説明

被覆流体管

【課題】温水配管である被覆流体管1の使用済みの廃材を原料化、製品化してマテリアルリサイクルとして再利用する。
【解決手段】流体管11の外周を覆う被覆層21を、非架橋のポリエチレン発泡体からなる断熱体22で形成し、断熱体22の内面と流体管11の外面との間に、流体管11が断熱体22の内面に接触する面積を小さくする突起24からなる接触防止部23を備えた。突起24は、被覆層21の長手方向に連続して形成した。これにより、被覆層21は非架橋のポリエチレン発泡体で形成されているので、使用済みの廃材を粉砕、再溶解して再利用できる。その一方で、非架橋に伴う耐熱性の低下による断熱体22のへたりは、断熱体22の内面に突起24を設けて流体管11との接触面積を小さくしたことにより防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸建てや集合住宅などにおいて、給湯器で加熱された温水を温水利用端末器までの間で輸送する流体管であって、その外周が被覆層で覆われた被覆流体管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴槽の追い焚きや、温水を床下に循環させて暖房する床暖房システム、温水パネルに温水を供給して暖房するパネルヒータなどにおいては、給湯器から浴槽やパネルヒータ等の温水利用端末器まで温水を輸送する温水配管が用いられており、温水配管としては、給湯器で加熱された温水が輸送中に熱損失によって湯温が低下するのを防止するため、流体管の外周を被覆層で覆った被覆流体管が使用されている。温水利用端末器で用いられる温水は、給湯器で加熱されて行き配管を流れ、温水利用端末器に供給されて放熱した後、戻り配管を流れて給湯器に戻され、再び加熱されて温水配管を循環する。或いは、洗面、台所流し、トイレ等に使用される場合では、温水は循環することなく温水利用端末器で放出されて利用される。このうち、床暖房システムなどで循環配管として用いられる被覆流体管に関しては、例えば、特許文献1に記載された技術が開示されている。
【0003】
図6は従来のこの種の被覆流体管を示す。図6において、被覆流体管41は、一対の流体管42の外周が断熱体44からなる被覆層43で覆われている。ここで、被覆流体管41の内部は温水が通流するから、流体管42は、一般に、防水性を備え、汎用性を有し、低コストの架橋ポリエチレンが用いられており、また、被覆層43は、耐熱性等の点から、同様に、架橋ポリエチレン樹脂発泡体等の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の被覆流体管41の被覆層43は、一般に、架橋ポリエチレン樹脂等の架橋ポリオレフィン系樹脂の発泡体が用いられ、架橋による三次元網目構造を有するため、リサイクルにおいて、再溶解して成形加工することは困難であった。このため、使用済みとなった被覆流体管41の被覆層43は、現状では、産業廃棄物として処理するか、リサイクルとして再利用する場合は、ごみ発電として燃焼させてエネルギを回収したり、固形燃料として燃料化するサーマルリサイクルによる再利用に限られている。即ち、廃材を粉砕しプラスチックの原料化と製品化を行なうマテリアルリサイクルによる再利用までには至っておらず、資源の有効活用が十分に図られていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、温水配管であって、使用済みの廃材を原料化、製品化してマテリアルリサイクルとして再利用できる被覆流体管の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の被覆流体管は、流体管の外周が被覆層で覆われたものであって、前記被覆層は、非架橋発泡体で形成された断熱体からなり、前記断熱体の内面と前記流体管の外面との間に、前記流体管が前記断熱体の内面に接触する面積を小さくする接触防止部を備えてなる。ここで、非架橋発泡体として、非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体、好ましくは、吸水性に優れ、成形し易く安価な非架橋ポリエチレン発泡体が用いられる。
請求項2の被覆流体管は、断熱体が、非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体からなる。
【0008】
請求項3の被覆流体管は、特に、前記接触防止部が、断熱体の内面から突出する突起で形成されている。これにより、流体管が断熱体の内面に接触する面積は小さくなる。
請求項4の被覆流体管は、特に、前記突起が、長手方向に連続して形成されている。
【0009】
請求項5の被覆流体管は、流体管の外周が被覆層で覆われたものであって、被覆層は、非架橋発泡体で形成された断熱体と、該断熱体の内面と前記流体管の外面との間に介在し熱伝導率の小さい材質で形成された熱遮断体とからなる。
【0010】
請求項6の被覆流体管は、被覆層が、断熱体と熱遮断体とが積層されてなる。
請求項7の被覆流体管は、断熱体が、非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体からなり、熱遮断体が、非架橋ポリプロピレン樹脂で形成されている。断熱体に用いられる非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体としては、特に、非架橋ポリエチレン発泡体が用いられる。
【0011】
請求項8の被覆流体管は、流体管が、非架橋ポリエチレンからなる。
請求項9の被覆流体管は、流体管が、複数本を束ねてポリオレフィン系樹脂からなるフィルムで覆われている。通常は、行き配管と戻り配管との一対の流体管が束ねられる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、断熱体からなる被覆層が非架橋の発泡体で形成されているので、被覆流体管が使用済み後、被覆層は、粉砕し、再溶解して原料化することができ、このために、成形加工による製品化が可能である。したがって、製品原料として再利用でき、マテリアルリサイクルとして資源を有効活用できる。
【0013】
その一方で、被覆層は直鎖構造の非架橋発泡体で形成されているために、耐熱性が低下し、被覆層がへたって薄くなり断熱効果が低下するのが懸念されるが、請求項1の被覆流体管は、断熱体の内面と流体管の外面との間に、流体管が断熱体の内面に接触する面積を小さくする接触防止部を備えているから、流体管内を通流する温水の熱が流体管から断熱体に移動する量が低減される。そのため、断熱体が熱によってへたり薄くなって断熱効果が低下するのを防止できるから、この被覆流体管を温水配管として支障なく使用できる。
請求項2の発明は、断熱体が非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体からなるので、請求項1と同様の効果を奏する。また、ポリオレフィン系樹脂は汎用性があり、断熱体を安価に製造できる。
【0014】
請求項3の発明は、断熱体の内面から突起が突出しているから、断熱体の内面と流体の外面との間に空気層が形成され、この空気層は断熱機能を有するので、流体管から断熱体に伝わる熱量をより低減でき、断熱体が熱によってへたるのを更に抑えることができる。
請求項4の発明は、請求項3の突起が長手方向に連続して形成されているから、流体管から断熱体に伝わる熱量を長手方向に至って連続して低減できる。また、突起の断面を長手方向に至って一定なものとした場合には、この突起が設けられた断熱体を押出成形により簡単に製造できる。
【0015】
請求項5の発明は、断熱体からなる被覆層が非架橋発泡体で形成されているので、請求項1と同様に、被覆層は、製品原料として再利用でき、資源を有効活用できる。また、断熱体の内面と流体管の外面との間に熱遮断体が介在するので、請求項1と同様に、流体管内の温水の熱が断熱体に伝わる量を低減でき、断熱体が熱によってへたり断熱効果が低下するのを防止できる。
【0016】
請求項6の発明は、断熱体と熱遮断体とが積層されているから、被覆層を一体物として取り扱い性が向上する。
請求項7の発明は、断熱体が非架橋のポリオレフィン系樹脂発泡体からなり、熱遮断体が非架橋のポリプロピレン樹脂で形成されているから、使用後、断熱体と熱遮断体とを一度に粉砕して再利用できる。また、熱遮断体は非架橋で熱伝導率の小さいポリプロピレン樹脂で形成されているから、流体管内の温水の熱が断熱体に伝わる量を低減できる。。
【0017】
請求項8の発明は、流体管が非架橋のポリエチレンからなるので、特に、被覆流体管から流体管を分離除去することなく、被覆層と流体管とをまとめてそのまま被覆流体管毎粉砕して再利用できる。
請求項9の発明は、流体管が複数本を束ねてポリオレフィン系樹脂からなるフィルムで覆われているから、更に断熱効果を高めることができるとともに、複数の流体管を1まとめにして取り扱うことができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態の被覆流体管を示す斜視図である。
【図2】図1の被覆流体管の断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態の被覆流体管を示す斜視図である。
【図4】図3の被覆流体管の断面図である。
【図5】(a)は第一実施形態の被覆流体管の変形例を示す断面図、(b)は第二実施形態の被覆流体管の変形例を示す断面図である。
【図6】従来の被覆流体管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態の被覆流体管を図1及び図2に基づいて説明する。
図1及び図2において、被覆流体管1は、浴槽の追い焚き箇所や温水を床下に循環させて暖房する床暖房システムなどにおいて、給湯器で加熱された温水を、給湯器と浴槽やパネルヒータ等の温水利用端末器との間で行き配管と戻り配管により循環輸送する配管である。被覆流体管1は、給湯器で加熱された温水が輸送中に熱損失によって湯温が低下するのを防止するため、流体管11の外周が被覆層21で覆われている。
【0020】
流体管11は、行き配管及び戻り配管のペア管として一対設けられている。流体管11は、内部を温水が通流するので、防水性が要求され、また、汎用性、コスト面、成形性、更にはリサイクル等を考慮して、非架橋ポリエチレンによって形成されている。なお、流体管11は、他の非ポリオレフィン系樹脂などを使用することも可能である。
【0021】
一対の流体管11,11は、束ねられてポリオレフィン系樹脂からなるフィルム31で覆われている。フィルム31は一定幅の長尺の素材シートを端縁部同士を重ねつつ一対の流体管11,11に螺旋状に巻き付けてこれを覆っている。
【0022】
一方、被覆層21は、直鎖構造の非架橋発泡体で形成された断熱体22で形成され、内外面が略小判形状或いは陸上競技トラック形状をなす筒状に形成されており、内部空間に一対の流体管11,11が挿通され収容されるようになっている。非架橋発泡体としては、非架橋のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる発泡体を挙げることができ、特に、非架橋ポリエチレン発泡体が好適に用いられる。非架橋発泡体は、連続気泡を有するものでもよいが、断熱効果を高めるために独立気泡を有するものが望ましい。なお、被覆層21の外面は、滑り難くして取り扱い性を向上させるためにエンボス加工が施されている。但し、被覆層21の外面は単なる平滑面としても差し支えない。
【0023】
更に、被覆層21は、断熱体22の内面22aから突出する複数の波状の突起24が周方向全体に至って所定間隔で一体に設けられている。突起24は、断熱体22を形成する材質で一体に形成され、断熱体22の長手方向に連続して形成されている。突起24の先端はフィルム31を介して流体管11の外面11aに接触している。このため、突起24は、断熱体22の内面22aと流体管11の外面11aとの間にあって、流体管11が断熱体22の内面22a側に接触する面積を小さくする接触防止部23を構成している。被覆流体管1は、この突起24により、断熱体22の内面22aと流体管11の外面11aとの間に空気層25が形成されている。なお、突起24の数は、少な過ぎると、断熱体22の管壁が内部側に凹んで流体管11の外面11aとの接触面積が増える虞があり、多過ぎると、当然同じく接触面積が増え、流体管11から断熱体22に移動する熱量が多くなって断熱体22にへたりを生じさせる虞があるので、最適な数に設定することが必要である。なお、突起24は、波状に限らず、半円形状、半楕円形状、先端の尖った三角形状、楔形状などに形成してもよい。
【0024】
このように構成された被覆流体管1において、断熱体22は、突起24も含めて押出成形によって一体に製造することができる。また、断熱体22は、突起24を有する一定幅の基材シートを幅方向に環状に折り曲げた後、幅方向の端縁部同士を熱融着して形成することもできる。このようにして、断熱体22が筒状に形成されたら、一対を束ねてフィルム31を螺旋状に巻き付けた一対の流体管11,11を前記断熱体22の内部空間に挿通する。これにより、被覆流体管1が完成する。
【0025】
次に、第一実施形態の被覆流体管1の作用を説明する。
被覆流体管1の断熱体22からなる被覆層21は、非架橋のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる発泡体で形成されているので、使用済み後のリサイクルにおいて、栽断、粉砕し、再溶解して原料化することができ、これを原料として成形加工することによって製品化することができる。したがって、製品原料として再利用でき、マテリアルリサイクルとして資源を有効活用できる。
【0026】
その一方で、被覆層21は直鎖構造の非架橋発泡体で形成されているので、耐熱性が低下し、被覆層21がへたって薄くなり断熱効果が低下することが懸念される。しかし、断熱体22の内面22aには、突起24からなる接触防止部23が設けられている。加えて、突起24によって、断熱体22の内面22aと流体管11の外面11aとの間には空気層25が形成され、この空気層25は断熱機能を有する。このため、給湯器で加熱され被覆流体管1内を通流する温水の熱が流体管11及びフィルム31を伝って断熱体22に移動する量が低減される。その結果、断熱体22が温水の熱によってへたるのが抑えられ、薄くなって断熱効果が低下するのが防止される。
【0027】
加えて、流体管11は、非架橋ポリエチレンからなるので、使用済み後のリサイクルにおいて、一旦被覆流体管1から流体管11を取り外して分離除去することなく、フィルム31を含めて流体管11と被覆層21とを一緒に粉砕し、即ちそのまま被覆流体管1毎まとめて粉砕し、再利用できる。したがって、リサイクル処理における手間が省ける。
【0028】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の被覆流体管を図3及び図4に基づいて説明する。
第二実施形態の被覆流体管1は、第一実施形態の被覆流体管1が、断熱体22の内面22aと流体管11の外面11aとの間に、流体管11が断熱体22の内面22aに接触する面積を小さくする突起24からなる接触防止部23を備えているのに対し、断熱体22の内面22aと前記流体管11の外面11aとの間に熱伝導率の小さい材質で形成された熱遮断体26が介在している点で、第一実施形態の被覆流体管1と相違する。そこで、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0029】
図3及び図4において、一対の非架橋ポリエチレンからなる流体管11,11の外周を覆う被覆層21は、非架橋発泡体で形成された断熱体22と、断熱体22の内面22aと流体管11の外面11aとの間に介在する熱遮断体26とからなる。
このうち、断熱体22は、第一実施形態の場合と同様に、非架橋発泡体で形成され、具体的には、非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体などで形成されており、非架橋ポリエチレン発泡体が好適に用いられる。
【0030】
一方、熱遮断体26は、熱伝導率の小さい材質である非架橋ポリプロピレン樹脂で形成され、断熱体22の内面22aに一体に接合された状態で積層されている。この非架橋ポリプロピレン樹脂は、耐熱性も有する。
【0031】
被覆層21は、2台の押出機に溶融物を送り込んだ後層状に重ねる二層押出成形、同時押出成形により、断熱体22の一定幅の基材シートと熱遮断体26の一定幅の基材シートとを積層状態に形成した後、この積層シートを幅方向に環状に折り曲げて、幅方向の端縁部同士を熱融着して形成することができる。これにより、内外面が略小判形状或いは陸上競技トラック形状をなす筒状に形成されたら、一対を束ねてフィルム31を螺旋状に巻き付けた流体管11,11を被覆層21の内部空間に挿通することにより、被覆流体管1が完成する。
【0032】
このようにして形成された被覆流体管1は、断熱体22が非架橋のポリオレフィン系樹脂発泡体からなり、熱遮断体26は、非架橋のポリプロピレン樹脂で形成されているとともに、流体管11は、非架橋ポリエチレンからなるので、使用済み後のリサイクルにおいて、一旦被覆流体管1から流体管11を取り外して分離除去することなく、そのまま被覆流体管1毎まとめて一度に栽断、粉砕し、再溶解して原料化することができ、成形加工による製品化が可能である。したがって、第一実施形態の被覆流体管1と同様、製品原料として再利用でき、マテリアルリサイクルとして資源を有効活用できる。
【0033】
また、断熱体22の内面22aと流体管11の外面11aとの間に熱伝導率の小さい非架橋ポリプロピレン樹脂からなる熱遮断体26が介在するので、請求項1と同様に、流体管11内の温水の熱が断熱体22に伝わる量を低減でき、断熱体22が熱によってへたり断熱効果が低下するのを防止できる。
【0034】
更に、被覆層21を構成する断熱体22と熱遮断体26とが積層されているから、二層成形、同時成形による押出成形により被覆層21の製造が容易であり、また、被覆層21を一体物として取り扱うことができ、施工性が向上する。
【0035】
ところで、上記各実施形態の被覆流体管1は、一対の流体管11,11を束ねてフィルム31を螺旋状に巻き付けたものを、筒状に形成された被覆層21内に挿通させているが、図5に示すように、1個の流体管11を円筒状の被覆層21の内部空間に挿通して個別被覆流体管1a或いは個別被覆流体管1bを形成した後、一対のこれらの個別被覆流体管を束ねフィルム31を螺旋状に巻き付けたものとすることもできる。ここで、図5(a)の個別被覆流体管1aは第一実施形態の変形例の被覆流体管1を示し、図5(b)の個別被覆流体管1bは第二実施形態の変形例の被覆流体管1を示す。
【0036】
更に、図5に示すものにおいて、フィルム31を巻き付けず、一対の個別被覆流体管を外面11aにおいて長手方向に接触する線上で互いに熱融着等により接合して8の字状の一対の個別被覆流体管からなる被覆流体管1とすることもできる。なお、図1乃至図4に示した実施形態における被覆流体管1においても、同様に、フィルム31を巻き付けないものとすることもできる。
【0037】
また、図1乃至図4に示した実施形態の被覆流体管1は、一対の流体管11,11を被覆層21で覆ったものとしているが、図5に示した一対の個別被覆流体管1a,1a及び1b,1bを分離して1個の個別被覆流体管のみからなる被覆流体管1として単独で使用するものとすることもできる。この場合の1個の個別被覆流体管のみからなる被覆流体管1は、給湯器で加熱された温水が1個の個別被覆流体管内を通って台所流し、洗面、トイレ等における温水利用端末器に達した後、そのまま放出される温水配管として使用される。
【0038】
更に、本発明の被覆流体管1は、3個以上の流体管11を1個の被覆層21により覆ったものとすることもできる。
【0039】
加えて、上記各実施形態の流体管11は、非架橋ポリエチレンで形成されているが、架橋ポリエチレンで形成することも可能である。但し、この場合は、使用済み後のリサイクルにおいて、被覆流体管1から流体管11を取り外し分離除去してから、被覆層21のみを粉砕し、再利用することになる。
【0040】
そして、第一実施形態の被覆層21の突起24は、断熱体22を形成する材質で一体に形成されているが、これに限られるものではなく、断熱体22と異なる発泡倍率で形成してもよく、また、異なる材質で形成することもできる。
【0041】
更に、第二実施形態の被覆層21は、断熱体22と熱遮断体26とが一体に接合され積層されてなるが、必ずしもこれに限られるものではなく、熱遮断体26は断熱体22の内面22aから分離した別個のものとして断熱体22内に挿通されたものとすることもできる。
【0042】
なお、図2、図4等において、一対の流体管11,11とフィルム31との空間には、給湯器と温水利用端末器との間で制御信号を送出する信号線を挿通させてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 被覆流体管 22a 内面
1a、1b 個別被覆流体管 23 接触防止部
11 流体管 24 突起(接触防止部)
11a 外面 26 熱遮断体
21 被覆層 31 フィルム
22 断熱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の外周が被覆層で覆われた被覆流体管であって、
前記被覆層は、非架橋発泡体で形成された断熱体からなり、
前記断熱体の内面と前記流体管の外面との間に、前記流体管が前記断熱体の内面に接触する面積を小さくする接触防止部を備えてなることを特徴とする被覆流体管。
【請求項2】
前記断熱体は、非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体からなることを特徴とする請求項1に記載の被覆流体管。
【請求項3】
前記接触防止部は、前記断熱体の内面から突出する突起で形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被覆流体管。
【請求項4】
前記突起は、長手方向に連続して形成されたことを特徴とする請求項3に記載の被覆流体管。
【請求項5】
流体管の外周が被覆層で覆われた被覆流体管であって、
前記被覆層は、非架橋発泡体で形成された断熱体と、該断熱体の内面と前記流体管の外面との間に介在し熱伝導率の小さい材質で形成された熱遮断体とからなることを特徴とする被覆流体管。
【請求項6】
前記被覆層は、前記断熱体と前記熱遮断体とが積層されてなることを特徴とする請求項5に記載の被覆流体管。
【請求項7】
前記断熱体は、非架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体からなり、
前記熱遮断体は、非架橋ポリプロピレン樹脂で形成されたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の被覆流体管。
【請求項8】
前記流体管は、非架橋ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の被覆流体管。
【請求項9】
前記流体管は、複数本を束ねてポリオレフィン系樹脂からなるフィルムで覆われたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の被覆流体管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76437(P2013−76437A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216279(P2011−216279)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】