説明

装置、認証方法および認証プログラム

【課題】ユーザの使いかたや好みに合わせて、ジョブリストの設定、表示等の機能を調整することや、ユーザの業務形態に合わせたジョブリストの修正等の設定が可能な装置を提供する。
【解決手段】ユーザIDを用いて、画像形成装置と外部端末とのユーザ認証が成立した場合に、画像形成装置は、外部端末にジョブリストを送信する。該ジョブリストを受信した外部端末では、ユーザIDに応じたジョブリストの表示を行うため、該ジョブリストをユーザの好みに合わせて調整された(カスタマイズ)表示画面で表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、ファクシミリ、スキャナ、複写機、プリンタ、複合複写機などの画像形成装置、認証方法および認証プログラムに関し、特にユーザの携帯する外部端末から送信された認証用情報に基づいて、ユーザの認証を行う画像形成装置、認証方法および認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置、ファクシミリ、スキャナ、複写機、プリンタ、複合複写機などの画像形成装置は、複数のユーザで該画像形成装置を共有するのが一般的である。
そのため、例えば複数のユーザが同時にジョブの起動を指定した場合には、画像形成装置は、予約コピー機能によって複数のジョブを平行して処理することが可能である。
そして、ユーザは、画像形成装置のパネル上に表示されたジョブリスト、あるいは、PCなどに表示されたジョブリストを参照することによって、指定されたジョブの実行順を確認することができる。
しかしながら、ジョブリストを表示する際、ユーザによっては第三者に何のジョブを実行しているかを知られたくない、すなわちセキュリティを望むケースもある。この対策としての技術が下記特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1は、画像形成装置にジョブをロックするか否かの確認画面を表示し、確認画面で「はい」が選択された場合に、当該ジョブをロックして該当ジョブの削除や設定変更などの操作を禁止し、ジョブリスト上にロックが選択されたジョブの表示を行わないことができるとしている。
また、ロックが指定されたジョブでも、ユーザ認証によってロックが解除された場合、画像形成装置は該当ジョブの設定および変更などの操作を許可し、ジョブリスト上にロックが選択されたジョブの表示を行うことができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、ユーザ認証を行う度に、ユーザはわざわざユーザIDとパスワードを手入力するので、ユーザ側の負担が大きくなるという問題が発生している。
また、上記特許文献1では、ユーザの使いかたや好みに合わせて、ジョブリストの設定、表示等の機能を調整すること(カスタマイズ)や、ユーザの業務形態に合わせたジョブリストの修正等の設定ができないという問題が発生している。
さらに、上記特許文献1では、ユーザ認証に係るユーザIDとパスワードの手入力は、不特定多数によって操作可能なので、ユーザIDとパスワードが第三者に知られた場合には、セキュリティとして機能しなくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の第1の目的は、ユーザ認証を行う度に、わざわざユーザがユーザIDやパスワードを手入力する手間を省いて、ユーザ認証を簡易に行う画像形成装置、認証方法および認証プログラムを提供することである。
また、本発明の第2の目的は、ユーザの使いかたや好みに合わせて、ジョブリストの設定、表示等の機能を調整することや、ユーザの業務形態に合わせたジョブリストの修正等の設定が可能な外部端末を提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、ユーザIDとパスワードが第三者に知られた場合でも、ユーザIDとパスワードの手入力によらずに、ジョブのロック解除などを行うことができる画像形成装置、認証方法および認証プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置において、前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する検出手段と、前記検出手段により所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持するユーザ識別情報を受信するユーザ識別情報受信手段と、記録手段に記録されるユーザ識別情報の中から、前記ユーザ識別情報受信手段で受信した前記ユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を検索する検索手段と、前記検索手段による検索の結果、一致するユーザ識別情報があった場合に、前記ユーザ識別情報受信手段により前記外部端末から受信した前記ユーザ識別情報を認証する認証手段と、を備えたことを特徴とする装置を提供する。
【0007】
請求項2記載の発明では、前記検出手段は、前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を認識し、当該外部端末を特定する機器特定情報を入力することで検出することを特徴とする請求項1に記載の装置を提供する。
【0008】
請求項3記載の発明では、前記検出手段により検出された前記外部端末に対して、前記ユーザ識別情報の送信を要求するユーザ識別情報送信要求手段を更に備え、前記ユーザ識別情報受信手段は、前記ユーザ識別情報送信要求手段に応じて前記外部端末が送信したユーザ識別情報を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の装置を提供する。
【0009】
請求項4記載の発明では、前記認証手段により認証された前記ユーザ識別情報を送信した前記外部端末から、前記装置が備える機能の利用を要求する利用要求を受信する要求受信手段と、前記要求受信手段により受信した前記利用要求に応じて、利用が要求された前記機能を実行する実行手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置を提供する。
【0010】
請求項5記載の発明では、前記要求受信手段は、前記認証手段により認証が成立した外部端末に対し、コピー、ファクシミリ送受信、又は、プリントの少なくとも1機能を実行するジョブのジョブリストの送信を要求する前記利用要求を受信し、前記実行手段は、前記認証手段により認証が成立した外部端末に対し、コピー、ファクシミリ送受信、又は、プリントの少なくとも1機能を実行するジョブのジョブリストを送信することを特徴とする請求項4に記載の装置を提供する。
【0011】
請求項6記載の発明では、前記要求受信手段は、コピー、ファクシミリ送受信、又は、プリントの少なくとも1機能を実行するジョブの実行を要求する前記利用要求を受信し、前記実行手段は、前記要求受信手段により受信した前記ジョブを実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の装置を提供する。
【0012】
請求項7記載の発明では、前記ジョブの実行を要求した前記外部端末に、前記実行手段によるジョブの実行が終了した旨を通知する通知手段と、前記ジョブの実行を要求した外部端末から、前記実行手段による実行が終了したジョブの取得要求を受信するジョブ取得要求受信手段と、前記ジョブ取得要求受信手段が受信した取得要求に応じて、前記実行手段による実行が終了したジョブを、前記ジョブの実行を要求した外部端末に送信するジョブ送信手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の装置を提供する。
【0013】
請求項8記載の発明では、前記ユーザ識別情報受信手段は、ユーザ単位、グループ単位、又は機能単位のユーザ識別情報で、前記外部端末が保持するユーザ識別情報を受信することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置を提供する。
【0014】
請求項9記載の発明では、前記無線通信手段は、通信方式としてBluetooth方式を用いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置を提供する。
【0015】
請求項10記載の発明では、外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置における認証方法において、前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する第1のステップと、前記第1のステップで所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持するユーザ識別情報を受信する第2のステップと、記録手段に記録されるユーザ識別情報の中から、前記第2のステップで受信した前記ユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を検索する第3のステップと、前記第3のステップで一致するユーザ識別情報があった場合に、当該外部端末から受信した前記ユーザ識別情報を認証する第4のステップと、を有することを特徴とする装置における認証方法を提供する。
請求項11記載の発明では、外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置において、前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する第1の機能と、前記第1の機能により所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持するユーザ識別情報を受信する第2の機能と、記録手段に記録されるユーザ識別情報の中から、前記第2の機能で受信したユーザ識別情報と一致する前記ユーザ識別情報を検索する第3の機能と、前記第3の機能で一致するユーザ識別情報があった場合に、当該外部端末から受信した前記ユーザ識別情報を認証する第4の機能と、をコンピュータに実現させるための、装置における認証プログラムを提供する。
請求項12記載の発明では、外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置において、前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する検出手段と、前記検出手段により所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持する識別情報を受信する識別情報受信手段と、記録手段に記録される識別情報の中から、前記識別情報受信手段で受信した前記識別情報と一致する前記識別情報を検索する検索手段と、前記検索手段による検索の結果、一致する前記識別情報があった場合に、前記識別情報受信手段により前記外部端末から受信した前記識別情報を認証する認証手段と、を備え、前記識別情報は、特定の前記外部端末群であることを識別するための情報であることを特徴とする装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、画像形成装置が外部端末からユーザIDを受信し、該ユーザIDと登録されたユーザIDから一致するユーザIDの検索を行い、一致するユーザIDがある場合に、ユーザ認証が成立する。
これにより、ユーザの認証を行う度に、わざわざユーザがユーザIDやパスワードを手入力する手間を省いて、ユーザ認証を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の一実施形態である複合機の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】外部端末の一実施形態である携帯電話の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態におけるユーザ認証までの処理の過程を示したフローチャートである。
【図4】ユーザ認証が成立した複合機と携帯電話におけるジョブリストの送受信と、完了した印刷ジョブの通知までの処理の過程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)発明の実施の概要
ユーザIDを用いて、画像形成装置と外部端末とのユーザ認証が成立した場合に、画像形成装置は、外部端末にジョブリストを送信する。
該ジョブリストを受信した外部端末では、ユーザIDに応じたジョブリストの表示を行うため、該ジョブリストをユーザの好みに合わせて調整された(カスタマイズ)表示画面で表示することができる。
また、外部端末でジョブのロック解除が指定された場合には、画像形成装置はロック解除が指定されたジョブの削除や、設定変更などの操作を許可し、該ロック解除が指定されたジョブに対してロック解除を行う。
【0019】
(2)発明の実施の詳細
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1および図4を参照して詳細に説明する。まず、図1は、画像形成装置の一実施形態である複合機の主要な構成を示すブロック図である。
複合機1は、図1に示すように、プロッタ4と、スキャナ5と、ユーザID管理部3と、ROM11と、CPU10と、RAM14と、NVRAM12と、操作ボード15と、ジョブ管理部16と、通信制御部17と、符号化・復号部9と、NCU18と、モデム19と、Bluetoothモジュール20を備えている。
スキャナ5は、文字や図形などが記載された原稿の画像情報をセンサ5aで読み取って電気信号に変換し、画像データを出力する画像読み取り手段である。
スキャナ5は、読み取られたイメージデータを2値化して、生データとし、原稿読取時の縮小、拡大などの変倍処理や線密度変換などの処理を行う。
【0020】
プロッタ4は、受信した画像データや受信結果を表す画像情報(例えば、送信元の電話番号、受信時刻などの情報)を入力して、用紙に画像を形成し、印刷するための機構を備えたユニットで構成されている。
このプロッタ4は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、トナージェット方式など、用紙に画像イメージを記録できるもので良い。
プロッタ4は、用紙センサ4aから入力する信号に従い作動して、CPU10にて書き込みが指示された画像データの画像ファイルをページ毎に(原稿一枚ごとに)受け取り、所定の用紙に該画像データを印字出力する。
【0021】
操作ボード15は、所定のテンキーおよび文字入力キーを備えたメカニカルキーやタッチパネルキーなどからなる操作キーを有し、バスライン21を介してCPU10とのデータのやり取りを行い、画像データの送信に必要な操作(例えば、相手先の電話番号の入力やスタート/ストップなど)や送受信の状況確認など、複合機1の使用に必要な情報をその操作キーから入力する。
また、操作ボード15は、LED表示装置と、操作キーから操作入力される情報や、現在の動作状態、および時刻などを表示する液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置を有している。
ユーザは、液晶ディスプレイ(LCD)に表示されたジョブリスト、あるいは、PCなどに表示されたジョブリストを参照することによって、指定されたジョブの実行順を確認することができる。
【0022】
操作ボード15の表示部にはジョブリストが表示され、該表示されたジョブリストのジョブをユーザが選択することによって、該ジョブに対してロックを指定することできる。
ロック指定されたジョブは、プロッタ4での印字出力を中止することができる。
ユーザID管理部3は、携帯電話の所有者を表すユーザIDおよび、該ユーザIDに対応するパスワードが登録されており、登録は操作ボード15から行うことが可能である。
【0023】
RAM(Random Access Memory)14は、受信した画像データおよびスキャナ5が原稿を読み取って出力する画像データを一時的に記憶し、複数の受信データが管理され蓄積されている。
RAM14には、例えば、磁気ディスク装置が利用されるが、その他にもカードスロットに挿入されるメモリーカードでも良い。
【0024】
通信制御部17は、CPU10から指示を受けてNCU(Network Control Unit)18を制御し、加入電話回線PSTN網と接続して、相手側通信端末とのファクシミリ送受信を行う際の通信を制御する。
また、通信制御部17は、モデム19により相手側通信端末からの受信データ(変調されている)を復調し、送信データを変調する。
さらにNCU18にて検出されたリンギンズ電圧のパルス検出や、DTMF信号の検出とともに、トーン信号を検出して、送信時の発呼を行う。
【0025】
符号化・復号部9は、MH方式(Modified Huffman Coding)などの既知の符号化方式により、送信する画像データを圧縮加工する。
そして、受信した画像データは、復号化して元のデータを再生(復元)する。
該再生されたデータをプロッタ4で印字出力する処理は、ジョブ管理部16でジョブとして管理される。
【0026】
CPU(Central Processing Unit)10は、複合機1全体の動作を制御するユニットであって、ROM11に記憶されているプログラムに従って処理を実行し、各構成部を制御する。ROM11(Read Only Memory)には、複合機1の基本プログラム、および後述する本発明の特徴とする各機能を実現するプログラムが格納されている。
また、CPU10は、スキャナ5で読み取った画像データや、通信制御部で受信したファクシミリの画像データなどを、ジョブ管理部16に転送する。
【0027】
NCU18は、一般公衆網(PSTN)の接続および回線の閉結を管理し、呼び出し信号(リンギング)を検出する。
モデム19は、画像データの変調、または復調し伝送するとともに、伝送制御のための各種手順信号を伝送する。
Bluetoothモジュール20は、Bluetooth機能に従い作動して、複合機1の外部に配置される携帯電話50を認識し、それを特定するための機器特定情報を通信制御部17に入力する。
ここでBluetooth機能とは、Bluetooth(携帯電話、PDA:Personal Digital Assistantsなどの携帯電話同士をケーブルを用いず、近距離無線で接続するための通信規格)に従い、近距離に配置される携帯電話と通信を行う機能をいう。
【0028】
Bluetooth方式の通信は、2.4GHz声帯を用いた無線伝送方式で、その通信エリアは、送信出力のクラスにより異なるが、約10m〜100mである。
なお、本実施形態において、Bluetoothモジュール20は、半径約10mの通信エリア(以下ピコネットエリアという)内の携帯電話50との間で通信可能となっている。
また、ピコネットエリアを狭く設定することによって、ユーザが近くにいることの証明となり、ユーザ認証によって印刷物の取り忘れ防止を行うことができる。
【0029】
また、Bluetooth方式の通信では、通信開始時において、ユーザを識別する識別子(以下ユーザIDという)を用いて、接続認証が行われる仕組みとなっている。
Bluetooth通信を行う2機器間では、該ユーザIDをペアとして登録されており、管理するようにしている。ここで、該ユーザIDには、ユーザを識別することができる識別子であれば、何でも使用することができ、ユーザ単位、グループ単位、あるいは使用する機器のアプリケーション単位で登録させることも可能である。例えば、ベンダー情報を用いてユーザをグループ単位で登録し、まとまったグループ単位で管理することができる。
複合機1において、ユーザIDはユーザID管理部3に登録することができる。このように、Bluetooth方式の通信で該登録されたユーザIDを活用することによって、誤接続防止や盗聴防止などのセキュリティ向上が図られる。
【0030】
ジョブ管理部16は、CPU10で転送されたジョブに対して、ジョブ番号、転送された時刻などを付与し、取得したジョブを管理する。
また、ジョブ管理部16は図示しない複合機1に接続されたパソコンなどからコピー、プリンタなどの印刷要求を管理することもでき、例えば、複数のユーザが同時にジョブの起動を指定した場合には、ジョブ管理部16は、予約コピー機能などによって複数のジョブを平行して管理することが可能である。
これら複合機1の各構成要素は、バスライン21を介して接続しており、CPU10によって必要な構成要素が制御される。
【0031】
図2は、外部端末の一実施形態である携帯電話50の主要な構成を示すブロック図である。
図2において、携帯電話50は、CPU101、ROM102、RAM103、ディスプレイ104、入力キー105、マイク106、スピーカー107、移動通信インターフェイス109、Bluetoothモジュール110およびバスライン111を備えている。
【0032】
CPU101は、制御と演算の各種処理を行い、ROM102は、各種プログラムを実行し、RAM103は、作業領域に一時的にデータを格納する。
ディスプレイ104は、各種表示を行うため、例えば、Bluetoothモジュール110で複合機1から受信したジョブリストを表示する。
入力キー105は、各種入力を行うための数字キーなどによって構成され、ディスプレイ104に表示されたジョブリストを選択し、ロックの解除指示などを行うことができる。
マイク106は、音声を入力するために使用され、スピーカ107は音声を出力する。
移動通信インターフェイス109は、所定の周波数帯の電話を用いて移動通信網に接続し、他の携帯電話と通話などの移動通信を行うためのインターフェイスである。
Bluetoothモジュール110は、Bluetooth機能に従い作動して、携帯電話50の外部に配置される複合機1を認識し、各種情報の通信を行う。
【0033】
上記各部は、信号をやり取りするためのバスライン111で相互に接続されており、CPU101は、携帯電話50全体の動作を制御するユニットであって、ROM102に記憶されているプログラムに従って処理を実行し、各構成部を制御する。
また、RAM103には、携帯電話50の所有者を表すユーザIDやパスワードが登録されている。
そして、RAM103には、キャッシュメモリ112が内蔵されており、キャッシュメモリ112にユーザID、パスワードが格納された場合には、CPU110はユーザID、パスワードをキャッシュメモリ112から速やかに取得することができる。
【0034】
なお本実施形態では、携帯電話50の所有するユーザ毎に、アプリケーションを個別に設定可能であり、ディスプレイ104には、ユーザの使い方や好みに合わせて、ジョブリストの表示等の機能を調整すること(カスタマイズ)が可能である。
例えば、ディスプレイ104のジョブリストが表示された場合には、ユーザは、ジョブリストを参照することによって、ジョブの実行順を確認することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、近距離通信をBluetooth方式による近距離通信とするが、これに限らず、IEEE802.11、HomeRF、IrDAなどの近距離通信規格も適宜使用可能である。
【0036】
図3は、本実施形態におけるユーザ認証までの処理の過程を示したフローチャートである。
まず、複合機1および携帯電話50は、電源投入に伴い、Bluetoothモジュール20、110の起動を行う(ステップ301、ステップ303)。
ユーザが所有する携帯電話50が複合機1のピコネットエリア内に入ることによって、Bluetoothモジュール20が携帯電話50を検出する。
複合機1は、該検出された携帯電話50の所有するユーザを識別するためのコード(以下ユーザIDという)の送信要求を送信する(ステップ305)。
該ユーザID送信要求を受信した携帯電話50は、RAM103に保持されたユーザIDをBluetoothモジュール110で送信する(ステップ307)。
【0037】
該ユーザIDを受信した複合機1は、ユーザID管理部3を検索し、該受信したユーザIDと一致するユーザIDを検索する(ステップ309)。
そして、ユーザIDが一致する場合に(ステップ309;Y)、複合機1は携帯電話50のユーザ認証が成立したとみなし(ステップ311)、ユーザ認証が成立した旨を携帯電話50に通知する(ステップ313)。
携帯電話50は、ユーザIDが成立した旨の通知を受信し(ステップ315)、ユーザ認証が成立した旨の通知をディスプレイ104に表示する(ステップ317)。
【0038】
このように、携帯電話50と複合機1は、Bluetooth通信でユーザIDの通信を行うことにより、携帯電話50の所有者であるユーザの認証を簡易に行うことが可能である。
【0039】
なお、本実施形態では、ステップ307、308におけるユーザIDの送受信の際に、パスワードも送受信することでユーザ認証のセキュリティを更に高めること可能である。
【0040】
なお、携帯電話50は、ステップ315においてユーザ認証成立通知を受信した場合に、該ユーザIDをRAM103からキャッシュメモリ112に転送することもできる。
これにより、今後は携帯電話50が複合機1のピコネットエリア内に入る度にユーザ認証をその都度行うことなく、簡易にかつ高速にユーザ認証を行うことができる。
【0041】
図4は、ユーザ認証が成立した複合機1と携帯電話50におけるジョブリストの送受信と、完了した印刷ジョブの通知までの処理の過程を示したフローチャートである。
図4の複合機1と携帯電話50は、図3においてユーザ認証が成立した複合機1と携帯電話50である。
携帯電話50の入力キー105から、ジョブリストの送信要求が入力されると(ステップ401)、携帯電話50は複合機1にBluetoothモジュール110よりジョブリスト送信要求を通知する(ステップ402)。
【0042】
ジョブリスト送信要求をBluetoothモジュール110より受信した複合機1は(ステップ403)、該当するジョブリストをジョブ管理部16より検索し、Bluetoothモジュール20より、ジョブリストの送信を行う(ステップ404)。
携帯電話50では、Bluetoothモジュール110よりジョブリストを受信し、ディスプレイ104に表示する(ステップ405)。ステップ405におけるジョブリストの表示は、RAM14に登録されたユーザIDに応じて、設定を調整(カスタマイズ)することが可能である。
【0043】
次に、携帯電話50のディスプレイ104上に表示されたジョブリストからユーザが印刷したいジョブを入力キー105から指定する(ステップ407)。
指定された印刷ジョブは、携帯電話50よりBluetoothモジュール110より送信され(ステップ409)、該指定された印刷ジョブをBluetoothモジュール20から受信した複合機1は、該指定されたジョブに対して、ロック指定がされている場合に(ステップ410;Y)、ジョブ管理部16に格納された印刷ジョブのロック解除を行う(ステップ411)。そして、複合機1はロックが解除されたジョブに対して印刷を行う(ステップ412)。
【0044】
印刷終了後、複合機1は携帯電話50に対して印刷の終了した旨の通知を行い(ステップ413)、該通知を受信した携帯電話50では(ステップ415)、印刷の完了したジョブの取得要求を行う(ステップ417)。
該印刷の完了したジョブの取得要求を受信した複合機1は(ステップ419)、印刷の終了したジョブを携帯電話50に送信する(ステップ421)。
印刷の終了したジョブの情報を受信した携帯電話50は(ステップ423)、印刷の終了したジョブの情報をディスプレイ104に表示し、ユーザに対して、印刷が完了したジョブの通知を行う(ステップ425)。
【0045】
本実施形態では、複合機1は携帯電話50にジョブリストを送信し、印刷指定されたジョブリストのロック解除などを行うことによって、印刷ジョブの操作を行うことができる。
そして、携帯電話50では、ジョブリストの設定、表示等の機能をユーザの使いかたや好みに合わせて、調整すること(カスタマイズ)や、ユーザの業務形態に合わせたジョブリストの修正等の設定を行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態では、ユーザIDとしてベンダー情報を用い、一括でユーザを認識するようにしても良い。このようにベンダー情報を用いることによって、特定の携帯電話群とのみ接続を行い、セキュリティを向上することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、複合機1は、ステップ413、421で印刷完了通知および完了した印刷ジョブの送信をインターネットを経由して、Eメールなどでユーザの所有するパソコンに送信することも可能である。
【0048】
なお、本発明の画像形成装置は複合機に限らず、例えば、ファクシミリ装置やプリンタ装置、スキャナ装置などにも適用することも可能である。
また、本発明の外部端末は携帯電話に限らず、ユーザが個別に携帯可能な電子機器であれば多様な装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 複合機
3 ユーザID管理部
4 プロッタ
4a 用紙センサ
5 スキャナ
5a センサ
9 符号化復号化部
10 CPU
11 ROM
12 NVRAM
14 RAM
15 操作ボード
16 ジョブ管理部
17 通信制御部
18 NCU
19 モデム
20 Bluetoothモジュール
21 バスライン
50 携帯電話
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ディスプレイ
105 入力キー
106 マイク
107 スピーカ
109 移動通信インターフェイス
110 Bluetoothモジュール
111 バスライン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2005−67072号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置において、
前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する検出手段と、
前記検出手段により所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持するユーザ識別情報を受信するユーザ識別情報受信手段と、
記録手段に記録されるユーザ識別情報の中から、前記ユーザ識別情報受信手段で受信した前記ユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索の結果、一致するユーザ識別情報があった場合に、前記ユーザ識別情報受信手段により前記外部端末から受信した前記ユーザ識別情報を認証する認証手段と、
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を認識し、当該外部端末を特定する機器特定情報を入力することで検出することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出手段により検出された前記外部端末に対して、前記ユーザ識別情報の送信を要求するユーザ識別情報送信要求手段を更に備え、
前記ユーザ識別情報受信手段は、前記ユーザ識別情報送信要求手段に応じて前記外部端末が送信したユーザ識別情報を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記認証手段により認証された前記ユーザ識別情報を送信した前記外部端末から、前記装置が備える機能の利用を要求する利用要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段により受信した前記利用要求に応じて、利用が要求された前記機能を実行する実行手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記要求受信手段は、
前記認証手段により認証が成立した外部端末に対し、コピー、ファクシミリ送受信、又は、プリントの少なくとも1機能を実行するジョブのジョブリストの送信を要求する前記利用要求を受信し、
前記実行手段は、
前記認証手段により認証が成立した外部端末に対し、コピー、ファクシミリ送受信、又は、プリントの少なくとも1機能を実行するジョブのジョブリストを送信することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記要求受信手段は、
コピー、ファクシミリ送受信、又は、プリントの少なくとも1機能を実行するジョブの実行を要求する前記利用要求を受信し、
前記実行手段は、
前記要求受信手段により受信した前記ジョブを実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記ジョブの実行を要求した前記外部端末に、前記実行手段によるジョブの実行が終了した旨を通知する通知手段と、
前記ジョブの実行を要求した外部端末から、前記実行手段による実行が終了したジョブの取得要求を受信するジョブ取得要求受信手段と、
前記ジョブ取得要求受信手段が受信した取得要求に応じて、前記実行手段による実行が終了したジョブを、前記ジョブの実行を要求した外部端末に送信するジョブ送信手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザ識別情報受信手段は、ユーザ単位、グループ単位、又は機能単位のユーザ識別情報で、前記外部端末が保持するユーザ識別情報を受信することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記無線通信手段は、通信方式としてBluetooth方式を用いることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置における認証方法において、
前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する第1のステップと、
前記第1のステップで所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持するユーザ識別情報を受信する第2のステップと、
記録手段に記録されるユーザ識別情報の中から、前記第2のステップで受信した前記ユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報を検索する第3のステップと、
前記第3のステップで一致するユーザ識別情報があった場合に、当該外部端末から受信した前記ユーザ識別情報を認証する第4のステップと、
を有することを特徴とする装置における認証方法。
【請求項11】
外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置において、
前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する第1の機能と、
前記第1の機能により所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持するユーザ識別情報を受信する第2の機能と、
記録手段に記録されるユーザ識別情報の中から、前記第2の機能で受信したユーザ識別情報と一致する前記ユーザ識別情報を検索する第3の機能と、
前記第3の機能で一致するユーザ識別情報があった場合に、当該外部端末から受信した前記ユーザ識別情報を認証する第4の機能と、
をコンピュータに実現させるための、装置における認証プログラム。
【請求項12】
外部端末と無線通信を行う無線通信手段を備えた装置において、
前記無線通信手段により所定の範囲内に存在する前記外部端末を検出する検出手段と、 前記検出手段により所定の範囲内に前記外部端末が検出された後に、検出された前記外部端末から送信される、当該外部端末が保持する識別情報を受信する識別情報受信手段と、
記録手段に記録される識別情報の中から、前記識別情報受信手段で受信した前記識別情報と一致する前記識別情報を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索の結果、一致する前記識別情報があった場合に、前記識別情報受信手段により前記外部端末から受信した前記識別情報を認証する認証手段と、
を備え、
前記識別情報は、
特定の前記外部端末群であることを識別するための情報であることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−51376(P2012−51376A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224316(P2011−224316)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2007−36900(P2007−36900)の分割
【原出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】