説明

袋製造機における搬送及び分離装置

本発明は、予備ミシン目加工された筒体(6)から筒体片(8)を切断するために用いる切断装置(1)に関する。この切断装置(1)においては、予備ミシン目加工された筒体片(8)が、切断ロール(3)対と、高速で運転されるガイドロール(2a、2b、2c)対との間で切断される。切断ロール(3)対と最後のガイドロール(2、2a)対との間の間隔は、ロールの位置を変えることによって調節することができる。少なくとも1つの切断ロール(3)またはガイドロール(2a、2b、2c)の位置は、袋構成部品(6、8)の搬送方向(z)に変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予備ミシン目加工及び/または予備切り込み加工された筒体を搬送すると共に、その筒体から筒体片を分離するための搬送及び分離装置に関する。この搬送及び分離装置においては、予備ミシン目加工された筒体片の切断が、より高速で駆動される切断ロール対と、ガイドロール対との間で行われ、かつ、切断ロール対と最後のガイドロール対との間の間隔を、1つのロールの位置を変えることによって調節することができる。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送及び分離装置は特に袋製造機において用いられる。この紙袋製造機に関しては多数の文献がすでに存在しており、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3が知られている。かかる製造機においては、すでに予備切り込み加工されているかあるいは予備ミシン目加工された紙の筒体を紙の筒体区画に分離する装置が用いられる。このような製造機においては、大きさの変更、すなわち袋の高さもしくは紙の筒体区画の長さの変更が頻繁に行われる。このため、2つのミシン目の線または切り込み線の間の間隔を紙の筒体上で一度変更する。これは、通常、専用のミシン目シリンダまたは切り込みシリンダにおける調整によって行われるが、その他にも、特に紙袋製造機の場合には、搬送及び分離装置において調整される。特に、特許文献4もこのような搬送及び分離装置を扱っているが、この文献では、本出願で取り上げるような問題点は検討されていない。従って、客観的な記述において、基礎になっている現行技術に一度立ち入って述べる。
【0003】
しかし、この点に関しては、搬送及び分離装置における適合のさせ方が、切断ロール対と少なくとも1つのガイドロール対との間の距離を所要の区画長さに一致するように調整する方式であることを、すでに詳しく説明することができる。
【0004】
現行技術においては、これは、紙の筒体の搬送方向zに切断ロール対の前に配置されるガイドロールを調節することによって行われる。このため、ガイドロールの少なくとも1つが、分離されるべき紙の筒体区画から持ち上げて離され、その結果、当該ガイドロール対の間に紙の筒体区画が固定されなくなる。切断ロールはガイドロールよりも早い周速で駆動されるので、この方式で、紙の筒体区画がその後に続く紙の筒体から分離される。特に長い紙の筒体区画の場合は、この方策を、切断ロールの前にある最後のガイドロール対について実施するだけでなく、これらのガイドロール対の複数個に対しても実施することができる。ガイドロール対の1つのガイドロールの持ち上げは、カム制御される差動調整機構によって行われる。従って、紙袋の大きさを変更する場合は、通常このカムの交換が必要である。このため、紙袋の大きさの変更に必要なこの調整作業が厄介なものとなる。
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第41 15 161 A1号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第42 05 062 A1号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第25 48 161号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第35 42 923 A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、僅かな操作で袋の大きさの変更を実現し得るような搬送及び分離装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、少なくとも1つの切断ロールまたはガイドロールの位置を、袋構成部品の搬送方向zに可変にすることによって解決される。この発明は、この1つのロールが、袋構成部品の搬送方向に、切断ロール対の前に配置される最後及び/または最後から2番目のガイドロールである場合に、特に有利に実施することができる。このようにすると、紙材料を実際に把持する最後のガイドロール対と切断ロールとの間の間隔を直接調節することができる。本発明による方策によって、いくつかのガイドロールを省くことができる。従って、複数個のガイドロールが1つの搬送ベルトを導く場合に特に有利である。この搬送ベルトは、袋の材料を、切断装置における長い長さ範囲にわたって、ロール間の中間空間に落下させることなく導くことができるように配慮されたものである。さらに、この方式を、切断ロール対の前の最後または最後から2番目の搬送ロール対を位置調節可能にすることと組み合わせると有利である。袋構成部品の方向におけるさらなる位置調節がロール間の隙間を生じることにならないからである。
【発明の効果】
【0008】
冒頭に述べたように、本発明による切断装置は、特に袋の製造に使用すると有利であるが、本発明による搬送及び分離装置は、他の目的にさらに加工される筒体片の切断にも用いることができる。しかし、本発明による装置の主要な用途分野としては、前記の文献に基づいて特定した紙袋製造機であって、一般的に少なくとも、紙の筒体材料展開装置と、分離装置と、底部形成及び接着装置とを含む紙袋製造機が適している。この装置の底部形成装置は、通常底部作製シリンダを含んでいる。本発明による搬送及び分離装置の特徴は、この製造機を連続運転する場合に特に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を図面に基づいてさらに詳述する。以下の具体的な説明と特許請求の範囲から本発明のさらなる詳細と実施例とが明らかになる。
【0010】
図1は、本発明による搬送及び分離装置1を、側面から見た概略図である。筒体6もしくは筒体区画8の搬送行路4に沿って、搬送方向zに筒体6が供給される。この筒体6は、最初に切り込み装置9を通過し、そこで、筒体6の搬送方向zに対して横方向に少なくとも部分的に切り目を入れられる。切り目を入れられない区画は、通常、前もってすでにミシン目が入れられている。この切り目及びミシン目は、ほぼ、線Pの上に延びている。この装置9は、切り込みロール10と、対向装置11と、この両方の要素に取り付けられた切り込み用カッタ12、13とから構成される。切り込み用カッタ13を調節することによって、あるいは、搬送方向zに対して横方向に延びる2つの横方向の切り目間の間隔によって、個々の筒体区画8の長さ、従って後でできる袋の長さが、事前に設定される。ともかく、筒体6は、まず最初に搬送方向zに沿って搬送及び分離装置1に搬送される。筒体6は、そこで、上下の搬送ベルト14及び15の間に挟み込まれ、このベルトによって搬送される領域に達する。袋構成部品の搬送方向zに対して横方向の空間方向xに、図面には記載されていない別のベルトがある。すべてのベルトはいくつかのガイドロール2a、2b、2によって導かれかつ/または駆動される。本発明による搬送及び分離装置1は、通常このような二重ベルト構造から構成されるが、この二重ベルト構造においては、2つのベルトがそれぞれ袋構成部品の片面を保持し、また、筒体6もしくは筒体区画8の搬送方向zに対して横方向に延びる空間方向xに、2つの同種のベルトシステムが設けられる。筒体6の幅に応じて、方向xのベルト対の間隔は変えることができる。下側のベルトは、より幅広のベルトとしても構成することが可能であるが、その場合、その幅広ベルトは少なくとも袋製造機全体において加工可能な最大の筒体幅を有するものとする。
【0011】
袋構成部品の搬送方向zにおいてロール3の切断ロール対3の前に配置されるガイドロール2a及び2bは、位置調節可能なように取り付けられる。ガイドロール2aは、ベルト14がこのベルト領域では筒体区画8に当てがわれないように配置される。ガイドロール2bの下流側には、搬送方向zに、搬送ベルト14、15の間に漏斗状の開口が形成される。この漏斗状の開口領域では、当該筒体区画8は挟まれて導かれることはない。筒体区画8が切断ロール3に把持され、次に続くミシン目または切り目の線Pがこの漏斗状の開口領域に来ると、筒体区画8は筒体6から切り離される。筒体区画の確実な切り離しを保証するために、ガイドロール2bは搬送方向zに位置を変えることができる。これによって、漏斗状の開口の長さを、筒体区画8の所要の長さに従って、切り離されるべき筒体区画8のミシン目の線が丁度漏斗状の区画に達するように調節することができる。この場合、ミシン目または切り目の線Pにすぐ隣接する筒体6の範囲は、切り離しの瞬間には、まだほとんど完全にベルト14、15の間に挟まれて保持されている。切断された筒体区画8は、切断ロール3のやや速い回転によって若干先行して先に進む。この方式で、その搬送行路4に沿って搬送される筒体区画8を、他のすべての筒体区画とは独立にさらに進めて加工することができる。このさらに別の加工は、通常、後接続される底部作製装置において行われる。
【0012】
ガイドロール2a及び2bは、搬送方向zに垂直な方向yに位置調節可能である。この方式で、ベルト搬送全体を筒体6の厚さに適応させることができる。この点に関連して、上記の各ベルト搬送構造用のガイドロール2、2a、2bの位置を、個別に適切に変更し得ることも言及しておく価値がある。これによって、その幅にわたって異なる厚さを有する筒体をも確実かつ正確に加工し得るようになる。筒体の幅にわたって異なる厚さは、例えば筒体形成に必要な重ね合わせ及び接着によって生じる。
【0013】
図2は、現行技術による切断装置を示す。当然、現行技術の場合も、専用のミシン目加工装置による予備ミシン目加工、及び、同様に切り込みロール10と、対向装置11と、この両方の要素に取り付けられるカッタ12、13とから構成される切り込み装置10における少なくとも部分的な切り込み加工が行われる。また、搬送行路4に沿う搬送も行われるが、図面では袋構成部品6、8は省略されている。実際の搬送は、この場合もガイドロール2、2a、2b及び2cによって行われるが、その場合、筒体区画8は、それを合理的に搬送し得るように、2つのこのロール対間の間隔より小さくてはならない。この場合も、2つの空間方向z及びyに対して横方向にある空間方向x、つまり図面に垂直な方向に、袋構成部品をその別の面で保持するためのもう1つの同じロール配置を設けることが考えられる。また、この場合も、予備ミシン目加工及び予備切り込み加工された筒体区画6の切断が、切断ロール3をより高速の周速で運転することによって行われる。しかし、ガイドロールを所定の筒体区画長さに調整することは、調節可能なガイドロール2aをカム制御によって少し持ち上げて袋構成部品を開放することによって行われる。このため、非常に長い筒体区画の場合は、袋区画を適時に開放するには、ガイドロール2aと共にガイドロール2bも持ち上げなければならない。その場合、筒体区画の切断は、ガイドロール2c及び調節不可能なガイドロール2間のロールスリットと、切断ロール3間のスリットとの間で行われる。それより短い筒体区画の場合は、ただガイドロール2aだけを持ち上げればよいという状況があり得る。機能的にこの変更を実行するには、筒体区画の大きさを調節する際に、カムのセットを交換する必要があるが、この作業は厄介である。本発明による搬送及び分離装置1の場合と同じように、この装置1が袋製造機の構成要素である場合は、袋構成部品は、通常、この搬送及び分離装置1に接続して、底部作製シリンダに供給される。上記のように、図2においては、袋構成部品は表現上の理由から表示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】1つの搬送ベルトを備えた本発明による装置の概略図である。
【図2】現行技術による切断装置の概略図である。
【符号の説明】
【0015】
1 搬送及び分離装置
2 ガイドロール
2a ガイドロール
2b ガイドロール
3 切断ロール
4 搬送行路

6 筒体

8 筒体区画
9 切り込み装置
10 切り込みロール
11 対向装置
12 切り込み用カッタ
13 切り込み用カッタ
14 搬送ベルト
15 搬送ベルト
16
17
A 2つの切断ロール3間のロールスリットと、位置変更可能なガイドロール2a及びその対向ロール2間のロールスリットとの間の間隔
P ミシン目の線
x 空間方向
y 搬送方向に対して横方向に延びる第2の空間方向
z 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備ミシン目加工及び/または予備切り込み加工された筒体(6)を搬送すると共に、その筒体(6)から筒体片(8)を分離する搬送及び分離装置(1)であって、
前記予備ミシン目加工及び/または予備切り込み加工された筒体片(8)の分離が、より高速で駆動される切断ロール対(3)と、1つのガイドロール対(2、2b、2c)との間で行われ、
前記切断ロール対(3)が、分離されるべき前記筒体区画(8)を挟み込んで保持しかつ前記ガイドロール対(2、2b、2c)が前記筒体(6)を挟み込んで保持し、かつ、
前記切断ロール対(3)と、分離操作に関与する複数の前記ロール対(3、2、2b)間に配置される少なくとも1つのガイドロール対(2、2a)との間の間隔を、1つのロール(2a)の位置を変えることによって調節することができる、
搬送及び分離装置(1)において、
少なくとも1つの切断ロール(3)またはガイドロール(2a、2b、2c)の位置を、前記袋構成部品(6、8)の搬送方向(z)に変えることができることを特徴とする搬送及び分離装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の切断装置(1)において、
前記袋構成部品の搬送方向(z)に前記切断ロール対(3)の前に配置される前記少なくとも1つのロールが、最後のガイドロール(2a)または最後から2番目のガイドロール(2b)であることを特徴とする切断装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の切断装置(1)において、
複数のガイドロール(2、2a)が1つの搬送ベルト(14、15)を導くことを特徴とする切断装置(1)。
【請求項4】
請求項2及び3に記載の切断装置(1)において、前記袋構成部品(8)の搬送方向(z)に前記切断ロール対(3)の前に配置され、かつこの方向に位置を変えることができる前記最後のガイドロール(2a)または最後から2番目のガイドロール(2b)の少なくともいずれかのロールも、前記搬送ベルトを導くことを特徴とする切断装置(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の切断装置(1)を紙袋の製造に使用すること。
【請求項6】
請求項5に記載の切断装置(1)の使用において、
前記紙袋の製造が、少なくとも、袋の製造に必要な次の作業工程、すなわち、
紙または紙の筒体材料の展開と、
切断装置における筒体の筒体片への分離と、
袋底部の形成及び接着と、
が実施される紙袋製造機において行われることを特徴とする切断装置(1)の使用。
【請求項7】
請求項6に記載の切断装置(1)の使用において、
前記紙袋が、前記紙袋製造機によって、連続運転において製造されることを特徴とする切断装置(1)の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−505797(P2007−505797A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527311(P2006−527311)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010326
【国際公開番号】WO2005/032946
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590002909)ヴィントメーラー ウント ヘルシャー コマンディトゲゼルシャフト (33)
【Fターム(参考)】