説明

裁断装置、複合機、および、裁断方法

【課題】媒体において製品に用いられる領域を広く確保することができない。
【解決手段】シート状の媒体を裁断する裁断装置であって、媒体の一方の面に対して相対的に移動することにより、媒体を裁断する裁断部と、媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取る読取部と、読取部により読み取られた位置合わせ指標に基づいて、媒体に対する裁断部の位置を合わせて、裁断部を駆動することにより媒体を裁断する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断装置、複合機、および、裁断方法に関する。特に、本発明は、シート状の媒体を裁断する裁断装置、複合機、および、裁断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生地および紙等の媒体を裁断する裁断装置が知られている。この裁断装置において、裁断する生地の表面に、裁断位置の基準となる位置を指示するためのマークを付加しておき、そのマークを読み取って裁断位置を補正する裁断方法が知られている。
【特許文献1】特開2003−113577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この裁断方法によれば、製品のテクスチャー等の外観に影響を及ぼすので、生地のうち裁断後に製品として用いられる使用領域の表面に、このマークを付加することができない。したがって、この裁断方法によれば、使用領域とは別にこのマークを付加する領域を確保しなければならず、生地のうち製品に用いられる領域を広く確保することができないという不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、シート状の媒体を裁断する裁断装置であって、媒体の一方の面に対して相対的に移動することにより、媒体を裁断する裁断部と、媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取る読取部と、読取部により読み取られた位置合わせ指標に基づいて、媒体に対する裁断部の位置を合わせて、裁断部を駆動することにより媒体を裁断する制御部とを備える。これにより、製品の外観に影響を与えることのない媒体の裏面に記録された指標に基づいて位置合わせをするので、媒体において製品に用いられる領域を広く確保しつつ、その媒体を正確に裁断することができる。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態においては、シート状の媒体に記録をする記録装置、および、媒体を裁断する裁断装置を備える複合機であって、記録装置は、媒体の一方の面に画像を記録するとともに、他方の面に位置合わせ指標を記録し、裁断装置は、媒体の一方の面に対して相対的に移動することにより、媒体を裁断する裁断部と、媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取る読取部と、読取部により読み取られた位置合わせ指標に基づいて、媒体に対する裁断部の位置を合わせて、裁断部を駆動することにより媒体を裁断する制御部とを有する。これにより、第1の形態と同様の効果を得ることができる。
【0006】
記録装置は、複数の裁断領域がある場合に、各裁断領域に対応した複数の位置合わせ指標を媒体の他方の面に記録し、裁断装置の読取部は、複数の裁断領域のそれぞれを裁断するのに先立って、裁断する裁断領域に対応した位置合わせ指標を読み取ってもよい。これにより、媒体において製品に用いられる領域を広く確保しつつ、その媒体上の各裁断領域を正確に裁断することができる。
【0007】
記録装置は、媒体の他方の面において、各裁断領域の中央に対応する位置に位置合わせ指標を記録してもよい。これにより、媒体において製品に用いられる領域を広く確保しつつ、その媒体上の各裁断領域をより正確に裁断することができる。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第3の形態においては、シート状の媒体の一方の面に対して相対的に裁断部が移動することにより、媒体を裁断する裁断方法であって、媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取り、読み取った位置合わせ指標に基づいて、媒体に対する裁断部の位置を合わせて、裁断部を駆動することにより媒体を裁断する。これにより、第1の形態と同様の効果を得ることができる。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る裁断装置10の斜視図を示す。図2は、裁断装置10の概略側面図を示す。図3は、光学センサ66の配置の一例を示す。裁断装置10は、装置本体16と、媒体12を載置する給紙部18と、台紙側ローラ42およびこれに対向して配される被裁断媒体側ローラ44を有する搬送部40と、搬送部40により搬送された媒体12を下方から支持するプラテン30と、プラテン30の上方に配されたカッティングヘッド50と、装置本体16から排出された媒体12を載置する排紙部20とを備える。ここで、媒体12は、台紙14および被裁断媒体13を有する。台紙14の一方の表面は粘着性を有する。被裁断媒体13は、台紙14のその表面に一時的に貼り付けられ台紙14と一体的に搬送される。
【0012】
搬送部40の台紙側ローラ42および被裁断媒体側ローラ44は、給紙部18とプラテン30との間に配され、給紙部18に載置された媒体12を搬送する。搬送部40はさらにモータ160を有し、台紙側ローラ42はモータ160から駆動ベルトを介して動力を得て回転駆動される。被裁断媒体側ローラ44は装置本体16に対して回転自在に支持され、台紙側ローラ42に連れ回る。すなわち、媒体12は、台紙側ローラ42の回転駆動により、台紙側ローラ42と被裁断媒体側ローラ44に挟まれて給紙部18からプラテン30上に搬送される。また、媒体12は、プラテン30上に搬送された後に、台紙側ローラ42の回転駆動により、装置本体16の奥行き方向(図1に示すB方向)に往復移動する。
【0013】
カッティングヘッド50は、その内部に軸受けが形成されており、ガイド軸60はその軸受けに挿入されている。また、カッティングヘッド50は、装置本体16の幅方向に渡って架け渡されたタイミングベルト62の一部を把持している。タイミングベルト62は、モータ150によって回転駆動する。すなわち、カッティングヘッド50は、タイミングベルト62の回転駆動により、装置本体16の幅方向(図1に示すA方向)に往復移動する。また、カッティングヘッド50は、図2に示すように、カッタ58の根本を回転自在に把持した昇降回転部64、および、非図示の昇降機構を備える。昇降回転部64は、この昇降機構により、媒体12に近接、または、離間する方向(C方向)に駆動される。また、昇降回転部64は、カッタ58が被裁断媒体13に接触し相対的に移動する方向に従ってD方向に回転する。
【0014】
上記構成により、カッタ58がプラテン30上に搬送された媒体12に接触した状態で、搬送部40が媒体12を搬送することにより、搬送方向について被裁断媒体13が切断される。また、カッタ58が被裁断媒体13に接触した状態で、カッティングヘッド50がタイミングベルト62に駆動されて被裁断媒体13上を移動することにより、上記搬送方向と直交する方向について被裁断媒体13が切断される。また、これらを組み合わせることにより、任意の裁断線に沿って被裁断媒体13が切断される。
【0015】
プラテン30は、媒体12を支持する面に対して垂直に形成された溝を有する。この溝は、搬送される媒体12の幅よりも大きく、開口部には透明板68が嵌め込まれている。裁断装置10は、さらに、透明板68の下方に、読取部である光学センサ66を複数備える。それぞれの光学センサ66は、図3(a)に示す上面図、図3(b)に示す斜視図のように、その光軸方向がプラテン30の搬送面の法線方向に一致する向きに据え付けられる。それぞれの光学センサ66は、台紙14の領域のうち透明板68に接している領域を撮像する。すなわち、台紙14に記録されている位置合わせ指標は、台紙14がB方向に移動することにより、いずれかの光学センサ66により撮像される。光学センサ66は、撮像した位置合わせ指標から、位置合わせ指標により示される情報を読み取って制御部140に供給する。
【0016】
この読み取られた位置合わせ指標により示される情報は、例えば、装置本体16の幅方向をX軸それと直交する方向をY軸とし予め定められた初期位置を原点とした座標系(以下、「装置座標系」という。)における、光学センサ66により読み取られた位置合わせ指標により示される基準点の座標、および、基準方向であってもよい。
【0017】
裁断装置10は、さらに、図2に示すように、モータ150、160を介して、搬送部40、および、カッティングヘッド50を駆動する制御部140を備える。裁断装置10は、パーソナルコンピュータ300から取得する被裁断媒体13の裁断に関する情報、および、光学センサ66から取得する読み取られた位置合わせ指標により示される情報に基づいて、搬送部40、および、カッティングヘッド50を駆動する。
【0018】
このパーソナルコンピュータ300からの被裁断媒体13の裁断に関する情報は、例えば、装置座標系における、それぞれの位置合わせ指標により示される基準点の座標、および、装置本体16の幅方向をX軸それと直交する方向をY軸とし基準点を原点とした座標系(以下、「基準点座標系」という。)における、それぞれの裁断線を示す座標であってもよい。
【0019】
図4は、裁断される被裁断媒体13等の一例を示す。図5は、プラテン30に搬送された図4に示す被裁断媒体13等の一例を示す。以下、裁断装置10が、図4(a)に示す、表面(被裁断媒体13)に裁断領域302、304が印刷された媒体12(被裁断媒体13)を裁断する場合の制御部140等の動作について説明する。ここで、図4(a)に示す媒体12の裏面(台紙14)は、図4(b)に示すように、裁断領域302、304の中央に対応する位置に位置合わせ指標322、324が記録されている。具体的には、裁断領域302、304のそれぞれの重心に位置合わせ指標322、324が記録されている。また、裁断装置10は、裁断領域302、裁断領域304の順で媒体12を裁断するものとする。
【0020】
まず、制御部140は、予め、パーソナルコンピュータ300から、図4(b)に示す、装置座標系における位置合わせ指標322の基準点「R」の座標「R(A、B)」、装置座標系における位置合わせ指標324の基準点「S」の座標「S(C、D)」、基準点「R」に係る基準点座標系における裁断線312を示す座標、および、基準点「S」に係る基準点座標系における裁断線314を示す座標を取得する。
【0021】
また、光学センサ66は、プラテン30に搬送されてきた媒体12の先端を読み取る。さらに、光学センサ66は、位置合わせ指標322を読み取る。制御部140は、光学センサ66により媒体12の先端が読み取られてから位置合わせ指標322が読み取られるまでの搬送部40の搬送量から、当該位置合わせ指標322の搬送方向の位置を算出する。また、制御部140は、光学センサ66のいずれの素子が上記位置合わせ指標322を読み取ったかに基づいて、当該位置合わせ指標322の走査方向の位置を算出する。ここで、図5(a)に示すように媒体12がプラテン30にずれて搬送された場合、光学センサ66は、位置合わせ指標322により示される基準点の装置座標系における座標、および、装置座標系におけるその基準方向を読み取る。具体的には、図5(a)に示すように、光学センサ66は、線分322x、これと直交する線分322yの交点「R'」を基準点「R'」としてその座標「R'(A+a、B+b)」を読み取り、線分322xの方向「X'」を基準方向「X'」として読み取る。同様に、光学センサ66は、位置合わせ指標324により示される基準点「S'」の座標(非図示)、および、その基準方向(非図示)を読み取る。そして光学センサ66は、読み取ったこれらの情報を制御部140に供給する。
【0022】
制御部140は、まず、光学センサ66から取得した基準点「R'」、「S'」のうち、いずれの基準点が最初に裁断するべき裁断領域302に係る基準点「R」のずれた位置として対応するかを判断する。例えば、基準点の近傍に数字等の記号を付し、この記号に基づいていずれの基準点であるかを判断してもよい。また、制御部140は、光学センサ66から取得した基準点とパーソナルコンピュータ300から取得した基準点との距離が近いか否かで基準点の対応関係を判断してもよい。図5に示す例において、制御部140は、基準点「R」のずれた位置に対応する基準点は、基準点「R'」であると判断する。
【0023】
次に、制御部140は、座標「R(A、B)」と座標「R'(A+a、B+b)」とから、媒体12の裏面における、裁断領域302の平行移動量「a,b」を算出する。また、制御部140は、装置本体16の幅方向(「X」)と基準方向「X'」とから、媒体12の裏面における、裁断領域302の回転角度「−α」を計算する。
【0024】
制御部140は、計算した媒体12の裏面における、平行移動量「a,b」、および、裁断領域302の回転角度「−α」から、図5(b)に示すように、媒体12の表面における、基準点「R」のずれた位置として対応する、基準点「R''」の座標「R''(A−a、B+b)」、および、基準方向「X''」を計算する。
【0025】
そして、制御部140は、パーソナルコンピュータ300から取得した基準点「R」に係る基準点座標系における裁断線314の座標を、基準方向「X''」をX軸それと直交する方向をY軸とし基準点「R''」を原点とした座標系における座標に再計算(補正)する。制御部140は、再計算(補正)した裁断線312の座標に基づいて、搬送部40、および、カッティングヘッド50を駆動することにより、裁断領域302を裁断する。
【0026】
なお、媒体12がプラテン30にずれて搬送される一例として、給紙部18の所定の位置に媒体12が格納されていない場合、媒体12が台紙側ローラ42に挟まれるタイミングと媒体12が被裁断媒体側ローラ44に挟まれるタイミングが一致しない場合等が挙げられる。
【0027】
次に、裁断線312の場合と同様に、制御部140は、裁断領域304の裁断線314の座標を再計算(補正)する。そして制御部140は、再計算(補正)した裁断線314の座標に基づいて、搬送部40、および、カッティングヘッド50を駆動することにより、裁断領域304を裁断する。これにより、被裁断媒体13において製品に用いられる領域を広く確保しつつ、その被裁断媒体13上の裁断領域302、304を正確に裁断することができる。特に、各裁断領域302、304に対応付けて位置合わせ指標322、324を記録することにより、それぞれの裁断線312、314をより正確に補正することができる。さらに、各裁断領域302、304の中央に対応する位置に位置合わせ指標322、324を記録することにより、位置合わせ指標322、324と各裁断線312、314との距離を最小にすることができるので、媒体12が撓んだ場合でもその誤差を最小限に抑え、各裁断領域302、304をより正確に裁断することができる。
【0028】
なお、プラテン30上に搬送された後において媒体12の位置がずれる一例として、カッタ58による切断の影響、台紙側ローラ42と被裁断媒体側ローラ44の回転のずれ等が挙げられる。よって、裁断領域302に係る回転角度と裁断領域304に係る回転角度が一致しない場合がある。
【0029】
また、裁断領域302の重心にかえて、裁断領域302に外接する最小の矩形、または、内接する最大の矩形の中心に、位置合わせ指標322の交点が記録されていてもよい。
【0030】
また、制御部140は、裁断線312を示す座標を、基準点「R」に係る基準点座標系における座標として取得することにかえて、装置座標系における座標として取得してもよい。なお、制御部140は、パーソナルコンピュータ300から、裁断線312を示す座標を装置座標系における座標として取得した場合には、制御部140は、装置座標系における裁断線314の座標を、同じく装置座標系において、平行移動量「−a,b」、および、回転角度「α」に基づき再計算(補正)すればよい。
【0031】
図6は、複合機200の斜視図を示す。図7は、複合機200の概略側面図を示す。複合機200は、図1の裁断装置10に加えて、台紙14に保持された被裁断媒体13にインクを吐出することにより記録する記録部250を上段に備えて、複合機本体216に一体的に形成されている。
【0032】
台紙14に保持された被裁断媒体13に対して記録する上段は、上段給紙部212と、プラテン230と、上段給紙部212とプラテン230の間に配される上段搬送部260と、プラテン230に対向して配される記録部250と、プラテン230に対して上段搬送部260と反対側に配される上段排出部270とを備える。
【0033】
また、台紙14に保持された被裁断媒体13を裁断する下段は、下段搬送部280と、プラテン30と、プラテン30に対向して配されるカッティングヘッド50と、プラテン30に対して下段搬送部280と反対側に配される下段排出部290と、下段排出部290の複合機本体216と反対側に配される下段排紙部214とを備える。
【0034】
記録部250は、台紙14に保持された被裁断媒体13上を往復移動するキャリッジ254と、キャリッジ254に着脱可能に保持され、インクを収容したインクカートリッジ252と、キャリッジ254の下方に保持され、被裁断媒体13へインクを吐出する記録ヘッド256とを備える。キャリッジ254は、その内部に軸受けが形成されており、記録部ガイド軸240は上記軸受けに挿入されている。また、記録部250は、複合機本体216の上段において幅方向に渡って架け渡され、モータ(不図示)によって回転駆動される記録部タイミングベルト242の一部を把持している。
【0035】
カッティングヘッド50は、その内部に軸受けが形成されており、ガイド軸60は上記軸受けに挿入されている。また、カッティングヘッド50は、複合機本体216の下段において幅方向に渡って架け渡され、モータ(不図示)によって回転駆動されるタイミングベルト62の一部を把持している。さらに、カッティングヘッド50は、その下方にカッタ58を備える。
【0036】
可動式トレー220は、上段排出部270の複合機本体216の手前側に配され、右側トレー支持部222および左側トレー支持部224で複合機本体216に支持されている。右側トレー支持部222および左側トレー支持部224の少なくとも一方には、鉛直方向にねじ穴が形成されており、複合機本体216に内蔵されたボールねじ226に挿入されている。ボールねじ226は、トレー駆動モータ228により回転駆動される。これにより、可動式トレー220は上段排出部270の手前側の位置から、下段搬送部280の手前側の位置まで(図5および図6のE方向)を往復移動することができる。
【0037】
上段搬送部260は、台紙側ローラ262と、台紙側ローラ262に対向して配される媒体側ローラ264とを有する。台紙側ローラ262は、搬送モータ(不図示)から駆動ベルト(不図示)を介して動力を得て回転駆動される。媒体側ローラ264は複合機本体216に対して回転自在に支持され、台紙側ローラ262に連れ回る。
【0038】
上段排出部270は、台紙側ローラ272と、台紙側ローラ272に対向して配される媒体側ローラ274とを有する。台紙側ローラ272は、上記上段搬送部260を構成する台紙側ローラ262を回転駆動させるのと同じ搬送モータから駆動ベルトを介して動力を得て、上記上段搬送部260を構成する台紙側ローラ262と同期して回転駆動される。媒体側ローラ274は複合機本体216に対して回転自在に支持され、台紙側ローラ272に連れ回る。
【0039】
下段搬送部280および下段排出部290は、それぞれ上記の上段搬送部260および上段排出部270と同様の構成であることから説明を省略する。以下に、図5および図6に示す記録裁断複合機200において、台紙14に保持された被裁断媒体13に対して記録動作および裁断動作が連続的に行われる動作を説明する。
【0040】
まず、上段搬送部260を構成する台紙側ローラ262が回転駆動して、台紙側ローラ262と媒体側ローラ264との間で台紙14に保持された被裁断媒体13を挟んで、上段給紙部212上からプラテン230上に搬送する。次に、この状態において、モータが記録部タイミングベルト242を回転駆動することにより、記録部タイミングベルト242を把持するキャリッジ254が複合機本体216の幅方向に往復移動する。キャリッジ254が往復移動するのに伴って、キャリッジ254に保持された記録ヘッド256が、インクカートリッジ252から供給されたインクを台紙14に保持された被裁断媒体13へ吐出し、台紙14に保持された被裁断媒体13へ記録を行う。ここで、記録ヘッド256は、往復移動の両方向に移動しつつインクを吐出してもよいし、いずれか一方向に移動する場合にインクを吐出してもよい。その後、上段搬送部260の台紙側ローラ262および媒体側ローラ264が台紙14に保持された被裁断媒体13をさらに微少量だけ搬送して、さらに記録ヘッド256が台紙14に保持された被裁断媒体13上を往復移動しつつインクを吐出する。この動作を繰り返すことにより、台紙14に保持された被裁断媒体13の上面全体に記録が行われる。
【0041】
続いて、手動で被裁断媒体13が下面、台紙14が上面になるように媒体12の表裏を入れ替える。そして、被裁断媒体13の上面への記録と同様の動作を繰り返し、台紙14の上面に、位置合わせ指標を記録する。
【0042】
台紙14に対する記録動作が終わると、再び、手動で被裁断媒体13が上面、台紙14が下面になるように媒体12の表裏を入れ替える。そして、上段排出部270を構成する台紙側ローラ272が回転駆動して、台紙側ローラ272と媒体側ローラ274との間で被裁断媒体13と台紙14を挟んで、プラテン30上から可動式トレー220へ排出する。なお、媒体12の表裏を手動で入れ替える形態に替えて、媒体12の搬送経路に上下に湾曲したU字路を設けて、媒体12が当該搬送経路を通る毎に表裏が自動的に入れ替わるようにしてもよい。
【0043】
可動式トレー220は、台紙14に保持された被裁断媒体13を載せた状態で、上段排出部270の複合機本体216と反対側の位置から、下段搬送部280の複合機本体216と反対側の位置まで下降する。可動式トレー220が下段搬送部280の複合機本体216と反対側の位置で停止した後、下段搬送部280を構成する台紙側ローラ282が回転駆動して、台紙側ローラ282と媒体側ローラ284との間で被裁断媒体13と台紙14を挟んで、可動式トレー220上からプラテン30上に搬送する。これにより裁断動作がされる。さらに、台紙側ローラ292、および、媒体側ローラ294が被裁断媒体13を挟んでプラテン30から排出する。裁断動作が終わると、可動式トレー220は、下段搬送部280の複合機本体216と反対側の位置から、上段排出部270の複合機本体216と反対側の位置まで上昇して、次の台紙14に保持された被裁断媒体13が上段排出部270によって可動式トレー220上に排出されるまで待機する。裁断動作は、図1から図4に示した裁断装置10の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
なお、裁断装置10は、複数の光学センサ66ではなく、図3に示すA方向に移動する1つの光学センサ66を備えていてもよい。
【0045】
以上、本実施形態によれば、製品の外観に影響を与えることのない被裁断媒体13の裏面(台紙14)に記録された指標に基づいて位置合わせをするので、被裁断媒体13において製品に用いられる領域を広く確保しつつ、その被裁断媒体13を正確に裁断することができる。
【0046】
なお、本実施例において、媒体12として被裁断媒体13と台紙14と一体的に搬送等したが、これにかえて、台紙14を用いず被裁断媒体13を搬送してもよい。なお、この場合は、被裁断媒体13の裏面に位置合わせ指標を記録すればよい。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る裁断装置10の斜視図を示す。
【図2】裁断装置10の概略側面図を示す。
【図3】光学センサ66の配置の一例を示す。
【図4】裁断される被裁断媒体13等の一例を示す。
【図5】プラテン30に搬送された図4に示す被裁断媒体13等の一例を示す。
【図6】複合機200の斜視図を示す。
【図7】複合機200の概略側面図を示す。
【符号の説明】
【0049】
10 裁断装置、12 媒体、13 被裁断媒体、14 台紙、16 装置本体、18 給紙部、20 排紙部、30 プラテン、40 搬送部、42 台紙側ローラ、44 被裁断媒体側ローラ、50 カッティングヘッド、58 カッタ、60 ガイド軸、62 タイミングベルト、64 昇降回転部、66 光学センサ、68 透明板、140 制御部、150 モータ、160 モータ、200 複合機、212 上段給紙部、214 下段排紙部、216 複合機本体、220 可動式トレー、222 右側トレー支持部、224 左側トレー支持部、226 ボールねじ、228 トレー駆動モータ、230 プラテン、240 記録部ガイド軸、242 記録部タイミングベルト、250 記録部、252 インクカートリッジ、254 キャリッジ、256 記録ヘッド、260 上段搬送部、262 台紙側ローラ、264 媒体側ローラ、270 上段排出部、272 台紙側ローラ、274 媒体側ローラ、280 下段搬送部、282 台紙側ローラ、284 媒体側ローラ、290 下段排出部、292 台紙側ローラ、294 媒体側ローラ、300 パーソナルコンピュータ、302 裁断領域、304 裁断領域、312 裁断線、314 裁断線、322 位置合わせ指標、324 位置合わせ指標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を裁断する裁断装置であって、
前記媒体の一方の面に対して相対的に移動することにより、前記媒体を裁断する裁断部と、
前記媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記位置合わせ指標に基づいて、前記媒体に対する前記裁断部の位置を合わせて、前記裁断部を駆動することにより前記媒体を裁断する制御部と
を備える裁断装置。
【請求項2】
シート状の媒体に記録をする記録装置、および、前記媒体を裁断する裁断装置を備える複合機であって、
前記記録装置は、前記媒体の一方の面に画像を記録するとともに、他方の面に位置合わせ指標を記録し、
前記裁断装置は、
前記媒体の一方の面に対して相対的に移動することにより、前記媒体を裁断する裁断部と、
前記媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記位置合わせ指標に基づいて、前記媒体に対する前記裁断部の位置を合わせて、前記裁断部を駆動することにより前記媒体を裁断する制御部と
を有する複合機。
【請求項3】
前記記録装置は、複数の裁断領域がある場合に、各裁断領域に対応した複数の位置合わせ指標を前記媒体の前記他方の面に記録し、
前記裁断装置の前記読取部は、前記複数の裁断領域のそれぞれを裁断するのに先立って、裁断する裁断領域に対応した前記位置合わせ指標を読み取る請求項2に記載の複合機。
【請求項4】
前記記録装置は、前記媒体の前記他方の面において、各裁断領域の中央に対応する位置に位置合わせ指標を記録する請求項3に記載の複合機。
【請求項5】
シート状の媒体の一方の面に対して相対的に裁断部が移動することにより、前記媒体を裁断する裁断方法であって、
前記媒体の他方の面に記録された位置合わせ指標を読み取り、
読み取った前記位置合わせ指標に基づいて、前記媒体に対する前記裁断部の位置を合わせて、前記裁断部を駆動することにより前記媒体を裁断する裁断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−154390(P2007−154390A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354969(P2005−354969)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】