説明

製袋充填機におけるシール装置

【課題】筒状フィルムの搬送路を挟んで対向する一対のシール体が筒状フィルムを挟持した状態で筒状フィルムの搬送方向に直線的に移動し得る簡素な構成からなる製袋充填機におけるシール装置を提供する。
【解決手段】作動体14の回転により、上下のシール体8,9が押圧体26に連係して両シール体8,9の対向方向及び筒状フィルムの搬送方向に移動する。この対向方向の移動において、両シール体8,9が当接しても、押圧体26は作動体14の回転によって移動することで、コイルばね34が下シール体9を付勢し、両シール体8,9が対向方向における噛合位置を維持した状態で筒状フィルムの搬送方向へ直線的に移動して筒状フィルムに所定のシール圧を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のフィルムに所定のシールを施して包装袋を得るようにした製袋充填機のシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帯状フィルムを筒状に成形しながら筒状フィルム中に物品を供給して所定のシールを施して包装品を得るシール装置としては、上下に対向して配設された一対のシール体が互いに接近して筒状フィルムを挟持した当接状態で筒状フィルムの搬送方向の上流側から下流側へ移動しながら離間して筒状フィルムにシールを施すようにボックスモーション運動を行うものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に示されたシール装置においては、ばねによって付勢された一方のシール体が、一対のシール体の当接状態で、他方のシール体により押圧されてばねの付勢力に抗して退避するため、半径方向へ幾分つぶれた円弧軌跡を描くように移動する。その退避に伴い、筒状フィルムが両シール体によって搬送される方向と交差する向きに引張力を受け、シール動作が不安定になる問題があった。
【0004】
そこで、特許文献2に示されたシール装置においては、一対のシール体の当接状態で収縮するばねを夫々のシール体に配設すると共に、駆動歯車や偏心歯車等の駆動伝達機構により、両シール体の当接面が筒状フィルムの搬送方向の上流側から下流側へ直線的に移動するように改善されている。しかし、経年劣化等によってばね定数が変化して、一方のシール体側のばねの付勢力と他方のシール体側のばねの付勢力とのバランスが崩れると、両シール体の当接状態における高さ位置が変化し、両シール体の移動軌跡が設定状態とは異なってしまうため、それらのばねの付勢力等を厳しく管理しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2969258号公報
【特許文献2】特許第4190714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、筒状フィルムの搬送路を挟んで対向する一対のシール体が筒状フィルムを挟持した状態で筒状フィルムの搬送方向に直線的に移動し得る簡素な構成からなる製袋充填機におけるシール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態(図1〜4に示す第1実施形態、図5に示す第2実施形態)のうち第1実施形態の図面の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明に係る製袋充填機のシール装置は、筒状フィルム(4)の搬送路を挟んで対向する一対のシール体(8,9)が筒状フィルム(4)を挟持して筒状フィルム(4)の搬送と共に移動して横シールを施すものであって、下記の作動手段(14)と可動手段(26,29)と一方の支持手段(31〜33)と他方の支持手段(22〜24)と力伝達手段(35)と付勢手段(34)とを備えている。作動手段(14)は駆動源(16)に連係して回転する。可動手段(26,29)は、作動手段(14)の偏心位置で作動手段(14)に回動可能に支持されて作動手段(14)の回転に伴い両シール体(8,9)の対向方向及び筒状フィルム(4)の搬送方向に移動する。一方の支持手段(31〜33)は、一方のシール体(9)を支持し、前記可動手段(26,29)に連係して両シール体(8,9)の対向方向及び筒状フィルム(4)の搬送方向に移動する。他方の支持手段(22〜24)は、他方のシール体(8)を支持し、前記可動手段(26,29)に連係して両シール体(8,9)の対向方向及び筒状フィルム(4)の搬送方向に移動する。力伝達手段(35)は、前記両支持手段(31〜33、22〜24)に接続されて一方の支持手段(31〜33)とは相反する対向方向に他方の支持手段(22〜24)を移動させる。付勢手段(34)は、前記可動手段(26,29)と一方の支持手段(31〜33)の間に配設されると共に、可動手段(26,29)の移動に伴い両シール体(8,9)の噛合時に所定のシール圧を付与する。
【0008】
請求項1の発明では、作動手段(14)が回転すると、一対のシール体(8,9)は可動手段(26,29)に連係して両シール体(8,9)の対向方向及び筒状フィルム(4)の搬送方向に移動する。この対向方向の移動において、両シール体(8,9)が当接しても、可動手段(26,29)は作動手段(14)の回転によって移動することで、付勢手段(34)が一方のシール体(9)を付勢する。従って、一対のシール体(8,9)は対向方向における噛合位置を維持した状態で筒状フィルム(4)の搬送方向へ直線的に移動して筒状フィルム(4)に所定のシール圧を付与することができる。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記付勢手段(34)は両シール体(8,9)の噛合時に前記可動手段(26,29)により押されて所定のシール圧の付与に相当する弾性力を発生するばね(34)を備えている。請求項2の発明では、ばね(34)を利用した簡素な構成の付勢手段を採用することができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記一方の支持手段(31〜33)は、両シール体(8,9)の対向方向に延出した延出部(32)を複数有しており、複数の延出部(32)によって前記可動手段(26,29)が移動可能に支持されている。請求項3の発明では、可動手段(26,29)を複数の延出部(32)によって安定性良く移動させることができる。
【0011】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記力伝達手段(35)は、筒状フィルム(4)の搬送方向に移動可能に支持されたガイド体(20)と、このガイド体(20)によって回動可能に支持された回動体(36)と、この回動体(36)の回動中心から離間した回動体(36)における位置で一方の支持手段(31〜33)に回動可能に支持された一方のリンク(37)と、この回動体(36)の位置とは異なる離間位置で他方の支持手段(22〜24)に回動可能に支持された他方のリンク(38)とを有している。請求項4の発明では、回動体(36)と一方のリンク(37)と他方のリンク(38)とを利用した簡素な構成の力伝達手段(35)を採用することができる。
【0012】
請求項1〜4の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明は、前記付勢手段(34)を一方のシール体(9)の下方に配設し、該付勢手段(34)で前記一方のシール体(9)を上方に付勢して所定のシール圧を付与する横形製袋充填機である。請求項5の発明では、一方のシール体(9)を上方に付勢するように付勢手段(34)を一方のシール体(9)の下方に配設してことから、付勢手段(34)等の清掃や調整等、メンテナンスを行なう際に有利である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、筒状フィルムの搬送路を挟んで対向する一対のシール体が筒状フィルムを挟持して、筒状フィルムの搬送と共に直線的に移動し得る製袋充填機におけるシール装置を簡素に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る横形製袋充填機を正面から見た略体図。
【図2】第1実施形態におけるシール装置を側面から見た略体図。
【図3】第1実施形態におけるシール装置を正面から見た略体図。
【図4】第1実施形態におけるシール体の位置とコイルばねとの変化を示す図。
【図5】第2実施形態におけるシール装置を側面(搬送方向)から見た略体図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の第1実施形態について図1〜4を参照して説明する。
図1に示す横形製袋充填機においては、原反ロール1から引き出された帯状フィルム2が製袋手段3で筒状に成形されて、その筒状フィルム4に縦シール手段5で縦シールが施されると共に、供給コンベヤ6から物品7が所定間隔毎に筒状フィルム4中に供給され、筒状フィルム4の搬送路を挟んで対向する上下のシール体8,9間に搬送される。下シール体9(一方のシール体)及び上シール体8(他方のシール体)は、筒状フィルム4を挟持した状態で筒状フィルム4と共に筒状フィルム4の搬送方向の下流側に直線的に移動しながら横シールを施し、筒状フィルム4から互いに離間するボックスモーション運動を繰り返す。このため、筒状フィルム4中の物品7の前後位置で筒状フィルム4が一対のシール体8,9によって挟持されて筒状フィルム4の搬送方向に対し交差する左右方向に横シールされ、筒状フィルム4が切断されてピロー包装品が得られる。
【0016】
図2及び図3に示すように、支持枠10は、筒状フィルム4の搬送路の左右両側に配設されたサイドフレーム11によって一部が構成されている。各サイドフレーム11における支持パネル12には、円盤状のギヤ部を有する作動体14(作動手段)が回転可能に支持されていると共に駆動シャフト15が支持されている。駆動シャフト15の2箇所には、連動ギヤ15aが取着されており、各連動ギヤ15aが各作動体14の外周に配設されたギヤ歯14aに噛合されている。更に、一方の支持パネル12の外側にはサーボモータ16(駆動源)が配設されている。そのサーボモータ16の駆動力は、プーリー伝達手段17により駆動シャフト15に伝達され、各連動ギヤ15aを介して各作動体14のギヤ歯14aに入力される。そのため、各作動体14はサーボモータ16に連係して所定方向に回転する。
【0017】
各支持パネル12の下端部の前後方向(筒状フィルム4の搬送方向)における両側にはステー18が支持パネル12の内側へ突出しており、各ステー18間にはガイドロッド19が支持パネル12に対し平行に前後方向へ延びるように架設されている。各ガイドロッド19には支軸21によって互いに連結されたガイド体20が前後方向へ移動可能に支持されている。各ガイド体20にはスライドロッド22(他方の支持手段)が上下方向へ移動可能に嵌入されている。各スライドロッド22の上端間及び下端間には夫々連結体23,24(他方の支持手段)が架設されている。上側の連結体23には上シール体8が取着されている。
【0018】
各ガイド体20の上方で一対のスライドロッド22には押圧体26(可動手段)がガイド体20に対して接近・離間し得るよう架設されている。押圧体26は、各スライドロッド22を上下方向へ移動可能に嵌入しており、押圧体26の左右両側下部は、作動体14の偏心位置で作動体14から突出した偏心ピン14bと軸受(不図示)を介して連結されている。押圧体26の中央付近には中空状に形成された筒体29(可動手段)が挿着されており、各筒体29には軸部32(延出部)が筒体29に対し上下動可能に挿嵌されている。各軸部32の上端は筒体29から突出しており、下シール体9を支持する台部31(一方の支持手段)に取着されており、各軸部32(一方の支持手段)の下端は棒状の連結体33(一方の支持手段)に取着されている。台部31と押圧体26の間には、コイルばね34(付勢手段)が軸部32の外周に巻装されて筒体29に配設されており、コイルばね34は筒体29から外周に延出形成されたフランジ29aを押圧体26に常に付勢している。連結体33の左右両端部には軸受33bが取り付けられ、押圧体26に形成された溝26aに対し上下動可能に嵌め込まれている。
【0019】
連結体33にはトグルリンク機構35(力伝達手段)が連結されている。トグルリンク機構35は、ガイド体20と、ガイド体20に配設された支軸21と、支軸21に回動可能に支持された回動体36と、上リンク37(一方のリンク)と、下リンク38(他方のリンク)とを備えている。上リンク37は、回動体36の一方の端部36a及び連結体33に対し夫々回動可能に支持されている。下リンク38は、回動体36の他方の端部36b及び連結体24に対し夫々回動可能に支持されている。なお、上リンク37と下リンク38とは、支軸21を回動中心に点対称で動くよう、リンクの長さや取付け角度などが設定されている。
【0020】
各作動体14がサーボモータ16に連係して所定方向に1回転する間に偏心ピン14bの高さ位置が変化して押圧体26の高さ位置が上下に変化する。押圧体26が所定の高さ位置に上昇するまでは、コイルばね34が長さを一定に保った状態で台部31を上方へ押圧することから、押圧体26と一緒に、台部31及び台部31と連結された軸部32、連結体33、下シール体9も上昇する。連結体33の上昇に伴って、トグルリンク機構35を介して、他方の支持手段である下側の連結体24とスライドロッド22と上側の連結体23と上シール体8が下方へ移動するため、上下のシール体8,9が互いに接近する。そして、押圧体26が前記所定の高さ位置まで上昇すると、両シール体8,9は当接状態になる(図4(a))。
【0021】
上下のシール体8,9が互いに当接した後も、作動体14における偏心ピン14bが最上方に位置するまでは、作動体14の回転により押圧体26が上方へ移動する。この両シール体8,9の当接後における押圧体26の上方への移動においては、両シール体8,9が当接していることから、押圧体26は筒体29でコイルばね34を縮めながら下シール体9を支持する台部31に接近し、筒体29の下端が連結体33から離間した状態が継続する。この間、押圧体26から連結体33への動力がコイルばね34によって吸収されて、連結体33が下シール体9と共に停止して上リンク37及び下リンク38の回動角度が維持されることから、上下のシール体8,9の噛合位置が保持され、両シール体8,9間にはコイルばね34の収縮によってシール圧が得られる。本実施形態では、図4(b)のごとく、押圧体26の移動によってコイルばね34が最大で長さLだけ収縮して筒体29の下端部が連結体33の凹部33aから最大長さLだけ離れてシール圧を得るよう設定されている。なお、一対のシール体8,9が筒状フィルム4を挟持して、筒状フィルム4にシール圧を付与する両シール体の噛合時には、コイルばね34が押圧体26の移動によって収縮する最大長さは、フィルムの厚みによって実質長さLより短くなる。
【0022】
その後、作動体14の回転が継続すると押圧体26が下方へ移動する。この押圧体26の下方への移動においては、図4(c)に示すように、押圧体26が下シール体9から離れる方向に長さLだけ移動するまでは連結体33には押圧体26から直接動力が伝達されず、上リンク37及び下リンク38の回動角度が図4(a)及び図4(b)と同じ角度に維持される。この間、コイルばね34の押圧が徐々に緩められる。押圧体26が下シール体9から長さLだけ離れて筒体29の下端部が連結体33の凹部33aに当接する(図4(d)参照)と、両シール体8,9が次のサイクルで当接状態(図4(a)の状態)になるまで連結体33と押圧体26とコイルばね34と下シール体9とが同じ位置関係を維持したまま、上下のシール体8,9が互いに徐々に離間した後、徐々に接近する。
【0023】
スライドロッド22を上下移動可能に支持するガイド体20が支持パネル12によって前後方向に移動可能に支持されていることから、図1のごとく、上下のシール体8,9は対向状態を維持しながら、上シール体8が仮想線Vの軌跡で移動し、下シール体9が仮想線Wの軌跡で移動する。更に、上下のシール体8,9は図4(a)の当接状態になってから図4(b)の噛合状態を経て図4(c)の当接状態が終了する直前までの間、両シール体8,9の噛合位置を常に同じ高さ位置hに保持した状態で、特定の範囲だけ直線的に移動する。即ち、図1においては両シール体8,9は仮想線Xに一致するように筒状フィルム4の搬送方向下流に向けて直線的に移動する。そして、上下のシール体8,9が直線的に移動する間にコイルばね34が収縮することで、両シール体8,9によって筒状フィルム4に所定のシール圧が付与され、横シールが施される。
【0024】
次に、本発明の第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に図5を参照して説明する。なお、第1実施形態の構造と同じであるものについては、第1実施形態と同じ符号を用いて説明する。
【0025】
第2実施形態においては、支持体52(他方の支持手段)を台部31(他方の支持手段)と連結体33(他方の支持手段)に一体連結し、シール体9(他方のシール体)をスライドロッド22に対して、上下方向に移動可能に配設すると共に、第1実施形態とは高さ位置が異なる作動体14(作動手段)の偏心ピン14bに対して回動支持された押圧体50(可動手段における延出部)を作動体14の回動に伴い上下移動し得るようスライドロッド22(一方の支持手段)に架設し、さらに、押圧体50を各スライドロッド22に取着されたストッパ53側に常に付勢するようコイルばね51(付勢手段)を各スライドロッド22に配設した点が、第1実施形態とは相違する。
【0026】
作動体14の回転により押圧体50が所定の高さ位置に降下するまではコイルばね51が長さを一定に保った状態で連結体24(一方の支持手段)を押圧することから、連結体24と一緒にスライドロッド22、ストッパ53及び上シール体8が降下する。連結体24の降下に伴ってトグルリンク機構35を介して下シール体9が上方へ移動するため、上下のシール体8,9が互いに接近して当接状態になる。上下のシール体8,9が互いに当接した後も、作動体14における偏心ピン14bが最下方に位置するまでは作動体14の回転により押圧体50が下方へ移動する。この両シール体8,9が当接した後の押圧体50の下方への移動においては、両シール体8,9が当接していることから、押圧体50はストッパ53から離れてコイルばね51を縮めながら連結体24に接近し、押圧体50がストッパ53から離間した状態が継続する。この間、押圧体50から連結体24への動力がコイルばね51によって吸収されて、上リンク37及び下リンク38の回動角度が維持されることから、上下のシール体8,9の噛合位置が保持され、両シール体8,9間にはコイルばね51の収縮によってシール圧が得られる。
【0027】
従って、第1実施形態と同様に、上シール体8が図1の仮想線Vの軌跡で移動し、下シール体9が仮想線Wの軌跡で移動する。更に、上下のシール体8,9は当接状態になってから、噛合状態を経て当接状態が終了する直前までの間、両シール体8,9の噛合位置を常に同じ高さに保持した状態で、特定の範囲だけ直線的に移動する。図1においては、両シール体8,9は仮想線Xに一致するように筒状フィルム4の搬送方向下流に向けて直線的に移動する。そして、上下のシール体8,9が直線的に移動する間に、コイルばね51が収縮することで、両シール体8,9によって筒状フィルム4に所定のシール圧が付与され、横シールが施される。
【0028】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 第1実施形態及び第2実施形態に係る横形製袋充填機のシール装置においては、上下のシール体8,9が当接状態となってから、作動体14の回転に伴い、押圧体26,50が上下のシール体8,9の対向方向に更に移動してコイルばね34,51を収縮させた状態(噛合状態)で、両シール体8,9が筒状フィルム4の搬送方向の下流に向けて特定の範囲だけ直線的に移動することによって、両シール体8,9によって筒状フィルムが上下方向に引っ張られることなく所定のシール圧を付与することができる。従って、簡素な構成によりシール動作を安定させ、良好なシール状態を得ることができる。また、コイルばね34,51の劣化等によるばね定数の変化に影響を受けることなく、両シール体8,9が当接する位置を適正位置に維持することができる。
【0029】
(2) 第1実施形態及び第2実施形態に係る横形製袋充填機のシール装置においては、押圧体26,50の移動に伴い両シール体8,9の噛合時に所定のシール圧を付与する付勢手段として、コイルばね34,51を利用したので、付勢手段の構成を簡素にすることができる。
【0030】
(3) 第1実施形態及び第2実施形態に係る横形製袋充填機のシール装置においては、支持手段としての連結体24,33及びスライドロッド22、トグルリンク機構35で連結し、また、トグルリンク機構35におけるガイド体20を筒状フィルム4の搬送方向に移動可能に支持したので、ギヤ等を用いることがない簡素なトグルリンク機構35を用いて単一のサーボモータ16の駆動力で上下のシール体8,9を筒状フィルム4の搬送方向に移動させると共に、両シール体8,9を対向方向における相反する向きに移動させることができる。
【0031】
(4) 第1実施形態及び第2実施形態に係る横形製袋充填機のシール装置においては、一方の支持手段の一部であって、両シール体8,9の対向方向に延出した複数の延出部(第1実施形態における軸部32、第2実施形態におけるスライドロッド22)によって、可動手段としての押圧体26,50を移動可能に案内支持することで、押圧体26,50を対向方向に安定性良く滑らかに案内することができる。
【0032】
(5) 第1実施形態に係る横形製袋充填機のシール装置においては、下シール体9の下方にコイルばね34を組み込んだので、コイルばね34などの清掃や調整などメンテナンスする際に有利である。
【0033】
本発明の趣旨に反しない範囲で前記実施形態以外にも適宜変更可能であり、例えば下記のような構成を採用することができる。
・ 付勢手段については、上下のシール体8,9を当接状態から噛合状態に変更して、所定のシール圧を付与し得るものであれば、コイルばね34,51に代えて、板ばねや、ゴム等の弾性体や、電磁石などを採用してもよい。また、本実施形態では、押圧体26,50を滑らかに移動させるために、コイルばね34,51を左右に均等に複数配設したが、単一のばねでもよい。
【0034】
・ 力伝達機構については、トグルリンク機構35に代えて、歯車機構を採用して上下のシール体8,9を相反する向きに同じ距離だけ移動させてもよい。
・ サーボモータ16と作動体14が同心となるよう例えばサーボモータ16の回転軸を作動体14に直接連結することにより、作動体14をサーボモータ16に連係して回転させてもよい。また、作動体14については、円盤状以外の形態にしてもよい。
【0035】
・ 本発明に係るシール装置を横形製袋充填機に採用したが、縦型製袋充填機などにも利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
4…筒状フィルム、8…上シール体、9…下シール体、14…作動体(作動手段)、16…サーボモータ(駆動源)、20…ガイド体、22…スライドロッド(支持手段)、23,24…連結体(支持手段)、26…押圧体(可動手段)、29…筒体(可動手段)、31…台部(支持手段)、32…軸部(支持手段)、33…連結体(支持手段)、34…コイルばね(付勢手段)、35…トグルリンク機構(力伝達手段)、36…回動体、37…上リンク、38…下リンク、50…押圧体(可動手段)、51…コイルばね(付勢手段)、52…支持体(他方の支持手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルムの搬送路を挟んで対向する一対のシール体が筒状フィルムを挟持して筒状フィルムの搬送と共に移動して横シールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
駆動源に連係して回転する作動手段と、
この作動手段の偏心位置で作動手段に回動可能に支持されて作動手段の回転に伴い両シール体の対向方向及び筒状フィルムの搬送方向に移動する可動手段と、
一方のシール体を支持し、前記可動手段に連係して両シール体の対向方向及び筒状フィルムの搬送方向に移動する一方の支持手段と、
他方のシール体を支持し、前記可動手段に連係して両シール体の対向方向及び筒状フィルムの搬送方向に移動する他方の支持手段と、
前記両支持手段に接続されて一方の支持手段とは相反する対向方向に他方の支持手段を移動させる力伝達手段と、
前記可動手段と一方の支持手段の間に配設されると共に、可動手段の移動に伴い両シール体の噛合時に所定のシール圧を付与する付勢手段と
を備えたことを特徴とする製袋充填機におけるシール装置。
【請求項2】
前記付勢手段は両シール体の噛合時に前記可動手段により押されて所定のシール圧の付与に相当する弾性力を発生するばねを備えていることを特徴とする請求項1に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項3】
前記一方の支持手段は、両シール体の対向方向に延出した延出部を複数有しており、複数の延出部によって前記可動手段が移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項4】
前記力伝達手段は、筒状フィルムの搬送方向に移動可能に支持されたガイド体と、このガイド体によって回動可能に支持された回動体と、この回動体の回動中心から離間した回動体における位置で一方の支持手段に回動可能に支持された一方のリンクと、この回動体の位置とは異なる離間位置で他方の支持手段に回動可能に支持された他方のリンクとを有していることを特徴とする請求項3に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項5】
前記付勢手段を一方のシール体の下方に配設し、該付勢手段で前記一方のシール体を上方に付勢して所定のシール圧を付与する横形製袋充填機であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の製袋充填機におけるシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−171669(P2012−171669A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37102(P2011−37102)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】