説明

装置筐体

【課題】装置筐体に関し、スパッタ等の噛み込みを完全に防止することを目的とする。
【解決手段】筐体本体部1の底壁に雄ネジ部2を螺合して装着されるレベルフット3を備えた装置筐体であって、
前記筐体本体部1内であって、レベルフット3の進入基端には、雄ネジ部2が貫通するネジ挿通孔4を備えた可撓性を有する薄板体5が固定され、
かつ、ネジ挿通孔4は雄ネジ部2の呼び径より小径に形成されてネジ山面に圧接するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
設置床面からの設置高さを可変にするために、底壁にレベルフットを装着した装置筐体としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、レベルフットを構成する軸部には調整ネジが形成され、装置フレーム(筐体本体部)にねじ込まれる。軸部を水平回転させると、軸部は筐体本体部から進退し、筐体本体部の設置高さが調整される。
【特許文献1】特開平6-2738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来例において、軸部の上端は筐体本体部内に飛び出しているために、筐体本体部の製造時に発生し、製造後の清掃で取りきれなかった溶接スパッタ等が搬送時等に移動し、筐体本体部と調整ネジとの隙間に落ち込むことがある。
【0004】
落ち込んだスパッタ等は、調整ネジの調整操作に伴ってネジ山間に挟まるために、以後、調整ネジへの螺合操作が不可能となり、設置高さ調整が全くできなくなる。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、スパッタ等の噛み込みを完全に防止できる装置筐体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
装置筐体は、筐体本体部1の底壁にレベルフット3を装着して形成される。レベルフット3の筐体本体部1からの飛び出し寸法を調整可能とするために、レベルフット3には雄ネジ部2が形成されており、筐体本体部1にねじ込まれる。
【0007】
薄板体5は全体として可撓性を有するように板厚、材質が決定され、中央部にネジ挿通孔4が開設される。この薄板体5は、筐体本体部1の底壁面、すなわち、レベルフット3の筐体本体部1への進入基端に固定され、レベルフット3は、薄板体5のネジ挿通孔4を貫通して筐体本体部1外に突出する。
【0008】
上記ネジ挿通孔4は、雄ネジ部2の呼び径より小径に形成されており、レベルフット3の雄ネジ部2がねじ込まれると、ネジ挿通孔4の内周縁は雌ネジ部7aとの噛合領域に侵入してネジ山面に圧接する。ネジ挿通孔4の内周縁がネジ山面に圧接する結果、筐体本体部1側の雌ネジ部7aとレベルフット3の雄ネジ部2との間の隙間は、筐体本体部1内側から完全に閉塞されることとなり、筐体本体部1内に溶接スパッタ等が残留していても、ネジに噛み込むことがなくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スパッタ等の噛み込みを完全に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に現金取引装置として構成された本発明の実施の形態を示す。現金取引装置は、必要な処理系を収容する筐体本体部1内の底壁からレベルフット3を突設して形成される。
【0011】
筐体本体部1は底壁に接合されるチャンネル材8により補強され、このチャンネル材8の裏面にナット7が溶着される。チャンネル材8には、ナット7の雌ネジ部7aに連通する透孔8aが穿孔されるとともに(図3(b)参照)、透孔8aの上方で、筐体本体部1の底壁面には円形の開口1aが開設される。
【0012】
図2に示すように、レベルフット3は、下端に接地フランジ3aを備えた杆体であり、上部に形成される雄ネジ部2を上記ナット7にねじ込んで筐体本体部1に装着される。接地フランジ3aの上部には、レベルフット3に回転操作力を与えるためのナット3bが一体形成される。
【0013】
雄ネジ部2をナット部7aにねじ込んだ状態でレベルフット3を水平回転させると、図2(a)、(d)に示すように筐体本体部1からの突出距離が変化し、設置床面9からの筐体本体部1の設置高さが調整される。図2(d)に示すように、突出距離を小さくした場合には、レベルフット3の上端部は上記円形の開口1aから筐体本体部1内に収容される。
【0014】
5は合成樹脂材をシート状に成形した薄板体を示す。この薄板体5は、図2に示すように、チャンネル材8の上面、すなわち、筐体本体部1内方側の壁面に固定される。固定方法は、適宜の周知手段によることができるが、この実施の形態においては、図3(a)に示すように、裏面周縁に貼り付けた粘着テープ5aが使用される。
【0015】
上記薄板体5の中央部には、雄ネジ部2を貫通させるためのネジ挿通孔4が設けられる。ネジ挿通孔4は雄ネジ部2の呼び径より小径に形成されており、雄ネジ部2を押し込むと、ネジ挿通孔4の周囲が一旦弾性的に変形し、雄ネジ部2を受容する。この状態からレベルフット3を回転させると、薄板体5のネジ挿通孔4の周縁は雄ネジ部2のネジ山の上下動に追随する。
【0016】
図3(b)にレベルフット3引き込み方向の回転に対して薄板体5のネジ挿通孔4の周縁が上方に反り返った状態を、図3(c)にレベルフット3飛び出し方向の操作に対し下方に屈曲した状態を各々示す。これら薄板体5の変形は、弾性変形域内で行われているために、ネジ挿通孔4の周縁部には弾性復元力が発生し、結果、ネジ山面に圧接する。
【0017】
図示の状態からさらに雄ネジ部2をねじ込むと、やがてネジ挿通孔4の周縁部は対応するネジ山との当接状態から離脱し、弾性復元力により隣接するネジ山に落ち込み、あるいは跳ね上げられ、再びネジ山面との圧接状態が維持される。
【0018】
したがってこの実施の形態において、薄板体5のネジ挿通孔4周縁が、常に雄ネジ部2のネジ山面に圧接しているために、ナット7の雌ネジ部7aと、レベルフット3の雄ネジ部2との間の隙間は筐体本体部1の内側から完全に閉塞される。このため、筐体本体部1内に溶接スパッタ等が残っていても、上記隙間に落ち込むことがなく、ネジ噛み込みによる作動不良を防止できる。
【0019】
なお、以上において薄板体5は、合成樹脂製のシートにより形成される場合を示したが、板金等の薄板材により形成することができる。材料自体の延び変形能が劣る場合には、図3(d)に示すように、ネジ挿通孔4の周縁に適数の切り込み6が設けられる。この薄板体5に雄ネジ部2を通過させると、切り込み6間に形成される各片5b、5b・・が片持梁状に弾性変形し、ネジ山に追随する。
【0020】
このように、薄板体5を板金で製する場合には、チャンネル材8への固定は、スポット溶接によることが可能であり、製造が容易で、固定強度も高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を示す図で、(a)は現金取引装置の斜視図、(b)は(a)の1B方向矢視図、(c)は(b)の1C方向矢視図である。
【図2】レベルフットを示す図で、(a)は図1(c)の2A-2A線断面図、(b)は図2(a)の2B-2B線断面図、(c)は図2(a)の2C-2C線断面図、(d)はレベルフットの飛び出し寸法を小さくした場合を示す図2(a)に対応する図である。
【図3】薄板体を示す図で、(a)は裏面図、(b)は薄板体の変形状態を示す要部拡大断面図、(c)は反対方向に変形した状態を示す要部拡大断面図、(d)は薄板体の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 筐体本体部
2 雄ネジ部
3 レベルフット
4 ネジ挿通孔
5 薄板体
6 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体本体部の底壁に雄ネジ部を螺合して装着されるレベルフットを備えた装置筐体であって、
前記筐体本体部内であって、レベルフットの進入基端には、雄ネジ部が貫通するネジ挿通孔を備えた可撓性を有する薄板体が固定され、
かつ、ネジ挿通孔は雄ネジ部の呼び径より小径に形成されてネジ山面に圧接する装置筐体。
【請求項2】
前記薄板体が合成樹脂製シートにより形成される請求項1記載の装置筐体。
【請求項3】
前記薄板体は板金により形成され、ネジ挿通孔の周縁には放射状に適数の切り込みが設けられる請求項1記載の装置筐体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−269904(P2006−269904A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88217(P2005−88217)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】