説明

被処理流体浄化システム

【課題】被処理流体中の磁性粒子の除去効率を向上させる。
【解決手段】被処理流体浄化システム100は、直列に接続されたサイクロン式分離除去装置1A、1Bを備えている。被処理流体はダーティタンク102からサイクロン式分離除去装置1Aに供給され、磁性粒子jが遠心力により分離されて排出口4から排出され、磁性粒子j分離後の被処理流体が、筒状排出管6からサイクロン式分離除去装置1Bに導かれる。サイクロン式分離除去装置1Bでは、サイクロン式分離除去装置1Aでは除去しきれなかった磁性粒子jが、同様に遠心力により分離されて排出口4から排出されるとともに、比重が比較的小さい粒子等は浮上物排出口21から排出され、浄化処理後の被処理流体が、筒状排出管6からスーパクリーンタンク104へと導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械等において切削加工時や研削加工時に生じるスラッジ(加工屑)をクーラント液(被処理流体)から分離・除去するためなどに使用される被処理流体浄化システムに関し、特に、磁性粒子等の異物粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の異物粒子を分離して下方に排出する遠心分離装置を備えた被処理流体浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の遠心分離装置(磁性粒子分離装置)は、サイクロン式処理容器の内周面が下側ほど縮径する逆円錐状に形成されていて、該サイクロン式処理容器の上部側壁の導入開口から該容器内に導いたクーラント液をその内周面に沿って旋回流動させることでその遠心力により磁性粒子を該内周面近傍に集約して分離する。そして、このクーラント液の旋回流動に伴いその旋回中心部に生じる上昇流によって、磁性粒子を含まない浄化処理されたクーラント液を該旋回中心部に配設された排出管から容器外へと排出する。
【0003】
このような磁性粒子分離装置において、磁性粒子をより効率良く分離・除去するための技術が種々提案されており、例えば特許文献1に示す装置では、サイクロン式処理容器の外周面に沿って上下方向の略全体に亘って磁石を配設することで、旋回流動に伴う遠心力に加えてこの磁石の磁気吸引力でもって磁性粒子をサイクロン式処理容器の内周面近傍に集約するようにしている。
【0004】
この磁石は、サイクロン式処理容器の外周を囲むリング状の2分割体からなり、各分割体は、エアシリンダ等のアクチュエータ機構により互いに接近/離間する方向に変位可能に構成されている。そして、内周面近傍に集約された磁性粒子の量が所定量以上になったときには、アクチュエータ機構により該各分割体を径方向の外側(互いに離間する方向)に変位させて磁性粒子に作用する磁力を弱めることで、該磁性粒子を自重によりサイクロン式処理容器の下側の回収容器へと落下させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−21835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の磁性粒子分離装置のように、旋回流動に伴う遠心力に加えて磁気吸引力でもって磁性粒子をサイクロン式処理容器の内周面近傍に集約するようにしても、必ずしも磁性粒子の分離が十分ではなく、特に、微小な磁性粒子や、被処理流体との比重の差が小さい磁性粒子は、サイクロン式処理容器の中心部の上昇流に巻き込まれて排出管から容器外へと排出されて装置全体の浄化能力の低下を招きやすい。このため、磁性粒子の除去効率を大幅に向上させることは困難という問題点を有していた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、特に微小な磁性粒子や、被処理流体との比重の差が小さい磁性粒子などであっても、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、
それぞれ、異物粒子を含む被処理流体を旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の異物粒子を分離し、浄化後の被処理流体を排出する第1および第2の異物粒子分離装置を含む複数の異物粒子分離装置を備えた被処理流体浄化システムであって、
被処理流体が、第1の異物粒子分離装置に供給されて異物粒子が分離された後に、第2の異物粒子分離装置に供給されて、さらに異物粒子が分離されるように構成され、
第1の異物粒子分離装置に供給される位置での被処理流体の圧力が、第2の異物粒子分離装置に供給される位置での被処理流体の圧力よりも高くなるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、例えば、第1の異物粒子分離装置で比較的比重の大きな異物粒子を除去し、第2の異物粒子分離装置で、より小さな異物粒子の除去を効率よく行わせることなどができる。したがって、全体として、種々の比重の異物粒子が混在する被処理流体に対する除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0010】
請求項2の発明は、
請求項1の被処理流体浄化システムであって、
上記第1および第2の異物粒子分離装置は、それぞれ、
被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、異物粒子を遠心分離して下方に排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く排出管と、
を備え、
上記サイクロン式処理容器と上記排出管との間に形成されて、被処理流体を旋回下降流動させる流路の最小の流路面積が、第1の異物粒子分離装置の方が、第2の異物粒子分離装置よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、第1の異物粒子分離装置では、被処理流体に比較的比重の大きな異物粒子が多量に含まれていても、被処理流体の流路面積が比較的大きく設定されているので目詰まりしにくく、上記比較的比重の大きな異物粒子は効率的に除去される。また、上記比較的比重の大きな異物粒子が除去されて目詰まりしにくくなった被処理流体が供給される第2の異物粒子分離装置では、第1の異物粒子分離装置に比べて、被処理流体の流路面積が小さく設定されているので、被処理流体が下降する方向の流速が速くなる。そこで、排出管の外周近傍で被処理流体の旋回速度が加速されやすく、第1の異物粒子分離装置では除去しきれなかった、より比重の小さい異物粒子でも、排出管の外周近傍には漂いにくくなるので除去されやすくなり、全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0012】
請求項3の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
さらに、磁性を有する異物粒子に対して、上記サイクロン式処理容器の径方向外側に向かう磁気吸引力を作用させる磁石部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
これにより、磁性を有する異物粒子も効率的に除去することができる。
【0014】
請求項4の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
少なくとも第2の異物粒子分離装置が、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋溝、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋突起、
上記排出管の外周面に形成された螺旋溝、および
上記排出管の外周面に形成された螺旋突起のうち少なくとも何れかを有すること特徴とする。
【0015】
これにより、例えば螺旋溝または螺旋突起の方向が被処理流体の旋回下降流の方向に一致している場合には、被処理流体の流れがスムーズになって異物粒子が安定してサイクロン式処理容器の内周面に押しつけられる作用が大きくなる。一方、被処理流体の旋回下降流の方向よりも螺旋溝または螺旋突起のリード角が小さい場合には、旋回速度が加速され、より大きな遠心力が作用するようになる。また、サイクロン式処理容器の内周面に、被処理流体の旋回下降流の方向と異なる方向の螺旋溝または螺旋突起が形成される場合には、被処理流体が螺旋溝または螺旋突起を横切る際に異物粒子が引っかかって捕捉されやすくなる作用が大きくなる。さらに、サイクロン式処理容器の内周面に螺旋溝が形成される場合、さらにサイクロン式処理容器の径方向外側に向かう磁気吸引力を作用させるように構成する場合には、螺旋溝に捕捉されて磁石部材との距離が近くなった異物粒子は、螺旋溝の底に押しつけられる力が強く作用して、径方向内側への移動は大幅に抑制される。したがって、第1の異物粒子分離装置で除去しきれなかった異物粒子の除去効率をより高めて、全体的な除去効率をさらに高めることなどが容易にできる。
【0016】
請求項5の発明は、
請求項4の被処理流体浄化システムであって、
第1の異物粒子分離装置が、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋溝を有するとともに、
第2の異物粒子分離装置が、
上記排出管の外周面に形成された螺旋溝を有すること特徴とする。
【0017】
これにより、第1および第2の異物粒子分離装置で除去効率が高い異物粒子の比重を異ならせ、全体として、種々の比重の異物粒子が混在する被処理流体に対する除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0018】
請求項6の発明は、
請求項5の被処理流体浄化システムであって、
上記第1の異物粒子分離装置における上記螺旋溝のリード角が、
上記第2の異物粒子分離装置における上記螺旋溝のリード角よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0019】
これにより、第1の異物粒子分離装置のサイクロン式処理容器の内周面にリード角が第2の異物粒子分離装置よりも大きな螺旋溝が形成されていることによって、例えば比較的比重の大きな異物粒子が目詰まりしにくいようにして、その除去効率を高めることができる。一方、第2の異物粒子分離装置では、排出管の外周面にリード角が第1の異物粒子分離装置よりも小さな螺旋溝が形成されていることによって、被処理流体の旋回速度が加速されやすく、遠心分離機能を強く作用させて異物粒子を外周側に追いやり、清浄な被処理流体をなめらかに排出管の外周寄りに集めて下端部から内周側に回り込ませ排出させることができる。したがって、種々の比重の異物粒子が混在する被処理流体に対する全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0020】
請求項7の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記第2の異物粒子分離装置は、
上記サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収するべく該処理容器の上側に配設され、底壁部が該サイクロン式処理容器の上壁部で構成された浮上物回収タンクをさらに備え、
上記サイクロン式処理容器の上壁部には、上記浮上物を上記浮上物回収タンク内へと導くための回収用貫通孔が形成され、
上記サイクロン式処理容器の上壁部の下面には、上記浮上物を上記貫通孔から上記浮上物回収タンク内へと案内する案内部材が設けられており、
上記浮上物回収タンクには、該タンク内に流入した上記浮上物を含む被処理流体を排出するための浮上物排出口が設けられていることを特徴とする。
【0021】
これにより、サイクロン式処理容器内の上端部に集約された浮上物は、被処理流体の旋回流動により該処理流体と共にその旋回上流側から旋回下流側へと流れる中で、案内部材によってその進路を上方へと変更し、浮上物回収タンク内へと導かれる。浮上物回収タンク内へと導かれた浮上物を含む被処理流体は、その旋回慣性により該浮上物回収タンク内においてもその内周面に沿って排出管周りに旋回流動して、上記浮上物排出口から接線方向に排出される。したがって、サイクロン式処理容器内の上部に浮上した比較的比重の小さい異物粒子、油成分、浮遊カーボン、浮遊ゴミ等の浮上物が除去される。
【0022】
請求項8の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記第1の異物粒子分離装置における排出管は、上記被処理流体を旋回下降流動させる流路の導入部付近の外周に、外周面が紡錘状に膨らんで被処理流体を外周方向に向けるように誘導する外周誘導ブロックが設けられていることを特徴とする。
【0023】
これにより、サイクロン式処理容器に流入して旋回流動する被処理流体中の異物粒子は、より外周方向に誘導されやすくなる。特に、さらにサイクロン式処理容器の径方向外側に向かう磁気吸引力を作用させるように構成する場合には、サイクロン式処理容器の内周面に近づくように流動して磁石部材の磁力に捕捉された異物粒子は、サイクロン式処理容器の内周面から離脱しにくくなるので、例えば特に比較的比重が大きい異物粒子の除去率を大幅に向上させることができる。
【0024】
請求項9の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記第1および第2の異物粒子分離装置の排出管は、下端部の内外周面が末広がりに拡径されていることを特徴とする。
【0025】
これにより、排出管の下端部付近の外周で異物粒子を外周側に向けて移動させる力を作用させることができる。また、排出管の下端部付近の排出管内で被処理流体の上昇流速が低下することによって、異物粒子が巻き込まれて排出されにくいようになる。したがって、排出される被処理流体に混入する異物粒子を大幅に低減することができる。
【0026】
請求項10の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、さらに、
上記サイクロン式処理容器は、内径が下方位置ほど縮径する逆円錐状部と、
上記逆円錐状部の下方に配置され、内径が下方位置ほど縮径する下方側逆円錐状部と、
を有し、
上記下方側逆円錐状部の上端の内径は、上方に位置する逆円錐状部の下端の内径よりも大きいものとされ、
上記排出管の開口部は、上記逆円錐状部と下方側逆円錐状部との境界部付近に配置されていることを特徴とする。
【0027】
これにより、逆円錐状部の下端付近で被処理流体の旋回速度が大きくなり、被処理流体中の異物粒子に大きな遠心力が作用し、清浄な被処理流体が効率よく排出管の開口部から外部に導かれる。
【0028】
請求項11の発明は、
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式処理容器は、
被処理流体が導入される容器本体部と、該容器本体部の下方に設けられて被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させる円筒状の流体渦流部とを備え、
上記容器本体部は、変心した位置に導入口が形成された円筒状の側壁部、および該側壁部の上部を塞ぐ上壁部を有し、
上記流体渦流部は、上記容器本体部の側壁部の下部に螺合されるとともに、上記排出管は、上記容器本体部の上壁部に挿通されて螺合されるように構成されていることを特徴とする。
【0029】
これにより、容器本体部と、流体渦流部および排出管との螺合を解除することによって異物粒子分離装置を容易に分解できるので、清掃や修理などのメインテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、サイクロン式処理容器に流入し旋回下降流動した被処理流体中の異物粒子は、遠心力および磁力が作用して径方向外側に移動し、螺旋溝に捕捉されて、径方向内側への移動が大幅に抑制されるので、特に微小な異物粒子や、被処理流体との比重の差が小さい異物粒子などであっても、被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることが容易にできる。また、螺旋溝や螺旋突起によって旋回速度が増大する場合には、遠心力が一層強くなるので、やはり除去効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1の被処理流体浄化システムの構成を示す正面図である。
【図2】実施形態1のサイクロン式分離除去装置1A、1Bの配置を示す正面図である。
【図3】実施形態1のサイクロン式分離除去装置1Aの構成を示す縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】サイクロン式分離除去装置1Aの永久磁石の配設状態を示す横断面図である。
【図6】実施形態1のサイクロン式分離除去装置1Bの構成を示す縦断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】実施形態2のサイクロン式分離除去装置1Aの構成を示す縦断面図である。
【図11】実施形態3の被処理流体浄化システムの要部の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る被処理流体浄化システム100を示し、本実施形態では一例として、この被処理流体浄化システム100を、工作機械101のクーラント液(被処理流体)の浄化システムに適用した例を示す。
【0034】
すなわち、上記被処理流体浄化システム100は、工作機械101において、クーラント液(すなわち被処理流体)の中に混入する切粉(磁性粒子j)或いは該切粉と砥粒との溶着したもの等からなる切削屑である磁性粒子j(図3、図4参照)と、クーラント液とを分離し、該磁性粒子jを分離回収する場合に適用したものである。より具体的には、この被処理流体浄化システム100は、ダーティタンク102と、直列に接続されたサイクロン式分離除去装置1A、1B(異物粒子分離装置)と、ダスト分離用タンク103と、コンベア式のダスト分離装置108と、スーパクリーンタンク104とを備えている。
【0035】
工作機械101から排出されたダーティ液(磁性粒子jを除去する前の被処理流体)は先ず、ダーティタンク102内へと導かれて貯留される。ダーティタンク102内に貯留された被処理流体は、ポンプ105により汲み上げられて1段目のサイクロン式分離除去装置1Aへと導かれる。
【0036】
サイクロン式分離除去装置1Aでは、後述するように、比重が比較的大きい磁性粒子jが遠心力により分離されて排出口4からダスト分離用タンク103へと排出され、磁性粒子j分離後の被処理流体が、筒状排出管6から排出されて2段目のサイクロン式分離除去装置1Bに導かれる。サイクロン式分離除去装置1Bでは、比重が比較的小さい磁性粒子jで、サイクロン式分離除去装置1Aでは除去しきれなかった磁性粒子jが、同様に遠心力により分離されて排出口4からダスト分離用タンク103へと排出されるとともに、比重がかなり小さい粒子、油成分、浮遊カーボン等は浮上物排出口21からダスト分離用タンク103へと排出され、浄化処理後の被処理流体が、筒状排出管6から排出されてスーパクリーンタンク104へと導かれる。
【0037】
サイクロン式分離除去装置1A、1Bの排出口4や浮上物排出口21から排出されたダストが導かれるダスト分離用タンク103内では、該ダスト分離用タンク103の底部に沈殿した磁性粒子jがダスト分離装置108により回収されてダストボックス107に排出される。ダスト分離用タンク103内の上層の被処理流体は、その水位が所定水位h1に達すると戻り管103bからダーティタンク102へと戻されて、再度、サイクロン式分離除去装置1Aへと導かれる。尚、ダスト分離用タンク103内に戻された磁性粒子jを含む被処理流体が戻り管103bからダーティタンク102に戻されないように、仕切り壁103cが設けられている。
【0038】
尚、ダスト分離装置108は、例えば特開2003−251542号公報に示す公知の構造を有するものとされ、ここではその説明を省略する。
【0039】
一方、サイクロン式分離除去装置1Bの筒状排出管6からスーパクリーンタンク104に導かれて貯留された、磁性粒子除去後のクリーンな被処理流体は、不図示のポンプにより工作機械101に供給されてクーラント液として使用される。尚、スーパクリーンタンク104内の被処理流体は、その水位が所定水位h2に達すると戻り管104bからダーティタンク102へと戻されるようになっている。これに伴って、軽くてスーパクリーンタンク104内で表面に浮いたダストも、ダーティタンク102へと戻される。また、サイクロン式分離除去装置1A、1Bによっても除去されずスーパクリーンタンク104内で沈殿したダストは、スーパクリーンタンク104の底部に設けられた排出管104c、および排出バルブ104dを介してダーティタンク102に排出されるようになっている。なお、スーパクリーンタンク104の上壁部104aから垂下された仕切り壁104e、および/または底部に立設された仕切り壁104fを設けて、スーパクリーンタンク104内でのダストの浮上や沈殿による除去効果をより高めるようにしてもよい。このような構成にすることにより、スーパクリーンタンク104内でのダストの蓄積を極力抑制できるので、常時クリーンな液を工作機械101に供給することができ、工作機械101の稼働を止めることなく、連続して使用することができる。
【0040】
−サイクロン式分離除去装置の構成−
サイクロン式分離除去装置1A、1Bは、図2に示すように、フレーム61に段違いに設けられている。被処理流体がポンプ105からサイクロン式分離除去装置1Aの導入口3に供給される配管経路、およびサイクロン式分離除去装置1Aの筒状排出管6からサイクロン式分離除去装置1Bの導入口3に供給される配管経路には、それぞれ圧力計62A、62Bが設けられている。サイクロン式分離除去装置1A、1Bの排出口4にはドレインカップ63が接続され、遠心分離された磁性粒子jが蓄積されるようになっている。貯留された磁性粒子jは、適宜バルブ64を開くことによって、ダスト分離用タンク103に排出される。
【0041】
上記圧力計62A、62Bの上流側には、絞り弁65が設けられるとともに、サイクロン式分離除去装置1A、1B内における最小の流路面積(後述する流体渦流部2eの上側逆円錐状部2bと筒状排出管6との間の流路面積)S1、S2が、S1>S2(被処理流体が下降する方向の流速をV1、V2とするとV1<V2)となるように設定され、圧力計62Aの計測圧力P1が0.26〜0.45MPa、圧力計62Bの計測圧力P2が0.25〜0.3MPa(すなわちP1>P2であって例えばP1=1.05〜1.5×P2)となるようにされている。
【0042】
なお、絞り弁65の調整、または流路面積S1、S2の設定の一方だけによって(例えば流路面積S1、S2は同じにして絞り弁65による調整だけをして)上記のような圧力になるようにしてもよい。また、絞り弁65は絞り量が可変のものを用いてもよいし、予め設計または調整によって決定された絞り量に固定されたものを用いてもよい。また、圧力計62A、62Bは、必ずしも設けなくてもよい。
【0043】
次に、サイクロン式分離除去装置1A、1Bの詳細な構成について説明する。
【0044】
−サイクロン式分離除去装置1A−
サイクロン式分離除去装置1Aは、図3に示すように、ステンレス、アルミニウムや樹脂等の非磁性体からなるサイクロン式処理容器2と、サイクロン式処理容器2内の浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1B)へと排出する筒状排出管6とを備えている。該サイクロン式処理容器2は、上端部が閉塞された略円筒状の本体部2aと、該本体部2aの下端部に接続される略円筒状の流体渦流部2eとで構成されている。
【0045】
このサイクロン式処理容器2は、上下方向に延びる内周面2gに、円筒状部2f、上側逆円錐状部2b、2つの下側逆円錐状部2d等を形成した槽体からなるものであって、後述するように、磁性粒子jを含む被処理流体を該内周面2gに沿って旋回流動させることでその遠心力により該磁性粒子jを分離する。
【0046】
より詳細には、サイクロン式処理容器2の内周面2gは、その上端部に形成されて内径が上下方向の全体に亘って略一定となる円筒状部2fと、該円筒状部2fの下側に連設され、概ね下側ほど内径が小さくなる上記上側逆円錐状部2bと、該上側逆円錐状部2bの下側に形成された2つの下側逆円錐状部2d,2dと、上記上側逆円錐状部2bと下側逆円錐状部2dとを接続する円錐状部2cと、2つの下側逆円錐状部2d,2d同士を接続する円錐状部2kとからなる。該円筒状部2f、両逆円錐状部2b,2d、及び円錐状部2c,2kの軸心は一致しており、この軸心が、サイクロン式処理容器2の中心軸1CLとされる。そして、この中心軸1CLは、被処理流体の旋回中心軸に略一致している。尚、円筒状部2fは、上記本体部2aの内周面とされ、両逆円錐状部2b,2d及び円錐状部2c,2kは、上記流体渦流部2eの内周面とされている。なお、上側逆円錐状部2bは、図3の例では、厳密には下側ほど内径が小さくなる部分と円筒状の部分とを有するように形成されているが、全長に亘って下側ほど内径が小さくなるように形成してもよい。
【0047】
上記円筒状部2fには、図4に示すように、上記サイクロン式処理容器2内に被処理流体を導入するための導入口3が形成されている。この導入口3は、該円筒状部2fに対してその接線方向から貫通して開口するとともに、該開口からサイクロン式処理容器2内に流入する被処理流体を該円筒状部2fの中心軸(サイクロン式処理容器2の中心軸1CL)周りに反時計回りr方向に旋回流動させるように構成されている(なお、図3に示す断面には、実際には導入口3は現れないが、図3では、便宜上、ほぼ同図の断面に投影した位置に表している。)。こうして、被処理流体は、該円筒状部2fにおいて反時計回りr方向に旋回流動されることで、その勢いで流体渦流部2e内においても同方向(反時計回りr方向)に旋回流動される。ここで、例えば導入口3の位置に応じて被処理流体を時計回り方向に旋回流動させるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0048】
上記上側逆円錐状部2bには、被処理流体の旋回および下降流動に対応する方向の螺旋溝2jが形成されている。より具体的には、螺旋溝2jは、例えば断面形状が矩形、リード角が45°で、4条形成されている。ここで、螺旋溝2jの方向(右ネジ方向か左ネジ方向か)は、例えば旋回流動の方向に応じて決定すればよい。
【0049】
上記下側逆円錐状部2dの上端の内径は、上側逆円錐状部2bの下端の内径よりも大きくなっており(つまり拡径している)、上記下側逆円錐状部2dの上端と上側逆円錐状部2bの下端とは、下側ほど拡径する円錐状部2cを介して接続されている。磁性粒子jは、後述するように、上記下側逆円錐状部2dの上端部に分離集約されるようになっている。
【0050】
下側逆円錐状部2dの下端(つまりサイクロン式処理容器2(流体渦流部2e)の底部)には、磁性粒子jを排出するための排出口4が設けられている。これらの両逆円錐状部2b,2d及び円錐状部2c,2kが構成される流体渦流部2eは、円筒外筒5に嵌合挿入されて着脱可能になっている。尚、円筒外筒5はステンレス、合成樹脂等の非磁性体で構成するが、後述する永久磁石10の磁力の作用上で影響が無ければ、鋼管としてもよい。また、本体部2a及び流体渦流部2eは別体で構成しているが、一体でもよい。さらに、上側逆円錐状部2b、2つの下側逆円錐状部2d,2d、および円錐状部2kなどのうちの2つ以上を一体に形成したりしてもよい。また、下側逆円錐状部2dは2つ設けるのに限らず、1つや3つ以上設けてもよい。また、磁性粒子jの性状等によっては円錐状部2kを省略するなどしてもよい。
【0051】
円筒外筒5は、その上端部の外周面に形成された雄ねじ部9bを本体部2aの下端部に形成された雌ねじ部9aに螺合してねじ込み固定されている。流体渦流部2eの上端面の外周縁、及び、円筒外筒5の上端面の内周縁は共に面取り加工が施されていて、両面取り面によりV字状の溝部が形成され、この溝部にOリング8がセットされている。こうすることで、本体部2aと流体渦流部2eとの接続部から被処理流体が漏出するのを防止している。特に、円筒外筒5の上端部がねじ込まれて本体部2aの下端部に押しつけられ、且つ流体渦流部2eの上端面が円筒外筒5の底部との間に設けられたコイルばね311によって上方に押しつけられることで、組み付けでき且つシールできるので、後述するように筒状排出管6がねじ込み固定されているのと相まって組付性及びメインテナンス性に優れる。
【0052】
サイクロン式処理容器2の中心部には、上下方向に延びる筒状排出管6が配設されている。筒状排出管6の下端部に設けられた流体排出口7の高さ位置は、下側逆円錐状部2dの上端とほぼ同じ高さ位置か、その近傍(例えば、下側逆円錐状部2dの上端よりも上側で上側逆円錐状部2bの下端よりも下側)に位置するように設けられている。
【0053】
上記筒状排出管6(図1参照)は、サイクロン式処理容器2の中心部を通って上下方向に延びるとともに、該サイクロン式処理容器2の内外を連通することで該サイクロン式処理容器2内のクリーンな被処理流体を該サイクロン式処理容器2外(サイクロン式分離除去装置1B)へと導くように構成されている。
【0054】
より詳細には、筒状排出管6は、その上部付近の外周面に形成された雄ねじ部6fを本体部2aの上端部に形成された雌ねじ部6eに螺合してねじ込み固定され、Oリング8によってシールされるようになっている。筒状排出管6の下端部はサイクロン式処理容器2内に位置していて、そこから上側に向かって延びるとともに、該サイクロン式処理容器2の上壁部(本体部2aの上端部)を貫通して該サイクロン式処理容器2外(装置1A外)へと延設されている。後述するように、磁性粒子jが除去されたクリーンな被処理流体は、該流体排出口7から筒状排出管6内を通ってサイクロン式分離除去装置1Bへと導かれる。また、流体排出口7が設けられた筒状排出管6の下端部の内外周面は外側に拡径しており、こうすることで、流体により確実に遠心力が作用するようになっている。また、流体排出口7付近の筒状排出管6内で被処理流体の上昇流速が低下することによって、磁性粒子jが巻き込まれて排出されにくいようになっている。しかし、場合によれば、該下端部は筒状排出管6の本体部分(該下端部を除く部分)と同径のままでもよい。
【0055】
上記サイクロン式処理容器2(流体渦流部2e)における下側逆円錐状部2dの上端部および上側逆円錐状部2bの下端部付近の外周面2h(側壁部2iの外周面)には、図5に示すように円周溝12,11が形成され、それぞれ8個の永久磁石10が嵌め込まれている。これらの永久磁石10は、例えば矩形の薄板状をなし、円周方向に隣り合う2個ずつがヨーク22によって連結されている。上記ヨーク22は、例えばパーマロイの薄板が折り曲げられて形成されている。各永久磁石10の円周方向の位置決めは、間に交互に配置された薄肉スペーサ16および厚肉スペーサ17によってなされている。また、ヨーク22の円周方向の位置決めは、上記厚肉スペーサ17によってなされている。上記のようにヨーク22を設けることによって、該永久磁石10による磁気吸引力をより一層強めることができる。すなわち、ヨーク22を永久磁石10の径方向外側に配置し、2個ずつの永久磁石10を連結することで、径方向外側に逃げる磁力線を減らせるので、永久磁石10の径方向内側に作用する磁力が強くなる。したがって、永久磁石10のコンパクト化を図ることができる。また、永久磁石10の径方向外側に、鉄製部材等の強磁性体を配設したとしても該強磁性体に対して永久磁石10からの磁気吸引力の影響が低減される。このため、サイクロン式処理容器2やその周辺装置を設計する際の設計自由度を高めることができる。
【0056】
なお、図5においてはヨーク22の厚さを永久磁石10の厚さよりも薄く描いているが、例えば、永久磁石10としてネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石などを用い、ヨーク22として鋼板を用いる場合には、ヨーク22を永久磁石10と同等以上の厚さに設定するなどしてもよい。
【0057】
また、上記ヨーク22に加えて、例えば図3に2点鎖線で示すように、円筒外筒5の外周にさらに同様のヨーク22’を設け、吸引力をより大きくできるようにしてもよい。
【0058】
各永久磁石10は、円周溝11,12共に、半径方向内側がS極になるものとN極になるものとが、互いに隣り合うように配設されている。
【0059】
また、上方側の円周溝11に設けられる永久磁石10の上下方向の長さおよび位置は、例えば1ピッチ以上の螺旋溝2jが形成されている範囲に設定される。
【0060】
なお、永久磁石10を設ける方法は、上記のように円周溝11,12に嵌め込むのに限らず、例えば、永久磁石10の外形に対応する凹部を側壁部2iの外周面2hに形成して嵌め込むなどしてもよい。また、ヨーク22によって連結される永久磁石10の個数は2個に限らず、より多くてもよく、さらには、ヨーク22をリング状にし、全部の永久磁石10を連結するようにしたりしてもよい。一方、永久磁石10とほぼ同形状の磁性体を各永久磁石10の背面に重ねるように設けるだけでもよい。また、永久磁石10は、筒状排出管6における流体排出口7の上下付近で上下2段に設けるのに限らず、何れか一方だけ設けるなどしてもよい。
【0061】
−サイクロン式分離除去装置1B−
サイクロン式分離除去装置1Bは、サイクロン式分離除去装置1Aと同様に構成されているが、以下の点が異なっている。
【0062】
流体渦流部2eにおける上側逆円錐状部2bの内周面に螺旋溝2jが形成されるのに代えて、図6に示すように、筒状排出管6の外周面に螺旋溝6aが形成されている。すなわち、筒状排出管6の下部には、スリーブ6cが嵌挿され、スリーブ6cの外周に、被処理流体の旋回および下降流動に対応する方向の螺旋溝6aが形成されている。具体的には、螺旋溝6aは、例えば断面形状が矩形、リード角が2°で、2条形成されている。螺旋溝6aの方向(右ネジ方向か左ネジ方向か)は、例えば旋回流動の方向に応じて決定すればよい。ここで、サイクロン式処理容器2(流体渦流部2e)の上方側の円周溝11に設けられる永久磁石10の上下方向の長さおよび位置は、例えば1ピッチ以上の螺旋溝6aが形成されている範囲に設定される。
【0063】
上記筒状排出管6(スリーブ6c)と流体渦流部2eの上側逆円錐状部2bとの間に形成される被処理流体の流路の流路面積S2は、前記のようにサイクロン式分離除去装置1Aにおける流路面積S1よりも小さく設定され、被処理流体の下降流速V2がサイクロン式分離除去装置1Bの下降流速V1よりも速くなるようにされている。また、サイクロン式分離除去装置1A、1Bの導入口3における供給圧力P1、P2を前記のような所定の供給圧力に設定しやすくするようになっている。上記のような流路面積S2の設定は、例えば上側逆円錐状部2bの頂角をサイクロン式分離除去装置1Aより大きく設定することにより行うことができる。
【0064】
なお、上記の例では、流体排出口7であるスリーブ6cの下端部の内外径が僅かに外側に拡径している例を示すが、一定の内外径に形成したりしてもよい。また、筒状排出管6に、直接、螺旋溝6aを形成してもよい。
【0065】
また、本体部2aの内側空間13は、仕切り板18により上下に仕切られ、下方側がサイクロン式分離除去装置1Aと同じくサイクロン式処理容器2の円筒状部2fとされる一方、上方側は、浮上物回収タンク15とされている。すなわち、上記仕切り板18は、サイクロン式処理容器2の上壁部を構成するとともに、浮上物回収タンク15の底壁部を構成している。筒状排出管6は、浮上物回収タンク15を串刺すようにその中心部を通って上下方向に延設されている。
【0066】
上記浮上物回収タンク15は、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上したかなり比重が小さい浮上物(例えば、比重の小さい磁性粒子、油成分、浮遊カーボン、浮遊ゴミ等であり、以下浮上物と称す)を回収するためのものであって、上述のように、底壁部がサイクロン式処理容器2の上壁部(仕切り板18)で構成されている。
【0067】
浮上物回収タンク15の内周面15aは、上記サイクロン式処理容器2の円筒状部2fと同軸の円筒状をなしていて、上下方向において径寸法が略一定となるように形成されている。
【0068】
また、浮上物回収タンク15の内周面15aには、回収した浮上物を含む被処理流体を該浮上物回収タンク15外(装置1B外)へと排出するための浮上物排出口21が形成されている。この浮上物排出口21は、図7に示すように、該浮上物回収タンク15の内周面15aに対してその接線方向から貫通して開口している。より詳細には、該浮上物排出口21は、導入口3に対して、サイクロン式処理容器2の中心軸1CL(浮上物回収タンク15の中心軸)を挟んで略相対向する位置に形成されており、該浮上物排出口21の軸心方向は、該導入口3の軸心方向に対して垂直な関係にある。
【0069】
上記浮上物回収タンク15の底壁部(つまりサイクロン式処理容器2の上壁部)を構成する仕切り板18には、該サイクロン式処理容器2の上部に浮上した浮上物を浮上物回収タンク15内に導くための回収用貫通孔が形成されている。
【0070】
この回収用貫通孔は、複数のスリット19からなり、各スリット19は、上側から見てサイクロン式処理容器2(円筒状部2f)の中心部側から径方向外側に延びるとともに、該サイクロン式処理容器2の中心軸1CL(円筒状部2fの中心軸)周りに周方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)に配設されている。
【0071】
各スリット19は、仕切り板18の該各スリット19に対応する部分を切り欠いて下側に折り曲げることで形成されている。該仕切り板18の該折り曲げた部分である折曲げ片20は、図8に示すように各スリット19から浮上物回収タンク15内へと浮上物を案内する案内面20jを有する案内用折曲げ片20a(本実施形態では、4つの折曲げ片20のうちの3つ)と、図9に示すように仕切り板18の下面近傍の流れ(サイクロン式処理容器2内の上端部の流れ)を整流するための案内面20kを有する整流用折曲げ片20bとで構成されている。
【0072】
上記案内用折曲げ片20aは、仕切り板18のスリット19に対応する部分をその幅方向の旋回下流側(被処理流体の旋回方向の下流側であって、図8の右側)の側縁部に沿って(側縁部を基端部として)、旋回上流側が下方に傾斜するように折り曲げることで形成されている。
【0073】
一方、上記整流用折曲げ片20bは、仕切り板18のスリット19に対応する部分をその幅方向の旋回上流側(被処理流体の旋回方向の上流側であって、図9の左側)の側縁部に沿って(側縁部を基端部として)、旋回下流側が下方に傾斜するように折り曲げることで形成されている。
【0074】
なお、実施形態1では、案内用折曲げ片20aと整流用折曲げ片20bとを設けたが、旋回流の渦流形成状態によれば、案内用折曲げ片20aだけとして、整流用折曲げ片20bを省略することもあり得る。
【0075】
−サイクロン式分離除去装置の動作−
以上のように構成されたサイクロン式分離除去装置1A、1Bにおける磁性粒子jの分離回収動作について説明する。
【0076】
先ず、磁性粒子jを含む被処理流体が、高速で、サイクロン式分離除去装置1Aの導入口3(図3参照)からサイクロン式処理容器2内に導入される。導入された被処理流体は、該サイクロン式処理容器2の内周面2gの円筒状部2fに沿って筒状排出管6周りに旋回運動することで旋回流が生じる。
【0077】
さらに、被処理流体は、上側逆円錐状部2bに導かれて縮径部分の下側に行くほど回転速度を増加させていく。これに伴って、被処理流体中の磁性粒子jは、遠心力が作用して径方向外側に移動し、螺旋溝2jに捕捉され、または内周面2gに沿って旋回しながら下降する。そして、被処理流体の回転速度が最も速くなる上側逆円錐状部2bの下部にて、被処理流体中の磁性粒子jには、大きな遠心力が作用するとともに、上方側の円周溝11に嵌入された永久磁石10から径方向外側へと向かう磁気吸引力が作用することとなる。この結果、該磁性粒子jは、内周面2g側(径方向外側)に分離される。特に、螺旋溝2jに捕捉された磁性粒子jは、永久磁石10との距離がより近いことから螺旋溝2jの底に押しつけられる力が強いので、径方向内側への移動は大幅に抑制される。
【0078】
一方、磁性粒子jが極めて少なくなったクリーンな流体は上側逆円錐状部2bの中心部寄りに残ることとなる。
【0079】
そして、被処理流体は、磁性粒子jが内周面2g側に偏って分離された状態のまま円錐状部2cに導かれる。
【0080】
円錐状部2cにおいては、被処理流体の旋回流速は若干低下するものの、上記のように、螺旋溝2jに捕捉され、または既に内周面2g側に偏った状態にある磁性粒子jは、さらに径方向外側へと移動する。
【0081】
そうして、円錐状部2cを通過した被処理流体中の磁性粒子jは、下側逆円錐状部2dの上端部に流入すると、その径方向外側への流動慣性力に加えて、下方側の円周溝12に嵌入された永久磁石10から径方向外側へと向かう磁気吸引力を受けて、下側逆円錐状部2dの上端部に分離集約される。上記下側逆円錐状部2dの上端部に分離集約された磁性粒子jは、いずれ団塊状になってその自重により下側逆円錐状部2dの傾斜面に沿って落下し、排出口4から排出されてドレインカップ63に蓄積され、適宜バルブ64を開くことにより、ダスト分離用タンク103に送られる。なお、上記のように下側逆円錐状部2dの内壁に吸着した磁性粒子を自重で落下させるのに限らず、吸着した磁性粒子の落下を促進したい場合などには、磁石部材の磁力を弱める機構、例えば、磁石部材及び/またはヨークを上下動させるような機構を設けて積極的に分離除去するようにしてもよい。
【0082】
一方、下側逆円錐状部2dに流入した被処理流体は、例えば磁性粒子jが90%程度除去され、旋回流動(渦流)するとともに、中心部の被処理流体には上向き軸方向の力が作用して、流体排出口7から筒状排出管6を通ってサイクロン式分離除去装置1Bへと供給される。
【0083】
サイクロン式分離除去装置1Bでは、導入口3から流入した被処理流体中に含まれる比重の小さい浮上物は、これを浮上させようとする浮力によって、サイクロン式処理容器2内の上部に浮上集約されることとなる。この浮上集約された浮上物は、被処理流体が筒状排出管6周りに旋回流動する過程で、スリット19から浮上物回収タンク15内へと流入する。より具体的には、サイクロン式処理容器2内の上端部(仕切り板18の下面近傍)に集約された浮上物は、被処理流体の旋回流動により該処理流体と共にその旋回上流側から旋回下流側へと流れる中で、上記案内用折曲げ片の案内面20jに衝突することでその進路を上方へと変更し、浮上物回収タンク15内へと導かれる。浮上物回収タンク15内へと導かれた浮上物を含む被処理流体は、その旋回慣性により該浮上物回収タンク15内においてもその内周面15aに沿って上記筒状排出管6周りに旋回流動して、上記浮上物排出口21から接線方向に排出され、装置1B外へと導かれる。
【0084】
一方、上記導入口3からサイクロン式処理容器2内に流入した被処理流体のうち、浮上物回収タンク15内に流入しなかった残りの流体(つまり比重の小さい浮上物が除去された被処理流体)は、サイクロン式分離除去装置1Aと同様に、旋回流動による遠心力、および磁力の作用によって、さらに磁性粒子jが分離される。
【0085】
特に、サイクロン式分離除去装置1Bでは、筒状排出管6の外周にサイクロン式分離除去装置1Aよりもリード角が小さい螺旋溝6aが形成されるとともに、流路面積S2がサイクロン式分離除去装置1Aの流路面積S1よりも小さく設定され、被処理流体が下降する方向の流速V2が速くなるようにされていることによって、筒状排出管6の外周近傍で被処理流体の旋回速度が加速されやすく、サイクロン式分離除去装置1Aでは除去しきれなかった、より比重の小さい磁性粒子jでも、筒状排出管6の外周近傍には漂いにくくなるので、除去されやすくなり、例えば99%程度の磁性粒子jが除去された被処理流体が筒状排出管6から排出される。
【0086】
上記のように、サイクロン式分離除去装置1A、1Bが直列に設けられ、サイクロン式分離除去装置1Aのへの被処理流体の供給圧力P1をサイクロン式分離除去装置1Bへの供給圧力P2よりも高くすることによって、例えば、サイクロン式分離除去装置1Aで比較的比重の大きな磁性粒子を除去し、サイクロン式分離除去装置1Bで、より小さな磁性粒子の除去を効率よく行わせ、種々の比重の磁性粒子が混在する被処理流体に対する全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0087】
また、サイクロン式分離除去装置1Aでは、被処理流体に比較的比重の大きな磁性粒子jが多量に含まれていても、被処理流体の流路面積S1が比較的大きく設定されているので圧力損失が小さいうえ目詰まりしにくく、上記比較的比重の大きな磁性粒子jは効率的に除去される。また、上記比較的比重の大きな磁性粒子jが除去されて目詰まりしにくくなった被処理流体が供給されるサイクロン式分離除去装置1Bでは、サイクロン式分離除去装置1Aに比べて、被処理流体の流路面積S2が小さく設定されているので、被処理流体が下降する方向の流速が速くなる。そこで、筒状排出管6の外周近傍で被処理流体の旋回速度が加速されやすく、サイクロン式分離除去装置1Aでは除去しきれなかった、より比重の小さい磁性粒子jでも、筒状排出管6の外周近傍には漂いにくくなるので除去されやすくなり、全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0088】
さらに、サイクロン式分離除去装置1Aの流体渦流部2eにおける上側逆円錐状部2bの内周面にリード角が45°の螺旋溝2jが形成されていることによって、やはり比較的比重の大きな磁性粒子jが目詰まりしにくいようにして、その除去効率を高めることができる。一方、サイクロン式分離除去装置1Bでは、筒状排出管6の外周側にリード角が2°の螺旋溝6aが形成されていることによって、被処理流体の旋回速度が加速されやすく、遠心分離機能を強く作用させて磁性粒子jを外周側に追いやり、清浄な被処理流体をなめらかに筒状排出管6の外周寄りに集めて下端部から内周側に回り込ませ排出させることができる。したがって、種々の比重の磁性粒子jが混在する被処理流体に対する全体的な除去効率を大幅に高めることなどが容易にできる。
【0089】
また、サイクロン式分離除去装置1Aのように、上側逆円錐状部2bに螺旋溝2jが形成されている場合には、遠心力によって径方向外側に移動した被処理流体中の磁性粒子jは、螺旋溝2jに捕捉されると径方向内側へ移動しにくくなるので、この作用によっても、螺旋溝2jが形成されていない場合に比べて被処理流体からの除去効率を大幅に向上させることができる。
【0090】
なお、サイクロン式分離除去装置1A、1Bとしては、上記のような構成のものに限らず、遠心分離機能を備えた種々の装置を組み合わせて適用してもよい。例えば、螺旋溝2jや螺旋溝6aの有無を種々に設定してもよい。具体的には、サイクロン式分離除去装置1Bだけに筒状排出管6の螺旋溝6a、および流体渦流部2eの螺旋溝2jの少なくとも一方を設けたり、サイクロン式分離除去装置1A、1B共に螺旋溝2j、および/または螺旋溝6aを設けたりしてもよい。また、上側逆円錐状部2bの内周面に螺旋溝2jではなく螺旋突起を設けたり、筒状排出管6の外周面に螺旋溝6aではなく螺旋突起を設けたりしてもよい。さらに、被処理流体や磁性粒子jの性状等によっては、必ずしも、これらの螺旋溝2jや螺旋溝6a等を設けなくてもよい。
【0091】
また、螺旋溝2jや螺旋溝6aの条数は、上記に限らず、1条でもよいし、より多くてもよいが、概ね、多い方が磁性粒子jの捕捉効果が大きい。また、リード角も、上記に限らず、種々設定可能である。さらに、リード角を被処理流体の旋回下降方向に対応させて下方ほど小さくしたり大きくしたりするなどしてもよい。すなわち、例えば螺旋溝2jの方向が被処理流体の旋回下降流の方向に一致している場合には、被処理流体の流れがスムーズになって磁性粒子jが安定して内周面2gや螺旋溝2jの底に押しつけられる作用が大きくなる。一方、螺旋溝2jの方向が被処理流体の旋回下降流の方向と異なる場合には、被処理流体が螺旋溝2jを横切ることになるので、磁性粒子jが螺旋溝2jに引っかかって捕捉されやすくなる作用が大きくなる。また、被処理流体の旋回下降流の方向よりも螺旋溝2jのリード角を小さく設定し、旋回速度を増加させるようにして、より大きな遠心力を作用させるようにすることもできる。それゆえ、被処理流体の流速や粘度、磁性粒子jの大きさ、形状、比重の相異などに応じて、螺旋溝2jのリード角や条数、断面形状などを設定すればよい。
【0092】
また、上記のような浮上物回収タンク15はサイクロン式分離除去装置1Aにも設けてもよい。一方、何れのサイクロン式分離除去装置1A、1Bにも浮上物回収タンク15を備えず、遠心分離による比較的比重の大きな磁性粒子jの除去を主とする装置を用いるなどしてもよい。
【0093】
また、上記の例では主に磁性粒子jを対象として説明したが、磁性を有する鉄系屑等の他、アルミ屑、砥石の屑、ダイヤモンド粒子などを含む異物粒子を除去するために上記のような装置を適用してもよい。
【0094】
《発明の実施形態2》
サイクロン式分離除去装置1Aとして、図10に示すように構成されたものを用いてもよい。
【0095】
筒状排出管6には、外周面が紡錘状に膨らんだ外周誘導ブロック6dが形成されている。なお、上記のような外形を有するリングを筒状排出管6に嵌挿するようにしてもよい。上記外周誘導ブロック6dの高さ位置は、流体渦流部2eにおける上側逆円錐状部2bの上端部付近に設定されている。また、外周誘導ブロック6dの最大外径と上側逆円錐状部2bにおける外周誘導ブロック6d付近の内径との間の間隔ΔT(半径の差)は、例えば、筒状排出管6の外径と上側逆円錐状部2bの上記内径との間の間隔Tの1/2以上になるように設定されている。
【0096】
上記のような外周誘導ブロック6dが設けられていることによって、導入口3から流入して旋回流動する被処理流体中の磁性粒子jは、より外周方向に誘導されやすくなる。特に、上側逆円錐状部2bの内周面に近づくように流動して永久磁石10の磁力に捕捉された磁性粒子jは、上側逆円錐状部2bの内周面から離脱しにくくなるので、例えば特に比較的比重が大きい磁性粒子jの除去率を大幅に向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態のサイクロン式分離除去装置1Aは、2つの下側逆円錐状部2dの接続部に形成される円錐状部2kの傾斜(円錐形状の頂角)が実施形態1よりも大きく設定されている例を示す。すなわち、実施形態1のように円錐状部2kの傾斜を小さくして、内径の変化を小さく抑える場合には、円錐状部2kと下側逆円錐状部2dとの接続部付近に磁性粒子jが付着しにくいようにして、速やかに排出口4から排出されるようにすることが比較的容易になるが、一方、本実施形態2のように円錐状部2kの傾斜を大きくする場合には、円錐状部2kより下方のダストが舞い上がりにくいようにして筒状排出管6から排出される被処理流体に混入しにくいようにすることが容易になる。それゆえ、被処理流体中の磁性粒子jの性状や、量、被処理流体の流量などに応じて、円錐状部2kの傾斜や長さなどを決定すればよい。
【0098】
《発明の実施形態3》
サイクロン式分離除去装置はサイクロン式処理容器2段設けるのに限らず、より多くの段数設けてもよい。図11は、3段のサイクロン式分離除去装置1A〜1Cが設けられた例を示す。各サイクロン式分離除去装置1A〜1Cの導入口3における供給圧力P1〜P3は、P1>P2>P3となっている。各サイクロン式分離除去装置1A〜1C内における最小の流路面積S1〜S3は、S1>S2>S3、被処理流体が下降する方向の流速をV1〜V3は、V1<V2<V3となるように設定されている。
【0099】
本実施形態では、浮上物回収タンク15は、サイクロン式分離除去装置1Cだけに設けられているが、他の、または全てのサイクロン式分離除去装置に設けたり、何れにも設けなかったりしてもよい。
【0100】
このようにサイクロン式分離除去装置1A〜1Cを多段に設けることによって、例えば、後段ほど、より比重の小さい磁性粒子jが除去されやすいようにして、全体の除去率を大幅に向上させることが容易にできる。
【0101】
なお、上記各実施形態または変形例で説明した構成要素や、各段のサイクロン式分離除去装置について説明した構成要素は、論理的に可能な範囲で種々組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明にかかる被処理流体浄化システムは、例えば工作機械等において切削加工時や研削加工時に生じるスラッジ(加工屑)をクーラント液(被処理流体)から分離・除去するためなどに使用される被処理流体浄化システム等として有用である。
【符号の説明】
【0103】
1A サイクロン式分離除去装置
1B サイクロン式分離除去装置
1C サイクロン式分離除去装置
2 サイクロン式処理容器
2a 本体部
2b 上側逆円錐状部
2c 円錐状部
2d 下側逆円錐状部
2e 流体渦流部
2f 円筒状部
2g 内周面
2h 外周面
2i 側壁部
2j 螺旋溝
2k 円錐状部
3 導入口
4 排出口
5 円筒外筒
6 筒状排出管
6a 螺旋溝
6c スリーブ
6d 外周誘導ブロック
6e 雌ねじ部
6f 雄ねじ部
7 流体排出口
8 Oリング
9a 雌ねじ部
9b 雄ねじ部
10 永久磁石
11 円周溝
12 円周溝
13 内側空間
15 浮上物回収タンク
15a 内周面
16 薄肉スペーサ
17 厚肉スペーサ
18 仕切り板
19 スリット
20 折曲げ片
20a 案内用折曲げ片
20b 整流用折曲げ片
21 浮上物排出口
22 ヨーク
22’ ヨーク
61 フレーム
62A 圧力計
62B 圧力計
63 ドレインカップ
64 バルブ
65 絞り弁
100 被処理流体浄化システム
101 工作機械
102 ダーティタンク
103 ダスト分離用タンク
103b 戻り管
103c 仕切り壁
104 スーパクリーンタンク
104a 上壁部
104b 戻り管
104c 排出管
104d 排出バルブ
104e 仕切り壁
104f 仕切り壁
105 ポンプ
107 ダストボックス
108 ダスト分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、異物粒子を含む被処理流体を旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の異物粒子を分離し、浄化後の被処理流体を排出する第1および第2の異物粒子分離装置を含む複数の異物粒子分離装置を備えた被処理流体浄化システムであって、
被処理流体が、第1の異物粒子分離装置に供給されて異物粒子が分離された後に、第2の異物粒子分離装置に供給されて、さらに異物粒子が分離されるように構成され、
第1の異物粒子分離装置に供給される位置での被処理流体の圧力が、第2の異物粒子分離装置に供給される位置での被処理流体の圧力よりも高くなるように構成されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項2】
請求項1の被処理流体浄化システムであって、
上記第1および第2の異物粒子分離装置は、それぞれ、
被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、異物粒子を遠心分離して下方に排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く排出管と、
を備え、
上記サイクロン式処理容器と上記排出管との間に形成されて、被処理流体を旋回下降流動させる流路の最小の流路面積が、第1の異物粒子分離装置の方が、第2の異物粒子分離装置よりも大きく設定されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項3】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
さらに、磁性を有する異物粒子に対して、上記サイクロン式処理容器の径方向外側に向かう磁気吸引力を作用させる磁石部材を備えたことを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項4】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
少なくとも第2の異物粒子分離装置が、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋溝、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋突起、
上記排出管の外周面に形成された螺旋溝、および
上記排出管の外周面に形成された螺旋突起のうち少なくとも何れかを有すること特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項5】
請求項4の被処理流体浄化システムであって、
第1の異物粒子分離装置が、
上記サイクロン式処理容器の内周面に形成された螺旋溝を有するとともに、
第2の異物粒子分離装置が、
上記排出管の外周面に形成された螺旋溝を有すること特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項6】
請求項5の被処理流体浄化システムであって、
上記第1の異物粒子分離装置における上記螺旋溝のリード角が、
上記第2の異物粒子分離装置における上記螺旋溝のリード角よりも大きく設定されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項7】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記第2の異物粒子分離装置は、
上記サイクロン式処理容器の上部に浮上した浮上物を回収するべく該処理容器の上側に配設され、底壁部が該サイクロン式処理容器の上壁部で構成された浮上物回収タンクをさらに備え、
上記サイクロン式処理容器の上壁部には、上記浮上物を上記浮上物回収タンク内へと導くための回収用貫通孔が形成され、
上記サイクロン式処理容器の上壁部の下面には、上記浮上物を上記貫通孔から上記浮上物回収タンク内へと案内する案内部材が設けられており、
上記浮上物回収タンクには、該タンク内に流入した上記浮上物を含む被処理流体を排出するための浮上物排出口が設けられていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項8】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記第1の異物粒子分離装置における排出管は、上記被処理流体を旋回下降流動させる流路の導入部付近の外周に、外周面が紡錘状に膨らんで被処理流体を外周方向に向けるように誘導する外周誘導ブロックが設けられていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項9】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記第1および第2の異物粒子分離装置の排出管は、下端部の内外周面が末広がりに拡径されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項10】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、さらに、
上記サイクロン式処理容器は、内径が下方位置ほど縮径する逆円錐状部と、
上記逆円錐状部の下方に配置され、内径が下方位置ほど縮径する下方側逆円錐状部と、
を有し、
上記下方側逆円錐状部の上端の内径は、上方に位置する逆円錐状部の下端の内径よりも大きいものとされ、
上記排出管の開口部は、上記逆円錐状部と下方側逆円錐状部との境界部付近に配置されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項11】
請求項2の被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式処理容器は、
被処理流体が導入される容器本体部と、該容器本体部の下方に設けられて被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させる円筒状の流体渦流部とを備え、
上記容器本体部は、変心した位置に導入口が形成された円筒状の側壁部、および該側壁部の上部を塞ぐ上壁部を有し、
上記流体渦流部は、上記容器本体部の側壁部の下部に螺合されるとともに、上記排出管は、上記容器本体部の上壁部に挿通されて螺合されるように構成されていることを特徴とする被処理流体浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−83702(P2011−83702A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238603(P2009−238603)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(594190574)岡野機工株式会社 (19)
【Fターム(参考)】