説明

被覆粒状組成物

【課題】生物活性物質を含有する粒状物を生分解性樹脂の被膜で被覆した粒状組成物において、生物活性物質の溶出を容易に制御できるようにする。
【解決手段】生物活性物質を含有する粒状物を被覆する樹脂として、ヤング率が100MPa以下のウレタン樹脂を用いるとともに、抗菌剤として水溶解度1000ppm以下の有機ヨウ素化合物及び/又は水溶解度1000ppm以下のイソチアゾリン化合物を用い、且つ、粒状組成物100重量部に対して0.0001〜1重量部の前記抗菌剤を被膜表面に存在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物活性物質を含有する粒状物を被覆する樹脂被膜の表面に、抗菌剤が存在してなる粒状組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肥料や農薬、医薬などの生物活性物質の効能(肥効、薬効など)の長期化、および効能発現パターンの制御などを目的として、前記生物活性物質を含有する粒状物を樹脂の被膜によって被覆した樹脂被覆粒状物が、これまでから種々開発され、農園芸分野を始め広い分野において使用されている。
【0003】
ところが、樹脂被覆粒状物では、生物活性物質が溶出し終わった後に、中空の樹脂被膜が土壌等に残留するため、河川等の汚染を要因となることが懸念されていた。加えて、近年の環境に対する人々の意識の急速な高まりを受けて、自然環境下で分解する易分解性樹脂を被覆樹脂として用いることが検討され、これまでから様々な樹脂が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
【0004】
しかしながら、被覆樹脂として易分解性樹脂を用いると、天候や土壌の種類等の環境条件によって被覆樹脂の分解速度が変化する場合があった。生分解性成分を有する被膜表面を抗菌剤や防黴剤で変性して、生物活性物質の溶出安定性を高める技術も提案されているが(例えば、特許文献3を参照。)、未だ十分な生物活性成分の溶出制御は得られていない。
【特許文献1】特公平7−505号公報
【特許文献2】特開平11−130576号公報
【特許文献3】特開2001−226184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生物活性物質を含有する粒状物を生分解性樹脂で被覆した粒状組成物において、生物活性物質の溶出を容易に制御できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成すべく本発明者が鋭意検討を重ねた結果、生物活性物質を含有する粒状物を被覆する樹脂として特定のヤング率を有するウレタン樹脂を用いるとともに、特定の抗菌剤を樹脂被膜の表面に特定量存在させることによって、粒状組成物が使用される環境条件にかかわらず安定した被覆樹脂の分解速度が得られ、生物活性物質の溶出制御が容易となることを見出し本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明の粒状組成物は、生物活性物質を含有する粒状物がウレタン樹脂で被覆された粒状組成物であって、前記ウレタン樹脂のヤング率が100MPa以下であり、前記ウレタン樹脂による被膜の表面に、抗菌剤としての水溶解度1000ppm以下の有機ヨウ素化合物及び/又は水溶解度1000ppm以下のイソチアゾリン化合物が存在し、前記抗菌剤の存在量が、粒状組成物100重量部に対して0.0001〜1重量部であることを特徴とする。
【0008】
尚、本明細書におけるウレタン樹脂のヤング率は次のようにして測定したものである。芳香族ジイソシアネート、ポリオール成分及び必要に応じて用いられる触媒からなる未硬化のウレタン樹脂を、厚さ100〜400μm程度の一定の厚さを有するフィルムに成形する。この成形したフィルムから幅10mm、長さ80mm以上の長方形の小片を切り出す。温度23℃、湿度50%の環境条件下で、チャック間が30mmになるようにオートグラフ装置にフィルムの小片を装着し、30mm/分の一定速度で引っ張る。そして初期の応力と歪とからヤング率を算出する。測定は5回以上行い、その平均値をウレタン樹脂のヤング率とする。また本明細書において抗菌剤の水溶解度は温度25℃のときのものである。
【0009】
ここで、生物活性物質の溶出制御をより確実に行う観点からは、前記抗菌剤の存在量は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲が好ましく、また前記ウレタン樹脂の割合は、粒状組成物100重量部に対して1〜20重量部の範囲が好ましい。
【0010】
生物活性物質の溶出制御や分解性、強度等の観点からは、前記被膜の厚さは1〜600μmの範囲が好ましい。
【0011】
また、取り扱い性や生産性等の観点から、粒状組成物の粒径としては0.1〜15mmの範囲が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粒状組成物では、生物活性物質を含有する粒状物を被覆する樹脂としてヤング率100MPa以下のウレタン樹脂を用いるとともに、特定の水溶解度を有する有機ヨウ素化合物やイソチアゾリン化合物を樹脂被膜の表面に存在させるので、天候や土壌の種類等の環境条件の、被覆樹脂の分解速度への影響を抑えることができ、生物活性物質を所望の時期に安定して溶出できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いるウレタン樹脂はヤング率が100MPa以下であれば特に限定はなく、従来公知のウレタン樹脂を用いることができる。ウレタン樹脂のヤング率を前記範囲とするには従来公知の方法を用いることができ、例えば、後述するウレタン樹脂の製造において原材料として使用するイソシアネート化合物やポリオール化合物の種類やそれらの配合割合、分子量等を選択・調整すればよい。
【0014】
ウレタン樹脂は、組成中にウレタン結合を繰返し持つ化合物であり、イソシアネート基を2個以上持ったポリイソシアネート化合物と、水酸基を2個以上持ったポリオール化合物とを反応させることによって得ることができる。
【0015】
ウレタン樹脂に用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIと略称することがある)、トルエンジイソシアネート(以下、TDIと略称することがある)、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIと略称することがある)、トリジンイソシアネート(以下、TODIと略称することがある)、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(以下、TMXDIと略称することがある)、ナフタレンジイソシアネート(以下、NDIと略称することがある)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることことができ、必要に応じてこれらの混合物を用いることができる。この中でも、ベンゼン環やナフタレン環を有する芳香族ポリイソシアネート化合物が好ましく、MDI、TDIまたはこれらから誘導されるオリゴマー体(ポリメリックMDI、ポリメリックTDI等)が好適に用いられる。
【0016】
ウレタン樹脂に用いられるポリオール化合物としては、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリル酸ポリオール、ポリカーボネートポリオール、天然ポリオールやその変性物等が挙げられる。これらのポリオール化合物の2種以上を必要に応じて組み合わせて用いてもよい。例えば、ポリオール化合物として、脂肪族ポリエステルポリオールとポリメチレングリコールとを組み合わせて用いてもよい。以下、このポリオール化合物の組み合わせについて説明する。
【0017】
脂肪族ポリエステルポリオールとしては、例えば分子の何れかの末端が下記の式(1)又は式(2)の構造である脂肪族ポリエステルポリオールが挙げられる。
−[O−C(=O)−CHR−(CH)]−OH (1)
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、pは0〜9の整数を表し、mは1以上の整数を表す。〕
−[O−C(=O)−Q−C(=O)−O−(CH)]−OH (2)
〔式中、Qは炭素数1〜10アルキレン基を表し、rは2〜10の整数を表し、nは1以上の整数を表す。〕
【0018】
分子の何れかの末端が式(1)の構造である脂肪族ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子ポリオールにラクチドモノマー又はラクトンモノマーを開環重合させることにより得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。ラクトンモノマーとしては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0019】
分子の何れかの末端が式(2)の構造である脂肪族ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子ジオールとジカルボン酸とを縮重合させることにより得られる縮合系ポリエステルポリオールが挙げられる。そのような縮合系ポリエステルポリオールとしては、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の低分子ポリオールと、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸とを縮重合させることにより得られるものが挙げられる。
【0020】
脂肪族ポリエステルポリオールは、式(1)又は式(2)で示される末端構造を1分子中に2〜3個有するポリエステルポリオール、即ち水酸基をポリエステルポリオール1分子当り2〜3個の割合で有するポリエステルポリオールであることが好ましい。またポリエステルポリオールは、分子量が300〜5000の範囲であることが好ましい。尚、本発明において複数種の化合物を含む混合物における分子量は、数平均分子量を意味する。ポリマーにおける数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、末端基定量法等の一般的な方法によって求めることができる。
【0021】
以上説明した脂肪族ポリエステルポリオールの中でも、低分子ポリオールとε−カプロラクトンを開環重合させることにより得られるポリカプロラクトンポリオールが特に好ましい。ポリカプロラクトンポリオールは1分子中に(1−オキソヘキサ−1,6−ジイル)オキシ構造(-C(=O)-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-O-)を1以上有するポリオールである。ポリカプロラクトンポリオールは、出発原料として用いる低分子ポリオールの種類およびε‐カプロラクトンの重合度により、得られるポリカプロラクトンポリオールの種類が異なる。1分子中の水酸基の数が2又は3個であるポリカプロラクトンポリオール(ポリカプロラクトンジオール又はポリカプロラクトントリオール)の典型的な構造を下記の式(3)及び式(4)に示す。
【0022】
【化1】

〔上記の式中、mは0以上の整数、nは1以上の整数、Rは2価の有機残基(例えば、エチレン基、テトラメチレン基等)を表す。〕
【0023】
【化2】

〔上記の式中、mおよびpは0以上の整数、nは1以上の整数、Rは3価の有機残基(例えば、プロパン−1,2,3−トリイル基等)を表す。〕
【0024】
ポリカプロラクトンポリオールの製造において、原料として用いられる低分子ポリオールは、1分子中に水酸基を2個有する化合物として例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8‐オクタンジオールが挙げられ、1分子中に水酸基を3個有するポリオールとして例えば2‐エチル‐2‐(ヒドロキシメチル)‐1,3‐プロパンジオール(トリメチロールプロパン)、2‐(ヒドロキシメチル)‐1,3‐プロパンジオール、グリセリン、トリエタノールアミンが挙げられる。
【0025】
次に、ポリメチレングリコールとしては炭素数2〜8のものが好ましく、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールが挙げられる。この中でも、1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0026】
脂肪族ポリエステルポリオールとポリメチレングリコールとのモル比は特に制限がないが、好ましくは1:8〜8:1である。
【0027】
本発明においてポリオール化合物が、脂肪族ポリエステルポリオールを含む分子量300〜5000のポリオール化合物と、ポリメチレングリコールとから実質的になる場合、生物活性物質の溶出制御の観点から、ポリオール化合物は1分子中の水酸基の数が2個のものか(所謂、ジオール)、1分子中の水酸基の数が3個のもの(所謂、トリオール)が好ましい。1分子中の2個の水酸基を有するポリオールとしては、ポリメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等の脂肪族ポリエステルジオールが挙げられる。1分子中の水酸基の数が3個のポリオールとしては、ポリカプロラクトントリオール等の脂肪族ポリエステルトリオールが挙げられる。
【0028】
更に、本発明において、ポリオール成分が脂肪族ポリエステルポリオールを含む分子量300〜5000のポリオールと、ポリメチレングリコールとから実質的になり、分子量300〜5000のポリオールが1分子中の水酸基の数が2個のポリオール及び1分子中の水酸基の数が3個のポリオールからなる場合、下式で示される架橋密度指数が0.02〜0.07の範囲となるように、1分子中の水酸基の数が3個のポリオールが含有されていることが好ましい。
【0029】
架橋密度指数=〔分子量300〜5000のポリオール中における、1分子中の水酸基の数が3個のポリオールの重量%〕/〔ポリオールの数平均分子量〕
ただし、分子量300〜5000のポリオール中に1分子中の水酸基の数が3個のポリオールを複数含有する場合は、各成分の架橋密度指数の合計を、ここでの架橋密度指数とする。
【0030】
本発明において、脂肪族ポリエステルポリオールがポリカプロラクトンポリオールである場合、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との合計量に対して、ポリカプロラクトンポリオールは通常15〜80重量%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜70重量%である。
【0031】
本発明において、ポリイソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである場合、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との合計量に対して、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートは通常10〜49重量%の範囲が好ましい。
【0032】
本発明において、ポリイソシアネート化合物におけるイソシアネート基のモル数と、ポリオール化合物における水酸基のモル数との比率は、好ましくは1:0.9〜1:1.3であり、より好ましくは1:1〜1:1.2である。
【0033】
次に本発明において被覆樹脂で被覆される粒状物について説明する。本発明で用いる粒状物は、生物活性物質を含有するものである。ここで、生物活性物質とは、農作物、有用植物、農産物などの植物体の育成や保護の目的で使用される物質を意味し、例えば、農薬活性成分、肥料成分等が挙げられる。尚、1つの粒状物に、複数の生物活性物質含有粒状物を内核として含んでいてもよい。
【0034】
農薬活性成分としては、例えば、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調整剤等が挙げられる。具体的には、フェニトロチオン[O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート]、フェンチオン[O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート]、ダイアジノン[O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート]、クロルピリホス[O,O−ジエチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート]、アセフェート[O,S−ジメチルアセチルホスホラミドチオエート]、メチダチオン[S−2,3−ジヒドロ−5−メトキシ−2−オキソ−1,3,4−チアジアゾール−3−イルメチルO,O−ジメチルホスホロジチオエート]、ジスルホトン[O,O−ジエチルS−2−エチルチオエチルホスホロジチオエート]、DDVP[2,2−ジクロロビニルジメチルホスフェート]、スルプロホス[O−エチル−O−4−(メチルチオ)フェニルS−プロピルホスホロジチオエート]、シアノホス[O−4−シアノフェニル−O,O−ジメチルホスホロチオエート]、ジオキサベンゾホス[2−メトキシ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−2−スルフィド]、ジメトエート[O,O−ジメチル−S−(N−メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート]、フェントエート[エチル2−ジメトキシホスフィノチオイルチオ(フェニル)アセテート]、マラチオン[ジエチル(ジメトキシホスフィノチオイルチオ)サクシネート]、トリクロルホン[ジメチル2,2,2−トリクロロ−1−ヒドロキシエチルホスホネート]、アジンホスメチル[S−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イルメチル−O,O−ジメチルホスホロジチオエート]、モノクロトホス[ジメチル−{(E)−1−メチル−2−(メチルカルバモイル)ビニル)ホスフェート]、エチオン[O,O,O′,O′−テトラエチル−S,S′−メチレンビス(ホスホロジチオエート)]等の有機リン系化合物
【0035】
BPMC[2−sec−ブチルフェニルメチルカーバメート]、ベンフラカルブ[エチル N−{2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ}−N−イソプロピル−β−アラニネート]、プロポキスル[2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート]、カルボスルファン[2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ[b]フラニル N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカーバメート]、カルバリル[1−ナフチル−N−メチルカーバメート]、メソミル[S−メチル−N−(メチルカルバモイルオキシ)チオアセトイミデート]、エチオフェンカルブ[2−(エチルチオメチル)フェニルメチルカーバメート]、アルジカルブ[2−メチル−2−(メチルチオ)プロピオンアルデヒド O−メチルカルバモイルオキシム]、オキサミル[N,N−ジメチル−2−メチルカルバモイルオキシイミノ−2−(メチルチオ)アセトアミド]、フェノチオカルブ[S−4−フェノキシブチル−N,N−ジメチルチオカーバメート]等のカーバメート系化合物
【0036】
エトフェンプロックス[2−(4−エトキシフェニル)−2−メチル−1−(3−フェノキシベンジル)オキシプロパン]、フェンバレレート[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート]、エスフェンバレレート[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート]、フェンプロパトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シペルメトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、ペルメトリン[3−フェノキシベンジル (1RS)−シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シハロトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、デルタメトリン[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シクロプロトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (RS)−2,2−ジクロロ−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシレート]、フルバリネート[α−シアノ−3−フェノキシベンジル N−(2−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−D−バリネート]、ビフェンスリン[2−メチル−3−フェニルベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、ハルフェンプロックス[2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)−2−メチル−1−(3−フェノキシベンジル)メチルプロパン]、トラロメトリン[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス−3−(1,2,2,2−テトラブロモエチル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、シラフルオフェン[(4−エトキシフェニル)−{3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル}ジメチルシラン]、d−フェノトリン[3−フェノキシベンジル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]、シフェノトリン[(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]、d−レスメトリン[5−ベンジル−3−フリルメチル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート]、アクリナスリン[(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R,3Z)−シス−(2,2−ジメチル−3−{3−オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル}シクロプロパンカルボキシレート]、シフルトリン[(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、テフルトリン[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル (1RS,3Z)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、トランスフルスリン[2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート]、テトラメトリン[3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル (1RS)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、アレトリン[(RS)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1RS)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、プラレトリン[(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、エンペントリン[(RS)−1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル(1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、イミプロスリン[2,5−ジオキソ−3−(2−プロピニル)イミダゾリジン−1−イルメチル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、d−フラメトリン[5−(2−プロピニル)フルフリル (1R)−シス,トランス−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロぺニル)シクロプロパンカルボキシレート]、5−(2−プロピニル)フルフリル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド系化合物
【0037】
ブプロフェジン[2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5−チアジアジン−4−オン]等のチアジアジン誘導体、ニトロイミダゾリジン誘導体、カルタップ[S,S′−(2−ジメチルアミノトリメチレン)ビス(チオカーバメート)]、チオシクラム[N,N−ジメチル−1,2,3−トリチアン−5−イルアミン]、ベンスルタップ[S,S′−2−ジメチルアミノトリメチレンジ(ベンゼンチオスルフォネート)]等のネライストキシン誘導体、N−シアノ−N′−メチル−N′−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)アセトアミジン等のN−シアノアミジン誘導体、エンドスルファン[6,7,8,9,10,10−ヘキサクロロ−1,5,5a,6,9,9a−ヘキサヒドロ−6,9−メタノ−2,4,3−ベンゾジオキサチエピンオキサイド]、γ−BHC[1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン]、ジコホル[1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノ−ル]等の塩素化炭化水素化合物、クロルフルアズロン[1−{3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル}−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア]、テフルベンズロン[1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア]、フルフェノクスロン[1−{4−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−フルオロフェニル}−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア]等のベンゾイルフェニルウレア系化合物、アミトラズ[N,N′−{(メチルイミノ)ジメチリジン}−ジ−2,4−キシリジン]、クロルジメホルム[N′−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチルメチニミダミド]等のホルムアミジン誘導体、ジアフェンチウロン[N−(2,6−ジイソプロピル−4−フェノキシフェニル)−N′−t−ブチルカルボジイミド]等のチオ尿素誘導体、N−フェニルピラゾール系化合物
【0038】
メトキサジアゾン[5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン]、ブロモプロピレート[イソプロピル4,4′−ジブロモベンジレート]、テトラジホン[4−クロロフェニル 2,4,5−トリクロロフェニルスルホン]、キノメチオネート[S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカルボネート]、プロパルギット[2−(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロヘキシルプロピ−2−イルスルファイト]、フェンブタティンオキシド[ビス{トリス(2−メチル−2−フェニルプロピル)ティン}オキシド]、ヘキシチアゾクス[(4RS,5RS)−5−(4−クロロフェニル)−N−クロロヘキシル−4−メチル−2−オキソ−1,3−チアゾリジン−3−カルボキサミド]、クロフェンテジン[3,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,2,4,5−テトラジン]、ピリダベン[2−tert−ブチル−5−(4−tert−ブチルベンジルチオ)−4−クロロピリダジン−3(2H)−オン]、フェンピロキシメート[tert−ブチル (E)−4−[(1,3−ジメチル−5−フェノキシピラゾール−4−イル)メチレンアミノオキシメチル]ベンゾエート]、デブフェンピラド[N−4−tert−ブチルベンジル)−4−クロロ−3−エチル−1−メチル−5−ピラゾールカルボキサミド]、ポリナクチンコンプレックス[テトラナクチン、ジナクチン、トリナクチン]、ピリミジフェン[5−クロロ−N−[2−{4−(2−エトキシエチル)−2,3−ジメチルフェノキシ}エチル]−6−エチルピリミジン−4−アミン]、ミルベメクチン、アバメクチン、イバーメクチン、アザジラクチン[AZAD]、5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、メチル 1−(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−カーバメート、6−(3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル)−3(2H)−ピリダジノン、1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタノン、(E)−4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)−N−〔1−(イミダゾール−1−イル)−2−プロポキシエチリデン〕アニリン、1−〔N−プロピル−N−〔2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル〕カルバモイル〕イミダゾール、(E)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、(E)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−ペンテン−3−オール、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール、4−〔3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル〕−2,6−ジメチルモルホリン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ヘキサン−2−オール、O,O−ジエチル O−2−キノキサリニルホスホロチオエート、O−(6−エトキシ−2−エチル−4−ピリミジニル)O,O−ジメチル ホスホロチオエート、2−ジエチルアミノ−5,6−ジメチルピリミジン−4−イル ジメチルカーバメート、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル p−トルエンスルホナート、4−アミノ−6−(1,1−ジメチルエチル)−3−メチルチオ−1,2,4−トリアジン−5(4H)−オン、2−クロロ−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−エトキシカルボニル−N−〔(4−クロロ−6−メトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−(2−クロロエトキシ)−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕ベンゼンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕フェニルメタンスルホンアミド、2−メトキシカルボニル−N−〔(4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノカルボニル〕チオフェン−3−スルホンアミド、4−エトキシカルボニル−N−〔(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル〕−1−メチルピラゾール−5−スルホンアミド、2−〔4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル〕−3−キノリンカルボン酸、2−〔4,5−ジヒドロ−4−メチル−4−(1−メチルエチル)−5−オキソ−1H−イミダゾール−2−イル〕−5−エチル−3−ピリジンカルボン酸、メチル 6−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−m−トルエート、メチル 2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)−p−トルエート、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソイミダゾリン−2−イル)ニコチン酸、N−(4−クロロフェニル)メチル−N−シクロペンチル−N’−フェニルウレア、(RS)−2−シアノ−N−[(R)−1(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3,3−ジメチルブチルアミド、N−(1,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチルイソベンゾフラン−4−イル)−5−クロロ−1,3−ジメチルピラゾール−4−カルボキシアミド、N−[2,6−ジブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−メチル−4−(トリフルオロメチル)−5−チアゾ−ルカルボキシアミド、2,2−ジクロロ−N−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−3−メチルシクロプロパンカルボキシアミド、メチル(E)−2−2−6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ−フェニル−3−メトキシアクリレイト、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ[3,4−b]ベンゾチアゾール、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド、ジイソプロピル=1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0039】
肥料成分としては、植物栽培において養分を与えるために土壌に施される窒素、リン、カリウム、珪素、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ホウ素、鉄等の種々の元素を含有する成分であり、例えば、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素(UF)、アセトアルデヒド加工尿素(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素(IBDU)、グアニール尿素(GU)等の窒素質肥料成分;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン、腐植酸リン、焼成リン、重焼リン、苦土過リン酸、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安等のリン酸質肥料成分;塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム等のカリウム質肥料成分;珪酸カルシウム等の珪酸質肥料成分;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム質肥料成分;生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料成分;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガン等のマンガン質肥料成分;ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素質肥料成分;鉄鋼スラグ等の含鉄肥料成分等が挙げられる。
【0040】
本発明における、被覆樹脂で被覆される粒状物は1種以上の生物活性物質を含有していればよく、また生物活性物質単独で増粒されたものであってもよいし、生物活性物質を担体で保持させたものであってもよい。
【0041】
生物活性物質を保持する担体としては、例えば、カオリナイト等のカオリン鉱物、モンモリロナイト、スメクタイト、タルク、蝋石、シリカ、含水珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、ゼオライト、酸性白土等の鉱物質担体;セルロース、籾殻、澱粉、大豆粉等の植物質担体;乳糖、蔗糖、デキストリン、食塩、トリポリリン酸ナトリウム等の水溶性担体;アジピン酸ジデシル、綿実油、パーム油等の液体担体等が挙げられ、これらの担体を組合わせて用いても構わない。
【0042】
生物活性物質を含有する粒状物の造粒方法としては、押出造粒法、流動層式造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、パン造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等を用いることができる。本発明においては、これらの造粒法のいずれを使用してもよい。該粒状物の粒径は特に限定されるものではないが、通常は0.1〜15.0mmの範囲が好ましい。これらは篩いを用いることにより、前記範囲内で任意の粒径を選択することができる。また該粒状物の形状は球状、角状、円柱状いずれでもかまわないが、球状に近いものが好ましい。
【0043】
本発明において、生物活性物質を含有する粒状物の表面をウレタン樹脂の被膜で被覆するには、従来公知の何れの方法を用いてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物、そして必要により触媒とを混合して未硬化ウレタン樹脂を作製し、これを流動状態又は転動状態にある粒状物に添加すればよい。
【0044】
ここで使用する触媒としては、例えば、酢酸カリ、酢酸カルシウム、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチオチン酸、オクチル酸第一チン、ジ−n−オクチルチンジラウレート、イソプロピルチタネート、ビスマス2−エチルヘキサノエート、ホスフィン、Znネオデカノエート等の有機金属、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルジドデシルアミン、N−ドデシルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n−プロピルジルコネート、2,4,6‐トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミン触媒が挙げられる。
【0045】
粒状物を流動状態又は転動状態とする装置としては、加温された空気が下方から送風される噴流塔装置、加温装置が付設された回転パンまたはドラム装置等の公知の装置が使用可能である。未硬化ウレタン樹脂の添加方法としては、各成分を混合した後にすばやく添加するか、各成分を別々に添加する方法のいずれでもよい。その後、粒状物の流動状態又は転動状態を維持して、ポリイソシアネート化合物におけるイソシアネート基とポリオール化合物における水酸基との反応を進行させ、粒状物の表面をウレタン樹脂の被膜で被覆する。このときの反応温度としては通常0〜200℃の範囲であり、好ましくは50〜150℃の範囲である。この一回の操作にて形成される被膜の厚みが通常0.1〜20μmとなるように、添加するウレタン樹脂の添加量を調整するのが好ましい。被膜の厚みが更に必要である場合は、上記の操作を繰り返すことにより、ウレタン樹脂の被膜の厚みを増加させればよい。本発明の粒状組成物において、被膜の厚さは通常1〜600μmの範囲が好ましく、より好ましくは8〜400μmの範囲である。また樹脂被膜の重量割合は、粒状組成物100重量部に対して通常1〜20重量部の範囲であり、好ましくは2〜16重量部の範囲である。本発明の粒状組成物の粒径に特に限定はなく用途等から適宜決定すればよいが、通常粒径は0.1〜15mmの範囲である。
【0046】
本発明の粒状組成物では、ウレタン樹脂被膜の表面に、抗菌剤としての有機ヨウ素化合物及び/又はイソチアゾリン化合物を存在させることが重要である。これらの抗菌剤を樹脂被膜表面に存在させることによって、ウレタン樹脂被膜の生分解時期が調整され、生物活性物質の溶出制御が行われる。前記の抗菌剤のほかに、必要に応じて、その他の抗菌剤をさらに添加しても構わない。
【0047】
本発明で使用する有機ヨウ素化合物としては、例えば、3−ヨード−2−プロパルギルブチルカルバミン酸、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、1−ブロム−3−エトキシカルボニルオキシ−1,2−ジヨード−1−プロペン、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、4−クロルフェノキシ−(3−ヨードプロパギル)オキシメタン等が挙げられる。
【0048】
また、本発明で使用するイソチアゾリン化合物としては、例えば、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0049】
本発明で使用する有機ヨウ素化合物及びイソチアゾリン化合物は、その水溶解度がいずれも1000ppm以下であることも重要である。有機ヨウ素化合物及びイソチアゾリン化合物の水溶解度がそれぞれ1000ppmより高いと、樹脂被膜の表面から有機ヨウ素化合物及びイソチアゾリン化合物が容易に流出し、被覆樹脂の生分解性を制御できなくなるからである。有機ヨウ素化合物及びイソチアゾリン化合物のより好ましい水溶解度はいずれも600ppm以下である。
【0050】
さらに、前記抗菌剤の存在量は、粒状組成物100重量部に対して0.0001〜1重量部の範囲であることも重要である。抗菌剤の存在量が前記範囲から外れると、被覆樹脂の生分解速度の制御が困難となり、生物活性物質の溶出制御が困難となる。より好ましい抗菌剤の存在量は、粒状組成物100重量部に対して0.001〜0.5重量部の範囲である。
【0051】
また、被覆樹脂であるウレタン樹脂の生分解制御の観点から、前記抗菌剤の存在量はウレタン樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲が好ましい。抗菌剤の存在量が0.01重量部より少ないと、ウレタン樹脂の安定な分解速度を得るための抗菌剤の効果が十分に得られないおそれがある一方、抗菌剤の存在量が5重量部よりも多いと、ウレタン樹脂の分解が遅くなりすぎるおそれがある。
【0052】
前記抗菌剤を樹脂被膜の表面に存在させる方法としては、特に制限はなく従来公知の方法を用いることができる。例えば、抗菌剤を必要に応じて担体と混合して微粉末状にし、撹拌、噴流又は転動状態にある粒状物に添加する方法が挙げられる。このとき、樹脂被膜の表面に抗菌剤がしっかり付着するように、熱可塑性樹脂などのバインダーとなる成分を共存させてもよい。また抗菌剤と混合する担体としては、生物活性物質を保持する担体として前記例示したものがここでも使用できる。
【0053】
また、別法として、抗菌剤を適当な溶剤などに溶解又は分散して樹脂被膜の表面に噴霧する方法が挙げられる。抗菌剤が液体の場合にはそのまま使用することもできる。溶剤を使用する場合には、これを蒸散させうる条件で実施する。このとき、樹脂被膜の表面に抗菌剤がしっかり付着するように、水溶性高分子や糖類等の粘着効果を有する化合物を溶媒中に添加してもよい。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0055】
(ウレタン樹脂のヤング率の測定)
予め50℃で加熱溶解した表1のポリオール化合物と、触媒としての2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを均一に混合した後、予め50℃で加熱溶解した表1のイソシアネート化合物を添加し、素早く混合した。そして、厚さ約125μm(分解試験用)に調整したアプリケータを用いて、シート状に延展した。延展したウレタン樹脂を70℃で3時間静置して硬化させ、ウレタン樹脂フィルム(A)〜(C)を得た。得られたウレタン樹脂フィルムのヤング率を前述の測定法によって測定した。測定結果を表1に合わせて示す。
【0056】
【表1】

4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(Sumidur 44S、住化バイエル ウレタン社製)、
ポリカプロラクトンジオールA(Placcel208、ダイセル化学社製)、
ポリカプロラクトンジオールB(Placcel212、ダイセル化学社製)、
ヒマシ油(豊国製油社製)、
1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)、
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(TAP、化薬アクゾ社製)
【0057】
製造例(被覆粒状肥料の作製)
以下の要領にて、粒状尿素(大粒尿素:粒径約3mm、1g当たりの粒数約60個)1000重量部に対して、表1に記載のウレタン樹脂(A)〜(C)の100重量部で被覆した粒状肥料を作製した。
粒状尿素1000重量部を回転槽に仕込み、転動状態にして、該粒状尿素を熱風により約70℃まで加熱した後、流動パラフィン10重量部を添加し、10分間転動状態を継続した。次に、表1に記載の未硬化ウレタン樹脂10重量部を添加し、3分間以上、加熱条件下で転動状態を維持した。更に、未硬化ウレタン樹脂の添加、及び加熱条件下での転動状態の維持を繰り返して、添加した未硬化ウレタン樹脂の総量が100重量部になるまで行った。その後、室温付近まで冷却して本発明に係る被覆粒状肥料(A)〜(C)を得た。
尚、未硬化ウレタン樹脂は、50℃で溶解した、表1に記載のポリオール化合物と、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(触媒)とを事前に均一に混合したものに、添加直前に予め50℃で加熱溶解した芳香族ジイソシアネートを加え混合したものである。
【0058】
試験例1(溶出試験)
表2に示す各抗菌剤1重量部とカットクレー15重量部を乳鉢でよく混合し抗菌剤入り粉末を得た。この抗菌剤入り粉末を1000重量部の被覆粒状肥料Aに添加し、袋の中でよく混合し、添加した粉末が外観で被覆粒状肥料Aの全体に行き渡るまで混合した。
兵庫県の土壌(埴壌土)を入れたカップに、作製した抗菌剤粉衣の被覆粒状肥料を0.75g入れた。そして、その上から土壌をさらに被せ、抗菌剤粉衣の被覆粒状肥料が寄り集まらないようにスパチュラで軽く混合した。この状態で、水分含量ほぼ一定、温度28℃で培養した。7日後、抗菌剤粉衣の被覆粒状肥料を全量回収して、100mlの水に入れ25℃で静置し、所定時間後に水中に放出した尿素量を測定した。結果を表3に示す。なお、水中に被覆粒状肥料を投入した日を0日目とした。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
表3から明らかなように、抗菌剤として有機ヨウ素化合物とイソチアゾリン化合物を用いた本発明に係る実施例1〜3の被覆粒状肥料では、水中に投入されて21日後でも尿素の溶出量が6.4%以下と極めて少量であった。これに対し、他の抗菌剤を用いた比較例1〜3の被覆粒状肥料では、尿素の水中への溶出量が10.9%以上と多かった。
【0062】
試験例2(長期溶出試験)
カットクレーの配合量を10重量部とし、被覆粒状肥料として被覆粒状肥料Bを用いた以外は試験例1と同様にして本発明に係る実施例4〜8の被覆粒状肥料を作製した。そして、土壌埋設期間を2週間にした以外は試験例1と同様にして溶出試験を行った。結果を表4に示す。なお、表4は、水中溶出時の被膜内に残っている尿素含有量を測定したものである。
【0063】
【表4】

【0064】
表4から明らかなように、抗菌剤として有機ヨウ素化合物とイソチアゾリン化合物を用いた本発明に係る実施例4〜8の被覆粒状肥料では、水中に投入されて13週間後においても、土壌に埋設しなかった対照例3と同程度の残存尿素率であった。
【0065】
試験例3(保存安定性)
被覆粒状肥料として被覆粒状肥料Cを用いた以外は試験例1と同様にして本発明に係る被覆粒状肥料を作製した。当該被覆粒状肥料を54℃の恒温器内で2週間静置した後、試験例1と同様にして溶出試験を行った(実施例9,10)。比較対照として、室温で2週間静置した被覆粒状肥料の溶出試験を行った(対照例5,6)。結果を表5に示す。なお、表5は、水中に溶出した尿素含有量を測定したものである。
【0066】
【表5】

【0067】
表5から理解されるように、本発明に係る被覆粒状肥料は、54℃での加速保存試験においも安定であった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る粒状組成物は、天候や土壌の種類等の環境条件の、被覆樹脂の分解速度への影響を抑えることができ、生物活性物質を所望の時期に安定して溶出でき有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性物質を含有する粒状物がウレタン樹脂で被覆された粒状組成物であって、
前記ウレタン樹脂のヤング率が100MPa以下で、前記ウレタン樹脂による被膜の表面に、抗菌剤としての水溶解度1000ppm以下の有機ヨウ素化合物及び/又は水溶解度1000ppm以下のイソチアゾリン化合物が存在し、
前記抗菌剤の存在量が、粒状組成物100重量部に対して0.0001〜1重量部であることを特徴とする粒状組成物。
【請求項2】
前記抗菌剤の存在量が、前記ウレタン樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1記載の粒状組成物。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂の割合が、粒状組成物100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の粒状組成物。
【請求項4】
前記被膜の厚さが1〜600μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の粒状組成物。
【請求項5】
粒径が0.1〜15mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の粒状組成物。

【公開番号】特開2009−62232(P2009−62232A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232129(P2007−232129)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】