説明

製袋包装機

【課題】横シール補助部材の高速での衝突を回避し、良好に製袋を行うことが可能な製袋包装機を提供する。
【解決手段】包材を搬送しながら筒状の包材を成形し、筒状の包材に被包装物を充填する製袋包装機であって、筒状の包材の両側から筒状の包材に対して当接し、筒状の包材をシールする一対の横シール部材と、一対の横シール部材に対して搬送方向上流または下流に位置し、一対の横シール部材よりも早く筒状の包材に当接することで、筒状の包材の被シール部分に被包装物が噛み込むことを抑える一対の横シール補助部材と、カム面を有し、カム面に沿った一対の横シール補助部材の水平移動を可能にするカムと、カム面に当接するカムフォロアと、カムフォロアと一対の横シール補助部材とを連結するリンク機構と、を備え、カム面は、一対の横シール補助部材が互いに接触する手前で水平移動が規制されるような形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包材を袋に成形しながら、ポテトチップスなどの被包装物を当該袋に充填して包装する装置として、縦型の製袋包装機が存在する。例えば、縦型の製袋包装機は、シート状のフィルムである包材を搬送しながらフォーマーおよびチューブによって筒状に形成し、筒状の包材の重ねられた縦の縁を搬送方向に沿ってシール(縦シール)し、筒状の包材を形成する。また、搬送方向上流および下流で搬送方向に直交する方向で筒状の包材をシール(横シール)する一対の横シール部材によって、筒状の包材を袋に成形する。このように、一対の横シール部材によって横シールを行う際、包材の被シール箇所に被包装物が侵入しないように横シール部材よりも搬送方向上流および/または下流に一対の横シール補助部材が設けられる。一対の横シール補助部材が横シール部材よりも早く筒状の包材に当接することにより、被シール箇所における被包装物の侵入が規制される。
【0003】
ところで、このような一対の横シール補助部材は、互いに衝突することにより、搬送方向上流および/または下流から被シール部付近に存在する被包装物を遮断し、被シール部における被包装物の噛み込みを防止するような設計が採用されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開平8−175523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような製袋包装機は、製袋包装機の稼動スピードの高速化に伴い横シール補助部材が高速で衝突するため、衝突音が大きくなる。
【0005】
本発明の課題は、横シール補助部材の高速での衝突を回避し、良好に製袋を行うことが可能な製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の製袋包装機は、包材を搬送しながら筒状の包材を成形し、筒状の包材に被包装物を充填する製袋包装機であって、一対の横シール部材と、一対の横シール補助部材と、カムと、カムフォロアと、リンク機構とを備える。一対の横シール部材は、筒状の包材の両側から筒状の包材に対して当接し、筒状の包材をシールする。一対の横シール補助部材は、一対の横シール部材に対して搬送方向上流または下流に位置し、一対の横シール部材よりも早く筒状の包材に当接することで、筒状の包材の被シール部分に被包装物が噛み込むことを抑える。カムは、カム面を有し、カム面に沿った一対の横シール補助部材の水平移動を可能にする。カムフォロアは、カム面に当接する。リンク機構は、カムフォロアと一対の横シール補助部材とを連結する。さらに、カム面は、一対の横シール補助部材が、互いに接触する手前で水平移動が規制されるような形状である。
【0007】
本発明に係る製袋包装機では、一対の横シール補助部材が互いに接触する手前で、一対の横シール補助部材の水平移動が規制される。
【0008】
これにより、横シール補助部材の高速での衝突を回避することができる。
【0009】
第2発明の製袋包装機は、第1発明に係る製袋包装機であって、カムは、規制面と、非規制面とを有する。規制面は、一対の横シール補助部材の水平移動を規制するカム面である。非規制面は、一対の横シール補助部材の水平移動を規制しないカム面である。
【0010】
本発明に係る製袋包装機では、カムの規制面では、一対の横シール補助部材の水平移動が規制され、非規制面では、水平移動が規制されない。
【0011】
これにより、一対の横シール補助部材の動きを変化させることができる。
【0012】
第3発明の製袋包装機は、第2発明に係る製袋包装機であって、カム面は、カムフォロアが規制面上を移動する間、一対の横シール補助部材の水平移動が停止するような形状である。
【0013】
本発明に係る製袋包装機では、カムフォロアが規制面に当接している間、一対の横シール部材は互いに接触して筒状の包材の横シールを行うが、その上流または下流に配置された一対の横シール補助部材は水平移動を停止する。
【0014】
これにより、横シール補助部材の衝突を防ぐことができる。
【0015】
第4発明の製袋包装機は、第2または第3発明に記載の製袋包装機であって、一対の横シール補助部材は、前記カムフォロアが前記規制面上を移動する間、互いに一定の間隙を保つ。
【0016】
本発明に係る製袋包装機では、一対の横シール部材は互いに接触して筒状の包材の横シールを行うが、その上流または下流に配置された一対の横シール補助部材は互いに接触せず一定の間隙を保つ。
【0017】
これにより、被シール部における被包装物の噛み込みを防止するとともに、一対の横シール補助部材の互いの衝突を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る製袋包装機では、横シール補助部材の高速での衝突を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に図面を参照しながら、本発明に係る製袋包装機の実施形態を説明する。
【0020】
1.全体構成
本発明の一実施形態に係る製袋包装機を図1および図2に示す。これらの図に示す製袋包装機1は、ポテトチップス等の被包装物を袋詰めする機械であり、主として、被包装物の袋詰めを行う本体部分である製袋包装ユニット5と、この製袋包装ユニット5に袋となるフィルムFを供給するフィルム供給ユニット6とから構成されている。製袋包装ユニット5の前面には操作スイッチ類7が配置されており、この操作スイッチ類7を操作する操作者が視認できる位置に、操作状態を示す液晶ディスプレイ8が配置されている。
【0021】
2.各ユニットの構成
フィルム供給ユニット6は、後述する製袋包装ユニット5の成形機構13に対してシート状のフィルムFを供給するユニットであって、ここでは製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。このフィルム供給ユニット6にはフィルムFが巻かれたロールがセットされ、このロールからフィルムFが繰り出される。
【0022】
製袋包装ユニット5は、図1および図2に示すように、主として、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形機構13と、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFという。)を下方に搬送するプルダウンベルト機構(袋搬送機構)14と、筒状フィルムFの重ね合わせ部分を縦方向にシール(熱封止)する縦シール機構15と、筒状フィルムFを横方向にシールすることで袋の上下端を封止する横シール機構17と、これらの各機構を支える支持フレーム12とから構成されている。また、支持フレーム12の周囲には、ケーシング9が取り付けられている。
【0023】
成形機構13は、図2に示すように、チューブ31と、フォーマー32とを有している。チューブ31は、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。また、チューブ31は、天板29の中央の開口部分に配置され、図示しないブラケットを介してフォーマー32と一体にされている。このチューブ31の上端の開口部には、コンピュータスケール2から計量された被包装物が投入される。フォーマー32は、チューブ31を取り囲むように配置されている。このフォーマー32の形状は、フィルム供給ユニット6から送られてきたシート状のフィルムFがフォーマー32とチューブ31との隙間を通るときにチューブ状に成形されるような形状とされている。このフォーマー32も、図示しない支持部材を介して支持フレーム12に固定されている。また、成形機構13のチューブ31やフォーマー32は、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができるようにされている。そのために成形機構13は、支持フレーム12に対し着脱自在にされている。
【0024】
プルダウンベルト機構14と縦シール機構15とは、天板29から吊り下げられているサポート部材に支持されており、チューブ31に沿って縦に延びるように配置されている。一対のプルダウンベルト機構14は、チューブ31に巻き付いた筒状フィルムFを吸着しながら下方に搬送する機構であり、駆動ローラ、従動ローラ吸着機能を有するベルトなどから構成されている。縦シール機構15は、チューブ31に巻き付いている筒状フィルムFの重なり部分を、一定の加圧力でチューブ31に押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール機構15は、ヒータや、ヒータにより加熱され、筒状フィルムの重なり部分に接触するヒータベルト等を有している。
【0025】
3.横シール機構の構成
横シール機構17は、図2に示すように、成形機構13,プルダウンベルト機構14,および縦シール機構15の下方に配置され、支持フレーム12に支持されている。横シール機構17は、図3から図8に示すように、主として、左右一対のシールジョー51,71と、左右一対のしごき部52,72と、左右一対のクラムプレート53,73と、シールジョー51,71、しごき部52,72、およびクラムプレートを支持する一対の支持機構54,74と、一対の支持機構54,74の進行方向両端に配置されたカム55,75と、支持機構54,74の水平移動を可能にする水平移動機構20とから構成されている。
【0026】
以下、図3〜図8を参照して横シール機構17の構成を説明する。なお、図3では、支持機構54,74に支持される構成のうち、クラムプレート53,73のみを示す。
【0027】
<支持機構>
図3に示すように、一対の支持機構54,74は、搬送される筒状フィルムFの両側に配置される。また、一対の支持機構54,74は、後述する水平移動機構20に沿って互いが相対する方向に水平移動する。
【0028】
さらに、図4から図6に示すように、一対の支持機構54,74は、クラムプレート53,73と、しごき部52,72とを支持する。支持機構54,74において、クラムプレート53,73は、しごき部52,72よりも上方に配置されている。しごき部52,72と、クラムプレート53,73とは、支持機構54,74に対して相対的な移動が可能である。
【0029】
さらに、図4から図6に示すように、一対の支持機構54,74は、クラムプレート53,73およびしごき部52,72の間に、シールジョー51,71もまた支持している。シールジョー51,71は、支持機構54,74に対して相対移動が不可能に支持されている。
【0030】
一対の支持機構54,74は、モータ等の駆動機構(図示せず)に連結されている。これにより、一対の支持機構54,74は筒状フィルムFに対して接近または離反する。
【0031】
<シールジョー>
一対のシールジョー51,71は、図4〜図6の紙面に垂直な方向に筒状フィルムFの幅より長く延びて形成された部材であり、内部にヒータを有している。このヒータによってシールジョー51,71のシール面が加熱され、シールジョー51,71によって挟み込まれた筒状フィルムFの一部が熱シールされるようになっている。また、シールジョー51には、カッター51aが内蔵されている。カッター51aは、先行する袋Bと後続の筒状フィルムFとを切り離す。
【0032】
シールジョー51,71は、上述したように、支持機構54,74に支持されている。したがって、シールジョー51,71は、支持機構54,74の動きに合わせて筒状フィルムFに対して接近または離反する。
【0033】
<しごき部>
一対のしごき部52,72は、シールジョー51,71より早く筒状フィルムFに当接し、シールジョー51,71によって熱シールされる筒状フィルムFの被シール部分に被包装物が噛み込まれないようにする。
【0034】
しごき部52,72は、主として、しごき部当接部材52a,72aと、しごき部連結部材52b,72bとからなる。しごき部当接部材52a,72aは、シールジョー51,71と同じく図4〜図6の紙面に垂直な方向に筒状フィルムFの幅より長く延びて形成された部材である。しごき部連結部材52b,72bは、一端がしごき部当接部材52a,72aと連結され、他端が支持機構54,74に支持される。
【0035】
しごき部52,72の動作は、クラムプレート53,73の動作と連動するように設計されている。すなわち、しごき部連結部材52b,72bの一端を、後述のL字部材53c,73cに貫通させる。これにより、クラムプレート53,73が支持機構54,74に対して相対的な移動を開始し始めると、L字部材53c,73cがしごき部連結部材52b,72bの貫通された一端を引っ張り、しごき部52,72を支持機構54,74に対して相対的に動作させる。
【0036】
しごき部52,72は、互いが最も接近した場合にも一定の間隙を保つように設計されている。本実施形態では、一対のしごき部52,72は、互いに最も接近した状態で約1mmの間隙を有する。
【0037】
<エアー調整機構>
図4から図6に示すように、一対のエアー調整機構56,76は、筒状フィルムFの両側に配置される。また、エアー調整機構56,76は、しごき部52,72の下方に固定されており、しごき部52,72の水平移動に合わせて水平移動を行う。図7に、エアー調整機構56の拡大図を示す。一対のエアー調整機構56,76は、複数のスプリング56aと、スプリングの両端をしごき部52,72に固定するスプリング固定部材56bからなる。複数のスプリング56aは、図4〜図6の紙面に垂直な方向に筒状フィルムFの幅より長く延びて形成されている。エアー調整機構56,76は、スプリング56aの張りを調整することにより、筒状フィルムF内に充填されるエアー量を調整する。
【0038】
<クラムプレート>
一対のクラムプレート53,73は、シールジョー51,71より早く筒状フィルムFに当接し、シールジョー51,71によって熱シールされる筒状フィルムFの被シール部分に被包装物が噛み込まれないように、被包装物の侵入を規制する。クラムプレート53,73は、筒状フィルムFに当接するクラムプレート当接部材53a,73aと、クラムプレート当接部材53a,73aを支持機構54,74と連結するクラムプレート連結部材53b,73bとを有する。クラムプレート当接部材53a,73aは、図4〜図6の紙面に垂直な方向に、筒状フィルムFの幅より長く伸びた平板状の部材である。クラムプレート連結部材53b,73bは、支持機構54,74に相対移動可能に支持されている。また、クラムプレート連結部材53b,73bにおいて筒状フィルムFから離れた一端近傍には、上述のしごき部連結部材52b,72bを貫通させるL字部材53c,73cが設けられている。
【0039】
また、クラムプレート53,73は、後述するリンク機構57,77と連結されている。これにより、クラムプレート53,73は、互いが最も接近した場合に、一定の間隙を保つ。本実施形態では、一対のクラムプレート53,73は、互いに最も接近した状態で約1mmの間隙を有するように設計されている。
【0040】
<リンク機構>
リンク機構57,77は、カムフォロア58,78とクラムプレート53,73とを連結させる機構である。すなわち、カムフォロア58,78の動きは、リンク機構57,77を介してクラムプレート53,73に伝えられる。
【0041】
リンク機構57,77は、複数の部材からなる。複数の部材には、クラムプレート53,73に固定されるクラムプレート固定部材57a,77aと、クラムプレート固定部材57a,77aおよび後述の誘導部材57c,77cの中間に配置される中間部材57b,77bと、支持機構54,74に相対回転可能に取り付けられ、他の部材57a,57b,77a,77bを一方向へ誘導する誘導部材57c,77cと、が含まれる。
【0042】
クラムプレート固定部材57a,77aは、上述のクラムプレート53,73の両端近傍に取り付けられる。中間部材57b,77bは、一端がクラムプレート固定部材57a,77aと回動自在に連結されており、他端が誘導部材57c,77cと回動自在に連結されている。したがって、誘導部材57c,77cの動作に連動して、中間部材57b,77bが動作し、中間部材57b,77bの動作に連動して、クラムプレート固定部材57a,77aが動作する。
【0043】
誘導部材57c,77cは、支持機構54,74と連結される中心部57ca,77caと、中間部材57b,77bと連結される下端部57cb,77cbと、カムフォロア58,78が取り付けられる上端部57cc,77ccとを有する。中心部57ca,77caには、支持機構54,74に対してリンク機構57,77が相対回転可能となるように回転軸59,79が取り付けられている。上端部57cc,77ccに取り付けられたカムフォロア58,78は、後述するカム面に沿って移動する。
【0044】
<カム>
一対のカム55,75は、後述の水平移動機構20に固定されている。カム55,75は、図8に示すように、水平移動機構20のカム当接部材23の上に設けられ、製袋包装機1の設置面に対して水平である水平面(非規制面に相当)55a,75aと、水平面55a,75aの高さより高い位置に向けて傾斜が設けられた非水平面(規制面に相当)55b,75bとを有する。
【0045】
水平面55a,75aは、カムフォロア58,78が水平面55a,75a上を移動する間、クラムプレート53,73の移動を規制しない。すなわち、支持機構54,74が筒状フィルムFに接近する際には、水平面55a,75aは、クラムプレート53,73を支持機構54,74と共に筒状フィルムFに接近させ、支持機構54,74が筒状フィルムFから離反すると、クラムプレート53,73もまた筒状フィルムFから離反させる。
【0046】
一方、非水平面55b,75bは、カムフォロア58,78が非水平面55b,75b上を移動する間、クラムプレート53,73の移動を規制する。すなわち、非水平面55b,75bは、支持機構54,74が筒状フィルムFに接近する際に、クラムプレート53,73を筒状フィルムFに接近させない。
【0047】
詳細には、非水平面55b,75b上にカムフォロア58,78があるとき、リンク機構57,77の中心部57ca,77caに取り付けられた回転軸59,79が回転し、支持機構54,74が水平移動する方向とは反対側の方向に下端部57cb,77cbが振られる(図5参照)。さらに、支持機構54,74が筒状フィルムFに向けて水平移動を進めると、カムフォロア58,78は、非水平面55b,75bをさらに上るため、下端部57cb,77cbが、支持機構54,74が水平移動する方向とは反対側の方向にさらに振られる(図6参照)。図5および図6に示すように、支持機構54,74が水平移動する方向とは反対側に、下端部57cb,77cbが振られることにより、クラムプレート53,73に対して加わる力が支持機構54,74の進行方向とは反対の方向に加わる。これにより、クラムプレート53,73は、互いに衝突せずに所定の間隙を保ち、シールジョー51,71は、互いに衝突し筒状フィルムFに熱シールを行うことになる。
【0048】
<水平移動機構>
水平移動機構20は、支持機構54,74および支持機構54,74に支持されるシールジョー51,71、しごき部52,72、およびクラムプレート53,73などの水平移動を可能にする。水平移動機構20は、図8に示すように、主として、複数のスライドシャフト21と、スライドシャフト支持部材22と、カム当接部材23とからなる。
【0049】
複数のスライドシャフト21は、製袋包装機1の設置面に対して水平に並べられ、シールジョー51,71、しごき部52,72、およびクラムプレート53,73などの長手方向両端に直交する位置の近傍に設けられる。図8では、理解を容易にするため、手前に配置されるスライドシャフト21を省略している。スライドシャフト21には、支持機構54,74が相対移動可能に取り付けられる。
【0050】
スライドシャフト支持部材22は、複数のスライドシャフト21をその両端で支持する部材である。
【0051】
カム当接部材23は、スライドシャフト21の上方に配置され、スライドシャフト支持部材22に支持される。カム当接部材23には、カム55,75が設けられる。
【0052】
4.製袋包装機の動作
<概略動作>
フィルム供給ユニット6から成形機構13に送られるシート状のフィルムFは、フォーマー32からチューブ31に巻き付けられて筒状に成形され、そのままプルダウンベルト機構14によって下方に搬送される。そして、フィルムFはチューブ31に巻き付けられ、両端部が重ね合わせられた状態となり、その重ね合わせ部分が縦シール機構15によって縦にシールされる。
【0053】
縦にシールされた筒状フィルムFは、チューブ31を抜けて下方の横シール機構17へと搬送されていく。また、筒状フィルムFが搬送されるのと同時に、被包装物の固まりがコンピュータスケール2からチューブ31を通って落下してくる。
【0054】
横シール機構17は、筒状フィルムF内に被包装物が存在する状態で、当該筒状フィルムFを横にシールする。詳細には、一対のシールジョー51,71が図6に示すような横シール区間を移動するときに、先行する袋の上端部と、これに続く袋の下端部とに相当する部分が横シールされる。そして、この横シールと同時に、シールジョー51に内蔵されているカッター51aによって、先行する袋Bと後続の筒状フィルムFとが切り離される。
【0055】
以上のようにして製造される袋Bは、図1および図2に示す傾斜誘導板19により、ベルトコンベア(図示せず)に導かれ、ウェイトチェッカー等の後工程の装置に移送される。
【0056】
<横シール動作の詳細>
次に、製袋包装機1の横シール機構17の動作に図4から図6を用いて詳述する。
【0057】
横シール機構17では、図示しない旋回用のモータを回転させることによって支持機構54,74がスライドシャフト21に沿って水平移動を行い、筒状フィルムFに対して接近または離反する。カムフォロア58,78は、支持機構54,74の水平移動に合わせて、カム55,75の水平面55a,75aおよび非水平面55b,75bを移動する。
【0058】
図4は、一対の支持機構54,74が筒状フィルムFから離れた場所に位置する状態を示す。カムフォロア58,78は水平面55a,75a上にあるので、クラムプレート53,73の移動は規制されない状態である。したがって、支持機構54,74が筒状フィルムFに接近すると、支持機構54,74の動きに従って、クラムプレート53,73も筒状フィルムFに接近する。
【0059】
図5は、その後、支持機構54,74が筒状フィルムFに接近した状態を示す。支持機構54,74が筒状フィルムFに接近すると、クラムプレート53,73およびしごき部52,72は、シールジョー51,71よりも早く筒状フィルムFに当接する。クラムプレート53,73の間隙およびしごき部52,72の間隙はそれぞれ最小である。クラムプレート53,73は、互いに衝突せずに、被シール部分の上部を封鎖する。また、しごき部52,72は、互いに衝突せずに、被シール部分の下部を封鎖する。
【0060】
図5に示すように、カムフォロア58,78は非水平面55b,75b上にある。カムフォロア58,78が非水平面55b,75bを上り始めると、リンク機構57,77の中心部57ca,77caに取り付けられた回転軸59,79が回転し始める。回転軸59,79の回転に合わせて、リンク機構57,77の下端部57cb,77cbは、支持機構54,74の進行方向と逆の方向に振られる。これにより、下端部57cb,77cbが振られる方向に中間部材57b,77bが引っ張られ、中間部材57b,77bが引っ張られる方向に、クラムプレート固定部材57a,77aを引っ張られる。結果として、クラムプレート53,73には、支持機構54,74の進行方向の反対方向に力が加わる。すなわち、クラムプレート53,73は、筒状フィルムFに対して後方に引っ張られる。これにより、クラムプレート53,73は、水平移動を停止し、互いに衝突せずに所定の間隙を保つ。
【0061】
また、クラムプレート53,73が筒状フィルムFに対して後方に引っ張られる動作に連動して、しごき部連結部材52b,72bの一端がL字部材53c,73cによって後方に引っ張られる。これにより、しごき部52,72も互いに衝突せずに所定の間隙を保つ。
【0062】
シールジョー51,71は支持機構54,74に固定されているため、支持機構54,74が筒状フィルムFに接近する距離に応じて筒状フィルムFに接近する。
【0063】
その後、図6に示すように、支持機構54,74はさらに筒状フィルムFに接近する。カムフォロア58,78は非水平面55b,75bをさらに上り頂上付近に移動する。誘導部材57c,77cの下端部57cb,77cbは、支持機構54,74の進行方向と逆の方向に大きく振られる。中間部材57b,77bは、下端部57cb,77cbが振られた方向にさらに引っ張られ、クラムプレート固定部材57a,77aは、中間部材57b,77bが引っ張られた方向に大きく引っ張られる。これにより、クラムプレート53,73は依然として最小の間隙を保ったまま、被シール部分の上部を封鎖し続ける。しごき部52,72もまた、依然として最小の間隙を保ったまま、被シール部分の下部を封鎖し続ける。支持機構54,74に支持されたシールジョー51,71は、互いに衝突し筒状フィルムFに熱シールを行う。
【0064】
なお、しごき部52,72の下方に取り付けられた一対のエアー調整機構56,76は、しごき部52,72の水平移動に合わせて水平移動を行う。エアー調整機構56,76は、スプリング56aの張りを調整することにより、筒状フィルムF内に充填されるエアー量を調整する。
【0065】
5.特徴
(1)本実施形態に係る製袋包装機1は、カム55,75の水平面55a,75aにより、支持機構54,74に支持されるシールジョー51,71、クラムプレート53,73、およびしごき部52,72を支持機構54,74と同一方向へ移動させる。一方、カム55,75の非水平面55b,75bでは、クラムプレート53,73を、支持機構54,74およびシールジョー51,71と相対的に移動させる。具体的には、カムフォロア58,78が水平面55a,75aを移動する場合(図4参照)、支持機構54,74が移動する方向と、支持機構54,74に支持されたクラムプレート53,73が移動する方向は一致する。一方、カムフォロア58,78が非水平面55b,75bを移動する場合(図5および6参照)、支持機構54,74が移動する方向と、クラムプレート53,73が移動する方向とは一致しない。これにより、シールジョー51,71が互いに高速で衝突して筒状フィルムFを熱シールする場合にも、シールジョー51,71の上方に配置されるクラムプレート53,73は互いに高速で衝突しない。近年、製袋包装機の稼動スピードの高速化に伴い、クラムプレート53,73の衝突音が大きくなっていたが、本実施形態に係る製袋包装機1では、クラムプレート53,73の衝突音を低減させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態に係る製袋包装機1では、クラムプレート53,73は衝突せずに互いに所定の間隙を保つように設計されている。これにより、クラムプレート53,73の部材の強度にかかわらず、クラムプレート53,73の衝突による早期劣化および破損を防ぐことができる。
【0067】
(2)さらに、本実施形態に係る製袋包装機1は、クラムプレート53,73が支持機構54,74に対して相対的に移動し始めると、クラムプレート53,73の動きに連動してしごき部52,72も支持機構54,74に対して相対的に移動し始めるように設計されている。これにより、シールジョー51,71の下方に配置されるしごき部52,72も互いに衝突せずに所定の間隙を保つ。これにより、しごき部52,72の部材の強度にかかわらず、しごき部52,72の衝突による早期劣化および破損を防ぐことができる。また、しごき部52,77の高速での衝突による衝突音を解消することができる。
【0068】
(3)また、従来、製袋包装機は、クラムプレートおよびしごき部によって筒状フィルムFの搬送が妨げられないように、クラムプレートおよびしごき部にスプリングバック機構を設けていた。これにより、クラムプレートおよびしごき部にそれぞれ間隙を形成していた。しかし、スプリングバック機構を用いた場合、ダンピングが発生し、当該間隙を一定の間隔に保つことが困難である。これは、ダンピングによって間隙が一定の間隔以上になってしまう場合があるからである。一方、本実施形態に係る製袋包装機1は、予め設定した最小の間隙が確保されるようにカム55,75にカム面(水平面55a,77aおよび非水平面55b,77b)を設ける。これにより、クラムプレートの間隙およびしごき部の間隙を一定の間隔に保つことができる。
【0069】
<変形例>
(1)本実施形態に係る横シール機構17は、間欠的に計量及び製袋包装を行う間欠運転制御を前提とする製袋包装機について説明したが、横シール機構17を連続的に計量及び製袋包装を行う連続運転制御のいずれの運転制御に適用しても構わない。この場合、本実施形態の水平移動機構20を、さらに、筒状フィルムFの搬送方向上下に移動させるように設計することで、連続制御に適用することができる。
【0070】
(2)本実施形態に係る製袋包装機1では、カム55,75のカム面が水平面55a,75aと、非水平面55b,75bとからなり、図面では、非水平面55b,75bが水平面55a,75aよりも高い位置に直線的に傾斜して設計されていたが、カムの形状は図に示した態様に限られない。非水平面が水平面より低くなる態様であってもかまわない。また、非水平面は、直線的に傾斜しておらず曲線形状であっても構わない。すなわち、支持機構54,74に支持されたシールジョー51,71が筒状フィルムFに接近する一方で、クラムプレート53,73が所定の間隙を保持するような形状であれば、どのようなカムであっても構わない。
【0071】
(3)また、本実施形態に係る製袋包装機1では、カム55,75が支持機構54,74の上方に配置され、クラムプレート53,73の動作を規制していたが、支持機構54,74の下方にもカム55,75およびリンク機構57,77と同様の機構が配置されても構わない。これにより、しごき部52,72の動作をクラムプレート53,73と同様に規制することができる。
【0072】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、被シール部における被包装物の噛み込みを防止するとともに、一対の横シール補助部材の互いの衝突を防ぐことができる製袋包装機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る製袋包装ユニットの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る横シール機構の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る横シール機構の動作を説明するための模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る横シール機構の動作を説明するための模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る横シール機構の動作を説明するための模式図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る横シール機構の部分拡大図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る横シール機構の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 製袋包装機
13 成形機構
14 プルダウンベルト機構
15 縦シール機構
17 横シール機構
20 水平移動機構
21 スライドシャフト
22 スライドシャフト支持部材
23 カム当接部材
51,71 シールジョー(シール部材)
54,74 支持機構
52,72 しごき部
52a,72a しごき部当接部材
52b,72b しごき部連結部材
53,73 クラムプレート(シャッター部材)
53a,73a クラムプレート当接部材
53b,73b クラムプレート連結部材
53c,73c L字部材
55,75 カム
55a,75a 水平面
55b,75b 非水平面
56,76 エアー調整機構
57,77 リンク機構
57a,77a クラムプレート固定部材
57b,77b 中間部材
57c,77c 誘導部材
57ca,77ca 中心部
57cb,77cb 下端部
57cc,77cc 上端部
58,78 カムフォロア
59,79 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材を搬送しながら筒状の包材を成形し、前記筒状の包材に被包装物を充填する製袋包装機であって、
前記筒状の包材の両側から前記筒状の包材に対して当接し、前記筒状の包材をシールする一対の横シール部材と、
前記一対の横シール部材に対して前記搬送方向上流または下流に位置し、前記一対の横シール部材よりも早く前記筒状の包材に当接することで、前記筒状の包材の被シール部分に前記被包装物が噛み込むことを抑える一対の横シール補助部材と、
カム面を有し、前記カム面に沿った前記一対の横シール補助部材の水平移動を可能にするカムと、
前記カム面に当接するカムフォロアと、
前記カムフォロアと前記一対の横シール補助部材とを連結するリンク機構と、
を備え、
前記カム面は、前記一対の横シール補助部材が、互いに接触する手前で前記水平移動が規制されるような形状である、
製袋包装機。
【請求項2】
前記カムは、前記一対の横シール補助部材の前記水平移動を規制する前記カム面である規制面と、前記水平移動を規制しない前記カム面である非規制面とを有する、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記カム面は、前記カムフォロアが前記規制面上を移動する間、前記一対の横シール補助部材の前記水平移動が停止するような形状である、
請求項2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記一対の横シール補助部材は、前記カムフォロアが前記規制面上を移動する間、互いに一定の間隙を保つ、
請求項2または3に記載の製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−280255(P2009−280255A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135384(P2008−135384)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】