説明

被捜索物の位置特定方法及びシステム

【課題】被捜索物の位置を特定するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】携帯装置11内に組み込まれたサーチデバイスD1と被捜索物に付属されたターゲットデバイスD2を有し、サーチデバイスD1は互いに離間されたアンテナA1,A2が付属されたトランシーバ、方向を指示するための表示装置、当該トランシーバ及び表示装置を管理する電子装置を有し、ターゲットデバイスD2はアンテナA3と前記サーチデバイスから発信された信号の受信を検出し、その信号に応答できる電子装置が付属されたトランシーバを有し、サーチデバイスD1とターゲットデバイスD2間の信号はUWB信号であり、ターゲットデバイスD2は、ウェークアップ信号が、識別コードを包含する時にウェークアップ信号を受信するウェークアップ受信機を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬性物体内に組み込まれたサーチデバイスと、被捜索物に付属されたターゲットデバイスとの間で交換される電磁信号により被捜索物の位置を決定する方法に関する。前記サーチデバイスは、互いに離間された一対のアンテナが付属されたトランシーバ、表示装置、当該トランシーバ及び表示装置を管理する電子装置、及び手動制御装置などである。前記ターゲットデバイスは、アンテナとサーチデバイスから発信された信号の受信を検出し、かつ、ターゲットデバイスの同一性を示す信号に応答できる電子装置が付属されたトランシーバである。
【0002】
また、本発明は、特に前記方法を実行するように工夫された位置特定システム及びこのタイプの位置特定システムの一部を構成するサーチデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、人々は日常的に使用している物の置き場所を誤るか、又は、特に、人々は例えば、家庭又は職場でそれらの物の置き場所を忘れてしまう。その物が鍵セット又はメガネなどのように小さい場合、これらを発見するのは困難であり、かつ、捜索には長時間を要することがある。このため、様々な無線伝送位置特定システムが既に提案されている。本発明は、このタイプのシステムにおいて無線超広帯域(Ultra Wide Band, UWB)技術の使用を提案する。物体の短距離位置特定におけるこの技術の使用の主要な効果は、特許文献1に記載されている。しかし、現在までのところ、これらの用途に使用されるUWB信号は狭帯域無線周波数信号と併用しなければならない。
【0004】
特許文献2には、狭帯域無線周波数回路とUWB回路の両方を有する識別タグを含む物体の捜索及び位置特定システムが詳細に開示されている。このシステムは特に、UWB技術を用いて、信号の返送移動時間(return travel time)を測定することにより、ローカルサーチデバイスと被捜索物との間の距離を測定することができる。特許文献2は、当該UWB技術が、物体の位置を突き止めるために、比較的短い距離を十分な精度(一般的に、10cm程度或いは1cm程度の精度)で測定できることを特記している。しかし、特許文献2に記載されたシステムは、極めて複雑な構造を有し、また、サーチデバイスと各サーチタグとの間で同期操作を行わなければならない。
【0005】
近距離の物体の位置特定のためにUWB信号を使用する別のシステムは特許文献3に記載されている。特許文献3の或る実施態様は前記のような特徴を有する。このシステムは主に、被捜索物と前記に説明した意味の範囲内のターゲットデバイスを構成する携帯端末(例えば、電話)を有する人の捜索を企図している。捜索方法は2つの連続的な相を含む。第1の相は、例えば、携帯端末からの緊急コールに対して、一般的に、例えば、GPSにより携帯端末の位置を特定することにより応答し、そして、特定された位置に救助チームを送り出すことからなる。第2の相は、一般的に、被害者の発見のための近距離の位置特定からなり、そして、被捜索携帯端末と、下記で説明するような救助クルーが保持するサーチデバイスとの間の信号交換を使用する。
【0006】
携帯端末は例えば、キーを人為的に押すか、又は例えば、ショート・テキスト・メッセージにより送信される位置特定要求に応答して、或いは、携帯端末自体による緊急事態の検出に応答して自動的に要求有り次第(オン・デマンド)に特徴的UWB信号を発信する。UWBを用いて携帯端滅の位置を特定するために、サーチデバイスは、菱形の位置関係に配列され、2つ一組について1個の電子回路が付属される4本のアンテナを含む。この電子回路は各一対のアンテナにおけるUWB信号受信時間の差を測定する。これらの測定結果から、サーチデバイスは、4本のアンテナにより画成された基準フレームに関する携帯端末の直交座標を計算し、次いで、極座標(方位と距離)を計算し、そして、デジタルディスプレイにより極座標(方位と距離)を表示する。
【0007】
特許文献3に開示されたシステムは置き忘れた物体の捜索には簡単に使用できない。なぜなら、このような状態では携帯端末を手動で起動させることができず、例えば、タグフォームを捕捉すること及び消費電力がほぼゼロのスタンバイモードを具備させることが複雑になり過ぎるからである。別の欠点は、菱形の位置関係に配置された4本のアンテナを使用しなければならないことである。これにより、サーチデバイスは比較的大きな容量を有しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0033662号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2008/0136644号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願第1 630 966号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前掲の従来技術公知文献に記載された発明の欠点を解消する、物体の位置特定方法及びシステムを提供することである。
【0010】
本発明の目的によれば、ターゲットデバイスは、関係する物体に別々に付属させるの十分に小さな形(例えば、ウェハ又は接着ラベル)に形成可能でなければならない。また、ターゲットデバイスは、サーチデバイスからの信号受信は別として無動作でサーチデバイスに応答して起動可能でなければならない。
【0011】
本発明の別の目的は、高度に小型化し、ユーザがサーチデバイスを常に利用可能にし、かつ、全く不便無く携行可能にするために、サーチデバイスを携帯用電子装置類(これらの装置の部品の幾つかは前記デバイスを使用する)と結合することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載される位置特定方法を提供する。従属項の請求項2〜6は本発明による位置特定方法を実行するための特定のモードを定義する。
【0013】
本発明の別の側面として、請求項7は本発明の方法を実行するための物体位置特定システムを定義する。請求項12は、特に本発明の方法を実行するためのサーチデバイスを定義し、請求項15は前記物体位置特定方法で必要とされるターゲットデバイスを定義する。従属項は特定の変型例を定義する。
【発明の効果】
【0014】
UWB伝送とターゲットデバイス起動のためのUWBウェークアップ(wake-up)信号の使用を排他的に結合することにより、少量の電気エネルギーを使用してUWBを非常に長期間(一般的に、数年間)にわたってスタンバイ(待機)モードに維持することができるようになる。単一周波数帯及び単一UWBアンテナを使用するターゲットデバイスは従来技術に比べて極めて小型に成形することができ、その結果、キーリング、財布又はメガネなどのような小型物体に取り付けることができる。サーチデバイスの電力消費量も顕著に低下される。小型で数cmしか離間されていない唯一対のアンテナと極めて高い周波数のUWB信号を併用することにより、サーチデバイスを小型の携帯型装置(特に、携帯電話又は時計)に組み込むことができる。
【0015】
特別な実施態様における本発明の利点は、サーチデバイスを通常のサイズの腕時計内に収容することができ、そして、時刻表示部材類を被捜索物の位置の表示に使用できることである。これにより、自己の腕時計を日常的に装用するユーザは、必要な時に、即座にサーチデバイスを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の位置特定システムの基礎を構成する2つの要素、すなわち携帯デバイスに組み込まれたサーチデバイスD1と被捜索物に取り付けられたターゲットデバイスD2の概要図である。
【図2】腕時計に組み込まれたサーチデバイスD1の概要図である。
【図3】サーチデバイスが物体移行される動作モードにおける本発明の位置特定方法における様々なステップの概要図である。
【図4】サーチデバイスが回転される動作モードにおける本発明の位置特定方法における一連のステップの概要図である。
【図5】サーチデバイスとターゲットデバイス間のUWB信号交換による位置特定シーケンスの2つの連続相の概要図である。
【図6】サーチデバイスD1のブロック図である。
【図7】ターゲットデバイスD2のブロック図である。
【図8】物体位置特定操作のための図1〜図7のシステムの動作ステップのブロック図である。
【図9】サーチデバイスが加速度計を有する変更例における、位置特定方法の一連のステップの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、以下詳述する。
【0018】
図1に概要的に示される本発明の物体位置特定システムはサーチデバイスD1と少なくとも1個のターゲットデバイスD2を含む。サーチデバイスD1は携帯装置11内に組み込まれ、2つのアンテナA1とA2が配設されたUWBトランシーバを有する。ターゲットデバイスD2は物体12(例えば、キーセット)に結合され、アンテナA3が配設されたUWBトランシーバを有する。図1は更に次のことも示している。すなわち、デバイスD1及びD2の各位置の大部分において、アンテナA1とA3との間の距離はアンテナA2とA3との間の距離と異なる。従って、これらの距離における各UWB信号の移動時間t1及びt2も異なる。
【0019】
図2に示される特定の実施態様において、サーチデバイスD1を含有する携帯装置11は電子時計(特に電子腕時計)である。この電子腕時計はプッシュボタン及び/又は制御ステム及び/又はタッチ感応クリスタルなどのような手動制御部材13を有する。サーチデバイスの電子ユニット14は時計11の密閉ケース内部に収容されており、時計と同じバッテリにより電力供給することができる。UWBでは非常に高い周波数(3.1〜10GHz程度)が使用されるので、アンテナのサイズは非常に小さい。マイクロストリップアンテナが特に使用可能である。2本の各アンテナの中心位置を通過する軸15に沿って測定されたアンテナ間の間隔d0を出来るだけ大きくするために、アンテナA1及びA2は正反対に対向する位置に配設されている。ケースの構成材料に応じて、アンテナは計時器部品類と一緒に前記ケース内部に収容させることもできる。約3〜4cm間のd0値は通常サイズの腕時計及び下記に説明する測定及び演算に必要な精度と完全に互換性がある。UWB標準はmmの大きさ程度の精度を得る。
【0020】
前記のように、サーチデバイスD1を時計内に組み込むことの利点は恒久的に利用可能になることである。なぜなら、ユーザは時計を一般的に毎日装用するからである。別の利点は、時計が針(時針、分針等)を用いて方向を示すことができるアナログ時刻ディスプレイを有する限り、サーチデバイスにより提供される指示に関して電子時計の通常のディスプレイ部材を使用出来ることである。例えば、日付又は測定時間を表示するために配設されているデジタル又は文字と数字を組み合わせたディスプレイは被捜索物からの距離を指示することができるが、この距離は例えば、クロノグラフ・カウンター針によりアナログ式でも表示することもできる。従って、サーチデバイスと腕時計との間の高い相乗効果が存在する。なぜなら、密閉ケース、電源、ディスプレイ手段、手動制御手段及びユーザの手首に装着するためのブレスレット又はストラップなどは全て共用されるからである。
【0021】
サーチデバイスD1の電子回路の実施態様を説明するために図6を参照する。アンテナA1及びA2は、送信/受信スイッチ20(オプション)を介して、UWB送信モジュール21及びUWB受信モジュール22に交互に接続される。モジュール21及びモジュール22はデジタル処理ユニット23に結合され、デジタル処理ユニット23はエントリーキー24,アナログディスプレイ25及びデジタルディスプレイ26に接続されている。ディスプレイ25及び26は時計における時刻及びその他の時刻関連値を表示するためにも使用される。エントリーキー24は、例えば、時計のプッシュボタン13のうちの一つにより又はタッチ感応クリスタルにより作動される手動コマンドである。
【0022】
UWB送信モジュール21はUWBパルス発生器28及び増幅器29を含む。これらの出力信号はスイッチ20を介してアンテナA1及びA2に同時に着信する。UWB受信モジュール22は、アンテナA1及びA2からの信号をそれぞれ受信する2つのパラレルチェーンを含む。各チェーンは増幅器30a,30b、エネルギー検出器31a,31b及びデモジュレータ32a,32bを含む。デモジュレータ32a,32bはその出力信号をデジタル処理ユニット23に配信する。ユニット23は、点線で示されるデジタル接続により要素20,21及び22の動作と協働し、被捜索物の位置を計算するために下記に説明する動作を実行し、そして、この位置を表示するためにディスプレイ25及び26を制御する。
【0023】
図7を参照する。ターゲットデバイスD2の電子ユニットはUWB送信モジュール34及びUWB受信モジュール35を含む。これらは送信/受信スイッチ36によりアンテナA3に交互に接続される。モジュール34及び35はデジタル処理ユニット37に接続されており、デジタル処理ユニット37はエントリーキー38に、また、場合により、音響変換器39に接続されている。UWB送信器34はUWBパルス発生器41及び増幅器42を含む。これらの出力信号はスイッチ36を介してアンテナA3に着信する。UWB受信モジュール35は増幅器43、エネルギー検出器44及びデモジュレータ45を含む。デモジュレータ45はその出力信号をデジタル処理ユニット37に配信する。このユニット37は、点線で示されるデジタル接続により要素34,35及び36の動作と協働し、受信信号に応答してUWB信号を送信するために下記に説明する動作を実行し、そして、音響変換器39が存在する場合には、この音響変換器39により拡散される警告信号を発生する。
【0024】
D2がスタンバイ状態で殆どエネルギーを消費しないことを確実にするために、D2はウェークアップ受信機46を含む。ウェークアップ受信機46はアンテナA3によりピックアップされた信号も受信し、そして、符号化ウェークアップ信号を受信した後に受信モジュール35を切り換えるだけである。このタイプのウェークアップ受信機の構成及び機能は公知である。例示的実施態様が下記の文献に記載されている。"A 2GHz 52μW Wake-up Receiver With -72dBm Sensitivity Using Uncertain-IF Architecture", par N. Pletcher et al, 2008 IEEE International Solid-State Circuits Conference, Digest of Technical Pages, p. 524-525。基本的構造は極めてシンプルである。これは所望の周波数で校正されるエンベロープ検出器である。受信されたウェークアップ信号は増幅器変調信号であり、ウェークアップさせるべきデバイスを識別するデータシーケンス(コード)を有する。復調も極めて簡単なので、その構造はエネルギーを殆ど使用しない。小型バッテリにより供給される電力は、選択されたデューティ・サイクルに応じて変化するが、このタイプの受信機で数年間にわたってスタンバイ状態を維持することができる。
【0025】
モジュール37は不揮発性メモリも更に含む。このメモリは、同じサーチデバイスD1により位置を突き止めることができるその他の同様なターゲットデバイスD3,D4等からターゲットデバイスD2を区別するために、ターゲットデバイスD2の識別性を示すコードを格納する。このD2識別コードは、サーチデバイスがターゲットデバイスの位置を突き止めるために使用できる前に、例えば、エントリー・キーの動作と組み合わせることにより制御される宣言操作中、D1のメモリ内に格納されていなければならない。これは、ユーザがシステムに入力したいと欲するその他のターゲットデバイスD3,D4等の識別コードについても当てはまる。
【0026】
ターゲットデバイスD2にリンクされる物体12の位置を突き止めるシステムの操作について図3〜図8を参照しながら説明する。図8のブロック図は物体12の位置を突き止める操作に関してデバイスD1,D2及びD3(D3が近接位置に存在する場合)において行われるか又はこれらにより行われる操作ステップを示す。
【0027】
最初のステップ101において、ユーザの時計11の制御部材13(図2参照)の適当な起動により開始される。サーチデバイスD1は、ターゲットデバイスD2の識別コードを含むウェークアップ信号102を発信する。ターゲットデバイスD2は、そのウェークアップ受信機46によりステップ103において信号102を受信し、認識する。ウェークアップ受信機46はステップ104においてD2の電子回路の残部を切り換える。ステップ105において、D2は受信確認信号106を発信する。受信確認信号106はその識別コードも包含する。この期間中、その他のターゲットデバイスD3もステップ107においてウェークアップ信号102を受信する。なぜなら、D3が極めて近傍に位置しているからである。しかし、D3ウェークアップ受信機はこの信号中のD2識別コードは認識しない。従って、D3はステップ108において不稼働の状態を維持する。
【0028】
ステップ109において、サーチデバイスD1は信号106を受信し、次いで、ステップ110により最初の位置特定シーケンスを開始する。ステップ110は、D1のクロック回路50におけるカウントダウンを開始する即時tiniで、図5に示されるような2本のアンテナA1及びA2と交差する位置特定信号111(D2の識別コードも包含する)を精密化し、そして同時に送出する。この瞬間において、ターゲットデバイスのアンテナA3はアンテナA2よりもアンテナA1に近い、すなわち、A1及びA3間の位置特定信号111の移動時間t1はA2及びA3間の移動時間t2よりも短いと仮定する。ステップ112において、ターゲットデバイスD2は即時tpktRx1(図5参照)でアンテナA1から信号111を受信する。信号111はそのクロック回路49をリセットし、次いで、ターゲットデバイスD2は即時tpktRx2でアンテナA2から同じ信号111を受信し、これら2つの受信間の時差tdiff=t2−t1を測定する。ステップ113において、tpktRx3で返送信号114を精密化し、そして送出する。返送信号114は、時差tdiffと処理時間tproc(これはtpktRx1とtpktRx3との間の時間間隔である)を包含する。
【0029】
オプションとして、ステップ115でD2を実施することもできる。ステップ115は、条件が許せば被捜索物の位置特定を聴覚的にアシストするために、音響変換器39を介して音響信号を送出する。変更例において、処理期間は第2の受信信号と返送信号との間の期間に対応させることもできる。位置特定方法の別の実施態様において、処理時間を予め決定しておくこともできる。見込移動時間差及び返送信号の送信までのターゲットデバイスによるデータ処理期間を知ることにより、十分な固定処理期間を画定し、ターゲットデバイスを構成することができる。その結果、ターゲットデバイスは、この固定期間後にその返送信号を正確に常に送出できる。この変更例では、返送信号内のこの固定期間に関連するデータを送信する必要はない。なぜなら、サーチデバイス内に不揮発性の形で事前に導入できるからである。
【0030】
ステップ116において、サーチデバイスD1はアンテナA3に最も近いアンテナA1を介して最初に即時tfin1(図5参照)で返送信号114を受信する。この受信により、そのUWB受信機からアンテナA2を一時的に分離するスイッチを作動させる。その結果、同じ信号がアンテナA2で受信された時でも、UWB受信機は即時tfin2は動作せず、D1の電力消費を低減する。D1のデジタル処理モジュール23において、値tdist=tfin1−tiniはクロック回路により演算される。
【0031】
ステップ117において、D1のモジュール23は移動時間を演算する。
t1=(tdist−tproc)/2
t2=t1+tdiff
これらは、アンテナA3と各アンテナA1及びA2間の対応距離d1及びd2を示す。次いで、モジュールは値d0、d1及びd2から3本のアンテナの平面内の三角測量により、アンテナA3の見込位置の極座標、従って、時計と、時計の軸15に関連する被捜索物12の極座標を演算し、次いで、ステップ118において、時計11のディスプレイ手段25及び26により対応視覚表示を行う。t1>t2の場合、インデックス1及び2は前記計算式において交換されなければならない。また、本発明の位置特定方法は、返送信号を受信するためのセコンドであるD1アンテナを用いて同様な態様で実施することもできる。
【0032】
一般的に、d2−d1の絶対値はd0未満であり、そして、前記三角測量演算は、図3における符号P及びQのような、軸15に関する2つの見込対称位置を提供する。図3に示された本例では、これら位置の各方向はアナログ・ディスプレイ25の時針51と分針52により指示される。一方、公距離(本例では4.9m)はデジタル・ディスプレイ26により表示される。あらゆる不明確性を取り除くために、少なくとも一つの追加測定が明らかに必要である。従って、ステップ119において、サーチデバイスD1が移動された後、サーチデバイスD1を前記追加測定が行われるであろう新たな位置に配置させる。図3において、新規位置11aへの移動は物体移行の動きにより行われる。本発明の範囲内で選択される技術(すなわち、UWB技術)は特に好適な選択である。なぜなら、UWBスタンダードIEEE802.15.4aによれば、UWB受信機は、2つの信号速度が周波数499.2MHzで15ps(ピコ秒)超になるやいなや、2つの信号の受信を区別できるからである。(この時間的距離は帯域幅が大きくなれば更に短くすることもできる。)従って、デバイスD2の信号アンテナA3で2つの信号受信を識別可能であるために、デバイスD2内に配設された受信機について、d1とd2の差は少なくとも5mmでなければならないだけである。本発明の特徴によれば、デバイスD1の2本のアンテナA1及びA2間の間隔が小さい場合であっても、2つのアンテナにより同時に発信された2つの信号の受信は、デバイスD2内の1本のアンテナに付属される同じ単一受信機により管理される。このことは電力消費量が極めて少なくて済むことを意味し、2つの信号受信間の時差は直通電子回路を用いて演算することができ、しかも、時差を極めて正確に決定できることを意味する。
【0033】
しかし、アンテナA1及びA2の軸線方向に対して垂直位置にアンテナA3が接近してくると、デバイスD2内に配設された単一受信機は2つの信号受信を正確に区別することができなくなる。本発明におけるこの特定の問題に対して少なくとも2つの変法が考えられ得る。本発明の位置特定方法における第1の変法では、サーチ・コマンドを受けた後、ユーザはサーチデバイスD1を或る角度(特に、少なくとも30度)回転させる。位置特定信号が2本のアンテナA1及びA2により所定の時間間隔で繰り返し同時に発信される。正当な返送信号を受信するやいなや、位置特定信号の送信を停止する。さもなければ、或る時間経過後に送信を止め、何も検出しなかった旨のメッセージをユーザに与える。第2の変法では、2本のアンテナA1及びA2により単一の位置特定信号を送信する。位置特定に失敗した場合、被捜索物が存在しないと結論する前に、ユーザは少なくとも所定の角度だけサーチデバイスを回転させ、新たな空間構成内に新たな位置特定信号を発信するために制御装置を再度駆動させなければならない。被捜索物が位置特定エリア内に存在する場合、サーチデバイスは本発明の方法によりその位置を検出することができるであろう。前記第1の変法及び第2の変法と併用することもできる、別の変法では、2つの信号の分離を適時に行うことができなかった2つの信号のうちの少なくとも一つの信号の受信を少なくとも或る場合には受信機が認識することができるものと考え、そして、その後、別の位置特定信号が送信される前に、自動的にか若しくは制御手段が再駆動される前に、受信機がユーザにサーチデバイスの回転を促すための特定のメッセージを送信する。
【0034】
前記の追加測定を行うために、最初の返送信号の処理により得られた2つの見込方向の中から被捜索物の方向を明確に決定するために、図4は、物体移行無しに、従って、場所の変更無しに腕時計の基準軸15の方位を変更するために、腕時計のダイアルの平面内で腕時計11の限定的回転の形の前記動きの実施態様を示す。図面を簡略化するために、腕時計11は一対のアンテナA1及びA2によってのみ示されている。図中における参照フレームは地球である。最初の測定による被捜索物の2つの見込位置はポイントP及びQにより示されている。
【0035】
時計11を例えば時計回り方向に角度wだけ回転させた後、アンテナの新たな位置は時計の基準軸15の新たな位置を画定する。その結果、ポイントP及びQについて記憶された座標は、ポイントP及びQからwだけ角度的に偏位されたポイントP’及びQ’を画定する。次いで、デバイスD1は最初のシーケンスのステップ110,112,113,115,116及び117と同様なステップ120〜125を含む第2の位置特定シーケンスを実行する。しかし、補充演算はステップ125で行われる。このシーケンスは、例えば、数十秒とステップ117の後の数秒との間の遅延後に自動的に開始されることが好ましい。しかし、このシーケンスは手動コマンドにより実施することもできる。被捜索物12の実際の位置は地球上では不変なので、デバイスD1で行われた三角測量演算は一般的に、前記と同様な被捜索物12の2つの見込位置(図4では、ポイントSとTで示されている)を提供する。被捜索物12の位置を示すポイントは、実際にはポイントP又はQと符合するポイントである。従って、図4では、ポイントSがポイントPと符合する。軸15’に基づく基準システムでは、デバイスD1はステップ125において、ポイントS及びTのどちらが、各ポイントP’及びQ’に関して−wだけ角度的に偏位されたか選択しなければならない。次いで、ステップ126において、時計表示手段により被捜索物12の視覚表示が行われる。この位置方向は2本の重ね合わされた時針51と分針52により表示され、一方、距離はデジタル・ディスプレイ26により表示される。
【0036】
P’及びQ’から各ポイントがそれぞれ角度的に偏位した方向に従ってポイントS及びTを区別するには、サーチデバイスD1に、時計11が2つの位置特定シーケンス間で受ける回転方向を示さなければならない。簡単で経済的な解決策は、操作指示において回転方向(例えば、時計回り方向)を命令することである。さもなければ、ジャイロスコープをデバイスD1内に組み込むこともできるが、この方法は比較的高価で複雑であるばかりか、電力消費量を増大させる。しかし、ジャイロスコープは、時計の方位が測定後に変化するときの環境に関して時計の針の方向を維持することができる。
【0037】
何らかの理由により、ポイントSとポイントTの区別が出来ない場合、デバイスD1は、ポイントP及びQの座標の代わりに、ポイントSとポイントTの座標を記憶することもでき、その後、ステップ120から新たな位置特定シーケンスを実施する。しかし、ステップ126においてディスプレイが正常に実行された場合、サーチは完了したものと見做され、そして、デバイスD1はステップ127において自動的に停止する。サーチコマンドの終了はステップ128においてターゲットデバイスD2で行われる。この動作は例えば、タイミングによるか又はエントリー・キー38の手動動作により自動的に行われる。次いで、ターゲットデバイスD2はステップ129において再びスタンバイ状態にされ、ウェークアップ受信機だけが電源ONされる。
【0038】
変法において、サーチデバイスD1の別の操作モードが提供され得る。例えば、ユーザ自身が周囲に関する時計の針の動きを解釈しながら、時計11の異なる一連の位置における位置特定シーケンスを周期的に受信する。ステップ120〜127を実施する必要は無い。位置特定シーケンスの連続的受信は図8の矢線130により随意選択的に示されている。この連続的受信は、例えば、1/2秒〜1秒程度のリズムで実施できる。新たなシーケンス(ステップ110〜118)は格納されているデータ位置を上書きし、被捜索物12の新たな距離と(一般的に)2つの新たな見込方向を表示する。ユーザは2本の針の動きを観察せざるを得なくなり、そして、その動きから、どちらが空間内で比較的一定の位置を示しているか推理し、被捜索物の真正な位置に対応する方向を見定める。従って、サーチデバイスにとって、2つの方向のうちどちらが正しい方向か決定するように構成することは不要である。なぜなら、ユーザ自身が、ディスプレイがどのように変化したか観察することにより、この操作を行うことができるからである。
【0039】
ユーザが2本の針のうちの一方の針の方向に時計を動かしたとき、解釈は容易になる。例えば、この針が空間内で同じ方向を維持している場合、時計は被捜索物に向かって動いていることを意味するからである。この操作モードは図3に示されている。ユーザが、時計11の初期位置から出発し、分針52の方向に向かって11aの位置まで動いた場合、新たな位置特定シーケンスは両方の針を動かす。この場合、時針51は被捜索物12の実際の位置P方向を指し示し、分針52は基準軸の新たな位置15aに関してPの対称的位置Qa方向を指し示す。ユーザが両方の針の方向が変化したことを見たら、ユーザは物体移行は正しい方向には起こらなかったことを推理しなければならない。逆に、ユーザが時計を11から11bまで時針51の方向に動かしたら、Pの方向を指し示すこの針はその方向を変えない。従って、この結果から、物体移行は被捜索物12の方向に向かって正しく行われたことを推理できる。このような場合、基準軸の位置15bに関してPの対称的位置Qbの方向を指し示す分針52は、軸の方位が変化するときだけ回転する。ここでも、ユーザは2本の針が重なり合うまで時計を回転させることができる。その後、ユーザは、時計の制御部材を手動動作することにより、位置特定の反復動作を停止させなければならない。
【0040】
同様な操作モードを物体移行を伴わない回転ムーブメントについて適用できる。図4に示された例では、時計回り回転は、方向S及びTを指し示すために、2本の針を別個に動かすことによる効果を有する。これとは逆に、ユーザが2本の針をゆっくりと反時計回りに回転させると、2本の針は、位置特定シーケンス中、ゆっくりと動いて、重なり合うまで互いに接近し、それにより、被捜索物12の真正な方向を指し示す。
【0041】
本発明で重要なことは、前記の操作モードは、時計の真正な回転又は真正な物体移行の動きに限定されないことである。なぜなら、時計が物体移行と回転の両方を為したときにも前記の操作モードを使用できるからである。ユーザが針の動きを正しく解釈するために必要なことは、時計のダイヤルが概ね同じ平面(例えば、水平面)内に維持されることのみである。
【0042】
本明細書では詳細に説明しないが、サーチデバイスD1の別の実施態様によれば、時計がダイアル平面内(一般的に、水平に維持されている)で受けた動き(ムーブメント)を演算するために、デバイスに慣性ユニットを配設することもできる。慣性ユニットは例えば、少なくとも2本の軸を有する加速度計及びジャイロスコープなどを含む。新たな位置特定シーケンスが存在する場合、デバイスは先行シーケンスで記憶された2点の座標を、転置された基準フレームの座標に変換し、動かなかったポイントを発見するために、2つの新たなポイントの座標と比較する。このデバイスの操作モードを図9に示す。位置11cに静置された時計11の最初の位置特定シーケンスは時計の基準フレームにおいてポイントPとQの座標を規定する。ポイントPは、被捜索物12に結合されたターゲットデバイスD2のアンテナの位置であり、ポイントQは、時計の基準軸の位置15cに関するポイントPの対称位置である。
【0043】
ユーザが時計を移動させると、サーチデバイスは加速度計とジャイロスコープによりこの移動(ムーブメント)の成分を周期的に測定し、時計の基準フレームの新たな位置に関するP及びQの座標を再演算し、そして、中間地点11dに示されるように、針51及び52を指向させる。次いで、図8について説明したのと同様に、第2の位置特定シーケンスは時計の任意の位置11eにおいて自動的に又は手動的に開始される。このシーケンスにより、サーチデバイスD1は、被捜索物12の真正な位置Pと基準軸の現行位置15eに関する対称イメージの位置とを識別し、そして、2本の針51及び52が重なることにより被捜索物12の位置を表示し、一方、デジタル・ディスプレイ26は距離を表示することができる。従って、ユーザは被捜索物12が何処にあるか知り、そして、ユーザが望むならば、UWBにより更に厳密に捜索を続けるか若しくは捜索を終了することができる。
【0044】
以上説明したように、本発明は極めて小型の装置に組み込むことが出来る位置特定システムを提供する。本発明の位置特定システムによれば、ターゲットデバイスは、位置を特定すべき物体に別個に結合させることができ、そして、ユーザは必要なときにサーチデバイスを簡単に帯有することができる。サーチデバイスは時計に兼備させる必要はない。このようなサーチデバイスを被捜索物の位置特定用途にのみ使用する装置に組み込むことも出来るし、若しくは、例えば、携帯電話又は浮動衛星位置特定デバイスなどのような、電源、電子回路及び2つの方向と距離を示すことができるディスプレイ手段を有する別の携帯装置に組み込むことも出来る。
【0045】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0046】
A1,A2、A3 アンテナ
D1 サーチデバイス
D2 ターゲットデバイス
d0 アンテナA1とA2間の間隔
d1 アンテナA1とA3間の距離
d2 アンテナA2とA3間の距離
t1 アンテナA1とA3間の信号移動時間
t2 アンテナA2とA3間の信号移動時間
P,T,Q,S 被捜索物の見込位置
w 偏位角
11,11a,11b,11c,11d,11e 時計
12 被捜索物
13 手動制御部材
14 電子ユニット
15,15’,15a,15b,15c,15e アンテナA1とA2の中心位置を通過する軸
20 送信/受信スイッチ
21,22 モジュール
23 デジタル処理ユニット
24 エントリー・キー
25 アナログディスプレイ
26 デジタルディスプレイ
28 UWBパルス発生器
29 増幅器
30a,30b 増幅器
31a,31b エネルギー検出器
32a,32b デモジュレータ
34 UWB送信モジュール
35 UWB受信モジュール
36 送信/受信スイッチ
37 デジタル処理ユニット
38 エントリーキー
39 音響変換器
41 UWBパルス発生器
42 増幅器
43 増幅器
44 エネルギー検出器
45 デモジュレータ
46 ウェークアップ受信機
49 ターゲットデバイスのクロック回路
50 サーチデバイスのクロック回路
51 時針
52 分針
102 ウェークアップ信号
106 受信確認信号
111 位置特定信号
114 返送信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯装置(11)内に組み込まれたサーチデバイス(D1)と、被捜索物に付属されたターゲットデバイス(D2)との間で交換される電磁信号により被捜索物(12)の位置を特定する方法であり、前記サーチデバイス(D1)は互いに離間された一対のアンテナ(A1及びA2)が付属されたトランシーバ、表示装置、当該トランシーバ及び表示装置を管理する電子装置を有し、前記ターゲットデバイス(D2)は、アンテナ(A3)と前記サーチデバイスから発信された信号の受信を検出できる電子装置を有し、
前記方法は、
前記信号はUWB信号であり、
(i)ターゲットデバイス(D2)が、当該ターゲットデバイス用の識別コードを含有するウェークアップ信号(102)を使って前記サーチデバイスにより起動され、かつ、受信確認信号(106)に応答するウェークアップ段階と、
(ii)位置特定段階と、
からなる連続的段階を含み、
前記位置特定段階は、
(a)サーチデバイス(D1)が、その2本のアンテナ(A1,A2)から2つの各位置特定信号(111)を発信し、
(b)前記2つの位置特定信号を受信するターゲットデバイス(D2)が、サーチデバイス(D1)の2本のアンテナ(A1,A2)と前記ターゲットデバイス(D2)のアンテナ(A3)との間の前記2つの位置特定信号の各移動時間(t1、t2)間の差(tdiff)を測定し、
(c)ターゲットデバイスが、前記移動時間差に関する表示を包含する返送信号(114)を精密化し、そして発信し、
(d)サーチデバイス(D1)が、前記2つの位置特定信号(111)のうちの少なくとも一つの発信と、サーチデバイスの2本のアンテナのうちの一方のアンテナによる返送信号(114)の第1の受信又は第2の受信との間の総時間(tdist)を測定し、そして、前記総時間(tdist)、各移動時間の前記時差(tdiff)及び位置特定の第1の受信又は第2の受信と返送信号の発信との間の処理時間に基づき前記移動時間(t1、t2)を演算し、そして、
(e)前記移動時間(t1、t2)及び2本のアンテナ(A1,A2)間の間隔(d0)に基づき、三角測量法により被捜索物(12)の位置又は2つの見込位置(P,Q)を演算し、そして、前記位置又は前記見込位置の少なくとも方向を表示する、
ことからなる少なくとも一つの位置特定シーケンスを含む、
ことを特徴とする被捜索物の位置特定方法。
【請求項2】
位置特定信号の第1の受信又は第2の受信と返送信号の発信との間の前記処理時間はターゲットデバイスにより決定され、そして、前記返送信号に含めてターゲットデバイスにより送信される、
ことを特徴とする請求項1記載の被捜索物の位置特定方法。
【請求項3】
位置特定シーケンスは周期的に又は要求により反復される、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の被捜索物の位置特定方法。
【請求項4】
位置特定シーケンスを反復する前に、サーチデバイス(D1)を移動させ、そして、前記反復後にディスプレイ中の変化を観察する、
ことを特徴とする請求項3記載の被捜索物の位置特定方法。
【請求項5】
前記移動は、サーチデバイス自体の回転であるか又は前記見込位置のうちの一方の位置方向への物体移行である、
ことを特徴とする請求項4記載の被捜索物の位置特定方法。
【請求項6】
サーチデバイス(D1)において、第1の位置特定シーケンスにより得られた前記見込位置(P,Q)の座標を記憶し、サーチデバイスの移動(M)を測定し、前記見込位置の座標及びその表示を前記移動に従って更新し、かつ、
前記見込位置を選択するために、第2の位置特定シーケンスで演算された見込位置を第1の位置特定シーケンスの見込位置と比較する、
ことを特徴とする請求項4記載の被捜索物の位置特定方法。
【請求項7】
請求項1に記載の被捜索物の位置特定方法を実施するための物体位置特定システムであり、携帯装置(11)内に組み込まれたサーチデバイス(D1)と、被捜索物に付属されたターゲットデバイス(D2)を有し、前記サーチデバイス(D1)は互いに離間された一対のアンテナ(A1及びA2)が付属されたトランシーバ(21,22)、少なくとも一つの方向を指示するための表示装置(25,26)、当該トランシーバ及び表示装置を管理する電子装置(23)を有し、前記ターゲットデバイス(D2)は、アンテナ(A3)と前記サーチデバイスから発信された信号の受信を検出し、かつ、その信号に応答できる電子装置(37)が付属されたトランシーバ(34,35)を有し、
サーチデバイス(D1)とターゲットデバイス(D2)間で交換される信号はUWB信号であり、
ターゲットデバイス(D2)は、ターゲットデバイスがスタンバイ状態の時及びウェークアップ信号が、前記トランシーバ(34,35)の電源を入れるターゲットデバイス用の識別コードを包含する時にウェークアップ信号を受信し、そして復号化するように構成されたウェークアップ受信機(46)を更に有する、
ことを特徴とする被捜索物位置特定システム。
【請求項8】
前記ターゲットデバイス(D2)は、サーチデバイスの2本のアンテナ(A1,A2)から発信される2つの各位置特定信号のそれぞれの受信間の時差(tdiff)を測定し、かつ、返送信号(114)内に前記時差の表示を組み込むように構成されている、
ことを特徴とする請求項7記載の被捜索物位置特定システム。
【請求項9】
前記ターゲットデバイスは、位置特定信号の第1の受信又は第2の受信と返送信号の発信との間の処理時間(tproc)を決定するようにも構成されている、
ことを特徴とする請求項8記載の被捜索物位置特定システム。
【請求項10】
前記携帯装置はアナログ時刻ディスプレイ(25)を有する電子時計(11)であり、2本の針(51,52)は、2つの見込位置方向又は針の重ね合わせにより単一の決定方向を同時に指示するためにサーチデバイスにより使用される、
ことを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の被捜索物位置特定システム。
【請求項11】
前記時計は、サーチデバイスとターゲットデバイスとの間の距離を示すためにサーチデバイスにより使用されるデジタル・ディスプレイ(26)を有する、
ことを特徴とする請求項10記載の被捜索物位置特定システム。
【請求項12】
特に請求項1記載の被捜索物位置特定方法を実施するためのサーチデバイス(D1)であって、該サーチデバイス(D1)は互いに離間された一対のアンテナ(A1及びA2)が付属されたトランシーバ(21,22)、少なくとも一つの方向を指示するための表示装置(25,26)、当該トランシーバ及び表示装置を管理する電子装置(23)を有し、
前記トランシーバ(21,22)はUWBトランシーバであり、
前記表示装置は2つの見込位置方向又は針の重ね合わせにより単一の決定方向を同時に指示することができる2本の針(51,52)を有する、
ことを特徴とするサーチデバイス(D1)。
【請求項13】
前記サーチデバイス(D1)は、アナログ時刻ディスプレイ(25)を有する電子時計(11)に組み込まれている、
ことを特徴とする請求項12記載のサーチデバイス(D1)。
【請求項14】
前記時計は、時刻表示を行うことができ、かつ、前記サーチデバイスとターゲットデバイスとの間の距離を示すためにサーチデバイスにより使用されるデジタル・ディスプレイ(26)を有する、
ことを特徴とする請求項13記載のサーチデバイス(D1)。
【請求項15】
特に請求項1記載の被捜索物位置特定方法を実施するためのターゲットデバイス(D2)であって、当該ターゲットデバイスはアンテナ(A3)と関連サーチデバイスから発信された信号の受信を検出することができる電子装置が付属されたトランシーバ(34,35)を有し、
前記トランシーバはUWBトランシーバであり、
前記ターゲットデバイスは、異なる時間で受信した2つの位置特定信号間の受信時差を測定するための回路を有し、かつ、前記受信時間差に関する表示を含有する返送信号を精密化し、かつ発信するための手段を有する、
ことを特徴とするターゲットデバイス(D2)。
【請求項16】
前記ターゲットデバイス(D2)は、2つの位置特定信号のうちの一つの信号の受信と前記返送信号の発信との間の処理時間を決定する手段と有し、かつ、前記返送信号内に前記処理時間に関する指示を送信するように構成されている、
ことを特徴とする請求項15記載のターゲットデバイス(D2)。
【請求項17】
前記ターゲットデバイス(D2)は、ターゲットデバイスがスタンバイ状態の時及びウェークアップ信号が、前記トランシーバ(34,35)の電源を入れるターゲットデバイス用の識別コードを包含する時にウェークアップ信号を受信し、そして復号化するように構成されたウェークアップ受信機(46)を更に有する、
ことを特徴とする請求項15記載のターゲットデバイス(D2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−196998(P2011−196998A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53578(P2011−53578)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(506407051)ザ スウォッチ グループ リサーチ アンド ディベロップメント リミティド. (17)
【Fターム(参考)】