説明

製袋充填装置

【課題】包装材をローラ対の間に挟み込ませる際に、セパレータプレートを邪魔にならない位置まで退避させる機構を備えた製袋充填装置を提供する。
【解決手段】セパレータプレート61は取付フィン69に回動自在に支持されている。背面側に備えられた電動アクチュエータ81からは作動ロッド85が進退動作自在に延びており、作動ロッドは連通穴79を通って正面側に突出している。作業ロッド85の先端側には連結部材87を介してセパレータプレート61の一端側が連結固定されている。製袋充填装置1の電源がオフになると、電動アクチュエータ81の電動駆動部も停止して、外力に対して受動的になる。したがって、セパレータプレート61を指で押せば、時計回りに回すことができ、そのときはセパレータプレート61の回動により、作動ロッド85が実線で示す位置まで後退する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は茶葉類等が充填され封入された抽出バッグ等の包装体の製造に用いられる製袋充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製袋充填装置では、特許文献1に示すように、連続したシート状の包装材が両側縁を重ね合わせた状態で搬送されていき、その間、その両側縁がシールされ筒状に成形された後、茶葉類等の充填工程を挟んでその前後で前記したシール方向と交差する方向にシールされて、三辺がシールされた包装体が順次製造されていく。
この種の製袋充填装置では、搬送手段は、通常、筒状にするためのシール部を挟んで搬送方向の前後に配置された2組のローラ対で構成されており、包装体の両側端縁側がローラ対の間で挟持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−123150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製袋充填作業の開始前に、包装材をローラ対の間に手動で挟み込んでいるが、ローラ対の下方に分離手段のセパレータプレートがあるとそれが邪魔になって、包装材を上手く挟み込ませることが難しい。
ところで、製袋充填装置では安全を考慮してカバーを開いてローラ対などがむき出しになった状態では電源が落ちて運転が全面停止するようになっている。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、装置の電源がオフの場合に手動でセパレートプレートを邪魔にならない位置まで退避させることをできるようにした製袋充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1の発明は、連続したシート状の包装材をその両側端側の耳部を挟持した状態で搬送する搬送手段と、前記包装材の両側端側をシールアンドカットして筒状に成形するシール手段と、前記シール手段により切り屑となる耳部を筒状部から分離する分離手段を備えた製袋充填装置において、前記分離手段のセパレータプレートが、搬送されてきた前記筒状部と前記耳部の間に突出した姿勢から手動で退避できるようになっていることを特徴とする製袋充填装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した製袋充填装置において、分離手段は、セパレータプレートと、搬送されてきた前記筒状部と前記耳部の間に前記セパレータプレートを突出した姿勢とその間から退避した姿勢とに変更可能に支持する支持手段と、前記セパレータプレートを装置の電源がオンのときは突出した姿勢に保持するが、オフのときは手動による退避動作を可能とする電動式姿勢保持手段を備えることを特徴とする製袋充填装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した製袋充填装置において、支持手段はセパレータプレートを回動自在に軸支した回動軸からなり、電動式姿勢保持手段は、進退動作自在の可動ロッドを有する電動アクチュエータと、前記可動ロッドを前記セパレータプレートに連結する連結手段とからなり、装置の電源がオフのときは、前記可動ロッドが前記セパレータプレートの手動による回動動作に追従して強制後退して前記セパレータプレートを退避させることを特徴とする製袋充填装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製袋充填装置によれば、包装材の挟み込み作業の際に、分離手段のセパレータプレートを邪魔にならない位置まで手動で退避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係る製袋充填装置の概略的な正面図である。
【図2】図1の製袋充填装置の支持ベースを正面側から見た斜視図である。
【図3】図1の製袋充填装置の支持ベースを背面側から見た斜視図である。
【図4】セパレータプレートの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る製袋充填装置1を図面にしたがって説明する。
製袋充填装置1は、包装体の一例として、紅茶等の茶葉類が充填された抽出バッグBを製造するための装置であり、縦型になっている。したがって、包装材Sの搬送方向も縦方向になっている。
先ず、図1にしたがって製袋充填装置1の全体構成を概略的に説明する。
符号3は装置本体を示し、この装置本体3の正面側は図示しない安全カバーにより開閉されるようになっている。装置本体3の上部には計量部5が備えられている。また装置本体3の上部にはホッパー7が備えられており、このホッパー7に計量部5で計量された茶葉類が投入されるようになっている。
【0012】
装置本体3内では、ホッパー7に上端が接続された筒状の供給シュート9が上下方向に延びている。供給シュート9の外周面は、連続したシート状の包装材Sのガイド面になっている。供給シュート9の背面側には、ローラ対11が2組上下方向に所定の間隔をあけて配置されている。
この2組のローラ対11の上下方向の間には超音波を利用してシールアンドカットする縦シール手段13が備えられている。この縦シール手段13は超音波ホーン15と受けロール17とによって構成されている。
2組のローラ対11の下方には、分離手段59が備えられている。この分離手段59については後で詳述する。
供給シュート9の下方には、超音波を利用してシールアンドカットする横シール手段21が備えられている。この横シール手段21も、縦シール手段13と同様に超音波ホーンと受けロールとによって構成されている。符号23は排出シュートを示し、この排出シュート23を通って装置本体3内で製造された抽出バッグBが装置外に排出されるようになっている。
【0013】
図2に示すように、上側ローラ対11A、下側ローラ対11Bは、水平方向に互いに並んで近接配置された駆動送りローラ25と従動送りローラ27で構成されている。上側ローラ対11Aと下側ローラ対11Bの間で、包装材Sは所定のテンションで引っ張られている。符号29は板状の支持ベースを示し、この支持ベース29は装置本体3内に取り付けられて板面が正面と背面を向いている。この支持ベース29の4つの軸受31に支持軸33が挿通され、その正面側から突出した部分に、各ローラ対11の駆動送りローラ25と従動送りローラ27が嵌合固定されている。
【0014】
図3に示すように、上組の支持軸33、33の背面側に突出した部分には、駆動ギア35と従動ギア37がそれぞれ嵌合固定されており、駆動ギア35と従動ギア37は噛合している。また、駆動ギア35が嵌合固定された支持軸33には、従動プーリ39が嵌合固定されている。この従動プーリ39には、モーターにより回転駆動する駆動軸41から、駆動プーリ43およびタイミングベルト45を介して動力が伝達されるようになっている。この駆動軸41には駆動軸側傘歯車47も取り付けられており、支持ベース29に連設された補助ベース51に挿通された操作軸53側に取り付けられた操作軸側傘歯車57と噛合している。したがって、操作軸53の操作ハンドル55を回して手動でも動力が伝達されるようになっている。
【0015】
次に、分離手段59の構成について説明する。
図1、図2および図4において、符号61はセパレータプレートを示し、このセパレータプレート61は平板状金属プレートを折り曲げて形成したものである。セパレータプレート61は、水平部63と、その一部縁に連設され、略垂直に屈曲して下方に延びた第1垂直部65と、その第1垂直部65の垂直方向側縁に連設され、略垂直に屈曲して上記した水平部63から突出するように延びた第2垂直部67とからなる。なお、図4で示すように、第2垂直部67の先端部68は若干第1垂直部65側に向かって屈曲している。
図2、図4に示すように、符号69は平板状の取付フィンを示し、この取付フィン69は支持ベース29の正面側に備えられている。セパレータプレート61の水平部63は、取付フィン69に対してピン71により回動自在に軸支されている。軸支部分は、第2垂直部67から離れた部分となっている。
【0016】
図3、図4に示すように、符号73は取付ブラケットを示し、この取付ブラケット73は支持ベース29の背面側に備えられている。取付ブラケット73は垂直に立設しており、その垂直面には一対の板状の支持アーム75、75を有する支持部77が一体に取付けられている。一対の支持アーム75、75は、上側ローラ対11Aに対応する上側ギア対35、37と、下側ローラ対11Bに対応する下側ギア対35、37との間で板面を互いに平行に対向している。
符号79は連通穴を示し、この連通穴79は支持ベース29を貫通して形成されている。連通穴79は支持ベース29を背面側から見て一対の支持アーム75、75の間に位置している。
【0017】
符号81は電動アクチュエータを示し、この電動アクチュエータ81の本体83は一対の支持アーム75、75間に挟持され支持されている。電動アクチュエータ81の本体83には電動駆動部が内蔵されている。この本体83からは作動ロッド85が進退動作自在に延びている。この作動ロッド85は連通穴79を通って正面側に突出できる。
作動ロッド85の先端側には棒状の連結部材87の一端側が連結固定されている。連結部材87の他端側に二段状の円盤部が設けられており、その円盤部の下側の小径部の下端面に、上記したセパレータプレート61の水平部63が固定されている。
【0018】
次に、分離手段59の駆動動作について説明する。
製袋充填装置1の電源がオンのときには、電動アクチュエータ81の電動駆動部がオンとなって作動ロッド85が進行する。作動ロッド85が進行すると、連結部材87も連動して進行する。したがって、図4に示すように、連動部材87に固定されたセパレータプレート61もピン71を回動軸として、反時計回りに回動して一点鎖線で示す位置まで移動し、その位置で安定的に支持される。
この分離作業位置では、第2垂直部67は縦シール手段13によって包装材Sがシールアンドカットされて形成された筒状部Tと耳部Mとの間に入り込んでいる。
【0019】
一方、製袋充填装置1の電源がオフになると、電動アクチュエータ81の電動駆動部も停止して、外力に対して受動的になる。したがって、セパレータプレート61を指で押せば、時計回りに回すことができ、そのときはセパレータプレート61の回動に追従して作動ロッド85が実線で示す位置まで後退する。
この退避位置では、筒状部Tや耳部Mから離間している。
【0020】
なお、符号89は吸引手段の吸引パイプを示し、この吸引パイプ89は支持ベース29の下側に延びている。
【0021】
次に、製袋充填作業の前に行う、包装材Sの挟み込み作業について説明する。
先ず、セパレータプレート61を指で回して、包装材Sの搬送経路から外れるように退避させて、挟み込み作業の邪魔にならないようにしておく。
次に、左手で包装材Sの両側端の重ね合わせた部分を掴み、右手で操作ハンドル55を回してローラ対11A、11Bを適宜回しながら、上側からローラ対11Aのローラの間に挟み込ませ、さらに下方に伸ばしてローラ対11Bのローラの間に挟み込ませる。
【0022】
挟み込み作業の後は、製袋充填装置1の電源をオンにして、自動的に製袋充填作業を行う。
製袋充填装置1の電源をオンにすると、電動アクチュエータ81が駆動してセパレータプレート61の第2垂直部67が所定の作業位置に進行しその位置で保持される。
包装材Sは搬送手段によりその両側端側の耳部Mが挟持された状態で縦送りされており、縦シール手段13によるシールアンドカットにより筒状に成形される。そして、セパレータプレート61の第2垂直部67により筒状部Tと耳部Mが分離される。次いで横シール手段21により底部が形成され、茶葉類が充填された後、さらに縦送りされ横シール手段21により封止されて、三辺がシールされた包装体が順次製造され、排出シュート23を通って機外に排出される。また、セパレータプレート61により分離された耳部Mは切り屑として吸引パイプ89に吸引されて別途回収される。
【0023】
上記したように、セパレータプレート61、ピン71および連結部材87で構成されるリンク機構が電動アクチュエータ81により可動自在になっており、製袋充填装置1の電源がオフのときには、手動操作によりセパレータプレート61を退避位置までの移動させることができるようになっている。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の製袋充填装置は、抽出バッグ等の製造作業を、安全に行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
1…製袋充填装置 3…装置本体
5…計量部 7…ホッパー
9…供給シュート 11A、B…ローラ対
13…縦シール手段 21…横シール手段
23…排出シュート 25…駆動送りローラ
27…従動送りローラ 29…支持ベース
31…軸受 33…支持軸
35…駆動ギア 37…従動ギア
39…従動プーリ 41…駆動軸
43…駆動プーリ 45…タイミングベルト
47…駆動軸側傘歯車 51…補助ベース
53…操作軸 55…操作ハンドル
57…操作軸側傘歯車 59…分離手段
61…セパレータプレート 63…水平部
65…第1垂直部 67…第2垂直部
68…先端部 69…取付フィン
71…ピン 73…取付ブラケット
75…支持アーム 77…支持部
79…連通穴 81…電動アクチュエータ
83…本体 85…作動ロッド
87…連結部材 89…吸引パイプ
S…包装材 B…抽出バッグ
T…筒状部 M…耳部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したシート状の包装材をその両側端側の耳部を挟持した状態で搬送する搬送手段と、前記包装材の両側端側をシールアンドカットして筒状に成形するシール手段と、前記シール手段により切り屑となる耳部を筒状部から分離する分離手段を備えた製袋充填装置において、
前記分離手段のセパレータプレートが、搬送されてきた前記筒状部と前記耳部の間に突出した姿勢から手動で退避できるようになっていることを特徴とする製袋充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載した製袋充填装置において、
分離手段は、セパレータプレートと、搬送されてきた前記筒状部と前記耳部の間に前記セパレータプレートを突出した姿勢とその間から退避した姿勢とに変更可能に支持する支持手段と、前記セパレータプレートを装置の電源がオンのときは突出した姿勢に保持するが、オフのときは手動による退避動作を可能とする電動式姿勢保持手段を備えることを特徴とする製袋充填装置。
【請求項3】
請求項2に記載した製袋充填装置において、
支持手段はセパレータプレートを回動自在に軸支した回動軸からなり、
電動式姿勢保持手段は、進退動作自在の可動ロッドを有する電動アクチュエータと、前記可動ロッドを前記セパレータプレートに連結する連結手段とからなり、
装置の電源がオフのときは、前記可動ロッドが前記セパレータプレートの手動による回動動作に追従して強制後退して前記セパレータプレートを退避させることを特徴とする製袋充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−79540(P2011−79540A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232220(P2009−232220)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(391024744)不双産業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】