説明

補修用材料及びこれを用いた車両塗装面の補修方法

【課題】 最適な硬化状態を呈しながらも、乾燥時間の短い自動車ボディー等の補修用材料、及びそれに用いるパテ用樹脂材料の提供。
【解決手段】 防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、及び充填剤を含有するパテ用樹脂材料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ボディー等の損傷箇所を補修するための補修用材料、この補修用材料を製造するために使用されるパテ用樹脂材料、及び前記補修用材料等を用いて行われる車体パネルの補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの補修、建材などの継ぎ目部分のシールあるいは鉄道車両の塗装工程で車体外板の凹凸を埋め、外観を向上させる等の目的で、様々なパテ材が使用されている。特に自動車の外板などの損傷箇所を補修する際には、損傷箇所の古い塗膜を剥離した後、パテを塗り付け、これを乾燥させた後平滑に研磨して面出しし、然る後その面出ししたパテの上に塗料で塗装を施すことが行われている。
【0003】
このようなパテ材としては、その硬化手段の違いに基づいて、硬化剤で主剤を硬化させる硬化剤使用型のパテ材(加熱硬化型の硬化剤を用いる加熱硬化型パテ材を含む)、紫外線重合開始剤を使用する紫外線硬化型パテ材、及び可視光重合開始剤を使用する可視光硬化型パテ材などが提供されている。
【0004】
硬化剤使用型のパテ材としては、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル硬化性樹脂を過酸化物などの硬化剤を用いて硬化させるのが一般的であり、これらは通常、自然乾燥又は熱風による強制乾燥が行われている。この場合、パテを塗りつけた後の硬化に室温で20分から1時間の乾燥時間を要するために、全ての補修工程全体として長時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、このような硬化時間の問題を解決するべく、特許文献1(特公昭60−30690号公報)では、紫外光硬化の応用が検討されている。このような紫外線硬化型のパテ材は、重合性不飽和基含有化合物と紫外線領域に吸収波長域を有する光増感剤とを含み、パテ材を塗り付けた後に紫外線を照射することにより、パテが硬化するようになっている。
【0006】
併しながら、かかる紫外線硬化型のパテ材は、傷を隠蔽するためのものであるので、隠蔽力の大きい顔料を配合することが多いが、このようなパテを厚く塗り付けた場合には、紫外線がパテの内部にまで透過せず、表面のみが硬化して内部はなかなか硬化しないという状況となりやすい。
【0007】
そこで、このような紫外線硬化型パテ材の問題点を解決すべく、特許文献2(特願平6−222678号公報)では、可視光重合開始剤と2,2’−アゾビスイソブチロニトリルやベンゾイルパーオキシドなどの熱重合開始剤を併用する方法が提案され、また特許文献3(特願平7−322480号公報)では、近赤外に吸収波長域を有する色素とホウ素塩を組合わせる方法が提案されている。
【0008】
しかし、これらの重合開始剤を用いたパテ材は、いずれもその保存期間が2〜3ヶ月以下と短いという問題点を有し、更にパテ材を可視光で硬化させる場合には、紫外線よりも透過率が良く内部まで硬化する反面、パテの表面においては空気中の酸素の影響で硬化が阻害され、いつまでもベタついた状態となり、一方で近赤外光で硬化させる場合には、表面が硬化しても内部の硬化が遅いか、又は内部が硬化しても表面の硬化が極端に遅いかのいずれかであり、慨して硬化に長時間を要するものとなっている。
【0009】
更に、前記硬化剤使用型のパテ材において、塗布直後に加熱することにより短時間で硬化することができる補修塗料および補修塗装方法を提供するものとして、特許文献4(特開2002−121476号公報)が提案されている。
【0010】
また、低収縮化性及び接着性に優れ、且つ一液で相分離がないパテ用樹脂組成物を提供するために、特許文献5(特開2002−322423号公報)では、ラジカル共重合性不飽和樹脂と低収縮化剤と相溶化剤とを組み合わせることを提案している。
【特許文献1】特公昭60−30690号公報
【特許文献2】特開平8−60044号公報
【特許文献3】特開平9−137089号公報
【特許文献4】特開2002−121476号公報
【特許文献5】特開2002−322423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の通り、従来提供されている紫外線硬化型、可視光硬化型、及び赤外線硬化型のパテ材料は、何れもその硬化状態において最適なものとはなっておらず、また硬化剤使用型のパテ材に関しては、その硬化時間と硬化状態に関して未だ改善の余地がある。
【0012】
そこで本発明は、最適な硬化状態を呈しながらも、乾燥時間の短い自動車ボディー等の補修用材料、及びそれに使用される主剤としてのパテ用樹脂材料の提供を課題とする。
【0013】
また特許文献5(特開2002−322423号公報)は、低収縮化性及び接着性に優れたパテ用樹脂組成物を提案しているが、この文献は、パテの乾燥時間を短縮させるために加熱乾燥する事や、その際に生じる問題の改善方法については、何等記載も示唆もされていない。
【0014】
そこで本発明は、パテ塗布直後に加熱乾燥しても、硬化不良を起こすことなく硬化乾燥し、作業時間を大幅に短縮することができ、また高張力鋼鈑などのように板厚の薄いもの(鋼板など)にパテ付けしても加熱乾燥時にソリを起こさない低収縮のパテを構成する、主剤としてのパテ用樹脂材料及びこれを用いた自動車ボディー等の補修用材料の提供を課題とする。
【0015】
更に、従来提供されている紫外線硬化型、可視光硬化型、及び赤外線硬化型のパテ材料は、何れもその硬化速度、及び硬化状態において相違しており、各パテ材料ごとに使用方法が異なる。このことは、即ちパテ材料の選択によって、硬化方法や、硬化状態も一義的に特定されることに帰結し、特定のパテを使用した後には、その後に硬化時間や、硬化状態を調整し得ないことを意味する。
【0016】
併しながら、実際の補修作業においては、十分な作業時間を確保できることもあれば、何よりも時間を最優先にして補修作業を行わなければならない場合もある。
【0017】
そこで本発明は、任意にパテ材料の乾燥時間や硬化状態を調整することのできる自動車ボディー等の補修用材料、及び車輌塗装面の補修方法を提供することを課題とする。
【0018】
また本発明は、紫外線硬化型、可視光硬化型、及び赤外線硬化型のパテ材料など、各種のパテ材料を用意することなく、一種類のパテ材料によって、様々な乾燥時間(即ち、作業時間)に対応することができる自動車ボディー等の補修用材料及び車輌塗装面の補修方法ならびにパテ用樹脂材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するものとして、本発明では不飽和ポリエステル樹脂の多価アルコール成分に、ジシクロペンタジエン及びその誘導体の少なくとも何れか、及び/又はビスフェノールA及びその誘導体の少なくとも何れかを使用している樹脂等、密着性に優れた防錆鋼板用樹脂のみを不飽和ポリエステル樹脂成分として使用し、更にポリスチレン系又はゴム系等の低収縮剤を用いることで、塗布後即加熱可能であり、速乾燥性で、更に硬化後にソリの生じないパテを作成することのできるパテ用樹脂材料を実現した。
【0020】
即ち本発明は、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、及び充填剤を含有することを特徴とするパテ用樹脂材料を提供する。
【0021】
また本発明は、主剤(a)と当該主剤(a)を硬化させる為の(b)硬化剤とからなる補修用材料であって、当該主剤(a)として、前記本発明にかかるパテ用樹脂材料が使用されている補修用材料を提供する。
【0022】
更にまた本発明は、車輌塗装面の凹凸及び/又は塗膜の欠損による損傷箇所を補修する方法であって、必要に応じて前処理が施された前記損傷箇所にパテを充填又は塗布して、これを乾燥させる乾燥工程を含み、当該パテの乾燥工程では、充填又は塗布したパテの乾燥時間、並びに補修対象となる車輌塗装面の材質及び厚さの少なくとも何れかに基づいて、以下の(1)又は(2)の乾燥方法が選択される車体パネルの補修方法を提供する。
(1)加熱手段で加熱することによる強制加熱乾燥方法
(2)自然乾燥による自然乾燥方法
【0023】
以下、本発明における好ましい実施の形態に沿って、具体的に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明にかかるパテ用樹脂材料は、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、及び充填剤を含有してなる。
【0025】
上記防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とを用いて製造されており、特に当該多価アルコール成分として、ジシクロペンタジエン及びその誘導体の少なくとも何れか、及び/又はビスフェノールA及びその誘導体の少なくとも何れかを使用して製造された不飽和ポリエステル樹脂を使用することができる。より具体的には、かかる防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂は、以下に詳述する多塩基酸成分、多価アルコール成分及び空乾性成分で不飽和ポリエステル樹脂固形分を作成し、反応性希釈剤成分で希釈して製造することができる。その際、多塩基酸成分、多価アルコール成分及び空乾性成分の配合合計量と反応性希釈剤成分の配合量との比(重量基準)は、55〜70:30〜45となる事が望ましい。
【0026】
上記多塩基酸成分としては、不飽和多塩基酸およびその酸無水物と飽和脂肪酸を使用することができる。そして不飽和多塩基酸およびその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シタラコン酸、メタコン酸等の一種又は二種以上を使用することができ、飽和脂肪酸としては無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上を使用することができる。
【0027】
また多価アルコール成分としては、防錆鋼板・アルミ板への付着性を向上させるために使用されるジシクロペンタジエン及び/又はその誘導体、並びに防錆鋼板・アルミ板への付着性を向上させるために使用されるビスフェノールA、その誘導体及び/又は水添ビスフェノールAの少なくとも何れかを使用し、更にその他の多価アルコールを使用することができる。
【0028】
前記ジシクロペンタジエン及び/又はその誘導体としては、ジシクロペンタジエン、ヒドロキシル化ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエニルモノマレート等の一種又は二種以上を使用することができ、前記ビスフェノールA、その誘導体及び/又は水添ビスフェノールAとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド誘導体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド誘導体、及びビスフェノールAと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール成分との誘導体等の一種又は二種以上を使用することができる。
【0029】
また、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂の製造に際して任意に使用することのできるその他の多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を使用することができる。
【0030】
また空乾性成分としては、アリル化合物(アルコール成分)と植物性油またはその脂肪酸(酸成分)を使用することができる。アリル化合物(アルコール成分)としては、アリルグリコール、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の一種又は二種以上を使用することができ、植物性油またはその脂肪酸(酸成分)としては大豆油、亜麻仁油、桐油、脱水ヒマシ油及びその脂肪酸などの一種又は二種以上を使用することができる。
【0031】
そして反応性希釈剤成分としては、ビニル重合性単量体を使用することができ、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、ジビニルトルエン、ジアリルフタレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等の一種又は二種以上を使用することができる。
【0032】
かかる防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂としては、ポリライト(ディーエイチマテリアル(株))、ポリセット(ディーエイチマテリアル(株))、ゴーセラック(日本合成化学工業(株))の商標で市販されているパテ用不飽和ポリエステル樹脂であって、特に防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂として市販されているものを使用することができる。特に、ポリセット1854B、ポリライトCN703はジシクロペンタジエン誘導体やビスフェノールA誘導体などの何れかを用いて製造されており、これらは防錆鋼板やアルミ板への付着性が良好な防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂であって、本発明において好適に使用することができる。
【0033】
即ち、パテ用樹脂材料は、実際の使用に際して、後述する硬化剤と混合した上で使用されるものであり、この混合によってラジカルが生成し、架橋重合がなされて硬化することになる。従来のパテ(主剤と硬化剤との混合物)では、それを乾燥する際、乾燥時間を早めるために主剤と硬化剤の混合直後に加熱を行うとすると、ラジカル生成速度や架橋重合速度との関係において硬化不良が生じ、乾燥しないか或いは密着しないなど、良好な効果が得られないとの問題があった。
【0034】
そこで本発明では、上記のように防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂を使用して防錆鋼板やアルミ板への付着性を良好にすることにより、加熱乾燥時に生じる硬化不良の問題や、硬化したパテ層の剥離の問題を解消すると同時に、主剤と硬化剤とを混合して補修面に塗布した直後に加熱乾燥させても、硬化不良の生じないパテ用樹脂材料(主剤として使用される材料)を実現しているものである。なお、この防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、特開平5-78459号公報、特開平9-169836号公報、特開平10-36766号公報に記載されている不飽和ポリエステル樹脂を使用することができる。
【0035】
本発明において、この防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂の配合量は、パテ用樹脂材料中、望ましくは23〜51重量%、更に望ましくは23〜45重量%、特に望ましくは29〜42重量%である。
【0036】
また、本発明のパテ用樹脂材料の製造に際して使用される低収縮剤としては、付加重合系重合体(熱可塑性樹脂)等が挙げられ、例えばポリスチレン系低収縮剤、ポリスチレン共重合系低収縮剤、架橋ポリスチレン粒子、ポリエステル系低収縮剤、ゴム系低収縮剤、水添スチレン系熱可塑性エラストマー等を使用することができる。
【0037】
上記低収縮剤に関して、ポリスチレン系低収縮剤、ポリスチレン共重合系低収縮剤としては、日本ユピカ(株)から商品名:ユピカA−02、A−12、A−25で提供されているもの、ディーエイチマテリアル(株)から商品名:ポリセットB9146で提供されているもの、及び東洋スチレン(株)から商品名:HRM−5Bで提供されているものを使用することができ、架橋ポリスチレン粒子としては綜研化学(株)から商品名:ケミスノーSGP70C、150Cで提供されているものを使用することができ、ポリエステル系低収縮剤としては(株)日本触媒から商品名:AT600Hで提供されているものを使用することができ、ゴム系低収縮剤としては日本ユピカ(株)から商品名:A−35で提供されているもの、宇部興産(株)から提供されているポリブタジエン系液状合成ゴムの商品名:ハイカVTBNX1300X33、水添スチレン系熱可塑性エラストマーとしては旭化成ケミカルズ(株)から商品名:タフテックP1000、P2000で提供されているものを使用することができる。
【0038】
上記各種低収縮剤のうち固形、粉末のものは溶解性が良くないことから、液状で市販されているものが望ましい。例えば、ポリスチレンを25〜35%のスチレンで溶解してなるユピカA−12や、ポリスチレンを61〜72%のスチレンで溶解してなるポリセットB9146は、共に液状の低収縮剤であり、本発明のパテ用樹脂材料において好適に使用することができる。
【0039】
かかる低収縮剤の配合量(有効成分:固形分)は、パテ用樹脂材料中、望ましくは0.5〜15重量%、更に望ましくは1〜10重量%、特に望ましくは1.5〜10重量%である。低収縮剤の配合量が0.5重量%未満では効果がなく、15重量%を超えて用いると乾燥性、研磨性、密着性などが低下する。
【0040】
そして上記パテ用樹脂材料の製造に際して、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂と低収縮剤との配合割合(重量基準であり、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂の配合量:低収縮剤の有効成分(固形分)の配合量の比)が、望ましくは2:1〜100:1、更に望ましくは4:1〜50:1の範囲に調整される。このように防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂と低収縮剤との配合割合を調整することにより、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂に基づく作用・効果と、低収縮剤に基づく作用・効果とが相乗的に関与し合い、より確実に、パテ塗布直後に加熱乾燥しても、室温で乾燥しても硬化不良を起こすことなく硬化乾燥し、作業時間を大幅に短縮することができ、また高張力鋼鈑などのように板厚の薄いもの(鋼板など)にパテ付けしても加熱乾燥時のソリを起こさない低収縮のパテ組成物を構成する、パテ用樹脂材料が実現する。
【0041】
そして本発明に係るパテ用樹脂材料は、上述の成分の他にも、更に以下の反応性希釈剤、促進剤、安定剤、体質顔料及び着色顔料などを含有することができる。
【0042】
反応性希釈剤としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルトルエン、ジアリルフタレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルなどが挙げられ、なかでもスチレンが望ましい。
【0043】
促進剤としては、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテンバリウム等の金属石鹸と、ジエチルアニリン、ジメチルアニリン等のアミン化合物の混合物を使用することができ、例えば、ディーエイチマテリアル(株)から商品名:RP136、PT−60で提供されているものを使用することができる。
【0044】
安定剤としては、ハイドロキノンやP−ベンゾキノン等のキノン類、メチルエチルオキシム等のオキシム類などを使用することができ、例えば、溶剤で希釈されてディーエイチマテリアル(株)から商品名:RS−404、DT−13で提供されているものを使用することができる。
【0045】
体質顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、カオリン、ドロマイト、クレー、マイカ、セライト、シリカ、胡粉、アルミナ、水酸化アルミ、中空バルーン、ガラス粉などを使用することができ、中でも特にタルク、炭酸カルシウムが望ましい。例えばタルクは松村産業(株)から商品名:クラウンタルクSCで提供されており、また炭酸カルシウムは白石カルシウム(株)から入手することができる。
【0046】
着色顔料としては、酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、有機顔料、アルミペーストなどを使用することができ、例えば酸化チタンは、石原産業(株)から商品名:タイペークCR90として市販されている。
【0047】
そして本発明に係るパテ用樹脂材料の製造に際して、上記各成分の望ましい配合割合は以下の通りである。
(1)防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂:25〜50重量部、望ましくは30〜45重量部。
(2)低収縮剤:0.5〜15重量部、望ましくは1〜10重量部。
(3)反応性希釈剤:0.5〜15重量部、望ましくは0.5〜10重量部(但し、低収縮剤希釈用の反応性希釈剤は除く)。
(4)促進剤:0.1〜3重量部、望ましくは0.3〜2重量部。
(5)安定剤:0.1〜1重量部、望ましくは0.1〜0.6重量部。
(6)体質顔料:35〜65重量部、望ましくは40〜60重量部。
(7)着色顔料:0.2〜10重量部、望ましくは0.5〜5重量部。
【0048】
そして、上記パテ用樹脂材料には、有機過酸化物を含有する硬化剤を加えることで硬化させることができる。かかる有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどを使用することができる。かかる硬化剤は、例えば化薬アクゾ(株)から提供されているものを使用することができる。また、かかる硬化剤の使用量は、上記パテ用樹脂材料(主剤)100重量部に対して1〜3重量部、望ましくは2重量部である。
【0049】
次に、主剤と硬化剤とからなる補修用材料(望ましくは、上記本発明に係るパテ用樹脂材料を用いて形成された補修用材料)を用いて行われる、自動車の車体パネル等の補修方法を具体的に説明する。
【0050】
特に、本発明に係る補修材料は、前述のパテ用樹脂材料を用いて形成されていることから、パテ塗布直後に加熱乾燥しても硬化不良を起こすことなく硬化乾燥し、作業時間を大幅に短縮することができ、また高張力鋼鈑などのように板厚の薄いもの(鋼板など)にパテ付けしても加熱乾燥時のソリを起こさない低収縮のパテ材料であり、よって自然乾燥により硬化させる他、加熱(例えば、60〜120℃で20秒から3分、望ましくは1〜3分)することによる強制乾燥を任意に選択することが可能となる。
【0051】
よって、この補修材料(パテ)のように、加熱乾燥させても硬化不良が生じない補修材料を使用して車体パネルの補修を行う際には、補修作業時間(例えば乾燥時間)や、補修対象となる車体パネルの厚さ等に応じて、加熱手段で加熱乾燥させるか、自然乾燥によって硬化させるか等の乾燥方法を適宜選択することができ、パテ材料を埋め込んだ後にも、任意に乾燥時間や、硬化状態を調整することができる。
【0052】
パテ材料の乾燥方法を選択するに際しては、補修対象となる車体パネルの材質及び厚さ、並びに塗布したパテの乾燥時間の少なくとも何れかに基づいて選択することが望ましい。
【0053】
例えば、外気温が低い場合には、強制乾燥(加熱乾燥)による乾燥方法を使用し、また鋼板以外に使用する場合は、自然乾燥(外気温での乾燥)による乾燥方法を使用することができる。
【0054】
更に、補修する車体パネルの凹凸の補修状態が十分でない場合、例えばハンマーなどで叩き出した状態においても凸凹が残っている状態では、自然乾燥(外気温での乾燥)による乾燥方法を使用することができる。これは、パテを塗布する面に凹凸が残っている状態において強制乾燥(加熱乾燥)による乾燥方法を採用したとすると、この凹凸に応じて異なる度合いで車体パネルが熱膨張し、それが冷却した状態においては、パテ表面にも、その熱膨張の違いによる凹凸が残留してしまう為である。このような叩き出し作業時の凹凸の発生や熱膨張の違いは、補修対象となる車体パネルが薄い場合に顕著に現れることから、パテ付けする車体パネルの厚さが薄い(約0.8mm以下、特に望ましくは約0.6mm以下)場合は、自然乾燥(外気温での乾燥)による乾燥方法を採用するのが望ましい。
【0055】
そして塗布したパテの乾燥時間を短くしたい場合には、強制加熱乾燥方法を使用し、密着性を高めたい場合には自然乾燥方法を使用することができる。
【0056】
ただし、これらは単なる一例を示すものであり、当然に、それぞれにおいて異なる乾燥方法を実施することができる。
【0057】
また、本発明に係る補修方法で使用できる加熱手段としては、各種ヒーターや送風機など公知の加熱装置を使用する他、紫外線照射機や赤外線照射機なども使用することができる。但し、かかる加熱手段としては、紫外線照射機を使用することが望ましく、なかでも光源としてメタルハライドランプが使用され、且つ出力が1.0kw以上、望ましくは1.2kw以上の出力を有する紫外線照射機を使用することが望ましい。本発明にかかるパテ用樹脂材料は硬化剤と混合した上で使用される加熱硬化型のパテ材であり、かかる紫外線照射機を使用することにより、保守面に塗布された補修材料を急速に加熱することができる為である。
よって、補修材料として本発明にかかる補修用材料を使用し、且つ、加熱手段として光源にメタルハライドランプを使用した1kw以上の出力を有する紫外線照射機を使用することにより、乾燥時間を大幅に短縮しながらも、厚付け(膜厚約5mm)の場合でも硬化不良が生じない補修方法が実現する。この点、従来において、紫外線硬化型のパテを使用して紫外線照射機を照射した場合には、約2mm以上の膜厚を得ることができず、また可視光硬化型のパテを使用した場合には、表面が十分に乾燥せずにベタ付きが生じ、更に硬化剤を用いて硬化させるパテを使用した場合には、多大な乾燥時間を要するか、或いは過度に加熱した場合には硬化不良の問題を生じさせていたのであるから、乾燥時間を大幅に短縮しながらも、厚付け(膜厚約5mm)の場合でも硬化不良が生じないとの効果やこれを実現する構成は、従来においては予想し得ないものである。
【0058】
かかる補修方法は、従前において硬化剤を用いて硬化させるパテ材料において、80℃を超える高温域で硬化を促進させるものは存在しないことを考慮すれば、本発明は車輌塗装面の凹凸及び/又は塗膜の欠損による損傷箇所を補修する方法であって、必要に応じて前処理が施された前記損傷箇所に、反応性樹脂を主成分とする主剤と、主成分を硬化させる硬化剤とを含有してなるパテを埋め込む工程、及び埋め込まれたパテを、90〜180℃、望ましくは120〜160℃で20秒〜3分間加熱して乾燥させる工程を含むことを特徴とする車輌塗装面の補修方法として特定することもできる。
【0059】
以下、図面に基づき、本発明に係る車輌塗装面の補修方法の1つの実施の形態を具体的に説明する。
【0060】
図1は、損傷を受けた車体パネル10の補修工程を示す略図であり、損傷を受けて窪んだ損傷箇所11には、その塗膜12を剥離するための塗膜剥離作業が行われ(図1A)、必要に応じて、窪んだ部分13を可能な限りもとの形状に戻す為に、損傷部分の裏側からハンマ等によりパネルをたたき出したり、損傷部分の表面に銅製のワッシャやピンを電気的に溶着し、このワッシャやピンを工具14を用いて外側に引き出すか、或いはプーラーなどの工具を用いて引き出すことが行われる(図1B)。
【0061】
そして、ある程度、窪みが元の形状に復元された後、当該損傷領域に、パテ15が充填乃至は塗布される(図1C)。このパテ15の乾燥方法として、従来はパテの種類や特性に応じた、一通りの乾燥方法が採用されているが、本発明では、乾燥時間や補修対象となる鋼板の厚さ、或いはパテ塗布面の凹凸具合等に応じて、加熱乾燥か(図1D)、或いは自然乾燥を任意に選択するものである。加熱乾燥を行う場合には、UVランプ21を内蔵する紫外線照射機20を使用するのが望ましい。
【0062】
即ち、加熱して硬化させる場合としては、短時間で補修作業を行わなければならない場合(例えば、補修時間との関係で早急(例えば5分以内)に乾燥させたい場合)、外気温が低い場合等が挙げられ、一方で自然乾燥により乾燥させる場合としては、補修作業時間が十分に確保されている場合(例えば、15分以上の乾燥時間を確保できる場合)、鋼板以外に使用する場合、パテ付けする補修面に凹凸があるか、パテ付けする鋼板が薄い場合等が挙げられる。
【0063】
このように、損傷箇所に充填又は塗布したパテ材料の乾燥方法を任意に選択し得る事から、数多くの種類のパテを準備することなくとも、一種類のパテで、乾燥時間(作業時間)、作業環境(外気温等)、補修対象物の状態(凹凸の有無等)に応じて、最適な乾燥方法を採用できるとの効果が得られる。
【0064】
そして、パテ材料が乾燥した後、これを研磨し、サフェーサー等を塗布・硬化・研磨してから、マスキング作業、塗装作業、ポリッシング作業、完成検査作業の工程がこの順で行われる。
【実施例1】
【0065】
以下、実施例に基づいて、本発明の補修用材料を説明する。
【0066】
〔実験例1〕
本実験例では、表1に示す防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂及びその他の成分を配合し、パテ用樹脂材料(主剤)を製造した。そして、この製造したパテ用樹脂材料100重量部に対して、硬化剤(化薬アクゾ(株)製)2重量部を配合して混合し、自然乾燥又は加熱乾燥させる。そして、その硬化時間(25℃)、乾燥性(ペーパーの目詰まり)、ソリ、硬化性(1日後のバーコル硬度)、及び密着性(1日後の折り曲げ密着性)を評価した。この評価に際しては、厚さ0.6mm、大きさ70×150mmのボンデ鋼板を#80ペーパーで研磨し、脱脂後1mmの厚みにヘラ付けして行った。
【0067】
表2中、「70℃3分加熱」とあるのは、主剤と硬化剤を混合して、これを塗布した直後に70℃で3分間加熱乾燥したことを表し、「100℃2分加熱」とあるのは、主剤と硬化剤を混合して、これを塗布した直後に100℃で2分間加熱乾燥したことを表している。
「硬化時間」は25℃の環境下で主剤と硬化剤を混合し始めてから流動性が無くなるまでの時間を計測し、「乾燥性」は室温乾燥の場合は1時間後、加熱乾燥の場合は加熱終了5分後に#80ペーパーで研磨し、目詰まりの有無を調べた。表2中、目詰まりのないものには「○」と評価し、これを乾燥性良好とした。一方「△」は目詰まりやや有りのもの、「×」は目詰まり有りのものを示している。
「ソリ」は、パテ付けして1日後のパテ付けされた鋼板のソリの有無を評価した。
「硬化性」は1日後のバーコル硬度を、BARBER COLMAN社のバーコル硬度計(製品名:GYZJ935)で測定した。パテとしては50以上の値を必要とし、50以下の場合は硬化不良で、クラック、剥離などの不具合が生じる。
「密着性」は、1日後に、パテ付けした鋼板に対して180度の折り曲げを行い、パテを剥離した後の剥離状態を調べた。表2中、凝集破壊を「○」、界面破壊を「×」とし、その中間を「○〜△」、「△」、「△〜×」とし、「○」及び「○〜△」を合格とした。
【0068】
〔実験例2〜5〕
パテ用樹脂材料の組成及び配合を表1に示すように変更し、実施例1と同じように評価を行った。その結果を表2に示す。
【表1】

【0069】
なお、表1中に記載した各成分(商品名)は前記の通りであり、また「ポリセット1127−1」はディーエイチマテリアル(株)から提供されている、従来型の、防錆鋼板やアルミ板への付着性が劣る汎用のパテ用不飽和ポリエステル樹脂である。
【0070】
また、表1中の「ポリセット9146」は、有効成分(固形分)であるポリスチレン33重量%をスチレンに溶解してなり、「ハイカVTBN1300X33」は実質的に有効成分(固形分)だけで構成されており、「ユピカA12」は、有効成分(固形分)であるポリスチレン70重量%をスチレンに溶解してなる。
【表2】

【0071】
この実験例の結果から、本発明にかかるパテ用樹脂材料を用いて製造されたパテでは、25℃の環境下においても5分以下で硬化し、室温乾燥した場合、70℃で3分加熱した場合、および100℃で2分加熱した場合の何れにおいても、乾燥性、ソリ、硬化性、密着性の点で良好な結果が得られた。これに対して、防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂を使用していない実験例4では、加熱乾燥時の乾燥性、硬化性、加熱乾燥時の密着性で良好な結果が得られず、また低収縮剤を使用していない実験例5では、ソリが発生してしまい、良好な結果が得られなかった。
【0072】
〔実験例6〕
この実験例では、実験例1で使用した主剤(パテ用樹脂材料)と硬化剤を用いて補修用材料(パテ)を調整し、自然乾燥及び強制乾燥状態におけるパテ付け面積と乾燥時間とを評価した。その結果を表4に示す。
【0073】
なお、パテ付けの厚さは何れも3mmであり、自然乾燥及び強制乾燥の条件は以下の通りである。
≪自然乾燥≫
【0074】
屋外において、曇り環境下(即ち太陽光直射しない環境下)と、晴れ環境(即ち太陽光直射の環境下)でパテの乾燥時間を測定した。それぞれの測定条件(外気温及び湿度)を表4に示す。
≪強制乾燥≫
【0075】
加熱手段として以下の装置(紫外線照射機又は赤外線照射機)を使用し、硬化温度の測定は塗布したパテの表面温度で測定した。
【0076】
特にこの実験例で加熱手段の1つとして使用した紫外線照射機は、メタルハライドランプを使用したもので、1.2kwの出力で使用している。
【0077】
即ち、本実験例で使用した照射機20は、図2に示すように、筐体内にUVランプ(メタルハライドランプ)21を収容したものであり、UVランプは、照射口(開口部22)から5cm奥まった所に存在する。そして、当該UVランプの出力は600Wと1200Wの出力を有するものである。そこで、本実験例の補修方法における最適なUV照射機の使用条件を特定するべく、以下の通り照射距離と照射温度との関係を測定した。その結果を表3に示す。この測定では、UVランプの表面に温度センサを設置して各出力における「ランプの表面温度」を測定すると共に、照射口22(開口部)とパネルとの距離を変えた上で「開口部からの照射距離別パネル表面温度」を測定した。
【0078】
その結果、パネル表面温度を90℃〜180℃にするには、UVランプの出力を600Wとし、照射口22(開口部)とパネルとの距離を5〜10cm程度に設定するか、或いはUVランプの出力を1200Wとし、照射口22(開口部)とパネルとの距離を10〜20cm程度に設定する必要があることが明らかとなった。
【表3】

【0079】
そこで本実験例における紫外線照射機を用いた強制乾燥では、UVランプの出力を1200Wとし、照射口22(開口部)とパネルとの距離を10cmに設定して評価を行った。
【0080】
また、本実験例で加熱手段の1つとして使用した赤外線ヒーター(大塚刷毛製造株式会社製:型式QHP6-500)は6灯式であって、6kwの出力で使用しており、ヒーターとパネルとの距離を60cm程度に設定して評価を行った。
【表4】

この実験例から、本発明にかかる補修材料を用いて強制乾燥を行った場合には、UV照射で2dm2まで30秒、赤外線照射で6dm2まで3分で乾燥し、一方、屋外で自然乾燥を行った場合には、6dm2まで晴れの場合で6分前後、曇りの場合で10分前後で乾燥することが明らかとなった。そして、いずれの場合においても、硬化不良が生じることはなく、全体が良好に乾燥し、且つ鋼板に対する密着性も良好であり、上塗り塗装まで問題なく完了することができた。
【0081】
〔実験例7〕
この実験例では、赤外線ヒータを使用した場合と、紫外線照射機を使用した場合とにおける、パテ表面温度の推移を比較検討した。その結果を表5に示す。
但し、この実験例で使用した赤外線ヒータや紫外線照射機の性能及び照射条件(照射距離など)は前記実験例6と同じであり、パテは実験例1に示したものを使用し、4dmm2の面積で、3mmの厚さに塗布した。
【表5】

【0082】
この実験例から、本発明にかかるパテを紫外線照射機で加熱した場合には、赤外線照射機を用いて照射した場合に比べ、急速にパテ表面温度が上昇し、それに応じて、短時間で乾燥することが明らかになった。そして、本発明にかかるパテは、このように急速に加熱した場合であっても、何等硬化不良が生じることなく乾燥することから、本発明にかかるパテに対して、加熱手段として紫外線照射機を使用することにより、大幅に乾燥時間を短縮しながらも、パテは良好に乾燥することが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】損傷を受けた車体パネル10の補修工程を示す略図
【図2】本実験例で使用した紫外線照射機を示す略図
【符号の説明】
【0084】
10 車体パネル
11 損傷箇所
12 塗膜
14 工具
15 パテ
20 紫外線照射機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、及び充填剤を含有するパテ用樹脂材料。
【請求項2】
前記防錆鋼板用不飽和ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とを用いて製造され、
当該多価アルコール成分として、ジシクロペンタジエン及びその誘導体の少なくとも何れか、及び/又はビスフェノールA及びその誘導体の少なくとも何れかが使用されている、請求項1に記載のパテ用樹脂材料。
【請求項3】
前記低収縮剤としてポリスチレン系低収縮剤、及び/又はゴム系低収縮剤が使用されており、その配合量は、当該パテ用樹脂材料100重量部中、0.5〜15重量部(有効成分)である、請求項1又は2に記載のパテ用樹脂材料。
【請求項4】
前記充填剤は体質顔料及び/又は着色顔料から選択される、請求項1〜3の何れか一項に記載のパテ用樹脂材料。
【請求項5】
パテ用主剤(a)と当該パテ用主剤(a)を硬化させる為の(b)硬化剤とからなる補修用材料であって、
当該パテ用主剤(a)として、請求項1〜4の何れか一項に記載のパテ用樹脂材料が使用されている、補修用材料。
【請求項6】
前記補修用材料は、(a)パテ用主剤と(b)硬化剤との混合直後に60〜120℃で、20秒〜3分加熱することで硬化乾燥する、請求項5に記載の補修用材料。
【請求項7】
車輌塗装面の凹凸及び/又は塗膜の欠損による損傷箇所を補修する方法であって、必要に応じて前処理が施された前記損傷箇所にパテを充填又は塗布して、これを乾燥させる乾燥工程を含み、
当該パテの乾燥工程では、充填又は塗布したパテの乾燥時間、並びに補修対象となる車体パネルの材質及び厚さの少なくとも何れかに基づいて、以下の(1)又は(2)の乾燥方法が選択される車体パネルの補修方法。
(1)加熱手段で加熱することによる強制加熱乾燥方法
(2)自然乾燥による自然乾燥方法
【請求項8】
車輌塗装面の凹凸及び/又は塗膜の欠損による損傷箇所を補修する方法であって、充填又は塗布したパテを加熱し、前記(1)強制加熱乾燥方法又は(2)自然乾燥方法は、以下の基準に従って行われる車体パネルの補修方法。
(1)強制加熱乾燥方法を行う場合(以下の何れかの場合)
・乾燥工程に与えられた作業時間が5分以下である場合
・外気温が低い場合
・乾燥時間を短縮させる場合
(2)自然乾燥方法を行う場合(以下の何れかの場合)
・乾燥工程に与えられた作業時間が15分以上である場合
・鋼板以外に使用する場合
・補修する車体パネルの凹凸の補修状態が十分でない場合(補修面に凹凸が目立つ場合)
・パテ付けする車体パネルの厚さが薄い(約0.8mm以下)場合
【請求項9】
車輌塗装面の凹凸及び/又は塗膜の欠損による損傷箇所を補修する方法であって、必要に応じて前処理が施された前記損傷箇所に、反応性樹脂を主成分とする主剤と、主成分を硬化させる硬化剤とを含有してなるパテを埋め込む工程、及び埋め込まれたパテを90〜180℃で加熱する工程を含むことを特徴とする車体パネルの補修方法。
【請求項10】
前記パテが、請求項5又は6の何れか一項に記載の補修材料である、請求項7〜9の何れか一項に記載の車体パネルの補修方法。
【請求項11】
前記加熱手段として、光源としてメタルハライドランプが使用され、且つ1.0kw以上の出力を有する紫外線照射機が使用される請求項7〜10の何れか一項に記載の車体パネルの補修方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−77176(P2007−77176A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262778(P2005−262778)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(594057314)翼システム株式会社 (22)
【出願人】(500314382)株式会社ソーラー (5)
【Fターム(参考)】