製品を認証する方法および装置
複数の識別特徴から成るランダムパターンを含み、このランダムパターンの1つ以上の属性がアイテム識別子に対応するアナログ識別標識を製品の第1の部分に設けることによって製品を識別または認証する方法。アイテム識別子の符号化されたデジタルバージョンを含むデジタル識別レコードが製品の第2の部分に設けられ、第1および第2の部分は製品の使用時に分離可能である。アナログ識別標識の識別特徴のランダムパターンが読み取られて復号化されるとアイテム識別子が生成され、デジタル識別レコードが読み取られて復号化されるとアイテム識別子が生成される。識別特徴のランダムパターンを読み取るために専用の光源が必要な場合は、当該識別特徴の読み取りに使用できる1種類以上の光源を通知するフラグがアナログ識別標識またはデジタル識別レコードに存在する。識別特徴を読み取るために適切な光源が起動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ識別標識および対応するデジタル識別レコードを含むアナログ識別子およびデジタル識別子の組み合わせを用いて、製品を認証するシステムおよび方法に関し、より具体的には、アナログ識別標識および対応するデジタル識別レコードがアナログ識別標識を読み取るために使用できる1種類以上の刺激を示すハードウェア適合性フラグを含む、製品を認証するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア、音楽CD、および市販薬および処方薬を含む、偽造製品の米国市場への侵入に対する懸念が増大している。偽造製品は、正規製造業者の利益を悪化させるだけでなく、偽造製品と知らずに購入した消費者をだますものである。偽造医薬品に関わる健康上の問題故に、これは製薬業者および政府機関にとっての最重要課題である。製品の供給源を開示しないドラッグストアおよびインターネット薬局から、より安価な処方薬を容易に入手可能であることにより懸念は深まっている。
【0003】
政府の規制により、および/または不正改ざんを防止するために、多くの処方薬および市販薬は不正開封防止シールを使用した容器に包装される。薬物製品を購入した消費者は、容器を開けて製品にアクセスするには、不正開封防止シールを破るか破棄する必要がある。このような不正開封防止シールは不正開封を阻止するために効果的であるが、巧妙な偽造薬製造業者は不正開封防止シールを含む容器を製造する可能性がある。したがって、不正開封防止シールは、偽造医薬品の問題への対応としては十分ではない。
【0004】
偽造者にとっての主要ターゲットである小切手、CD、およびDVDなどの他の製品のために他の多くの偽造防止策が開発されている。これらの偽造防止策は、偽造製造者が偽造防止標識が記載されたラベルを容易に複製できないようにするものである。たとえば、Microsoft Corporationなどの会社は、そのソフトウェアのパッケージに真正品であることを通知するホログラムを使用している。マサチューセッツ州ケンブリッジのEscher Groupは、紙片をその天然の固有な繊維パターンによって識別できるFiberFingerprint(商標)技術を開発した。これによって、指紋によって人々を識別するのと同様な方法で紙片を識別できる。ニューヨーク州ショセット市のTracer Technologiesは、セキュリティ用の蛍光マイクロファイバ検出技術を開発した。UV光の照射下でのみ見えるマイクロファイバがプラスチック材料にランダムに埋め込まれる。ニューヨーク州ファーミングデールのAMCOは、プラスチックに埋め込むことができる可視および蛍光性のタグを開発した。偽造防止ラベルまたは製品に埋め込むことができる他の色素は、見る角度によって色が変化する特性を有する。このような色が変化する色素は、新たに印刷された米国紙幣にも使用されている。
【0005】
これらの偽造防止技術は、偽造防止ラベル構成要素の複写または走査手法による複製を困難にする。ただし、より巧妙な偽造者は、これらの偽造防止策を複製するために必要な投資を行っていることが知られている。たとえば、Microsoft Corporationによって使用されているようなホログラムラベルの偽造に成功したことが知られている。
【0006】
特許出願第’597号および第’682号明細書に開示されているような可視化のために専用の刺激を用いる偽造防止技術は、さらなるセキュリティ対策を提供するが、その専用の刺激を与えるために適切なハードウェアがスキャナに具備されていない場合は、ラベルの復号化に失敗し、不当に偽造と識別されうる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の標識読み取り装置をほとんど改造せずに通常使用時に一定レベルの認証を行えるように、認証情報が認証対応デジタル標識に封入される。ハードウェアを改造した標識読み取り装置を対象とした認証対応標識と共にアナログ認証特徴を含めてもよい。アナログ認証特徴を先に走査して生成されたアナログ認証署名を、認証対応標識に符号化することによって、このアナログ認証特徴を検証することができる。
【0008】
一実施態様においては、ラベルが付けられた物品の認証関連以外の情報、たとえば製造者、UPC番号、数量、および製造年月日などの内容に関する情報を提供するために、改造されていない標識読み取り装置によって認証対応標識を読み取ることができる。認証対応標識に符号化されているデジタル署名を用いて、記憶されている署名鍵にアクセスしてラベルの真正性を検証できるように、標識読み取り装置のソフトウェアを変更することができる。例示的な一実施態様においては、ハードウェアを改造した標識読み取り装置は、アナログ認証特徴を読み取り、対応するアナログ署名を求め、標識のアナログ認証署名を認証対応標識に記録されているアナログ認証署名と比較することもできる。
【0009】
したがって、認証対応標識は、第1および第2のデータフィールドを有するバーコードなどのデジタル記録媒体を含む。第1のデータフィールドには、標識が添付されている製品に関する情報が符号化される。第2のデータフィールドには、デジタル記録媒体の外部の情報にアクセスして検証される認証署名が少なくとも1つ符号化される。標識は、ランダムパターンを含むアナログ識別領域を含む。この領域は、デジタル記録媒体からは分離しているが、おそらくデジタル記録媒体に隣接している。第2のデータフィールドには、ランダムパターンの何らかの特質の要約であるアナログ認証署名が符号化される。これらの領域の一方または両方が不正開封防止シールの一部を形成すると都合がよい。
【0010】
ランダムパターンは、アナログ識別領域にランダムに分散された複数の識別可能な特徴(ファイバなど)によって構成することができる。これらのファイバは、非可視光の照射によって検出可能な、色が変化するファイバでもよい。この場合、第2のデータフィールドには、アナログ識別領域から計算されるアナログ認証署名が記録される。アナログ認証署名は、たとえば、その領域内の識別可能な特徴、たとえば特徴の位置、サイズ、および色など、を記述したデータの集合にすることができる。同じサイズおよび色の識別可能な特徴を約20〜30個含むように設計されたアナログ識別領域においては、レコードをこれらの特徴のx座標およびy座標、すなわち40〜60個の値の集合にすることもできる。アナログ識別特徴領域には、アナログ認証署名に対応するアナログ識別領域の区域を示すために、1つ以上の方向特徴を含む境界線標識がインプリントされる。
【0011】
認証対応標識のデジタル記録媒体に第3のフィールドを設け、記憶されている情報に照合して検証されるデジタル認証署名をこのフィールドに符号化してもよい。あるいは、アナログ認証署名の代わりにデジタル認証署名を使用してもよい。デジタル認証署名は、秘密鍵を用いて第1および/または第2のデータフィールドに符号化されている情報によって生成され、対応する公開鍵を用いて検証される。公開鍵の保存場所は、標識読み取り装置のメモリでもよいが、対応付けられているコンピュータ上のメモリでもよい。1つ以上の認証策を検証できなかった場合は、標識読み取り装置から警報を発しうると都合がよい。
【0012】
認証対応ラベルのデジタル識別レコードまたはアナログ識別標識のどちらかにハードウェア適合性フラグを符号化すると、アナログ識別標識を照射するために適合する刺激ハードウェアが確実に使用され、適合する刺激が使用中の読み取り装置にない場合は、その旨の通知をユーザに与え、ラベルのアナログ構成要素なしに復号化を継続しうる。
【0013】
製品の識別または認証を行うために、識別特徴のパターンで構成されたアナログ識別標識が設けられる。適合する刺激機構によって刺激されると、識別特徴の外見が変化する。これらの識別特徴は1つのアイテム識別子に対応し、このアイテム識別子は、適合する刺激機構によってこれらの識別特徴が刺激されたときに求めることができる。このアイテム識別子の符号化されたデジタルバージョンを含むデジタル識別レコードが用意される。製品には、少なくとも1つの刺激機構が設けられるほか、製品上の識別特徴を変化させてアイテム識別子を求められるようにする、適合する刺激機構を示すハードウェア適合性フラグも設けられる。ハードウェア適合性フラグが分析され、適合する刺激機構が設けられているか否かが判定される。適合する刺激機構が設けられている場合は、アナログ識別標識の識別特徴のパターンを読み取ってアイテム識別子を復号化するために、この適合する刺激機構が起動される。デジタル識別レコードが読み取られてアイテム識別子が復号化される。アナログ識別標識から求められたアイテム識別子とデジタル識別レコードから求められたアイテム識別子とを比較することによって、製品の真正性が判定される。適合する刺激機構が設けられていない場合は、適合する刺激機構が設けられていないことを、たとえばLEDの点灯または警告音の鳴動によって、ユーザに警告してもよい。
【0014】
場合によっては、適合する刺激機構は、特定範囲内の波長を有する紫外線である。他の場合は、適合する刺激は可視光である。ハードウェア適合性フラグは、デジタル識別レコードまたはアナログ識別標識のどちらかの一部にすることができる。ハードウェア適合性フラグがアナログ識別標識の一部である場合は、ハードウェア適合性フラグを、適合する刺激を示す少なくとも1つの属性を含むアナログ識別標識の周囲の境界を形成するファインダパターンの形態にしてもよい。適合する刺激機構によってこの境界の外観を変化させてもよい。
【0015】
本発明の上記および他の目的、利点、および例示的実施形態の特徴を添付図面と共に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1および図2には、本発明による識別または認証システムの好適な一実施形態の全体が参照符号10で示されている。システム10は、製品12の分離可能な個々の部分に取り付けられる2つの構成要素から成る認証識別子30を用いて製品12を簡単に認証する方法を提供する。本システムは、認証識別子30の両構成要素の読み取りおよび復号化に適した読み取り装置100をさらに含む。
【0017】
製品12は、処方薬剤を錠剤、カプセル、または液体などの形態で保持する容器14を含む。製品容器14は、不正開封防止シール16と製品ラベル18とを含む。図1および図1Aに示すように、シール16は、容器14の蓋すなわち頭部22と蓋22の下方にある容器肩部24とに緊密に覆い被さるプラスチック製ラップ20でもよい。一般に、シールラップ20は、消費者がラップ20を容器14から除去しやすいように縦の弱め線26を1つ以上含む。
【0018】
製品12は、2つの構成要素を有する認証識別子30を含む。この2つの構成要素とは、アナログ識別標識32と、デジタル識別子レコード34などのデジタル標識すなわちデジタル識別子である。アナログ識別標識32およびデジタル識別レコード34(図1A)は、製品12の分離可能な各部分に貼付または添付される。アナログ識別標識32は、関心領域42内の識別特徴40のランダムパターン41として具現化される。デジタル識別レコード34は、2Dバーコード50の一部分のデジタルパターンとして具現化される。アナログ識別標識32を復号化すると、アイテム識別子36が生成される。同様に、デジタル識別レコード34を復号化すると、アイテム識別子38が生成される。2Dバーコード50の一部として図示されている「(HCF)」35は、以下に詳細に説明するオプションのデジタル識別レコードのハードウェア適合性フラグである。
【0019】
アイテム識別子36、38を含む両パターンの比較によって両パターンの一致、すなわち両パターン間の類似度が所定の許容誤差内であること、が示されると、製品12は真正品と見なされる。製品12の製造時に、アナログ識別標識32から生成されるアイテム識別子36を用いてデジタル識別レコード34が符号化される。したがって、両アイテム識別子36、38は全く同じになるはずである。ただし、その後の現場での製品12の認証時には、撮像品質を損ないうる多くの可変要素があるため、アナログ識別標識32の読み取りおよび復号化のエラーが発生しやすい。その理由は、復号化されたアイテム識別子36は、パターン41に対する読み取り装置100の角度および距離、照明レベル、製品12の関心領域42上の汚染物質または損傷などによって多少影響されうるからである。他方、2Dバーコード50には誤差補正技術が通常組み込まれているため、読み取り装置100は通常、バーコード50を正確に復号化できる。したがって、製品12が真正品であっても、アイテム識別子36、38が正確に一致しないこともある。そこで、アイテム識別子36、38によって表される幾何パターンが比較され、これらのパターンが所定の許容限度内である場合は、製品12は真正品と見なされる。
【0020】
より具体的には、アナログ識別標識32が復号化されると、アイテム識別子または署名36と称される一連の数値に対応するか、またはこの一連の数値が生成される。アイテム識別子36の数値は、たとえば、関心領域42内の識別特徴40の全部または一部の直交(xおよびy)座標、および/または撮像された特徴40の全部または一部の反射光または出射光の輝度値、および/または撮像された特徴40の全部または一部の色値、および/またはランダムパターン41の他の属性に対応しうる。アナログ識別標識32のアイテム識別子36に対応する一連の数字は、製品12のデジタル識別レコード34に符号化される。
【0021】
認証識別子30の2つの構成要素は、製品12の分離可能な個々の部分にそれぞれ配置されると都合がよい。たとえば、アナログ識別標識32を製品ラベル18に組み込み、デジタル識別レコード34を不正開封防止シールラップ20に組み込んでもよい。これによって、購入者が使用するために製品12を開くと、認証識別子30の構成要素32、34が分離されて構成要素間の接続が解かれるため、再利用が防止される。
【0022】
さらに、製品容器14を最初に開いたときに、シールラップ20に組み込まれたデジタル識別レコード34が破壊されるので、容器14への偽造錠剤、カプセル、または液体の詰め替えなどによる製品12の再販が防止される。
【0023】
識別および認証システム10は、読み取り装置100をさらに含む。読み取り装置100は、アナログ識別標識32およびデジタル識別標識34の両方の読み取りおよび復号化が可能な撮像式バーコード読み取り装置またはスキャナなどである。通常、撮像式バーコード読み取り装置またはスキャナは、複数の感光要素すなわち画素を有するCMOSアレイまたはCCDアレイなどの撮像アレイを使用する撮像システム102を含む。
【0024】
製品ラベルまたは製品包装に刻印された対象バーコードなどの対象画像から撮像システム102の視野内に反射または出射された光は、撮像システムのレンズ104を通して画素アレイ106に集束される。画素アレイの各画素からの出力信号は、アナログ・デジタル変換器108によってデジタル化される。装置100の復号化回路110は、これらのデジタル化された信号を処理し、撮像された対象、たとえば撮像された対象バーコード、を復号化しようとする。アナログおよびデジタル識別識別子32、34の形状および相対サイズは任意であるが、同じ読み取り装置100の光学系によって、拡大または倍率変更せずに撮像できる相対サイズを選択すると都合がよい。
【0025】
製品の真正性を判定する1つの方法では、読み取り装置100を用いてアナログ識別標識32およびデジタル識別レコード34の読み取りおよび復号化を行う。2つの識別識別子32、34から生成されたアイテム識別子36、38が同じであるか、またはほぼ同じであると、製品12は真正品と判定され、真正な製品であることを示す可聴および/または可視フィードバックとして、一対の緑色LED112、114の点灯および/またはスピーカ113からの可聴「ビープ音」などが読み取り装置100の操作者に与えられる。上記のように、現場での撮像に固有の変動性および製品12の損傷(たとえば製品ラベル18および/またはシール20の引っかき傷)または汚染物質のために、アイテム識別子36、38を表す数字パターンが正確に一致しないこともありうる。たとえば、アナログ識別標識32を含むランダムパターン41の撮像時に1つ以上の識別特徴40が「見失われる」と、すなわち正しく撮像および復号化されないと、アイテム識別子36を表す数字パターンは2Dバーコード50から復号化されたアイテム識別子38を表す数字パターンとは必然的に異なる。
【0026】
製品の性質および所望のセキュリティレベルに応じて、アイテム識別子36、38を含む比較パターンが実質的に一致すれば、すなわち100%未満であっても所定レベルで一致すれば、製品12を真正品と判定するに十分と見なされる。
【0027】
この認証方法は、遠隔データベースとの通信を必要とせずに現場で実施できる「スタンドアロン」な認証方法であるという利点がある。ただし必要であれば、製品12の製造者から消費者までの流通システム全体にわたって製品12を追跡できるように、認証プロセスからの情報を中央データベースに伝達してもよい。中央データベースに送られる製品12に関する情報は、製品追番(2Dバーコード50のペイロード52に符号化)、認証の実施時刻および場所、読み取り装置100の識別番号、読み取り装置100の使用が認められたユーザ/会社の識別番号をさらに含んでもよい。
【0028】
(アナログ識別標識32)
ラベル18には、ランダム識別パターン41を含むアナログ識別標識32が埋め込まれる。パターン41は、相隔てられた複数の識別特徴40をラベル18の関心領域または部位42内に含む。関心領域42の読み取りを容易にするには、関心領域42(図1A)を画定する、通常の周辺光で見える境界または輪郭44の形態をとる識別マークによって関心領域42をマーキングしてもよい。特徴40のx座標およびy座標を計算するための座標軸として境界または輪郭44の直角部分を使用できると都合がよい。このx座標値およびy座標値はアイテム識別子36の一部を構成する。
【0029】
識別特徴40は、ラベル18を製造するための材料に埋め込まれることが好ましい。特徴40は、ランダムパターンに分散された1種類以上の色付き微粒子などでもよい。色付き微粒子の一部または全部を色が変化する微粒子にし、所与の波長の照明の下で予測可能な方法で微粒子が反応するようにしてもよい。たとえば、UV光または赤外光の存在下では見えるが、可視光の照射時はほとんど見えないように、特徴40の色が変化するようにしてもよい。色が変化する特性として使用可能な候補の1つは蛍光発光である。これは、通常、不可視光の照射による可視光の励起を指す。
【0030】
色が変化する特徴の使用により、写真複写機またはスキャナによるラベル18の複製が防止される。色付きの特徴40の使用により、複数ロット分のラベル材料を特定のフィルムまたは紙様材料の通常の製造工程で製造でき、これらの特徴が以降の工程でランダムに混合され、以降の工程を通して完全な状態のままで残ると都合がよい。色が変化する材料を使用する1つの利点は、製造後の傷および汚染(泥またはほこりなど)による影響が減ることである。この理由は、これらの傷および汚染はそれ自体の色が通常変化しないからである。このような傷は、UV光または赤外光で撮影された画像を可視光で撮影された画像と比較することによって検出できる。
【0031】
アナログ識別特徴40は輪郭44によって囲まれるので、色付き微粒子がラベル28全体に配置されていても、囲まれた関心領域または区域42のみが読み取り装置100によって処理され、アナログ識別標識32が読み取られる。あるいは、特徴40がランダムであるため、ラベルごとに異なり、各アナログ識別標識32によって固有の製品識別子36が生成される場合は、従来の印刷工程によって識別パターン41をラベル材料に印刷してもよい。
【0032】
デジタル識別レコード34の生成に使用された方向に読み取り方向を一致させ、アナログ識別標識32の読み取りおよび復号化を成功させるために、読み取り装置100に対してアナログ識別特徴40の解析方法を指示する方向特徴46をアナログ識別標識32に含めることが好ましい。あるいは、アナログ識別標識32は、正しく読み取って復号化するための方向特徴を必要としない種類のものにしてもよい。このようなアナログ識別標識の一例として、容器の不正開封防止シールまたは蓋に微粒子を埋め込んだランダムな識別特徴パターンを含むアナログ識別標識が2004年10月27日に提出された「識別パターンおよびバーコード読み取り装置を使用した製品の識別および認証のための方法(Method of Identifying and Authenticating Products Using an Identification Pattern and Bar Code Reader)」と題する米国特許出願第10/974,644号明細書に開示されている。’644出願は、本発明の譲受人に譲渡されており、その全内容を参照により本願明細書に援用するものとする。
【0033】
ランダムに生成され、従来の方法での複製が困難なパターンであれば、他の何れのパターンもアナログ識別標識32として使用しうる。同様の標識に再生される可能性がほとんどない固有の識別子または署名が特徴40から各標識に対して生成されるように特徴40のランダムパターンを生成できる。このランダム性によって、厳密に重複するアナログ識別特徴の検出の可能性が高まる。このランダム性は、特徴の位置、サイズ、または色などのさまざまな要素から導出でき、ファイバのように長い特徴の場合は、ファイバの方向もランダム性を導出するために使用できる。
【0034】
標識読み取り装置100はアナログ識別標識32を読み取り、数学アルゴリズムおよび/または決定規則を用いて、アイテム識別子36、すなわちアナログ識別特徴の何らかの特質の数値表現、を求める。たとえば、識別子36は、所定数の特徴40または全特徴40のxy座標など、アナログ識別特徴内の識別可能な特徴を記述するデータの集合でもよい。
【0035】
(デジタル識別レコード34)
製品ラベル18の製造において、関心領域42内のランダム識別パターン41の形態をとる固有のアナログ識別標識32が上記のように生成される。アナログ識別標識32が読み取り装置100によって復号化されると、固有のアイテム識別子36が生成される、すなわち固有のアイテム識別子36に変換される。製造工程中、アイテム識別子36は次に符号化されてデジタル識別レコード34が生成され、以降の認証のために製品12に添付または刻印される。デジタル識別レコード34は、DataMatrixバーコードなどの2Dバーコード50の一部に符号化されることが好ましい。
【0036】
アイテム識別子36をさらに読み取り装置100のメモリ124に保存してもよい。読み取り装置のメモリ124は、真正アイテム識別子群のファイルを含んでもよい。最近読み取った署名、またはその表現、たとえばハッシュなど、のレコードを保存しておくと、現在処理中の署名と比較し、同一製品ロット内のラベル間でランダムパターンの重複を検出するために都合がよい。
【0037】
図2は、2Dバーコード50の模式的表現である。バーコード50はデジタルである。すなわち、暗色の領域すなわちセルの有無によって「0」または「1」を表す。バーコード50は、ペイロード52と、符号化されたアイテム識別子38を含むデジタル識別レコード34と、デジタル署名54の3つの符号化フィールドすなわち部分を含む。バーコード50に符号化されるデータは通常は暗号化されないが、担持されている情報の読み取りの完全性を守るには誤差補正を使用すると都合がよい。各識別子は、通常、所与の工業規格に応じて、個々のフィールドまたはフィールド群を識別する。
【0038】
ペイロード52には、製造者の識別情報および仕様情報が符号化され、一般には次の情報の一部または全部を含む。すなわち、UPC/EAN番号、製造者、部品番号、ロット番号、追番、および有効期限である。バーコード50のこの部分の読み取りおよび処理は、認証が不要と見なされる状況においては、標準のバーコードスキャナまたは読み取り装置によって行うことができる。
【0039】
デジタル識別レコード34には、ペイロード情報に使用されるものと同様の識別子が付けられる。バーコード50内のデジタル署名54の符号化には、電子商取引および大半のウェブブラウザで広く利用可能な技術が利用される。米国の国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology(www.nist.gov))が標準バージョンを維持しており、これは無料で入手可能である。図2に示すように、デジタル署名は、署名が添付されたメッセージの一方向のハッシュである。この場合のメッセージは、前の2つのサブセクション(ペイロード52およびデジタル識別レコード34)からの情報である。フィールド識別子自体をメッセージの一部として含めることもできる。デジタル署名54の存在によって、署名の作成に使用された情報の真正性が保証される。署名者は、一方向ハッシュを生成するための固有の番号を所有する。この番号は、通常、秘密鍵またはプライベートキーと呼ばれる。デジタル署名54がこのメッセージに一致することを検証するには、公開された関連番号、すなわち公開鍵が使用される。
【0040】
(標識読み取り装置100)
図1に示す標識読み取り装置は、手持ち型の撮像式スキャナまたは読み取り装置である。ただし、本発明は、定置型の読み取り装置およびレーザスキャナにも適用できる。読み取り装置100は、その撮像システム102およびバーコード復号化回路110を利用することによって、ラベル18にインプリントされた2Dバーコード50を撮像および復号化して特定情報の入手および在庫管理のために使用することも、アナログ識別標識32を撮像および復号化し、標識32から導出されたアイテム識別子36を2Dバーコード50のデジタル識別レコード34に埋め込まれたアイテム識別子38と比較することによって製品12を認証するために使用することも可能である。読み取り装置100は、2Dバーコード50を撮像し、デジタル識別レコード34を復号化することによってアイテム識別子38を得る。
【0041】
アナログ識別パターン41の復号化のために、読み取り装置100は、ソフトウェアまたはハードウェアで具現化されたパターン復号化回路116をさらに含む。したがって、ラベル18の関心領域42が読み取り装置100によって撮像されると、パターン復号化回路116は、取り込まれた画像を分析し、輪郭44の形状によってアナログ識別標識32の位置を特定して識別し、関心領域42とその中の識別特徴すなわち微粒子40とを識別し、識別パターン41を確認し、製品12のアイテム識別子36を求める。アイテム識別子36、38間の比較は、読み取り装置100の比較回路118によって行われ、識別子36、38間の類似度が製品12を真正品と判断するに十分であるか否かが判定される。
【0042】
読み取り装置100は、UV照明下で色が変化する微粒子40を含む識別パターン41および2Dバーコード50の両方を撮像および復号化できることが望ましい。したがって、読み取り装置は可視照明および紫外(UV)範囲の照明の両方を提供する必要がある。撮像アセンブリ102の視野に対応する照準パターンを形成するために、光電気構成要素が追加されるとさらに望ましい。可視照明は可視光LED120のアレイの形態で設けられることが好ましく、UV照明はUVLEDのアレイおよび/または1つ以上のUVレーザ122の形態で設けられることが好ましい。UVLEDの代わりに、またはUVLEDに追加して、UVレーザ122を設けると、蛍光性微粒子40に向けられる励起UV光の輝度が増す。この結果、出射される蛍光発光の輝度が増すため、復号化可能な画像がさらに生成されやすくなる。
【0043】
色が変化するファイバがアナログ識別特徴に含まれている場合は、これらの色が変化するファイバを検出するために、図3に図示されているような専用の撮像システム102が必要になる。撮像システム102は、レンズ104およびセンサ106(CCDまたはCMOS 2−Dアレイセンサなど)と、レンズ104の反射光通路においてレンズの前方または後方に配置される狭帯域阻止フィルタ126と、1つ以上の可視光LED120と、1つ以上のUV LEDおよび/またはUVレーザ122と、マイクロプロセスッサ128と、公開鍵のデータベースを含みうるオンボードメモリ124と、インタフェースおよびサポート回路129とを含む。インタフェースおよびサポート回路129は、ホストコンピュータまたはネットワークへの有線および/または無線通信手段を有してもよい。インタフェースおよびサポート回路129は、オンボード電池(図示せず)、および/または外部電源(図示せず)用の接続をさらに含んでもよい。
【0044】
狭帯域阻止フィルタ126は、識別特徴40によって出射される蛍光光の帯域に一致するように選択された通過帯域を有する。また、この帯域は、可視光LED120の帯域にも一致する。これが可能になる理由は、それぞれ異なる波長で蛍光を発するさまざまな蛍光材料が存在するからである。同様に、それぞれ異なる波長で光を発するさまざまなLEDが存在する。適切な蛍光材料および共通の波長を有する種類のLEDを選択することによって、LED120の光および特徴40の蛍光光の両方を通過させる通過帯域を有するフィルタ126を構築できる。狭帯域フィルタを設けると、周辺光の大部分を遮断できるという利点がある。出射される蛍光光は弱いことが多いため、周辺光を遮断しないと、周辺光が蛍光光を容易に打ち負かすこともある。あるいは、読み取り装置100を接触モードで使用するように構築することもできる。すなわち、撮像システム102の前方に向いた外部ベゼルを製品12に接触させて識別パターン41または2Dバーコード50を読み取る。この接触モードでは、読み取り装置本体が周辺光を遮断するために機能する。
【0045】
認証対応のアナログおよびデジタル識別子32、34を処理するために、装置100は、図4に概説されている方法400に従う復号化および比較ソフトウェア110、116、118を含む。装置100は、いくつかの方法のうちの1つで動作できるので、読み取り装置100の機能および接続性レベルに応じて機能レベルを変えることができる。接続性レベルをバッチにすると、装置100はPCへの接続なしに動作し、認証タスクのみを実行し、合否の可聴/可視フィードバックを提供するか、あるいはバーコードの復号化結果を後でダウンロードできるようにそのオンボードメモリ124に保存する。あるいは、装置100をコンピュータまたは広域ネットワークに接続してもよい。この場合は、たとえばリンクされているコンピュータ上での処理のために復号化結果を直ちに転送し、トラッキングおよび追跡のために使用できる。すなわち、製品12をその流通システム全体にわたってトラッキングおよび追跡することができる。
【0046】
(認証方法)
次に図4を参照すると、認証方法が全体として参照符号400で示されている。ステップ405において、読み取り装置100が起動されると、可視光照射源120を用いて製品12の画像が取得される。ステップ410において、取得された画像が分析され、取り込まれた画像に認証対応の2Dバーコード50が存在するか否かが判定される。認証対応バーコードは、デジタル識別レコード34を含むフィールドと、デジタル署名54を含むフィールドとを含む。認証対応の2Dバーコード50が存在しない場合は、画像はステップ415で分析され、輪郭44によって示されたアナログ識別標識32の有無が調べられる。
【0047】
認証対応バーコード50およびアナログ識別標識32がどちらも検出されないが、標準バーコードが画像に含まれている場合は、画像はステップ420において標準的な方法で復号化される。本ソフトウェアのこの分岐によって、装置100は通常の非認証対応バーコードを処理できる。
【0048】
アナログ識別標識32がステップ415で画像内に見つかった場合は、ステップ480においてアナログ識別標識32が再取得される。ステップ480に示されているような再取得ステップが必要になるのは、アナログ識別標識32の識別特徴40の撮像にUVなどの専用光が必要な場合である。輪郭44内のアナログ識別パターン41はステップ485で処理され、製品識別子36が復号化される。識別パターンの特徴40からアイテム識別子36への変換は、特徴41の1つ以上の属性または品質、たとえば特徴の位置、特徴のサイズ、特徴の色などに基づく。撮像された識別パターン41は、所定の変換規則に従ってアイテム識別子36に復号化すなわち変換される。
【0049】
アナログ識別標識32の復号化が部分的に成功すると、ステップ490において通知される。この通知がたとえば2つの認証緑色LED112、114の両方ではなく一方のみの点灯、および/またはスピーカ113からの所定の部分復号化可聴信号の鳴動によって行われる一方で、アイテム識別子36が装置のメモリ124に記憶される。ステップ490での部分的成功の通知によってアナログ識別標識32からのアイテム識別子36の取得成功を告げた後、読み取り装置100は、ユーザによって起動されると、別の画像をステップ495で取得する。
【0050】
ステップ500において、装置100は取り込まれた画像内に2Dバーコード50を見つけようとする。期待に反して見つからなかった場合、装置100は、ステップ510において、赤色LED115への通電および/またはスピーカ113からの所定の失敗可聴信号の鳴動などによって失敗モードを通知し、ステップ515でセッションを終了する。装置100が取り込まれた画像内に2Dバーコード50を見つけると、アイテム識別子38を求めるために、ステップ505において装置の復号化ソフトウェア110がデジタル識別レコード34とデジタル署名54とを復号化する。デジタル識別レコード34の真正性を検証するために、デジタル署名54が復号化される。次に、比較ソフトウェア118が2つのアイテム識別子36、38を比較し、製品12の真正性が検証される。
【0051】
ステップ505での比較に合格すると、すなわち、アイテム識別子36、38がほぼ同一であると、製品12は真正品と見なされ、ステップ475において、両LED112、114の点灯および/またはスピーカ113からの所定の合格可聴信号の鳴動によって合格が操作者に通知され、ステップ515でプロセスが終了する。他方、ステップ505での比較で不合格になると、すなわち、アイテム識別子36、38が実質的に同じでない場合は、不合格がステップ510で赤色LED115の点灯および/またはスピーカ113からの所定の部分的復号化可聴信号の鳴動によって通知され、ステップ515でプロセスが終了する。
【0052】
ステップ410において取り込まれた画像内に認証対応の2Dバーコード50が見つかると、次にステップ412において、アイテム識別子38を生成するために装置の復号化ソフトウェア110がデジタル識別レコード34を復号化する。デジタル署名54も復号化され、デジタル識別レコード34を認証するために使用される。デジタル識別レコード34の復号化と検証とをどちらも行えなかった場合は、ステップ510において不合格が(赤色LED115および/または可聴音によって)通知され、ステップ515でプロセスが終了する。
【0053】
デジタル識別レコード34が検証および復号化されてアイテム識別子38が生成されると、次にステップ418において、ソフトウェアが画像内でアナログ識別標識32の輪郭44を探す。アナログ識別標識32の識別マークが見つからない場合は、ステップ430において部分的成功が(2つの緑色LED112、114の一方の点灯および/または可聴音の鳴動によって)通知され、アイテム識別子38の取得成功が告げられる。ユーザによって装置100が起動されると、ステップ435において別の画像が取得される。ステップ440において、この新しい画像内でアナログ識別標識32の輪郭44が探される。このステップが失敗すると、ステップ510において失敗が通知され(赤色LED115の点灯)、ステップ515でセッションが終了する。
【0054】
ステップ440でアナログ識別輪郭44が見つかると、制御がステップ450に移る。ステップ418でアナログ識別輪郭44が見つかった場合も、制御はステップ450に移る。ステップ450では、アナログ識別標識32を含む画像がUV光源122を用いて取得される。ステップ455において、アナログ識別パターン41が復号化され、アイテム識別子36が計算される。ステップ460において、製品12の真正性を検証するために、この2つのアイテム識別子36、38が比較ソフトウェア118によって比較される。
【0055】
2つのアイテム識別子36、38の比較に基づくこの検証で不合格になると、510において赤色LED115の点灯および/または不合格可聴音の鳴動によって不合格が通知され、ステップ515でセッションが終了する。ただし、この検証に合格すると、470において両緑色LED112、114の点灯および/または認証合格可聴音の鳴動によって合格が通知され、この場合もステップ515でセッションが終了する。
【0056】
当業者は、バーコード読み取り装置に関する業界標準の慣行に従って、図4を容易に変更できる。たとえば、ユーザによる各起動ステップからメモリ内の画像からコードが正しく取得されなかったと読み取り装置が判定する時点までに、1つ以上の画像を取得し、復号化を試みてから、不合格を宣言することもできる。他方、これらの画像のうちの1つの復号化に成功すると、セッション(または半セッション)が成功(または部分的成功)と宣言される。
【0057】
ステップ460および505においては、ユーザが選択可能な許容度または誤差によってアイテム識別子34、36が検証される。所定の許容または誤差レベルは、見つかった特徴の数およびそれぞれの固有値の両方の値を含んでもよい。たとえば、アイテム識別子34、36が識別パターン41内の25個の特徴のxy座標を表す場合は、パターン41の撮像時に25個の特徴のうち少なくとも23個が識別される必要があるように許容レベルを設定してもよい。これによって、特定の特徴を覆っている汚れなどの汚染物質または特定の特徴を消すひっかき傷が考慮されるであろう。さらに、識別された特徴に関して、座標値の誤差が+/−10%以内の場合にのみ一致と見なされるように許容レベルを設定してもよい。たとえば、アイテム識別子38がxy座標値(205、489)を含み、アイテム識別子36が座標値(193、510)を含んでいた場合は、x値およびy値のそれぞれの誤差が+/−10%以内であるので、一致と見なされるであろう。
【0058】
505および412において、デジタル署名54と製造者の公開鍵とを用いてデジタル識別レコード34が検証される。この鍵は、製造者によって入手可能にされるはずである。この鍵は通常、信頼された認証局を通じて入手されるか、または検証可能である。この鍵は、読み取り装置のメモリ124(図3)に保存することも、無線または有線接続によってアクセスされる対応コンピュータ上に保存することもできる。大半の読み取り装置は、複数の公開鍵をキャッシュするに十分なオンボードメモリを備えている。
【0059】
デジタル署名は通常、製造者ごとに決まっており、吸収合併または機密保持違反などの特殊な状況によって撤去された場合には変更される。したがって、鍵のキャッシュは短期間であれば通常安全である。通常、鍵には発行または更新時から一年などの有効期限が指定されている。
【0060】
アナログ識別標識32を読み取らずに、デジタル署名の検証のみを行うこともできる。このアプローチは、アナログ識別特徴内の特殊な特徴を起動するためのハードウェアの改造を必要としない認証度の提供を可能とする。
【0061】
セキュリティ装置の代替実施形態は、2Dバーコード50に記録されている情報と同じ情報を記録するための他のデジタル媒体の使用を含む。たとえば、磁気装置または固体メモリ装置(メモリボタンまたは無線周波数IDタグ(RFID)など)を使用することもできる。
【0062】
(ハードウェア適合性フラグ)
上記の識別特徴40は、特徴を分析してデジタル符号化されたアイテム識別子38と照合するために特徴を可視化すなわち刺激するための専用ハードウェアとして、UV LED/レーザ122(図1)などを必要とすることが多い。識別特徴40は、適切な種類の光にさらされると、その外観が大きく変化しうる。認証を必要とする用途は広範にわたるため、ユーザが識別特徴に対して特定の刺激の使用を好む場合もありうる。たとえば、一部のユーザは認証識別子30が特定波長のUV光の下でのみ可視になることを望み、他のユーザは認証識別子30が可視光において可視になることを望むこともありうる。
【0063】
バーコードスキャナのハードウェアの一部として備えうる専用の刺激源が1つだけのこともある。あるいは、複数の刺激源を備えうるバーコードスキャナがあったとしても、利用可能なすべての刺激源を備えられるとは限らない。バーコードスキャナで読み取ろうとしたラベルに含まれている識別特徴40の読み取りに必要な刺激ハードウェアがそのスキャナに備えられている刺激ハードウェアと異なる場合は、そのラベルの認証は失敗し、その失敗の理由は不明となる。バーコードスキャナは、一部の認証識別子30を完全に認証できないとしても、一連の認証識別子30を認識でき、適切な刺激ハードウェアを使用できない場合にユーザに警告することが好ましい。
【0064】
上記のように、各認証識別子30は境界すなわちファインダパターン44を含む。可視光ではファインダパターンが見えないようにファインダパターン44が印刷されている場合は、認証識別子30を処理するためにラベルの適切な領域にスキャナを向けることはユーザにとってより困難である。
【0065】
図5および図6は、認証識別子30またはデジタル符号化されたアイテム識別子38のどちらかの一部にできるハードウェア適合性フラグの使用を示す。図6A〜6Dは、ファインダパターンの上部(または他の)境界の一部としてハードウェア適合性フラグを組み込んだ4種類のファインダパターン44’〜44””を示す。この一連のファインダパターンに共通な特徴は、ファインダパターンのサイズと全体形状が同じであり、どれもが直線線分の接続によって形成されている点である。このような一連のファインダパターンは、それぞれの共通点を見つけるように設計されたソフトウェアによって容易に検出できるほか、これらの異なるバージョン間を見分けることもできる。各固有のファインダパターンによって、そのファインダパターン内に配置されている識別特徴40を照射するために使用すべき波長の異なる光を特定することもできる。ファインダパターンは広域スペクトルの可視光において可視であるため、認証識別子30の走査に適合しないスキャナが使用され、符号化された特徴の検出が不可能であったとしても、そのスキャナはこの不適合性を認識できる。
【0066】
ファインダパターン44を2種類以上のインクで印刷してもよい。この場合、一方のインクは可視光で見えるインクにし、他のインクはUV光で見えるインクにする。こうすることによって、通常の光源および代替の専用光源の両方でファインダパターンを検出できる。この2種類のインクは、さらにカメラに対してそれぞれ異なる光学特性を提示してもよい。たとえば、可視光で見えるインクを光吸収インクにすることによってファインダパターン44が背景より暗い特徴として提示されるようにし、UV照明下で見えるインクを蛍光インクにすることによってファインダパターン44が背景より明るい特徴として観察されるようにしてもよい。
【0067】
ハードウェア適合性フラグを認証識別子30の一部として設ける代わりに、ハードウェア適合性フラグをデジタル符号化されたアイテム識別子38に符号化することもできる。このような実施形態の1つを図2に示す。この実施形態においては、適合性フラグ35は二次元バーコード50の一部である。ハードウェア適合性フラグを符号化する両手段を同一ラベル上に使用することによって、スキャナによって認証マークのどちらかの部分を読み取ったときにハードウェアの非適合性を検出できるようにすることもできる。
【0068】
次に図5を参照すると、バーコードを含むラベルを認証対応スキャナによって処理する方法600がフローチャートによって概説されている。この方法600は、図4と共に詳細に説明した方法400に従っているので、この2つの方法間の違いのみをここで要約する。認証対応スキャナは対象画像を取得し、アナログ認証標識が存在すると判定すると(615、618)、677および647においてハードウェア適合性フラグ(HCF)を調べる。上記のように、ハードウェア適合性フラグがアナログ標識の一部である場合は、ハードウェア適合性フラグを図6A〜6Dに図示されているような特殊なファインダパターンにすることができる。647および677において、ハードウェア適合性フラグによって示される刺激を与えるために適正なハードウェアが存在すると判定された場合は、図4に関して説明したように通常のプロセスに従う。当該ハードウェアが存在しない場合は、648および679において当該ハードウェアは非適合ハードウェアであるとユーザに警告し、復号化セッションが終了する。図2に示すようにハードウェア適合性フラグが2Dバーコードの一部である場合は、613においてハードウェア適合性フラグが分析される。適正なハードウェアが存在すると判定されると、図4で説明したように通常のプロセスに従う。適正なハードウェアが存在しない場合は、648において非適合ハードウェアであるとユーザに警告し、復号化セッションが終了する。これによって、ハードウェアの問題であることがユーザに知らされ、認証できない商品は処理されない。
【0069】
上記の説明から分かるように、ハードウェア適合性フラグを認証対応ラベルの一部として含めると、アナログ標識の読み取りに適正な刺激が用いられるか、あるいは適正な刺激ハードウェアを利用できない場合に操作者に警告される。本発明をある程度具体的に説明してきたが、当業者は、付属の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行えることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、アナログ識別標識およびデジタル識別標識の両方の撮像および復号化が可能な読み取り装置と、製品の容器ラベルに埋め込まれたアナログ識別標識および製品の不正開封防止シールに刻印された2Dバーコードに含まれたデジタル識別標識を含む製品と、を含む製品認証/識別システムの概略図である。
【図1A】図1Aは、図1のラップシールの模式的立面図である。
【図2】図2は、デジタル識別標識を含む図1の2Dバーコードに符号化された情報の概略図である。
【図3】図3は、アナログ識別標識およびデジタル識別標識の両方の撮像および復号化が可能な読み取り装置の概略図である。
【図4】図4は、図1の製品を認証するためにアナログおよびデジタル識別標識を処理するために読み取り装置によって使用される方法のフローチャートである。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態によるハードウェア適合性フラグを含むアナログまたはデジタル識別標識を処理するために読み取り装置によって使用される方法のフローチャートである。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態によるハードウェア適合性フラグを含むアナログまたはデジタル識別標識を処理するために読み取り装置によって使用される方法のフローチャートである。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【図6C】図6Cは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【図6D】図6Dは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ識別標識および対応するデジタル識別レコードを含むアナログ識別子およびデジタル識別子の組み合わせを用いて、製品を認証するシステムおよび方法に関し、より具体的には、アナログ識別標識および対応するデジタル識別レコードがアナログ識別標識を読み取るために使用できる1種類以上の刺激を示すハードウェア適合性フラグを含む、製品を認証するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェア、音楽CD、および市販薬および処方薬を含む、偽造製品の米国市場への侵入に対する懸念が増大している。偽造製品は、正規製造業者の利益を悪化させるだけでなく、偽造製品と知らずに購入した消費者をだますものである。偽造医薬品に関わる健康上の問題故に、これは製薬業者および政府機関にとっての最重要課題である。製品の供給源を開示しないドラッグストアおよびインターネット薬局から、より安価な処方薬を容易に入手可能であることにより懸念は深まっている。
【0003】
政府の規制により、および/または不正改ざんを防止するために、多くの処方薬および市販薬は不正開封防止シールを使用した容器に包装される。薬物製品を購入した消費者は、容器を開けて製品にアクセスするには、不正開封防止シールを破るか破棄する必要がある。このような不正開封防止シールは不正開封を阻止するために効果的であるが、巧妙な偽造薬製造業者は不正開封防止シールを含む容器を製造する可能性がある。したがって、不正開封防止シールは、偽造医薬品の問題への対応としては十分ではない。
【0004】
偽造者にとっての主要ターゲットである小切手、CD、およびDVDなどの他の製品のために他の多くの偽造防止策が開発されている。これらの偽造防止策は、偽造製造者が偽造防止標識が記載されたラベルを容易に複製できないようにするものである。たとえば、Microsoft Corporationなどの会社は、そのソフトウェアのパッケージに真正品であることを通知するホログラムを使用している。マサチューセッツ州ケンブリッジのEscher Groupは、紙片をその天然の固有な繊維パターンによって識別できるFiberFingerprint(商標)技術を開発した。これによって、指紋によって人々を識別するのと同様な方法で紙片を識別できる。ニューヨーク州ショセット市のTracer Technologiesは、セキュリティ用の蛍光マイクロファイバ検出技術を開発した。UV光の照射下でのみ見えるマイクロファイバがプラスチック材料にランダムに埋め込まれる。ニューヨーク州ファーミングデールのAMCOは、プラスチックに埋め込むことができる可視および蛍光性のタグを開発した。偽造防止ラベルまたは製品に埋め込むことができる他の色素は、見る角度によって色が変化する特性を有する。このような色が変化する色素は、新たに印刷された米国紙幣にも使用されている。
【0005】
これらの偽造防止技術は、偽造防止ラベル構成要素の複写または走査手法による複製を困難にする。ただし、より巧妙な偽造者は、これらの偽造防止策を複製するために必要な投資を行っていることが知られている。たとえば、Microsoft Corporationによって使用されているようなホログラムラベルの偽造に成功したことが知られている。
【0006】
特許出願第’597号および第’682号明細書に開示されているような可視化のために専用の刺激を用いる偽造防止技術は、さらなるセキュリティ対策を提供するが、その専用の刺激を与えるために適切なハードウェアがスキャナに具備されていない場合は、ラベルの復号化に失敗し、不当に偽造と識別されうる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の標識読み取り装置をほとんど改造せずに通常使用時に一定レベルの認証を行えるように、認証情報が認証対応デジタル標識に封入される。ハードウェアを改造した標識読み取り装置を対象とした認証対応標識と共にアナログ認証特徴を含めてもよい。アナログ認証特徴を先に走査して生成されたアナログ認証署名を、認証対応標識に符号化することによって、このアナログ認証特徴を検証することができる。
【0008】
一実施態様においては、ラベルが付けられた物品の認証関連以外の情報、たとえば製造者、UPC番号、数量、および製造年月日などの内容に関する情報を提供するために、改造されていない標識読み取り装置によって認証対応標識を読み取ることができる。認証対応標識に符号化されているデジタル署名を用いて、記憶されている署名鍵にアクセスしてラベルの真正性を検証できるように、標識読み取り装置のソフトウェアを変更することができる。例示的な一実施態様においては、ハードウェアを改造した標識読み取り装置は、アナログ認証特徴を読み取り、対応するアナログ署名を求め、標識のアナログ認証署名を認証対応標識に記録されているアナログ認証署名と比較することもできる。
【0009】
したがって、認証対応標識は、第1および第2のデータフィールドを有するバーコードなどのデジタル記録媒体を含む。第1のデータフィールドには、標識が添付されている製品に関する情報が符号化される。第2のデータフィールドには、デジタル記録媒体の外部の情報にアクセスして検証される認証署名が少なくとも1つ符号化される。標識は、ランダムパターンを含むアナログ識別領域を含む。この領域は、デジタル記録媒体からは分離しているが、おそらくデジタル記録媒体に隣接している。第2のデータフィールドには、ランダムパターンの何らかの特質の要約であるアナログ認証署名が符号化される。これらの領域の一方または両方が不正開封防止シールの一部を形成すると都合がよい。
【0010】
ランダムパターンは、アナログ識別領域にランダムに分散された複数の識別可能な特徴(ファイバなど)によって構成することができる。これらのファイバは、非可視光の照射によって検出可能な、色が変化するファイバでもよい。この場合、第2のデータフィールドには、アナログ識別領域から計算されるアナログ認証署名が記録される。アナログ認証署名は、たとえば、その領域内の識別可能な特徴、たとえば特徴の位置、サイズ、および色など、を記述したデータの集合にすることができる。同じサイズおよび色の識別可能な特徴を約20〜30個含むように設計されたアナログ識別領域においては、レコードをこれらの特徴のx座標およびy座標、すなわち40〜60個の値の集合にすることもできる。アナログ識別特徴領域には、アナログ認証署名に対応するアナログ識別領域の区域を示すために、1つ以上の方向特徴を含む境界線標識がインプリントされる。
【0011】
認証対応標識のデジタル記録媒体に第3のフィールドを設け、記憶されている情報に照合して検証されるデジタル認証署名をこのフィールドに符号化してもよい。あるいは、アナログ認証署名の代わりにデジタル認証署名を使用してもよい。デジタル認証署名は、秘密鍵を用いて第1および/または第2のデータフィールドに符号化されている情報によって生成され、対応する公開鍵を用いて検証される。公開鍵の保存場所は、標識読み取り装置のメモリでもよいが、対応付けられているコンピュータ上のメモリでもよい。1つ以上の認証策を検証できなかった場合は、標識読み取り装置から警報を発しうると都合がよい。
【0012】
認証対応ラベルのデジタル識別レコードまたはアナログ識別標識のどちらかにハードウェア適合性フラグを符号化すると、アナログ識別標識を照射するために適合する刺激ハードウェアが確実に使用され、適合する刺激が使用中の読み取り装置にない場合は、その旨の通知をユーザに与え、ラベルのアナログ構成要素なしに復号化を継続しうる。
【0013】
製品の識別または認証を行うために、識別特徴のパターンで構成されたアナログ識別標識が設けられる。適合する刺激機構によって刺激されると、識別特徴の外見が変化する。これらの識別特徴は1つのアイテム識別子に対応し、このアイテム識別子は、適合する刺激機構によってこれらの識別特徴が刺激されたときに求めることができる。このアイテム識別子の符号化されたデジタルバージョンを含むデジタル識別レコードが用意される。製品には、少なくとも1つの刺激機構が設けられるほか、製品上の識別特徴を変化させてアイテム識別子を求められるようにする、適合する刺激機構を示すハードウェア適合性フラグも設けられる。ハードウェア適合性フラグが分析され、適合する刺激機構が設けられているか否かが判定される。適合する刺激機構が設けられている場合は、アナログ識別標識の識別特徴のパターンを読み取ってアイテム識別子を復号化するために、この適合する刺激機構が起動される。デジタル識別レコードが読み取られてアイテム識別子が復号化される。アナログ識別標識から求められたアイテム識別子とデジタル識別レコードから求められたアイテム識別子とを比較することによって、製品の真正性が判定される。適合する刺激機構が設けられていない場合は、適合する刺激機構が設けられていないことを、たとえばLEDの点灯または警告音の鳴動によって、ユーザに警告してもよい。
【0014】
場合によっては、適合する刺激機構は、特定範囲内の波長を有する紫外線である。他の場合は、適合する刺激は可視光である。ハードウェア適合性フラグは、デジタル識別レコードまたはアナログ識別標識のどちらかの一部にすることができる。ハードウェア適合性フラグがアナログ識別標識の一部である場合は、ハードウェア適合性フラグを、適合する刺激を示す少なくとも1つの属性を含むアナログ識別標識の周囲の境界を形成するファインダパターンの形態にしてもよい。適合する刺激機構によってこの境界の外観を変化させてもよい。
【0015】
本発明の上記および他の目的、利点、および例示的実施形態の特徴を添付図面と共に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1および図2には、本発明による識別または認証システムの好適な一実施形態の全体が参照符号10で示されている。システム10は、製品12の分離可能な個々の部分に取り付けられる2つの構成要素から成る認証識別子30を用いて製品12を簡単に認証する方法を提供する。本システムは、認証識別子30の両構成要素の読み取りおよび復号化に適した読み取り装置100をさらに含む。
【0017】
製品12は、処方薬剤を錠剤、カプセル、または液体などの形態で保持する容器14を含む。製品容器14は、不正開封防止シール16と製品ラベル18とを含む。図1および図1Aに示すように、シール16は、容器14の蓋すなわち頭部22と蓋22の下方にある容器肩部24とに緊密に覆い被さるプラスチック製ラップ20でもよい。一般に、シールラップ20は、消費者がラップ20を容器14から除去しやすいように縦の弱め線26を1つ以上含む。
【0018】
製品12は、2つの構成要素を有する認証識別子30を含む。この2つの構成要素とは、アナログ識別標識32と、デジタル識別子レコード34などのデジタル標識すなわちデジタル識別子である。アナログ識別標識32およびデジタル識別レコード34(図1A)は、製品12の分離可能な各部分に貼付または添付される。アナログ識別標識32は、関心領域42内の識別特徴40のランダムパターン41として具現化される。デジタル識別レコード34は、2Dバーコード50の一部分のデジタルパターンとして具現化される。アナログ識別標識32を復号化すると、アイテム識別子36が生成される。同様に、デジタル識別レコード34を復号化すると、アイテム識別子38が生成される。2Dバーコード50の一部として図示されている「(HCF)」35は、以下に詳細に説明するオプションのデジタル識別レコードのハードウェア適合性フラグである。
【0019】
アイテム識別子36、38を含む両パターンの比較によって両パターンの一致、すなわち両パターン間の類似度が所定の許容誤差内であること、が示されると、製品12は真正品と見なされる。製品12の製造時に、アナログ識別標識32から生成されるアイテム識別子36を用いてデジタル識別レコード34が符号化される。したがって、両アイテム識別子36、38は全く同じになるはずである。ただし、その後の現場での製品12の認証時には、撮像品質を損ないうる多くの可変要素があるため、アナログ識別標識32の読み取りおよび復号化のエラーが発生しやすい。その理由は、復号化されたアイテム識別子36は、パターン41に対する読み取り装置100の角度および距離、照明レベル、製品12の関心領域42上の汚染物質または損傷などによって多少影響されうるからである。他方、2Dバーコード50には誤差補正技術が通常組み込まれているため、読み取り装置100は通常、バーコード50を正確に復号化できる。したがって、製品12が真正品であっても、アイテム識別子36、38が正確に一致しないこともある。そこで、アイテム識別子36、38によって表される幾何パターンが比較され、これらのパターンが所定の許容限度内である場合は、製品12は真正品と見なされる。
【0020】
より具体的には、アナログ識別標識32が復号化されると、アイテム識別子または署名36と称される一連の数値に対応するか、またはこの一連の数値が生成される。アイテム識別子36の数値は、たとえば、関心領域42内の識別特徴40の全部または一部の直交(xおよびy)座標、および/または撮像された特徴40の全部または一部の反射光または出射光の輝度値、および/または撮像された特徴40の全部または一部の色値、および/またはランダムパターン41の他の属性に対応しうる。アナログ識別標識32のアイテム識別子36に対応する一連の数字は、製品12のデジタル識別レコード34に符号化される。
【0021】
認証識別子30の2つの構成要素は、製品12の分離可能な個々の部分にそれぞれ配置されると都合がよい。たとえば、アナログ識別標識32を製品ラベル18に組み込み、デジタル識別レコード34を不正開封防止シールラップ20に組み込んでもよい。これによって、購入者が使用するために製品12を開くと、認証識別子30の構成要素32、34が分離されて構成要素間の接続が解かれるため、再利用が防止される。
【0022】
さらに、製品容器14を最初に開いたときに、シールラップ20に組み込まれたデジタル識別レコード34が破壊されるので、容器14への偽造錠剤、カプセル、または液体の詰め替えなどによる製品12の再販が防止される。
【0023】
識別および認証システム10は、読み取り装置100をさらに含む。読み取り装置100は、アナログ識別標識32およびデジタル識別標識34の両方の読み取りおよび復号化が可能な撮像式バーコード読み取り装置またはスキャナなどである。通常、撮像式バーコード読み取り装置またはスキャナは、複数の感光要素すなわち画素を有するCMOSアレイまたはCCDアレイなどの撮像アレイを使用する撮像システム102を含む。
【0024】
製品ラベルまたは製品包装に刻印された対象バーコードなどの対象画像から撮像システム102の視野内に反射または出射された光は、撮像システムのレンズ104を通して画素アレイ106に集束される。画素アレイの各画素からの出力信号は、アナログ・デジタル変換器108によってデジタル化される。装置100の復号化回路110は、これらのデジタル化された信号を処理し、撮像された対象、たとえば撮像された対象バーコード、を復号化しようとする。アナログおよびデジタル識別識別子32、34の形状および相対サイズは任意であるが、同じ読み取り装置100の光学系によって、拡大または倍率変更せずに撮像できる相対サイズを選択すると都合がよい。
【0025】
製品の真正性を判定する1つの方法では、読み取り装置100を用いてアナログ識別標識32およびデジタル識別レコード34の読み取りおよび復号化を行う。2つの識別識別子32、34から生成されたアイテム識別子36、38が同じであるか、またはほぼ同じであると、製品12は真正品と判定され、真正な製品であることを示す可聴および/または可視フィードバックとして、一対の緑色LED112、114の点灯および/またはスピーカ113からの可聴「ビープ音」などが読み取り装置100の操作者に与えられる。上記のように、現場での撮像に固有の変動性および製品12の損傷(たとえば製品ラベル18および/またはシール20の引っかき傷)または汚染物質のために、アイテム識別子36、38を表す数字パターンが正確に一致しないこともありうる。たとえば、アナログ識別標識32を含むランダムパターン41の撮像時に1つ以上の識別特徴40が「見失われる」と、すなわち正しく撮像および復号化されないと、アイテム識別子36を表す数字パターンは2Dバーコード50から復号化されたアイテム識別子38を表す数字パターンとは必然的に異なる。
【0026】
製品の性質および所望のセキュリティレベルに応じて、アイテム識別子36、38を含む比較パターンが実質的に一致すれば、すなわち100%未満であっても所定レベルで一致すれば、製品12を真正品と判定するに十分と見なされる。
【0027】
この認証方法は、遠隔データベースとの通信を必要とせずに現場で実施できる「スタンドアロン」な認証方法であるという利点がある。ただし必要であれば、製品12の製造者から消費者までの流通システム全体にわたって製品12を追跡できるように、認証プロセスからの情報を中央データベースに伝達してもよい。中央データベースに送られる製品12に関する情報は、製品追番(2Dバーコード50のペイロード52に符号化)、認証の実施時刻および場所、読み取り装置100の識別番号、読み取り装置100の使用が認められたユーザ/会社の識別番号をさらに含んでもよい。
【0028】
(アナログ識別標識32)
ラベル18には、ランダム識別パターン41を含むアナログ識別標識32が埋め込まれる。パターン41は、相隔てられた複数の識別特徴40をラベル18の関心領域または部位42内に含む。関心領域42の読み取りを容易にするには、関心領域42(図1A)を画定する、通常の周辺光で見える境界または輪郭44の形態をとる識別マークによって関心領域42をマーキングしてもよい。特徴40のx座標およびy座標を計算するための座標軸として境界または輪郭44の直角部分を使用できると都合がよい。このx座標値およびy座標値はアイテム識別子36の一部を構成する。
【0029】
識別特徴40は、ラベル18を製造するための材料に埋め込まれることが好ましい。特徴40は、ランダムパターンに分散された1種類以上の色付き微粒子などでもよい。色付き微粒子の一部または全部を色が変化する微粒子にし、所与の波長の照明の下で予測可能な方法で微粒子が反応するようにしてもよい。たとえば、UV光または赤外光の存在下では見えるが、可視光の照射時はほとんど見えないように、特徴40の色が変化するようにしてもよい。色が変化する特性として使用可能な候補の1つは蛍光発光である。これは、通常、不可視光の照射による可視光の励起を指す。
【0030】
色が変化する特徴の使用により、写真複写機またはスキャナによるラベル18の複製が防止される。色付きの特徴40の使用により、複数ロット分のラベル材料を特定のフィルムまたは紙様材料の通常の製造工程で製造でき、これらの特徴が以降の工程でランダムに混合され、以降の工程を通して完全な状態のままで残ると都合がよい。色が変化する材料を使用する1つの利点は、製造後の傷および汚染(泥またはほこりなど)による影響が減ることである。この理由は、これらの傷および汚染はそれ自体の色が通常変化しないからである。このような傷は、UV光または赤外光で撮影された画像を可視光で撮影された画像と比較することによって検出できる。
【0031】
アナログ識別特徴40は輪郭44によって囲まれるので、色付き微粒子がラベル28全体に配置されていても、囲まれた関心領域または区域42のみが読み取り装置100によって処理され、アナログ識別標識32が読み取られる。あるいは、特徴40がランダムであるため、ラベルごとに異なり、各アナログ識別標識32によって固有の製品識別子36が生成される場合は、従来の印刷工程によって識別パターン41をラベル材料に印刷してもよい。
【0032】
デジタル識別レコード34の生成に使用された方向に読み取り方向を一致させ、アナログ識別標識32の読み取りおよび復号化を成功させるために、読み取り装置100に対してアナログ識別特徴40の解析方法を指示する方向特徴46をアナログ識別標識32に含めることが好ましい。あるいは、アナログ識別標識32は、正しく読み取って復号化するための方向特徴を必要としない種類のものにしてもよい。このようなアナログ識別標識の一例として、容器の不正開封防止シールまたは蓋に微粒子を埋め込んだランダムな識別特徴パターンを含むアナログ識別標識が2004年10月27日に提出された「識別パターンおよびバーコード読み取り装置を使用した製品の識別および認証のための方法(Method of Identifying and Authenticating Products Using an Identification Pattern and Bar Code Reader)」と題する米国特許出願第10/974,644号明細書に開示されている。’644出願は、本発明の譲受人に譲渡されており、その全内容を参照により本願明細書に援用するものとする。
【0033】
ランダムに生成され、従来の方法での複製が困難なパターンであれば、他の何れのパターンもアナログ識別標識32として使用しうる。同様の標識に再生される可能性がほとんどない固有の識別子または署名が特徴40から各標識に対して生成されるように特徴40のランダムパターンを生成できる。このランダム性によって、厳密に重複するアナログ識別特徴の検出の可能性が高まる。このランダム性は、特徴の位置、サイズ、または色などのさまざまな要素から導出でき、ファイバのように長い特徴の場合は、ファイバの方向もランダム性を導出するために使用できる。
【0034】
標識読み取り装置100はアナログ識別標識32を読み取り、数学アルゴリズムおよび/または決定規則を用いて、アイテム識別子36、すなわちアナログ識別特徴の何らかの特質の数値表現、を求める。たとえば、識別子36は、所定数の特徴40または全特徴40のxy座標など、アナログ識別特徴内の識別可能な特徴を記述するデータの集合でもよい。
【0035】
(デジタル識別レコード34)
製品ラベル18の製造において、関心領域42内のランダム識別パターン41の形態をとる固有のアナログ識別標識32が上記のように生成される。アナログ識別標識32が読み取り装置100によって復号化されると、固有のアイテム識別子36が生成される、すなわち固有のアイテム識別子36に変換される。製造工程中、アイテム識別子36は次に符号化されてデジタル識別レコード34が生成され、以降の認証のために製品12に添付または刻印される。デジタル識別レコード34は、DataMatrixバーコードなどの2Dバーコード50の一部に符号化されることが好ましい。
【0036】
アイテム識別子36をさらに読み取り装置100のメモリ124に保存してもよい。読み取り装置のメモリ124は、真正アイテム識別子群のファイルを含んでもよい。最近読み取った署名、またはその表現、たとえばハッシュなど、のレコードを保存しておくと、現在処理中の署名と比較し、同一製品ロット内のラベル間でランダムパターンの重複を検出するために都合がよい。
【0037】
図2は、2Dバーコード50の模式的表現である。バーコード50はデジタルである。すなわち、暗色の領域すなわちセルの有無によって「0」または「1」を表す。バーコード50は、ペイロード52と、符号化されたアイテム識別子38を含むデジタル識別レコード34と、デジタル署名54の3つの符号化フィールドすなわち部分を含む。バーコード50に符号化されるデータは通常は暗号化されないが、担持されている情報の読み取りの完全性を守るには誤差補正を使用すると都合がよい。各識別子は、通常、所与の工業規格に応じて、個々のフィールドまたはフィールド群を識別する。
【0038】
ペイロード52には、製造者の識別情報および仕様情報が符号化され、一般には次の情報の一部または全部を含む。すなわち、UPC/EAN番号、製造者、部品番号、ロット番号、追番、および有効期限である。バーコード50のこの部分の読み取りおよび処理は、認証が不要と見なされる状況においては、標準のバーコードスキャナまたは読み取り装置によって行うことができる。
【0039】
デジタル識別レコード34には、ペイロード情報に使用されるものと同様の識別子が付けられる。バーコード50内のデジタル署名54の符号化には、電子商取引および大半のウェブブラウザで広く利用可能な技術が利用される。米国の国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology(www.nist.gov))が標準バージョンを維持しており、これは無料で入手可能である。図2に示すように、デジタル署名は、署名が添付されたメッセージの一方向のハッシュである。この場合のメッセージは、前の2つのサブセクション(ペイロード52およびデジタル識別レコード34)からの情報である。フィールド識別子自体をメッセージの一部として含めることもできる。デジタル署名54の存在によって、署名の作成に使用された情報の真正性が保証される。署名者は、一方向ハッシュを生成するための固有の番号を所有する。この番号は、通常、秘密鍵またはプライベートキーと呼ばれる。デジタル署名54がこのメッセージに一致することを検証するには、公開された関連番号、すなわち公開鍵が使用される。
【0040】
(標識読み取り装置100)
図1に示す標識読み取り装置は、手持ち型の撮像式スキャナまたは読み取り装置である。ただし、本発明は、定置型の読み取り装置およびレーザスキャナにも適用できる。読み取り装置100は、その撮像システム102およびバーコード復号化回路110を利用することによって、ラベル18にインプリントされた2Dバーコード50を撮像および復号化して特定情報の入手および在庫管理のために使用することも、アナログ識別標識32を撮像および復号化し、標識32から導出されたアイテム識別子36を2Dバーコード50のデジタル識別レコード34に埋め込まれたアイテム識別子38と比較することによって製品12を認証するために使用することも可能である。読み取り装置100は、2Dバーコード50を撮像し、デジタル識別レコード34を復号化することによってアイテム識別子38を得る。
【0041】
アナログ識別パターン41の復号化のために、読み取り装置100は、ソフトウェアまたはハードウェアで具現化されたパターン復号化回路116をさらに含む。したがって、ラベル18の関心領域42が読み取り装置100によって撮像されると、パターン復号化回路116は、取り込まれた画像を分析し、輪郭44の形状によってアナログ識別標識32の位置を特定して識別し、関心領域42とその中の識別特徴すなわち微粒子40とを識別し、識別パターン41を確認し、製品12のアイテム識別子36を求める。アイテム識別子36、38間の比較は、読み取り装置100の比較回路118によって行われ、識別子36、38間の類似度が製品12を真正品と判断するに十分であるか否かが判定される。
【0042】
読み取り装置100は、UV照明下で色が変化する微粒子40を含む識別パターン41および2Dバーコード50の両方を撮像および復号化できることが望ましい。したがって、読み取り装置は可視照明および紫外(UV)範囲の照明の両方を提供する必要がある。撮像アセンブリ102の視野に対応する照準パターンを形成するために、光電気構成要素が追加されるとさらに望ましい。可視照明は可視光LED120のアレイの形態で設けられることが好ましく、UV照明はUVLEDのアレイおよび/または1つ以上のUVレーザ122の形態で設けられることが好ましい。UVLEDの代わりに、またはUVLEDに追加して、UVレーザ122を設けると、蛍光性微粒子40に向けられる励起UV光の輝度が増す。この結果、出射される蛍光発光の輝度が増すため、復号化可能な画像がさらに生成されやすくなる。
【0043】
色が変化するファイバがアナログ識別特徴に含まれている場合は、これらの色が変化するファイバを検出するために、図3に図示されているような専用の撮像システム102が必要になる。撮像システム102は、レンズ104およびセンサ106(CCDまたはCMOS 2−Dアレイセンサなど)と、レンズ104の反射光通路においてレンズの前方または後方に配置される狭帯域阻止フィルタ126と、1つ以上の可視光LED120と、1つ以上のUV LEDおよび/またはUVレーザ122と、マイクロプロセスッサ128と、公開鍵のデータベースを含みうるオンボードメモリ124と、インタフェースおよびサポート回路129とを含む。インタフェースおよびサポート回路129は、ホストコンピュータまたはネットワークへの有線および/または無線通信手段を有してもよい。インタフェースおよびサポート回路129は、オンボード電池(図示せず)、および/または外部電源(図示せず)用の接続をさらに含んでもよい。
【0044】
狭帯域阻止フィルタ126は、識別特徴40によって出射される蛍光光の帯域に一致するように選択された通過帯域を有する。また、この帯域は、可視光LED120の帯域にも一致する。これが可能になる理由は、それぞれ異なる波長で蛍光を発するさまざまな蛍光材料が存在するからである。同様に、それぞれ異なる波長で光を発するさまざまなLEDが存在する。適切な蛍光材料および共通の波長を有する種類のLEDを選択することによって、LED120の光および特徴40の蛍光光の両方を通過させる通過帯域を有するフィルタ126を構築できる。狭帯域フィルタを設けると、周辺光の大部分を遮断できるという利点がある。出射される蛍光光は弱いことが多いため、周辺光を遮断しないと、周辺光が蛍光光を容易に打ち負かすこともある。あるいは、読み取り装置100を接触モードで使用するように構築することもできる。すなわち、撮像システム102の前方に向いた外部ベゼルを製品12に接触させて識別パターン41または2Dバーコード50を読み取る。この接触モードでは、読み取り装置本体が周辺光を遮断するために機能する。
【0045】
認証対応のアナログおよびデジタル識別子32、34を処理するために、装置100は、図4に概説されている方法400に従う復号化および比較ソフトウェア110、116、118を含む。装置100は、いくつかの方法のうちの1つで動作できるので、読み取り装置100の機能および接続性レベルに応じて機能レベルを変えることができる。接続性レベルをバッチにすると、装置100はPCへの接続なしに動作し、認証タスクのみを実行し、合否の可聴/可視フィードバックを提供するか、あるいはバーコードの復号化結果を後でダウンロードできるようにそのオンボードメモリ124に保存する。あるいは、装置100をコンピュータまたは広域ネットワークに接続してもよい。この場合は、たとえばリンクされているコンピュータ上での処理のために復号化結果を直ちに転送し、トラッキングおよび追跡のために使用できる。すなわち、製品12をその流通システム全体にわたってトラッキングおよび追跡することができる。
【0046】
(認証方法)
次に図4を参照すると、認証方法が全体として参照符号400で示されている。ステップ405において、読み取り装置100が起動されると、可視光照射源120を用いて製品12の画像が取得される。ステップ410において、取得された画像が分析され、取り込まれた画像に認証対応の2Dバーコード50が存在するか否かが判定される。認証対応バーコードは、デジタル識別レコード34を含むフィールドと、デジタル署名54を含むフィールドとを含む。認証対応の2Dバーコード50が存在しない場合は、画像はステップ415で分析され、輪郭44によって示されたアナログ識別標識32の有無が調べられる。
【0047】
認証対応バーコード50およびアナログ識別標識32がどちらも検出されないが、標準バーコードが画像に含まれている場合は、画像はステップ420において標準的な方法で復号化される。本ソフトウェアのこの分岐によって、装置100は通常の非認証対応バーコードを処理できる。
【0048】
アナログ識別標識32がステップ415で画像内に見つかった場合は、ステップ480においてアナログ識別標識32が再取得される。ステップ480に示されているような再取得ステップが必要になるのは、アナログ識別標識32の識別特徴40の撮像にUVなどの専用光が必要な場合である。輪郭44内のアナログ識別パターン41はステップ485で処理され、製品識別子36が復号化される。識別パターンの特徴40からアイテム識別子36への変換は、特徴41の1つ以上の属性または品質、たとえば特徴の位置、特徴のサイズ、特徴の色などに基づく。撮像された識別パターン41は、所定の変換規則に従ってアイテム識別子36に復号化すなわち変換される。
【0049】
アナログ識別標識32の復号化が部分的に成功すると、ステップ490において通知される。この通知がたとえば2つの認証緑色LED112、114の両方ではなく一方のみの点灯、および/またはスピーカ113からの所定の部分復号化可聴信号の鳴動によって行われる一方で、アイテム識別子36が装置のメモリ124に記憶される。ステップ490での部分的成功の通知によってアナログ識別標識32からのアイテム識別子36の取得成功を告げた後、読み取り装置100は、ユーザによって起動されると、別の画像をステップ495で取得する。
【0050】
ステップ500において、装置100は取り込まれた画像内に2Dバーコード50を見つけようとする。期待に反して見つからなかった場合、装置100は、ステップ510において、赤色LED115への通電および/またはスピーカ113からの所定の失敗可聴信号の鳴動などによって失敗モードを通知し、ステップ515でセッションを終了する。装置100が取り込まれた画像内に2Dバーコード50を見つけると、アイテム識別子38を求めるために、ステップ505において装置の復号化ソフトウェア110がデジタル識別レコード34とデジタル署名54とを復号化する。デジタル識別レコード34の真正性を検証するために、デジタル署名54が復号化される。次に、比較ソフトウェア118が2つのアイテム識別子36、38を比較し、製品12の真正性が検証される。
【0051】
ステップ505での比較に合格すると、すなわち、アイテム識別子36、38がほぼ同一であると、製品12は真正品と見なされ、ステップ475において、両LED112、114の点灯および/またはスピーカ113からの所定の合格可聴信号の鳴動によって合格が操作者に通知され、ステップ515でプロセスが終了する。他方、ステップ505での比較で不合格になると、すなわち、アイテム識別子36、38が実質的に同じでない場合は、不合格がステップ510で赤色LED115の点灯および/またはスピーカ113からの所定の部分的復号化可聴信号の鳴動によって通知され、ステップ515でプロセスが終了する。
【0052】
ステップ410において取り込まれた画像内に認証対応の2Dバーコード50が見つかると、次にステップ412において、アイテム識別子38を生成するために装置の復号化ソフトウェア110がデジタル識別レコード34を復号化する。デジタル署名54も復号化され、デジタル識別レコード34を認証するために使用される。デジタル識別レコード34の復号化と検証とをどちらも行えなかった場合は、ステップ510において不合格が(赤色LED115および/または可聴音によって)通知され、ステップ515でプロセスが終了する。
【0053】
デジタル識別レコード34が検証および復号化されてアイテム識別子38が生成されると、次にステップ418において、ソフトウェアが画像内でアナログ識別標識32の輪郭44を探す。アナログ識別標識32の識別マークが見つからない場合は、ステップ430において部分的成功が(2つの緑色LED112、114の一方の点灯および/または可聴音の鳴動によって)通知され、アイテム識別子38の取得成功が告げられる。ユーザによって装置100が起動されると、ステップ435において別の画像が取得される。ステップ440において、この新しい画像内でアナログ識別標識32の輪郭44が探される。このステップが失敗すると、ステップ510において失敗が通知され(赤色LED115の点灯)、ステップ515でセッションが終了する。
【0054】
ステップ440でアナログ識別輪郭44が見つかると、制御がステップ450に移る。ステップ418でアナログ識別輪郭44が見つかった場合も、制御はステップ450に移る。ステップ450では、アナログ識別標識32を含む画像がUV光源122を用いて取得される。ステップ455において、アナログ識別パターン41が復号化され、アイテム識別子36が計算される。ステップ460において、製品12の真正性を検証するために、この2つのアイテム識別子36、38が比較ソフトウェア118によって比較される。
【0055】
2つのアイテム識別子36、38の比較に基づくこの検証で不合格になると、510において赤色LED115の点灯および/または不合格可聴音の鳴動によって不合格が通知され、ステップ515でセッションが終了する。ただし、この検証に合格すると、470において両緑色LED112、114の点灯および/または認証合格可聴音の鳴動によって合格が通知され、この場合もステップ515でセッションが終了する。
【0056】
当業者は、バーコード読み取り装置に関する業界標準の慣行に従って、図4を容易に変更できる。たとえば、ユーザによる各起動ステップからメモリ内の画像からコードが正しく取得されなかったと読み取り装置が判定する時点までに、1つ以上の画像を取得し、復号化を試みてから、不合格を宣言することもできる。他方、これらの画像のうちの1つの復号化に成功すると、セッション(または半セッション)が成功(または部分的成功)と宣言される。
【0057】
ステップ460および505においては、ユーザが選択可能な許容度または誤差によってアイテム識別子34、36が検証される。所定の許容または誤差レベルは、見つかった特徴の数およびそれぞれの固有値の両方の値を含んでもよい。たとえば、アイテム識別子34、36が識別パターン41内の25個の特徴のxy座標を表す場合は、パターン41の撮像時に25個の特徴のうち少なくとも23個が識別される必要があるように許容レベルを設定してもよい。これによって、特定の特徴を覆っている汚れなどの汚染物質または特定の特徴を消すひっかき傷が考慮されるであろう。さらに、識別された特徴に関して、座標値の誤差が+/−10%以内の場合にのみ一致と見なされるように許容レベルを設定してもよい。たとえば、アイテム識別子38がxy座標値(205、489)を含み、アイテム識別子36が座標値(193、510)を含んでいた場合は、x値およびy値のそれぞれの誤差が+/−10%以内であるので、一致と見なされるであろう。
【0058】
505および412において、デジタル署名54と製造者の公開鍵とを用いてデジタル識別レコード34が検証される。この鍵は、製造者によって入手可能にされるはずである。この鍵は通常、信頼された認証局を通じて入手されるか、または検証可能である。この鍵は、読み取り装置のメモリ124(図3)に保存することも、無線または有線接続によってアクセスされる対応コンピュータ上に保存することもできる。大半の読み取り装置は、複数の公開鍵をキャッシュするに十分なオンボードメモリを備えている。
【0059】
デジタル署名は通常、製造者ごとに決まっており、吸収合併または機密保持違反などの特殊な状況によって撤去された場合には変更される。したがって、鍵のキャッシュは短期間であれば通常安全である。通常、鍵には発行または更新時から一年などの有効期限が指定されている。
【0060】
アナログ識別標識32を読み取らずに、デジタル署名の検証のみを行うこともできる。このアプローチは、アナログ識別特徴内の特殊な特徴を起動するためのハードウェアの改造を必要としない認証度の提供を可能とする。
【0061】
セキュリティ装置の代替実施形態は、2Dバーコード50に記録されている情報と同じ情報を記録するための他のデジタル媒体の使用を含む。たとえば、磁気装置または固体メモリ装置(メモリボタンまたは無線周波数IDタグ(RFID)など)を使用することもできる。
【0062】
(ハードウェア適合性フラグ)
上記の識別特徴40は、特徴を分析してデジタル符号化されたアイテム識別子38と照合するために特徴を可視化すなわち刺激するための専用ハードウェアとして、UV LED/レーザ122(図1)などを必要とすることが多い。識別特徴40は、適切な種類の光にさらされると、その外観が大きく変化しうる。認証を必要とする用途は広範にわたるため、ユーザが識別特徴に対して特定の刺激の使用を好む場合もありうる。たとえば、一部のユーザは認証識別子30が特定波長のUV光の下でのみ可視になることを望み、他のユーザは認証識別子30が可視光において可視になることを望むこともありうる。
【0063】
バーコードスキャナのハードウェアの一部として備えうる専用の刺激源が1つだけのこともある。あるいは、複数の刺激源を備えうるバーコードスキャナがあったとしても、利用可能なすべての刺激源を備えられるとは限らない。バーコードスキャナで読み取ろうとしたラベルに含まれている識別特徴40の読み取りに必要な刺激ハードウェアがそのスキャナに備えられている刺激ハードウェアと異なる場合は、そのラベルの認証は失敗し、その失敗の理由は不明となる。バーコードスキャナは、一部の認証識別子30を完全に認証できないとしても、一連の認証識別子30を認識でき、適切な刺激ハードウェアを使用できない場合にユーザに警告することが好ましい。
【0064】
上記のように、各認証識別子30は境界すなわちファインダパターン44を含む。可視光ではファインダパターンが見えないようにファインダパターン44が印刷されている場合は、認証識別子30を処理するためにラベルの適切な領域にスキャナを向けることはユーザにとってより困難である。
【0065】
図5および図6は、認証識別子30またはデジタル符号化されたアイテム識別子38のどちらかの一部にできるハードウェア適合性フラグの使用を示す。図6A〜6Dは、ファインダパターンの上部(または他の)境界の一部としてハードウェア適合性フラグを組み込んだ4種類のファインダパターン44’〜44””を示す。この一連のファインダパターンに共通な特徴は、ファインダパターンのサイズと全体形状が同じであり、どれもが直線線分の接続によって形成されている点である。このような一連のファインダパターンは、それぞれの共通点を見つけるように設計されたソフトウェアによって容易に検出できるほか、これらの異なるバージョン間を見分けることもできる。各固有のファインダパターンによって、そのファインダパターン内に配置されている識別特徴40を照射するために使用すべき波長の異なる光を特定することもできる。ファインダパターンは広域スペクトルの可視光において可視であるため、認証識別子30の走査に適合しないスキャナが使用され、符号化された特徴の検出が不可能であったとしても、そのスキャナはこの不適合性を認識できる。
【0066】
ファインダパターン44を2種類以上のインクで印刷してもよい。この場合、一方のインクは可視光で見えるインクにし、他のインクはUV光で見えるインクにする。こうすることによって、通常の光源および代替の専用光源の両方でファインダパターンを検出できる。この2種類のインクは、さらにカメラに対してそれぞれ異なる光学特性を提示してもよい。たとえば、可視光で見えるインクを光吸収インクにすることによってファインダパターン44が背景より暗い特徴として提示されるようにし、UV照明下で見えるインクを蛍光インクにすることによってファインダパターン44が背景より明るい特徴として観察されるようにしてもよい。
【0067】
ハードウェア適合性フラグを認証識別子30の一部として設ける代わりに、ハードウェア適合性フラグをデジタル符号化されたアイテム識別子38に符号化することもできる。このような実施形態の1つを図2に示す。この実施形態においては、適合性フラグ35は二次元バーコード50の一部である。ハードウェア適合性フラグを符号化する両手段を同一ラベル上に使用することによって、スキャナによって認証マークのどちらかの部分を読み取ったときにハードウェアの非適合性を検出できるようにすることもできる。
【0068】
次に図5を参照すると、バーコードを含むラベルを認証対応スキャナによって処理する方法600がフローチャートによって概説されている。この方法600は、図4と共に詳細に説明した方法400に従っているので、この2つの方法間の違いのみをここで要約する。認証対応スキャナは対象画像を取得し、アナログ認証標識が存在すると判定すると(615、618)、677および647においてハードウェア適合性フラグ(HCF)を調べる。上記のように、ハードウェア適合性フラグがアナログ標識の一部である場合は、ハードウェア適合性フラグを図6A〜6Dに図示されているような特殊なファインダパターンにすることができる。647および677において、ハードウェア適合性フラグによって示される刺激を与えるために適正なハードウェアが存在すると判定された場合は、図4に関して説明したように通常のプロセスに従う。当該ハードウェアが存在しない場合は、648および679において当該ハードウェアは非適合ハードウェアであるとユーザに警告し、復号化セッションが終了する。図2に示すようにハードウェア適合性フラグが2Dバーコードの一部である場合は、613においてハードウェア適合性フラグが分析される。適正なハードウェアが存在すると判定されると、図4で説明したように通常のプロセスに従う。適正なハードウェアが存在しない場合は、648において非適合ハードウェアであるとユーザに警告し、復号化セッションが終了する。これによって、ハードウェアの問題であることがユーザに知らされ、認証できない商品は処理されない。
【0069】
上記の説明から分かるように、ハードウェア適合性フラグを認証対応ラベルの一部として含めると、アナログ標識の読み取りに適正な刺激が用いられるか、あるいは適正な刺激ハードウェアを利用できない場合に操作者に警告される。本発明をある程度具体的に説明してきたが、当業者は、付属の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行えることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、アナログ識別標識およびデジタル識別標識の両方の撮像および復号化が可能な読み取り装置と、製品の容器ラベルに埋め込まれたアナログ識別標識および製品の不正開封防止シールに刻印された2Dバーコードに含まれたデジタル識別標識を含む製品と、を含む製品認証/識別システムの概略図である。
【図1A】図1Aは、図1のラップシールの模式的立面図である。
【図2】図2は、デジタル識別標識を含む図1の2Dバーコードに符号化された情報の概略図である。
【図3】図3は、アナログ識別標識およびデジタル識別標識の両方の撮像および復号化が可能な読み取り装置の概略図である。
【図4】図4は、図1の製品を認証するためにアナログおよびデジタル識別標識を処理するために読み取り装置によって使用される方法のフローチャートである。
【図5A】図5Aは、本発明の実施形態によるハードウェア適合性フラグを含むアナログまたはデジタル識別標識を処理するために読み取り装置によって使用される方法のフローチャートである。
【図5B】図5Bは、本発明の実施形態によるハードウェア適合性フラグを含むアナログまたはデジタル識別標識を処理するために読み取り装置によって使用される方法のフローチャートである。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【図6C】図6Cは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【図6D】図6Dは、本発明の一実施形態によるハードウェア適合性フラグを実装するために使用できるアナログ標識の輪郭パターンを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を識別または認証する方法であって、
a)複数の識別特徴から成るパターンを含むアナログ識別標識を設けることであって、該識別特徴の外見は適合する刺激機構によって刺激されるときに変化し、該識別特徴は、該識別特徴が適合する刺激機構によって刺激されるときに決定されることができるアイテム識別子に対応する、ことと、
b)該アイテム識別子の符号化されたデジタルバージョンを含むデジタル識別レコードを設けることと、
c)少なくとも1つの刺激機構を設けることと、
d)該アイテム識別子が決定されることができるように、該製品上の該識別特徴を変化させる少なくとも1つの適合する刺激機構を示すハードウェア適合性フラグを該製品に設けることと、
e)該ハードウェア適合性フラグを分析し、適合する刺激機構が既に設けられているか否かを判定することと、
f)適合する刺激機構が既に設けられている場合は、該アナログ識別標識の該識別特徴パターンを読み取ってアイテム識別子を復号化するために、該適合する刺激機構を起動す
ることと、
g)該デジタル識別レコードを読み取ってアイテム識別子を復号化することと、
h)該アナログ識別標識から決定された該アイテム識別子を該デジタル識別レコードから決定された該アイテム識別子と比較することにより、該製品の真正性を判定することと
を含む、方法。
【請求項2】
適合する刺激機構が未だ設けられていない場合に、適合する刺激機構が未だ設けられていないことをユーザに警告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザが、LEDの点灯によって警告される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザが、可聴警告音の鳴動によって警告される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
適合する刺激機構が、特定範囲内の波長を有する紫外線である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
適合する刺激が、可視光である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記デジタル識別レコードの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識のファインダパターンによって示される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ファインダパターンが、所与のハードウェア適合性フラグを示す少なくとも1つの属性を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アナログ識別標識が、ファインダパターンを含み、適合する刺激機構によって前記ファインダパターンの外観も変化させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
製品を認証するシステムであって、
a)該製品であって、
1)該製品に添付された識別特徴パターンを含むアナログ識別標識であって、適合する刺激機構にさらされたときに変化させられる外観を有する識別特徴を含み、該識別特徴は適合する刺激機構によって該識別特徴の外観が変化させられたときにアイテム識別子を表すために該識別特徴が復号化されることができる、アナログ識別標識と、
2)該アイテム識別子が決定されることができるように、該識別特徴を変化させる少なくとも1つの適合する刺激機構を示すハードウェア適合性フラグと、
3)該アイテム識別子の符号化されたバージョンを含むデジタル識別子と
を含む、製品と、
b)1つ以上の刺激機構と、該アナログ識別標識の画像および該デジタル識別子の画像を生成するための撮像システムとを含む、撮像装置と
を備える、システムにおいて、
c)該撮像装置が、
1)適合する刺激機構の有無を判定するために、該ハードウェア適合性フラグを読み取って分析し、
2)適合する刺激機構を起動し、
3)該識別特徴の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
4)該デジタル識別子の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
5)該製品を認証するために、該アナログ識別標識から求めた該アイテム識別子を該デジタル識別子から求めた該アイテム識別子と比較する
回路をさらに含むことを特徴とする、システム。
【請求項13】
適合する刺激機構が特定の波長範囲内の波長を有する紫外線である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
適合する刺激機構が、可視光である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記デジタル識別子に符号化される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識の一部である、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識のファインダパターンの1つ以上の属性である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
適合する刺激にさらされたときに識別されることができるように、前記ファインダパターンの外観が変化させられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
適合する刺激機構が、前記システムに含まれていない場合に、ユーザに警告する回路を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
バーコードスキャナによって製品を識別または認証するために格納されているコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、該製品はデジタル識別レコードとアナログ識別標識とがマーキングされており、該アナログ識別標識は適合する刺激機構にさらされたときに外観が変化させられる識別特徴を複数含み、該識別特徴は、該識別特徴が適合する刺激機構によって刺激されたときに決定されることができるアイテム識別子に対応しており、該ステップは、
a)該製品上のハードウェア適合性フラグを分析し、適合する刺激機構が設けられているか否かを判定することと、
b)適合する刺激機構が設けられている場合は、該アナログ識別標識の該識別特徴パターンを読み取ってアイテム識別子を復号化するために、該適合する刺激機構を起動することと、
c)デジタル識別レコードを読み取ってアイテム識別子を復号化することと、
d)該アナログ識別標識から求めた該アイテム識別子を該デジタル識別レコードから求めた該アイテム識別子と比較することによって、該製品の真正性を判定することと
を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記コンピュータ実行可能命令は、適合する刺激機構が未だ設けられていない場合には、適合する刺激機構が未だ設けられていないことをユーザに警告するステップを含む、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記デジタル識別レコードの一部である、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識の一部である、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
製品を認証するシステムであって、
a)該製品であって、
1)該製品に添付された識別特徴パターンを含むアナログ識別手段であって、該アナログ識別手段は適合する刺激機構にさらされたときに外観が変化する識別特徴を含み、適合する刺激機構によって該識別特徴の外観が変化したときに該識別特徴を復号化してアイテム識別子を表すことができるアナログ識別手段と、
2)該アイテム識別子が求められるように該識別特徴を変化させる少なくとも1つの適合する刺激機構を示すハードウェア適合性識別手段と、
3)該アイテム識別子の符号化されたバージョンを含むデジタル識別手段と
を含む、製品と、
b)1つ以上の刺激機構と、該アナログ識別手段の画像および該デジタル識別子の画像を生成する撮像システムとを含む、撮像装置と
を備える、システムにおいて、
c)該撮像装置が、
1)適合する刺激機構の有無を判定するために、該ハードウェア適合性フラグを読み取って分析し、
2)適合する刺激機構を起動し、
3)該識別特徴の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
4)該デジタル識別手段の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
5)該製品を認証するために、該アナログ識別手段から求めた該アイテム識別子を該デジタル識別手段から求めた該アイテム識別子と比較する
手段をさらに含むことを特徴とする、システム。
【請求項25】
適合する刺激機構が、前記システムに含まれていない場合にユーザに警告する警告手段を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項1】
製品を識別または認証する方法であって、
a)複数の識別特徴から成るパターンを含むアナログ識別標識を設けることであって、該識別特徴の外見は適合する刺激機構によって刺激されるときに変化し、該識別特徴は、該識別特徴が適合する刺激機構によって刺激されるときに決定されることができるアイテム識別子に対応する、ことと、
b)該アイテム識別子の符号化されたデジタルバージョンを含むデジタル識別レコードを設けることと、
c)少なくとも1つの刺激機構を設けることと、
d)該アイテム識別子が決定されることができるように、該製品上の該識別特徴を変化させる少なくとも1つの適合する刺激機構を示すハードウェア適合性フラグを該製品に設けることと、
e)該ハードウェア適合性フラグを分析し、適合する刺激機構が既に設けられているか否かを判定することと、
f)適合する刺激機構が既に設けられている場合は、該アナログ識別標識の該識別特徴パターンを読み取ってアイテム識別子を復号化するために、該適合する刺激機構を起動す
ることと、
g)該デジタル識別レコードを読み取ってアイテム識別子を復号化することと、
h)該アナログ識別標識から決定された該アイテム識別子を該デジタル識別レコードから決定された該アイテム識別子と比較することにより、該製品の真正性を判定することと
を含む、方法。
【請求項2】
適合する刺激機構が未だ設けられていない場合に、適合する刺激機構が未だ設けられていないことをユーザに警告することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザが、LEDの点灯によって警告される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザが、可聴警告音の鳴動によって警告される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
適合する刺激機構が、特定範囲内の波長を有する紫外線である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
適合する刺激が、可視光である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記デジタル識別レコードの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識のファインダパターンによって示される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ファインダパターンが、所与のハードウェア適合性フラグを示す少なくとも1つの属性を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アナログ識別標識が、ファインダパターンを含み、適合する刺激機構によって前記ファインダパターンの外観も変化させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
製品を認証するシステムであって、
a)該製品であって、
1)該製品に添付された識別特徴パターンを含むアナログ識別標識であって、適合する刺激機構にさらされたときに変化させられる外観を有する識別特徴を含み、該識別特徴は適合する刺激機構によって該識別特徴の外観が変化させられたときにアイテム識別子を表すために該識別特徴が復号化されることができる、アナログ識別標識と、
2)該アイテム識別子が決定されることができるように、該識別特徴を変化させる少なくとも1つの適合する刺激機構を示すハードウェア適合性フラグと、
3)該アイテム識別子の符号化されたバージョンを含むデジタル識別子と
を含む、製品と、
b)1つ以上の刺激機構と、該アナログ識別標識の画像および該デジタル識別子の画像を生成するための撮像システムとを含む、撮像装置と
を備える、システムにおいて、
c)該撮像装置が、
1)適合する刺激機構の有無を判定するために、該ハードウェア適合性フラグを読み取って分析し、
2)適合する刺激機構を起動し、
3)該識別特徴の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
4)該デジタル識別子の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
5)該製品を認証するために、該アナログ識別標識から求めた該アイテム識別子を該デジタル識別子から求めた該アイテム識別子と比較する
回路をさらに含むことを特徴とする、システム。
【請求項13】
適合する刺激機構が特定の波長範囲内の波長を有する紫外線である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
適合する刺激機構が、可視光である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記デジタル識別子に符号化される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識の一部である、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識のファインダパターンの1つ以上の属性である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
適合する刺激にさらされたときに識別されることができるように、前記ファインダパターンの外観が変化させられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
適合する刺激機構が、前記システムに含まれていない場合に、ユーザに警告する回路を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
バーコードスキャナによって製品を識別または認証するために格納されているコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、該製品はデジタル識別レコードとアナログ識別標識とがマーキングされており、該アナログ識別標識は適合する刺激機構にさらされたときに外観が変化させられる識別特徴を複数含み、該識別特徴は、該識別特徴が適合する刺激機構によって刺激されたときに決定されることができるアイテム識別子に対応しており、該ステップは、
a)該製品上のハードウェア適合性フラグを分析し、適合する刺激機構が設けられているか否かを判定することと、
b)適合する刺激機構が設けられている場合は、該アナログ識別標識の該識別特徴パターンを読み取ってアイテム識別子を復号化するために、該適合する刺激機構を起動することと、
c)デジタル識別レコードを読み取ってアイテム識別子を復号化することと、
d)該アナログ識別標識から求めた該アイテム識別子を該デジタル識別レコードから求めた該アイテム識別子と比較することによって、該製品の真正性を判定することと
を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記コンピュータ実行可能命令は、適合する刺激機構が未だ設けられていない場合には、適合する刺激機構が未だ設けられていないことをユーザに警告するステップを含む、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記デジタル識別レコードの一部である、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記ハードウェア適合性フラグが、前記アナログ識別標識の一部である、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
製品を認証するシステムであって、
a)該製品であって、
1)該製品に添付された識別特徴パターンを含むアナログ識別手段であって、該アナログ識別手段は適合する刺激機構にさらされたときに外観が変化する識別特徴を含み、適合する刺激機構によって該識別特徴の外観が変化したときに該識別特徴を復号化してアイテム識別子を表すことができるアナログ識別手段と、
2)該アイテム識別子が求められるように該識別特徴を変化させる少なくとも1つの適合する刺激機構を示すハードウェア適合性識別手段と、
3)該アイテム識別子の符号化されたバージョンを含むデジタル識別手段と
を含む、製品と、
b)1つ以上の刺激機構と、該アナログ識別手段の画像および該デジタル識別子の画像を生成する撮像システムとを含む、撮像装置と
を備える、システムにおいて、
c)該撮像装置が、
1)適合する刺激機構の有無を判定するために、該ハードウェア適合性フラグを読み取って分析し、
2)適合する刺激機構を起動し、
3)該識別特徴の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
4)該デジタル識別手段の画像を分析してアイテム識別子を復号化し、
5)該製品を認証するために、該アナログ識別手段から求めた該アイテム識別子を該デジタル識別手段から求めた該アイテム識別子と比較する
手段をさらに含むことを特徴とする、システム。
【請求項25】
適合する刺激機構が、前記システムに含まれていない場合にユーザに警告する警告手段を含む、請求項24に記載のシステム。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【公表番号】特表2008−542916(P2008−542916A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514706(P2008−514706)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/020354
【国際公開番号】WO2006/130444
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(305043582)シンボル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/020354
【国際公開番号】WO2006/130444
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(305043582)シンボル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】
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