説明

製袋ユニットおよび製袋機

【課題】製袋機を再構成する時に、製袋ユニットの除去や追加の作業が容易であり、追加される場合に、予めオフラインで準備しておくことができる製袋ユニット、および製袋品の仕様変更が容易で、短時間で段取りが行える製袋機を提供する。
【解決手段】連続したフィルムFをシールして袋を成形する製袋機に用いられる加工装置30,40,50,60と連結分離のための移動を可能にする移動手段32,42,52,62とを備え、分離自在に連結されて前記製袋機を構成することが可能な製袋ユニット31,41,51,61であって、前記製袋ユニット31,41,51,61は、前記加工装置30,40,50を作動させる駆動手段33,43,53を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム等のウェブを用いて袋を製袋する製袋ユニットおよび製袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横方向(略水平方向)に配置したフィルム等のウェブを間欠的または連続的に搬送しつつ各種加工を施して袋を製袋する製袋機は、上流の原反フィルムを繰り出す側から、下流の袋が帯状に連設されたフィルムを送り出して個々の袋に断裁する側まで一体に形成されたフレーム(機枠)を備える。そして従来の製袋機は、このベースとなるフレーム上に複数のステーションを設け、それぞれのステーションに、原反フィルムを繰り出す繰出し装置、袋本体を成形するシール装置、シール部を冷却する冷却装置、袋が帯状に連設されたフィルムを送り出して個々の袋に断裁する断裁装置等の各種機能を有する加工装置を設置して構成される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この様な従来の製袋機においては、仕様(構造、形状、寸法等)が異なる袋を製袋する場合、製袋機を構成するステーションに設置されたシール装置等の加工装置の交換、付加あるいは除去等の作業をするために、製袋機全体を停止させた状態で該当するステーションに対して作業を行う必要がある。このため製袋品の変更に際して、製袋に必要な加工装置の部分的な交換、付加あるいは移動等の段取りに時間がかかるという問題がある。
【0004】
この様な問題に対して、特許文献1の製袋機においては、フレーム上でステーションを上流・下流に移動可能に構成し、フィルムの流れ方向の袋の寸法(例えば、袋が横向きで製袋される横取り製袋における平袋の幅)を変更するに際しては、ステーションごとシール装置や冷却装置をサーボモータで移動するようにしたので、流れ方向の寸法変更における段取り時間の短縮には効果的である。
しかし、後述するスタンディングパウチの幅変更、流れに直交する方向の寸法(例えば、二面横取り製袋における袋の高さ)や袋の構造・形状を変更する場合には、依然として、製袋機を構成するシール装置等の各加工装置の交換や付加等の作業を行うために大掛かりな段取りが必要になり、段取りに長時間を要する。
例えばシール形状の異なる包装袋を製造する場合には、製袋機全体を停止させ、シール歯型が冷めるのを待ってから別のシール歯型に交換し、新たなシール歯型を加熱して所定の温度に達するのを待って製袋を再開する必要がある。このため、シール歯型の交換作業には極めて長時間を要するという問題がある。
さらに、特定の機能を有する装置を付加または除去する場合は、新たなステーションを増設するための改造が必要となる。しかも、製袋機のフレームに新たなステーションを増設するためのスペースがない場合は、フレームも改造することとなる。
【0005】
この様な問題を解決する提案として、特許文献2には、縦形製袋充填包装機であって、純然たる製袋機ではないが、製袋装置を構成する包材成形モジュール、繰出動作モジュール、横シーラ動作モジュール、縁シーラ動作モジュール等の各モジュールがモジュールフレームを個別に含み、これらモジュールフレームは上下方向に隣接するモジュールフレーム同士が分離可能に連結され、前記製袋装置のメインフレームを構築することを特徴とする縦形製袋充填包装機が記載されている。
【0006】
特許文献2に記載の縦形製袋充填包装機は、新規に受注した包装機の納期短縮のみを目的としており、顧客から要求された仕様が予め(縦形製袋充填包装機の組立前に)決定されているので、各モジュールフレームを下から上に順に連結することで容易に対応することができる。
しかし、この包装機は、ベースとなる横シーラフレーム上に各モジュールフレームを積み上げて構築される。そして、購入した顧客が包装機の仕様を変更することを想定していないため、一度構築したメインフレームを分解して再構築する作業を容易にするという技術的思想を有しない。そのため、日常の製袋充填工程において、仕様が異なる袋を製袋充填するようにこの包装機を改造しようとして、途中のモジュールフレームを分離して必要な機能を有するモジュールフレームを付加または交換する場合には、それより上のモジュールフレームすべてを順に取り外す必要がある。
したがって、この包装機においては、各種機能がモジュール化されていても、メインフレームを構成するモジュールフレームの変更は容易ではないし、交換にも時間がかかる。またベースとなる横シーラフレームの強度や機械全体の重量バランス(安定した自立性)から、増設されるモジュールフレーム数も自ずと制限を受ける。
【0007】
さらに、特許文献2に記載の縦形製袋充填包装機は、納期短縮のみを目的としており、購入した顧客が包装機の仕様を変更することを想定していないため、完全なメインフレームとして構築が完了して初めて作動が可能であり、個々のモジュールフレームは、分離した状態で独立して作動可能とされていない。
そのため、例えばシール形状の異なる包装袋を製造する場合、仮にモジュールフレームごとシール歯型を交換することができたとしても、包材をシールする際のシール歯型の当接状態(型当り)の調整は、シール部材を所定の温度に昇温して行うので、所定温度に達するまで待って作業を行う必要がある。
また、包装フィルムの材質が変更となる場合は、シール条件も変更する場合があるが、このシール条件を設定する場合も所定温度に昇温するまで待って作業を行う必要がある。
したがって、この包装機においては、これらの作業を行う間、包装機を停止しておく必要があるので、段取りに長時間を要し、生産性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−326295号公報
【特許文献2】特開2008−001397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製袋機を再構成する時に、製袋ユニットの除去や追加の作業が容易であり、追加される場合に、オンラインで運転する他の製袋ユニットとは別に、あるいはそれらの製袋ユニットの予備として、予めオフラインで準備しておくことができる製袋ユニット、および製袋品の仕様変更が容易で、短時間で段取りが行える製袋機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、連続したフィルムをシールして袋を成形する製袋機に用いられる加工装置と連結分離のための移動を可能にする移動手段とを備え、分離自在に連結されて前記製袋機を構成することが可能な製袋ユニットであって、前記製袋ユニットは、前記加工装置を作動させる駆動手段を備えることを特徴とする製袋ユニットを提供する。
前記製袋ユニットは、コンピュータによる制御手段を備え、前記加工装置の制御をコンピュータの記憶装置に記憶可能とされたことが好ましい。
前記製袋ユニットに搭載される前記加工装置は、前記フィルムを引き取って送り出す搬送装置、前記フィルムにシールを施すシール装置、前記フィルムに印刷されて間欠的に現出する同一図柄間の距離を測定して前記フィルムの搬送量を制御する搬送ピッチ制御装置、前記フィルムに型押しおよび/または型抜きを施す加飾装置および成形された袋が帯状に連設された前記フィルムを個々の袋に断裁して、または、断裁することなく送出する送出装置から選ばれる一または複数の加工装置であることが好ましい。
前記製袋ユニットは、前記繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して着脱可能に連結する連結部を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、本発明の製袋ユニットの一または複数と、連続したフィルムを供給する繰出し装置とが、分離自在に連結されて構成されたことを特徴とする製袋機を提供する。
前記製袋ユニットは、前記繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して分離自在に連結されたことが好ましい。
前記製袋ユニットは、分離して少なくとも前記フィルムの搬送方向に移動可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製袋ユニットによれば、送出装置やシール装置等の加工装置を備える製袋ユニットが車輪等の移動手段を備えるので、移動することが容易であり、繰出し装置と組み合わせて製袋機を構成すると、製袋ユニットの除去や追加の作業を容易に行うことができる。
しかも、各製袋ユニットが搭載された加工装置を作動する駆動手段を備えるので、製袋ユニットを追加する場合に、他の製袋ユニットがオンラインでの運転中に予めオフラインで動作確認や所定の温度にまで昇温させておく等の準備ができる。これにより、段取りからこの時間を削減できるので、生産性の低下を抑えることができる。
また、本発明の製袋ユニットがコンピュータによる制御手段を備えると、加工装置の制御をコンピュータの記憶装置に記憶させておくことができる。これにより、予めオフラインで準備した加工装置の制御等を記憶させておくことができ、製袋ユニットを製袋機に組み込んだときに、加工装置の制御等を再度設定する手間を省略できるので、生産性の低下を抑えることができる。
また、本発明の製袋ユニットが連結部を備えると、繰出し装置と組み合わせて製袋機を構成した時にフィルムの搬送が正確に行え、精度良く製袋することができる。
【0013】
本発明の製袋機によれば、各製袋ユニットの除去や追加の作業を容易に行うことができるので、製袋品の仕様変更が容易で、短時間で段取りが行える製袋機とすることができる。
また、本発明の製袋機の製袋ユニットを、繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して分離自在に連結して製袋機を構成すると、フィルムの搬送が正確に行え、精度良く製袋することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の製袋機の一例を模式的に示す正面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の製袋ユニットを模式的に示す正面図である。
【図3】本発明の製袋ユニットの連結部および該連結部に用いられる連結治具、位置決めピンおよび係止用凹部の一例を示す断面図である。
【図4】図3の製袋ユニット間を分離したときの連結治具、位置決めピンおよび係止用凹部を示す断面図である。
【図5】本発明の製袋機の改変例を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本発明の製袋ユニットを備える本発明の製袋機の一例を模式的に示す。また、図2には、本発明の製袋ユニットの例である(a)シール装置40、(b)搬送ピッチ制御装置60、(c)加飾装置50、(d)送出装置30の一例を、それぞれ分離した状態で示す。
【0016】
本形態例の製袋機10は、原反フィルム22fがロール状に巻回された原反ロールから長手方向に連続したフィルムFとして繰り出して供給する繰出し装置20と、本発明の製袋ユニットの一または複数とを備える。
本形態例の繰出し装置20は、本形態例の製袋機10の基点としての役割を果たすため床面Bに固定されている。また、固定されることで、原反ロールが重い場合であっても安定した繰り出しを行うことができる。
繰出し装置20は、ブレーキや駆動手段を備えて原反フィルム22fを繰り出す繰出し軸22と、原反フィルム22fをカッター23cにより幅方向中央で2枚に切断(半裁)して複葉の基材フィルム23f,23fとなす複葉化手段23と、所定の隙間を介して搬送されていた一対の半裁された基材フィルム23f,23fの内面同士を対向させ、かつ表裏の図柄の位置を一致させて、上下に重なり合うように制御して搬送する合わせロール24と、それぞれの基材フィルム23f,23fの送りを連続送りから間欠送りに変換するためにアキュムレートする上下一対または複数対のダンサロール25,25と、複葉の基材フィルム23f,23fの間に挿入される他の基材フィルム26fを繰り出す繰出し軸26と、略同一幅の基材フィルム23f,23fの間に他の基材フィルム26fを重ね合わせて引き取って送り出す引取手段27を備えている。引取手段27は、例えば一対の駆動ロールを用いることができる。
つまり、本形態例のフィルムFは、一対の基材フィルム23f,23fとその間に挿入された他の基材フィルム26fとから構成されている。
繰出し軸22は、1本に限らず、複数本であってもよく、複数本が回転可能なターレットに搭載されていても良い。
【0017】
なお、繰出し装置20は、図5に示す製袋機10Aのように、他の基材フィルム26fを省略しても本発明を実施することが可能である。また、他の基材フィルム26fに代えてポリチャックと呼ばれる嵌合部材を採用することもできる。なお、ポリチャックが長尺の連続シート体の形態で段ボール箱につづら折りやボビン巻き状態で収納されている場合は、繰出し軸26の代わりに、該シート体をこの段ボール箱内から繰り出して用いることができる。さらに、他の基材フィルム26fを繰り出す繰出し軸26は複数設けることができ、例えば、前記嵌合部材と他の基材フィルム26fの両方を採用することもできる。
また、予め表裏一対に分離された基材フィルム23fを用いる場合は、複葉化手段23を省略しても本発明を実施することが可能である。
また、複葉化手段23、合わせロール24、ダンサロール25、繰出し軸26、引取手段27は、それぞれ単独で、あるいは、複数が併載されて、独立した製袋ユニットに搭載されていても良い。
【0018】
複葉化手段23において原反フィルム22fを半裁する前および後には、鉛直方向に対して45°に配置された棒状の案内手段(ターンバー)23aを設けて、原反フィルム22fの幅方向が鉛直方向となるように方向転換して、原反フィルム22fが摺動する挟角90°のV字状の切り欠きが一対のターンバー23b,23bとなる板状の案内手段(M板)を設けて、一対のターンバー23b,23bの接続部(中央)に設けられたカッター23cで半裁を行う。その後、半裁された一対の基材フィルム23fの幅方向が水平方向となるように一対のターンバー23b,23bで方向転換を行う。
なお、原反フィルム22fを繰り出す繰出し軸22を鉛直方向に配置する場合は、ターンバー23aを省略しても本発明を実施することが可能である。
また、特に図示しないが、複葉化手段は、原反フィルムをその長手方向に沿って断裁するカッター23cを備えるものに限らず、原反を幅方向中央で2つ折りにして複葉の基材フィルムとなす複葉化手段を用いることもできる。
【0019】
合わせロール24,24は、サーボモータ(図示せず)により一方または両方が移動可能とされ、基材フィルム23f,23fの一方または両方を重ね合わせの送り方向である上流・下流方向及び基材フィルム23f,23fの幅方向に移動可能とされている。また、合わせロール24を移動するサーボモータの作動は、基材フィルム23f,23fのピッチ印刷図柄及び幅方向両端部の位置をそれぞれ検出する光学センサ(図示せず)と、これら光学センサの出力値に基づき、基材フィルム23f,23fのピッチ印刷図柄及び幅方向両端部の位置をそれぞれ比較して、上下の各基材フィルム23f,23fの送り方向及び幅方向に沿った位置ずれを検出する制御手段(図示せず)により制御されている。上記光学センサには、例えば光電管やCCDカメラ等が使用される。
【0020】
本形態例の製袋機10は、製袋ユニットとして、包装袋が連続して成形されたフィルムFを引き取って個々の包装袋に切断して送り出す送出装置30を搭載した製袋ユニット31と、フィルムFをシールする1つまたは複数のシール装置40を搭載した製袋ユニット41と、フィルムFを型押しおよび/または型抜きによって包装袋本体に加飾を施す加飾装置50を搭載した製袋ユニット51と、フィルムFに印刷されて間欠的に現出するピッチ制御用マークまたは特定の図柄(以下、これらを「ピッチ印刷図柄」という。)の間隔測定によりフィルムFの搬送ピッチを制御する搬送ピッチ制御装置60を搭載した製袋ユニット61を備えている。これらの製袋ユニットは、それぞれ互いに分離して移動可能であり、後述する連結治具を用いて繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して分離自在に連結されている。
【0021】
送出装置30は、引取手段27と同様にフィルムFを引き取って送り出すための装置であり、例えば一対の駆動ロールを用いることができる。本形態例の場合、引取手段27は、上流のダンサロール25,25でアキュムレートされた連続送りのフィルムFを引き取って下流側に間欠的に送り出す。一方、送出装置30は、包装袋が連続して帯状に成形されたフィルムFを引き取って個々の包装袋に断裁して送り出す。引取手段27と送出装置30の送出しは連動しており、そのタイミングおよび量は、製袋機10全体を統括的に制御するコンピュータ(図示せず)で制御される。このように両者の送出量を調整することで、搬送時のフィルムFの搬送量および張力が調整される。
【0022】
なお、フィルムFの搬送に際しては、例えばフィルムFの搬送距離が長いなどの場合において、繰出し装置20(より詳しくは引取手段27)と送出装置30との中間位置やその他の位置に、フィルムFを引き取って送り出す搬送装置(図示せず)を設けることができる。この種の搬送装置は、本発明の製袋ユニットにおいて、加工装置として組み込むことができる。搬送装置としては、例えば搬送ローラや挟持バー等の部材を駆動してフィルムを移動させる。搬送装置を備える本発明の製袋ユニットは、搬送ローラや挟持バー等とともに、これらを駆動するためのサーボモータやエアシリンダ等の駆動手段が搭載されている。
【0023】
送出装置30の下流側には、製袋が完了し包装袋が帯状に連続したフィルムFをその幅方向に断裁する断裁手段34が設けられている。送出装置30や断裁手段34は、それらを駆動するためのサーボモータや油圧シリンダ等の駆動手段33とともに製袋ユニット31に搭載されている。断裁手段34でフィルムFを断裁して得られる包装袋を受け取るため、ベルトコンベアやプレートチェーンコンベヤ等の搬送手段、包装袋を所定数量ずつ集積する集積手段を備える受け取り装置(図示せず)、包装袋を所定の数量ずつまとめて箱詰めする箱詰め装置(図示せず)等を追加して製袋機10に設けることもできる。
【0024】
なお、本発明において送出装置30は、引き取ったフィルムFを個々の包装袋に断裁してさらに下流に送り出す加工装置に限らず、引き取ったフィルムFを送り出してロール状に巻き取る加工装置であっても良い。この場合、フィルムFをその幅方向に断裁する断裁手段34は、省略され、代わりに巻取り手段が設けられる。そして、これらの断裁手段34、受け取り装置、箱詰め装置や巻取り装置は、床面Bに設置されていても良いが、製袋ユニット31に送出装置30とともに搭載されていても良いし、独立した別の製袋ユニットに搭載されて連結されていても良い。
【0025】
シール装置40は、本発明の製袋機10においては、少なくとも一つは必須のフィルムにシールを施す加工装置であり、製袋ユニット41に搭載されている。
シール装置40は、包装袋の仕様に応じた所定のシール歯型(図示せず)を交換可能にセットでき、シール歯型を駆動するためのサーボモータや油圧シリンダ等の駆動手段を有し、ヒートシール、インパルスシールや超音波シール等でフィルムFをシールすることが可能である。シール装置40がヒートシールによりフィルムFをシールするものである場合、例えば、ヒートシールするための温度制御用の温度センサ、加熱用ヒータ(図示せず)を備える上下一対のシール歯型でフィルムFを挟んで温度コントローラで温度制御しながら加熱してシールを行い、冷却水用ジャケット(図示せず)を備える上下一対の冷却歯型で挟んで加熱されたシール部を冷却する。
シール歯型や冷却歯型は、シールや冷却する間はフィルムFに当接して、フィルムFを加熱または冷却、および加圧し、シールや冷却が完了すると、フィルムFから離間する必要がある。そのようにシール歯型を駆動するためのサーボモータや油圧シリンダ等の駆動手段43がそれぞれの製袋ユニット41にシール歯型や冷却歯型とともに搭載されている。
【0026】
シール歯型の形態は、包装袋本体の縦シールや横シール、包装袋本体に付加する注出口やポリチャックなどの取付けシール等、シールする対象に応じて適宜設定できる。通常、製袋機10は、シール装置40を複数備え、個々のシール歯型は形態が異なるものを別々の製袋ユニットに搭載して組み合わせることができる。
なお、シール装置40は、シール歯型と冷却歯型が必ずしも対になって設けられる必要はなく、それぞれが独立したシール装置として、それぞれ別の製袋ユニットに搭載されていても良い。
そして、シール歯型や冷却歯型は、上下動するので、これらの歯型とともに包装袋を開封するためのノッチを形成する歯型を製袋ユニット41に搭載することもできる。
【0027】
加飾装置50は、製袋ユニット51に搭載され、フィルムFを型押しおよび/または型抜きによって加工する装置である。加飾の目的としては、包装袋に意匠性を付与するためや液体用の包装袋に注出口を形成するためにフィルムFを包装袋の外形に沿ってトリミングしたり、注出口となる部分のフィルムに注出口の流路を拡大するためや文字や図柄の凹凸をつけて包装袋に意匠性を付与するための膨らみ部を形成したりすること等が挙げられる。また、型抜きによってノッチを形成しても良い。
【0028】
加飾装置50は、型押しや型抜きに用いられる型を駆動するためのサーボモータやエアシリンダ等の駆動手段53とともに製袋ユニット51に搭載されている。本形態例においては、加飾装置50がシール装置40の下流側に配置されているが、シール装置40と加飾装置50の設置順序は任意であり、シール前またはシール途中のフィルムFを加飾することもできる。また、加飾装置50を、製袋ユニット51に搭載して複数設けることも可能である。
【0029】
搬送ピッチ制御装置60は、製袋ユニット61に搭載され、フィルムFに印刷されたピッチ印刷図柄の位置測定によりフィルムFの搬送ピッチを制御する装置である。具体的には、例えば基材フィルム23fに設けられたピッチ印刷図柄をCCDカメラ等の光学センサにより検知し、該光学センサから得られた情報を直接または製袋機10全体を統括的に制御するコンピュータを介して引取手段27および/または送出装置30に伝送し、これらの送出量を調節して、フィルムFの搬送量や張力などを制御することにより搬送ピッチを制御する。
【0030】
本形態例の製袋機10は、送出装置30を備える製袋ユニット31、シール装置40を備える製袋ユニット41、加飾装置50を備える製袋ユニット51、搬送ピッチ制御装置60を備える製袋ユニット61の本発明の各製袋ユニットが、連結分離のための移動を可能にする移動手段を備えている。移動手段は、例えば車輪(本形態例においては、自由に走行方向を変えられるキャスタ)32,42,52,62であり、床面B上でフィルムFの搬送方向およびフィルムFの搬送方向に交差する方向(例えば図1の紙面に垂直な方向)への移動が容易である。これにより、これらの加工装置を交換、付加あるいは除去する際には、製袋ユニット31、41,51,61ごと移動させて容易に製袋機10を再構築することが可能である。
【0031】
具体的には、製袋機10を再構築するに際し、不要な製袋ユニットをフィルムFの搬送方向に交差する方向へ排出し、必要な製袋ユニットをフィルムFの搬送方向に交差する方向から挿入する。挿入に際して、空きスペースがない場合は、挿入する位置より下流の製袋ユニットをさらに下流に移動して、挿入するスペースを確保することができる。
そして、製袋機10を再構築するに際し、空きスペースが発生する場合は、製袋ユニットを上流に移動して空きスペースを埋めることが好ましい。これにより、繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して連結するために、後述する連結治具や位置決めピンを用いて連結することが可能となる。
【0032】
本形態例の製袋機10においては、各製袋ユニットは、床面や天井に断面が凸状または凹状のレールを敷設して、移動可能としても良い。この場合は、各製袋ユニットには、レールに沿う移動を容易とする移動手段(走行手段)として、車輪やクローラなどが設けられることが好ましい。もちろん、移動手段は、レールに滑らかに摺動する摺動部であっても良い。そして、フィルムFの搬送方向に交差する方向にも移動を容易とするために、例えば電車のレール軌道を切り替える装置の様な切替装置を設けることが好ましい。
レールを敷設した場合は、繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持することが容易となる。この場合、レールは、ある程度の精度で形成されていることが好ましい。また、車輪は、必ずしもキャスタのように自由に方向を変えられるものである必要はなく、車軸が固定されたものでも良い。そして、そのような車輪は、駆動手段を設けたり、ラックとピニオンを組み込んで移動を補助したりすることで、フィルムFの搬送方向への移動が容易となる。
なお、車輪がキャスタである場合、床面Bは、ある程度の精度で水平かつ平坦に設けられていれば、連結治具3と位置決めピン4を用いて製袋ユニット同士を連結するだけで十分な位置精度を実現することができ、調整作業は不要である。
【0033】
製袋ユニット31,41,51,61は、互いに、あるいは繰出し装置20と、連結治具を用いて着脱可能に連結可能であると、繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持することができ、フィルムの搬送が正確に行え、精度良く製袋することができるので好ましい。
そのような連結治具について図3、図4を用いて説明する。なお、図3、図4では、繰出し装置20および製袋ユニット31,41,51,61のそれぞれを区別せず、互いに連結される2つの隣接した製袋ユニット1,2として説明する。製袋ユニットの一方を符号1で、他方を符号2で示している。
【0034】
図3に示すように、本形態例における連結治具3は、それぞれの製袋ユニット1,2に設けられた連結板3aと、連結板3aに形成された取付穴3bに挿通されるボルト3cと、このボルト3cに締付けられるナット3dから構成されたものを用いることができる。この例では、両方の製袋ユニット1,2にわたってボルト3cを連結板3aの取付穴3bから挿通し、ボルト3cの頭部と3個のナット3dでそれぞれの連結板3aを挟み込むことで、ボルト3cの抜け止めと、緩みを防止している。
なお、一端に頭部を有するボルト3cの代わりに、両端にねじを有する控えボルト(ステーボルト)を用い、それぞれの連結板3aを2つずつのナット3dで挟み込むように連結しても良い。
【0035】
また、製袋ユニット1,2同士の間の連結箇所において、製袋ユニット1,2間の距離を正確に決めるために長さを調整した部品を配することもできる。そのような部品としては、例えば、位置決めする大径の胴部4aとその胴部4aの両端から突出して連結治具3の脱落を防止する小径の係止部4bとからなる位置決めピン4を挙げることができる。
位置決めピン4の使用方法は、位置決めピン4の係止部4bを製袋ユニット1に設けられた係止用凹部5に挿入嵌合して水平方向に突出させ、さらに他方の製袋ユニット2に設けられた係止用凹部5に位置決めピン4の係止部4bを挿入嵌合するようになっている。
【0036】
そして、連結治具3を用いて製袋ユニット1,2間を連結する際に、位置決めピン4のそれぞれの係止部4bをそれぞれの係止用凹部5に挿入嵌合することにより、位置決めピン4が脱落することなく設けられ、製袋ユニット1,2間の位置精度を確保することができる。そして、製袋ユニット1,2を精度良く位置決めするためには、製袋ユニット1,2間に少なくとも1つ以上、好ましくは3つ以上の位置決めピン4を設置することが望ましい。
つまり連結治具3は、位置決めの機能も有するが、むしろ位置決めピン4の脱落防止の機能を有すると言える。したがって、位置決めピン4のそれぞれの係止部4bと製袋ユニット1,2の係止用凹部5との挿入嵌合は、精度が高くなくても差し支えないし、強度も高くなくても差し支えない。ただし、この位置決めピン4の胴部4aは、製袋ユニット1,2間に挟み込まれて両端から軸方向に押圧力を受けても耐久し得る、相応の強度と精度が必要である。
【0037】
本形態例の場合、係止用凹部5に対して位置決めピン4の係止部4bが挿入される方向は、フィルムFの搬送方向に沿う方向(順方向および逆方向)である。したがって、連結治具3の着脱は、製袋ユニット1,2間の分離や連結と同時に行うことができる。
このように、連結治具3や位置決めピン4のように隣接する製袋ユニット1,2間を連結する連結部を備える場合、フィルムの搬送やフィルムに対する加工装置の位置決めが正確に行え、精度良く製袋することができる。また、製袋ユニット1,2間の連結部に限らず、製袋ユニットの位置関係を保持するため、床面、天井、レールなどの移動経路において所定の位置に製袋ユニットを案内したり位置決めしたりする手段を設けることもできる。
【0038】
本形態例の製袋機10によれば、製袋ユニット31,41,51が加工装置30,40,50を作動させる個別の駆動手段33,43,53を備えているので、これらの製袋ユニットの交換、付加あるいは除去の際に、製袋ユニット31,41,51単独の運転が可能になる。これにより、製袋機10の再構築に際し、新たに構成員となる製袋ユニットについて、予め十分な時間をかけて動作確認や作動条件の設定を行うことができる。
なお、製袋機10が、センサ装置や検査装置等のように駆動手段を必要としない加工装置を含む場合は、駆動手段を有しない製袋ユニットを併用することもできる。この場合も、各製袋ユニットが移動手段を有すると、交換、付加あるいは除去の作業が容易となる。
【0039】
そして、本形態例の製袋ユニット31,41,51,61は、図示しないコンピュータによる制御手段を備え、加工装置30,40,50,60の制御をコンピュータにより記憶可能とされているので、予め十分な時間をかけて設定した作動条件を記憶しておくことができる。
したがって、仕様(構造、形状、寸法等)が異なる袋を製造する場合、フィルムFの搬送を停止し、製袋ユニット31,41,51,61ごと交換、付加あるいは除去すれば、直ちに運転を再開することができる。
【0040】
例えば、底部に折り込みフィルムを有するスタンディングパウチは、横取り製袋でなければ製袋できない袋の代表例である。そして、底部の折り込みフィルムは、円弧状にシールされる。したがって、スタンディングパウチを製袋していて、袋の幅を変更する場合、シール形状の異なる底シール歯型を使用する必要がある。この場合、従来は、製袋機全体を停止させ、底シール歯型が冷めるのを待ってから別の底シール歯型に交換し、新たな底シール歯型を加熱して所定の温度に達するのを待って製袋を再開する必要がある。このため、交換作業には極めて長時間を要する、という問題があった。
これに対して、本形態例の製袋機10によれば、仕様の異なる底シール歯型を備えたシール装置40を別々の製袋ユニットに搭載することができるので、予め準備をしておくことができる。
【0041】
具体的には、例えば、第1の底シール歯型を用いて第1の仕様のスタンディングパウチを製造した後、第2の底シール歯型を用いて第2の仕様のスタンディングパウチを製造するためには、第1の底シール歯型を備えた第1のシール装置40を第1の製袋ユニット41に搭載し、これとは別に、第2の底シール歯型を備えた第2のシール装置40を第2の製袋ユニット41に搭載する。
そして、第2の底シール歯型を加熱し、その温度や型当りを調整する作業は、交換作業の開始前、すなわち、交換前に行っていた第1の仕様のスタンディングパウチを製袋している最中に行う。この時のシール温度やシール圧力の調整は、第2の製袋ユニット41に搭載されたコンピュータで行い、得られた結果をそのコンピュータの記憶装置に記憶させる。
【0042】
そして、第1の底シール歯型を第2の底シール歯型に交換する作業は、製袋機10を停止させた後、第1の底シール歯型が冷めるのを待つことなく、第1のシール装置40を第1の製袋ユニット41ごと製袋機10から退避させるとともに、第2のシール装置40を第2の製袋ユニット41ごと製袋機10に組み込む。
これらの手順により、底シール歯型の交換作業を極めて迅速に行うことができる。
【0043】
つまり、本発明の製袋機10によれば、製袋ライン稼働中に別の製袋ユニットで歯型交換等の準備作業が可能であり、交換の準備が済んだ製袋ユニットを用意しておいて稼働中の製袋ユニットを停止させて、そのまま交換することで、製袋機10の停止時間を極限まで短くし、生産効率を高めることができる。
本発明の製袋機10においては、各製袋ユニットは、フィルムFの幅方向に対して左右のいずれの側にも出し入れ可能なので、例えば第1の製袋ユニットを製袋機10内から右側に出し、第2の製袋ユニットを左側から製袋機10内に組み込む(または左右を反対にしても良い。)ことにより、交換作業を一層迅速に行うことができる。
【0044】
また、本発明の各製袋ユニットを連結した本発明の製袋機10においては、それぞれの製袋ユニットを連動させた制御が可能である。
具体的には、各製袋ユニット同士の制御を連動させるため、製袋機10全体を統括的に制御するコンピュータを別途設け、有線または無線で各製袋ユニットに搭載されたコンピュータを制御する信号を伝送する。この信号に基づいて、例えば、上述した第2の製袋ユニット41に搭載されたコンピュータがシール温度やシール圧力の調整で得られた結果に基づいて第2のシール装置40を制御する。このように製袋機10全体を統括的に制御するコンピュータが各製袋ユニットに搭載されたコンピュータを制御することで、各製袋ユニットに搭載されたコンピュータが行う各製袋ユニットに搭載された加工装置の制御が連動したものとなる。
あるいは、各製袋ユニットに搭載されたコンピュータの記憶装置に記憶された加工条件のデータを、製袋機10全体を統括的に制御するコンピュータが読み出し、直接、各製袋ユニットに搭載された加工装置を制御するようにしても各製袋ユニットに搭載された加工装置の制御が連動したものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、スタンディングパウチや平袋、ガゼット袋等の各種包装袋の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
F…フィルム、1…一方の製袋ユニット、2…他方の製袋ユニット、3…連結治具(連結部)、4…位置決めピン、5…係止用凹部、10,10A…製袋機、20…繰出し装置、22,26…繰出し軸、22f…原反フィルム、23f…基材フィルム、26f…他の基材フィルム、30…送出装置(加工装置)、40…シール装置(加工装置)、50…加飾装置(加工装置)、60…搬送ピッチ制御装置(加工装置)、31,41,51,61…製袋ユニット、32,42,52,62…車輪(移動手段)、33,43,53…駆動手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したフィルムをシールして袋を成形する製袋機に用いられる加工装置と連結分離のための移動を可能にする移動手段とを備え、分離自在に連結されて前記製袋機を構成することが可能な製袋ユニットであって、前記製袋ユニットは、前記加工装置を作動させる駆動手段を備えることを特徴とする製袋ユニット。
【請求項2】
前記製袋ユニットは、コンピュータによる制御手段を備え、前記加工装置の制御をコンピュータの記憶装置に記憶可能とされたことを特徴とする請求項1に記載の製袋ユニット。
【請求項3】
前記製袋ユニットに搭載される前記加工装置は、前記フィルムを引き取って送り出す搬送装置、前記フィルムにシールを施すシール装置、前記フィルムに印刷されて間欠的に現出する同一図柄間の距離を測定して前記フィルムの搬送量を制御する搬送ピッチ制御装置、前記フィルムに型押しおよび/または型抜きを施す加飾装置および成形された袋が帯状に連設された前記フィルムを個々の袋に断裁して、または、断裁することなく送出する送出装置から選ばれる一または複数の加工装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の製袋ユニット。
【請求項4】
前記製袋ユニットは、前記繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して着脱可能に連結する連結部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の製袋ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の製袋ユニットの一または複数と、連続したフィルムを供給する繰出し装置とが、分離自在に連結されて構成されたことを特徴とする製袋機。
【請求項6】
前記製袋ユニットは、前記繰出し装置および/または隣接する他の製袋ユニットとの位置を所定の関係に保持して分離自在に連結されたことを特徴とする請求項5に記載の製袋機。
【請求項7】
前記製袋ユニットは、分離して少なくとも前記フィルムの搬送方向に移動可能であることを特徴とする請求項5または6に記載の製袋機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−786(P2011−786A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145249(P2009−145249)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】