説明

袋包装体のテープ結束装置

【課題】テープ結束された袋包装体を製造する製造モードと、テープ結束されていない袋包装体を製造する製造モードとの選択を可能にし、高速運転が可能な袋包装体のテープ結束装置を提供する。
【解決手段】通常作動時には、搬送手段は連続して供給される袋包装体を二つの搬送部分で互いに逆の位相で交互に搬送する。搬送手段による交互搬送を解消して同相状態で停止させるには、先ず電磁クラッチ104をオフにして両カムシャフト部分103a,103bを分離し、サーボモータ102によって直接には回転駆動されない方のカムシャフト部分103a(一方の搬送部分)を停止位置で電磁ブレーキ112を作動させて停止・ロックさせる。その後、サーボモータ102によってカムシャフト部分103bを回転させ(他方の搬送部分を動作させる)、停止・ロックされているカムシャフト部分103aと同相になった状態でサーボモータ102を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、袋包装体のテープ結束装置、特に、包装物を袋内で偏らせて包装した袋包装体の一部を絞り成形して形成された袋首部を、結束用テープで閉じる結束方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状の食品、野菜等の複数の棒状物品を包装した袋包装体は、袋首部を絞り成形し、その袋首部をテープで結束することにより、包装物の袋内での自由な移動をある程度制限して、一つの纏まりのある取扱いが容易で比較的タイトな包装体として流通され、販売に供されることがある。
【0003】
そのような、袋包装体の袋口を片面粘着テープで結束する方法及び装置の例として、本出願人は、特許出願をして特許を得ている(特許文献1)。このテープ結束方法は、袋包装体の搬送方向の各側においてそれぞれ配設されて対をなす把持手段の各把持手段によって、前記袋包装体を一つ置きに交互に把持した把持状態で搬送し、前記把持手段によって搬送された前記袋包装体の袋首部を前記把持手段が把持する側と反対側において作動する絞り手段によって絞ると共に前記把持手段に代わって前記袋包装体を受け取り、前記袋首部が絞られた状態の前記袋包装体を前記絞り手段によってテープ結束器に送り込むことにより前記袋包装体の前記袋首部をテープ結束することから成っている。
【0004】
また、テープ結束装置は、袋包装体の搬送方向の各側においてそれぞれ配設されて対をなし且つ一つ置きの前記袋包装体に対して交互に把持して前記袋包装体を把持状態で搬送する一対の把持手段、前記把持手段が把持する側と反対側において作動し前記把持手段によって搬送された前記袋包装体の袋首部を絞ると共に前記把持手段に代わって前記袋包装体を受け取る絞り手段、及び前記袋首部が絞り状態で前記絞り手段によって送り込まれる前記袋包装体の前記袋首部にテープを結束するテープ結束器から成っている。
【0005】
このように構成されたテープ結束方法及び装置によれば、袋包装体を搬送する搬送方向の各側において一対の把持手段が配設されており、各側の対の把持手段が、一つ置きの袋包装体を交互に把持し、各把持手段は各袋包装体を把持状態で搬送する。各袋包装体に対して、把持手段が把持する側と反対側において作動する絞り手段が、把持手段によって搬送された袋包装体の袋首部を絞る。絞り手段は、把持手段に代わって受け取った袋包装体を、袋首部の絞り状態でテープ結束器に送り込み、テープ結束器は、袋包装体の袋首部にテープを巻き付けて結束する。
【0006】
袋包装体は、袋開口部をシールする横シール部が搬送方向に沿う姿勢で搬送され、袋包装体の向きと搬送方向とを関連付けることにより、把持手段による把持が袋包装体の側方から可能になると共に、袋首部の絞りが搬送方向前後から行われる。把持手段は、袋首部の平坦な上側部分を吸着する上側吸着部と、袋包装体の包装物を収容した袋本体部分を吸着する下側吸着部とから構成される吸着手段であり、搬送方向の側方に面する幅広い側部に作用し、袋包装体を安定して把持することができる。また、絞り手段は、吸着手段の上側吸着部と下側吸着部との間において、吸着手段と干渉することなく、袋首部を絞る動作を行うことができる。絞り手段は、袋包装体の搬送方向前後に開閉動作をする一対の絞りアームを備えており、搬送方向前後に開閉動作をすることにより、袋首部を絞ることができる。
【0007】
また、本出願人は、袋包装体の一部を絞り成形して形成された袋首部を、結束用テープで閉じる結束方法及びその装置に関して、被結束体と結束用テープとを、誘導案内される部材の壁面のような特定部分に対して、強い力で繰り返して当接し続けることなく平均的に当接させることで、被結束体への力の作用を軽減し、誘導案内する部材に摩耗を生じさせることを回避することを提案し、特許を受けている(特許文献2)。
【0008】
特許文献2に開示されているテープ結束方法及び装置によれば、結束用テープは、係合軸に遊嵌されて当該係合軸の回りで振回り自在なリング駒によってその外周面に巻き掛けられた状態で案内されて繰り出される。リング駒によって案内された結束用テープの先端側部分は、リング駒の外周面から、リング駒に対して径方向に接離可能なテープ係止機構に引き渡されて係止される。リング駒からテープ係止機構に引き渡されて係止された状態にある結束用テープに対して、被結束体を、リング駒の外周面に近接してフレームに形成された案内経路に案内させて移動させると、テープ係止機構から引き戻された結束用テープの先端側部分とリング駒から繰り出された結束用テープの後端側部分とが被結束体の周りに巻き付けられる。被結束体に巻き付けられた結束用テープは、被結束体の周囲から余された両端部同士が互いに係合されることで、結束が完了する。
【0009】
ところで、特許文献1に開示されているテープ結束方法及び装置においては、より高速の処理を求めた場合に、克服すべき点が幾つかある。そうした点の一つは、テープ結束装置における袋包装体の横方向への搬送部の駆動が面カム・揺動レバー方式であって、搬送部の進退を面カムで行っているため、結束機の駆動速度を上昇させて一定速以上になると、カムフォロワが面カムの動きに追従できなくなり、面カムからカムフォロワが跳ねるという現象が生じることである。また、前後の絞り爪同士が機械干渉を起こし、破損するおそれがあるので、高速回転ができない。また、カムフォロワが飛ばないように、カムフォロワを面カムに係合させるのに用いているスプリングエアーシリンダの圧力を高めると、カムフォロワによる面カムへの当たりが大きくなることに起因して、面カムの早期摩耗、スプリングエアーシリンダの寿命も短くなり、破損が生じるおそれがある。その結果、面カム方式では、装置のメンテナンス周期が短くなり、この点でなお一層に改善が求められている。
【0010】
面カムを溝カムに変更すれば追従性を向上させることはできるが、カムとカムフォロアが常に係合していて、簡単に離脱できないため、交互に往復動をする搬送部の作動モードを変更することが困難である。そうなると、テープ結束装置を製袋充填包装装置と分離した状態にすることが難しくなり、テープ結束の処理をしないでピロー包装体をそのまま製造する製造モードの選択が難しい。
【0011】
より高速な処理を行う際に、克服すべき二つめの点は、テープユニットの進退もカムで行っているため、搬送部との同期パターンの調整ができないという点である。
【0012】
高速な処理を行う際に、克服すべき三つめの点は、結束されたピロー包装体の排出シュートでの落下についてである。結束されたピロー包装体は、袋首部を絞っている絞り爪が開くことによって、自重により排出シュートへと落下するが、高速になると落下姿勢が安定しなくなる。落下姿勢が安定しないと、排出シュート上で止まり、次に落下してくるピロー包装体と衝突して排出シュートを塞いでしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4472113号公報
【特許文献2】特許第4537532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、テープ結束された袋包装体の製造モードと、テープ結束されていない袋包装体の製造モードとの選択を可能にする兼用が容易に行え、しかも高速運転が可能で、且つ結束テープの巻き付けタイミングの調整が容易に行えて、結束された袋包装体の排出も正確に行える袋包装体のテープ結束装置が求められている。
【0015】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、製造された袋包装体に対してその袋首部にテープ結束装置によってテープ結束を施して、テープ結束された袋包装体を製造する製造モードと、テープ結束装置によるテープ結束を施すことなく、テープ結束されていない袋包装体を製造する製造モードとの選択を可能にする兼用が容易に行え、しかも高速運転が可能で、且つ結束テープの巻き付けタイミングの調整が容易に行えて、結束された袋包装体の排出も正確に行うことができる袋包装体のテープ結束装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、この発明による袋包装体のテープ結束装置は、袋包装体の横シール部が延びる方向に沿って平行に配置された二つの搬送部分を有する搬送部で前記袋包装体を搬送する搬送手段、前記搬送部の前記各搬送部分にそれぞれが配設されており且つ前記袋包装体を一つ置きに交互に把持して前記袋包装体を把持状態で搬送する一対の把持手段、前記把持手段が把持する側と反対側において作動し前記把持手段によって搬送された前記袋包装体の袋首部を絞ると共に前記把持手段に代わって前記袋包装体を受け取る絞り手段、及び前記袋首部が絞り状態で前記絞り手段によって送り込まれる前記袋包装体の前記袋首部にテープを結束するテープ結束器から成る袋包装体のテープ結束装置において、前記搬送手段は、駆動源と、当該駆動源の出力によって回転されるカムシャフトと、当該カムシャフトによって回転駆動される二つの溝カムと、当該各溝カムにカム係合するカムフォロワを備え且つ前記搬送部の前記各搬送部分に連係する揺動レバーとを備え、前記カムシャフトには、前記両溝カムの間で電磁クラッチを設け、前記電磁クラッチで切断されたとき前記駆動源の出力が伝達されない前記カムシャフト部分に電磁ブレーキを設けたことを特徴としている。
【0017】
この袋包装体のテープ結束装置によれば、通常作動時には、搬送手段は連続して供給される袋包装体を二つの搬送部分で互いに逆の位相で交互に搬送する。搬送手段による逆位相での交互搬送を解消させ、例えば同相の状態で停止させる場合には、先ず電磁クラッチをオフにして両カムシャフト部分を分離し、駆動源によって直接には回転駆動されない方のカムシャフト部分(及びそのカムシャフト部分に取り付けされた溝カム)を停止位置で電磁ブレーキを作動させて停止・ロックさせる。その後、駆動源によって直接に回転駆動される方のカムシャフト部分(及びそのカムシャフト部分に取り付けされた溝カム)を回転させ、既に停止・ロックされたカムシャフト部分(及び溝カム)と同相になった状態で駆動源を停止する。
【0018】
前記袋包装体のテープ結束装置については、縦型製袋充填包装機に対して、前記縦型製袋充填包装機によって製造し且つ排出される前記袋包装体を前記把持手段が把持し且つ前記搬送部が搬送するように、適用することができる。テープ結束装置を製袋充填包装機と組み合わせて用いる場合、製袋充填包装機によるピロー包装体の製造止まりにする製造モードと、製造されたピロー包装体に対して更にその袋首部にテープ結束を施してピロー包装体の製造までをも行う製造モードとを選択できるのが好ましい。テープ結束装置を使用しない場合、製袋充填包装機との干渉を回避する必要がある。そこで、テープ結束装置と縦型製袋充填包装機とを共に稼働させてテープ結束されたピロー包装体を製造するモードで使用するときには、電磁クラッチをオンにした状態で両カムシャフト部分を一体的に回転させ、両搬送部分の外、把持手段及び絞り手段を逆位相で駆動する。テープ結束装置を停止し縦型製袋充填包装機のみを稼働させたモードで使用して、結束無しのピロー包装体を製造するときには、一方の搬送部分を後退位置で停止させ、電磁クラッチを切るとともに電磁ブレーキを作動させる。これにより、一方の搬送部分用の溝カムは駆動から切り離され、フリーとなるが電磁ブレーキが作動しているのでその位置を保持できる。次に、駆動源の出力によってカムシャフトを駆動して他方の搬送部分を後退位置に停止させる。これによって、テープ結束装置の両搬送部分を、ともに製袋充填包装機との干渉が回避される後退位置で固定することができる。
【0019】
前記袋包装体のテープ結束装置は、前記袋包装体の送り方向に沿って前記絞り手段の送りに同期して往復動され、前記テープ結束装置の往復動はサーボモータによって駆動することができる。テープ結束装置の往復動をサーボモータで行うことで、テープ結束装置の絞り手段に対する同期のタイミングやストロークを最適な値に設定することが可能になる。更に、結束テープリールの交換時には、テープ結束装置を単独で交換位置に移動させることが可能となる。
【0020】
この袋包装体のテープ結束装置において、テープ結束がされた前記袋包装体の排出位置にエアシリンダで駆動する前記袋包装体の保持部材を設け、前記保持部材は、前記絞り手段の開き前に前記袋包装体を保持し、前記絞り手段が開いた後、前記袋包装体を開放することができる。絞り手段の開き前に保持部材で袋包装体を保持し、絞り手段が開いた後、保持部材を開放することにより、袋包装体を安定して落下させることができる。袋包装体の排出の際に、袋包装体を保持する動作を行う保持部材を設けることで、テープ結束装置において高速運転領域での追従性を安定させることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明による袋包装体のテープ結束装置は、上記のように構成されているので、通常作動時には、搬送手段は連続して供給される袋包装体を二つの搬送部分で互いに逆の位相で交互に搬送する。その一方で、電磁クラッチの作動と電磁ブレーキの作動とを組み合わせることで、搬送手段による逆位相での交互搬送を解消して、二つの搬送部分を同相で停止させることができる。そのため、製造された袋包装体に対してその袋首部にテープ結束装置によってテープ結束を施して、テープ結束された袋包装体を製造する製造モードと、テープ結束装置によるテープ結束を施すことなく、テープ結束されていない袋包装体を製造する製造モードとの選択を可能にする兼用が容易に行え、しかも高速運転が可能で、且つ結束テープの巻き付けタイミングの調整が容易に行えて、結束された袋包装体の排出も正確に行うことができるテープ結束装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明による袋包装体のテープ結束装置を縦型製袋充填包装機に付設する態様で適用した一例の概略を示す正面図である。
【図2】図2は、テープ結束装置において、駆動用サーボモータから一対の搬送・絞りユニットのための各搬送用揺動レバーへと絞り爪開閉用レバーへの駆動力伝達系統を示す要部概略図である。
【図3】図3は、図2に示す駆動力伝達系統の斜視図である。
【図4】図4は、図2や図3に示す駆動力伝達系統によって交互駆動される搬送・絞りユニットを示す斜視図である。
【図5】図5は、図2に示した駆動力伝達系統のうち搬送用揺動レバーを駆動するカム機構の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、図2に示したテープユニットの進退機構の詳細な一例を示す概略図である。
【図7】図7は、絞り爪の開閉機構であって、カムシャフト上のドラムカムから絞り爪の回動動作手前までの機構を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す機構による絞り爪の回動動作を説明する図である。
【図9】図9は、結束されたピロー包装体を排出シュートを通じて排出する状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す状態から進んだ状態を示し、一方の系統の絞り爪で絞られた状態にあるピロー包装体が保持機構の一対の保持部材間に挟まれている状態を示す図である。
【図11】図11は、図10に示す状態から更に進んだ状態を示しており、一方の系統の絞り爪は開いた状態にあるが、ピロー包装体は保持機構の一対の保持部材間に挟まれている状態を示す図である。
【図12】図12は、図11に示す状態から更に進んだ状態を示しており、保持機構の保持部材は後退して、ピロー包装体は排出シュートを通じて排出されようとしている状態を示す図である。
【図13】図13は、図12に示す状態から更に進んだ状態を示しており、一方の系統によってテープ結束されたピロー包装体が排出シュートを通じて排出される様子を示す図である。
【図14】図14は、縦型製袋充填包装機とテープ結束装置との動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図15】図15は、特許文献1に記載されている袋包装体のテープ結束装置の一実施例の要部を示す斜視図である。
【図16】図16は、図15に示す袋包装体のテープ結束装置の作動の様子を示す概略説明図である。
【図17】図17は、図15及び図16に示すこの発明による袋包装体のテープ結束装置の一部を取り除いて示す平面図である。
【図18】図18は、図17に示す袋包装体のテープ結束装置の一部を取り除いて示す正面図である
【図19】図19は、図17に示す袋包装体のテープ結束装置の一部を取り除いて示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による袋包装体のテープ結束装置の実施例を説明する。図1は、この発明による袋包装体のテープ結束装置100を縦型製袋充填包装機200に付設する態様で適用した一例の概略を示している。図1の右側の装置は、縦型製袋充填包装機200を概略的に示したものであり、縦型製袋充填包装機200は、例えば、ロールから繰り出されたウェブ状包装材をフォーマ201に通過させることによって湾曲状に曲成した後、ウェブ状包装材の両側縁部分を縦シーラ202によってヒートシールすることで筒状包装材に成形し、更に筒状包装材内への製品の充填と、横シーラ203によって筒状包装材を横断方向にヒートシールして、先行するピロー包装体Pの上端部のシールと後続するピロー包装袋の底端部のシールとを繰り返して行う包装機である。製造されたピロー包装体Pは、例えば横シーラ203に組み込まれるカッタのような切断手段によって筒状包装材から切り離され、排出シュート204を通じて機外に排出される。
【0024】
縦型製袋充填包装機200の側方には、テープ結束装置100が付設されており、縦型製袋充填包装機200で製造されたピロー包装体Pを排出シュート204に排出するのではなく、縦型製袋充填包装機200における搬送開始位置S1からテープ結束装置100に向けて横搬送するときに、テープ結束装置100内において、ピロー包装体Paの首部(内部に充填された製品よりも上方で且つ上端部のシールに至るまでの袋部分)を絞るとともにその絞り部分にテープを巻き付けて結束し、テープ結束装置100内の横搬送終了位置S3では結束されたピロー包装体が製造されて、その位置から結束されたピロー包装体Pbが排出シュート190を通じて排出されている。
【0025】
図1に示すテープ結束装置付きの縦型製袋充填包装機によれば、縦型製袋充填包装機200で製造したピロー包装体Paをそのまま縦型製袋充填包装機200の排出シュート204を通じて排出すれば、結束なしのピロー包装体Paが得られる。また、縦型製袋充填包装機200で製造されたピロー包装体Paを横搬送してテープ結束装置100へ搬送すれば、結束されたピロー包装体Pbが製造される。結束装置が付設された縦型製袋充填包装機においては、結束装置を稼働させないときには、ピロー包装体の製造のみを行うことができ、結束装置を共に稼働させたときには、ピロー包装体をテープ結束装置へ搬送して結束されたピロー包装体の製造が可能である。このように、結束装置が付設された縦型製袋充填包装機は、ピロー包装体と結束されたピロー包装体との製造に兼用可能であり、いずれかの製造モードを選択によって選ぶことができる。
【0026】
本発明である袋包装体のテープ結束装置の基本構成は、特許文献1(特許第4472113号公報)に示される袋包装体のテープ結束装置と同じなので、特許文献1の記載をもとに基本構成について説明する。
特許文献1(特許第4472113号公報)に示される袋包装体のテープ結束装置は、縦型製袋充填包装機の横シーラ直下の搬送開始位置でピロー包装体を吸着保持し、横方向に搬送完了位置まで移送し、その間に袋包装体の上部を紋り、結束テープを巻き付け、結束されたピロー包装体を製造し、搬送完了位置で下方へ排出する装置である。
結束装置は、包装体を搬送開始位置から搬送完了位置まで移送する横搬送部と、結束テープを巻き付ける結束テープ巻き付け部とからなり、横搬送部には袋を吸着保持する吸着部材と袋包装体の上部を紋る紋り爪が備わっている。
これらの横搬送部、吸着部材、紋り爪、結束テープ巻き付け部の4つの要素の内、吸着部材は電気的タイミングで吸着弁を操作して動作させているが、横搬送部、紋り爪、結束テープ巻き付け部はカムを用いた機構により動作させている。
横移送部はA、B、2つの移送部が一対となっており、それぞれが、180度の位相差をもって交互に動作することにより高速処理を実現している。2つの移送部はそれぞれ紋り爪と吸着部材を備えている。
以下、図15〜図19を参照して本発明である袋包装体のテープ結束装置においても採用している構成について説明する。
【0027】
図15は、特許文献1に記載されている袋包装体のテープ結束装置の一実施例の要部を示す斜視図、図16は、図15に示す袋包装体のテープ結束装置の作動の様子を示す概略説明図である。また、図17は図15及び図16に示すこの発明による袋包装体のテープ結束装置の一部を取り除いて示す平面図、図18は図17に示す袋包装体のテープ結束装置の一部を取り除いて示す正面図、及び図19は図17に示す袋包装体のテープ結束装置の一部を取り除いて示す側面断面図である。
【0028】
図15及び図16に示すこの発明による袋包装体のテープ結束装置1は、縦型製袋充填包装機の後段に付設して態様で設けられている。縦型製袋充填包装機は、それ自体、公知のものであって、ウェッブ状の包装フィルムを上方から下方に走行される縦型の筒状フィルムT(図18及び図19参照)に成形し、横シール機構50によって、先行して形成された筒状の袋Pの袋口部P1を封鎖すると共に次の袋の底部P2を形成し、底部P2が形成された筒状の袋に包装物を充填し袋口部P1を封鎖する行程を繰り返して、袋包装体Pを連続的に製作する包装機である。
【0029】
横シール機構50によって内部に包装物を収容した袋包装体Pの袋口部P1を封鎖した袋包装体Pに対して、左右の側方から作用する適宜のしごき手段によって袋首部P3が平坦化される。横シール機構50は、公知の機構であって良く、袋包装体Pの各側において、それぞれ、先行して形成された袋包装体Pの袋口部P1を熱溶着して封鎖するための下側ヒートシーラ部52と次に形成される袋包装体Pの袋底部P2を熱溶着して封鎖するための上側ヒートシーラ部53とを有する一対の横ヒートシーラ51が配置されている。一方の横ヒートシーラ51bには、上側ヒートシーラ部53と下側ヒートシーラ部52との間において、先行して形成された袋包装体次に形成される袋と区切って切断するためのカッタ54が備わっており、他方の横ヒートシーラ51a(図19参照。図15及び図16では省略)には、カッタ54のための逃げ55が形成されている。一対の横ヒートシーラ51の直ぐ上方には、袋首部P3に包装物が存在しているか否かを検出する検出板63が設けられている(図15参照)。検出板63は横ヒートシーラ51と略同期して作動するので、結束すべき袋首部P3に包装物が存在しているときには、検出板63の正常時と異なる動きをセンサ64が検出して、異常状態が報知される。
【0030】
特許文献1(特許第4472113号公報)に示される横シール機構50においては、図17に示されるように、フレーム45に取り付けられたモータ56の回転出力が、第1リンク57を介して、フレーム45に回動自在に設けられた往復回動部材58に伝達される。往復回動部材58は、第2リンク59aを介して直接に一方の横ヒートシーラ51aのためのシーラブロック60aに連結されている。横ヒートシーラ51aは、シーラブロック60aがフレーム45に案内自在に支持されているガイド杆62に案内されることで、袋包装体Pに対して進退する。往復回動部材58は、また、第2リンク59b、横ステー61及びガイド杆62を介して他方の横ヒートシーラ51bのためのシーラブロック60bに連結されており、横ヒートシーラ51bは、一方の横ヒートシーラ51aと同期して、袋包装体Pに対して進退する。一対の横ヒートシーラ51a,51bは、袋内への包装物の充填に合わせて同期して筒状チューブTに接近・離反する動作を繰り返しており、互いに接近したときに、袋に横ヒートシールを施し且つカッタ54が完成した袋包装体Pを筒状チューブTから切り離す。
【0031】
横シール機構50には、カッタ54によって切り離された袋包装体Pを吸着して把持する把持手段としての吸着手段10が袋包装体Pの各側方に設けられている(図15,図18,図19参照)。即ち、横シール機構50の各シーラブロック60a,60bには、袋包装体Pの横シール方向と平行な方向に延びるレール18,18が形成されており、吸着手段10を構成する一対の吸着具11a,11bが袋包装体Pの各側において、それぞれレール18に摺動可能に設けられている。図15においては、吸着手段10については、手前側の一方の吸着具11aのみ図示されている。袋包装体Pは、吸着手段10によって吸着された状態で、袋包装体Pの横シール方向である、レール18が延びる方向(矢印Aで示す)に搬送される。
【0032】
各吸着具11は、平坦化された袋首部P3の上側部分P4を吸着する上側吸着部12と、袋首部P3の上側部分P4から下方に離間した袋包装体Pの包装物が収容された袋本体部分P5を吸着する下側吸着部13とから構成されている。各吸着具11において、上側吸着部12と下側吸着部13とは、一続きの吸引ボックス14に構成されており、吸引ボックス14の内部には吸引エアホース15が接続されている。上側吸着部12と下側吸着部13とに対応して、吸引ボックス14の吸着面には多数の吸引孔16(図15及び図19に一部のみ符号で指し示す)が形成されている。吸引エアホース15の吸引側には、適宜の制御弁(図示せず)が設けられており、制御弁を制御することによって吸着具11による袋包装体Pの把持が制御されている。上側吸着部12と下側吸着部13とは、袋包装体Pの側方から作用して袋包装体Pの搬送方向Aの側方に面する幅広い面に吸着するので、袋包装体Pを安定して把持する。各吸引ボックス14は、上側吸着部12と下側吸着部13との間において、平坦化された袋首部P3から側方に離間して袋首部P3との間に空所17が形成されており、空所17は、袋首部P3に結束のための後述する絞り手段20が吸着具11と干渉することなく入り込むときのスペースを与えている。
【0033】
把持手段である各吸着手段10は、図15では一方の吸着具11aのみ図示しているが、袋包装体Pを搬送する搬送方向(A)の各側において配設されているので、一対の吸着具11a,11bが、それぞれ、連続して製作される袋包装体Pを一つ置きの交互に把持し、各吸着具11は各袋包装体Pを把持した状態でレール18に沿って搬送する。即ち、図16に示すように、一方の吸着具11aが製袋充填機から排出される排出位置である搬送開始位置S1において袋包装体Pを吸着しようとするときには、他方の吸着具11bが吸着した袋包装体Pを搬送終了位置S2まで搬送し終わっている。
【0034】
両横ヒートシール部51a,51bが横シール・カットを行うため互いに接近したとき、片方の吸着具(例えば11a)のみが適当な弁動作に基づいて吸引ボックス14内を負圧にすることで作動し、袋包装体Pはその吸着具によって片側で吸着される。両横ヒートシール部51a,51bが離間するとき袋包装体Pは片方の吸着具によって吸着把持された状態で後退し、製袋充填機における次の包装動作の間に、吸着具11aは袋包装体Pを吸着把持した状態でレール18に沿って移動し、後述する絞り動作が行われる搬送終了位置(絞り位置)S2に対応した控え位置(図17の11aの位置を参照)まで送る。製袋充填機における次の袋包装体Pのための横シール動作に応じて、吸着した袋包装体Pは、控え位置から搬送終了位置(絞り位置)S2に移動される。このとき、製袋充填機によって製作される次の袋包装体Pは、他方の吸着具11bによって吸着把持され、上記と同様の搬送が袋包装体Pの反対側で行われる。先の袋包装体Pを搬送した吸着具11aは吸着動作をオフにした状態で元の搬送開始位置S1位置に戻り、更に次の袋包装体Pに対する吸着動作に備える。このように、次々と製作される袋包装体Pは、待ち時間を経ることなく、製作された時に、直ちにいずれか一方の吸着具11a又は11bによって吸着把持されて搬送される。
【0035】
吸着手段10によって吸着された状態で搬送終了位置(絞り位置)S2にまで搬送された袋包装体Pは、次の袋包装体Pの横シール動作が行われている間、後述する絞り手段20の絞り動作で袋首部P3が絞られて引き渡される。搬送終了位置(絞り位置)S2に搬送された袋包装体Pに対する絞り及び結束動作についても、袋包装体Pの各側にそれぞれ設けられている一対の絞り手段20(20a,20b)によって行われる。各袋包装体Pに対して、絞り手段20は、吸着手段10が吸着する側と反対側において作動し、吸着手段10によって搬送された袋包装体Pの袋首部P3を絞る。絞り手段20は、吸着手段10に代わって受け取った袋包装体Pを、袋首部P3の絞り状態でテープ結束器30に送り込み、テープ結束器30は、袋包装体Pの袋首部P3が通過されるスリット31、テープリール32から供給される結束用の片面粘着テープ40、内部に結束機構を備えた基板33、及び基板33に形成され且つスリット31に接続され且つ結束された袋包装体Pが落下される孔部34を備えている。袋包装体Pの袋首部P3がスリット31を通過される間に袋首部P3には所定長さに切断された片面粘着テープ40が巻き付けられて結束が行われる。
【0036】
各絞り手段20a,20bは、袋包装体Pの袋首部P3を絞るため、袋包装体Pの搬送方向Aの前後に開閉動作をする一対の絞りアーム21,21を備えている。絞りアーム21,21は、搬送方向Aに送られる袋包装体Pの側方に配置されており、袋首部P3を絞るため搬送方向Aの前後に開閉動作をする。各絞りアーム21は、上下二枚のアーム部22,22から成り、上下アーム部22,22間の上下間隔は、後述するテープ結束器30が通過可能なように、テープ結束器30の厚さを収容可能な幅に設定されている。
【0037】
図15、図16、図17及び図18を参照して絞り手段20について説明する。各絞りアーム21は基部である回動軸部に歯車23が取り付けられており、一方の絞りアーム21に備わる歯車23と他方の絞りアーム21に備わる歯車23とが噛み合わされている。各絞りアーム21の先端には、袋首部P3と係合する溝24が形成されている。歯車23,23の歯数は同じであるので、歯車の噛合いにより、一対の絞りアーム21,21は同期して互いに反対方向に同じ回動量で回動する。各絞り手段20は、袋包装体Pの搬送方向Aの延長線上で往復動する移動板28に設けられている。各絞りアーム21,21を開閉駆動するため、移動板28の往復動を回動運動に変換するカム手段25が配設されている。カム手段25は、一方の歯車23に噛み合う歯車26と、歯車26に偏心した位置に設けられているカムフォロア27とから成り、カムフォロア27が図示しないフレームに取り付けられているカム板と係合している。移動板28が往復動するとき、カムフォロア27がカム板とのカム作用を受けて歯車26を回動させるので、一対の絞りアーム21,21は、歯車26と噛み合う歯車23を介して同期して開閉駆動され、袋包装体Pの袋首部P3を対向する溝24間において搬送方向Aの前後方向から絞る。
【0038】
移動板28は、図18に示すように、モータ65の回転を往復動に変換するリンク・カム機構のような機構によって駆動され、吸着手段10が袋包装体Pを搬送する搬送終了位置(絞り位置)S2と後述する結束終了位置S3との間で、吸着手段10の動作と同期して往復動する。即ち、モータ65の回転は、チェーン66を介してスプロケット67に伝達され、スプロケット67に設けられている同軸のカム68を回転駆動する。カム68の回転に従って、カムフォロワとしての揺動レバー69が支軸70の回りに回動し、揺動レバー69の先端部にある程度の自由度をもって連結された中間レバーを介して、移動板28が往復動される。
【0039】
テープ結束器30は、好ましくは、特許文献2において開示されている構造のものを用いることができるが、これに限定されない。テープ結束器30には袋首部P3が絞られた袋包装体Pが通過されるスリット31が形成されており、スリット31は、袋包装体Pの搬送方向Aの延長線に沿って位置している。絞られた袋首部P3をスリット31に強制的に通過させることにより、テープリール32からスリット31に供給されている結束用の片面粘着テープ40を袋首部P3に巻き付けることができる。
【0040】
テープ結束器30は、袋包装体Pの送り方向に沿って、絞り手段20の送りに同期し且つ絞り手段20の送り速度より遅い速度で送られる。テープ結束器30を絞り手段20の送りに同期して往復動させるため、スプロケット67に同軸に設けられている別のカム(図示せず)によって揺動レバー75(図18参照)を、揺動レバー69と同様に、支軸76の回りに揺動させ、揺動レバー75の先端部77に中間連結部78を介してテープ結束器30に連結させている。テープ結束器30を往復動させることにより、絞られた袋首部P3がスリット31を通過するテープ結束行程における袋包装体Pとテープ結束器30との相対移動速度が低くなる。従って、一つのテープ結束動作が開始してから完了するまでの周期において、結束動作のための時間が長く確保されて比較的緩やかに結束動作が行われ、高速動作に起因した袋包装体Pに対する衝撃や袋包装体Pの破損が防止される。袋包装体Pを搬送するための把持手段である吸着手段10の移動方向と、絞り手段20及びテープ結束器30の移動方向とが揃えられているので、吸着手段10と絞り手段20について、レイアウトが簡単化されると共に、駆動機構が簡素化され、且つ作動上の干渉が回避される。
【0041】
また、各絞り手段20の移動板28による往復動は、吸着手段10による袋包装体Pの把持及び搬送に同期して、袋首部P3を絞る搬送終了位置(絞り位置)S2とテープ結束器30における結束終了位置S3との間で行われる。即ち、袋包装体Pを把持して搬送する吸着手段10の動作に同期して、各絞り手段20を配設した移動板28が絞り位置S2と結束終了位置S3との間で往復動する。例えば、吸着具11aが搬送した袋包装体Pは、搬送終了位置(絞り位置)S2において、袋包装体Pについて吸着具11aとは反対の側面側に配置されている絞り手段20b(このとき、移動板28によって絞り位置S2に送り戻されてきている)によって袋首部P3が絞られる。絞り手段20bは吸着具11aに代わって袋包装体Pを受け取り、袋包装体Pは、移動板28の送りで絞り手段20bによって袋首部P3が絞られた状態で、テープ結束器30における結束終了位置S3まで送られる。その送りの間において、絞られた袋首部P3にはテープ結束器30によって片面粘着テープ40が巻き付けられて結束される。
【0042】
一つの袋包装体Pに対して、移動板28及び袋首部P3を絞る絞り手段20が設けられている側は、その袋包装体を搬送する吸着手段10が設けられている側とは、反対側に位置している。そのため、袋包装体Pが搬送された搬送終了位置(絞り位置)S2において、吸着手段10と絞り手段20とが干渉することはない。特に、一対の絞りアーム21,21が開閉する範囲に対応して、吸着具11には空所17が形成されているので、絞りアーム21,21が袋首部P3を絞るときに吸着具11と衝突することはない。
【0043】
一方の絞り手段20の絞りアーム21,21が袋包装体Pの袋首部P3を絞ったときには、他方の絞り手段20で既にテープ結束器30に送り込まれている袋包装体Pは片面粘着テープ40による結束が終了しているので、絞りアーム21,21が開くことにより、結束済みの袋包装体Pがテープ結束器30から排出され適宜の手段にて搬出される。一方の絞り手段20によって袋首部P3を絞った状態で袋包装体Pをテープ結束器30に送り込む送込み行程にあるときには、他方の絞り手段20の絞りアーム21,21は拡開状態で戻り行程にあるので、絞りアーム21,21の先端部は他方の絞り手段20の先端部より、スリット31から後退している。従って、送込み行程にある一方の絞り手段20と戻り行程にある他方の絞り手段20とは、互いに非干渉状態にすれ違うことができる。一対の絞り手段20,20は、交互に袋包装体Pに絞り動作を行い、且つ袋首部P3を絞った状態でのテープ結束器30への送りと絞りアーム21,21からの袋包装体Pの解放後に搬送終了位置(絞り位置)S2への戻りとを行うので、把持手段によって次々に搬送されてくる袋包装体Pについて、搬送速度を維持した状態で、袋首部P3の絞りとテープ結束とを高速処理することができる。
【0044】
次に、本発明が適用された部分について説明する。図2〜図4は、本発明による袋包装体のテープ結束装置における駆動用サーボモータから、ピロー包装体の搬送方向に対して左右に配設された一対の搬送・絞りユニットへの駆動力伝達系統を示す図であって、図2は、駆動用サーボモータから一対の搬送・絞りユニットのための各搬送用揺動レバーへと絞り爪開閉用レバーへの駆動力伝達系統を示す要部概略図であり、図3は図2に示す駆動力伝達系統の斜視図であり、図4は図2や図3に示す駆動力伝達系統によって交互駆動される搬送・絞りユニットを示す斜視図である。
【0045】
図2に示すように、搬送・絞りユニットへの駆動力伝達系統101は、テープ結束装置100の駆動用サーボモータ102の出力回転が適宜の動力伝動手段(チェーン伝動手段)102aを介してカムシャフト103に伝達されることで、カムシャフト103を回転させる。カムシャフト103は、テープ結束装置100のフレームに対して軸受(図示せず)によって回転自在に支持されている。カムシャフト103は、左右のシャフト部分103a,103bに分割されており、両シャフト部分103a,103bは中央部分に配置された電磁クラッチ104によって、互いに分離可能に連結されている。左右のシャフト部分103a,103bには、それぞれ、後述する搬送用揺動レバー107a,107bの外側に、溝カムを有するカム板105a,105bが取り付けてあり、カム板105a,105bはカムシャフト103の回転によって回転する。
【0046】
図2及び図3に示すようにカム板105a,105bのカム溝106a,106b(図3においては106bのみ示す)には、搬送用揺動レバー107a,107bの中間部に取り付けられたカムフォロワ108a,108bが嵌まり込んでいる。また、搬送用揺動レバー107a,107bにおいては、その基端部に設けられているボス109a,109bが、フレーム110に支持されたレバー揺動支点軸111に対して回動可能に嵌合されている。したがって、カム板105a,105bの回転に伴って、カム溝106a,106bとカムフォロワ108a,108bとのカム作用によって、搬送用揺動レバー107a,107bはレバー揺動支点軸111の回りに揺動し、搬送用揺動レバー107a,107bの先端部に係合された搬送・絞りユニット130a,130bがピロー包装体の搬送方向に、直線往復動作をする。カム板105a,105bによる搬送用揺動レバー107a,107bの揺動動作については、図5を参照して、後ほど、更に説明する。
【0047】
カムシャフト103に関連して、駆動用サーボモータ102で駆動されるシャフト部分103bとは反対側のシャフト部分103aにおいて、シャフト端部103cに電磁ブレーキ112が設けられている。電磁ブレーキ112は、電磁クラッチ104のオフ動作によって両シャフト部分103a,103bの連結が分離されたことに応じて、オン動作されてブレーキを掛け、シャフト部分103が盲動的に回転するのを防止している。
【0048】
搬送部(したがって、搬送用揺動レバー107a,107b)を、例えば同相の状態で停止させる場合には、先ず電磁クラッチ104をオフにして両カムシャフト部分103a,103bを分離し、サーボモータ102によって直接には回転駆動されない方のカムシャフト部分103a(及びそのカムシャフト部分に取り付けされた溝カム)を停止位置で電磁ブレーキ112を作動させて停止・ロックさせる。その後、サーボモータ102によって直接に回転駆動される方のカムシャフト部分103b(及びそのカムシャフト部分に取り付けされた溝カム)を回転させ、既に停止・ロックされたカムシャフト部分103a(及び溝カム)と同相になった状態で駆動源を停止する。
【0049】
また、シャフト部分103には、カム溝114が形成された絞り爪用ドラムカム113が取り付けられており、絞り爪開閉用レバー115(図3、図7)は絞り爪用ドラムカム113のカム溝114とカム係合をするカムフォロワ116を有している。したがって、カムシャフト部分103aの回転に応じて、カムフォロワ116は、カム溝114とのカム作用によってカムシャフト103の軸線方向と平行な方向に移動し、スライドブロック153a,153bが動作して絞り爪を開閉させる(図4)。更に、テープ結束装置100には、テープユニット進退用サーボモータ117が配設されており、出力回転はベルト118に伝達されて、ベルト118は、ベルトクランプ部材119と協働して、テープユニット140を進退させる(図6)。
【0050】
図4に示すように、搬送用揺動レバー107a,107bにおいては、その上端部がテープ結束装置100の上部テーブル120に形成された長孔121a,121bから上方に突き出ており、搬送用揺動レバー107a,107bの上端部がアーム122a,122bを介して搬送・絞りユニット130a,130bに連係されている。したがって、搬送用揺動レバー107a,107bがカム板105a,105bのカム溝106a,106bとカムフォロワ108a,108bとのカム作用によって揺動するとき、アーム122a,122bを介して、搬送・絞りユニット130a,130bを案内レール131a,131bに沿って案内させつつ往復動をする。
【0051】
テープユニット140の往復動作に関しては、ベルトクランプ部材119に結合されたポスト141が上部テーブル120に形成された長孔123を通して上方に突き出ており、ポスト141の上端部にテープユニット140が取り付けられている。テープユニット140の駆動については、図6を参照して、後ほど、更に説明する。テープユニット140それ自体の詳細については、ここでの説明を省略する。また、絞り爪を開閉させるスライドブロック153a,153bの動作については、図7及び図8を参照して、後ほど、更に説明する。
【0052】
図5〜図8は、図2〜図4に示す駆動力伝達系統と関連して駆動される各種の機構を示す図であり、図5は搬送用揺動レバーのカム機構の一例を示す概略図、図6はテープユニットの進退機構の一例を示す概略図、図7及び図8は絞り爪の開閉機構であり、図7はカムシャフト上のドラムカムから絞り爪の回動動作手前までの機構を示す斜視図であり、図8は図7に示す機構による絞り爪の回動動作を説明する図である。
【0053】
図5に示す搬送用揺動レバー107a,107bのカムによる駆動機構において、カム板105aはここでは回転バランスを考慮して円板を使用している。カム溝106aは、カムシャフト部分103aを囲む略D字状のものであり、図5に示す通常の結束動作状態では、搬送用揺動レバー107aは、カムシャフト103に最も接近した位置を占めていて、カムシャフト103の回転に伴ってカムシャフト103からより離れた位置(図で左方の位置)との間で揺動動作をする。搬送用揺動レバー107bも、図5に示す状態でカムシャフト103に最も接近した位置を占めているが、搬送用揺動レバー107aの場合とはカムシャフト103を挟んだ位置にあり、カムシャフト103の回転に伴ってカムシャフトからより離れた位置(図で右方の位置)との間で揺動動作をする。
【0054】
一対のカム板105a,105bのうち、一方のカム板105aのカム溝106aは、他方のカム板105bのカム溝106bに対して、カムシャフト103の回転について180度の位相差が設けてあるので、一方の搬送用揺動レバー107aの往復動作と、他方の搬送用揺動レバー107bの往復動作とは互い違いになっており、したがって、搬送・絞りユニット130a,130bは、図4に矢印で示すように、互いに逆位相にて動作することになる(図4)。
【0055】
図6には、テープユニット140を進退させるテープユニット進退機構142が示されている。テープユニット進退機構142は、図2〜図4にも示したように、テープユニット進退用サーボモータ117、駆動プーリ144と従動プーリ145とそれらに巻き掛けられたベルト118とを備えていてテープユニット進退用サーボモータ117の出力回転で駆動されるベルト伝動機構143、ベルト118をクランプしているベルトクランプ119、及びベルトクランプ119とテープユニット140に備わるテープユニットプレート146とを連結する連結部材としてのポスト141を有している。テープユニット進退用サーボモータ117の出力回転によってベルト伝動機構143のベルト118が往復動をし、その往復動はベルト118をクランプしているベルトクランプ119からポスト141を介してテープユニットプレート146に伝達されて、テープユニットプレート146を矢印の方向に往復動をさせる。
【0056】
図7及び図8には、ピロー包装体のテープ結束に際して絞り爪を開閉させる絞り爪開閉機構150の一例が示されている。カムシャフト103に取り付けられた絞り爪用ドラムカム113は、円筒周面にカム溝114を形成したものであり、カム溝114にはレバー115に設けられているカムフォロワ116が係合している。フレームに取り付けられているスライドシャフト152には一対のスライドブロック153a,153bがスライド可能に設けられており、両スライドブロック153a,153bを連結する連結シャフト154に前記のレバー115が固定されている。ドラムカム113のカム溝114にカムフォロワ116が係合しているレバー115が、カムシャフト103の回転に伴うカム溝114とカムフォロワ116とのカム作用によって、矢印で示すようにカムシャフト103の軸線方向に移動するとき、両スライドブロック153a,153bは連結シャフト154によって互いの距離を保った状態でスライドシャフト152上を左右移動する。両スライドブロック153a,153bには、それぞれ絞り爪を開閉するためのチャンネル材状のカム155a,155bが取り付けてあるので、両カム155a,155bもレバー115の左右移動に合わせて、矢印で示すように左右移動する。
【0057】
両スライドブロック153a,153bに取り付けられているそれぞれのカム155a,155bは、図8に示すように、搬送方向の両側にそれぞれ設けられている絞り爪ユニット160a,160bに対応している。図7に示す各スライドブロック153a,153bに取り付けられているカム155a,155bは、ギア161a,161bの軸に固定されたレバー164a,164bの先端に設けられているカムフォロワ165a,165bとカム係合している。レバー164a,164bが取り付けられているギア161a,161bは、更に一対の開閉する絞り爪166a,167a;166b,167bをそれぞれ軸に取り付けたギア162a,163a;162b,163bと順次噛み合っているので、カム155a,155bとカムフォロワ165a,165bとのカム作用によって、レバー164a,164bが図で反時計方向・時計方向に回動すると、ギア161a〜163a;161b〜163bは順次矢印の方向に回動して、一方側の絞り爪ユニット160aの絞り爪166a,167aは閉じる動作をし、反対側の絞り爪ユニット160bは、レバー164bが逆方向に回転して逆の動作をするので、絞り爪166b,167bは開く動作をする。カム155a,155bが、図8の(a)で示す方向に移動すると、一方側の絞り爪ユニット160aは閉じる方向に動作し、反対側の絞り爪ユニット160bは開く方向に動作し、カム155a,155bが図8の(b)で示す方向に移動すると、一方側の絞り爪ユニット160aは開く方向に動作し、反対側の絞り爪ユニット160bは閉じる方向に動作する。
【0058】
図9〜図13は、結束されたピロー包装体を、排出シュート190を通じて排出する際の、当該結束されたピロー包装体Pbを保持する保持機構180を示す図である。図9は、B系統の絞り爪ユニット160bで保持されていた結束済みのピロー包装体Pbを、排出シュート190を通じて排出した状態を示す斜視図であり、後続のピロー包装体PaはA系統の吸着具170aで吸着された状態で絞り爪ユニット160aによって絞り保持されている状態を示している。保持機構180は、A,Bの両系統に共通の機構であり、一対の対向配置されたエアシリンダ181,182と、各エアシリンダ181,182で駆動されて互いに接近離反する動作をするスポンジのような弾性材から成る保持部材183,184とを備えていて、テープ結束装置100の排出シュート190の上方に配置されている。なお、B系統においてピロー包装体Paを吸着するため、吸着具170bが備わっている。
【0059】
図10は、図9に示す状態から進んだ状態を示しており、A系統の吸着具170aから離れたが依然としてA系統の絞り爪ユニット160aで絞られた状態にあるピロー包装体Paが、保持機構180の一対の保持部材183,184間に挟まれた状態にある。B系統の絞り爪ユニット160bは、B系統の吸着具170bとともに、新しく製造されたピロー包装体Paを受け取るために、縦型の製袋充填包装機200に向かって移動している。図11は、図10に示す状態から更に進んだ状態を示しており、ピロー包装体Pbは、保持機構180の一対の保持部材183,184間に挟まれた状態にあるが、A系統の絞り爪ユニット160aは開いており、結束されたピロー包装体Pbを解放している。図12は、図11に示す状態から更に進んだ状態を示しており、保持機構180の保持部材183,184はエアシリンダ181,182の作動によって互いから後退し、ピロー包装体Pbは、保持機構180の一対の保持部材183,184間に挟まれた状態から解放されており、したがって、ピロー包装体Pbは、重力の作用によって排出シュート190を通じて排出されようとしている。なお、A系統の絞り爪ユニット160aは縦型の製袋充填包装機200に向かって戻りつつあり、B系統では、図示しないが、テープ結束の処理が進行している。図13は、図12に示す状態から更に進んだ状態を示しており、A系統によってテープ結束されたピロー包装体Pbが排出シュート190を通じて排出される様子を示している。B系統によって結束処理されたピロー包装体Pbが保持機構180に向かって移動している。図13は、図9に示した状態と対比すると、A系統とB系統とが入れ代わった状態であることが解り、互いの動作の位相が180度ずれていて、交互に動作していることが理解できる。
【0060】
図9〜図13に示すように、結束されたピロー包装体Pbは、袋首部を絞っている絞り爪ユニット160a,160bが開くことによって自重により排出シュート190へと落下するが、その際に、ピロー包装体Pbは、袋首部が絞られている状態で保持機構180によって一旦保持され、その保持された状態で絞り爪ユニット160a,160bが開き、更にその後、保持機構180が開いてピロー包装体Pbの保持を解放する。したがって、縦型製袋充填包装機200やテープ結束装置100の処理速度が高速になっても、ピロー包装体Pbの保持が解放されて落下開始するときの姿勢を安定させることができる。袋包装体Pbの落下姿勢が安定すると、排出シュート190上で停止することがなくなり、次に落下してくるピロー包装体Pbと衝突して排出シュート190を塞いでしまう虞も無くなる。したがって、より高速な処理に対応することができる。
【0061】
図14は、縦型製袋充填包装機200についてはその横シーラ203、テープ結束装置100については、そのテープユニット140、A系統の搬送部、吸着部及び絞り爪、並びにB系統の搬送部、吸着部及び絞り爪の動作のタイミングチャートである。図14に示されるタイミングチャートからは、縦型製袋充填包装機200の横シーラ203の動作に合わせてテープユニット140が動作し、横シーラ203の二回分の動作に合わせて、A系統の搬送部、吸着部及び絞り爪、並びにB系統の搬送部、吸着部及び絞り爪が1回動作すること、そして、A系統の搬送部、吸着部及び絞り爪の動作と、B系統の搬送部、吸着部及び絞り爪の動作とは位相が180度ずれていて、交互に動作することが読み取れる。
【符号の説明】
【0062】
100 テープ結束装置
101 駆動力伝達系統
102 結束装置駆動用サーボモータ
104 電磁クラッチ
105a,105b カム板
106a,106b カム溝
107a,107b 搬送用揺動レバー
108a,108b カムフォロワ
110 フレーム
112 電磁ブレーキ
113 絞り爪用ドラムカム
114 カム溝
115 絞り爪開閉用レバー
116 カムフォロワ
117 テープユニット進退用サーボモータ
120 テーブル
130a,130b 搬送・絞りユニット
140 テープユニット
141 ポスト(連結部材)
142 テープユニット進退機構
146 テープユニットプレート
150 絞り爪開閉機構
160a,160b 絞り爪ユニット
170a,170b 吸着具
180 保持機構
190 排出シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋包装体の横シール部が延びる方向に沿って平行に配置された二つの搬送部分を有する搬送部で前記袋包装体を搬送する搬送手段、前記搬送部の前記各搬送部分にそれぞれが配設されており且つ前記袋包装体を一つ置きに交互に把持して前記袋包装体を把持状態で搬送する一対の把持手段、前記把持手段が把持する側と反対側において作動し前記把持手段によって搬送された前記袋包装体の袋首部を絞ると共に前記把持手段に代わって前記袋包装体を受け取る絞り手段、及び前記袋首部が絞り状態で前記絞り手段によって送り込まれる前記袋包装体の前記袋首部にテープを結束するテープ結束器から成る袋包装体のテープ結束装置において、
前記搬送手段は、駆動源と、当該駆動源の出力によって回転されるカムシャフトと、当該カムシャフトによって回転駆動される二つの溝カムと、当該各溝カムにカム係合するカムフォロワを備え且つ前記搬送部の前記各搬送部分に連係する揺動レバーとを備え、
前記カムシャフトには、前記両溝カムの間で電磁クラッチを設け、前記電磁クラッチで切断されたとき前記駆動源の出力が伝達されない前記カムシャフト部分に電磁ブレーキを設けたことを特徴とする袋包装体のテープ結束装置。
【請求項2】
前記テープ結束装置は、縦型製袋充填包装機に対して、前記縦型製袋充填包装機によって製造し且つ排出される前記袋包装体を前記把持手段が把持し且つ前記搬送部が搬送するように適用されていることを特徴とする請求項1に記載の袋包装体のテープ結束装置。
【請求項3】
前記テープ結束装置は、前記袋包装体の送り方向に沿って前記絞り手段の送りに同期して往復動され、前記テープ結束装置の往復動はサーボモータによって駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋包装体のテープ結束装置。
【請求項4】
テープ結束がされた前記袋包装体の排出位置にエアシリンダで駆動する前記袋包装体の保持部材が設けられており、前記保持部材は、前記絞り手段の開き前に前記袋包装体を保持し、前記絞り手段が開いた後、前記袋包装体を開放することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の袋包装体のテープ結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−35563(P2013−35563A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172436(P2011−172436)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】