説明

製造計画演算方法と製造計画演算装置

【課題】工程を共通に利用する複数種類の製品を製造する場合に最適化された生産計画を取得する。
【解決手段】記憶装置16に対して、全作業者数Nを含む作業者データ18と、各工程について、製品毎の加工所要時間と必要な作業者数と同時加工できる製品数とを含む工程データ20と、各製品の製造に必要な工程順を含む製品データ22と、期日までに製造する製品のリストとを記憶させる。生産計画データ生成手段36が、各製品を工程順に各工程に割付け、各工程に必要な作業者を割付け、全ての工程に製品を割付けた状態を時系列的に配置して、生産計画データ28を生成する。最適化手段38が、製品をランダムな順番に選択して生産計画データ生成手段36に渡し、製品選択順と作業者割り付け順を変更して、最も早い最終工程終了時刻30を探索する。これで生産計画を立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ一部あるいは全部が共通する複数の工程を経て製造される、複数種類の製品を、効率良く製造するための工程投入順や各工程への作業者の割付けを、コンピュータにより演算処理して最適化する、製造計画演算方法と製造計画演算装置とコンピュータプログラムとプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を製造する工程と、それぞれ必要な要員と、時間帯毎に実際に投入できる要員数とをデータとして記憶装置に記憶させ、工程毎に要員を最適配置して生産性を高める技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−249712号公報
【特許文献2】特開2007−156990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
建具、階段、収納等の住宅部材を製造する工場では、いずれも、例えば、材料を切削する工程、組み立てる工程、塗装する工程、検査工程等を経る。即ち、複数の製品の製造工程の一部あるいは全部が共通する。各工程では、何種類もの製品を順に受け入れて加工処理する。しかしながら、製品の種類毎に、工程での所要時間が異なる。従って、各工程への製品の受け入れ順により、作業効率が異なる。しかも、作業者が数名必要な工程や、無人で処理される工程が混在していると、作業者の割付けも含む生産計画の最適化は容易でない。
【0005】
本発明は、以上の点に着目してなされたもので、各製品の製造工程への受け入れ順や作業者の割付けを最適化し、各製品の製造終了時刻を算出し、合理的な作業指示を自動的に生成し、製造原価の低減を図るといった目的に使用される、製造計画演算方法と製造計画演算装置とコンピュータプログラムとプログラム記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
いずれかの工程あるいは複数の全ての工程を、共通に利用する複数種類の製品を製造する場合に、記憶装置に対して、製造に従事することができる全作業者の識別コードと全作業者数Nを含む作業者データと、各工程について、その工程の識別コードと、製品毎の加工所要時間と、その工程に必要な作業者数と、その工程で同時に加工することができる製品の数とを含む工程データと、各製品の識別コードと、各製品の製造に必要な工程順とを含む製品データと、指定された期日までに製造を終了させる製品のリストとを記憶させて、生産計画データ生成手段が、前記製品のリストから製品が順番に選択されたとき、前記製品データを参照して、前記各製品が前記工程順に前記選択順に各工程に受け入れられるように、各製品を各工程に割付け、前記工程データを参照して、前記作業者が必要な工程を検出して、前記全作業者を、前工程から後工程に向かって、もしくは後工程から前工程に向かって順番に、各工程に必要な作業者数を満たすように割付けて、作業者が不足した工程があったときは、最も早く終了する工程の終了を待って該当する作業者を割付けて、前記全ての工程に前記製品を割付けた状態を時系列的に配置し、前記作業者の割付け結果を含む時系列割付けデータを生成し、最適化手段が、前記製品のリストから製品をランダムな順番に選択して、前記生産計画データ生成手段に前記時系列割付けデータを生成させて、前記生成された時系列割付けデータから最終工程終了時刻を検出し、その後、前記製品のリストから製品を選択する順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記時系列割付けデータを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻を探索し、前記最も早い最終工程終了時刻が検出された生産計画データの、前記製品の選択順を固定して、前記作業者を前記工程に割付ける順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記時系列割付けデータを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻を探索して、最も早い最終工程終了時刻が検出された時系列割付けデータを含む、最適化された生産計画データを出力することを特徴とする製造計画演算方法。
【0007】
〈構成2〉
構成1に記載の製造計画演算方法において、仕掛品置き場決定手段が、前記各工程で加工を終了した製品が次の工程に移るまで、前記製品の仕掛品を一時保管するための仕掛品置き場を設定し、最適化された生産計画が取得された後、その生産計画で使用をされた仕掛品置き場のみを、最小限必要な容量の仕掛品置き場に決定することを特徴とする製造計画演算方法。
【0008】
〈構成3〉
構成2に記載の製造計画演算方法において、前記仕掛品置き場を、前記製品の加工所要時間をゼロとし、その工程に必要な作業者数をゼロ、同時に保管できる製品数を無制限と定義して、前記時系列データを生成し、いずれかの工程の間で、保管に使用された仕掛品置き場と、その仕掛品置き場に保管された製品数の最大値を取得して、最小限必要な容量の仕掛品置き場を決定することを特徴とする製造計画演算方法。
【0009】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の製造計画演算方法において、製造を開始していない製品と、既に製造が開始された製品とを前記製品のリストに混在させたことを特徴とする製造計画演算方法。
【0010】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の製造計画演算方法において、前記工程データには、その工程で作業可能な作業者を指定する作業者コードと、作業者毎の加工所要時間を示すデータを含めたことを特徴とする製造計画演算方法。
【0011】
〈構成6〉
構成1乃至5のいずれかに記載の製造計画演算方法において、前記最適化手段は、全ての工程に必要十分な数の作業者を割り付けて前記演算処理を実行し、同時に稼働する作業者数の最大値を求めて、前記生産計画データに含めることを特徴とする製造計画演算方法。
【0012】
〈構成7〉
構成1乃至6のいずれかに記載の製造計画演算方法において、作業者が不足して作業者の割り付けを待つ工程を生じさせるように、前記全作業者数Nの初期値を設定し、この全作業者数Nを変更した演算処理を繰り返して、前記指定された期日までに製造を終了させることができる作業者数の最小値を求めることを特徴とする製造計画演算方法。
【0013】
〈構成8〉
いずれかの工程あるいは複数の全ての工程を、共通に利用する複数種類の製品を製造する生産計画をコンピュータにより演算処理する装置であって、製造に従事することができる全作業者の識別コードと全作業者数Nを含む作業者データと、各工程について、その工程の識別コードと、製品毎の加工所要時間と、その工程に必要な作業者数と、その工程で同時に加工することができる製品の数とを含む工程データと、各製品の識別コードと、各製品の製造に必要な工程順とを含む製品データと、指定された期日までに製造を終了させる製品のリストとを記憶する記憶装置と、前記製品のリストから製品が順番に選択されたとき、前記製品データを参照して、前記各製品が前記工程順に前記選択順に各工程に受け入れられるように、各製品を各工程に割付け、前記工程データを参照して、前記作業者が必要な工程を検出して、前記全作業者を、前工程から後工程に向かって、もしくは後工程から前工程に向かって順番に、各工程に必要な作業者数を満たすように割付けて、作業者が不足した工程があったときは、最も早く終了する工程の終了を待って該当する作業者を割付けて、前記全ての工程に前記製品を割付けた状態を時系列的に配置し、前記作業者の割付け結果を含む生産計画データを生成する生産計画データ生成手段と、前記製品のリストから製品をランダムな順番に選択して、前記生産計画データ生成手段に前記生産計画データを生成させて、前記生成された生産計画データから最終工程終了時刻を検出し、その後、前記製品のリストから製品を選択する順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記生産計画データを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻を探索し、前記最も早い最終工程終了時刻が検出された生産計画データの、前記製品の選択順を固定して、前記作業者を前記工程に割付ける順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記生産計画データを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻が検出された生産計画データを、最適化された生産計画データとして出力する最適化手段を備えたことを特徴とする製造計画演算装置。
【0014】
〈構成9〉
コンピュータを、構成7に記載の各手段として機能させる製造計画演算プログラム。
【0015】
〈構成10〉
コンピュータを、構成7に記載の各手段として機能させる製造計画演算プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0016】
〈構成1の効果〉
複数種類の製品の各工程への投入順と作業者の割付けの組み合わせが非常に複雑になるケースであっても、最適化された生産計画をコンピュータにより高速演算処理できる。
〈構成2の効果〉
仕掛品置き場を設けることにより、生産計画をより効率良く最適化できるほか、必要最小限の仕掛品置き場を自動的に決定できる。
〈構成3の効果〉
仕掛品置き場を工程の一種と定義することにより、工程の割付け演算と同時に仕掛品置き場の割付け演算も可能になる。
〈構成4の効果〉
製造未着手の製品も製造が開始されて製造が中断した半製品も混在させて、生産計画の演算処理ができる。
〈構成5の効果〉
作業者の能力に応じて、同じ工程でも所要時間が相違することがある。この場合でも、自動計算を可能にする。
〈構成6の効果〉
作業者が不足する工程を全く無くした生産計画を生成できる。
〈構成7の効果〉
指定された期日までに製造を終了させることができれば、最小限の作業者を担当させるのが経済的な場合がある。その演算処理を実行することかできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施に適する製造計画演算装置のブロック図である。
【図2】コンピュータのハードウエアブロック図である。
【図3】記憶装置16に記憶されたデータの具体的な構成例説明図である。
【図4】実施例1のための製造工程の概要説明図である。
【図5】工程データの具体例を示す説明図である。
【図6】(a)は製品リストの比較例、(b)は製品リストの実施例である。
【図7】時系列割り付けデータの一例を示す説明図である。
【図8】最適化後の時系列割り付けデータの一例を示す説明図である。
【図9】仕掛品置き場を設けた実施例の工程データ説明図である。
【図10】読み出し順を最適化した製品リストの実施例説明図である。
【図11】最適化後の時系列割り付けデータの一例を示す説明図である。
【図12】既に一部製造が開始された製品が混在している場合の工程の概略図である。
【図13】工程データの主要部説明図である。
【図14】実施例3の場合の時系列割り付けデータで、(a)は改良前、(b)は改良後のものである。
【図15】出力された作業者シフトデータの実施例説明図である。
【図16】出力された生産計画データの実施例説明図である。
【図17】本発明のシステムの概略動作を示すフローチャートである。
【図18】最適化手段の前段の探索処理動作フローチャートである。
【図19】最適化手段の後段の探索処理動作フローチャートである。
【図20】生産計画データ生成手段の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の製造計画演算装置は、例えば、複数種類の製品を、指定された期日までに製造する場合の計画作成に利用される。また、あるいは、複数種類の製品をできるだけ早く製造する場合の計画作成に利用される。さらに、最少限の作業者を効率良く稼働させる計画作成に利用される。製品は、例えば、住宅建設用の建具、階段、収納等の部材である。各製品は、それぞれ一定の工程順に製造される。工程は、例えば、切断、組立、塗装、検査等の工程である。
【0019】
切断工程には、材料を指定された形状に切断したり孔を開けたりする設備が設けられている。組立工程には、例えば、ねじ締めや接着等のための設備が設けられている。これらの工程には、例えば、最低1名の作業者が割り付けられる。塗装工程では、前工程から集められた製品を受け入れて、塗料を噴霧し乾燥させる設備が設けられている。この工程は例えば、複数の製品を一括して全自動で加工する。作業者は要らない。検査工程では、例えば、最低1名の作業者が所定の完成検査を行う。
【0020】
上記のような各工程では、複数種類の製品を、それぞれ設計書に基づいて加工することができる。即ち、種類の異なる各製品が、いずれかの工程あるいは複数の全ての工程を共通に利用することができる。例えば、製品毎に加工内容が異なり、作業時間が異なっていても、同じ作業者が同じ工具を使用して作業をする。
【0021】
こうした工程を利用して複数の製品を製造する場合の、具体的な製品の時間的な流れを示したものが生産計画データである。この生産計画データを自動的に生成する場合には、予め、計算のための条件をコンピュータに入力する。製造に従事することができる全作業者数は、例えばN(正の整数)で一定とする。指定された期日まで常にN名の作業者を確保することを前提として、生産計画データを生成する。
【0022】
単一種類の製品を複数個製造する場合には、各製品を順番に一個ずつ、最初の工程から加工していけばよい。各工程での加工作業が最適化されていれば、製品毎の加工順は製造終了時刻に全く影響しない。しかしながら、複数種類の製品が混在すれば、各製品を工程に投入する順番を変えると、製造終了時間が変わる。本発明では、そのうちの最も早く製造が終了する順番を探索して、生産計画データを生成する。
【0023】
さらに、全ての工程に必要十分な作業者を配置すれば、いずれの製品もある工程から次の工程に進むときに、無駄な待ち時間を生じない。しかしながら、各工程の終了タイミングはまちまちだから、各工程を担当する作業者の待ち時間が生じる。従って、全ての工程に必要十分な作業者を配置するのは必ずしも経済的でない。工程に投入する全作業者数Nが必要十分な数に不足している場合には、どのタイミングでどこに作業者を配置するかによって、全体としての効率が変わり、製造終了時刻も変わる。
【0024】
本発明では、各製品を工程に投入する順番を最適化しつつ、作業者の配置の最適化を図り、必要十分な作業者数よりも少ない作業者を効率良く利用して生産計画データを生成する。そのために、以下のようにコンピュータのプログラムとデータを設定して、以下のような手順で演算処理を実行する。
【0025】
(ハードウエア)
図1は、本発明の実施に適する製造計画演算装置のブロック図である。
本発明の製造計画演算装置12は、図のように1台のコンピュータにより実現する。図において、このコンピュータには、演算処理を実行する本体制御部3のほかに、ディスプレイ2、キーボード4、マウス5といったマンマシンインタフェース用ハードウエアが設けられている。ディスプレイ2はコンピュータで処理をした結果を出力するための任意の構成の表示出力装置である。ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プロジェクタ等が利用できる。キーボード4やマウス5はコンピュータに指示を入力するための装置である。これらのマンマシンインタフェース用ハードウエアは、全て既知のものを使用することができるので、図示および各機能の具体的な説明は省略する。
【0026】
図2はコンピュータのハードウエアブロック図である。
コンピュータの本体制御部3の中で、内部バス110には、CPU(中央処理装置)111と、ROM(リードオンリメモリ)112と、RAM(ランダムアクセスメモリ)113と、HDD(ハードディスク)114と、入出力インタフェース115が接続されている。入出力インタフェース115には、ディスプレイ2とキーボード4とマウス5が接続されている。
【0027】
図1に示した記憶装置16は、ROM112やRAM113やHDD114により構成される。図1に示した演算処理装置14は、CPU111、ROM112、RAM113等により構成される。各種のデータは主としてHDD114に記憶されて保存される。CPU111が実行するコンピュータプログラムは、ROM112に記憶され、あるいはRAM113に適時ロードされる。
【0028】
上記のコンピュータは、図1に示すように、演算処理装置14と記憶装置16を備える。コンピュータの演算処理装置14は、図のように、生産計画データ生成手段36、最適化手段38、仕掛品置き場決定手段40等のコンピュータプログラムモジュールにより構成される。コンピュータは、予めインストールされたコンピュータプログラムを実行することにより、所定のタイミングで、演算処理装置14を構成する各手段として機能する。コンピュータは、このコンピュータプログラムの実行中に、記憶装置16を使用して、予め記憶された必要なデータを読み取る。またあるいは、新たなデータを記憶装置16に書き込んで記憶させる。
【0029】
(使用するデータ)
図3は、記憶装置16に記憶されたデータの具体的な構成例説明図である。
記憶装置16(図1)には、作業者データ18と、工程データ20と、製品データ22と、製品リスト24とを記憶させておく。作業者データ18は、製造に従事することができる全作業者の識別コード42と全作業者数(N)44を含む。作業者数Nは、全ての工程に割り付けるのに十分な数とは限らない。作業者の無駄な待ち時間を減らして、作業者を効率良く利用するために、Nは必要十分な作業者数以下の数に選定する。
【0030】
全ての工程に必要十分な数の作業者を割り付けたときに、同時に稼働する作業者数の最大値を求めれば、作業者が不足して作業者の割り付けを待つ工程を無くすことができる。また、さらに少ない作業者で、作業者の割り付けを待つ工程があっても、要求された作業終了時刻を満たす生産計画を生成できる。作業者数を変更して上記の演算処理を繰り返すと、必要最小限の作業者数を求めることができる。この演算処理は最適化手段38が実行し、その結果は、生産計画データ28に含めて出力されるとよい。なお、作業者に能力差があるような場合には、割り付けられた作業者毎に、各工程の加工時間が異なってくる。これを考慮した最適化もできる。このときは、作業者をランク付けした評価データを作業者データ18に含めるとよい。評価データは、工程毎の加工所要時間の割り増し率等になる。
【0031】
工程データ20は、各工程について、その工程の識別コード46と、製品毎の加工所要時間48と、その工程に必要な作業者数50と、その工程で同時に加工することができる製品の数52とを含む。同じ工程でも、製品の種類により所要時間が異なる。この所要時間が、各製品を前工程から受け入れ、後工程に送るタイミングを決定する重要なパラメータになる。なお、説明を簡単にするために、工程間の製品の搬送時間は省略した。さらに、場合により必要になる段取替え時間も省略した。また、製品を複数同時に加工することができる工程では、例えば、製品が3個揃わなければ加工を開始させない工程や、製品を3個以上6個まで同時に加工でき、指定されたタイミングで加工を開始するといった工程も含まれていて構わない。
【0032】
製品データ22は、各製品の識別識別コード54と、各製品の製造に必要な工程順56とを含む。各製品は必ずこの工程順に各工程に送り込まれる。なお、全ての工程を経て完成したものが製品であって、その前工程のものは仕掛品とか半製品と呼ぶべきであるが、本発明の説明を進める上で支障が無いので、全て製品と呼んで説明をすすめる。
【0033】
製品リスト24は、指定された期日までに製造を終了させる製品の製品識別コード54を列挙したものである。製造対象には、例えば、製品A、B、Cという3種類の製品が含まれる。製品Aは5個、製品Bは3個、製品Cは3個とする。各製品は、それぞれの工程に別々に投入され、これらの製品がどの工程に存在するかを常に意識する必要があるので、製品識別コードに工程投入順を示す数字を付加して、全ての製品を区別できるようにしておく。その例は、図4等で説明する。製品リスト24は、このほかに、製造終了期日60も含む。
【0034】
(手段(プログラムモジュール)の説明)
次に、演算処理装置の各手段について説明する。生産計画データ生成手段36は、与えられた条件で、具体的な生産計画を生成する機能を持つ。最適化手段38は、生産計画データ生成手段36に与える条件を変更して、生産計画データ生成手段36に繰り返し演算処理をさせ、最適値を探索する機能を持つ。仕掛品置き場決定手段40は、生成された生産計画データから、不用な仕掛品置き場を除去して、最適値を求める機能を持つ。
【0035】
即ち、生産計画データ生成手段36は、始めに、製品リスト24を記憶装置16から読み出す。製品リスト24は、指定された期日までに製造を終了させる製品をリストアップしたものである。製品リスト24から読み出す製品識別コード54の順番を、最適化手段38が決定する。即ち、最適化手段38は、製品リスト24から所定の順番に製品識別コード54を選択して読み出し、生産計画データ生成手段36に渡す。生産計画データ生成手段36は、読み出された製品識別コード54とコードが一致する製品の製品データ22を参照して、各製品が、必要工程順56に示された各工程に順次受け入れられるように、各製品を各工程に割付ける。
【0036】
続いて、作業者の割り付けを行う。工程毎に、記憶装置16に記憶された該当する工程識別コード46の工程データ20を参照して、必要作業者数50が「0」でない工程を検出する。そして、全作業者を、一定の規則で一定の順に割り付ける。例えば、時間軸上で同時進行する工程を検出し、後工程から前工程に向かって順番に、各工程に最小限必要な作業者数を満たすように割付けていく。作業者が不足した工程が残ったときは、工程での作業が終了した作業者を待って、該当する作業者を割付ける。前工程から後工程に向かって順番に割り付けをするようにしても構わない。割り付けの優先順位に一定のルールを設けておく。製品識別コード54を一つずつ読み出し、時系列割り付けを実行し、作業者を割付けるという処理を繰り返して時系列割り付けデータ26を生成する。
【0037】
生産計画データ生成手段36は、こうして、全ての工程に製品を割付けた状態を時系列的に配置し、作業者の割付け結果を含む時系列割り付けデータ26を生成する。時系列割り付けデータ26の具体例は後で説明する。最適化手段38は、例えば、毎回乱数を発生して、製品リスト24から製品識別コード54を読み出す製品データ読み取り順32を決定して、生産計画データ生成手段36に渡す。その処理を繰り返す。即ち、生産計画データ生成手段36に対して、ランダムな順番に選択した製品を、その順番に工程に割付けさせて、時系列割り付けデータ26を繰り返し生成させる。その結果から、全ての製品の製造が終了する製造終了期日60よりも早く、かつ、最も早い最終工程終了時刻30を探索する。
【0038】
即ち、最適化手段38は、生成された時系列割り付けデータ26から最終工程終了時刻30を検出し、その後、製品リスト24から識別コード54を読み出す製品データ読み取り順32を変更して、生産計画データ生成手段36に新たな時系列割り付けデータ26を生成させるという処理を繰り返す。このとき、例えば、山登り法や焼き鈍し法等の既知の様々な探索方法を利用して、最適値の探索を実行する。
【0039】
ここで、最も早い最終工程終了時刻30が検出された時系列割り付けデータ26の、製品の選択順を固定する。そして、今度は、作業者を工程に割付ける、作業者割付け順を変更して、生産計画データ生成手段36に時系列割り付けデータ26を生成させるという処理を繰り返す。この場合にも、山登り法や焼き鈍し法等の方法で、前記指定期日よりも早く、かつ、最も早い最終工程終了時刻30を探索する。こうして、最適化された時系列割り付けデータ26を含む生産計画データ28を生成する。なお、生産計画データ28には時系列割り付けデータ26と、作業者割り付け順34を示すデータや作業者への指示書その他、実際の生産開始時に必要な各種資料の印刷用データが含まれるものとする。
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0040】
図4は実施例1のための製造工程の概要説明図である。図5は工程データの説明図である。
図4に示すように、予定した製品を製造するために、A工程からG工程までの合計7つの工程が設けられている。A工程とC工程とG工程とは人作業であり、図5に示すように、作業者1名を必要とする。B工程は自動的に製品を加工する加工機である。D工程とF工程とは、3個の製品を次の工程への投入に備えて待機させることができるスペースである。製造する製品は2種類である。製品AA1、AA2をそれぞれ6個ずつ製造する。全ての製品の製造終了期日60(図3)は全て同一とする。全工程で必要な作業者は3名であるが、実働できる作業者は2名とする。
【0041】
なお、作業者を必要とする工程において、着手した加工は必ず完了させるものとする。また、B工程とE工程とは3個の製品が揃わないと加工を開始しない。3個の製品を投入すると加工を開始して、加工後の3個の製品を取り出さないと、次の製品を投入できない。また、説明を簡単にするために、搬送時間や段取り替え時間等の中継ぎ的な作業時間は省略する。製品AA1とAA2の製品データでは、いずれも、必要工程順56(図3)が、A−B−C−D−E−F−Gとされているものとする。
【0042】
図5は、工程データの具体例を示す説明図である。
図に示すように、A工程からG工程まで、それぞれ、製品AA1とAA2の製品毎加工所要時間48(作業時間の欄)と、必要作業者数50とが表示されている。また、備考の部分には、同時加工製品数52が表示されている。なお、「ワーク」というのは、加工中の仕掛品のことである。この図表の右端の一個あたり作業時間という欄には、一個あたりの作業時間の平均値を示した。
【0043】
図6の(a)は製品リストの比較例、(b)は製品リストの実施例であって、読み出し順に製品識別コードが配列されている。
図の(a)において、製品はAA1とAA2の2種類であって、製品AA1を6個続けて生産し、その後製品AA2を6個続けて生産するように、製品識別コードが配列されている。ここで、同じ製品でそれぞれ別々の順番に工程に投入されるものを区別するために、投入順に連番を付した。この連番は、製品識別コードに付加されるとよい。これらの製品はどの順番に製造されても構わない。そこで、実施例では、製造する順番を入れ替えて、より早く製造が終了する条件を探索する。なお、製造終了期日60は、例えば、この図のリストの属性データに含められる。
【0044】
(生産計画データ)
図7は、時系列割り付けデータの一例を示す説明図である。
これは、全ての工程に製品を割付けた状態を時系列的に配置したものである。即ち、例えば、最初の製品(製品識別コードはAA1)W1は、A工程での330秒の加工後に、B工程であとから続くW2、W3の加工が終了するのを待つ。始めから990秒後にW1、W2、W3が揃うと、B工程の120秒の加工が開始される。B工程の加工が終了すると、W1、W2、W3の順番に、それぞれC工程での330秒の加工が進められる。
【0045】
W1は、C工程での加工後にD工程に保管されて、後から続くW2、W3の加工が終了するのを待つ。始めから2100秒後にW1、W2、W3のC工程の加工が終了すると、これらはD工程からE工程に送られて、E工程の780秒の加工が開始される。E工程の加工が終了すると、W1はすぐにG工程に投入される。W2、W3はF工程の仕掛品置き場で待機する。こうして全ての製品が順番にG工程で加工されて加工が終了すると、全作業が完了する。この例では、最終工程終了時刻は始めから6530秒後である。
【0046】
次に、各製品の工程への製品投入順の合理化による終了時刻の短縮について説明する。
図6(a)に示した製品投入順を初期値として、ランダムに2つの製品の投入順を入れ替える。そして、図6(b)に示したような新たな製品リストを得る。この順番に、次の演算処理を実行する。そして最終工程終了時刻を求める。先にした演算処理の結果得られた最終工程終了時刻30を、図1に示した記憶装置16に記憶しておく、そして、毎回演算処理をして、
その結果得られた最終工程終了時刻と比較する。
【0047】
最終工程終了時刻が減少したら採用し、減少しないときは採用しないという操作を繰り返し、最小終了時刻を求める。これは、山登り法と呼ばれる探索法である。山登り法は初期値の選び方により局所解を求めてしまう場合がある。従って、例えば、図6(a)のAA1とAA2とを入れ替えて初期値を変更して、ランダムに2つの製品の投入順を入れ替えるという処理を実行する。こうして繰り返し最小値を求めるとよい。
【0048】
(作業者の割付け)
次に、作業者の工程への割付け合理化による終了時刻の短縮について説明する。
上記の計算の結果、例えば、図6(b)に示す投入順で最小値が求められたものとする。今度は、この製品リストの製品読み出し順を固定したままで、作業者の各工程への割付け方法をランダムに変更する。
【0049】
これまでは、時間軸上で同時進行する工程を検出し、後工程から前工程に向かって順番に、各工程に最小限必要な作業者数を満たすように割付けた。例えば、図7において、始めから2880秒後にG工程でW1の加工が開始され、その後順番にW2、W3が加工される。このW1の加工開始時には、A工程とC工程とG工程が同時に作業者を要求している。しかし、全作業者数は2名である。そこで、上記の一定の規則に従って、G工程とC工程に作業者を割り付けた。A工程では、W6を加工するC工程の終了を待って、W8の加工を開始した。
【0050】
従って、A工程は始めから3540秒後まで休止状態で、その後、W8の加工を開始している。しかしながら、例えば、始めから3230秒後、G工程を終えた作業者がA工程に移ってW8の加工を開始することもできる。このように、作業者の割り付けをランダムに入れ替えて、最終工程終了時刻が減少したら採用し、減少しないときは採用しないという操作を繰り返し、最小終了時刻を求める。
【0051】
図8は、最適化後の時系列割り付けデータの一例を示す説明図である。
上記の処理の結果、図7の割り付けを改善することができた。最終工程終了時刻では320秒(=6530−6210)短縮できた(短縮比5%)。なお、作業者の工程への割り付け順についても、初期値を変更して探索をすることで、局所解を求めてしまうのを避けることができる。この場合、製品投入順を最適化する処理で、最適解に近い解で最適解とは別の解を記憶装置に記憶させておけば、初期値を変更することができる。
【0052】
また、最適化手段38が、全ての工程に必要十分な数の作業者を割り付けて上記の演算処理を実行し、同時に稼働する作業者数の最大値Nmaxを求めれば、作業者が不足する工程を全く無くした生産計画を生成できる。これは、全製品を最速で生産する結果に結びつく可能性か高い。一方、全作業者数Nの初期値をNmaxより少なく設定し、この全作業者数Nを変更した演算処理を繰り返せば、指定された期日までに製造を終了させることができる場合とできない場合とがわかる。指定された期日までに製造を終了させることができる、限界の作業者数Nが、適正な作業者数Nの最小値になる。最小限の作業者を担当させて、経済的な生産が可能になる。
【実施例2】
【0053】
図9は、仕掛品置き場を設けた実施例の工程データ説明図である。
この実施例では、工程間に仕掛品置き場を設けたときの、置き場容量の適正値を求める方法を説明する。これまでの実施例では、3個同時に加工をする工程であって、製品が加工を待機したり、次工程へ投入される前の待機のために、当初から十分と思われる仕掛品置き場を設定した。図4に示したE工程の前後のD工程とF工程がその例である。
【0054】
一方、例えば、製品を1個ずつ加工する工程が連続しているとき、後工程で製品の加工中は、前工程で製品の加工を終えていても、製品を後工程に投入できない。このとき、前工程では、次に加工する製品が待機していても、加工を始めることができない。そのために工程間に仕掛品置き場を設ける。仕掛品置き場が十分にあればこの問題は無くなるが、工場の有効スペースを狭めるという問題がある。
【0055】
この実施例では、他の工程と同様の扱いで、任意に仕掛品置き場を設定して、上記の演算処理を実行する。製品の加工所要時間をゼロとし、その工程に必要な作業者数をゼロ、同時に保管できる製品数を無制限と定義する。仕掛品置き場では、次工程の受け入れ準備ができ次第次工程に製品を移す。A工程からB工程へ製品を最短時間で投入するという条件下で、B工程が終了前の場合は、B工程が終了するまで、製品をa工程に保持するという条件を設定して演算処理を実行する。
【0056】
上記の演算処理で、全ての工程間に十分な容量の仕掛品置場を仮配置して演算処理を実行したところ、A工程とB工程の間に最大2個の仕掛品を置く結果になった。そこで、図9の例では、例えば、A工程とB工程の間に、製品を2個置ける仕掛品置き場をa工程と設定した。即ち、十分な容量の仕掛品置場を仮配置して演算処理を実行することにより、いずれかの工程の間で、保管に使用された仕掛品置き場と、その仕掛品置き場に保管された製品数の最大値を取得して、最小限必要な容量の仕掛品置き場を決定することが可能になる。従って、工場のスペースを有効に利用して製品の製造ができる。
【0057】
図10は、読み出し順を最適化した製品リストの実施例説明図である。また、図11は、最適化後の時系列割り付けデータの一例を示す説明図である。
上記の演算処理の結果、図10示すような順番で製品を投入することで最適化が実現した。その結果、図11に示すように時系列割り付けデータが生成された。これを図7のものと比較したところ、最終工程終了時刻では830秒(=6530−5700)短縮できた(短縮比12.7%)。
【0058】
この時系列割り付けデータによれば、製造工程全体を最大効率で稼働させるために、どのタイミングでどれだけの製品がa工程で待機しているべきかがわかる。その最大値がa工程の仕掛品置き場の適正容量である。
【実施例3】
【0059】
図12は、既に一部製造が開始された製品が混在している場合の工程の概略図で、図13は、工程データの主要部説明図である。
上記の実施例では、全ての製品が最初から製造を開始されるという前提で説明をした。しかしながら、未だ製造を開始していない製品と、既に製造が開始された状態の製品が混在していても、同様の演算処理が可能である。これは、最初に所定の生産計画で製造を開始した後に、例えば、一部の製品の納期が変更になったといった理由で生産計画を見直す場合にも有効である。
【0060】
図14は、実施例3の場合の時系列割り付けデータを示し、(a)は改良前、(b)は改良後のものである。
図12に示したように、現在、S工程にW1、B工程にW2、C工程にW3の製品が残っている状態で、作業者一人で、これらの加工作業を完了させるものとする。また、S工程の残加工時間が10秒で、C工程の残加工時間が0秒のタイミングとする。この場合には、C工程で加工を完了した製品をE工程に投入してすぐに加工を開始すると、待ち時間が最小になる。もし、D工程の置き場が無ければ、すぐにE工程を開始しなけれはならない。
【0061】
しかしながら、作業者の割付けをS工程からA工程とすると、計算上最終工程終了時刻が早くなる。直前のC工程終了時に、続いて一人の作業者を割付ける工程の選択を変えるだけで、このように、最終工程終了時刻が変わる。また、C工程とE工程の間に、少なくとも1個の製品を置く仕掛品置き場が有効に機能すること、置き場に待機させることができる製品の数の最大値はこの場合は1であること等が、演算処理の結果判明する。
【実施例4】
【0062】
図15は出力された作業者シフトデータの実施例説明図である。図16は、出力された生産計画データの実施例説明図である。
図15に示すように、各作業者には、それぞれ作業者名と、どの工程の作業を何時から何時まで処理するか、各工程では、どの製品を加工するかといった内容の指示をリストアップした帳票を出力する。また、管理者に対して、図16に示すように、何時から何時までどの工程でとはの作業者がどの製品を加工するかが一覧表で見えるようにして、生産計画データが生成される。いずれの出力も、上記の時系列割り付けデータを使用して生成できる。
【実施例5】
【0063】
図17は本発明のシステムの概略動作を示すフローチャートである。
以下、上記の演算処理を実行するための具体的なプログラムフローチャート例を説明する。図17において、予めステップS11で、演算処理条件を設定する。具体的には、オペレータが作業者データ18、工程データ20、製品データ22、製品リスト24等のデータを初期値として記憶装置にセットする。記憶装置16がこれらのデータを受け入れた後に、生産計画データ生成手段36と最適化手段38が起動する。生産計画データ生成手段36と最適化手段38は、ステップS12で、生産計画の最適化のための演算処理を実行する。これにより、生産計画データ28が生成される。
【0064】
ステップS13では、生成された生産計画データ28を出力してよいかどうか評価をする。この評価は、最終工程終了時刻30が、指定納期を満たすかどうかの判断になる。指定納期を満たさないときは、ステップS11の処理に戻って条件設定をやりなおす。指定納期を満たすときはステップS15の処理に移行する。
【0065】
ステップS15では、仕掛品置き場決定手段40が、生産計画データ28に含まれた余剰の仕掛品置き場を削除して、仕掛品置場容量を決定する。ステップS16では、生成された生産計画データ28出力をする。生産計画データ28は、例えば、図15に示した内容で、プリンタ116(図2)により印刷出力される。ステップS17では、作業者シフトデータの出力をする。作業者シフトデータは、例えば、図16に示した内容で、プリンタ116(図2)により印刷出力される。
【0066】
図18は、最適化手段の前段処理動作フローチャートである。
前段処理では、製品の投入順をランダムに変更して、最適値を探索する。後段処理では製品の投入順を固定したまま、作業者の割付け順をランダムに変更して最適値を探索する。図18ではその前段処理の説明をする。また、図19では、後段処理の説明をする。
【0067】
図18のステップS21では、最適化手段38が、記憶装置から作業者データ18と工程データ20と製品データ22を読み取ってその受付けをする。ステップS22では、作業者割付順を、上記のように、後工程優先といった一定ルールに固定する。ステップS23では、製品の投入順(製品データ読み取り順32)の初期値を設定する。ここで乱数を使用するとよい。ステップS24では、生産計画データ生成手段36を起動して、演算処理を実行させる。その具体例は図20で説明する。ステップS25では、最適化手段38が生産計画データ生成手段36の演算処理結果を受け取って、最終工程終了時刻30の記憶をする。
【0068】
ステップS26では、製品の投入順(製品データ読み取り順32)を変更をする。ステップS27では、再び生産計画データ生成手段36を起動して、演算処理を実行させる。ステップS28では、最適化手段38が生産計画データ生成手段36の演算処理結果を受け取って、新たな最終工程終了時刻と記憶装置16に記憶した最終工程終了時刻30とを比較する。そして、最終工程終了時刻が短縮されたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS29の処理に移行し、ノーのときはステップS26の処理に移行して、生産計画データ生成手段36の演算処理を繰り返す。
【0069】
ステップS29では、今回の演算処理を実行したとき採用した製品の投入順製品データ読み取り順32)を、記憶装置16に記憶させて更新する。さらに、ステップS30では、今回の演算処理で短縮された新たな最終工程終了時刻30を記憶装置16に記憶させてデータを更新する。ステップS31では、演算処理結果は収束したかどうかという判断をする。この判断のために、予め最終工程終了時刻30の収束基準を決めておけばよい。この判断の結果がイエスのときは処理を終了する。ノーのときはステップS26の処理に戻って、生産計画データ生成手段36の演算処理を繰り返す。
【0070】
図19は、最適化手段の後段処理動作フローチャートである。
この図のステップS41では、最適化手段38が、記憶装置から作業者データ18と工程データ20と製品データ22を読み取ってその受付けをする。次に、ステップS42では、製品投入順を決める。前段処理の結果得られた製品投入順で固定する。ステップS43では、作業者割り付け順34(初期値)の設定をする。例えば、前段では、後工程に優先的に作業者を割付けた。しかし、ここでは、例えば、最も後工程から2番目の工程と3番目の工程の優先度を入れ替える。ステップS44では、生産計画データ生成手段36を起動して、演算処理を実行させる。
【0071】
ステップS45では、最適化手段38が生産計画データ生成手段36の演算処理結果を受け取って、最終工程終了時刻30の記憶をする。ステップS46では、再度作業者割付順を変更する。例えば、最も後工程から3番目の工程と4番目の工程の優先度を入れ替える。このような優先度の入れ替え方法を毎回ランダムに選択する。ステップS47では、再び生産計画データ生成手段36を起動して、演算処理を実行させる。ステップS48では、最適化手段38が生産計画データ生成手段36の演算処理結果を受け取って、新たな最終工程終了時刻と記憶装置16に記憶した最終工程終了時刻30とを比較する。そして、最終工程終了時刻が短縮されたかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS49の処理に移行し、ノーのときはステップS46の処理に移行して、生産計画データ生成手段36の演算処理を繰り返す。
【0072】
ステップS49では、今回の演算処理を実行したとき採用した作業者割り付け順34を、記憶装置16に記憶させて更新する。さらに、ステップS50では、今回の演算処理で短縮された新たな最終工程終了時刻30を記憶装置16に記憶させてデータを更新する。ステップS31では、演算処理結果は収束したかどうかという判断をする。この判断のために、予め最終工程終了時刻30の収束基準を決めておけばよい。この判断の結果がイエスのときは処理を終了する。ノーのときはステップS26の処理に戻って、生産計画データ生成手段36の演算処理を繰り返す。
【0073】
図20は、生産計画データ生成手段の動作例フローチャートである。
生産計画データ生成手段36は、上記の処理中で、最適化手段38から次に工程に投入する製品の製品識別コードや作業者割付け順のルールを受け取って、この処理を開始する。ステップS61では、時系列データの生成を開始するために、時刻=0のセットをする。その後は、単位時間ずつ時刻をシフトさせながら、各製品を工程に割付けていく。ステップS62では、受け取った製品を空き工程に投入する。
【0074】
ステップS63では、投入する工程は人作業かどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS64の処理に移行し、ノーのときはステップS67の処理に移行する。ステップS64では、空き作業者がいるかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS65の処理に移行し、ノーのときはステップS67の処理に移行する。ステップS65では、ルールどおり作業者を割付ける。ステップS66では、時刻単位時間進ませる。これを、時系列割り付けデータ26の生成まで繰り返す。即ち、ステップS67で、全製品の工程が完了し、全製品が完了したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS68の処理に移行し、ノーのときはステップS62の処理に戻る。ステップS67では、時系列割り付けデータ26の生成をして処理を終了する。その結果は最適化手段38にわたされる。
【0075】
なお、上記の演算処理装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
12 製造計画演算装置
14 演算処理装置
16 記憶装置
18 作業者データ
20 工程データ
22 製品データ
24 製品リスト
26 時系列割り付けデータ
28 生産計画データ
30 最終工程終了時刻
32 製品データ読み取り順
34 作業者割り付け順
36 生産計画データ生成手段
38 最適化手段
40 仕掛品置き場決定手段
42 作業者識別コード
44 全作業者数N
46 工程識別コード
48 製品毎加工所要時間
50 必要作業者数
52 同時加工製品数
54 製品識別コード
56 必要工程順
58 製品コード
60 製造終了期日

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれかの工程あるいは複数の全ての工程を、共通に利用する複数種類の製品を製造する場合に、
記憶装置に対して、
製造に従事することができる全作業者の識別コードと全作業者数Nを含む作業者データと、各工程について、その工程の識別コードと、製品毎の加工所要時間と、その工程に必要な作業者数と、その工程で同時に加工することができる製品の数とを含む工程データと、
各製品の識別コードと、各製品の製造に必要な工程順とを含む製品データと、
指定された期日までに製造を終了させる製品のリストとを記憶させて、
生産計画データ生成手段が、
前記製品のリストから製品が順番に選択されたとき、
前記製品データを参照して、前記各製品が前記工程順に前記選択順に各工程に受け入れられるように、各製品を各工程に割付け、
前記工程データを参照して、前記作業者が必要な工程を検出して、前記全作業者を、前工程から後工程に向かって、もしくは後工程から前工程に向かって順番に、各工程に必要な作業者数を満たすように割付けて、作業者が不足した工程があったときは、最も早く終了する工程の終了を待って該当する作業者を割付けて、
前記全ての工程に前記製品を割付けた状態を時系列的に配置し、前記作業者の割付け結果を含む時系列割付けデータを生成し、
最適化手段が、
前記製品のリストから製品をランダムな順番に選択して、前記生産計画データ生成手段に前記時系列割付けデータを生成させて、
前記生成された時系列割付けデータから最終工程終了時刻を検出し、
その後、前記製品のリストから製品を選択する順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記時系列割付けデータを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻を探索し、
前記最も早い最終工程終了時刻が検出された生産計画データの、前記製品の選択順を固定して、前記作業者を前記工程に割付ける順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記時系列割付けデータを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻を探索して、
最も早い最終工程終了時刻が検出された時系列割付けデータを含む、最適化された生産計画データを出力することを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造計画演算方法において、
仕掛品置き場決定手段が、
前記各工程で加工を終了した製品が次の工程に移るまで、前記製品の仕掛品を一時保管するための仕掛品置き場を設定し、
最適化された生産計画が取得された後、その生産計画で使用をされた仕掛品置き場のみを、最小限必要な容量の仕掛品置き場に決定することを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造計画演算方法において、
前記仕掛品置き場を、前記製品の加工所要時間をゼロとし、その工程に必要な作業者数をゼロ、同時に保管できる製品数を無制限と定義して、前記時系列データを生成し、いずれかの工程の間で、保管に使用された仕掛品置き場と、その仕掛品置き場に保管された製品数の最大値を取得して、最小限必要な容量の仕掛品置き場を決定することを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の製造計画演算方法において、
製造を開始していない製品と、既に製造が開始された製品とを前記製品のリストに混在させたことを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の製造計画演算方法において、
前記工程データには、その工程で作業可能な作業者を指定する作業者コードと、作業者毎の加工所要時間を示すデータを含めたことを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の製造計画演算方法において、
前記最適化手段は、全ての工程に必要十分な数の作業者を割り付けて前記演算処理を実行し、同時に稼働する作業者数の最大値を求めて、前記生産計画データに含めることを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の製造計画演算方法において、
作業者が不足して作業者の割り付けを待つ工程を生じさせるように、前記全作業者数Nの初期値を設定し、この全作業者数Nを変更した演算処理を繰り返して、前記指定された期日までに製造を終了させることができる作業者数の最小値を求めることを特徴とする製造計画演算方法。
【請求項8】
いずれかの工程あるいは複数の全ての工程を、共通に利用する複数種類の製品を製造する生産計画をコンピュータにより演算処理する装置であって、
製造に従事することができる全作業者の識別コードと全作業者数Nを含む作業者データと、各工程について、その工程の識別コードと、製品毎の加工所要時間と、その工程に必要な作業者数と、その工程で同時に加工することができる製品の数とを含む工程データと、
各製品の識別コードと、各製品の製造に必要な工程順とを含む製品データと、指定された期日までに製造を終了させる製品のリストとを記憶する記憶装置と、
前記製品のリストから製品が順番に選択されたとき、前記製品データを参照して、前記各製品が前記工程順に前記選択順に各工程に受け入れられるように、各製品を各工程に割付け、前記工程データを参照して、前記作業者が必要な工程を検出して、前記全作業者を、前工程から後工程に向かって、もしくは後工程から前工程に向かって順番に、各工程に必要な作業者数を満たすように割付けて、作業者が不足した工程があったときは、最も早く終了する工程の終了を待って該当する作業者を割付けて、前記全ての工程に前記製品を割付けた状態を時系列的に配置し、前記作業者の割付け結果を含む生産計画データを生成する生産計画データ生成手段と、
前記製品のリストから製品をランダムな順番に選択して、前記生産計画データ生成手段に前記生産計画データを生成させて、前記生成された生産計画データから最終工程終了時刻を検出し、その後、前記製品のリストから製品を選択する順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記生産計画データを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻を探索し、前記最も早い最終工程終了時刻が検出された生産計画データの、前記製品の選択順を固定して、前記作業者を前記工程に割付ける順番を変更して、前記生産計画データ生成手段に前記生産計画データを生成させるという処理を繰り返して、最も早い最終工程終了時刻が検出された生産計画データを、最適化された生産計画データとして出力する最適化手段を備えたことを特徴とする製造計画演算装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項7に記載の各手段として機能させる製造計画演算プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、請求項7に記載の各手段として機能させる製造計画演算プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−93865(P2012−93865A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239201(P2010−239201)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(501195625)住友林業クレスト株式会社 (43)
【Fターム(参考)】