説明

製薬組成物に関連する改良

a)i)非水溶性スタチン;ii)水溶性担体;iii)スタチンと担体のそれぞれのための溶媒、を含む混合物を準備する工程、及びb)混合物を噴霧乾燥し、各溶媒を除去して、担体中に実質的に無溶媒のスタチンナノ分散物を得る工程、を含む、非水溶性スタチンを含む組成物の生産方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬組成物に関連する改良に関する。
【0002】
詳細には、「スタチン」と称されるものを含有する製薬組成物およびそれらの前駆体に関する。
【背景技術】
【0003】
スタチンは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ(HMG−CoAレダクターゼ)の阻害により、血清LDLコレステロール濃度を減少すると解されている。アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシムバスタチンを含むいくつかのスタチンが既知である。
【0004】
スタチンは、冠状動脈心臓病、心筋梗塞、発作、及び抹消動脈疾患の治療のための使用について提案されており、スタチンは、炎症、痴呆、新生物性疾患、核性白内障、及び高血圧の治療において好ましい効果を有するようである。
【0005】
多くのスタチンは低水溶性を示し、実際には水に不溶性である。このことがその有効な用途を制限している。
【0006】
発明者らの同時係属国際特許出願PCT/GB03/03226は、水溶性ポリマー材料の3次元オープンセル格子を含む固体多孔性ビーズの形成を記載している。これらは、一般的に「鋳型」材料であって、水および非水性分散相の両方を、水性相中に溶解されたポリマーを有する高分散相エマルジョン(HIPE)から除去することによって形成される。この巨視的ビーズは、HIPEエマルジョンを液体窒素等の低温の流体中に滴下し、次に形成された粒子を凍結乾燥した後、水性相および分散相の大半を除去することによって、形成される。この結果、ポリマーが「骨格」構造の形態で後に残る。このビーズは、迅速に水に溶解し、ビーズのポリマー骨格を溶解した時に、凍結および乾燥前のエマルジョンの分散相中に分散していた非水溶性成分を水にも分散することができるという注目すべき特性を有する。
【0007】
国際公開第2005/011636号は、ポリマー中に薬剤の「固体非晶質分散物」を形成するための非エマルジョン系噴霧乾燥法を開示している。この方法では、ポリマーおよび低溶解度薬物を溶媒に溶解し、噴霧乾燥を施して、この薬物が、結晶形態ではなくほとんどが非晶質形態で存在している分散物を形成する。
【0008】
発明者らの同時係属国際特許出願GB0501835(2005年1月28日出願、2006年8月3日公開)およびGB0613925(2006年7月13日出願)は、水中でナノ分散物を形成すると見込まれる材料を調製し得る方法、好ましくは噴霧乾燥法を記載している。これらの出願の第一のものは、非水溶性材料をエマルションの溶媒相に溶解する。第二のものでは、すい不溶性材料を混合した溶媒システムに溶解し、水溶性構成化剤として同じ相に共存させる。どちらの場合も、噴霧乾燥等の方法によって、この液体を周囲温度を超えて(摂氏20度を超えて)乾燥し、その中に非水溶性材料を分散させる構造化剤の粒子を担体として生成する。これらの粒子を水に入れると溶解し、通常300nm未満の粒子となって非水溶性材料のナノ分散物を形成する。このサイズ尺度は、ウィルス粒子と同程度であり、非水溶性材料は、あたかも溶解しているように挙動する。
【0009】
WO 2003/103640(Elan Pharma International Ltd)は、ナノ粒子形態のスタチン(特にロバスタチンまたはシムバスタチン)を開示している。粒径は、2000nmから50nmまでと開示されている。これらのナノ粒子の生産方法は、粉砕、製粉、均一化、及び粒子化方法を含む。
【0010】
本出願では、「周囲温度」という用語は、摂氏20度を意味し、全ての百分率は、別段の指定がなければ重量百分率である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】同時係属国際特許出願PCT/GB03/03226
【特許文献2】国際公開第2005/011636号
【特許文献3】国際公開第2003/103640号
【特許文献4】米国特許第6849577号
【特許文献5】米国特許第6355675号
【特許文献6】米国特許第6113936号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは、水溶性のナノ分散形態のスタチンを生産するために、エマルジョン系の方法および単相の方法の両方を使用することができると、今や判定した。
【0013】
従って、本発明は、
a)i)非水溶性スタチン、
ii)水溶性担体、
iii)スタチンと担体のそれぞれのための溶媒、
を含む混合物を準備する工程;及び
b)前記混合物を噴霧乾燥して、各溶媒を除去し、担体中にスタチンの実質的に無溶媒のナノ分散物を得る工程
を含む、非水溶性スタチンを含む組成物の生産方法を提供する。
【0014】
本発明の分散生成物に適する好ましい粒度測定法には、動的光散乱計測器(Nano S、Malvern Instruments UK製造)を用いる。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm) 4mWのヘリウム-ネオンレーザーを使用し、材料の懸濁液を入れた標準光学特性のUVキュベットを照射する。本出願中で言及する粒度は、標準プロトコルを使用したこの装置で得られた値である。固体生成物中の粒径は、水中の固体の溶液によって得られる粒径の測定と、粒径の測定から与えられる粒径である。
【0015】
非水溶性スタチンのピーク直径は、800nm未満であることが好ましい。非水溶性スタチンのピーク直径が500nm未満であることが、より好ましい。本発明の特に好ましい実施形態では、非水溶性スタチンのピーク直径は200nm未満、100nm未満であることが最も好ましい。
【0016】
最終的ナノ分散物の粒度を減少させると、これ以外では非水溶性である材料の利用可能性を向上させる際に、重要な利点があると考えられる。このことは、生体利用率の大幅な向上を模索する場合、または材料が局部的に高濃度になるのを避けるべき類似の応用では特に有利であると考えられている。その上、小さな粒度のナノ分散物は、より大きな粒度のものより安定性が高いと考えられている。
【0017】
本発明の文脈では、スタチンについて適用される用語「非水溶性」は、水中への溶解度が10g/L未満であることを意味する。好ましくは非水溶性スタチンは、5g/L未満、好ましくは1g/L未満、特に好ましくは150mg/L未満、更により好ましくは100mg/L未満の周囲温度(摂氏20度)での水中への溶解度を有する。この溶解濃度は、本願において非水溶性によって意味されるものの企図される解釈を提供する。好ましい非水溶性スタチンは、
アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シムバスタチン、及びそれらの非水溶性誘導体を含む。例えばロバスタチン、メバスタチン、及びシムバスタチンの溶解度の範囲は、0.0013-0.0015mg/mlの間にある。
【0018】
好ましい担体材料は、水溶性無機材料、界面活性剤、ポリマー、糖、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
本発明のさらなる態様は、
a)i)スタチン用の非水混和性溶媒における、同じスタチンの溶液、および
ii)担体の水溶液
を含むエマルジョンを形成する工程と、
b)担体中の実質的に無溶媒のスタチンナノ分散物を得るために、エマルジョンを乾燥し、水および非水混和性溶媒を除去する工程
とを含む、非水溶性スタチンと水溶性担体とを含むスタチン組成物の調製方法を提供する。便宜上、この種の方法を、本明細書では「エマルジョン」法と称する。
【0020】
本発明のさらなる態様は、
a)i)少なくとも1種の非水溶媒、
ii)任意選択で水、
iii)(i)および(ii)の混合液に可溶な水溶性担体材料、および
iv)(i)および(ii)の混合液に可溶である非水溶性スタチン
を含む単一相混合物を準備する工程と、
b)担体中の実質的に無溶媒のスタチンナノ分散物を得るために、前記溶液を乾燥して水と水混和性溶媒を除去する工程、
とを含む、非水溶性スタチンと水溶性単体とを含むスタチン組成物の調製方法を提供する。
【0021】
便宜上、この種の方法を、本明細書では「単相」法と称する。
【0022】
本発明に関して、実質的に無溶媒とは、生成物の遊離溶媒の含有量が15%wt未満であって、10%wt未満であるのが好ましく、より好ましくは5%wt未満、最も好ましくは2%wt未満である。
【0023】
本発明に関して、担体材料およびスタチンの両方が、乾燥工程に先立ってそれぞれの溶媒中で本質的に完全に溶解していることが不可欠である。スラリーの乾燥を教示することは本明細書の範囲外である。それ故に誤解を避けるために、エマルジョンまたは混合物の実際の固体含有量は、存在する可溶性材料が、90%wtを超え、好ましくは95%を超え、より好ましくは98%を超えて乾燥工程前の溶液中にあるような場合である。
【0024】
上述の方法に関して、好ましいスタチンおよび好ましい担体材料は、上記の通りであり、下記にさらに詳述する通りである。同様に、材料の好ましい物理的特性は、上記の通りである。
【0025】
スタチンおよび担体材料の両方が、少なくとも1種の他の非水溶媒(および任意選択による水)を含む1相中に溶解している「単相」法が好ましい。この方法は、ナノ分散スタチンにより小さな粒度をもたらすのにより有効であると考えられている。一斉乾燥は、水と他の溶媒を除去するのが好ましく、周囲温度を超えた噴霧乾燥によって実現されるのがより好ましい。本発明の方法の特徴により得ることが可能な生成物は、冠状動脈心臓病、心筋梗塞、発作、抹消動脈疾患、炎症、痴呆、新生物性疾患、核性白内障、及び/または高血圧の治療のための医薬の調製における使用のために適している。
【0026】
本発明のさらなる態様は、本発明に従って組成物を調製する工程を含む、冠状動脈心臓病、心筋梗塞、発作、抹消動脈疾患、炎症、痴呆、新生物性疾患、核性白内障、及び/または高血圧の治療または予防における使用のための医薬の調製方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の様々な好ましい特徴および実施形態を、以下に、さらに詳細に記載する。
【0028】
スタチン:
上述のように、好ましい非水溶性抗寄生虫薬剤は、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シムバスタチン、及びそれらの誘導体と混合物からなる群から選択される、非水溶性抗マラリア薬剤である。これらは、本発明に係る組成物において単一の製薬活性成分として存在でき、または併用治療と称される治療を提供するための他の薬剤と共に存在できる。説明的な例として、シムバスタチンはエゼチミベと共に併用製剤で利用可能である。
【0029】
水分散性製品形態:
本発明は、これ以外では本質的に非水溶性である材料の水分散形態を得る方法を提供する。この形態は、水溶性担体材料および非水溶性スタチンの両方を溶解している、少なくとも部分的に非水性の中間体のエマルジョンまたは溶液を形成することによって調製する。溶媒が除去されると、不溶性スタチンは水溶性担体材料中に分散したまま残される。適当な担体材料を、さらに詳細に以下に記載する。
【0030】
中間体のエマルジョンまたは溶液の乾燥のために最も好ましい方法は、噴霧乾燥法等の直接に粉末を生成するものである。噴霧乾燥法は、非水性揮発性成分および残存する全ての水分の両方を除去する際に特に効果的であり、担体および「有効添加(payload)」材料を粉末形態で残す。乾燥工程は、さらに詳細に以下に記載する。
【0031】
乾燥工程後に得られる材料の構造は、よく理解されていない。非水溶性材料の個々の巨視的物体がこの乾燥生成物中には存在しないので、生じた乾燥粉末は、カプセル化されていないと考えられている。乾燥工程の後ではエマルジョンの「油」相を含む揮発性溶媒は、ほとんどまたは全く残っていないので、乾燥材料も「乾燥エマルジョン」ではない。水をこの乾燥生成物に加えても、「乾燥エマルジョン」という語のようなエマルジョンは再形成されない。また、本発明では、利点を失うことなく存在する成分の比率を変えることができるから、この組成物は、いわゆる固溶体ではないと考えられてもいる。X線およびDSCを用いた研究からも、本発明の組成物は、固溶体ではなく、ナノ尺度の相分離した混合物を含んでいる。
【0032】
乾燥工程後のこの組成物が、殺生物剤対担体として重量比で1:500〜1:1のスタチンおよび担体を含むのが好ましいであろうが、1:100〜1:1が好ましい。約10〜30%wtの非水溶性スタチンおよび90〜70%の担体という典型的な含量が、噴霧乾燥法で得ることができる。
【0033】
本発明の方法によって、スタチン材料の粒径は100nm未満に減少させることができ、約15nmに減少できる、好ましい粒径は40-15nmの範囲にある。
【0034】
「エマルジョン」調製法:
本発明による好ましい一方法では、非水溶性スタチン用の溶媒は水と混和しない。従って、水との混合に際してはエマルジョンを形成することができる。
【0035】
非水性相が約10%〜約95%v/vのエマルジョンを含むのが好ましく、約20%〜約68%v/vがより好ましい。
【0036】
このエマルジョンを、例えば、磁気撹拌子、ホモジナイザー、超音波処理機、または回転機械式撹拌器を使用して、当業者には周知の条件下で調製するのが一般的である。エマルジョンは、乾燥前に広範囲の相分離を起こさない限り、特に高度に安定している必要はない。
【0037】
高剪断混合装置を使用する均質化は、水性相を連続相とするエマルジョンを作るための特に好ましい方法である。この粗大エマルジョンを回避してエマルジョン分散相の液滴サイズを減少させると、乾燥生成物中の搭載材料の分散が向上する。本発明による好ましい方法では、水性相連続相エマルジョンを、分散相液滴の平均サイズが(Malvernピーク強度を使用して)500nmと5000nmとの間になるように調製する。「Ultra-Turrux」T25型実験用ホモジナイザー(または同等物)は、10,000rpm超で1分間を超えて作動させると適当なエマルジョンをもたらすことを見出した。
【0038】
エマルジョンの液滴サイズと搭載材料の粒度との間には方向性関係があるが、これらのサイズは、本発明の材料を水溶液中に分散した後で検出できる。発明者らは、前駆エマルジョン用の均質化の速さを増加させると、再溶解後の最終的粒度を減少させ得ると判定した。
【0039】
均質化の速度を13,500rpmから21,500rpmに増加すると、再溶解した粒度をほぼ半分に減少させ得ると考えられる。均質化の時間も、再溶解した粒度を制御することに関して役割を果たしていると考えられている。均質化の時間が増加する場合もやはり粒度が減少し、同時に粒度の分布もより広範囲になる。このような強力な混合は、本発明の方法の不可欠な工程ではないが、有利である。
【0040】
超音波処理も、エマルジョン系のために液滴サイズを減少させる、特に好ましい方法である。発明者らは、Hert Systems超音波発生装置(Sonicator)XL型をレベル10で2分間作動させるのが適当であることを見出した。
【0041】
溶媒及び/または担体に対する抗寄生虫剤の相対濃度を減少する化合物の割合は、より小さな粒径を与えると解される。
【0042】
「単相」調製法:
本発明による別法では、担体とスタチンの両方が、非水溶媒中または水と非水溶媒との混合物中のどちらかに可溶である。本明細書中のここおよび他所で、非水溶媒は非水溶媒(複数)の混合物であってよい。この場合、乾燥工程の供給原料は、水溶性担体と非水溶性スタチンの両方が溶解した単相材料を含む。担体とスタチンの両方が同じ相に溶解している限り、この供給原料がエマルジョンであることも可能である。
【0043】
「単相法」は、エマルジョン法より小さな粒度のより良好なナノ分散物をもたらすと、通常は考えられている。上述のように、粒度が小さいほど殺生物効果の強化をもたらす。
【0044】
溶媒および/または担体に対するスタチンの相対濃度を減少させた成分比率は、より小さな粒度をもたらすと考えられている。
【0045】
乾燥:
噴霧乾燥法は当業者には周知である。本発明の場合、乾燥するエマルジョン中に揮発性非水溶媒が存在するため、ある程度の注意を払わねばならない。可燃性溶媒が使用されている時は、爆発の危険性を低減するために、例えば窒素のような不活性ガスを、いわゆる密閉噴霧乾燥系において乾燥媒体として用いることができる。溶媒は、回収し、再使用することができる。
【0046】
本発明の実施には、「Buchi」B-290型実験用噴霧乾燥装置が適当であることを、発明者らは見出した。
【0047】
乾燥温度は、摂氏100°以上、好ましくは摂氏120°を超え、最も好ましくは摂氏140°を超えることが好ましい。乾燥温度を上昇させると再溶解したナノ分散材料においてより小さな粒子をもたらすことが見出された。
【0048】
担体材料:
担体材料は、水溶性で、構造化水性相ならびに単分散分子種の真のイオン溶液の形成を含む。担体材料は、無機材料、界面活性剤、ポリマーを含むのが好ましく、またはこれらの2種以上の混合物でもよい。
【0049】
糖等の他の非ポリマー性、有機性、水溶性材料も担体として使用することができると想定される。しかし、本明細書に具体的に記述された担体材料が好ましい。
【0050】
適当な担体材料(「水溶性担体材料」と称される)には、好ましい水溶性ポリマー、好ましい水溶性界面活性剤、および好ましい水溶性無機材料が含まれる。噴霧乾燥生成物で良好な粉末特性が得られるように、特に好ましい材料は、周囲温度において、軟質固体または半固体と対照的な固体である。
【0051】
担体材料の具体的な選択は、組成物の提案された最終用途に依存することになろうが、担体は、殺生物剤に有害な反応を起こすことなく、提案された用途に適合するように選択されるべきである。担体は、それ自体で活性を有することもできるが、そのような活性を有する水溶性材料を含有することもできる。例えば、本発明の農業への応用では、担体は、農薬活性を有する材料を含むことができる。
【0052】
好ましいポリマー担体材料:
適当な水溶性ポリマー担体材料の例には以下のものが挙げられる。
(a)天然ポリマー(例えば、グアーガム、アルギネート、ローカストビーンガム等の天然素材のガム、またはデキストラン等の多糖。
(b)例えば、キサンタンガム、キシログルカン、酢酸セルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの塩(例えば、SCMCナトリウム塩)、またはカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、およびその塩(例えば、ナトリウム塩)等のセルロース誘導体。
(c)以下のホモポリマー、または以下から選択される2種以上のモノマーから調製されるコポリマー:ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸エステル、アミノアルキルアクリル酸エステル、アミノアルキルメタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、ヒドロキシエチルメチルアクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアミン、ビニルピリジン、エチレングリコールおよび他のアルキレングリコール、エチレンオキサイドおよび他のアルキレンオキサイド、エチレンイミン、スチレンスルホン酸エステル、エチレングリコールアクリル酸エステルおよびエチレングリコールメタクリル酸エステル。
(d)例えば、β-シクロデキストリン等のシクロデキストリン。
(e)これらの混合物。
【0053】
ポリマー材料がコポリマーである場合には、統計コポリマー(従来、ランダムコポリマーとしても知られている)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、または多分岐コポリマーでもよい。上掲以外のコモノマーも、もしその存在が、生じるポリマー材料の水溶性または水分散性を損なわないならば、上掲のものに追加して含めてもよい。
【0054】
適当で好ましいホモポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド(ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド等の)、ポリメタクリルアミド;ポリアクリルアミン、ポリメチルアクリルアミン(ポリジメチルアミノエチルメタクリル酸エステルおよびポリ-N-モルホリノエチルメタクリル酸エステル等の)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸エステル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリ-2-エチルオキサゾリンポリエチレンイミン、およびそのエトキシ化誘導体が含まれる。
【0055】
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびアルギネートが、好ましいポリマー担体材料である。
【0056】
好ましい界面活性剤担体材料:
担体材料が界面活性剤である場合、この界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性または双性イオン性でもよい。
【0057】
適当な非イオン界面活性剤の例には、エトキシ化トリグリセリド、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、脂肪アミドエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、アルカン酸ソルビタン、エチル化アルカン酸ソルビタン、アルキルエトキシレート、Pluronics(商標)、アルキルポリグルコシド、ステアロールエトキシレート(stearol ethoxylates)、アルキルポリグリコシドが含まれる。
【0058】
適当な陰イオン界面活性剤の例には、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、サルコシン酸塩、アルキルスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、第2級n-アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、イセチオン酸スルホン酸塩が含まれる。
【0059】
適当な陽イオン界面活性剤の例には、脂肪アミン塩、脂肪ジアミン塩、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム界面活性剤、スルホニウム界面活性剤、スルホキソニウム界面活性剤が含まれる。
【0060】
適当な双性イオン界面活性剤には、アミノ酸のN-アルキル誘導体(例えば、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸)、イミダゾリン界面活性剤、アミンオキシド、アミドベタインが含まれる。
【0061】
界面活性剤の混合物を使用することができる。このような混合物中では、担体材料が全体として固体である限り、個々の成分は液体であってもよい。
【0062】
アルコキシル化非イオン性物質(特に例えば、Pluronic(商標)材料等のPEG/PPGおよび/またはPEG/アルコール非イオン界面活性剤)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エーテル硫酸塩(SLESを含めて)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、および陽イオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)は、界面活性剤担体材料として特に好ましい。
【0063】
界面活性剤担体材料が、水中での再分散粒度が100nm未満、特に40nm未満であると、本発明の実施形態に特に適当である。
【0064】
好ましい無機担体材料:
担体材料は、界面活性剤でもなくポリマーでもない水溶性無機材料であってもよい。上に記載のポリマー担体材料および/または界面活性剤担体材料との混合では特に、単純な有機塩が適当であることが見出された。適当な塩には、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、および酢酸塩、特にナトリウム、カリウム、およびマグネシウムの可溶性塩が含まれる。好ましい材料には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムが含まれる。これらの材料は、安価で生理的に許容可能であるという利点を有している。これらはまた、比較的不活性であると共に、家庭用品および医薬品に見出される多くの材料と適合する。
【0065】
混合担体材料には利点がある。好ましい混合物には、無機塩および界面活性剤、ならびにポリマーおよび界面活性剤の組合せが含まれる。
【0066】
特に好ましい混合物には、界面活性剤およびポリマーの組合せが含まれ、少なくとも以下の1種を含む:
a)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびアルギネート、ならびに以下の少なくとも1種;
b) アルコキシル化非イオン性物質(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エーテル硫酸塩(SLESを含む)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、および陽イオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)。
【0067】
担体材料は、界面活性剤でもポリマーでもなく、無機担体材料でもない水溶性低分子有機材料であってもよい。上に記載のポリマー材料および/または界面活性剤担体材料との混合では、特に単純な有機糖が適当であることが見出された。適当な低分子有機材料には、マニトール、ポリデキストロース、キシリトール、およびイヌリン等が含まれる。
【0068】
非水溶媒:
本発明の組成物は、揮発性の第二の非水溶媒を含む。上述のように、これは溶媒の混合物でもよい。この溶媒は、乾燥前の予混合物中に存在し得る他の溶媒(水を含めて)と混和してもよく、またはそうした溶媒と共にエマルジョンを形成してもよい。
【0069】
本発明の一代替形態では、スタチンおよび担体の存在下で水と単相を形成することができる単一の非水溶媒を用いる。これらの実施形態のための好ましい溶媒は、極性、プロトン性、または非プロトン性溶媒である。一般に、好ましい溶媒は、1を超える双極子モーメント、および4.5を超える比誘電率を有する。
【0070】
特に好ましい溶媒は、ハロホルム(好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム)、低級(C1〜C10)アルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、有機酸(好ましくは、蟻酸、酢酸)、アミド(好ましくは、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド)、ニトリル(好ましくは、アセトニトリル)、エステル(好ましくは、酢酸エチル)、アルデヒドおよびケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、アセトン)、ならびにヘテロ原子結合を含み、適度に大きい双極子を有する他の水混和性種(好ましくは、テトラヒドロフラン、ジアルキルスルホキシド)からなる群から選択される。前述の物質の混合物も用いることができる。
【0071】
ホロホルム、低級アルコール、ケトン、及びジアルキルスルホキシドは最も好ましい溶媒である。
【0072】
本発明の別の代替形態では、非水溶媒が水と混和性ではなく、エマルジョンを形成する。
【0073】
このエマルジョンの非水性相を、揮発性有機溶媒の次の群からの1個または複数個から選択するのが好ましい;
ヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン等のアルカン;
トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の環状炭化水素;
ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロトリクロロメタン、およびテトラクロロエタン等のハロゲン化アルカン;
酢酸エチル等のエステル;
2-ブタノン等のケトン;
ジエチルエーテル等のエーテル;
4〜6個のシリコンユニットを含有し、直鎖状または環状メチコンのどちらか等の揮発性環状シリコーン。
適当な例には、DC245およびDC345が含まれ、両者ともDow Corning Inc より入手可能である。
【0074】
好ましい溶媒には、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびジメチルスルホキシドが含まれる。
【0075】
好ましい非水溶媒は、混和性であろうとなかろうと、実用条件下で特殊な装置を使用することなく、乾燥、特に噴霧乾燥を促進するように、摂氏150°未満の沸点を有し、より好ましくは摂氏100°未満の沸点を有する。それらは、不燃性であるか、または本発明の方法で使用する温度を超える引火点を有することが好ましい。
【0076】
形成されるどのエマルジョンでも約10%〜約95%v/vの非水溶媒が含まれるのが好ましく、より好ましくは約20%〜約80%である。単相法では、溶媒の含量は、20〜100%v/vが好ましい。
【0077】
特に好ましい溶媒は、アルコール、特にエタノール、およびハロゲン化溶媒であり、塩素含有溶媒がより好ましく、(ジまたはトリクロロメタン)から選択される溶媒が最も好ましい。
【0078】
任意選択の共界面活性剤:
水性溶媒の外に、乾燥工程の前に、任意選択の共界面活性剤を組成物中に用いることができる。比較的少量の揮発性共界面活性剤を添加すると、生成する材料の粒径が減少することを発明者らは見出した。このことは、粒子体積に有意の影響を及ぼし得る。例えば、297nmから252nmへの減少は、約40%の粒度減少に相当する。従って、少量の共界面活性剤を添加することは、最終的な製品処方を変更することなく、本発明による材料の粒度を減少するための簡単で安価な方法を提供する。好ましい共界面活性剤は、<220℃の沸点を有する短鎖アルコールまたはアミンである。
【0079】
好ましい共界面活性剤は、直鎖アルコールである。好ましい共界面活性剤は、第1級アルコールおよびアミンである。特に好ましい共界面活性剤は、3〜6個の炭素のアルコールからなる群から選択される。適当なアルコール共界面活性剤には、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、ヘキシルアミン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0080】
共界面活性剤は、溶媒より少量(体積)で存在するのが好ましく、溶媒と共界面活性剤との体積比は、100:40〜100:2の範囲に収まるのが好ましく、100:30〜100:5がより好ましい。
【0081】
好ましい噴霧乾燥用供給原料:
噴霧乾燥用の典型的な供給原料は、以下を含む:
a)界面活性剤、
b)少なくとも1種の低級アルコール、
c)供給原料中に0.1%を超えて溶解する、少なくとも1種の非水溶性殺生物剤、
d)ポリマー、および
e)任意選択の水。
【0082】
好ましい噴霧乾燥用供給原料は、以下を含む:
a)ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の非水溶媒、
b)アルコキシル化非イオン界面活性剤(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エーテル硫酸塩(SLESを含めて)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、および陽イオン界面活性剤(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)と、それらの混合物から選択される界面活性剤、
c)0.1%を超える、少なくとも1種の非水溶性殺生物性薬剤、
d)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギネートと、それらの混合物から選択されるポリマー、ならびに
e)任意選択の水。
【0083】
本発明で使用する乾燥用供給原料は、エマルジョンまたは溶液のどちらかで、固形物を含有しないことが好ましく、未溶解のスタチンを全く含有しないことが特に好ましい。
【0084】
組成物中のスタチンの含量は、乾燥組成物中の添加量が40%wt未満、より好ましくは30%wt未満になるようなものであることが、特に好ましい。このような組成物は、上述のように小さな粒度および高い有効性という利点を有している。
【0085】
水分散形態:
水溶性担体材料を水と混合する場合、担体は溶解し、非スタチンは、多くの点で可溶性材料のように挙動するのに十分に微細な形態になって、水によって分散される。乾燥生成物中の非水溶性材料の粒度は、水に溶解した際、本明細書に記載されているMalvern法によって測定した場合、非水溶性材料が1ミクロン未満の粒度を有する程度であることが好ましい。水中に固体形態を分散した際、スタチンの粒度は有意に減少しないと考えられる。
【0086】
本発明を適用することによって、相当量の「非水溶性」材料を、多くの点で真の溶液と同等な状態にすることができる。乾燥生成物を水中で溶解する場合、0.1%超、好ましくは0.5%超、より好ましくは1%超の「非水溶性」材料を含む、任意に透明な「溶液」を実現することも可能である。
【0087】
溶液形態は、「そのまま」またはさらなる希釈もしくは他の成分との混合後の使用に適した形態であると想定される。別法として、本発明の実施態様の溶液形態は、併用治療での使用に適した医薬を生ずるために、他の活性剤と組み合わせてもよい。
【実施例】
【0088】
本発明をさらに理解し、実践できるように、非限定的実施例に関してさらに以下に記載する。
【0089】
一定範囲の製剤を、各種の賦形剤、各種の活性成分の量、及び各種の製造条件に基づいて生産した。
【0090】
賦形剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF, Herlus)、ポリビニルピロリドン(PVP k30, Aldrich)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC, Mw 10k, 5cps, Aldrich)、ポリエチレングリコール(PEG, Mw 6000, Fluka)、Tween 80(Aldrich)、プルロニックF68(BASF)、プルロニックF127(Aldrich)、Span 80(Aldrich)、Cremphor RH40(BASF)、マンニトール(Aldrich)、及びアルギン酸ナトリウム(Aldrich)から選択された。
【0091】
活性成分の量は10重量%から30重量%まで変化し、噴霧乾燥温度は120℃から160℃まで変化した。シムバスタチンの粒径は100nmから2nm程度の小ささまで変化した。
【0092】
これらの製剤の詳細は以下に記載されている。
【0093】
実施例1:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.00gのKlucel EF、0.44gのHPMC、及び0.16gのプルロニックF68を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後60mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0094】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で120℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0095】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、217nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0096】
実施例2:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.00gのKlucel EF、0.34gのHPMC、及び0.16gのプルロニックF127、及び0.10gのTween 80を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後60mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0097】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で120℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0098】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、125nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0099】
20mgのシムバスタチン用量と80mgのシムバスタチン用量に基づく二つの溶解試験を、標準的なUSP2試験に従って製剤#15/39/28について実施した。その結果は以下に記載されている。
【表1】

【0100】
実施例3:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.00gのKlucel EF、0.60gのHPMCを100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後60mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0101】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0102】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、277nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0103】
実施例4:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.44gのKlucel EF、0.16gのPEG6000を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、透明な溶液が得られた。
【0104】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0105】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、467nmの粒径を有する半透明のナノ分散物を生じた。
【0106】
実施例5:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.00gのKlucel EF、0.18gのHPMC、0.16gのPEG6000、0.16gのプルロニックF127、及び0.10gのTween 80を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後60mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0107】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0108】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、105nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0109】
実施例6:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.34gのKlucel EF、0.16gのプルロニックF127、及び0.10gのCremphor RH40を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後60mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0110】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0111】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、120nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0112】
20mgのシムバスタチン用量と80mgのシムバスタチン用量に基づく二つの溶解試験を、標準的なUSP2試験に従って製剤#15/39/41について実施した。その結果は以下に記載されている。
【表2】

【0113】
実施例7:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.18gのKlucel EF、0.16gのプルロニックF68、0.16gのプルロニック F127、及び0.10gのSpan 80を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後60mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0114】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0115】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、162nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0116】
実施例8:20重量%の搭載量
0.40gのシムバスタチン、1.40gのKlucel EF、0.10gのTween 80、及び0.10gのSpan 80を100mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、透明な溶液が得られた。
【0117】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0118】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、139nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0119】
実施例9:30重量%の搭載量
0.30gのシムバスタチン、0.57gのKlucel EF、0.05gのPEG6000、0.05gのプルロニックF127、及び0.03gのTween 80を50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後30mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0120】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0121】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、202nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0122】
実施例10:30重量%の搭載量
0.30gのシムバスタチン、0.65gのKlucel EF、0.025gのTween 80、及び0.025gのSpan 80を50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、透明な溶液が得られた。
【0123】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0124】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、328nmの粒径を有する半透明のナノ分散物を生じた。
【0125】
実施例11:20重量%の搭載量
0.20gのシムバスタチン、0.40gのKlucel EF、0.10gのプルロニックF127、0.10gのTween 80、及び0.20gのマンニトールを50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後30mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0126】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で140℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0127】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、151nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0128】
20mgのシムバスタチン用量に基づく一つの溶解試験を、標準的なUSP2試験に従って実施例11から得られた製剤について実施した。その結果は迅速な溶解製剤を示した。
【表3】

【0129】
実施例12:20重量%の搭載量
0.20gのシムバスタチン、0.50gのKlucel EF、0.10gのプルロニックF127、及び0.20gのマンニトールを50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後30mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0130】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で140℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0131】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、211nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0132】
20mgのシムバスタチン用量に基づく一つの溶解試験を、標準的なUSP2試験に従って製剤#15/39/77について実施した。その結果は非常に迅速な溶解正座愛を示した。
【表4】

【0133】
実施例13:20重量%の搭載量
0.20gのシムバスタチン、0.60gのKlucel EF、0.05gのプルロニックF127、0.05gのTween 80、及び0.10gのマンニトールを50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、その後30mlの蒸留水を添加した。透明な溶液が得られた。
【0134】
次いで溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0135】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、145nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0136】
実施例14:20重量%の搭載量
0.20gのシムバスタチン、0.60gのKlucel EF、0.10gのプルロニックF127、0.025gのTween 80、及び0.025gのSpan 80を50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌し、透明なエタノール溶液を形成した。0.05gのアルギン酸ナトリウムを30mlの蒸留水に溶解した。エタノール溶液と水溶液を共に混合し、透明な混合物が得られた。
【0137】
次いで混合物を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0138】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、206nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0139】
実施例15:20重量%の搭載量
0.20gのシムバスタチン、0.60gのKlucel EF、0.15gのプルロニックF127を50mlの無水エタノール中に全て分散した。エタノール懸濁物を約30分間磁性バーで激しく攪拌した。0.05gのアルギン酸ナトリウムを30mlの蒸留水に溶解した。エタノール分散物と水溶液を共に混合し、透明な混合物が得られた。
【0140】
次いで混合物を、2.5ml/分の液体供給速度で160℃でBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で噴霧乾燥した。白色の自由流動パウダーが得られた。
【0141】
20mgの乾燥パウダーを10mlの蒸留水に分散し、276nmの粒径を有する結晶性の透明なナノ分散物を生じた。
【0142】
20mgのシムバスタチン用量に基づく一つの溶解試験を、標準的なUSP2試験に従って実施例15から得られた製剤について実施した。その結果は非常に遅延した溶解製剤を示した。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)i)非水溶性スタチン
ii)水溶性担体
iii)スタチンと担体のそれぞれのための溶媒
を含む混合物を準備する工程、並びに
b)混合物を噴霧乾燥し、各溶媒を除去して、担体中の実質的に無溶媒のスタチンナノ分散物を得る工程
を含む、非水溶性スタチンを含む組成物の生産方法。
【請求項2】
a)i)抗寄生虫剤用の非水混和性溶媒における、同じ抗寄生虫剤の溶液、および
ii)担体の水溶液
を含むエマルジョンを準備する工程、並びに
b)エマルジョンを噴霧乾燥し、水と非水混和性溶媒を除去し、担体中の実質的に無溶媒のスタチンナノ分散物を得る工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)i)少なくとも1種の非水溶媒、
ii)任意選択で水、
iii)(i)および(ii)の混合液に可溶な水溶性担体材料、および
iv)(i)および(ii)の混合液に可溶である非水溶性スタチン
を含む単一相混合物を準備する工程、並びに
b) 前記溶液を噴霧乾燥し、水と水混和性溶媒を除去し、担体中の実質的に無溶媒のスタチンナノ分散物を得る工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
噴霧乾燥工程が摂氏120℃以上の温度で実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
担体材料がポリマー及び/または界面活性剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
担体材料が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびアルギネートの少なくとも一つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
担体材料が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、エーテル硫酸塩界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、またはエステル界面活性剤の少なくとも一つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
非水性溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびジメチルスルホキシドの少なくとも一つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって組成物を調製する工程を含む、冠状動脈心臓病、心筋梗塞、発作、抹消動脈疾患、炎症、痴呆、新生物性疾患、核性白内障、及び/または高血圧の治療または予防における使用のための医薬の調製方法。

【公表番号】特表2009−542763(P2009−542763A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518834(P2009−518834)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056563
【国際公開番号】WO2008/006715
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】