実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図であり、図1Bは、本発明の他の実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図である。図1Aに示す表面欠陥検査装置1Aと図1Bに示す表面欠陥検査装置は、後述する所定の縞状パターンの光を被検査物100に投影する構成が異なる点を除いてほぼ共通する構成を有するため、両装置を代表して図1Aに示す表面欠陥検査装置1Aについて主に説明を進め、図1Bに示す装置は主に相違点について説明する。
【0034】
表面欠陥検査装置1Aは、図1Aに示すように、制御演算部6Aからの出力信号を受信して、所定のパターンを有する光を投射するプロジェクター2を有する。プロジェクター2から当該投射された所定のパターンの光は、制御演算部6Aにより作成され、また、制御演算部6Aの制御により、所定のパターンの位相やパターン形状などを変更することができる。本実施形態では、所定のパターンとして縞状パターンを採用する。所定のパターンの光の輝度値I(x、y)は、下記の数式(1)に示すように空間(x、y)上に正弦波状に分布している。なお、縞状パターンの例としては、上記のように正弦波状に限定されるものではなく、例えば、鋸歯状に輝度が変化するような場合であってもよい。
【0035】
【数1】
数式(1)において、aは輝度振幅、φは位相値、bは背景輝度を示す。
【0036】
本実施形態では、縞状パターンの縞の濃淡の輝度Iは、図2に示すように、縞の延在方向については同じ輝度を有し、縞の延在方向の直交方向に対して周期式が既知の正弦波となるパターンを有している。
【0037】
プロジェクター2から当該投射された光は、拡散しながらスクリーン3Aに投影され、プロジェクターから投影された縞状パターンがスクリーン3の表面に写し出される。
【0038】
スクリーン3に投影された縞状パターンの光は、スクリーン3A面で反射して載置台4の上に置かれた被検査物100に到達する。被検査物100は、表面が鏡面反射の性質を有し、自動車のボディや樹脂板など光沢のある金属、プラスチック、窯材、ガラス、フィルムなどが例示できる。
【0039】
縞状パターンが投影されるスクリーン3の投影面は、被検査物100の検査面よりも大きく、好ましくは2倍以上の面積比を有することが好ましい。スクリーンを用いることで、縞状パターンが写し出される面積を容易かつ安価に大きくすることができ、また、図3に示すように、非検査物100の測定面が曲面で構成されているような場合、被検査物100の形状に合わせて変形することもできる。このように曲面で構成されるスクリーン3を用いることで、より広い範囲を一度に測定することもできる。
【0040】
スクリーン3で反射された光は、被検査物100の表面で反射し、撮像部5に到達する。撮像部5は、デジタルカメラなどで構成される。カメラは、ノイズの少ない画像を得られる高画質カメラが望まれ、このため出力信号はビット数が高いものが好ましい。また、カメラの解像度は高いほうがよいが、検査対象となる欠陥の大きさ以上の空間解像度は必要ではない。
【0041】
本実施形態にかかる表面欠陥検査装置1Aは、面光源であるスクリーンから投光された光を用いて被検査物100に投影することとしているため、被検査物100の表面が反射性質を有していたとしても、被検査物100の表面に投光された縞状パターンを撮像することができる。この原理について図4を用いて説明する。
【0042】
図4は、図1Aの表面欠陥検査装置の光学系の概略構成を示す図である。上記のようにスクリーン3Aの表面には、縞状パターンが投影されており、スクリーン3A表面で反射した光が被検査物100の表面で反射して撮像部5に到達する状態を示している。図4では、理解のためスクリーン3A上の任意の3点71,72,73から投光される光のみを図示している。プロジェクター2から投光されスクリーン3Aに到達した光は、スクリーン3Aで反射・拡散して被検査物100へ到達する。例えば、図4においては、点71からL1,L2,L3の光が反射した場合を図示している。上記のように、被検査物100へ到達した光は、その進行方向に応じて被検査物100の表面の到達位置が異なり、その到達位置で鏡面反射する。点71から発光する光のうち、L1,L3は被検査物100表面で鏡面反射しても撮像部5に到達し得ないが、L1は鏡面反射して撮像部5に到達する。すなわち、撮像部5は、点71から発光した光を被検査物100の表面の位置74上に投影された状態で撮像することができる。
【0043】
同様に、点72,73から発光した光は、位置74,75上に投影された状態で撮像部5に到達する。すなわち、スクリーン3Aの任意の点から投光された拡散光のうち被検査物100上の特定の位置で正反射した光のみが撮像部5に到達されることとなるので、撮像部5でスクリーン3Aから投光される縞状パターンが被検査物100に投影された状態の画像を撮像することができる。
【0044】
撮像部5で撮像された画像は、制御演算部6Aで演算・処理され撮像画像に基づいて、被検査物100の表面に付された欠陥の検査をすることができる。制御演算部での演算・処理については、後述する。
【0045】
次に、図1Bに示す表面欠陥検査装置1Bについて、縞状パターンの光を被検査物100に投影する構成について説明する。
【0046】
図1Bの表面欠陥検査装置1Bは、フラットパネルディスプレイ3B,載置台4,撮像部5,制御演算部6Bを備える。制御演算部6Bは、フラットパネルディスプレイ3Bと撮像部5に接続されており、フラットパネルディスプレイ3Bに所定のパターンを表示させると共に撮像部5によって撮像された画像の分析を行う。フラットパネルディスプレイ3Bを用いることで、プロジェクターを必要としないため、ディスプレイのみで所定のパターンを表示することができる。
【0047】
フラットパネルディスプレイ3Bとしては、制御演算部6Bからの出力信号を受けて、所定のパターンを有する光を被検査物100にそのパターンを写すことができる程度の輝度をもって発光できるものであればよい。具体的には、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。また、液晶ディスプレイを用いた場合には、液晶により偏光された縞パターンがディスプレイの表示面に表示されるので、被検査物100と干渉することがある。これを防止するために、液晶ディスプレイの表面にポリエステルフィルムを貼着などの手段により設け、液晶ディスプレイから発光した光を無偏光の状態とすることができる。または偏光フィルムを液晶ディスプレイ表面に貼り付けることにより、偏光特性をもつようなサンプルとの干渉を避けることができる。
【0048】
次に、撮像部5が撮像した画像に基づいて、制御演算部6A,6Bが行う表面欠陥検査のための処理について説明する。図5は、図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部6A,6Bの機能ブロックを示す図であり、図6は、図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部6A,6Bが行う表面欠陥検査のための処理フローである。
【0049】
図5に示すように、制御演算部6A,6Bは、CPU10と発光出力部16と制御プログラム格納部17と撮像出力部18と画像受信部19とを備える。CPU10は、制御プログラムからのプログラムシーケンスに基づいて、装置の制御演算を司り、それぞれの機能部ロックとして、発光制御部11,撮像制御部12,画像分析部13、振幅画像作成部14、欠陥判断部15としての各機能を実現する。
【0050】
発光出力部16は、プロジェクター2又はフラットパネルディスプレイ3Bと接続し、発光制御部11で作成された所定の縞状パターンを表示するための出力信号をプロジェクター2又はフラットパネルディスプレイ3Bに出力する。
【0051】
撮像出力部18は、撮像部5と接続され、撮像制御部12によって作成された撮像のためのトリガー信号を所定のタイミングで出力する。画像受信部19は、撮像部5によって撮像され、画像分析部13などで行われる表面欠陥検査に用いられる画像を受信する。
【0052】
制御演算部6A,6Bは、表面欠陥検査のための処理として、まず、発光制御部11によって作成された周期式が既知の縞パターンを有する画像信号を、発光出力部16を通してプロジェクター2などに送信し、スクリーンなどに所定のパターンを表示する(#1)。発光制御部11により作成されるパターンは、上記数式(1)に示される正弦波状の輝度変化を有する縞パターンであり、輝度振幅、位相値とも既知のものである。
【0053】
次に、制御演算部6A,6Bは、撮像制御部12により所定の撮像タイミングで発行されたトリガー信号を撮像出力部18を介して撮像部5に送信する。撮像部5は、トリガー信号を受信すると被検査物100の撮像を行い、撮像画像を画像受信部19に送信する(#2)。撮像部5によって撮像された被検査物に写し出される所定の縞パターンは、どの位相値を有しているかが既知であるため、撮像画像と、縞パターンのシフト量(最初の画像はシフト量0である)を対応づけて格納する。
【0054】
上記撮像を所定枚数の画像が得られるまで繰り返す。このとき、制御演算部6A,6Bは、撮像される縞パターンの位相値を2/πずつずらした状態となるように撮像する。すなわち、発光出力部16が所定の縞パターンを所定の周期でずらしながらスクリーン3Aに投影させる。この動作の途中で、最初の撮像のタイミングからπ/2ずつ位相がシフトするようなタイミングで撮像制御部12がトリガー信号を発行し、撮像部5により所定枚数例えば、4枚(1周期分)の撮像画像を撮影する。
【0055】
このようにして得られた複数枚の撮像画像は、画素を1つの分割領域として、以下の分析が行われ(#5)、画素ごとの位相値と振幅が演算される(#6)。図7は、初期位相を持つ点における位相シフト量と輝度変化の関係を示す図である。まず、最初の任意の1画素について、連続して得られた撮像画像から輝度値を測定し、既知の周期式に当てはめて位相を演算する。すなわち、得られた4枚の撮像画像は、全ての分割領域(画素)について輝度は1周期分変化するため、その輝度変化から画素ごとに独立して、すなわち、周囲の画素の輝度変化の情報を使わずに位相値を求めることができる。
【0056】
各画素における輝度値を数式(5)に代入することで、位相値θが演算することができる理由について以下説明する。ある任意の画素(n=1)における初期位相をθとする。初期位相とは、あるタイミングで撮像され、位相シフトが0のときの位相をいう。位相シフト量がπ/2ごとのある任意の画素の輝度値をI0,I1,I2,I3とすると、これらは、数式(2)のように表すことができる。
【0057】
【数2】
【0058】
上記数式(2)に基づいて、I2−I0及びI3−I1を計算すると、それぞれ数式(3)、(4)が得られる。
【0059】
【数3】
【0060】
これらの数式より、数式(5)が導かれ、この関係式より位相値θを求めることができる。
【0061】
【数4】
【0062】
次に求められたθの値から、数式(6)を用いることで振幅aを算出する。
【0063】
【数5】
【0064】
この振幅aの演算を全ての画素について繰り返し行う(#7,#8)。全ての画素について、振幅aの演算が終了すると、振幅画像作成部14は、画素ごとの振幅値を画像の輝度に変換して振幅画像を作成する(#9)。振幅画像は、上記の演算により求められた振幅値aを画像解像度(8ビットまたは16ビット)に変換した画像であり、振幅が大きいほど明度を高くするように構成された画像である。
【0065】
上記実施形態では、縞パターンをπ/2ずつずらしているが、任意の位相をずらして計算することも可能である。このときの位相を求める手法は非特許文献1に記されている。この手法により求められた位相より、数式(6)のシフト量を変更した変更式を用いて振幅を算出することができる。
【0066】
図8Aは、縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像の例を示す図である。図8Bは、図8Aの画像に基づいて作成された振幅画像の例を示す図である。図8Bの振幅画像によれば、図8Aの縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像と比較して被検査物である光ディスクケースの表面に存在する傷などの欠陥が可視できる状態に表されていることが分かる。欠陥判断部15は、得られた振幅画像に基づいて、表面の欠陥の有無を判断する。
【0067】
次に、本発明の表面欠陥検査装置において、振幅画像を作成することで被検査物の表面欠陥が検査できる原理について説明する。
【0068】
図9Aは、被検査物の表面に傷などの欠陥がない場合の光の反射について示す模式図であり、図9Bは、被検査物の表面に傷などの欠陥がある場合の光の反射について示す模式図である。図9Aに示すように、被検査物100の表面に欠陥がなく、被検査物の表面での反射率が高く維持されている状態では、入射光に対する反射光の割合が高いため、被検査物100に入射する光LIの振幅AIと被検査物100で反射する光LRの振幅ARは、さほど低下しない。
【0069】
一方で、被検査物100の表面に傷100aなどの欠陥が存在している場合は、入射光LIの一部が拡散光LDとして拡散するため、被検査物の表面での反射率は低くなる。よって、入射光LIに対する反射光の割合が低くなり、被検査物100に入射する光LIの振幅BIと被検査物100で反射する光LRの振幅BRは低下する。
【0070】
このように、欠陥の存在による正反射光の割合を測定することによって、外乱光(背景輝度)の存在に関係なく、被検査物100の表面の欠陥を可視化することができる。非特許文献1に開示した方法では、位相θを演算し、各画素の位相の違いを規準として傷などの判断を行うようにしている。上記のように位相θは、数式(5)によって演算されるものである。この位相は表面の凹凸の高さに比例する情報を含んでいるが、キズは凹凸形状としては非常に微細であるため、精度の高い検出が困難であった。
【0071】
しかし、振幅aを可視化した振幅画像は、拡散光と表面反射光との比により測定され、外乱光とは関係ないため、被検査物100の欠陥がない正常部と欠陥部(傷)では非常にコントラストの強い画像が得られることとなる。よって、傷の部分をシステム的に検出しやすいという効果がある。
【0072】
なお、本実施形態の表面欠陥検査装置において、被検査物100の表面の凹凸を検査するために必要な位相画像を精度よく取得するために、被検査物100とスクリーン3Aやディスプレイ3Bとの距離を大きくすることが好ましい。ただし、上記のようにスクリーン3Aなどから発光される光は、拡散光であり、被検査物100との距離が大きくなるにつれて被検査物100の表面に投影される縞のパターンの強度が弱くなり、精度のよい画像が得られなくなるので注意が必要である。
【0073】
図10は、被検査物100の表面に付された凸部の例を示す図である。図11Aは、スクリーンと非検査物が比較的近くに存在する状態を示す図である。図11Bは、スクリーンと非検査物が比較的遠くに存在する状態を示す図である。
【0074】
図10に示すように、被検査物100の表面に付された凸部100bは、被検査物の表面に対して、角度αを有しているとする。このとき、凸部100bで反射する撮像部5に入射可能な光の光路は2αの角度相違があるため、図11Bに示すようにスクリーン3Aと凸部100bとの距離D2が遠い場合のθ2は、図11Aに示すように距離D1の場合の角度θ1よりも大きくなる。したがって、得られる位相は精度のよいものが得られる。この位相を使用して振幅情報を求めているため、必然的に振幅情報も正確な値が得られる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にかかる表面欠陥検査装置によれば、面光源としてのスクリーンに写しだされたパターンを光源として用いるため、反射特性を有する被検査物100に対して、撮像部5によりパターンを投影した状態で撮像することができ、また、振幅画像を用いて表面の欠陥を測定することで、外乱の影響を受けることなく、高精度に微細な欠陥の検査をすることができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、スクリーン3Aなどに表示される縞状パターンは、図1Aなどに示すような方向に限られるものではなく、被検査物100の傷の向きなどによって、例えば、縞が鉛直方向に延在するものであってもよい。また、1つの被検査物100に対して、水平方向と鉛直方向の縞状パターンを用いて2回測定するようにしてもよい。このように縞状パターンの向きを傷の向きなどに応じて変更することで、傷が縞の中に埋もれることなく、検査を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかる表面欠陥検査装置は、自動車のボディや樹脂板など光沢のある金属、プラスチック、窯材、ガラス、フィルムなどの表面に存在する傷や凹凸などの欠陥を検査することができ、自動車産業、家電メーカ、化学工業などの分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】本発明の1実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図である。
【図1B】本発明の他の実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図である。
【図2】縞状パターンの輝度の分布を示す図である。
【図3】曲面のスクリーンを有する表面欠陥検査装置の変形例を示す図である。
【図4】図1Aの表面欠陥検査装置の光学系の概略構成を示す図である。
【図5】図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部の機能ブロックを示す図である。
【図6】図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部が行う表面欠陥検査のための処理フローである。
【図7】初期位相を持つ点における位相シフト量と輝度変化の関係を示す図である。
【図8A】縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像の例を示す図である。
【図8B】図8Aの画像に基づいて作成された振幅画像の例を示す図である。
【図9A】被検査物の表面に傷などの欠陥がない場合の光の反射について示す模式図である。
【図9B】被検査物の表面に傷などの欠陥がある場合の光の反射について示す模式図である。
【図10】被検査物の表面に付された凸部の例を示す図である。
【図11A】スクリーンと非検査物が比較的近くに存在する状態を示す図である。
【図11B】スクリーンと非検査物が比較的遠くに存在する状態を示す図である。
【図12】従来の位相シフト法を用いた検査装置を用いて表面が鏡面反射を有する被検査物を検査する場合の撮像手段と光源との位置関係を示す。
【符号の説明】
【0079】
1A,1B 表面顕官検査装置
2 プロジェクター
3A スクリーン
3B フラットパネルディスプレイ
4 載置台
5 撮像部
6A,6B 制御演算部
10 CPU
11 発光制御部
12 撮像制御部
13 画像分析部
14 振幅画像作成部
15 欠陥判断部
16 発光出力部
17 制御プログラム格納部
18 撮像出力部
19 画像受信部
100 被検査物
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物を光学的な手段により撮像して、当該被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などの被検査物の表面の傷などの欠陥を検査する方法の一つとして、被検査物の表面に光を照射し、被検査物の表面を撮像し、撮像された画像から被検査物表面の欠陥の有無を検査する方法が広く行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この検査方法において、光源に所定のパターン、たとえば、白黒の縞状パターンを有する光を用い、被検査物の表面に投影されたその縞状パターンの変化を測定することにより、表面形状たとえば、三次元形状や表面に付された凹凸などの傷を測定する技術(位相シフト法)が開示されている(非特許文献1)。この方法では、縞状パターンを移動させ、位相画像により、計測対象物の凹凸や高さなどの情報を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平05−307007号公報
【非特許文献1】「応力・ひずみ・形状・変形の高速高精度全視野計測の研究」 和歌山大学システム工学部 光メカトロニクス学科、光波画像計測研究室 編 2005年12月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記方法は、被検査物の表面に投影された縞状パターンを撮像するものであるから、被検査物の表面に縞状パターンが鮮明に投影されない場合、例えば、被検査物表面が鏡面反射を有するものである場合、縞状パターンを鮮明に撮像することができず、測定が困難となっていた。
【0006】
図12に、位相シフト法を用いた検査装置を用いて表面が鏡面反射を有する被検査物を検査する場合の撮像手段と光源との位置関係を示す。図12において、光源であるプロジェクター102と撮像手段であるカメラ103,104との位置関係として、光源からの照射光に対して正反射位置に配置されるカメラ103と、正反射位置からずらして配置され拡散光を撮像するカメラ104が挙げられる。プロジェクター102から投射される縞状パターンの光Lは、拡散しながら被検査物101に照射され、被検査物101表面で反射する。反射光は、被検査物101の表面への入射角度に対して正反射して進むこととなる。
【0007】
このとき、カメラ103は、一部の光のみを正反射光として受光する。したがって、カメラ103では、被検査物101の表面に投射された一部の光のみを撮像可能であり、被検査物の表面に投影された縞状パターンを撮像することができない。
【0008】
一方、カメラ104では、被検査物の表面で拡散された光を撮像することができるが、鏡面反射の性質を持つ被検査物101では、プロジェクター102からの投射光が表面で拡散しないため、拡散光がカメラ104に入射せず、縞状パターンの撮像は不可能である。
【0009】
このように表面が鏡面反射の性質を有する被検査物では、位相シフト法により表面形状を計測することは困難であった。
【0010】
また、表面が拡散面である被検査物であっても、位相シフト法では、細かな傷は計測することができないという問題があった。位相シフト法で、傷による縞模様のひずみに基づいて、傷による縞状パターンの位相θのズレを検出して、表面に存在する凹凸を測定するものである。しかし、微細な傷の場合、縞状パターンの位相θのズレが画像上に顕在化されにくい。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、所定のパターンを有する光源を用いて表面が鏡面反射の性質を有する被検査物について、微細な傷を測定することができる表面形状検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の表面欠陥検査装置を提供する。
【0013】
本発明の第1態様によれば、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、輝度が周期的に変化するパターンを有するパターン光をその周期を変化させながら照射する光源と、パターン光が投影された前記被検査物を撮像する撮像装置と、前記撮像された画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査する演算部とを備えた表面欠陥検査装置であって、
前記光源は、周期式が既知の前記パターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射可能な面光源であり、
前記演算部は、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値及び前記光源が照射するパターン光の周期式に基づいて、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査装置を提供する。
【0014】
本発明の第2態様によれば、前記面光源は、被検査物の測定面よりも大きい面積の発光面を有することを特徴とする、第1態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0015】
本発明の第3態様によれば、前記演算部は、前記複数の撮像画像の輝度値に基づいて、前記分割領域におけるパターン光の位相値を算出し、
前記算出された位相値を前記周期式に代入することにより前記振幅値を演算することを特徴とする、第1又は第2態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0016】
本発明の第4態様によれば、前記面光源は、フラットパネルディスプレイで構成されていることを特徴とする、第1から第3態様のいずれかの表面欠陥検査装置を提供する。
【0017】
本発明の第5態様によれば、前記フラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイであることを特徴とする第4態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0018】
本発明の第6態様によれば、前記液晶ディスプレイは、発光面に偏光フィルムが貼着されていることを特徴とする第5態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0019】
本発明の第7態様によれば、前記液晶ディスプレイは、発光面にポリエステルフィルムが貼着されていることを特徴とする第5態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0020】
本発明の第8態様によれば、前記フラットパネルディスプレイは、プラズマディスプレイであることを特徴とする第4態様の表面欠陥検査装置を提供する。
【0021】
本発明の第9態様によれば、前記面光源は、前記パターン光を投射する投射器と、前記投射器から発光されたパターン光が映写されるスクリーンとを備えることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの表面欠陥検査装置を提供する。
【0022】
本発明の第10態様によれば、前記分割領域は、前記撮像画像の画素単位に構成されていることを特徴とする、第1から第9態様のいずれか1つの表面欠陥検査装置を提供する。
【0023】
本発明の第11態様によれば、前記所定のパターンは縞状パターンであることを特徴とする、第1から第10態様のいずれか1つの表面欠陥検査装置を提供する。
【0024】
本発明の第12態様によれば、表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、面光源から輝度が周期的に変化する周期式が既知のパターンを有するパターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射し、
前記被検査物に投影された前記パターンを撮像して前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像を得、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値を前記光源が照射するパターン光の周期式にあてはめ、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、たとえば、縞状パターンのようなパターン光を発光する光源が面光源であるため、鏡面反射の性質を有する被検査物にパターンを投影することができ、また、被検査物の表面に投影されたパターンを撮像装置で撮影することができる。よって、面光源は、被検査物の測定面よりも大きい面積の発光面とすることが好ましく、この構成により、測定面全体にパターンを写し出すことができ、測定の領域を大きくすることができる。
【0026】
また、本発明によれば、周期式が既知のパターン光の位相をずらしながら撮像することで、撮像の結果から撮像画像中のパターンの周期変化及び振幅を演算することができ、当該求められた振幅の値に基づいて、欠陥を判定することができる。すなわち、欠陥が存在している部分については、被検査物表面の反射特性が異なるため、欠陥が存在しない部分と比較して、求められた振幅の値が異なる。このことを利用して、振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて被検査物の表面欠陥を検査する。
【0027】
また、振幅画像により被検査物の表面粗さを検査することができる。すなわち、振幅画像は表面が光沢面であれば、強い反射を表し振幅強度は強くなる。また、表面が粗い状態であれば、拡散光が多くなり、一方向から観察される光は弱くなり、振幅強度は弱くなる。このように振幅画像を得ることにより被検査物の表面の粗さや傷などの表面欠陥を測定することができる。
【0028】
本発明の構成によれば、被検査物の表面欠陥によるパターン光の模様のひずみ、すなわち、周期式の周期に基づく欠陥検査と比較して、詳細なパターンで被検査物表面の欠陥を検査することができるため、小さな欠陥を検出することができる。
【0029】
上記構成において、面光源をフラットパネルディスプレイで構成することにより、鮮明なパターン光を発光することができ、また、ディスプレイの場所があれば被検査物へのパターンの投影が可能で有ることから、装置の設置領域を小さくすることができる。
【0030】
また、フラットパネルディスプレイとしては、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイを用いることができるが、液晶ディスプレイの場合は、表面にポリエステルフィルムを貼付けることで、ディスプレイから投影される光が無偏光となり、対象物と干渉することを防止することができる。また液晶ディスプレイ表面に偏光フィルムを貼り付ける事でサンプル表面の偏光特性との干渉を防止することができる。
【0031】
また、面光源としてパターン光を投射する投射器と、前記投射器から発光されたパターン光が映写されるスクリーンを用いることで、容易にスクリーンを大きくすることができ、大きなパターン光を発光することができる。また、被検査物の形状に合わせて、スクリーンを変形することもでき、これによりパターン光が被検査物に投影される面積を広げ、より広い範囲を一度に計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る表面欠陥検査装置について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1Aは、本発明の1実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図であり、図1Bは、本発明の他の実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図である。図1Aに示す表面欠陥検査装置1Aと図1Bに示す表面欠陥検査装置は、後述する所定の縞状パターンの光を被検査物100に投影する構成が異なる点を除いてほぼ共通する構成を有するため、両装置を代表して図1Aに示す表面欠陥検査装置1Aについて主に説明を進め、図1Bに示す装置は主に相違点について説明する。
【0034】
表面欠陥検査装置1Aは、図1Aに示すように、制御演算部6Aからの出力信号を受信して、所定のパターンを有する光を投射するプロジェクター2を有する。プロジェクター2から当該投射された所定のパターンの光は、制御演算部6Aにより作成され、また、制御演算部6Aの制御により、所定のパターンの位相やパターン形状などを変更することができる。本実施形態では、所定のパターンとして縞状パターンを採用する。所定のパターンの光の輝度値I(x、y)は、下記の数式(1)に示すように空間(x、y)上に正弦波状に分布している。なお、縞状パターンの例としては、上記のように正弦波状に限定されるものではなく、例えば、鋸歯状に輝度が変化するような場合であってもよい。
【0035】
【数1】
数式(1)において、aは輝度振幅、φは位相値、bは背景輝度を示す。
【0036】
本実施形態では、縞状パターンの縞の濃淡の輝度Iは、図2に示すように、縞の延在方向については同じ輝度を有し、縞の延在方向の直交方向に対して周期式が既知の正弦波となるパターンを有している。
【0037】
プロジェクター2から当該投射された光は、拡散しながらスクリーン3Aに投影され、プロジェクターから投影された縞状パターンがスクリーン3の表面に写し出される。
【0038】
スクリーン3に投影された縞状パターンの光は、スクリーン3A面で反射して載置台4の上に置かれた被検査物100に到達する。被検査物100は、表面が鏡面反射の性質を有し、自動車のボディや樹脂板など光沢のある金属、プラスチック、窯材、ガラス、フィルムなどが例示できる。
【0039】
縞状パターンが投影されるスクリーン3の投影面は、被検査物100の検査面よりも大きく、好ましくは2倍以上の面積比を有することが好ましい。スクリーンを用いることで、縞状パターンが写し出される面積を容易かつ安価に大きくすることができ、また、図3に示すように、非検査物100の測定面が曲面で構成されているような場合、被検査物100の形状に合わせて変形することもできる。このように曲面で構成されるスクリーン3を用いることで、より広い範囲を一度に測定することもできる。
【0040】
スクリーン3で反射された光は、被検査物100の表面で反射し、撮像部5に到達する。撮像部5は、デジタルカメラなどで構成される。カメラは、ノイズの少ない画像を得られる高画質カメラが望まれ、このため出力信号はビット数が高いものが好ましい。また、カメラの解像度は高いほうがよいが、検査対象となる欠陥の大きさ以上の空間解像度は必要ではない。
【0041】
本実施形態にかかる表面欠陥検査装置1Aは、面光源であるスクリーンから投光された光を用いて被検査物100に投影することとしているため、被検査物100の表面が反射性質を有していたとしても、被検査物100の表面に投光された縞状パターンを撮像することができる。この原理について図4を用いて説明する。
【0042】
図4は、図1Aの表面欠陥検査装置の光学系の概略構成を示す図である。上記のようにスクリーン3Aの表面には、縞状パターンが投影されており、スクリーン3A表面で反射した光が被検査物100の表面で反射して撮像部5に到達する状態を示している。図4では、理解のためスクリーン3A上の任意の3点71,72,73から投光される光のみを図示している。プロジェクター2から投光されスクリーン3Aに到達した光は、スクリーン3Aで反射・拡散して被検査物100へ到達する。例えば、図4においては、点71からL1,L2,L3の光が反射した場合を図示している。上記のように、被検査物100へ到達した光は、その進行方向に応じて被検査物100の表面の到達位置が異なり、その到達位置で鏡面反射する。点71から発光する光のうち、L1,L3は被検査物100表面で鏡面反射しても撮像部5に到達し得ないが、L1は鏡面反射して撮像部5に到達する。すなわち、撮像部5は、点71から発光した光を被検査物100の表面の位置74上に投影された状態で撮像することができる。
【0043】
同様に、点72,73から発光した光は、位置74,75上に投影された状態で撮像部5に到達する。すなわち、スクリーン3Aの任意の点から投光された拡散光のうち被検査物100上の特定の位置で正反射した光のみが撮像部5に到達されることとなるので、撮像部5でスクリーン3Aから投光される縞状パターンが被検査物100に投影された状態の画像を撮像することができる。
【0044】
撮像部5で撮像された画像は、制御演算部6Aで演算・処理され撮像画像に基づいて、被検査物100の表面に付された欠陥の検査をすることができる。制御演算部での演算・処理については、後述する。
【0045】
次に、図1Bに示す表面欠陥検査装置1Bについて、縞状パターンの光を被検査物100に投影する構成について説明する。
【0046】
図1Bの表面欠陥検査装置1Bは、フラットパネルディスプレイ3B,載置台4,撮像部5,制御演算部6Bを備える。制御演算部6Bは、フラットパネルディスプレイ3Bと撮像部5に接続されており、フラットパネルディスプレイ3Bに所定のパターンを表示させると共に撮像部5によって撮像された画像の分析を行う。フラットパネルディスプレイ3Bを用いることで、プロジェクターを必要としないため、ディスプレイのみで所定のパターンを表示することができる。
【0047】
フラットパネルディスプレイ3Bとしては、制御演算部6Bからの出力信号を受けて、所定のパターンを有する光を被検査物100にそのパターンを写すことができる程度の輝度をもって発光できるものであればよい。具体的には、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。また、液晶ディスプレイを用いた場合には、液晶により偏光された縞パターンがディスプレイの表示面に表示されるので、被検査物100と干渉することがある。これを防止するために、液晶ディスプレイの表面にポリエステルフィルムを貼着などの手段により設け、液晶ディスプレイから発光した光を無偏光の状態とすることができる。または偏光フィルムを液晶ディスプレイ表面に貼り付けることにより、偏光特性をもつようなサンプルとの干渉を避けることができる。
【0048】
次に、撮像部5が撮像した画像に基づいて、制御演算部6A,6Bが行う表面欠陥検査のための処理について説明する。図5は、図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部6A,6Bの機能ブロックを示す図であり、図6は、図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部6A,6Bが行う表面欠陥検査のための処理フローである。
【0049】
図5に示すように、制御演算部6A,6Bは、CPU10と発光出力部16と制御プログラム格納部17と撮像出力部18と画像受信部19とを備える。CPU10は、制御プログラムからのプログラムシーケンスに基づいて、装置の制御演算を司り、それぞれの機能部ロックとして、発光制御部11,撮像制御部12,画像分析部13、振幅画像作成部14、欠陥判断部15としての各機能を実現する。
【0050】
発光出力部16は、プロジェクター2又はフラットパネルディスプレイ3Bと接続し、発光制御部11で作成された所定の縞状パターンを表示するための出力信号をプロジェクター2又はフラットパネルディスプレイ3Bに出力する。
【0051】
撮像出力部18は、撮像部5と接続され、撮像制御部12によって作成された撮像のためのトリガー信号を所定のタイミングで出力する。画像受信部19は、撮像部5によって撮像され、画像分析部13などで行われる表面欠陥検査に用いられる画像を受信する。
【0052】
制御演算部6A,6Bは、表面欠陥検査のための処理として、まず、発光制御部11によって作成された周期式が既知の縞パターンを有する画像信号を、発光出力部16を通してプロジェクター2などに送信し、スクリーンなどに所定のパターンを表示する(#1)。発光制御部11により作成されるパターンは、上記数式(1)に示される正弦波状の輝度変化を有する縞パターンであり、輝度振幅、位相値とも既知のものである。
【0053】
次に、制御演算部6A,6Bは、撮像制御部12により所定の撮像タイミングで発行されたトリガー信号を撮像出力部18を介して撮像部5に送信する。撮像部5は、トリガー信号を受信すると被検査物100の撮像を行い、撮像画像を画像受信部19に送信する(#2)。撮像部5によって撮像された被検査物に写し出される所定の縞パターンは、どの位相値を有しているかが既知であるため、撮像画像と、縞パターンのシフト量(最初の画像はシフト量0である)を対応づけて格納する。
【0054】
上記撮像を所定枚数の画像が得られるまで繰り返す。このとき、制御演算部6A,6Bは、撮像される縞パターンの位相値を2/πずつずらした状態となるように撮像する。すなわち、発光出力部16が所定の縞パターンを所定の周期でずらしながらスクリーン3Aに投影させる。この動作の途中で、最初の撮像のタイミングからπ/2ずつ位相がシフトするようなタイミングで撮像制御部12がトリガー信号を発行し、撮像部5により所定枚数例えば、4枚(1周期分)の撮像画像を撮影する。
【0055】
このようにして得られた複数枚の撮像画像は、画素を1つの分割領域として、以下の分析が行われ(#5)、画素ごとの位相値と振幅が演算される(#6)。図7は、初期位相を持つ点における位相シフト量と輝度変化の関係を示す図である。まず、最初の任意の1画素について、連続して得られた撮像画像から輝度値を測定し、既知の周期式に当てはめて位相を演算する。すなわち、得られた4枚の撮像画像は、全ての分割領域(画素)について輝度は1周期分変化するため、その輝度変化から画素ごとに独立して、すなわち、周囲の画素の輝度変化の情報を使わずに位相値を求めることができる。
【0056】
各画素における輝度値を数式(5)に代入することで、位相値θが演算することができる理由について以下説明する。ある任意の画素(n=1)における初期位相をθとする。初期位相とは、あるタイミングで撮像され、位相シフトが0のときの位相をいう。位相シフト量がπ/2ごとのある任意の画素の輝度値をI0,I1,I2,I3とすると、これらは、数式(2)のように表すことができる。
【0057】
【数2】
【0058】
上記数式(2)に基づいて、I2−I0及びI3−I1を計算すると、それぞれ数式(3)、(4)が得られる。
【0059】
【数3】
【0060】
これらの数式より、数式(5)が導かれ、この関係式より位相値θを求めることができる。
【0061】
【数4】
【0062】
次に求められたθの値から、数式(6)を用いることで振幅aを算出する。
【0063】
【数5】
【0064】
この振幅aの演算を全ての画素について繰り返し行う(#7,#8)。全ての画素について、振幅aの演算が終了すると、振幅画像作成部14は、画素ごとの振幅値を画像の輝度に変換して振幅画像を作成する(#9)。振幅画像は、上記の演算により求められた振幅値aを画像解像度(8ビットまたは16ビット)に変換した画像であり、振幅が大きいほど明度を高くするように構成された画像である。
【0065】
上記実施形態では、縞パターンをπ/2ずつずらしているが、任意の位相をずらして計算することも可能である。このときの位相を求める手法は非特許文献1に記されている。この手法により求められた位相より、数式(6)のシフト量を変更した変更式を用いて振幅を算出することができる。
【0066】
図8Aは、縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像の例を示す図である。図8Bは、図8Aの画像に基づいて作成された振幅画像の例を示す図である。図8Bの振幅画像によれば、図8Aの縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像と比較して被検査物である光ディスクケースの表面に存在する傷などの欠陥が可視できる状態に表されていることが分かる。欠陥判断部15は、得られた振幅画像に基づいて、表面の欠陥の有無を判断する。
【0067】
次に、本発明の表面欠陥検査装置において、振幅画像を作成することで被検査物の表面欠陥が検査できる原理について説明する。
【0068】
図9Aは、被検査物の表面に傷などの欠陥がない場合の光の反射について示す模式図であり、図9Bは、被検査物の表面に傷などの欠陥がある場合の光の反射について示す模式図である。図9Aに示すように、被検査物100の表面に欠陥がなく、被検査物の表面での反射率が高く維持されている状態では、入射光に対する反射光の割合が高いため、被検査物100に入射する光LIの振幅AIと被検査物100で反射する光LRの振幅ARは、さほど低下しない。
【0069】
一方で、被検査物100の表面に傷100aなどの欠陥が存在している場合は、入射光LIの一部が拡散光LDとして拡散するため、被検査物の表面での反射率は低くなる。よって、入射光LIに対する反射光の割合が低くなり、被検査物100に入射する光LIの振幅BIと被検査物100で反射する光LRの振幅BRは低下する。
【0070】
このように、欠陥の存在による正反射光の割合を測定することによって、外乱光(背景輝度)の存在に関係なく、被検査物100の表面の欠陥を可視化することができる。非特許文献1に開示した方法では、位相θを演算し、各画素の位相の違いを規準として傷などの判断を行うようにしている。上記のように位相θは、数式(5)によって演算されるものである。この位相は表面の凹凸の高さに比例する情報を含んでいるが、キズは凹凸形状としては非常に微細であるため、精度の高い検出が困難であった。
【0071】
しかし、振幅aを可視化した振幅画像は、拡散光と表面反射光との比により測定され、外乱光とは関係ないため、被検査物100の欠陥がない正常部と欠陥部(傷)では非常にコントラストの強い画像が得られることとなる。よって、傷の部分をシステム的に検出しやすいという効果がある。
【0072】
なお、本実施形態の表面欠陥検査装置において、被検査物100の表面の凹凸を検査するために必要な位相画像を精度よく取得するために、被検査物100とスクリーン3Aやディスプレイ3Bとの距離を大きくすることが好ましい。ただし、上記のようにスクリーン3Aなどから発光される光は、拡散光であり、被検査物100との距離が大きくなるにつれて被検査物100の表面に投影される縞のパターンの強度が弱くなり、精度のよい画像が得られなくなるので注意が必要である。
【0073】
図10は、被検査物100の表面に付された凸部の例を示す図である。図11Aは、スクリーンと非検査物が比較的近くに存在する状態を示す図である。図11Bは、スクリーンと非検査物が比較的遠くに存在する状態を示す図である。
【0074】
図10に示すように、被検査物100の表面に付された凸部100bは、被検査物の表面に対して、角度αを有しているとする。このとき、凸部100bで反射する撮像部5に入射可能な光の光路は2αの角度相違があるため、図11Bに示すようにスクリーン3Aと凸部100bとの距離D2が遠い場合のθ2は、図11Aに示すように距離D1の場合の角度θ1よりも大きくなる。したがって、得られる位相は精度のよいものが得られる。この位相を使用して振幅情報を求めているため、必然的に振幅情報も正確な値が得られる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にかかる表面欠陥検査装置によれば、面光源としてのスクリーンに写しだされたパターンを光源として用いるため、反射特性を有する被検査物100に対して、撮像部5によりパターンを投影した状態で撮像することができ、また、振幅画像を用いて表面の欠陥を測定することで、外乱の影響を受けることなく、高精度に微細な欠陥の検査をすることができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、スクリーン3Aなどに表示される縞状パターンは、図1Aなどに示すような方向に限られるものではなく、被検査物100の傷の向きなどによって、例えば、縞が鉛直方向に延在するものであってもよい。また、1つの被検査物100に対して、水平方向と鉛直方向の縞状パターンを用いて2回測定するようにしてもよい。このように縞状パターンの向きを傷の向きなどに応じて変更することで、傷が縞の中に埋もれることなく、検査を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかる表面欠陥検査装置は、自動車のボディや樹脂板など光沢のある金属、プラスチック、窯材、ガラス、フィルムなどの表面に存在する傷や凹凸などの欠陥を検査することができ、自動車産業、家電メーカ、化学工業などの分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】本発明の1実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図である。
【図1B】本発明の他の実施形態にかかる表面欠陥検査装置の外観構成を示す概略図である。
【図2】縞状パターンの輝度の分布を示す図である。
【図3】曲面のスクリーンを有する表面欠陥検査装置の変形例を示す図である。
【図4】図1Aの表面欠陥検査装置の光学系の概略構成を示す図である。
【図5】図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部の機能ブロックを示す図である。
【図6】図1A,図1Bの表面欠陥検査装置の制御演算部が行う表面欠陥検査のための処理フローである。
【図7】初期位相を持つ点における位相シフト量と輝度変化の関係を示す図である。
【図8A】縞状パターンが写し出された被検査物の撮像画像の例を示す図である。
【図8B】図8Aの画像に基づいて作成された振幅画像の例を示す図である。
【図9A】被検査物の表面に傷などの欠陥がない場合の光の反射について示す模式図である。
【図9B】被検査物の表面に傷などの欠陥がある場合の光の反射について示す模式図である。
【図10】被検査物の表面に付された凸部の例を示す図である。
【図11A】スクリーンと非検査物が比較的近くに存在する状態を示す図である。
【図11B】スクリーンと非検査物が比較的遠くに存在する状態を示す図である。
【図12】従来の位相シフト法を用いた検査装置を用いて表面が鏡面反射を有する被検査物を検査する場合の撮像手段と光源との位置関係を示す。
【符号の説明】
【0079】
1A,1B 表面顕官検査装置
2 プロジェクター
3A スクリーン
3B フラットパネルディスプレイ
4 載置台
5 撮像部
6A,6B 制御演算部
10 CPU
11 発光制御部
12 撮像制御部
13 画像分析部
14 振幅画像作成部
15 欠陥判断部
16 発光出力部
17 制御プログラム格納部
18 撮像出力部
19 画像受信部
100 被検査物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、輝度が周期的に変化するパターンを有するパターン光をその周期を変化させながら照射する光源と、パターン光が投影された前記被検査物を撮像する撮像装置と、前記撮像された画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査する演算部とを備えた表面欠陥検査装置であって、
前記光源は、周期式が既知の前記パターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射可能な面光源であり、
前記演算部は、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値及び前記光源が照射するパターン光の周期式に基づいて、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査装置。
【請求項2】
前記面光源は、被検査物の測定面よりも大きい面積の発光面を有することを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記複数の撮像画像の輝度値に基づいて、前記分割領域におけるパターン光の位相値を算出し、
前記算出された位相値を前記周期式に代入することにより前記振幅値を演算することを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項4】
前記面光源は、フラットパネルディスプレイで構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つ記載の表面欠陥検査装置。
【請求項5】
前記フラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項4に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項6】
前記液晶ディスプレイは、発光面に偏光フィルムが貼着されていることを特徴とする請求項5に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項7】
前記液晶ディスプレイは、発光面にポリエステルフィルムが貼着されていることを特徴とする請求項5に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項8】
前記フラットパネルディスプレイは、プラズマディスプレイであることを特徴とする請求項4に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項9】
前記面光源は、前記パターン光を投射する投射器と、前記投射器から発光されたパターン光が映写されるスクリーンとを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つ記載の表面欠陥検査装置。
【請求項10】
前記分割領域は、前記撮像画像の画素単位に構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の表面欠陥検査装置。
【請求項11】
前記所定のパターンは縞状パターンであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の表面欠陥検査装置。
【請求項12】
表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、面光源から輝度が周期的に変化する周期式が既知のパターンを有するパターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射し、
前記被検査物に投影された前記パターンを撮像して前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像を得、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値を前記光源が照射するパターン光の周期式にあてはめ、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査方法。
【請求項1】
表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、輝度が周期的に変化するパターンを有するパターン光をその周期を変化させながら照射する光源と、パターン光が投影された前記被検査物を撮像する撮像装置と、前記撮像された画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査する演算部とを備えた表面欠陥検査装置であって、
前記光源は、周期式が既知の前記パターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射可能な面光源であり、
前記演算部は、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値及び前記光源が照射するパターン光の周期式に基づいて、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査装置。
【請求項2】
前記面光源は、被検査物の測定面よりも大きい面積の発光面を有することを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記複数の撮像画像の輝度値に基づいて、前記分割領域におけるパターン光の位相値を算出し、
前記算出された位相値を前記周期式に代入することにより前記振幅値を演算することを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項4】
前記面光源は、フラットパネルディスプレイで構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つ記載の表面欠陥検査装置。
【請求項5】
前記フラットパネルディスプレイは、液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項4に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項6】
前記液晶ディスプレイは、発光面に偏光フィルムが貼着されていることを特徴とする請求項5に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項7】
前記液晶ディスプレイは、発光面にポリエステルフィルムが貼着されていることを特徴とする請求項5に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項8】
前記フラットパネルディスプレイは、プラズマディスプレイであることを特徴とする請求項4に記載の表面欠陥検査装置。
【請求項9】
前記面光源は、前記パターン光を投射する投射器と、前記投射器から発光されたパターン光が映写されるスクリーンとを備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つ記載の表面欠陥検査装置。
【請求項10】
前記分割領域は、前記撮像画像の画素単位に構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の表面欠陥検査装置。
【請求項11】
前記所定のパターンは縞状パターンであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の表面欠陥検査装置。
【請求項12】
表面が鏡面反射の性質を有する被検査物に、面光源から輝度が周期的に変化する周期式が既知のパターンを有するパターン光を所定の位相ずつずらしながら前記被検査物に投射し、
前記被検査物に投影された前記パターンを撮像して前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像を得、
前記被検査物の撮像画像の所定の分割領域ごとに、前記撮像装置により撮像された前記パターン光の位相が異なる複数の撮像画像の輝度値を前記光源が照射するパターン光の周期式にあてはめ、位相及び振幅を演算し、
前記撮像画像の周期式の振幅の値に基づいて、前記振幅値を明度とする振幅画像を作成し、前記振幅画像に基づいて前記被検査物の表面欠陥を検査することを特徴とする、表面欠陥検査方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2009−168454(P2009−168454A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3375(P2008−3375)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【出願人】(500505348)丸紅テクノシステム株式会社 (3)
【出願人】(508010514)株式会社アキュイティ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【出願人】(500505348)丸紅テクノシステム株式会社 (3)
【出願人】(508010514)株式会社アキュイティ (1)
【Fターム(参考)】
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