説明

装飾体

【課題】装飾性を低下させることなく、外部からの接触による傷や剥がれ等への耐性を向上させ、製造工程の簡素化と低コスト化を実現する装飾体を提供する。
【解決手段】装飾体1は、透明材料からなる基材10の裏面1b側に、表面1a側から視認できる着色層11、12、13、14が形成されている。着色層11、12、13、14は、転写シートにスクリーン印刷あるいはオフセット印刷によりインクを(グラビア印刷よりも)厚く印刷した後に基材10に熱転写されることで形成される。着色層11、12、13、14の膜厚が厚いことにより、磨耗や剥がれ等に対する着色層の耐性の向上が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車体等の各種製品は、マークやメダリオン等の装飾体をその表面に装着、固定して装飾性を向上することが多い。下記特許文献1では、多色化と製造工程の簡素化を実現した装飾体の例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−200964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記文献の装飾体では美観向上が課題とされており、したがって装飾体への外部からの接触による傷や剥がれ等への耐性の問題にはそれほど注意が払われていない。例えば着色層の膜厚を厚くすれば上記耐性を向上させることが可能である。
【0005】
周知のとおり印刷には種々の方法があるが、例えばグラビア印刷ならばインクの膜厚を1μm程度にまでしか厚くできない。これに対してスクリーン印刷やオフセット印刷ではインクの膜厚を5μm程度以上にできることが知られている。しかし装飾体の表面は通常平坦とは限らず多様な曲面を含み、例えば曲面上にスクリーン印刷を施す場合には、曲面の接平面近傍の部位にしかインクが付着しない。
【0006】
したがってインクの膜厚を厚くしようとすると、印刷工程の増加、不良確率の増加や高コスト化等の影響が避けにくい。よって着色層の膜厚を厚くする場合に、こうした問題の解決を考慮しなければならないが、上記文献1を含めた従来技術では、装飾体の製造においてこの問題を解決することは課題として認識されていない。
【0007】
また文献1の装飾体では、基材の上に着色層や保護層を含めた4層構造が形成されており、必ずしも簡素な構造ではなく、さらなる簡素化が可能かもしれない。例えば着色層の膜厚を大きくすれば軽度の接触程度ではインクが剥がれる可能性は低いので保護層の形成が不要にできる可能性がある。
【0008】
さらに装飾体には、透明な装飾体の裏面に着色を施して表面側から視認できるようにしたタイプのものがあるが、このタイプにおいては、装飾体の各種製品への装着後は着色部分に接触する可能性は事実上ないので、保護層の必要性はさらに低減する。こうした点も従来文献では考慮されていない。
【0009】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、装飾性を低下させることなく、外部からの接触による傷や剥がれ等への耐性を向上させ、製造工程の簡素化と低コスト化を実現する装飾体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明に係る装飾体は、物品における一部の部位に固定される基材と、その基材の外面に形成された着色層と、を備え、その着色層は、インクが印刷された転写シートから、そのインクが熱転写により前記基材の外面に転写されることで形成され、前記転写シートへのインクの印刷は、スクリーン印刷、オフセット印刷のうちのいずれかによって、インクの膜厚がグラビア印刷で可能な膜厚以上となるべく印刷されたことを特徴とする。
【0011】
これにより本発明の装飾体では、基材上に形成された着色層は、スクリーン印刷あるいはオフセット印刷によりグラビア印刷よりも膜厚が厚く印刷された転写シートからの熱転写で形成されるとされた。これにより、グラビア印刷などの場合にはインクの膜厚が薄いので軽度の接触で着色層に傷がつき装飾性が損なわれる場合があるのに対して、本発明ではスクリーン印刷あるいはオフセット印刷と熱転写との組合せを採用することによって厚い膜厚を実現した。したがって高い装飾性を維持しつつ、外部からの接触による傷や剥がれ等への耐性を向上させる装飾体が実現できる。さらに平板の転写シートへの印刷を用いるので、印刷工程において基材の外面が曲面を有するか否かが関係なくなり、同色の場合は印刷部位を分ける必要がなく、印刷の多数個取りも可能となり、低コスト化が実現できる。
【0012】
また前記基材は透明材料により形成され、前記着色層は、前記基材における前記物品と当接しない面である表面の側から前記透明材料を透過して視認されるように、前記物品に当接する側の面である裏面に形成され、前記基材上に形成された着色層の上に、その着色層を保護する保護層は形成されないとしてもよい。
【0013】
これにより、透明材料からなる基材の裏面に形成する着色層は、スクリーン印刷あるいはオフセット印刷によりグラビア印刷よりも膜厚が厚く印刷された転写シートからの熱転写で形成され、その着色層のうえに保護層は形成されないとされた。これにより本発明ではスクリーン印刷、オフセット印刷と熱転写との組合せを採用することによって厚い膜厚を実現し、さらに裏面に転写するので、保護層なしでも装飾性の維持が可能となった。したがって高い装飾性を維持しつつ、製造工程の簡素化と低コスト化を達成する装飾体が実現できる。
【0014】
また前記転写シートに印刷されたインクは複数色であり、前記着色層は、前記インクが印刷された可撓性を有する平板の転写シートから、熱転写により、前記転写シートが撓みながら前記基材の外面へ押し付けられて前記外面の形状へ変形しつつ前記インクが前記外面に転写されることで形成されたとしてもよい。
【0015】
これにより複数色の図柄であっても、スクリーン印刷あるいはオフセット印刷によって転写シートに複数色で印刷を行って、その後基材に熱転写するので、本発明により、複数色の図柄でもインクの膜厚を厚くする手法によって高い装飾性を維持しつつ、高い耐性や、製造工程の簡素化、低コスト化を達成する装飾体が実現できる。さらに転写シートに可撓性を持たせることにより、基材の裏面が曲面形状の場合でも、高精度での熱転写が可能である。
【0016】
また前記転写シートに印刷されたインクの膜厚は5μm以上であるとしてもよい。
【0017】
これにより具体的に転写シートにインクの膜厚を5μm以上として印刷して、その後基材に熱転写するので、5μm以上の充分な膜厚によって、接触による傷や剥がれ等への耐性を確実に向上する。したがって高い装飾性を維持しつつ、高い耐性や、製造工程の簡素化、低コスト化を達成する装飾体が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1の装飾体を示す図。
【図2】実施例1の転写シートを示す図。
【図3】実施例1の熱転写を説明する図。
【図4】実施例1の装飾体の製造手順を示すフローチャート。
【図5】実施例2の装飾体を示す図。
【図6】実施例2の転写シートを示す図。
【図7】実施例2の熱転写を説明する図。
【図8】実施例2の装飾体の製造手順を示すフローチャート。
【図9】実施例2の装飾体の別の製造手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例1を図面を参照しつつ説明する。図1は、実施例1における装飾体1の例を示す図である。図1(a)が装飾体1の正面図、図1(b)は(a)のX−X断面図である。
【0020】
この図に示されているように、装飾体1は、表面側に湾曲、膨出した楕円板形状の基材10を備える。基材10の外面は、表面1a、裏面1bの2つの主表面を含む。基材10の裏面1bには着色層11、12、13、14(あるいは着色領域)により図柄が形成されており、それ以外の部分は非着色領域15である。
【0021】
着色層11、12、13、14は基材10の表面に形成されたインク(塗料)の層(あるいは膜)である。図1の装飾体1では、着色層11、12、13は同一の凹曲面を形成している。そして非着色領域15は、着色領域11、12、13、14よりもさらに陥入した凹部となっている。
【0022】
基材10の材質は透明材料とすればよい。材質はより具体的には透明樹脂製として、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)等とすればよい。あるいはガラス製でもよい。また基材10は無色透明でも有色透明でもよい。基材10が透明であることにより、図1(a)に示されているように、表面1a側から見たときに裏面1b側に形成された着色層11、12、13、14が視認される。
【0023】
装飾体1の着色層11、12、13、14は熱転写により形成される。それに用いられる転写シート2が図2に示されている。図2(a)は転写シート2の斜視図、図2(b)はそのY−Y断面図である。転写シート2は、平板のシート(あるいはフィルム)20上に着色層21が、さらにその上に接着剤層22(あるいは粘着材層)が形成されている。
【0024】
着色層21、及び接着剤層22は、図1における着色層11、12、13、14と同一形状に形成されている。シート20は、伸縮性あるいは可撓性を有する樹脂製フィルム、例えばポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等とすればよい。
【0025】
着色層21はスクリーン印刷によってシート20上に印刷して形成する。その際にインクを厚く印刷することが本発明のポイントである。それにより完成品の装飾体1において裏面1bに転写された着色層11、12、13、14の膜厚が厚くなる。膜厚の厚さは軽度の接触では裏地が露出するような傷がつかない程度とする。通常は着色層の上にインクを守る保護層を形成するが、裏面1bに形成されることもあり、膜厚を充分厚くすれば着色層11、12、13、14のうえからインクを保護する保護層をコーティングする必要がなくなる。したがって、作業工程の簡素化やコスト抑制が実現できる。
【0026】
具体的にインクの膜厚は、例えば通常グラビア印刷で可能な膜圧(1μm程度)よりも厚くスクリーン印刷ならば可能な膜厚、例えば5μm以上とすればよい。
【0027】
スクリーン印刷の方法は公知の方法でよい。すなわち水平に配置されたシート20の上に、印刷パターンが形成されたスクリーンを配置し、そのスクリーン上にペースト状態のインクを盛る。そしてスクリーン上でスキージによってペーストを引き伸ばしつつシート20に押し付ける。これにより、印刷パターンの領域内のみでインクがシート20に塗布(印刷)される。
【0028】
着色層21を複数色の図柄として形成する場合は、色ごとにスクリーンを交換して色の数だけスクリーン印刷を繰り返す。図1の例で複数色を用いる場合、着色層11、12、13、14がさらに各色ごとの領域に分割されることとなる。そして各色ごとの印刷領域を印刷パターンとする複数枚のスクリーンを用いる。接着剤層22は、着色層21のさらに上に着色層21と同一領域に、スクリーン印刷により印刷して形成する。
【0029】
なおオフセット印刷でも上記のようにインクの膜厚を厚くすることは可能なので、上記でスクリーン印刷をオフセット印刷に変更してもよい。なおインクは公知のものを用いればよく、例えばアクリル用インクや、ポリカーボネート用インク、ポリプロピレン用インク等を用いればよい。
【0030】
図3には熱転写(ホットスタンプ)の様子が示されている。熱転写の工程では、まず基材10を治具4に固定し、さらに上述の転写シート2を、着色層21及び接着剤層22を基材10の裏面1bに対向するようにホルダ40に固定する。その際、着色層21の位置が基材10の裏面1bの望ましい位置にくるように位置決めする。
【0031】
次に図示上方に配置された押圧パッド3に、図示しない電力源から電力を供給して昇温する。そして充分に昇温した押圧パッド3を図示しない移動機構により上下させて、図示上方から転写シート2を基材10の裏面1bに押圧する。これにより接着剤層22が加熱、圧着されて裏面1bと接着することで、着色層21が転写シート2側から基材10側へ移動する。こうして着色層21及び接着剤層22が基材10の裏面1bに熱転写される。
【0032】
その際、転写シート2の伸縮性あるいは可撓性を利用し、さらに押圧パッド3の押圧面の曲率が基材10の裏面1bの曲率よりも大きく設定されているので、湾曲した裏面1bの凹部15以外の領域に隙間無く転写シート2を押圧することができる。したがって湾曲した裏面1bに対しても高精度な熱転写が行える。
【0033】
図4には熱転写を含めた装飾体1の製造工程が示されている。この工程ではまず手順S10で基材10を成形する。具体的には例えば射出成形とすればよい。基材10を有色透明とする場合は顔料を混入して成形すればよい。
【0034】
次にS20でシート20に図柄を印刷する。すなわち図2のように着色層21をスクリーン印刷あるいはオフセット印刷によりシート20上に形成する。次にS30でシート20に接着剤層22を印刷する。すなわち図2のように着色層21のうえに接着剤層22をスクリーン印刷あるいはオフセット印刷により形成する。最後にS40で着色層21及び接着剤層22を図3のように基材10へ熱転写する。なお図1では接着剤層22が省略されているとすればよい。
【0035】
以上の手順により装飾体1が作成される。完成した装飾体1は、裏面1b側が例えば自動車の車体など各種製品の表面に装着、固定、当接される。そして透明の基材10を透過して裏面1b側の着色層11、12、13、14がユーザによって視認される。これによりその製品の装飾性が向上する。
【0036】
図4の製造手順では、上述のとおり基材10へ熱転写した後に保護層を設ける工程はない。したがって工程の簡素化や低コスト化が実現できている。上述の通り着色層11、12、13、14は接触による傷で裏地が露出する可能性は低いように膜厚が厚く形成されており、さらに裏面1bは製品への装着後は接触を受ける側ではないので、保護層がなくとも着色層11、12、13、14が損傷して装飾性が低下する可能性は低い。
【0037】
次に実施例2を説明する。実施例2においては、実施例1では装飾体1の裏面1bに着色層が形成されていたのに対して、装飾体の表面に着色層を形成する。図5に、実施例2における装飾体1’が示されている。図5(a)は装飾体1’の正面図、図5(b)は(a)のZ−Z断面図である。
【0038】
装飾体1’は、表面側に湾曲、膨出した楕円板形状の基材10’を備える。基材10’の外面は、表面1a’、裏面1b’の2つの主表面を含む。基材10’の表面1a’には、着色層11’、12’、13’、14’(あるいは着色領域)により図柄が形成されており、それ以外の部分は非着色領域15’である。
【0039】
着色層11’、12’、13’、14’は基材10’の表面に形成されたインク(あるいは塗料)の層(あるいは膜)である。装飾体1’では、着色層11’、12’、13’、14’は同一の凸曲面を形成している。基材10’の材質は基材10と同様でよい。ただし基材10’は透明材料でもよく、不透明材料でもよい。
【0040】
装飾体1’の着色層11’、12’、13’、14’は熱転写により形成される。それに用いられる転写シート2’が図6に示されている。図6(a)は転写シート2’の斜視図、図6(b)はそのW−W断面図である。転写シート2’では、平板のシート(あるいはフィルム)20’上に、保護層23が、さらにその上に着色層21’、接着剤層22’(あるいは粘着材層)が形成されている。
【0041】
保護層23の材質は、例えばポリマーを含有して被膜形成性能を有する無色透明インクとすればよい。図6では、保護層23が形成される領域は基材10’の表面1a’全体を覆う領域とされているが、これに限らず着色層11’、12’、13’、14’の領域を覆うように形成されていればインク保護の機能を達成する。
【0042】
着色層21’、及び接着剤層22’は、図1における着色層11’、12’、13’、14’と同一形状に形成されている。シート20’の材質はシート20と同様でよい。図6の保護層23が基材10’に熱転写されて、図5の保護層16となる。図6の着色層21’が基材10’に熱転写されて、図5の着色層11’、12’、13’、14’となる。図5では接着材層22’は省略されているとすればよい。図5等での各層の膜厚は誇張して図示してある。
【0043】
着色層21’はスクリーン印刷によってシート20’上に印刷して形成する。その際に実施例1の着色層21と同様にインクを厚く印刷する。具体的にインクの膜厚は、例えば通常グラビア印刷で可能な膜圧(1μm程度)よりも厚くスクリーン印刷ならば可能な膜厚、例えば5μm以上とすればよい。スクリーン印刷の方法は上述の公知の方法でよい。
【0044】
着色層21’を複数色の図柄として形成する場合は、色ごとにスクリーンを交換して色の数だけスクリーン印刷を繰り返す。図5の例で複数色を用いる場合、着色層11’、12’、13’、14’がさらに各色ごとの領域に分割されることとなる。そして各色ごとの印刷領域を印刷パターンとする複数枚のスクリーンを用いる。接着剤層22’は、着色層21’のさらに上に着色層21’と同一領域に、スクリーン印刷により印刷して形成する。
【0045】
なおオフセット印刷でも上記のようにインクの膜厚を厚くすることは可能なので、上記でスクリーン印刷をオフセット印刷に変更してもよい。なおインクは上述の公知のものを用いればよい。
【0046】
図7には実施例2における熱転写(ホットスタンプ)の様子が示されている。熱転写の工程では、まず基材10’を治具4’に固定し、さらに上述の転写シート2’を、保護層23、着色層21’、接着剤層22’を基材10’の表面1a’に対向するようにホルダ40に固定する。その際、着色層21’の位置が基材10’の表面1a’の望ましい位置にくるように位置決めする。後の手順は実施例1と同様でよい。これにより保護層23、着色層21’接着剤層22’が基材10’の表面1a’に熱転写される。
【0047】
図8には熱転写を含めた装飾体1’の製造工程が示されている。この工程は図4の手順に手順S15を追加したのみである。それ以外は図4と同じなので説明を省略する。手順S15ではシート20’に保護層23を印刷する。すなわち図6のように保護層23をスクリーン印刷あるいはオフセット印刷によりシート20’上に形成する。
【0048】
図8の手順で完成した装飾体1’では、保護層16によって着色層11’、12’、13’、14’が保護された上で、さらに着色層11’、12’、13’、14’はインクの膜厚が厚く形成されている。したがって着色層11’、12’、13’、14’が損傷して装飾性が低下する可能性が低減されている。
【0049】
次に実施例2の変形例を説明する。この変形例では、保護層16が着色層21’接着剤層22’とともに熱転写されるのではなく、着色層21’接着剤層22’のみが熱転写されて、その後に保護層16が塗装工程によって形成される。以下で上述の実施例2からの変更部分を説明する。
【0050】
まず図6の転写シート2’上に保護層23を形成しない。そして図9の手順に従って装飾体1’を製造する。図9の製造工程は図4のそれに手順S45を追加したのみである。それ以外は図4と同じなので説明を省略する。手順S45では、着色層21’が熱転写された後の基材10’の表面1a’に保護層23を塗布する。保護層23の形成は、例えば無色透明の樹脂液や、ポリマーを含有して保護機能を有する無色透明のインク等をスプレー塗装すればよい。以上が実施例2の変形例である。なお実施例2(変形例を含めて)においても、膜厚の厚さから充分な耐性が確保できると判断される場合には、保護層23を省略してもよい。この場合、製造工程の簡素化や低コスト化が実現できる。
【0051】
上記各実施例、変形例では、装飾体1の形状や着色層の領域が図1、5に示されたように設計されたが、上記説明から明らかなように本発明の製造方法はこれらの形状に何ら限定を課さない。したがって装飾体1や着色層の形状は幾何学形状や文字形状等、任意の形状、図柄を採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、1’ 装飾体
2、2’ 転写シート
10、10’ 基材
11、12、13、14、21、11’、12’、13’、14’、21’ 着色層
20、20’ シート
22、22’ 接着剤層
23 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品における一部の部位に固定される基材と、
その基材の外面に形成された着色層と、を備え、
その着色層は、インクが印刷された転写シートから、そのインクが熱転写により前記基材の外面に転写されることで形成され、
前記転写シートへのインクの印刷は、スクリーン印刷、オフセット印刷のうちのいずれかによって、インクの膜厚がグラビア印刷で可能な膜厚以上となるべく印刷されたことを特徴とする装飾体。
【請求項2】
前記基材は透明材料により形成され、
前記着色層は、前記基材における前記物品と当接しない側の面である表面の側から前記透明材料を透過して視認されるように、前記物品に当接する側の面である裏面に形成され、
前記基材上に形成された着色層の上に、その着色層を保護する保護層は形成されない請求項1に記載の装飾体。
【請求項3】
前記転写シートに印刷されたインクは複数色であり、
前記着色層は、前記インクが印刷された可撓性を有する平板の転写シートから、熱転写により、前記転写シートが撓みながら前記基材の外面へ押し付けられて前記外面の形状へ変形しつつ前記インクが前記外面に転写されることで形成された請求項1又は2に記載の装飾体。
【請求項4】
前記転写シートに印刷されたインクの膜厚は5μm以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−16298(P2011−16298A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162763(P2009−162763)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(591178517)株式会社三和スクリーン銘板 (19)
【Fターム(参考)】