説明

補強紙又は化粧紙及び紙袋

【課題】強度に優れた補強紙又は化粧紙および破袋強度に優れた紙袋を提供する。
【解決手段】抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量を400J/m以上とした補強紙1aである。補強紙1aは、例えばロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて複数本設けた硬質ロールと、表面が平坦な軟質ロールとからなる一対のプレスロールを備え、前記硬質ロールと前記軟質ロールのうちの一方のロールの周速度に対して他方のロールの周速度を遅くして回転するように構成された収縮付与装置の前記一対のプレスロール間に紙シートを通すことにより、該紙シートを加圧すると共に収縮して得られる伸張紙よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙袋のミシン縫い部、底のりばり部及びバルブ口の補強に用いる紙である補強紙、片底ばり袋・両底ばり袋の、底のりばり部外側に貼り付ける紙である化粧紙およびこれら補強紙又は化粧紙の少なくともいずれか一方を使用する紙袋に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の補強紙及び化粧紙は、紙袋の下端部か、上端部と下端部の両方に貼り付けられ、この部分を補強している。
【0003】
従来、補強紙としては、例えばクレープ紙等の伸張紙が使用されている。このクレープ紙は、ちりめん状にシワ付けした紙で手抄和紙では「もみ紙」として知られており、機能的には紙が柔らかいとともに紙の伸びや表面積が大きいという性質を有し、また外観的には和風の美装性が付与されることから高級紙として古くから製造されており、機械抄紙に至ってクレープ紙と称呼され汎用されている紙である。このようなクレープ紙を補強紙として使用することで、縫い目部分の補強並びに内容物の漏れの防止を図ろうとしている。
【0004】
伸張紙は、クルパック処理やクレープ処理といった方法により製造されている。また、近年、より高い伸び特性を有する伸張紙を製造する方法としては、コルゲート処理形態の予備成型を施し、更に、硬い物質からなりその表面にリブを有し速い速度で回転するロールと、柔らかい物質から成り平滑な表面を有し遅い速度で回転するロールからなる一組のロール間で収縮して縦横の伸び特性を同時に付与する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特表平11−509276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の方法で製造された伸張紙は、いずれも原紙に収縮溝が施されて伸び特性が付与されているが、かかる原紙へ収縮溝を施す際に、補強紙や化粧紙として使用した際に必要な強度に対する考慮は全くなされておらず、これら補強紙や化粧紙を有する紙袋の破袋強度が問題になることがある。
【0006】
また、伸張紙を補強紙や化粧紙として使用しようとしたとき、繊維長が長く、強度の面で優れた海外の針葉樹を原料とするパルプから製造することが多いが、海外の針葉樹は供給安定性に問題があり入手性に課題が生じている。一方、国内材を原料とするパルプを使用した場合、入手性に問題はないが、繊維長が短いために補強紙や化粧紙として十分な強度が得られにくく、これら補強紙や化粧紙を有する紙袋の破袋強度が不十分になるおそれがあるという問題があった。
【0007】
ここで、近年、国内において、イージーオープン袋(片折貼袋)が数多く利用されるに至っている。イージーオープン袋とは、チューブの端部を折り込み、この部位に断面視略U字形に補強紙をかぶせ、底部を成形するときに補強紙の裏面にポリプロピレン製のカットテープを固定しながらこのカットテープの両側に切り込みを入れるとともに、補強紙を貼り付けたものであり、カットテープ部の補強紙を引き裂くことによって簡易に開封できるものである。このようなイージーオープン袋が数多く利用されるに至ったことにより、入手が容易な国内材を原料とするパルプを使用しても、繊維長の長い海外の針葉樹を原料とするパルプを使用した補強紙と同等かそれ以上の強度特性を有する補強紙が求められるようになってきている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、強度に優れた補強紙又は化粧紙および破袋強度に優れた紙袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が、紙袋の落下の際の破袋、即ち紙袋の強度と相関が大きいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明に係る補強紙又は化粧紙は、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が400J/m以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る補強紙又は化粧紙は、請求項1に記載の補強紙又は化粧紙において、坪量が80〜150g/mの範囲であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る補強紙又は化粧紙は、請求項1又は2に記載の補強紙又は化粧紙において、ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて複数本設けた硬質ロールと、表面が平坦な軟質ロールとからなる一対のプレスロールを備え、前記硬質ロールと前記軟質ロールのうちの一方のロールの周速度に対して他方のロールの周速度を遅くして回転するように構成された収縮付与装置の前記一対のプレスロール間に紙シートを通すことにより、該紙シートを加圧すると共に収縮して得られる伸張紙よりなるものであることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明に係る紙袋は、請求項1,2又は3のいずれかに記載の補強紙又は化粧紙を使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が400J/m以上であるので、強度に優れた補強紙及び化粧紙を得ることができる。また、その強度は原料の繊維長に関わりなく得ることができる。
【0015】
請求項2,3に記載の発明によれば、坪量が80〜150g/mの範囲であるので、強度に優れるとともに、加工性やコスト面で良好な補強紙及び化粧紙を得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1,2又は3のいずれかに記載の補強紙又は化粧紙を使用したので、破袋強度に優れた紙袋を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例について説明する。図1は本発明に係る補強紙を使用した紙袋の一例を示す底部端面図、図2は本発明に係る補強紙を使用した紙袋の他例を示す底部端面図、図3は本発明に係る化粧紙を使用した紙袋の一例を示す平面図、図4は本発明に係る補強紙又は化粧紙の実施の形態の一例を示す断面図、図5及び図6は本発明において抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量に着目した理由を説明するために用いる図である。
【0018】
本発明の補強紙又は化粧紙を使用する紙袋の形態については、特に限定されるものではないが、例えばJIS Z 1531等で規定されるのりばりクラフト紙袋などに好適に使用される。紙袋の具体例について図1乃至図3に基づいて説明する。図1および図2は、本発明の補強紙1aを使用した紙袋2を示している。図1に示す紙袋2は、下端部3および上端部(図示省略)を1回折りした折込部4を有するひだ付き・補強紙付き両折りばり袋(JIS Z 1531 B−2)であり、前記補強紙1aは、前記下端部3を1回折りしてなる底部5に貼り付けられている。また、図2に示す紙袋2は、下端部6を2回折りした折込部7を有するひだ付き・補強紙付き片二重折りばり袋(JIS Z 1531 A−5′)であり、前記補強紙1aは、前記下端部6を2回折りしてなる底部8に貼り付けられている。
【0019】
また、図3は本発明の化粧紙1bを使用した紙袋2を示している。この図3に示す紙袋2は、ひだなし両底ばり袋(JIS Z 1531 B−2)であり、上端部9および下端部10の底のりばり部11に前記化粧紙1bが貼り付けられている。
【0020】
つぎに、前記補強紙1aおよび化粧紙1bについて図4に基づいて説明する。前記補強紙1aおよび化粧紙1bを構成する原紙12は、収縮溝13を施した伸張紙であり、その抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が400J/m以上である。抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が、400J/m未満であると、強度面で不十分であり、紙袋に使用した際に、その紙袋が落下時の衝撃で破袋する。なお、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量は、1700J/m以下であることが好ましい。引張エネルギー吸収量が1700J/mを超えると、補強紙1a又は化粧紙1bの腰が低下し、紙袋を製造する際の加工性に問題が生じる。
【0021】
ここで、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量に着目した理由について、図5及び図6に基づいて説明する。図5及び図6には、内容物として粉体(図示省略)が充填され、化粧紙1bを有する図3の前記紙袋2が示されており、ここではこの紙袋2を例として挙げて説明する。
【0022】
図5に示すように、前記紙袋2が、その表面2aおよび裏面2bが上下方向となる向きで落下(水平落下)した場合には、抄紙方向が長辺と平行になっている長方形状の前記化粧紙1bに対して、抄紙方向と直交する方向(図中矢印で示す方向)に破壊エネルギーが加わる。一方、図6に示すように、前記紙袋2が、その両側面2c,2dが上下方向となる向きで落下(側面落下)した場合には、落下の衝撃により、充填物である粉体が内部で下方に移動して、前記化粧紙1bに対して、抄紙方向に対して斜め方向(図中矢印で示す方向)に大きな破壊エネルギーが加わる。従って、前記紙袋2が図6に示した向きで落下した場合には、不均一で、一部に集中的に破壊エネルギーが加わるために、前記化粧紙1bに対して破断が発生し易くなると考えられる。そこで、本願発明者は、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量に着目し、鋭意検討の結果、抄紙方向に対して45度方向の引っ張りエネルギー吸収量が400J/m以上である補強紙および化粧紙が、意図した課題を解決しうることを見出した。
【0023】
前記補強紙1a又は化粧紙1bの原紙12にあっては、その素材について特に限定されないが、地球環境問題を背景とした廃棄物処理や環境負荷の問題から、天然パルプ100%の組成からなる紙であることが好ましい。
【0024】
前記補強紙1a又は化粧紙1bは、坪量が80g/m〜150g/mの範囲であることが好ましい。坪量が80g/m未満であると強度が不足するおそれがあり、坪量が150g/mを超えると加工性やコスト的に難がある。
【0025】
前記補強紙1a又は前記化粧紙1bとして使用される伸張紙は、JIS P 8113に規定の引張り破断伸びが縦方向で20%以上、横方向で8%以上であることが好ましい。
【0026】
このような伸張紙としては、適度に叩解された天然パルプ、或いはこれに一種以上の合成繊維を混合した原料で抄紙された紙匹を、例えば、特表平11−509276号公報に記載されているような収縮付与装置によって収縮処理して製造された伸張紙が、縦方向、横方向にいずれにも高い引張り破断伸びを有し、結果的に引張エネルギー吸収量が高いことから、これを好適に用いることができる。
【0027】
また、伸張紙として、特開2004−3071号公報に記載されている方法によって得られる伸張紙が、高い引張エネルギー吸収量を有することから、これを好適に用いることができる。ここで、この伸張紙について具体的に説明する。この伸張紙は、適度に叩解された天然パルプ、或いはこれに一種以上の合成繊維を混合した原料で抄紙された紙匹の水分を20〜50%に調整した湿紙を、ロール周面の周方向に沿った溝をロールの幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロール(図示省略)とロール周面が平担な軟質ロール(図示省略)とからなる一対のプレスロール(図示省略)を備え、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して前記軟質ロールの周速度が遅くして回転するようにした収縮付与装置(図示省略)に通紙して紙匹を収縮させ、処理後に乾燥させることによって得られる。前記収縮付与装置において、前記硬質ロールの前記周方向に沿った溝は、ロール幅方向に0.4mm〜3.0mmの間隔(ピッチ)で、幅0.3mm〜1.5mm、深さ0.1〜2.0mmであることが好ましい。また、前記硬質ロールと前記軟質ロールとの線圧は、100〜1000N/cmの範囲が好ましく、さらに前記軟質ロールの周速度が前記硬質ロールの周速度に対して50〜95%の範囲であることが好ましい。
【0028】
前記天然パルプとしては、針葉樹や広葉樹を用いた木材パルプ、ケナフやバガスなどの非木材パルプ、古紙パルプなど通常の製紙原料であれば特に制限するものではないが、汎用性等の点から木材パルプの使用が好適である。
【0029】
前記天然パルプに混合される合成繊維としては、例えば、ポリビニルアルコール(例えば、ビニロン)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリエチレン、ポリエステルなどが挙げられるが、その混合率は、抄紙性、経済性などを考慮すると、5重量%以上30重量%未満が好適であり、その種類は、基材として要求される特性を満足させるように適宜選択される。
【0030】
前記補強紙1a又は前記化粧紙1bは、使用されるパルプのカナダ標準濾水度(CSF)を300〜450mlの範囲にすることが望ましい。CSFが450mlより高い場合には十分な引張強度を持つ伸張紙が得られず、CSFが300mlより低い場合には透気度が大きくなりすぎるため、紙袋に加工した際に通気性が悪くなり、充填適性が著しく低下する。
【0031】
前記補強紙1a又は前記化粧紙1bにおいては、引張強度は縦方向で4kN/m以上であることが望ましい。また、このような引張強度を得るために、前記補強紙1a又は前記化粧紙1bで使用する伸張紙では、ポリアクリルアミド、澱粉、変性澱粉、植物ガム、カルボキシメチルセルロース等の紙力向上剤を用いることができる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
各実施例、比較例とも、広葉樹クラフトパルプと針葉樹クラフトパルプを5:5に配合したカナダ標準濾水度(CSF)400mlのパルプに、ロジン系サイズ剤(対パルプ0.5%)、湿潤紙力増強剤(ポリアミドアミン・エピクロルヒドリン、対パルプ0.1%)、紙力剤(ポリアクリルアミド、対パルプ0.5%)を配合して、長網抄紙機で湿紙を製造し、これを原紙として使用して収縮溝付与装置で収縮溝を施して補強紙を得た。収縮溝付与装置は、実施例及び比較例に示す溝付き金属ロール(硬質ロール)と平滑なゴムロール(軟質ロール)とからなる一対のプレスロールを備えて構成されており、金属ロールに較べて、ゴムロールの周速を15%程度遅くした前記収縮溝付与装置に前記原紙をニップした後、多筒式シリンダードライヤーにて乾燥することで補強紙を得た。補強紙及びこの補強紙を使用して後述するようにして得られた紙袋について、以下に示す測定及び評価を行った。
【0033】
<補強紙の引張エネルギ−吸収量の測定方法>
JIS P 8113に規定された方法で測定した。
【0034】
<補強紙を使用した紙袋の開口性の測定方法>
図7は実施例及び比較例において使用した紙袋2の一部を示す平面図、図8は図7のA−A線端面図である。紙袋2は、下端部6を2回折りした折込部7を有する、JIS Z 1531のひだ付き・補強紙付き片二重折りばり袋(A−5′)である。この紙袋2は、実施例および比較例で得られた補強紙を使用して、次のようにして得た。すなわち、まずポリプロピレン製の幅4mmのカットテープ14が貼付されるとともに、このカットテープ14の両側から5mm離れた位置4箇所に5mmの切れ目15が入った補強紙1aに、酢酸ビニル系の接着剤(コニシ株式会社製商品名「CNS350」)を塗布速度50m/分にて、絶乾で塗布量2g/mとなるように塗布し、この補強紙1aを、底部8に断面視略U字ないし略J字形に貼付した後、ロールにて8kg/cmの線圧で圧着を行う。その後、5日間23℃、50RH%で放置乾燥することにより前記補強紙1aと前記紙袋2の底部8を接着した。
【0035】
前記カットテープ14に沿って、このカットテープ14が中心になるように60mm幅にカットし、前記カットテープ14と前記紙袋2の先端部を、引張強度試験機(テンシロンメーター)の上下チャックに固定し、上方向に100mm/分の速度で引っ張ったときの重さを測定値とした(kgf/15mm)。測定値をN/mに換算した値を補強紙1aの接着強度とした。
【0036】
<落下試験方法>
坪量84g/mのクラフト紙を3層として、長さ838mm、幅420mmのJIS Z 1531のひだ付き・補強紙付き片二重折りばり袋(A−5′)に加工し、その下端部に実施例及び比較例の補強紙を貼付して、底部8に補強紙1aを有する紙袋2(図7、図8参照)を得た。この紙袋2に砂糖30kgを充填し、JIS Z 0217に規定された落下試験を行った。落下高さ1.2mより側面落下を3回まで繰り返し行い、袋が破袋したときの落下回数を試験結果とした。
【0037】
<加工性>
加工性の評価は、補強紙が貼付された紙袋を連続的に製造する場合の加工性、すなわち補強紙の折り曲げ易さや紙腰等の実用上の評価を指す。補強紙の剛度が大きすぎると折っても元に戻り、糊付けしても安定せず、また紙腰が弱すぎても糊付け後製造が安定せず、その場合補強紙として加工しづらい問題が生じる。そこで、実施例及び比較例にて、ニューロング製のイージーボトマーにより紙袋を製造し、実施例及び比較例の補強紙を貼付する際の製造上の評価レベルについて、全く問題ないものを「◎」、製造できるものを「○」、時々不良となるものを「△」、かなり不良となるものを「×」とした。
【0038】
[実施例1]
図9は補強紙の製造に使用する収縮溝付与装置の溝付き金属ロールの一部拡大断面図である。この溝付き金属ロール16は溝部17のロール幅方向の間隔Oが0.75mm、開口部からの溝部17の深さPが0.4mm、山部18の平坦部長さQが0.1mmになっており、かかる金属ロール16と平滑なゴムロール(図示省略)で原紙12に収縮溝13(それぞれ図4参照)を施し、スチールカレンダーで平滑化処理して、坪量が120g/m、厚さが191μm、JIS P 8113に規定された引張破断伸びが縦方向で16.7%、横方向で8.7%、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が471J/mの補強紙1aを得た。
上記の補強紙1aを90mm幅の4000mに小巻加工し、ニューロング製のイージーボトマーを使用して紙袋2を製造した。
【0039】
得られた補強紙1aおよび紙袋2についての開口性、破袋強度及び加工性についての測定結果及び評価を表1に示す。表1より明らかなように、得られた補強紙1及び紙袋2は、開口性及び破袋強度が良好であり、加工性も全く問題なく、総合的にみて良好なものであった。
【0040】
[実施例2]
実施例1と同一の溝付き金属ロール16(図9参照)と平滑なゴムロール(図示省略)で原紙12に収縮溝13を施し、スチールカレンダーで平滑化処理して、坪量が140g/m、厚さが264μm、JIS P 8113に規定された引張破断伸びが縦方向で16.7%、横方向で9.1%、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が523J/mの補強紙1aを得た。
上記の補強紙1aを90mm幅の4000mに小巻加工し、ニューロング製のイージーボトマーを使用して紙袋2を製造した。
【0041】
得られた補強紙1aおよび紙袋2についての開口性、破袋強度及び加工性についての測定結果及び評価を表1に示す。表1より明らかなように、得られた補強紙1a及び紙袋2は、開口性、破袋強度が良好であり、加工性についても製造できるものとなっており、総合的にみて良好なものであった。
【0042】
[実施例3]
実施例1と同一の溝付き金属ロール16(図9参照)と平滑なゴムロール(図示省略)で原紙12に収縮溝13を施し、スチールカレンダーで平滑化処理して、坪量が100g/m、厚さが168μm、JIS P 8113に規定された引張破断伸びが縦方向で16.8%、横方向で9.3%、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が422J/mの補強紙1aを得た。
上記の補強紙1aを90mm幅の4000mに小巻加工し、ニューロング製のイージーボトマーを使用して紙袋2を製造した。
【0043】
得られた補強紙1aおよび紙袋2についての開口性、破袋強度及び加工性についての測定結果及び評価を表1に示す。表1より明らかなように、得られた補強紙1a及び紙袋2は、開口性、破袋強度が良好であり、加工性についても製造できるものとなっており、総合的にみて良好なものであった。
【0044】
[実施例4]
実施例1と同一の溝付き金属ロール16(図9参照)と平滑なゴムロール(図示省略)で原紙12に収縮溝13を施し、スチールカレンダーで平滑化処理して、坪量が199g/m、厚さが380μm、JIS P 8113に規定された引張破断伸びが縦方向で17.0%、横方向で9.0%、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が743J/mの補強紙1aを得た。
上記の補強紙1aを90mm幅の4000mに小巻加工し、ニューロング製のイージーボトマーを使用して紙袋2を製造した。
【0045】
得られた補強紙1aおよび紙袋2についての開口性、破袋強度及び加工性についての測定結果及び評価を表1に示す。表1より明らかなように、得られた補強紙1a及び紙袋2は、破袋強度が良好であったが、開口性が不良で、加工性についてはかなり不良なものとなり、総合的にみるとやや不良なものであったが、十分な破袋強度を得ることができた。
【0046】
[比較例1]
実施例1と同一の溝付き金属ロール16(図9参照)と平滑なゴムロール(図示省略)で原紙12に収縮溝13を施し、スチールカレンダーで平滑化処理して、坪量が75g/m、厚さが130μm、JIS P 8113に規定された引張破断伸びが縦方向で14.8%、横方向で9.4%、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が300J/mの補強紙を得た。
上記の補強紙を90mm幅の4000mに小巻加工し、ニューロング製のイージーボトマーを使用して紙袋を製造した。
【0047】
得られた補強紙および紙袋についての開口性、破袋強度及び加工性についての測定結果及び評価を表1に示す。表1より明らかなように、得られた補強紙は、開口性が良好であったが、破袋強度が劣っており、また加工性が時々不良となり、総合的にみて不良なものであった。
【0048】
[比較例2]
補強紙として、クルパック紙を使用した以外は、実施例1と同様にして、補強紙及び紙袋を製造した。補強紙は、坪量が83g/m、厚さが125μm、JIS P 8113に規定された引張破断伸びが縦方向で7.9%、横方向で6.1%、抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が194J/mであった。
【0049】
得られた補強紙および紙袋についての開口性、破袋強度及び加工性についての測定結果及び評価を表1に示す。表1より明らかなように、得られた補強紙は、開口性が良好であったが、破袋強度が劣り、また加工性が時々不良となり、総合的にみてやや不良ないし不良なものであった。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る補強紙を使用した紙袋の一例を示す底部端面図。
【図2】本発明に係る補強紙を使用した紙袋の他例を示す底部端面図。
【図3】本発明に係る化粧紙を使用した紙袋の一例を示す平面図。
【図4】本発明に係る補強紙又は化粧紙の実施の形態の一例を示す断面図。
【図5】本発明において抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量に着目した理由を説明するために用いる図。
【図6】本発明において抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量に着目した理由を説明するために用いる図。
【図7】実施例及び比較例において使用した紙袋の一部を示す平面図。
【図8】図7のA−A線端面図。
【図9】実施例及び比較例において補強紙の製造に使用する収縮溝付与装置の溝付き金属ロールの一部拡大断面図。
【符号の説明】
【0051】
1a 補強紙
1b 化粧紙
2 紙袋
2a 表面
2b 裏面
2c,2d 側面
3 下端部
4 折込部
5 底部
6 下端部
7 折込部
8 底部
9 上端部
10 下端部
11 底のりばり部
12 原紙
13 収縮溝
14 カットテープ
15 切れ目
16 溝付き金属ロール
17 溝部
18 山部
O ロール幅方向の溝部の間隔
P 開口部からの溝部の深さ
Q 山部の平坦部長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙方向に対して45度方向の引張エネルギー吸収量が400J/m以上であることを特徴とする補強紙又は化粧紙。
【請求項2】
坪量が80〜150g/mの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の補強紙又は化粧紙。
【請求項3】
ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて複数本設けた硬質ロールと、表面が平坦な軟質ロールとからなる一対のプレスロールを備え、前記硬質ロールと前記軟質ロールのうちの一方のロールの周速度に対して他方のロールの周速度を遅くして回転するように構成された収縮付与装置の前記一対のプレスロール間に紙シートを通すことにより、該紙シートを加圧すると共に収縮して得られる伸張紙よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の補強紙又は化粧紙。
【請求項4】
請求項1,2又は3のいずれかに記載の補強紙又は化粧紙を使用したことを特徴とする紙袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−154322(P2007−154322A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346992(P2005−346992)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(399021091)日本製袋株式会社 (7)
【Fターム(参考)】