説明

複合サイクル動作における安全なドラム水位を決定する方法およびシステム

【課題】複合サイクル発電所(10)用の熱回収蒸気発生システム(12)のドラム(34)内の水位を制御する方法を提供する。
【解決手段】この方法は、特性チャートモデル(100)に基づいて熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中の最適なドラム水位を求めるステップを含む。特性チャートモデル(100)は、熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作時における複数のドラム(34)内蒸気圧および複数のドラム金属部温度に基づいて作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に複合サイクル動作に関し、より詳細には複合サイクル発電所用の熱回収蒸気発生(HRSG)システムの起動動作中のドラム水位を制御する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電所は一般に、ガスタービン、蒸気タービン、およびHRSGシステムを備える。HRSGシステムは基本的に、ガスタービンからの排出ガス中の熱を回収し、次いで、回収した熱を利用して蒸気を生成し、蒸気タービンに供給するために使用する。複合サイクル発電所は一般に、ボイラドラム、脱気槽、復水槽などの様々な種類の貯水槽を備える。ボイラドラムは通常、HRSGシステムに水を安定に供給し、熱エネルギーを蓄積して、発電所で生成または消費する蒸気量の変化を補償するものである。ボイラドラム水位の制御は、発電所の保護と機器の安全に必要不可欠であり、ボイラドラム内の水位の高いときも低いときも等しく行う。さらに、ボイラドラム内には水−蒸気分離機が特に設けられており、それによって、蒸気タービン内には湿った蒸気が入らないようになっている。ボイラドラム水位を制限値内に維持することは重要である。水位が制限値を超えると、多くの場合、発電効率が低下したり、HRSGシステム内で使用する機器が損傷したりするからである。
【0003】
さらに、複合サイクル発電所の起動動作では、ボイラドラム内の水位が急激に上昇する。このように起動時にドラム水位が上昇するのは、HRSGシステム内の水がガスタービンからの高温排出ガスによって加熱され、HRSGシステム内の水の温度が急激に上昇し、蒸発が急に始まるからである。この状態では、蒸気発生器内で気相と液相が共存している。水の平均比体積(m/kg)は蒸気のそれよりも極めて小さいので、ボイラドラム内で水位が急激に上昇するのである。水位が上昇して最高許容水位を超えることがあると、安全上の問題が生じる。したがって、水位が上昇したときには、ドラムから過剰な水を排出する必要がある。しかしながら、水位は急に上昇するので、過剰な水を排出するには注意深く制御する必要があり、そうしないと安全上の問題が生じる。複合サイクル発電所で毎日定期的に起動動作と停止動作を行う必要がある場合には特にそうである。また、過剰な水の排出に伴う熱損失が複合サイクル発電所の効率に影響を及ぼす。
【0004】
このようなボイラドラム水位上昇現象をなくすには、発電所の起動動作に先だってドラム水位を低くする。ボイラドラム水位は一般に、ボイラドラムに水を加えるか、ボイラドラムから水を排出することによってほぼ一定の水位が維持されるように制御される。しかしながら、ボイラドラム水位の制御は、2相流の動的な振る舞いが複雑であること、波が存在すること、熱および圧力の乱れが未知であること、負荷要求などから、難しい問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,206,644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動動作中のボイラドラム内の水位を効率よく制御することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動中のボイラドラム水位を制御する方法が提供される。この方法は、特性チャートモデルに基づいて熱回収蒸気発生システムの起動動作中の最適なボイラドラム水位を求めるステップを含む。この特性チャートモデルは、HRSGシステムの起動動作時における複数のボイラドラム内蒸気圧および複数のボイラドラム金属部温度に基づいて作成される。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動中のボイラドラム水位を制御する方法が提供される。この方法は、このシステムの起動動作中の実際のボイラドラム水位を測定するステップを含む。この方法は、ボイラドラム内の蒸気圧を測定するステップをも含む。この方法はさらに、ボイラドラム内の水温を求めるためにボイラドラム金属部温度を測定するステップを含む。この方法はさらに、特性チャートモデルに基づいてHRSGシステムの起動動作中の最適なボイラドラム水位を求め、次いで、この最適なボイラドラム水位と実際のボイラドラム水位とを比較するステップを含む。最後に、この方法は、最適なボイラドラム水位と実際のボイラドラム水位との比較結果に基づいて、ボイラドラムに水を供給するか、ボイラドラムから水を排出することによってボイラドラム水位を制御するステップを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、HRSGシステムが提供される。このシステムは、水を収容するボイラドラムを備える。このシステムは、ボイラドラムに加熱された水を提供するエコノマイザも備える。このシステムはさらに、複数の降水管および蒸発器管でボイラドラムに接続された蒸発器を備える。このシステムは、蒸気流を受け取って過熱蒸気流を生成する蒸気経路内過熱器も備える。このシステムは、ドラム水温度、ボイラドラム内の蒸気圧、およびボイラドラム内の実際の水位を測定する複数のセンサからなる感知システムも備える。最後に、このシステムは、熱回収蒸気発生システムの起動動作中の最適なボイラドラム水位と実際のドラム水位との比較結果に基づいて、ドラムに水を供給するか、ドラムから水を排出することによってドラム水位を制御するコントローラを備える。
【0010】
本発明の上記その他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せ読めばよりよく理解されよう。なお、図面を通して、同様の符号は同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】HRSGシステムを使用する複合サイクル発電システムの実施形態における動作の流れを概略的に示す。
【図2】複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動動作中の最適なボイラドラム水位を求めるための複数の特性曲線を表す特性チャートモデル100を示す。
【図3】複合サイクル発電所用のHRSGシステムのドラム水位を制御する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、一般に複合サイクル動作を対象とし、より詳細には複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動動作中のボイラドラム水位を制御する方法およびシステムを対象とする。本明細書では、「常温起動状態」という用語は、起動中のボイラドラム内の圧力が低く、水温が水の飽和温度よりもはるかに低いことを示す。さらに、「温態起動状態」という用語は、起動中のボイラドラム内の圧力が高く、水温が水の飽和温度とほぼ等しいことを示す。この方法では、ドラム、蒸発器、および下降管の幾何形状のみならず、複合サイクル発電所のHRSGシステムの起動動作時における複数のドラム内蒸気圧および複数のボイラドラム金属部温度にも基づく特性チャートモデルを作成する。
【0013】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するに当たり、「ある」、「その」、および「前記」という用語は、要素が1つまたは複数であることを意味するものとする。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、非排他的な意味であり、列挙した要素以外の追加の要素もあり得ることを意味するものとする。動作パラメータの例は、以下に開示する実施形態の他のパラメータを排除するものではない。
【0014】
図1は、HRSGシステム12を有する複合サイクル発電システム10の実施形態の例における動作の流れを概略的に示す図である。システム10は、第1の負荷16を駆動するガスタービン14を備える。ガスタービン14は、典型的には、タービン18および圧縮機20を備える。システム10は、第2の負荷24を駆動する蒸気タービン22も備える。一実施形態では、第1の負荷16および第2の負荷24は、電力を生成するための発電機を含む。別の実施形態では、第1の負荷16および第2の負荷24は、ガスタービン14および蒸気タービン22が駆動し得る他のタイプの負荷を含む。さらに、ガスタービン14と蒸気タービン22をつなげて使用して単一軸で単一の負荷を駆動してもよい。一実施形態では、蒸気タービン22は、低圧段、中圧段、および高圧段を含む。ただし、ガスタービン14と同様、蒸気タービン22の特定の構成はその実施の形態次第であり、段の組合せは任意に行うことができる。
【0015】
図1に示すように、複合サイクル発電システム10は、多段熱回収蒸気発生器(HRSG)システム12を備える。HRSGシステム12は概略動作を簡略化して示しており、図示の動作に限定されるものではない。HRSGシステム12は、ガスタービン14から高温排出ガス26を受け取って水および蒸気を加熱する。この典型的なHRSGシステムは、高温排出ガス26が通るダクトの他に、最も基本的な形態として、過熱器28、蒸発器30、およびエコノマイザ32または給水加熱器の3つの追加構成要素を備え、これらは、ダクト内を流れる排出ガス26の流れの方向に沿って順に配置される。HRSGシステム12は、複数の降水管36および複数の蒸発器管37も備える。エコノマイザ32および過熱器28も複数の管を備え、それによって、HRSGシステム12内で水または蒸気が流れるようになっている。さらに、HRSGシステム12はボイラドラム34を備える。ボイラドラム34の機能は、複数の降水管36を介して安定した量の水を蒸発器30に提供し、かつ、熱エネルギーを蓄積して、生成または消費される蒸気の変化を補償することである。HRSGシステム12で生成される蒸気は、管路38を介して蒸気タービン22に供給される。蒸気タービン22を(図示しない)発電機に結合して電気を生成することができる。
【0016】
さらに、蒸気タービン22からの排気40は凝縮器42に送られる。凝縮器42からの凝縮水は、凝縮ポンプ44により管路46を介してHRSGシステム12に送られる。この凝縮水はエコノマイザ32内を流れる際に加熱されるが、液体のままボイラドラム34に供給される。凝縮水は、エコノマイザ32に入る前に、(図示しない)脱気装置を通して空気その他の溶解ガスを除去してもよい。こうしてボイラドラム34内に蓄積される水を、蒸発器30に通して飽和蒸気に変換し、さらに過熱器28に通して、飽和蒸気から過熱蒸気に変換する。一実施形態では、HRSGシステム12は、低圧段、中圧段、および高圧段を含み得る。
【0017】
ボイラドラム34の安全な動作を維持するために、HRSGシステム12は、ボイラドラム34内の水位を、ボイラドラムに水を供給するか、ボイラドラムから水を排出することによって制御するコントローラを含むボイラドラム水位制御システムを備える。このボイラドラム水位制御は、ボイラドラム34内の最適なドラム水位と、HRSGシステム12の起動動作中のボイラドラム34内の実際の水位とを比較することに基づいて行う。一実施形態では、ボイラドラム34は、HRSGシステム12の起動動作中の水位上昇を制御するのに最適に寸法設定された排出弁を備える。HRSGシステム12はさらに複数のセンサからなる感知システムを含む。これら複数のセンサは、ボイラドラム内の水温を求めるためのボイラドラム金属部温度、ボイラドラム34内の蒸気圧、およびボイラドラム34内の実際の水位を測定するものである。このボイラドラム水位制御システムにより、図2に示す特性チャートモデルに基づいて起動動作中の最適なボイラドラム水位を求める。
【0018】
図2は、蒸気品質に基づいて複数の特性曲線を表す特性チャートモデル100を示す。これらの特性曲線により、所与のボイラドラムシステムについての開始時の水の体積が、複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動動作中のドラム内の圧力および温度の関数として明らかになる。このボイラドラムシステムは、典型的には、ボイラドラム、複数の降水管、および複数の蒸発器管(図1に示すボイラドラム34、降水管36、蒸発器管37)を備える。参照数字102で表すX軸はドラム圧を示す。参照数字104で表すY軸は、開始時の水の体積を示し、表示単位はボイラドラム容積に対する比である。図に示す特性曲線106、107、および108は、複数のパラメータを含む水−蒸気質量収支式を用いて描かれる。パラメータには、起動中の様々なボイラドラム金属部温度およびボイラドラム圧での水の密度、蒸気の密度、ボイラドラムの容積、降水管の容積(図1に示す降水管36の容積)、蒸発器の容積(図1に示す蒸発器管37の容積)、蒸気品質などがある。ここで、ボイラドラム金属部温度はドラム水の温度を表し、ボイラドラム圧はボイラドラム内の蒸気圧を表し、いずれも複合サイクル発電システムの起動動作中の値であることに留意されたい。特性チャートモデル100に示すように、特性曲線106は、飽和温度よりもかなり低いドラム金属部温度について計算されたものである。したがって、特性曲線106は常温起動状態で描かれた曲線である。特性曲線108は、ほぼ飽和温度に近いドラム金属部温度について計算されたものである。したがって、特性曲線108は温態起動状態で描かれた曲線である。ここで、ドラム金属部温度はボイラドラム内の蒸気品質に影響を及ぼすことに留意されたい。蒸気品質が高まると、図2に示すように、特性曲線106〜108は蒸気品質が高まることを示している。一実施形態では、HRSGシステムの常温起動状態と温態起動状態の間で変化する複数のドラム金属部温度に基づいて、特性チャートモデル100について複数の特性曲線を生成することができる。特性曲線106と108の間に1つのこのような中間特性曲線107を示す。線110は、起動動作中のボイラドラム内の最低安全水位を示す。特定の実施形態では、特性チャートモデル100の作成は、プロセッサを用いて実行する演算を必要とする。
【0019】
本発明の実施形態は、本発明の処理タスクを実施するいかなる特定のプロセッサにも限定されないことに留意されたい。本明細書で用いる「プロセッサ」という用語は、本発明のタスクを実施するのに必要な計算または演算を実施し得る任意の機械を指すものとする。「プロセッサ」という用語は、構造化された入力を受け取ることができ、この入力を所定の規則に従って処理して出力を生成することができる任意の機械を指すものとする。当業者には理解されるように、プロセッサは、本発明のタスクを実施するためのハードウェアとソフトウェアの組合せを備えることもあることにも留意されたい。
【0020】
図に示す特性チャートモデル100における蒸気品質特性曲線の演算に用いる水−蒸気質量収支式は、例えば以下のようになるが、これに限定されるものではない。
【0021】
【数1】

【0022】
水−蒸気質量収支式(1)は、異なる圧力(Pdrum0およびPdrum0+ΔP)について示されている。Pdrum0およびPdrum0+ΔPでの水および蒸気の質量の一般式は、以下の式(2)および(3)で表すことができる。
Pdrum0=(xVdrum+Vdowncomer+Vevap)ρ+(1−x)Vdrumρ (2)
【0023】
【数2】

【0024】
値「x」は、ドラム容積に対する比で表した水の体積である。式(1)および(2)のVdrum、Vdowncomer、Vevp、ρ、およびρは、それぞれドラムの容積、降水管の容積、蒸発器の容積、水の密度、および蒸気の密度を表す。値
【0025】
【数3】

【0026】
は、蒸発器の出口における水の密度ρ、蒸気の密度ρ、および蒸気品質αによって決まる平均体積分率であり、以下のように定義される。
【0027】
【数4】

【0028】
ここで
【0029】
【数5】

【0030】
蒸発器の出口における蒸気品質αは、ドラム金属部温度に従って変化する。上記の式(1)、(2)、および(3)の演算は、いくつかの仮定に基づいて、例えば、蒸発器内の蒸気品質は直線的に変化する、ドラム圧が約100psiから150psiに変化するとボイラドラム水位が最も高くなる、降水管内には蒸気は存在しないなど、に基づいて行われることに留意されたい。その結果、複数の蒸気品質特性曲線(例えば、図2に示す曲線の例106、107、108)が得られ、特性チャートモデル100が作成される。このように、特性チャートモデル100を用いて、ボイラドラムが安全に動作する最適な起動ドラム水位をドラム容積に対する比として求めることができる。
【0031】
図3に、複合サイクル発電所用のHRSGシステムのボイラドラム水位を制御する方法200のフローチャートを示す。この方法のステップ202で、このシステムの起動動作中の実際のボイラドラム水位を測定する。この方法のステップ204でさらに、ボイラドラム内の蒸気圧と、ボイラドラム内の水温を求めるためのドラム金属部温度とを測定する。このHRSGシステムは、実際のドラム水位、ドラム金属部温度、およびドラム内の蒸気圧を測定する感知システムを備える。この方法ではさらに、ドラム金属部温度の測定値と水の飽和温度を比較する。この方法のステップ206でさらに、特性チャートモデルに基づいて熱回収蒸気発生システムの起動動作中の最適なドラム水位を求める。図2ですでに論じたように、この特性チャートモデルは、HRSGシステムの起動動作時における複数のドラム内蒸気圧および複数のドラム金属部温度に基づくものである。この特性チャートモデルは、起動動作中の異なるドラム圧での様々なドラム金属部温度についての複数の蒸気品質特性曲線を示す。したがって、起動時におけるドラム金属部温度およびドラム圧の測定値は、HRSGシステムの起動動作中に特性チャートモデルから最適なドラム水位を効率的に求める助けになる。この方法のステップ208で、最適なボイラドラム水位と実際のボイラドラム水位の測定値とを比較する。最後に、この方法のステップ210で、最適なボイラドラム水位と実際のボイラドラム水位との比較結果に基づいて、ボイラドラムに水を供給するか、ボイラドラムから水を排出することによってボイラドラム水位を制御する。一実施形態では、最終的なボイラドラム水位は、複合サイクル発電所のガスタービンの負荷率を操作してHRSGシステムの蒸発器での沸騰を緩やかにすることによっても制御することもできる。別の実施形態では、ボイラドラムに冷水を供給することによってドラム水位を制御する。ここで使用する冷水の温度はドラム金属部温度よりも約30〜40℃だけ低くするのがよいことに留意されたい。冷水の温度は、ボイラドラムが急冷されないように設定する。
【0032】
本発明の一実施形態による方法およびシステムでは、複合サイクル発電所の起動動作中の最適なボイラドラム水位を決定することができ有利である。これにより、起動動作中にボイラドラムから最小限の温水を排出することによってボイラドラム水位を制御することができ、これはエネルギーの観点から効率的であり、そのため、熱損失を防ぐことができる。本発明ではさらに、特性チャートモデルも作成される。このモデルは、ボイラドラム金属部温度およびボイラドラム圧の測定値に基づいて起動動作中の最適なドラム水位を求める助けになる。この特性チャートモデルにより、最適なボイラドラム水位を求めることができる。そのため、起動中のボイラドラム内の水位上昇現象を効率よく防止することができ、それによってボイラドラムが安全に動作することになる。
【0033】
本明細書では本発明のある種の特徴のみを示し説明してきたが、当業者なら多くの改変および変更を想起することができよう。したがって、添付の特許請求の範囲にはこのようなすべての改変および変更が含まれ、これらはいずれも本発明の本質の範囲内であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0034】
10 複合サイクル発電システム
12 HRSGシステム
14 ガスタービン
16 第1の負荷
18 タービン
20 圧縮機
22 蒸気タービン
24 第2の負荷
26 高温排出ガス
28 過熱器
30 蒸発器
32 エコノマイザ
34 ボイラドラム
36 複数の降水管
37 複数の蒸発器管
38 管路
40 排気
42 凝縮器
44 凝縮ポンプ
46 管路
100 所与のボイラドラムシステムについての開始時の水の体積を複合サイクル発電所用のHRSGシステムの起動動作中のドラム内の圧力および温度の関数として明らかにする蒸気品質に基づく複数の特性曲線を表すチャートモデル
102 様々なドラム圧を示すX軸
104 様々な開始時の水の体積をボイラドラム容積に対する比で示すY軸
106 特性曲線
107 特性曲線
108 特性曲線
200 複合サイクル発電所用のHRSGシステムのボイラドラム水位を制御する方法
202 システムの起動動作中の実際のボイラドラム水位を測定する方法ステップ
204 ボイラドラム内の蒸気圧およびボイラドラム内の水温を求めるためのドラム金属部温度を測定する方法ステップ
206 特性チャートモデルに基づいて熱回収蒸気発生システムの起動動作中の最適なドラム水位を求める方法ステップ
208 最適なボイラドラム水位と実際のボイラドラム水位の測定値とを比較する方法ステップ
210 最適なボイラドラム水位と実際のボイラドラム水位との比較結果に基づいて、ボイラドラムに水を供給するか、ボイラドラムから水を排出することによってボイラドラム水位を制御する方法ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電所(10)用の熱回収蒸気発生システム(12)のドラム(34)内の水位を制御する方法であって、
特性チャートモデル(100)に基づいて前記熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中の最適なドラム水位を求めるステップを含み、
前記特性チャートモデル(100)が、前記熱回収蒸気発生システム(12)の前記起動動作時における複数のドラム内蒸気圧および複数のドラム金属部温度に基づいて作成される、方法。
【請求項2】
前記特性チャートモデル(100)が、前記ドラムの容積に対する比で表した水の体積と、前記熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中のドラム圧との関係を示す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記特性チャートモデル(100)が、前記熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中の前記ドラム内蒸気圧に対応する複数の水の飽和温度に対する前記ドラム金属部の異なる温度での複数の蒸気品質曲線を示す、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記特性チャートモデル(100)が、前記熱回収蒸気発生システム(12)の前記起動動作時における前記複数のドラム内蒸気圧および前記複数のドラム金属部温度に基づく複数の入力を処理するプロセッサを使用して演算される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
複合サイクル発電所(10)用の熱回収蒸気発生システム(12)のドラム水位を制御する方法(200)であって、
前記システムの起動動作中の実際のドラム水位を測定するステップ(202)と、
前記ドラム内の蒸気圧を測定するステップ(204)と、
前記ドラム内の水温を求めるためにドラム金属部温度を測定するステップと、
特性チャートモデルに基づいて前記熱回収蒸気発生システムの起動動作中の最適なドラム水位を求めるステップ(206)とを含み、
前記特性チャートモデルが、前記熱回収蒸気発生システムの前記起動動作時における複数のドラム内蒸気圧および複数のドラム金属部温度に基づいて作成され、
前記最適なドラム水位と前記実際のドラム水位とを比較するステップ(208)と、
前記最適なドラム水位と前記実際のドラム水位との比較結果に基づいて、前記ドラムに水を供給するか、前記ドラムから水を排出することによって前記ドラム水位を制御するステップ(210)とをさらに含む、方法。
【請求項6】
前記ドラム金属部温度の測定値と水の飽和温度とを比較するステップをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ドラム水位が、前記複合サイクル発電所(10)のガスタービンの負荷率を操作して、前記熱回収蒸気発生システム(12)の蒸発器での沸騰を緩やかにすることによって制御される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
熱回収蒸気発生システム(12)であって、
水を収容するドラム(34)と、
前記ドラム(34)に加熱された水を提供するエコノマイザ(32)と、
複数の降水管(36)および蒸発器管(37)で前記ドラム(34)に接続された蒸発器(30)と、
蒸気流を受け取って過熱蒸気流を生成する蒸気経路内過熱器(28)と、
ドラム水温度、前記ドラム(34)内の蒸気圧、および前記ドラム(34)内の実際の水位を測定する複数のセンサからなる感知システムと、
熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中の最適なドラム水位と前記ドラム(34)内の前記実際の水位との比較結果に基づいて、前記ドラム(34)に水を供給するか、前記ドラム(34)から水を排出することによって前記ドラム水位を制御するコントローラとを備える、熱回収蒸気発生システム(12)。
【請求項9】
前記コントローラが、前記熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中に特性チャートモデルに基づいて前記最適なドラム水位を求めるようにさらに構成され、前記特性チャートモデル(100)が、前記熱回収蒸気発生システム(12)の前記起動動作時における複数のドラム(34)内蒸気圧および複数のドラム金属部温度に基づいて作成される、請求項8記載の熱回収蒸気発生システム(12)。
【請求項10】
前記ドラム(34)が、前記熱回収蒸気発生システム(12)の起動動作中の水位上昇を制御するのに最適に寸法設定された排出弁を備える、請求項8記載の熱回収蒸気発生システム(12)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−247577(P2011−247577A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112983(P2011−112983)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】