説明

補助警告装置

【課題】渋滞や信号待ちでの停車状態において、前方車両が進む時に消えるブレーキランプや状態変化を示すライトの消灯を検出し、運転手に警告する。
【解決手段】カラーCMOS撮像素子とコントロール部と出力手段とから構成され、カラーCMOSカメラから出力されるデジタルYUV信号のうち、同じ画素に対応するデータY,Uどちらも高い値になっていれば赤いライトが光っていると判断する。 所定のインターバル後、カラーCMOS撮像素子からY信号を取り込み、メモリ領域1の0ビット目が1になっている画素についてのみ、メモリ領域1のYデータから対応するメモリ領域2のYデータを引算し、輝度変化を計算する。 この時、輝度が一定値低下したら、赤いライトが消えたと判断し出力手段で監視者に警告を発する。輝度低下が認められなかったら、再びインターバルとデータ取り込み、輝度変化の計算を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色付きライトの消灯を監視者に音で知らせる装置に関するものである。
【技術背景】
【0002】
信号機の赤灯及び前方車両のブレーキランプ検出手段として特許文献1がある。
この発明では撮像素子から出力される映像信号を信号処理LSIで赤色情報を取り出しAD変換してからマイコンに取り込み、輝度の変化を検出し信号機の赤灯が点灯しているか、前方車両のブレーキランプが踏まれているかを判断するものである。
信号の赤灯とブレーキランプの赤灯を区別して検出するために、予め信号灯とブレーキランプが存在しそうなところに領域を設けて信号処理をしている。また、前方車両のブレーキランプが踏まれたことを検出して衝突防止の警告を発すること、カーナビゲーションシステムと連動することを想定しており、発明の実施に複雑な構成を必要とした。
【特許文献1】特開2002−175522
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
渋滞や信号待ちでの停車状態において、運転手は前方車両が動き出したことを自らの目で監視し続けなければならない。しかし、前方より目を離した隙に前方車両が動き出すと、そのことにしばらく気づかず、後続車両の流れを止めてしまっていた。
また渋滞での停車中に、前方車両のブレーキ灯を目視で監視し続けている間は、産業や社会を発展させるための知的活動を効率的に行うことが出来なかった。
本発明は、車を含む特定の装置に組み込む必要なく、最小構成の部品でバッテリー駆動し、前方車両が進む時に消えるブレーキランプや状態変化を示すライトの消灯を検出し、運転手に補助的に警告するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はカラーCMOS撮像素子とコントロール部と出力手段とから構成され、コントロール部にはマイコンを使用する。マイコンが動作開始信号を受け取ったら、カラーCMOSカメラから出力されるデジタルYUV信号のうちY信号をマイコンの内蔵メモリ領域1に、U信号をマイコンの内臓メモリ領域2にそれぞれ取り込む。同じ画素に対応するデータY,Uどちらも高い値になっていれば赤いライトが光っていると判断し、その画素のデータYの0ビット目を1とする。そうでないデータYの0ビット目は0とする。
所定のインターバル後、カラーCMOS撮像素子からY信号をマイコンの内臓メモリ領域2に上書きして取り込む。メモリ領域1の0ビット目が1になっている画素についてのみ、メモリ領域1のYデータから対応するメモリ領域2のYデータを引算し、輝度変化を計算する。
この時、輝度が一定値低下したら、赤いライトが消えたと判断し出力手段で監視者に警告を発する。輝度低下が認められなかったら、再びインターバルとデータ取り込み、輝度変化の計算を繰り返す。
【発明の効果】
【0005】
本発明を使用することで、車への面倒な配線取付けを要せずに前方車両が進み始めることを音で知らせてくれるので、前方から目を離しての作業中に前方車両が進みだしてしまっても、それに気づかずに後方車両からクラクションを鳴らされて慌てることがなくなる。また、前方車両に続いての停車中に一時的に前方より目を離して運転手や社会の利益になる知的活動やその他の必要な行動を行うことができる。
さらに、本発明はブレーキランプの消灯を監視するため、超音波やレーダーを用いた車間距離監視方法では実現できない前方車両が動き出す前に、運転手がその情報を知ることができるようになる。
【発明の実施の最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(1)渋滞や信号待ちで前方車両に続いての停車中、運転手が前方より目を離す必要が生じた場合に、運転手はマイコン2に処理開始信号を送ることで補助監視の動作を開始させる。
(2)処理開始信号を受けたマイコン2は自身とカラーCMOS撮像素子1を省電力状態から復帰させる。次いでカラーCMOS撮像素子1は車両の前方を撮像し、マイコン2はカラーCMOS撮像素子1の全面もしくは特定の領域からYデータを内臓メモリ領域1に、対応する画素のUデータを内蔵メモリ領域2にそれぞれ連続して読み込む。
同じ画素に対応するデータY,Uどちらも高い値になっていれば赤いライトが光っていると判断し、そのデータYの0ビット目を1とする。そうでないデータYの0ビット目は0とする。このように判断することで、空の明るさや太陽の反射光、青いライトなど目的以外の光源を監視対象から外すことができる。また、フラグ付き7ビットのデータとして扱うことで、メモリ空間を有効に使用し、外部メモリを不要にする。
(3)上記データYの0ビット目のフラグが1つもなければ、赤いライトがない、もしくは検出失敗と判断し、出力手段3を用いてそのことを運転手に知らせる。マイコン2とカラーCMOS撮像素子1はスタンバイ状態に戻り、再び処理開始指示を待つ。
上記データYの0ビット目のフラグが1つもしくは規定数以上あれば、赤ライト検出と判断し、監視モードに移行する。
(4)監視モードでは所定のインターバル後、カラーCMOS撮像素子1からY信号をマイコン2の内臓メモリ領域2に上書きして取り込む。メモリ領域1の0ビット目が1になっている画素についてのみ、メモリ領域1のYデータから対応するメモリ領域2のYデータを引算し、輝度変化を計算する。
(5)この時、輝度が一定値低下したら、赤いライトが消えたと判断し出力手段3で監視者に警告を発する。警告を発した後は一定時間でスタンバイに戻る。目的とする赤ライト以外の赤い光が消灯した場合にも警告が発せられることが想定される。その場合は警告後一定時間内に再び処理開始指示を送ることで該当するYデータのフラグを0にして監視対象から外した上で監視を継続させることができる。
輝度低下が認められなかったら、再びインターバルとデータ取り込み、輝度変化の計算を繰り返す。
【0007】
マイコン2によるコントロール状態は、スタンバイ、監視中、警告発信の3つの状態があり、監視中に監視中止信号が送られた時と警告発信後一定時間たった後に、スタンバイに戻る。
【0008】
運転手からマイコン2への指示は、監視開始、監視中止、目的対象以外の赤ライトが消灯した時の監視継続の3種類があり、前期のそれぞれのコントロール状態で受け取る操作信号の意味が異なるため、操作手段は1つあってそこから1種類の信号をマイコン2に送ることができればよい。
前記操作手段はボタンやスイッチが簡便でよいが、センサを用いてボタンと同様の信号を送れるものも多数考えられる。
【0009】
前記出力手段3は簡易な構成として圧電ブザーとLEDを用いる。
マイコンで圧電ブザーを制御することで様々なパターンの音を作ることができる。
運転手にわかりやすい音と光の組み合わせの例として
監視開始:ブザー音「ピ」
検出失敗:ブザー音「ピポ」
監視中 :LED点滅
警告 :ブザー音「ピピピ」 LED点灯
当然、音声信号を使った警告や体に何らかの刺激を与えて警告する手段は他にも多数考えられる。
また、消灯したランプの位置及び色を特定し、その結果に応じて出力手段3を制御し出力方法を変更することが可能である。
【0010】
前記インターバル時間は前方車両の監視用途であれば1秒程度が良い。
工場等の処理装置、加工装置のパイロットランプ等の監視用途では、インターバル時間を5分〜30分にしてもよい。インターバル中はマイコン2とカラーCMOS撮像素子1をスリープさせて電力消費を低くすることができる。
【0011】
本発明は車載の電源から電力供給しても良いし、撮像時と計算時以外はカラーCMOS撮像素子1とマイコン2をスリープで待機させておくことでバッテリー駆動でも長時間駆動する。つまり、車を含む特定の装置に組み込まれて特定の用途にしか使われない従来発明品と異なり、使用者と共に過般でき、用途を限定せずに使用することができる。
【0012】
前記カラーCMOS撮像素子1から取り込める画素数はマイコン2の内臓メモリ量に応じて上下するが、32×48画素×8bit程度の撮像ができれば十分である。本発明装置を自車内右方に設置しレンズを通して前方車両の右側のブレーキランプを中心に撮像する方法がメモリ量の少ない場合には有効である。
撮像領域全面をマイコン2の内蔵メモリ量に応じて画素を間引きながらデータを取り込むが、場合に応じては撮像領域を区分して高い解像度で取り込み、赤ライトが検出されなければ次の領域を再び高い解像度で取り込むということもできる。
構成が複雑になるが、マイコン2の外部に容量の大きいメモリを設置し、そこにカラーCMOS撮像素子1からのデータを格納することで、解像度を高くした監視動作を行うこともできる。
【0013】
トラック等運転席が高い車種においては、カラーCMOS撮像素子1とマイコン2とを車両前部の高さ1m程の位置に設置し、出力手段3と操作ボタンを車内に設置すると良い。
【0014】
カラーCMOS撮像素子1のS/N(赤ライトの信号レベルSとノイズ信号レベルNの比)は高い方が望ましいが、安価に製作する場合は、S/Nの低いカラーCMOS撮像素子1の前に赤フィルタないしは減光フィルタもしくはその両方を入れることで、ブレーキランプ監視用途におけるS/Nは高くなる。
カラーCMOS撮像素子1は1/4inchサイズ10万画素程度の物で十分実施可能である。
【0015】
太陽光がレンズに入ると、カラーCMOS撮像素子1から誤信号が出力されることがあるため、レンズの上部と横部に日除けを設ける。
【0016】
カラーCMOS撮像素子1から取り込んだデータをマイコン2で評価し、露光量やゲイン、色のバランスなど様々なパラメータを最適化するようにカラーCMOS撮像素子1を制御する。
この最適化は監視動作の度に行っても良いし、想定されるランプの明るさに合わせて装置構成時に行っても良い。
カラーCMOS撮像素子1を自動画質調整機能で動かしておく場合は、監視動作の直前でカメラパラメータを固定するように制御する必要がある。
【0017】
前記データ取得方法において、Uデータの代わりにVデータを取り込むことで、青色のライトの監視を行うことができる。
【0018】
監視モードに入ったら、直後に短い周期で1回もしくはそれ以上、Yデータを内臓メモリ領域2に取り込んで、輝度低下のチェックを行う。この時輝度低下の判定がされても、警告は発せずに、該当画素に対応する内蔵メモリ領域1のYデータのフラグを1から0にし以降の監視対象から外す。
こうすることで、初期の撮像時に突発的に生じたノイズや前方車両の方向指示灯の赤色成分を検出してしまっても、その点滅に影響を受けずに目的とするライトの監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のブロック図
【符号の説明】
【0020】
1 カラーCMOS撮像素子
2 マイコン
3 出力手段
4 入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーCMOS撮像素子で撮像して得た画像データをコントロール部で演算し、演算結果とコントロールの状態を出力手段で外部に通知する補助警告装置。
【請求項2】
監視すべき対象を撮像して得たY(輝度)データ群とU(色差)データ群を別のメモリ領域に取り込み、それらのデータから赤色のライトが点灯している位置を検出し、検出位置のYデータの下位bitを監視対象画素のフラグに使用し、以後はYデータのみを取り込むことで前記コントロール部のメモリ使用領域を節約することを特徴とした請求項1の補助警告装置。
【請求項3】
所定のインターバルで前記の監視すべき対象を撮像しYデータを取り込み、前記監視対象画素の輝度変化を計算することを特徴とした請求項2の補助警告装置。
【請求項4】
監視動作前後と前記インターバル中に、カラーCMOS撮像素子とコントロール部の素子とをスリープモードにすることを特徴とした請求項3の補助警告装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−4745(P2007−4745A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209178(P2005−209178)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(505271356)
【Fターム(参考)】