説明

補強用リブを有する二重壁ブロー成形体及びその製造方法

【課題】二重壁の偏平なブロー成形体の特定方向の曲げに対する剛性の低下を防止し、かつ全体的な曲げ剛性を高める。
【解決手段】二重壁のブロー成形体に、二重壁の壁1,2を連結するリブが形成され、前記リブは壁1から連続して壁2に向けて延びる第1リブ3と、壁2から連続して壁1に向けて延びる第2リブ4(列4A,4B)からなる。第1リブ3と第2リブ4は共に複数列存在して平面視で互いに交差し、第1リブ3はその頂部が壁2の内側に溶着し、第2リブ4はその頂部が壁1の内側に溶着している。リブ3の内部に補強インサート7が一体的に包み込まれている。第2リブ4は第1リブ3との交差箇所において該第1リブ3により分断されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強用リブが形成された二重壁ブロー成形体及びその製造方法に関し、特に補強用リブの内部にインサートが埋設された二重壁ブロー成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結する複数列のリブが形成された偏平なブロー成形体が記載されている。特許文献1の図1には、(1)二重壁の一方の壁から連続して他方の壁に向けて延び、頂部が前記他方の壁の内側に溶着したリブが開示され、同文献の図5には、(2)二重壁の一方の壁及び他方の壁から連続して対抗する壁に向けて延び、それぞれの頂部が二重壁の厚さ方向中央部で出会って互いに溶着したリブが開示されている。
特許文献2にも、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結する複数列のリブが形成されたブロー成形体が記載されている。同文献2の図7に開示されたリブは、上記(2)のタイプである。また、同文献の図11に開示されたリブは、上記(2)と同タイプだが、互いに直交するリブが二重壁の両壁から形成され、それぞれの頂部が二重壁の厚さ方向中央部で出会って互いに溶着している。
【0003】
特許文献3,4には、インサートで補強したブロー成形体が記載されている。このブロー成形体は、一方のブロー成形金型のキャビティ内にインサートを設置し、両方の金型でパリソンを挟んでブロー成形することにより得ることができる。また、特許文献2にもインサート(強化芯材)で補強したブロー成形体が記載されているが、こちらはブロー成形後にブロー成形体のリブの溝にインサートを外部から挿入している。
特許文献5には、表皮シートを一体に貼り合わせたブロー成形体が記載されている。このブロー成形体は、一方のブロー成形金型のキャビティ面に沿って表皮シートを配置し、両方の金型でパリソンを挟んでブロー成形することにより得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−165152号公報
【特許文献2】国際公開2004/101323号公報
【特許文献3】特開2001−347821号公報
【特許文献4】特開平9−11323号公報
【特許文献5】特開2004−9304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に開示された二重壁のブロー成形体は、それぞれ二重壁を構成する両壁の間に形成されたリブにより剛性が高められている。
しかし、特許文献1や特許文献2の図7に記載されたブロー成形体は、リブの長さ方向が一方向に揃っているため、曲げ線がリブの長さ方向に平行な曲げに対する剛性は相対的に低く、曲げ線がリブの長さ方向に交差する曲げでもリブの倒れが生じやすい。
特許文献2の図11に記載されたブロー成形体は、互いに直交するリブが形成されていることにより、特定方向の曲げに対して剛性が低下することを防止できる。しかし、互いに直交するリブを二重壁の両壁から形成している関係で、二重壁の中央部に肉厚の大きい箇所が集中し、かつ両方の壁面が薄肉化し、これによりブロー成形体の全体的な曲げ剛性が十分高められないという問題がある。
【0006】
特許文献2の一部、及び特許文献3,4では、剛性の不足を補うため、ブロー成形体をインサート(強化芯材)で強化している。しかし、特許文献2では、ブロー成形後にインサートをリブの溝に挿入していることから、ブロー成形体とインサートの一体的な結合がないため、剛性の向上は十分ではない。特許文献3のブロー成形体でもインサートとの一体的な結合が十分ではなく、また、リブが一方向にのみ形成されているため、荷重が負荷されたときリブの倒れが生じやすい。また、特許文献4のブロー成形体では、インサートがロッド状で厚みがあるため、インサートを包み込むパリソンが引き延ばされて薄肉化し、インサートを強固に保持できないという問題がある。
【0007】
本発明は、以上述べた従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、リブ及びインサートで補強した二重壁のブロー成形体、主として二重壁の偏平なブロー成形体について、特定方向の曲げに対する剛性の低下を防止し、リブと補強インサートの結合を確実とし、ブロー成形体の全体的な曲げ剛性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る補強用リブを有する二重壁ブロー成形体は、二重壁のブロー成形体に、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するリブが形成され、前記リブは前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延びる第1リブと、前記他方の壁から連続して前記一方の壁に向けて延びる第2リブからなり、前記第1リブと第2リブは平面視で互いに交差し、前記第1リブはその頂部が前記他方の壁の内側に溶着し、板状の補強インサートが前記第1リブの内側に配置され、前記第1リブの頂部に内側から当接し、かつ前記補強インサートの周囲に前記第1リブが密着して前記補強インサートは前記第1リブに固定され、前記第2リブはその頂部が前記一方の壁の内側に溶着していることを特徴とする。
この場合、前記第1,第2リブは、いずれも長さ方向のほぼ全部又は大部分の領域においてその頂部が対向壁の内側に溶着していることが望ましい。第1,第2リブの典型的な交差形態として、第1,第2リブの交差箇所において第2リブが第1リブにより分断された形態、及び第1リブが第2リブにより分断された形態が挙げられる。
【0009】
また、本発明に係る補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の第1,第2リブ交差形態として、前記第1リブの頂部が両リブの交差箇所において前記第2リブの頂部に溶着し、前記第2リブの頂部が一方の壁の内側及び第1リブの頂部に溶着している形態もあり得る。この場合、第1リブが前記他の壁の内側に全く溶着していない場合もあり得るが、補強インサートによる補強を考慮すると、剛性面で特に大きい問題は生じない。第2リブは、前記交差箇所を除く長さ方向のほぼ全部又は大部分の領域において、前記一方の壁の内側に溶着していることが望ましい。なお、この明細書において大部分とは概ね1/2以上を意味する。
前記二重壁ブロー成形体において、第1リブと第2リブはそれぞれ1列又は複数列存在し得る。
【0010】
前記二重壁ブロー成形体において、補強インサートの長さ方向のほぼ全部又は大部分の領域において、第1リブが補強インサートの周囲に密着していることが望ましい。ただし、一部の領域(概ね長さ方向の1/2未満)においてのみ第1リブが補強インサートの周囲に密着していることも許容される。
前記第1リブは、内側に前記補強インサートを包み込むとともに、長さ方向に沿ったほぼ全部の領域において互いに溶着して板状をなす隠しリブ(外見上存在が隠されたリブ)であることが望ましい。この場合、ブロー成形時に前記一方の壁に表皮シートを一体に貼り合わせることができる。なお、長さ方向に沿った一部領域に完全な隠しリブでない部分があることは許容される。
また、前記第1リブは、長さ方向に沿った一部の領域に断面略台形状をなす部分と頂部側が互いに溶着して板状となった部分からなるリブを含んでいてもよい。この場合、補強インサートが前記板状になった部分の内側に配置され、前記板状になった部分において前記第1リブが前記補強インサートの周囲に密着する。
【0011】
一方、前記第2リブは、例えば、両側面部と頂部で構成される断面略台形状をなすリブ(特許文献1の図7のリブ3参照)、全体が互いに溶着して板状となった隠しリブ(特許文献1の図10のリブ4参照)、断面略台形状をなす部分と頂部側が互いに溶着して板状となった部分からなるリブ(特許文献1の図1のリブ15参照)、又は長さ方向に沿って以上の形態を組み合わせたリブ(特許文献1の図1のリブ14と15参照)等、より自由に種々の断面形態(長さ方向に垂直な面における断面形態)を取り得る。
【0012】
前記第1,第2リブのいずれか一方又は双方が複数列存在する場合、複数列存在する列は互いに平行であることが望ましい。また、前記第1,第2リブは例えば互いに直交するように交差することが望ましい。また、第1リブと第2リブが交差する箇所では、両リブは互いに溶着している、より具体的には、第1リブの側面に該第1リブにより分断された第2リブの端面が溶着している、あるいは第2リブの側面に該第2リブにより分断された第1リブの端面が溶着していることが望ましい。しかし、これらのことは必須ではない。
【0013】
本発明に係る補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法は、板状の補強インサートを金型のキャビティ面から浮いた状態で保持する一方の金型と、金型のキャビティ面に突起列が形成された他方の金型を用い、両金型の間にパリソンを挟んで型締めし、このとき前記補強インサートと突起列をキャビティ内で交差させ、前記補強インサートの先端と前記他方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、かつ前記突起列の先端と前記一方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、パリソン内にエアを吹き込んでブロー成形し、冷却後両金型を開いてブロー成形体を取り出すことを特徴とする。この場合、第1リブの頂部が他方の壁の内側に溶着し、前記第2リブの頂部が一方の壁の内側に溶着したブロー成形体が得られる。
【0014】
上記製造方法において、前記他方の金型の突起列をキャビティ面から突出自在とし、適宜のタイミングでキャビティ面まで引き込むようにしてもよい。この場合、前記補強インサートの先端と前記他方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、かつ前記突起列の先端と前記一方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、続いて前記突起列をキャビティ面まで引き込むことにより、いわゆる隠しリブ(外見上存在が隠されたリブ)を形成することができる。
あるいは、前記突起列の先端と前記一方の金型のキャビティ面及び前記補強インサートの先端との間で、2重になったパリソンの一部を挟んで溶着する方法もあり得る。この場合、第1,第2リブの交差形態として、第1リブの頂部が第1,第2リブの交差箇所において第2リブの頂部に溶着し、第2リブの頂部が前記一方の壁の内側及び第1リブの頂部に溶着したブロー成形体が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補強インサートで補強された第1リブと第2リブが平面視で互いに交差し、かつ第1リブと第2リブは頂部同士が、又は/及び各頂部が対向壁の内側に溶着している。また、補強インサートは第1リブに密着しその内部に包み込まれているため、補強インサートと第1リブの結合が強化されている。このため、二重壁の特に偏平なブロー成形体の特定方向の曲げに対するリブの倒れ及び剛性の低下を防止し、かつ全体的な曲げ剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る第1ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図2】第1ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型15,16のうち、金型15の一部斜視図(a)、及び補強インサート装着後の金型16の一部斜視図(b),補強インサート装着前の金型16と補強インサートの一部斜視図(c)である。
【図3】本発明に係る第2ブロー成形体の一部切り欠き斜視断面図である。
【図4】第2ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型15,16のうち、補強インサート装着前の金型16と補強インサートの一部斜視図(a),補強インサート装着後の金型16の一部斜視図(b)、スライド板を突出させた金型15の一部斜視図(c),及びスライド板をキャビティ面まで後退させた金型15の一部斜視図(d)である。
【図5】本発明に係る第3ブロー成形体の斜視図である。
【図6】第3ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型15,16のうち、補強インサート装着前の金型16と補強インサートの一部斜視図(a),補強インサート装着後の金型16の一部斜視図(b)、スライド板を突出させた金型15の一部斜視図(c),及びスライド板をキャビティ面まで後退させた金型15の一部斜視図(d)である。
【図7】本発明に係る第4ブロー成形体の斜視図である。
【図8】第4ブロー成形体を製造する一対のブロー成形金型15,16のうち、補強インサート装着前の金型16と補強インサートの一部斜視図(a)、及び補強インサート装着後の金型16の一部斜視図(b),及び金型15の一部斜視図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜図8を参照して、本発明に係る補強インサート付きブロー成形体についてより具体的に説明する。
(第1ブロー成形体)
図1に示すブロー成形体(第1ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、複数個の互いに平行な第1リブ3と、平面視で第1リブ3に直角に交差する複数個の互いに平行な第2リブ4を有する。第1リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びるリブであり、第2リブ4は壁2から連続して壁1に向けて延びるリブである。なお、図1において、2点鎖線は破断線である。
【0018】
第1リブ3は、対向する側壁5,6に垂直で該側壁5,6間の全長にわたる長さを有し、壁1から連続して壁2に向けて延び、第1リブ3を構成する両壁3a,3bが長さ方向に沿った全ての領域で互いに溶着して板状をなし、いわゆる隠しリブとされている。なお、隠しリブ自体は例えば特開平06−71738号公報に記載されたように周知のものである。第1リブ3の頂部3cは、第2リブ4との交差箇所において第2リブ4の頂部(後述)に溶着し、交差箇所以外の領域において壁2の内面との間に多少の隙間を有する。
第1リブ3の内側(両壁3a,3bの間)に比較的薄く偏平な板状の補強インサート7が配置されている。補強インサート7の高さ方向(壁1,2に垂直方向)の幅は、第1リブ3の高さより小さく、高さ方向の先端(壁2側に最も近い箇所)が、第1リブ3の頂部3cに内側から当接している。また、補強インサート7の長さ方向に沿った全部の領域において第1リブ3が補強インサート7の全周囲に密着している(第1リブ3と補強インサート7の密着の形態は、図3の断面に示されているものと同じ)。
【0019】
第2リブ4は、対向する側壁(図示せず)間のほぼ全長にわたる長さを有し、壁2から連続して壁1に向けて延びている。第2リブ4は、隣接する列(4A,4B)でやや異なる形態を有する。列4Aは、その長さ方向に沿って交互に配置された2種のリブ(リブ8,9)により構成され、列4Bは、その長さ方向に沿って交互に配置された2種のリブ(リブ11,12)により構成される。
列4Aにおいて、リブ8はさらに2つの高いリブ13,13と、その間に挟まれた低いリブ14からなる。リブ13について長さ方向に垂直な断面をみると、壁2から壁1に向けて延びる両側辺部13a,13bと、やや狭くなった頂辺部13c(頂部)で構成され、全体として略台形状に窪んだ形態をなす。頂片部13c(頂部)が壁1の内側に溶着している。また、リブ14について長さ方向に垂直な断面をみると、基本構造はリブ13と同様の略台形状であるが、高さが極めて低い。このリブ14の頂部が、第1リブ3と第4リブ4の交差箇所において第1リブ3の頂部3cと溶着している。
リブ9は、長さ方向に垂直な断面を見ると、壁2から壁1に向けて延びる両側辺部(片方の側辺部にのみ符号9aを付与)と、中間頂片部9c、及び中間頂片部9cの上に形成された板状部9dで構成され、全体として略台形状に窪んだ部分に板状部9dが乗った形態をなす。板状部9dは、リブ9の板状部9dを構成する両壁が互いに溶着して板状をなした部分であり、側面から見るとその頂部は下向きに湾曲して壁1の内側から少し距離を置き、壁1の内側に溶着していない。なお、このリブ9の基本構造は、特許文献1の図1等に記載されたリブ15と同じである。
【0020】
列4Bにおいて、リブ11は前記リブ13と同様の断面形状を有し、その頂部11cが壁1の内側に溶着している。リブ11は、2つのリブ13,13とリブ14を合わせた長さを有する。
リブ12は前記リブ9に類似する断面形状を有する。すなわち、全体として、壁2から壁1に向けて延びる両側辺部12a,12bと、中間頂片部12c、及び中間頂片部12cの上に形成された板状部12dで構成され、全体として略台形状に窪んだ部分に板状部12dが乗った形態をなす。板状部12dは、リブ12の板状部12dを構成する両壁12d1,12d2が互いに溶着して板状をなした部分であり、中央部(第1リブ3との交差箇所)に近いほど高さが低くなっている。そして、リブ12の中央部では、板状部12dが存在せず、かつリブ9の高さは中間頂片部12cより低く、リブ14と同じ高さとなっている。リブ12の中央部では、リブ12の頂部が第1リブ3の頂部3cと溶着している。
【0021】
第2リブ4の隣接する列(4A,4B)を比較すると、列4Aの長さ方向にみた1ピッチ(1つのリブ8の長さと1つのリブ9の長さの合計)は、列4Bの長さ方向にみた1ピッチ(1つのリブ11の長さと1つのリブ12の長さの合計)と同じである。そして、形状が類似するリブ8とリブ11(又はリブ9とリブ12)の位置は,長さ方向に半ピッチずつずれており、いわゆる千鳥配置に似たものとなっている。なお、この第2リブ4の構造及び配置形態は、特許文献1の図1に記載されたものと基本形態が類似する。
第1リブ3の隣接する列は第2リブ4の1ピッチの間隔で配置され、第2リブ4の隣接する列は前記のとおり半ピッチずつ列の長さ方向にずれている。第1リブ3と第2リブ4の交差箇所では、前記のとおり頂部同士が溶着するとともに、第2リブ4の端面の一部又は全部がリブ3の側面に密着している。
【0022】
第1ブロー成形体の壁1,2の間に第1リブ3及び第2リブ4を形成するための一対の金型(コーナー部近傍)15,16を図2に示す。
金型15のキャビティ面17には、キャビティ内に突出する板状の突起列18,19が、それぞれ複数列、列の方向をピンチオフ部21の1辺21aに対し垂直方向に向けて交互に形成されている。突起列18は、キャビティ面17から比較的高く突き出す一対の突起22,22が深い溝(低い突起23)を挟んで、列の方向に繰り返し形成されたものである。突起22,22の間には比較的浅い溝(中くらいに突き出す突起24)が形成されている。突起列19は、比較的高く突き出す突起25が2段溝(階段状の突起26)を挟んで、列の方向に繰り返し形成されたものである。
各突起列18,19を列の方向に垂直にみたとき、突起23と階段状の突起26は一列に揃っている。この突起列18,19は第2リブ4(列4A,4B)を形成するためのものであり、突起列18が列4A、突起列19が列4Bに対応する。
【0023】
一方、金型16のキャビティ面27には突起が形成されていない。金型16のピンチオフ部28の対向する2辺(1辺28aのみ示す)に複数個の凹溝(保持部)29が形成され、この凹溝29に補強インサート7の端部が着脱自在に嵌入される。補強インサート7は均一な板厚を有し、板面をキャビティ面27に対し垂直に向け、かつ長さ方向をピンチオフ部28aに対し垂直に向け、キャビティ面27に対し平行に、キャビティ面27から所定間隔浮いた状態で金型16に保持されている。補強インサート7は両端部(一方の端部7aのみ示す)において凹溝29の深さにほぼ一致する挟幅(キャビティ面27に対し垂直方向の幅)とされ、金型16に保持された状態で補強インサート7の両端部は一部がピンチオフ部21,28の外(両金型15,16のキャビティの外)に突出している。金型16にこの補強インサート7を設置することで、第1リブ3を形成することができる。
【0024】
パリソンを挟んで両金型15,16を型締めすると、突起列18,19と補強インサート7は互いに垂直に交差し、補強インサート7が突起列18の溝(突起23の箇所)及び突起列19の溝(突起26の箇所)に嵌り込み、さらに補強インサート7の先端が前記溝の底部(突起23,26の先端23a,26a)近傍に達し、該先端23a,26aとの間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。また、突起22,25の先端が金型16のキャビティ面27との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。
続いてパリソン内にエアを吹き込み、冷却後型開きして、両金型15,16から第1ブロー成形体を取り出す。このとき補強インサート7は凹溝29から容易に外れる。ブロー成形されたままの第1ブロー成形体では、補強インサート7の両端がプラスチックの成形体の側壁から外に突出している。この突出部分は必要に応じて切断する。その場合、切断端面がブロー成形体の表面に露出する。
【0025】
このブロー成形により、パリソンが補強インサート7とキャビティ面27の間に回り込み、補強インサート7を中に巻き込んだ板状の第1リブ3が形成される。補強インサート7が偏平であるため、それを巻き込んだ形の第1リブも偏平な形状を有している。
突起列18に対応して第2リブ4の列4Aが形成され、突起列19に対応して第2リブ4の列4Bが形成される。第2リブ4の列4Aにおいて、リブ8は溝(突起23)を挟んで隣接する突起22,22に対応して形成され(リブ8のうちリブ14は突起23に対応して形成される)、リブ9は突起22,22の間の溝(突起24)に対応して形成される。第2リブ4の列4Bにおいて、リブ11は突起25に対応して形成され、リブ12は突起25,25間の溝(突起26)に対応して形成される。
【0026】
なお、リブ9(特に板状部9d)は、特許文献1に記載されたリブ(同文献の番号で15)と同様のメカニズムで形成される。
第2リブ4の列4Aでは、リブ9は突起列18の突起22,22間の溝(突起24)に対応して形成されるが、この箇所では、パリソンは型締め時に高い突起22,22間に張設された形になり、大部分が低い溝(突起24)に密着し切れないまま折り返され、それがエア圧により圧着して、図1に示すように少し垂れ下がったような板状部9dが形成される。第2リブ4の列4Aでも、リブ12の板状部12dは同様のメカニズムにより形成されるが、補強インサート7に押し込まれて垂れ下がりが大きくなっている。
【0027】
なお、第1ブロー成形体では、第1リブ3と第2リブ4の交差箇所で第1リブ3と第2リブ4の頂部同士が溶着し、前記交差箇所以外で第2リブ4の頂部が壁1の内側に溶着している。第1リブ3は偏平で壁2の内側に溶着していないが、前記交差箇所で第2リブ4に溶着していることにより、曲げ荷重が負荷されたときの第1リブ3の倒れが防止される。
また、第1リブ3の頂部3cが壁2の内側近傍に達し、一方、第2リブ4の頂部の大部分が壁1に溶着し又は壁1の内側近傍に達し、いずれにしても最初にパリソンが冷却して肉厚が比較的厚くなる各リブの頂部が、二重壁の中央部ではなく、壁1,2寄りに位置することから、二重壁ブロー成形体の曲げ剛性が高まる。
上記の点に加え、第1リブ3と第2リブ4が交差し、第1リブ3が補強インサート7を強固に巻き込んでいることにより、第1ブロー成形体は、特定方向の曲げに対する剛性の低下が防止され、かつブロー成形体の全体的な曲げ剛性が高められている。
【0028】
(第2ブロー成形体)
図3に示すブロー成形体(第2ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、複数個の互いに平行な第1リブ3と、平面視で第1リブ3に直角に交差する複数個の互いに平行な第2リブ4を有する。第1リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びるリブであり、第2リブ4は壁2から連続して壁1に向けて延びるリブである。なお、図3において、2点鎖線は同じく破断線である。図3において、図1に示す第1ブロー成形体との対応部位に同じ符号を付与している。
【0029】
第2ブロー成形体は、第1リブ3については第1ブロー成形体と同じく補強インサート7を包み込む偏平な隠しリブであるが、長さ方向のほぼ全ての領域において頂部3cが壁2の内側に溶着している点で、第1ブロー成形体と異なる。また、第2リブ4は、偏平な板状の隠しリブである点、及び第1リブ3との交差箇所以外の長さ方向のほぼ全ての領域において頂部が壁1の内側に溶着している点で、第1ブロー成形体と異なる。前記交差箇所では、第1リブ3により第2リブ4が分断された形(前記交差箇所では第2リブ4が立ち上がっていない)になっている。
【0030】
第2ブロー成形体の壁1,2の間に第1リブ3及び第2リブ4を形成するための一対の金型(コーナー部近傍)15,16を図4に示す。なお、図4において、図2に示す金型15,16との対応部位に同じ符号を付与している。
金型15には、キャビティ内に突出可能な複数列の薄い板状の突起列(スライド板列)31が、列の方向をピンチオフ部21の一辺21aに対し垂直方向に向けて設置されている。スライド板列31は複数のスライド板32が列の長さ方向に所定の隙間33を置いて設置されたものである。スライド板32は、突出したとき(図3(c)参照)対向する金型16のキャビティ面27近傍に達し(型締めしたとき)、後退したとき(図3(d)参照)、その先端が金型15のキャビティ面17の一部を構成する。
第2ブロー成形体の金型16は、ピンチオフ部28aに形成された凹溝29を含めて第1ブロー成形体を製造する金型16と同様の構造であり、補強インサート7も同様の構造を有する。
【0031】
パリソンを挟んで両金型15,16を型締めし、スライド板列31を突出させると、スライド板列31と補強インサート7は互いに垂直に交差し、交差箇所で補強インサート7がスライド板列31の隙間33に嵌り込む。同時に、補強インサート7の先端が金型15のキャビティ面17の近傍に達し、該キャビティ面17との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。また、スライド板32の先端が金型16のキャビティ面27との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。なお、スライド板32は、例えばキャビティ内へのエア吹き込み開始と同時又は開始前後の適宜のタイミングで後退させる。
【0032】
続いてパリソン内にエアを吹き込み、冷却後型開きして、両金型15,16から第2ブロー成形体を取り出す。このとき補強インサート7は凹溝29から容易に外れる。ブロー成形されたままの第2ブロー成形体では、補強インサート7の両端がプラスチックの成形体の側壁から外に突出している。この突出部分は必要に応じて切断する。その場合、切断端面がブロー成形体の表面に露出する。
このブロー成形により、パリソンが補強インサート7とキャビティ面27の間に回り込み、補強インサート7を中に巻き込んだ偏平な板状の第1リブ3が形成される。
また、スライド板列31に対応して隠しリブである偏平な第2リブ4が形成される(ただし、両リブの交差箇所において第2リブ4は第1リブ3により分断されている)。
【0033】
(第3ブロー成形体)
図5に示すブロー成形体(第3ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、複数個の互いに平行な第1リブ3と、平面視で第1リブ3に直角に交差する複数個の互いに平行な第2リブ4を有する。第1リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びるリブであり、第2リブ4は壁2から連続して壁1に向けて延びるリブである。なお、図5において、2点鎖線は同じく破断線である。図5において、図1に示す第1ブロー成形体との対応部位に同じ符号を付与している。
【0034】
第3ブロー成形体は、第1リブ3及び第2リブ4とも、第2ブロー成形体と同じく隠しリブであり、第1リブ3の頂部が壁2の内側と溶着し、第2リブ4の頂部が壁1の内側と溶着し、第1リブ3と第2リブ4の交差箇所では、第1リブ3により第2リブ4が分断された形になっている。第1リブ3はその長さ方向沿ってほぼ全部が偏平な板状をなすが、一部に板状でない部分が含まれる点で、第2ブロー成形体と異なる。前記板状でない部分とは、略4角形に見える部分(インサート保持部跡)3dであり、このインサート保持部跡3dでは第1リブ3を構成する両壁3a,3bの間に隙間があり、互いに溶着していない。インサート保持部跡3dは、第1リブ3の両端近傍のごく狭い範囲において、壁1から補強インサート7までの間に形成され、壁1側に露出している。また、補強インサート7が全長にわたりブロー成形体の中空内部に存在し、側壁から外に露出していない点でも第2ブロー成形体と異なる。
【0035】
第3ブロー成形体の壁1,2の間に第1リブ3及び第2リブ4を形成するための一対の金型(コーナー部近傍)15,16を図6に示す。なお、図6において、図2に示す金型15,16との対応部位に同じ符号を付与している。
第3ブロー成形体の金型15は、第2ブロー成形体の金型15と同じといってよい。
第3ブロー成形体の金型15は、キャビティ面27に補強インサート7の支持突起34が各補強インサート7に対応して一対ずつ(図6には片側のみ示す)複数対形成されている。支持突起34の先端には凹溝35が形成され、凹溝35に板厚が均一で均一幅(キャビティ面27に対し垂直方向の幅)の偏平な補強インサート7の両端近傍が嵌入し、これにより補強インサート7は、キャビティ面27から所定間隔浮いた状態で金型16に保持される。支持突起34の凹溝35に補強インサート7を設置することで、第1リブ3を形成することができる。
【0036】
パリソンを挟んで両金型15,16を型締めし、スライド板列31を突出させると、スライド板列31と補強インサート7は互いに垂直に交差し、交差箇所で補強インサート7がスライド板列31の隙間33に嵌り込む。同時に、補強インサート7の先端が金型15のキャビティ面17の近傍に達し、該キャビティ面17との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。また、スライド板32の先端が金型16のキャビティ面27との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。なお、スライド板32は、例えばキャビティ内へのエア吹き込み開始と同時又は開始前後の適宜のタイミングで後退させる。
続いてパリソン内にエアを吹き込み、冷却後型開きして、両金型15,16から第3ブロー成形体を取り出す。このとき補強インサート7は凹溝35から容易に外れる。
【0037】
このブロー成形により、パリソンが補強インサート7とキャビティ面27の間に回り込み、補強インサート7を中に巻き込んだ、全体として偏平な板状といえる第1リブ3が形成される。同時に、パリソンが突起34の周囲に張り付き、第1リブ3の一部として前記インサート保持部跡3dが形成される。
また、スライド板列31に対応して隠しリブである第2リブ4が形成される(ただし、両リブの交差箇所において第2リブ4は第1リブ3により分断されている)。
【0038】
なお、前記第1〜第3ブロー成形体において、壁1の表面に表皮シートを貼り付けた表皮付き2重壁ブロー成形体とすることができる。この表皮付き2重壁ブロー成形体は、例えば特許文献5に記載されているように、金型16のキャビティ面27と補強インサート7の間に表皮シートを配置したうえで、両金型15,16を型締めすることで製造することができる。
【0039】
(第4ブロー成形体)
図7に示すブロー成形体(第4ブロー成形体)は、二重壁(互いに平行に配置された壁1及び壁2)の間に、複数個の互いに平行な第1リブ3と、平面視で第1リブ3に直角に交差する複数個の互いに平行な第2リブ4を有する。第1リブ3は壁1から連続して壁2に向けて延びるリブであり、第2リブ4は壁2から連続して壁1に向けて延びるリブである。なお、図7において、2点鎖線は破断線である。図7において、図1に示す第1ブロー成形体との対応部位に同じ符号を付与している。
【0040】
第1リブ3は、その長さ方向に沿って交互に配置された2種のリブ(リブ36とリブ37)により構成され、対向する側壁間のほぼ全長にわたる長さを有し、壁1から連続して壁2に向けて延び、内側に補強インサート7が配置されている。リブ36は、長さ方向に垂直な断面をみると、壁1から壁2に向けて延びる両側辺部36a,36bと、やや狭くなった頂辺部36c(頂部)で構成され、全体として略台形状に窪んだ形態をなす。リブ37は、長さ方向に垂直な断面を見ると、壁1から壁2に向けて延びる両側辺部37a,37bと、中間頂片部37c、及び中間頂片部37cの上に形成された板状部37dで構成され、全体として略台形状に窪んだ部分に板状部37dが乗った形態をなす。板状部37dは、板状部37dを構成する両壁37d,37dが互いに溶着して板状をなした部分である。リブ36の頂片部36c(頂部)及びリブ37の板状部37dの頂部は、壁2の内側に溶着している。補強インサート7はリブ37の板状部37dにおいて第1リブ3に包み込まれ(板状部37dが補強インサート7の全周囲に密着)、リブ36に対しては頂片部36cに内側から当接している。また、補強インサート7は全長にわたりブロー成形体の中空内部に存在し、側壁から外に露出していない。
【0041】
第1リブ3を隣接する列(3A,3B)でみると、リブ34とリブ35は列の長さ方向に1ピッチ(1つのリブ36の長さと1つのリブ37の長さの合計)の半分ずつ位置がずれており、いわゆる千鳥配置とされている。
一方、第2リブ4は、壁2から壁1に向けて延びる両側辺部4a,4bと、やや狭くなった頂辺部4c(頂部)で構成され、全体として略台形状に窪んだ形態をなし、頂片部4cが壁1の内側に溶着している。
第2リブ4の隣接する列は第1リブ3の1ピッチの間隔で配置され、第1リブ3の隣接する列3A,3Bは半ピッチずつ列の長さ方向にずれている。第2リブ4は、第1リブ3と交差する箇所で該第1リブ3により分断(リブが立ち上がっていない)された形となり、交差箇所では分断された端面が第1リブ3の側面に密着している。前記交差箇所は、列3Aではリブ36の長さ方向中間位置とされ、列3Aに隣接する列3Bではリブ37の長さ方向中間位置とされている。
【0042】
第4ブロー成形体の壁1,2の間に第1リブ3及び第2リブ4を形成するための一対の金型(コーナー部近傍)15,16を図8に示す。なお、図8において、図2に示す金型15,16との対応部位に同じ符号を付与している。
金型15のキャビティ面17には、キャビティ内に突出する板状の突起列18が、列の方向をピンチオフ部21の1辺21aに対し垂直方向に向けて形成されている。突起列18は、突起38と片側に段部39aを有する突起39からなり、突起38と前記段部39aの側を内側に向き合わせて配置された一対の突起39,39が、長さ方向に交互に連なっている。突起38と突起39の間に隙間41が形成され、一対の突起39,39の間に隙間42が形成されている。各突起列18を列の方向に垂直に見たとき、隙間41,42は一列に揃っている。
【0043】
金型16のキャビティ面27には、キャビティ内に突出する板状の突起列38が複数列、列の方向をピンチオフ部21の1辺21aに対し垂直方向に向けて交互に形成されている。突起列43は、高い突起44が溝(低い突起45)を挟んで長さ方向に列をなして形成されたものである。1つの突起44の長さと1つの突起45の長さの合計を,繰り返し単位の1ピッチとすると、隣接する突起列43,43において、突起44及び突起45は互いに列の長さ方向に半ピッチずれている。
【0044】
各突起44の先端には凹溝46が形成され、凹溝46に板厚が均一で均一幅(キャビティ面27に対し垂直方向の幅)の偏平な補強インサート7が嵌入する。凹溝46の深さは補強インサート7の幅とほぼ同じとされている。この凹溝46により補強インサート7は、キャビティ面27から所定間隔浮いた状態で金型16に保持される。突起列43において突起44の凹溝46に補強インサート7を設置することで、突起列43により第1リブ3(列3A,3B)を形成することができる。
【0045】
パリソンを挟んで両金型15,16を型締めすると、突起列18と補強インサート7を含む突起列43は互いに垂直に交差し、補強インサート7を含む突起列43が突起列18の隙間41a,41aに嵌り込む。同時に、補強インサート7及び突起44の先端が金型15のキャビティ面17の近傍に達し、該キャビティ面17との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。また、突起38,39の先端が金型16のキャビティ面27との間で2重になったパリソンを挟んで溶着する。
続いてパリソン内にエアを吹き込み、冷却後型開きして、両金型15,16から第4ブロー成形体を取り出す。このとき補強インサート7は凹溝46から容易に外れる。
【0046】
このブロー成形により、突起列43の突起44の部分に対応して第1リブ3のリブ36が形成され、突起列43の隣接する突起44,44間の溝(低い突起45)の部分に対応して第1リブ3のリブ37が形成される。また、前記溝(低い突起45)の部分では、パリソンが補強インサート7と溝(低い突起41)の間に回り込んで補強インサート7を中に巻き込み、リブ37の一部として前記板状部37dが形成される。
また、突起列18に対応して第2リブ4が形成される。
【符号の説明】
【0047】
1,2 ブロー成形体の壁
3,4 リブ
8,9,11〜14,36,37 リブ
7 補強インサート
15,16 金型
17,27 金型のキャビティ面
18,19,31,43 突起列又はスライド板列
22〜26,32,38,39,44,45 突起又はスライド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重壁のブロー成形体に、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するリブが形成され、前記リブは前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延びる第1リブと、前記他方の壁から連続して前記一方の壁に向けて延びる第2リブからなり、前記第1リブと第2リブは平面視で互いに交差し、前記第1リブはその頂部が前記他方の壁の内側に溶着し、板状の補強インサートが前記第1リブの内側に配置され、前記第1リブの頂部に内側から当接し、かつ前記補強インサートの周囲に前記第1リブが密着して前記補強インサートは前記第1リブに固定され、前記第2リブはその頂部が前記一方の壁の内側に溶着していることを特徴とする補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項2】
前記第2リブが前記交差箇所で前記第1リブにより分断されていることを特徴とする請求項1に記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項3】
二重壁のブロー成形体に、二重壁の一方の壁と他方の壁を連結するリブが形成され、前記リブは前記一方の壁から連続して前記他方の壁に向けて延びる第1リブと、前記他方の壁から連続して前記一方の壁に向けて延びる第2リブからなり、前記第1リブと第2リブは平面視で互いに交差し、前記第1リブはその頂部が両リブの交差箇所において前記第2リブの頂部に溶着し、板状の補強インサートが前記第1リブの内側に配置され、前記第1リブの頂部に内側から当接し、かつ前記補強インサートの周囲に前記第1リブが密着して前記補強インサートは前記第1リブに固定され、前記第2リブはその頂部が前記一方の壁の内側及び前記第1リブの頂部に溶着していることを特徴とする補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項4】
前記第1リブは内側に前記補強インサートを包み込むとともに、互いに溶着して板状をなす隠しリブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項5】
ブロー成形時に前記一方の壁に表皮シートを一体に貼り合わせたことを特徴とする請求項4に記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項6】
前記第1リブは、長さ方向に沿った一部の領域に断面略台形状をなす部分と頂部側が互いに溶着して板状となった部分からなるリブを含み、前記補強インサートが前記板状になった部分の内側に配置され、前記板状になった部分において前記補強インサートの周囲に前記第1リブが密着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項7】
前記第2リブは、両側面部と頂部で構成される断面略台形状をなすリブか、全体が互いに溶着して板状となった隠しリブか、断面略台形状をなす部分と頂部側が互いに溶着して板状となった部分からなるリブか、又はそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項8】
前記第1,第2リブのいずれか一方又は双方が複数列存在し、複数列が互いに平行であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体。
【請求項9】
板状の補強インサートを金型のキャビティ面から浮いた状態で保持する一方の金型と、金型のキャビティ面に突起列が形成された他方の金型を用い、両金型の間にパリソンを挟んで型締めし、このとき前記補強インサートと突起列をキャビティ内で交差させ、前記補強インサートの先端と前記他方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、かつ前記突起列の先端と前記一方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、パリソン内にエアを吹き込んでブロー成形し、冷却後両金型を開いてブロー成形体を取り出すことを特徴とする補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法。
【請求項10】
板状の補強インサートを金型のキャビティ面から浮いた状態で保持する一方の金型と、金型のキャビティ面に突起列が形成された他方の金型を用い、両金型の間にパリソンを挟んで型締めし、このとき前記補強インサートと突起列をキャビティ内で交差させ、前記突起列の先端と前記一方の金型のキャビティ面及び前記補強インサートの先端との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、パリソン内にエアを吹き込んでブロー成形し、冷却後両金型を開いてブロー成形体を取り出すことを特徴とする補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法。
【請求項11】
板状の補強インサートを金型のキャビティ面から浮いた状態で保持する一方の金型と、金型のキャビティ面から突起列が突出自在に設置された他方の金型を用い、両金型の間にパリソンを挟んで型締めし、このとき前記補強インサートと突起列をキャビティ内で交差させ、前記補強インサートの先端と前記他方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、かつ前記突起列の先端と前記一方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンの一部を挟んで溶着し、パリソン内にエアを吹き込んでブロー成形し、エア吹き込み開始と同時に又はその前後のタイミングで前記突起列をキャビティ面まで引き込み、冷却後両金型を開いてブロー成形体を取り出すことを特徴とする補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法。
【請求項12】
パリソン内にエアを吹き込むことにより、パリソンを補強インサートと前記一方の金型のキャビティ面の間に回り込ませるとともに、補強インサートを中に巻き込んで、内部に補強インサートを含む隠しリブを形成することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法。
【請求項13】
ブロー成形時に前記一方の金型のキャビティ面に表皮シートを配置し、ブロー成形時に前記表皮シートをブロー成形体の一方の壁表面に貼り合わせることを特徴とする請求項12に記載された補強用リブを有する二重壁ブロー成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135906(P2012−135906A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288577(P2010−288577)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(390040958)みのる化成株式会社 (36)
【Fターム(参考)】