説明

被覆シート付き不燃性内装パネル及びその取付け構造

【課題】意匠性に優れると共に、火災や地震などの災害時においても、破損や脱落が起こりにくい被覆シート付き不燃性内装パネル及び該不燃性内装パネルに最適な取付け方法を提供する。
【解決手段】不燃性材料よりなる芯材パネル10を樹脂シート20により被覆した被覆シート付き不燃性内装パネル1。芯材パネル10は、室内側に配される意匠面11と、該意匠面11の反対側の裏面12と、意匠面11と裏面12とを繋ぐ側面13とを有している。樹脂シート20は、1枚のものを引き延ばして、芯材パネル10の意匠面11の全面、側面13の全面及び裏面12の一部を覆うように貼付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃性を有する芯材パネルに樹脂シートを貼り付けた被覆シート付き不燃性内装パネル及びその取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や店舗等の様々な建築物において、内装の意匠性を向上させることを目的として、壁面をなす内装下地材の表面に凹凸形状や、デザインを施した内装パネルを配設する場合がある。内装パネルは、内装下地材の表面に配設されるため、火災や地震などの災害時において、燃焼や脱落による事故を防止する必要がある。このような事故防止には、上記内装パネルの材料をセメント系材料、セラミック系材料、金属等の不燃材とすることにより、上記内装パネルに不燃性を付加して防火性能を向上させることが考えられる。防火性能を向上させた不燃性内装パネルとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
また、不燃性内装パネルを内装下地材に取付ける方法としては、不燃性内装パネルの裏面に接着剤を塗布し接着固定する方法や、フィニッシュネイル、スクリュー、ボルト、釘等の金具を用いた方法が多く用いられている。より強固に取付けを行う場合には、2つの方法を併用する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−263485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震発生時には建築物が揺動することにより、内装パネルを固定した内装下地材に変形が生じる。このとき、内装パネルは、内装下地材と直接結合し固定されている場合、内装下地材の変形に追従しようとする。内装パネルの材料が不燃性を向上させたセメント系材料又はセラミック系材料である場合、脆性が高いため変形に伴う負荷により亀裂、割れ等が生じ破損するおそれがある。上記内装パネルが破損した場合には、内装パネルが脱落し、人に当たるなどの危害を生じるおそれがある。
また、内装パネルの材料として、上記のセメント材料に代えて脆性が低く破損しにくい金属材料を用いることが考えられるが、この場合には、重量が重くなる場合が多く、硬度も高いことから、脱落時の危険性が高まり好ましくない。
【0006】
また、不燃性内装パネルを内装下地材に取付ける方法としては、前述したように種々の方法がある。いずれの方法も長短はあるが、内装パネルの取付けに最適な取付け方法がいかなるものであるかを決定することも重要である。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、意匠性に優れると共に、災害時においても、破損や脱落が起こりにくい被覆シート付き不燃性内装パネル及び該不燃性内装パネルに最適な取付け方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、不燃性材料よりなる芯材パネルを樹脂シートにより被覆した被覆シート付き不燃性内装パネルであって、
上記芯材パネルは、室内側に配される意匠面と、該意匠面の反対側の裏面と、上記意匠面と上記裏面とを繋ぐ側面とを有し、
上記樹脂シートは、1枚のものを引き延ばして、少なくとも上記芯材パネルの上記意匠面の全面、上記側面の全面及び上記裏面の一部を覆うように貼付けたことを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネルにある(請求項1)。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の被覆シート付き不燃性内装パネルを内装下地材へ取付ける取付け構造であって、
底板部と、該底板部の少なくとも一端から立設した側壁部と、該側壁部の先端から、上記底板部とは反対の方向に屈曲した鍔部とを有する金属製のジョイナーを用い、
該金属製のジョイナーの上記底板部を、上記内装下地材に当接させると共に固定し、上記鍔部と上記内装下地材との間にそれぞれ上記被覆シート付き不燃性内装パネルの側端部を挟持して固定することを特徴とする不燃性内装パネルの取付け構造にある(請求項9)。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明において、上記樹脂シートは、1枚のものを引き延ばして、上記芯材パネルの上記意匠面の全面、上記側面の全面及び上記裏面の一部を覆うように貼付けてある。そのため、地震発生時に上記芯材パネルが破損したとしても、上記樹脂シートが補強材の役割を果たし、その形状を維持することができる。特に上記樹脂シートが、1枚のものを引き伸ばして、上記意匠面だけではなく、上記側面及び上記裏面の一部までを連続して覆っていることにより、非常に優れた形状維持効果を得ることができる。
また、上記樹脂シートの色や模様等を変化させることにより、上記被覆シート付き不燃性内装パネルのデザインを自由に変化させることができる。それゆえ、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの意匠性を向上させることができる。
【0011】
第2の発明においては、金属製のジョイナーの上記底板部を、上記内装下地材に当接させると共に固定し、上記鍔部と上記内装下地材との間にそれぞれ上記被覆シート付き不燃性内装パネルの側端部を挟持して固定してある。すなわち、上記被覆シート付き不燃性内装パネルと上記内装下地材とは、直接的には結合されていない。そのため、地震などにより上記内装下地材にたわみ等の変形が生じた場合においても、上記被覆シート付き不燃性内装パネルは上記内装下地材と相対的に移動可能に取付けられているため、変形の影響を受けにくい。したがって、上記被覆シート付き不燃性内装パネルにかかる負荷を低減し、破損を防止することができる。
【0012】
また、上記ジョイナーは金属製のため、樹脂製ジョイナー等に比べ高強度で、かつ耐熱性及び不燃性に優れている。それゆえ、地震や火事等の災害発生時においても、その形状を維持し、上記被覆シート付き不燃性内装パネルを固定することができる。
【0013】
本発明においては、上記被覆シート付き不燃性内装パネルが有する形状維持効果と、該被覆シート付き不燃性内装パネルの取付け構造における破損防止効果との相乗効果により、極めて優れた形状維持効果を発揮することができる。さらに、上記の優れた取付け構造を用いることにより、災害時においても、形状を維持した上記被覆シート付き不燃性内装パネルを内装下地材に固定し続けることができ、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの脱落を確実に防止することができる。
【0014】
このように、本発明によれば、意匠性に優れると共に、災害時においても、破損や脱落が起こりにくい被覆シート付き不燃性内装パネル及び該不燃性内装パネルに最適な取付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における、被覆シート付き不燃性内装パネルの配設状態を示す説明図。
【図2】図1のA−A線矢視断面の部分拡大図。
【図3】実施例1における、被覆シート付き不燃性内装パネルの意匠面を示す斜視図。
【図4】実施例1における、被覆シート付き不燃性内装パネルの裏面を示す斜視図。
【図5】図3のB−B線矢視拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に示す上記樹脂シートの材料は、オレフィン、ポリエチレンテレフタレート等の種々の樹脂材料を用いることができるが、特に塩化ビニル樹脂を用いることが好ましい。該塩化ビニル樹脂は、燃えにくいため、被覆シート付き不燃性内装パネルの不燃性を悪化させることがない。
【0017】
また、上記樹脂シートが、上記芯材パネルの上記意匠面の全面、上記側面の全面及び上記裏面の一部を覆う範囲には、切り込みが設けられておらず、繋がった状態で配されることが好ましい(請求項2)。この場合には、上記芯材パネルを覆う上記樹脂シートに切れ目がないため、該樹脂シートによる補強効果を向上することができる。したがって上記芯材パネルが破損した場合においても、より確実に形状を維持することができる。また、上記樹脂シートに切れ目がないため、該樹脂シートを貼り付けた被覆シート付き不燃性内装パネルの意匠性をより向上することができる。
【0018】
また、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの板厚t(mm)は、6mm≦t≦50mmであることが好ましい(請求項3)。この場合には、上記被覆シート付き不燃性内装パネルに必要な強度を確実に確保することができる。
上記被覆シート付き不燃性内装パネルの板厚t(mm)がt<6mmの場合には、その板厚が薄くなるため、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの剛性が低下する。また、t>50mmの場合には、室内への突出量が大きくなる。そのため、上記被覆シート付き不燃性内装パネルを上記内装下地材からなる壁面の一部に用いた場合には、上記被覆シート付き不燃性内装パネルと上記内装下地材との間の段差が目立ち、意匠性を損なうおそれがある。また、上記被覆シート付き不燃性内装パネルを上記内装下地材からなる壁面の全面に用いた場合には、室内空間が狭くなるという問題が生じるおそれがある。
尚、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの意匠面に凹凸形状を形成した場合、板厚t(mm)は、上記凹凸形状の底部と上記裏面との間の距離を指すものである。
【0019】
また、上記芯材パネルの上記意匠面は、凹凸形状を呈した凹凸意匠面であることが好ましい(請求項4)。この場合には、上記意匠面におけるデザインの自由度を向上することができる。したがって、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの意匠性を向上させることができる。
【0020】
また、上記芯材パネルの上記意匠面の平面視における平面領域の面積Sに対して、上記凹凸意匠面の表面積が1.00S超〜1.60Sであることが好ましい(請求項5)。この場合には、上記樹脂シートを引き延ばしながら、上記芯材パネルに確実に貼り付けることができる。
上記凹凸意匠面の表面積が1.00S以下の場合、凹凸形状を形成することができない。
また、上記凹凸意匠面の表面積が1.60Sを超える場合、上記樹脂シートの伸び量の限度を超えるため、貼付けができなくなるおそれがある。
【0021】
また、上記芯材パネルがゾノトライト系ケイ酸カルシウムからなることが好ましい(請求項6)。ゾノトライト系ケイ酸カルシウムは、熱収縮及び熱膨張が極めて小さく、高温に加熱された場合及びその後の冷却時においても破損を生じにくい。また、高温に加熱した後、急冷した場合においても崩壊することなく、形状を維持することができる。したがって、火災時においても、火災時における上記芯材パネルの破損を防止し、上記被覆シート付き不燃性内装パネルによる防火性能を確実に維持することができる。
【0022】
それに対して、不燃性内装パネルに用いられるゾノトライト系ケイ酸カルシウムを除くセメント系材料(例えばトバモライト系ケイ酸カルシウム)及びセラミック系材料は、火災により高温に熱せられた場合、例え燃焼しなくとも、亀裂又は割れが生じやすい。また、ゾノトライト系ケイ酸カルシウムを除くセメント系材料及びセラミック系材料は、火災の初期消火時にスプリンクラー等による放水で、加熱状態から急冷されると容易に崩壊する。そのため、火災発生の初期段階で不燃性内装パネルが脱落し、防火性能が失われやすい。また、熱衝撃により破損しにくい金属材料を用いることも考えられるが、耐熱温度の面でゾノトライト系ケイ酸カルシウムがより優れているため、ゾノトライト系ケイ酸カルシウムを用いることが好ましい。
【0023】
また、上記樹脂シートの厚みは、貼付け前の状態で0.2±0.05mmであることが好ましい(請求項7)。この場合には、上記樹脂シートを引き延ばしながら、上記芯材パネルに確実に貼り付けることができ、かつ上記樹脂シートの目付量を低減することで、不燃性能を向上することができる。
上記樹脂シートの厚みが0.195mm以下の場合、該樹脂シートを引き延ばしながら貼付ける際に、破断するおそれがある。
また、上記樹脂シートの厚みが0.205mmを超える場合、上記被覆シート付き不燃性内装パネルに貼り付けられた上記樹脂シートが燃焼しやすくなり不燃性能が悪化するおそれがある。また、凹凸意匠面に貼付けを行う場合には、上記樹脂シートの追従性が悪化するため、細部に貼付けができないおそれがある。
【0024】
また、上記意匠面には、その外周の輪郭に沿って上記裏面と平行な平面よりなる外周平面部を形成してあることが好ましい(請求項8)。この場合には、上記外周平面部を、第2の発明の取付け方法を採用した場合に、上記ジョイナーに設けた上記鍔部と上記内装下地材とにより挟持することで、上記外周平面部と上記ジョイナーの鍔部とが沿うように配設されるため、上記鍔部の浮き上がりが無く、意匠性を向上することができる。
【0025】
次に、第2の発明に用いるジョイナーの材料には、アルミニウム合金、ガルバリウム鋼、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼板等、種々の金属材料を用いることができる。
【0026】
また、上記ジョイナーは、底板部と、該底板部の両側端から立設した一対の側壁部と、該一対の側壁部の先端から互いに離れる方向に屈曲した一対の鍔部とを有する断面ハット形状の金属製のハット型ジョイナーを用い、上記一対の鍔部と上記内装下地材との間にそれぞれ上記被覆シート付き不燃性内装パネルの側端部を挟持して固定することもできる(請求項10)。この場合には、上下左右に隣接する2枚の上記被覆シート付き不燃性内装パネルの対向する端部を1つのハット型ジョイナーで固定することができる。したがって、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの取付け作業性及び作業効率を向上することができる。
【0027】
また、上記ハット型ジョイナーには、その上記底板部と上記一対の側端部により形成される溝部を覆うように蓋材を設けても良い。また、該蓋材に着色したり、デザインを施してもよい。この場合には、上記ハット型ジョイナーの意匠性を向上すると共に、デザインの自由度を向上することができる。
【0028】
(実施例1)
本発明の実施例1にかかる被覆シート付き不燃性内装パネル1について、図1〜図5を用いて説明する。
本例の被覆シート付き不燃性内装パネル1は、図5に示すごとく、不燃性材料よりなる芯材パネル10を樹脂シート20により被覆してある。芯材パネル10は、室内側に配される意匠面11と、該意匠面11の反対側の裏面12と、意匠面11と裏面12とを繋ぐ側面13とを有している。樹脂シート20は、1枚のものを引き延ばして、少なくとも芯材パネル10の意匠面11の全面、側面13の全面及び裏面12の一部を覆うように貼付けてある。尚、図5において、樹脂シート20の厚みは、構成を分かりやすくするために強調して示してあり、実際の寸法比率とは大きく異なるものである。
【0029】
以下詳説する。
被覆シート付き不燃性内装パネル1は、図3〜図5に示すごとく、芯材パネル10を樹脂シート20により被覆してなる。芯材パネル10は、図5に示すごとく、意匠面11と、該意匠面11の反対側に配される平面からなる裏面12とを有している。また、意匠面11と裏面12とは、平面からなる側面13により繋がっている。意匠面11は、四角錐形状の凹凸形状を形成した凹凸意匠面111であり、その外周の輪郭に沿って裏面12と平行な平面よりなる外周平面部112を形成してある。
【0030】
芯材パネル10は、ゾノトライト系ケイ酸カルシウムからなり、500mm×500mmの正方形形状を有する平板状の元板を切削加工することにより、凹凸意匠面111及び外周平面部112を形成してなる。本例においては、図5に示すごとく、該凹凸意匠面111の凹凸形状の底部から、裏面12の間の距離を板厚t(mm)とし、t=10mmとした。また、凹凸意匠面111の外周の輪郭から、内側に10mmの範囲を外周平面部112とした。また、凹凸形状をなす四角錐形状は、その底面が60mm×60mmの正方形からなり、凹凸形状の高さHは9mmである。凹凸形状は、その四角錐の底面をなす正方形の辺と、芯材パネル10の外周をなす辺とが平行となるように形成してある。また、本例において、芯材パネル10の凹凸意匠面111の平面視における平面領域の面積Sに対して、凹凸意匠面111の表面積は1.044Sである。
【0031】
樹脂シート20は、不燃認定を得た塩化ビニル樹脂からなり、貼付け前の状態において、550mm×550mmの正方形形状を有している。また、貼付け前の状態において、樹脂シート20の厚みは0.2mmである。尚、上記の不燃認定とは、建築基準法(第2条9号)の規定により定められる。本例において、不燃認定を得た材料とは、上記規定に基づく性能評価である発熱性試験評価方法に従って認定されるものを指す。この場合には、樹脂シート20が燃えにくいため、被覆シート付き不燃性内装パネルの不燃性を悪化させることがない。
【0032】
本例においては、図示しない真空成型機を用いて芯材パネル10への樹脂シート20の貼付けを行った。上記真空成型機が有するチャンバーボックス内に配されたテーブル上に、芯材パネル10を配置する。このとき、芯材パネル10は、その外周端部を浮かせた状態で配置する。上記チャンバーボックス内において、上記芯材パネル10の上方に樹脂シート20を配すると共に、該樹脂シート20によりチャンバーボックス内の空間を上下に2分割し、上下の空間をそれぞれ密封状態とする。樹脂シート20をヒータにより加熱し、引き延ばしやすくした後、芯材パネル10を配した下方の空間を真空とすることにより、樹脂シート20が芯材パネル10に密着し貼り付けられる。このとき、芯材パネル10の角部及び凹凸形状においても、形状に沿うように樹脂シート20が引き延ばされながら貼付けが行われるため、しわ等が生じない。また、芯材パネル10の端部を浮かせた状態で配置することにより、図4及び図5に示すごとく、芯材パネル10の裏面12まで、樹脂シート20を貼付けすることができる。尚、本例の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいては、意匠面11の全面、側面13の全面及び、裏面12の外周の輪郭から内側に約10mmの範囲を樹脂シート20により覆った。
【0033】
本例においては、図1及び図2に示すごとく、被覆シート付き不燃性内装パネル1の固定に用いるジョイナー3は、軽量なアルミニウム合金からなり、隣接する2枚の被覆シート付き不燃性内装パネル1の間に配される第1ジョイナー31と、外側に配される被覆シート付き不燃性内装パネル1の端部を固定する第2ジョイナー32の2種類を用いた。第1ジョイナー31は、図2に示すごとく、第1底板部311と、該第1底板部311の両側端から立設した一対の第1側壁部313と、該一対の第1側壁部313の先端から互いに離れる方向に屈曲した一対の第1鍔部311とを有する断面ハット形状のハット型ジョイナーである。また、第2ジョイナー32は、図2に示すごとく、第2底板部321と、第2底板部321の一端から立設した第2側壁部323と、該第2側壁部323の先端から、第2底板部321とは反対の方向に屈曲した第2鍔部322とを有している。尚、図2に示す被覆シート付き不燃性内装パネル1の断面においては、樹脂シート20を省略してある。
【0034】
次に、本例における被覆シート付き不燃性内装パネル1の取付け方法について説明する。
本例においては、図1に示すごとく、下段に位置する被覆シート付き不燃性内装パネル1から取付けを行い、順次上段の取付けを行う。まず、下段に配される被覆シート付き不燃性内装パネル1の下方に位置する第2ジョイナー32を、その第2鍔部322が上方に位置し、かつ水平となるよう配設する。下段において隣接する被覆シート付き不燃性内装パネル1の間に配する第1ジョイナー31を垂直に配設する。被覆シート付き不燃性内装パネル1は、第2ジョイナー32の第2鍔部322と内装下地材8とによって、下方に位置する側端部14を挟持され、第1ジョイナー31の第1鍔部312と内装下地材8とによって、隣接する被覆シート付き不燃性内装パネル1と対向する側端部14を挟持されている。
【0035】
次に、図1に示す下段に配した被覆シート付き不燃性内装パネル1の上方に位置する第1ジョイナー31を配設し、該第1ジョイナー31の第1鍔部312と内装下地材8により、下段に配した被覆シート付き不燃性内装パネル1の上方に位置する側端部14を挟持する。上段においても、下段と同様に、隣接する被覆シート付き不燃性内装パネル1の間に配する第1ジョイナー31を垂直に配設する。上段に配される被覆シート付き不燃性内装パネル1は、第2ジョイナー32の第2鍔部322と内装下地材8とによって、下方に位置する側端部14を挟持され、第1ジョイナー31の第1鍔部312と内装下地材8とによって、隣接する被覆シート付き不燃性内装パネル1と対向する側端部14を挟持されている。次に、上段に配した被覆シート付き不燃性内装パネル1の上方に位置する第1ジョイナー31を配設し、該第1ジョイナー31の第1鍔部312と内装下地材8により、上段に配した被覆シート付き不燃性内装パネル1の上方に位置する側端部14を挟持する。
【0036】
尚、本例においては、上述の組付け手順をとったが、これに限るものではない。また、被覆シート付き不燃性内装パネル1の左右両端部には第2ジョイナー32を設けていないが、左右両端部に第2ジョイナー32を設けてもよいし、見切材を設けてもよい。また、第2ジョイナー32においては、第2底板部321が露出するため、該第2底板部321を覆うように見切材を設けることで意匠性を向上することができる。
また、ジョイナー3の断面形状において、略H型等、略コの字形等、種々の形状からなるものを用いることができる。
【0037】
本例における作用効果を説明する。
本例において、図3〜図5に示すごとく、樹脂シート20は、1枚のものを引き延ばして、芯材パネル10の意匠面11の全面、側面13の全面及び裏面12の一部を覆うように貼付けてある。そのため、地震発生時に芯材パネル10が破損したとしても、樹脂シート20が補強材の役割を果たし、その形状を維持することができる。特に樹脂シート20が、1枚のものを引き伸ばして、意匠面11だけではなく、側面13及び裏面12の一部までを連続して覆っていることにより、非常に優れた形状維持効果を得ることができる。
また、樹脂シート20の色や模様等を変化させることにより、被覆シート付き不燃性内装パネル1のデザインを自由に変化させることができる。それゆえ、被覆シート付き不燃性内装パネル1の意匠性を向上させることができる。
【0038】
また、図1及び図2に示すごとく、第1ジョイナー31の第1底板部311及び第2ジョイナー32の第2底板部321を、内装下地材8に当接させると共に固定し、第1鍔部312及び第2鍔部322と内装下地材8との間にそれぞれ被覆シート付き不燃性内装パネル1の側端部を挟持して固定してある。すなわち、被覆シート付き不燃性内装パネル1と内装下地材8とは、直接的には結合されていない。そのため、地震などにより内装下地材8にたわみ等の変形が生じた場合においても、被覆シート付き不燃性内装パネル1は内装下地材8と相対的に移動可能に取付けられているため、変形の影響を受けにくい。したがって、被覆シート付き不燃性内装パネル1にかかる負荷を低減し、その破損を防止することができる。
【0039】
また、本例の第1ジョイナー31及び第2ジョイナー32はアルミニウム合金製のため、樹脂製ジョイナー等に比べ高強度で、かつ不燃性及び耐熱性が高い。それゆえ、火災や地震などの災害時においても、その形状を維持し、被覆シート付き不燃性内装パネル1を固定することができる。
【0040】
また、被覆シート付き不燃性内装パネル1が有する形状維持効果と、被覆シート付き不燃性内装パネル1の取付け構造における破損防止効果との相乗効果により、極めて優れた形状維持効果を発揮することができる。さらに、上記の優れた取付け構造を用いることにより、災害時においても、形状を維持した被覆シート付き不燃性内装パネル1を内装下地材8に固定し続けることができ、被覆シート付き不燃性内装パネル1の脱落を確実に防止することができる。
【0041】
また、図3〜図5に示すごとく、樹脂シート20が、芯材パネル10の意匠面11の全面、側面13の全面及び裏面12の一部を覆う範囲には、切り込みが設けられておらず、繋がった状態で配される。この場合には、芯材パネル10を覆う樹脂シート20に切れ目がないため、該樹脂シート20による補強効果を向上することができる。したがって芯材パネル10が破損した場合においても、より確実に形状を維持することができる。また、樹脂シート20に切れ目がないため、該樹脂シート20を貼り付けた被覆シート付き不燃性内装パネル1の意匠性をより向上することができる。
【0042】
また、図5に示すごとく、被覆シート付き不燃性内装パネル1の板厚t(mm)は、10mmであり、6mm≦t≦50mmの範囲内にある。そのため、被覆シート付き不燃性内装パネル1に必要な強度を確実に確保することができる。
また、図3及び図5に示すごとく、芯材パネル10の意匠面11は、凹凸形状を呈した凹凸意匠面111である。そのため、意匠面11におけるデザインの自由度を向上することができる。したがって、被覆シート付き不燃性内装パネル1の意匠性を向上させることができる。
【0043】
また、芯材パネル10の意匠面11の平面視における平面領域の面積Sに対して、凹凸意匠面111の表面積は、1.044Sであり1.00S超〜1.60Sの範囲内にある。そのため、樹脂シート20を引き延ばしながら、芯材パネル10に確実に貼り付けることができる。
【0044】
また、芯材パネル10がゾノトライト系ケイ酸カルシウムからなる。ゾノトライト系ケイ酸カルシウムは、熱収縮及び熱膨張が極めて小さく、高温に加熱された場合及びその後の冷却時においても破損を生じにくい。また、高温に加熱した後、急冷した場合においても崩壊することなく、形状を維持することができる。したがって、火災時においても、芯材パネル10の破損を防止し、被覆シート付き不燃性内装パネル1による防火性能を確実に維持することができる。
【0045】
また、本例における樹脂シート20の厚みは貼付け前の状態で0.2mmであり、0.2±0.05mmの範囲内にある。そのため、樹脂シート20を引き延ばしながら、芯材パネル10に確実に貼り付けることができ、かつ樹脂シート20の目付量を低減することで、不燃性能を向上することができる。
【0046】
また、図3及び図5に示すごとく、意匠面11には、その外周の輪郭に沿って裏面12と平行な平面よりなる外周平面部112を形成してある。そのため、外周平面部112を、第1ジョイナー31に設けた第1鍔部312及び第2ジョイナー32に設けた第2鍔部322と内装下地材8とにより挟持することで、外周平面部112と第1鍔部312及び第2鍔部322とが沿うように配設されるため、第1鍔部312及び第2鍔部322の浮き上がりが無く、意匠性を向上することができる。
【0047】
また、第1ジョイナー31は、第1底板部311と、該第1底板部311の両側端から立設した一対の第1側壁部313と、該一対の第1側壁部313の先端から互いに離れる方向に屈曲した一対の第1鍔部312とを有する断面ハット形状のハット型ジョイナーである。第1ジョイナー31は、一対の第1鍔部312と内装下地材8との間にそれぞれ被覆シート付き不燃性内装パネル1の側端部を挟持して固定してある。そのため、上下左右に隣接する2枚の上記被覆シート付き不燃性内装パネル1の対向する端部を1つの第1ジョイナー31で固定することができる。したがって、被覆シート付き不燃性内装パネル1の取付け作業性及び作業効率を向上することができる。
【0048】
このように、本例によれば、意匠性に優れると共に、災害時においても、破損や脱落が起こりにくい被覆シート付き不燃性内装パネル及び該不燃性内装パネルに最適な取付け方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 被覆シート付き不燃性内装パネル
10 芯材パネル
11 意匠面
111 凹凸意匠面
112 外周平面部
12 裏面
13 側面
14 側端部
20 樹脂シート
3 ジョイナー
31 第1ジョイナー
311 第1底板部
312 第1鍔部
313 第1側壁部
32 第2ジョイナー
321 第2底板部
322 第2鍔部
323 第2側壁部
8 内装下地材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不燃性材料よりなる芯材パネルを樹脂シートにより被覆した被覆シート付き不燃性内装パネルであって、
上記芯材パネルは、室内側に配される意匠面と、該意匠面の反対側の裏面と、上記意匠面と上記裏面とを繋ぐ側面とを有し、
上記樹脂シートは、1枚のものを引き延ばして、少なくとも上記芯材パネルの上記意匠面の全面、上記側面の全面及び上記裏面の一部を覆うように貼付けたことを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいて、上記樹脂シートが、上記芯材パネルの上記意匠面の全面、上記側面の全面及び上記裏面の一部を覆う範囲には、切り込みが設けられておらず、繋がった状態で配されることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいて、上記被覆シート付き不燃性内装パネルの板厚t(mm)は、6mm≦t≦50mmであることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいて、上記芯材パネルの上記意匠面は、凹凸形状を呈した凹凸意匠面であることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項5】
請求項4に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいて、上記芯材パネルの上記意匠面の平面視における平面領域の面積Sに対して、上記凹凸意匠面の表面積が1.00S超〜1.6Sであることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいて、上記芯材パネルがゾノトライト系ケイ酸カルシウムからなることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルにおいて、上記樹脂シートの厚みは、貼付け前の状態で0.2±0.05mmであることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルであって、上記意匠面には、その外周の輪郭に沿って上記裏面と平行な平面よりなる外周平面部を形成してあることを特徴とする被覆シート付き不燃性内装パネル。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の被覆シート付き不燃性内装パネルを内装下地材へ取付ける取付け構造であって、
底板部と、該底板部の少なくとも一端から立設した側壁部と、該側壁部の先端から、上記底板部とは反対の方向に屈曲した鍔部とを有する金属製のジョイナーを用い、
該金属製のジョイナーの上記底板部を、上記内装下地材に当接させると共に固定し、上記鍔部と上記内装下地材との間にそれぞれ上記被覆シート付き不燃性内装パネルの側端部を挟持して固定することを特徴とする不燃性内装パネルの取付け構造。
【請求項10】
請求項9に記載の不燃性内装パネルの取付け構造であって、底板部と、該底板部の両側端から立設した一対の側壁部と、該一対の側壁部の先端から互いに離れる方向に屈曲した一対の鍔部とを有する断面ハット形状の金属製のハット型ジョイナーを用い、
上記一対の鍔部と上記内装下地材との間にそれぞれ上記被覆シート付き不燃性内装パネルの側端部を挟持して固定することを特徴とする不燃性内装パネルの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−117234(P2012−117234A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266001(P2010−266001)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【特許番号】特許第4719312号(P4719312)
【特許公報発行日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(591196751)旭中部資材株式会社 (13)
【Fターム(参考)】