説明

複合バーコード及びバーコード読取方法

【課題】バーコード印刷面積を増加させることなく、多量の情報を表現できる複合バーコード等を提供する。
【解決手段】複数のバーにより情報を表した、一のバーコード及び他のバーコードを有し、前記他のバーコードを構成する前記複数のバーが、前記一のバーコードを構成する前記複数のバーの少なくとも一部と交差して、前記他のバーコードと前記一のバーコードの少なくとも一部が重なり合うよう形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システム等を総合的に管理するPOS(Point Of Sales)システムや製品製造における工程管理等に用いられる、商品データや製造データ等の情報を管理するための複合バーコード及びバーコード読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の流通分野においては、バーコード読取装置(バーコードスキャナ)により、商品に付されたバーコードを光学的に読み取って、読み取ったバーコード情報に基づいて、管理センター等に設置された商品管理装置から、当該商品名、商品コード、価格等の商品情報や、商品の賞味期限等の日付情報等、様々な商品に関する情報を得るためのPOS(Point Of Sales)システムが用いられている。また、製品製造分野においても、バーコードを用いた製造工程管理が普及している。
【0003】
バーコードは、商品に関する情報や製造工程に関する情報がキャラクタとしてコード化されており、黒データ(黒色バー)と白データ(白色バー)とが交互に組み合わされてなる。バーコードを読み取るバーコード読取装置では、バーコード上をレーザダイオード等から発光されたビーム光を走査し、このビームの反射光を受光して、黒データおよび白データの幅に対応する電気信号からバーコード情報を読み取っている。このようなバーコードの形式としては、JAN(Japanese Article Number)、ITF、CODE39、NW−7等が知られている。
【0004】
ところで、従来よりバーコード情報の情報量を増やしたいという要望がある。このような要望に対し、バーコードのコード長を増加させることにより情報量を増加させるという手法がある。しかし、この場合には、増加させたコード長に応じて、商品におけるバーコードを印刷する印刷面積も広げなければならないという問題がある。また、商品におけるバーコードの印刷箇所(添付箇所)が、商品全体のデザイン等から予め決定され規格化されている場合などには、バーコードを印刷する印刷面積を広げることができない場合もある。
【0005】
このような問題に対し、特許文献1には、バーコードの各バーをカラー化し、情報量を増加させる技術が開示されている。
【特許文献1】特願平08-96097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたカラーバーコードは、各色を読み取る必要があり、また独自のコード体系を有することから、独自のカラーバーコード読取装置を用いなければならず、従来より広く普及している黒バーと白色バーからなるモノクロのバーコードに係るバーコード読取装置等の設備基盤を使用することができない。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、特別な読取装置を必要とせず、かつ、バーコード印刷面積を増加させることなく、多量の情報を表現できる複合バーコード及びバーコード読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数のバーにより情報を表した、一のバーコード及び他のバーコードを有し、前記他のバーコードを構成する前記複数のバーが、前記一のバーコードを構成する前記複数のバーの少なくとも一部と交差して、前記他のバーコードと前記一のバーコードの少なくとも一部が重なり合うよう形成されることを特徴とする複合バーコードである。
【0009】
これによれば、各バーコードを構成するバー同士が交差するよう、一のバーコードに他のバーコードを重ね合わせたので、バーコード印刷面積を増加させることなく、多量の情報を表現できる複合バーコードを提供できる。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の複合バーコードにおいて、前記他のバーコードを構成する前記複数のバーは、前記一のバーコードを構成する前記複数のバーの少なくとも一部と垂直方向に交差することを特徴とする複合バーコードである。
これによれば、他のバーコードが一のバーコードを読み取る読取装置で読み取れてしまう場合でも、各コードが直交しているので、一のバーコードを読み取る際に、他のバーコードが読み取りの妨げとなることのない複合バーコードを実現できる。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の複合バーコードにおいて、前記一のバーコードは、黒色バーと白色バーからなり、当該一のバーコードの情報は、当該一のバーコードにレーザ光等の照明光を照射して走査する情報読取装置にて読み取られ、前記他のバーコードは、薄黄色のバー又は薄赤色のバーと白色バーからなり、当該他のバーコードの情報は、前記情報読取装置によって読み取ることができないことを特徴とする複合バーコードである。
【0012】
これによれば、一のバーコードを読み取る読取装置による、他のバーコードの誤読取をより効果的に防ぐことができる。
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合バーコードにおいて、2つの前記他のバーコードを有し、各前記他のバーコードが有する情報は、IPアドレス情報であることを特徴とする複合バーコードである。
【0013】
これによれば、一のバーコードの印刷面積を増加させることなく、IPアドレス情報を有する他のバーコードを重ね合わせた複合バーコードを実現できる。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、前記一のバーコードは、当該一のバーコードの中心にセンターバーを、右側部にライトガードバーを、左側部にレフトガードバーを有し、前記一のバーコードのセンターバーとライトガードバーの間の領域と、前記一のバーコードのセンターバーとレフトガードバーの間の領域に、前記他のバーコードが夫々配置されている請求項4に記載の複合バーコードにおける前記各他のバーコードの前記IPアドレス情報を読み取るバーコード読取方法において、前記複合バーコードを撮像する工程と、撮像された前記複合バーコードの、前記レフトガイドバーと前記センターバーの間の領域に位置し、前記一のバーコードと交差する複数のバーを一方の前記他のバーコードとして特定し、かつ、前記ライトガイドバーと前記センターバーの間の領域に位置し、前記一のバーコードと交差する複数のバーを他方の前記他のバーコードとして特定する工程と、特定された各前記他のバーコードと、当該他のバーコードを構成するバーのパターンに対応する予め定められたキャラクタと、を参照して、前記IPアドレス情報を読み取るバーコード読取方法である。
【0015】
これによれば、複合バーコードのうち、一のバーコードと重なり合うよう形成された2つの他のバーコードを夫々確実に特定できるため、各他のバーコードを確実に読み取ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各バーコードを構成するバー同士が交差するよう、一のバーコードに他のバーコードを重ね合わせたので、バーコード印刷面積を増加させることなく、多量の情報を表現できる複合バーコードを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態は、商品の情報を表すバーコードと、商品の製造元や商品の販売元等のコンピュータに付与されたIPアドレス情報を表すバーコードとから成る複合バーコードについて、本発明を適用した例を示す。
【0018】
バーコードは、JAN(Japan Article Number)コード、UPC(Universal Product Code)、EAN(European Article Number)等のWPC(World Product Code)、ITF、CODE39、NW−7、CODE128が通常よく用いられている。
【0019】
図1(A)に、本発明の一のコードの一例としてのJANコード1を示す。このJANコード1は、左端に付加されるレフトガードバー、中間部に挿入されるセンターバー、および右端に付加されるライトガードバーを有している。また、JANコード1は、ライトガードバーとセンターバーとの間に6キャラクタのデータキャラクタを表す右データブロックを有し、センターバーとレフトガードバーとの間に6キャラクタのデータキャラクタを表す左データブロックを有している。
【0020】
JANコード1は、2本の黒色バー及び2本のスペース(白色バー)にて、1キャラクタを表し、合計13キャラクタを表現できる。図1(A)に示す例では、13キャラクタを使用して、国コード(2桁)、メーカーコード(5桁)、商品アイテムコード(5桁)の情報及びチェックデジット(1桁)を、夫々幅の異なる黒・白色バーの組み合わせにて表現している。そして、JANコード1の情報は、JANコード1にレーザ光等の照明光を照射して走査するJANコード情報読取装置によって読み取られる。JANコード読取装置は従来公知のマニュアルスキャン方式(ペン方式等)、CCDスキャン方式(ハンディスキャナ等)、レーザスキャン方式等の各種読取装置を用いることができる。
【0021】
図1(B)に、本発明の他のコードの一例としてのIPアドレスコード2を示す。
IPアドレスコード2は、4本の薄黄色バー(又は薄赤色バー)と、3本のスペース(白色バー)にて、1キャラクタを表わす。同図に示す例では、合計4キャラクタで情報を表すことができる。
ところで、JANコード1の情報は、上述したようにJANコード情報読取装置によって読み取られるが、IPアドレスコード2がJANコード1を読み取る際の妨げとなることを防ぐために、IPアドレスコード2のバーの色はJANコード情報読取装置に反応しない色が好ましい。従って、JANコード1に、赤色レーザ光を照射してJANコード1の情報を読み取る場合には、IPアドレスコード2のバーの色を、本実施形態の如く、薄黄色や薄赤色と白にて構成することが好ましい。
【0022】
図2(A)にJANコード1のデータコード表を示し、図2(B)にIPアドレスコード2のデータコード表を示す。
【0023】
JANコード1は、左データブロックの各キャラクタを、偶数パリティ又は奇数パリティのキャラクタとし、これら偶数(EVEN)パリティと奇数(ODD)パリティの組み合わせに対応する数値を、13桁目(チェックデジット)とする。そして、その他の12キャラクタについても、図2(A)の表に基づいてバーのパターンを決定する。
【0024】
IPアドレスコード2についても同様に、各キャラクタに対応するバーのパターンが、図2(B)のデータコード表に基づいて決定される。IPアドレスコード2は、従来公知のNW−7のデータコードに基づいて作成した。具体的には、IPアドレス情報を表現すべく、従来公知のNW−7のデータコードに、キャラクタ「E」「F」に対応するバーのパターンを追加して、16進数の数値を表現可能に構成した。
【0025】
[複合バーコードの作成]
続いて、JANコード1とIPアドレスコード2からなる複合バーコード3の作成手順について図3乃至図5を用いて説明する。
【0026】
図3(A)は、本実施形態にかかる複合バーコード作成システムの説明図、図3(B)は複合バーコード作成手順を示すシーケンスチャート、図4は複合バーコード作成システムにかかるコンピュータ10の概要構成例を示すブロック図である。
【0027】
コンピュータ10にて、JAN及びIPアドレスに基づいて、JANコード1及びIPアドレスコード2が作成され、これらに基づいて複合バーコードデータが作成され、プリンタにて複合バーコード3が印刷される。
【0028】
以下、具体的に説明する。
先ず、コンピュータ10の構成及び機能について説明する。
図4に示すように、コンピュータ10は、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等から構成された制御部11と、バーコード作成プロファイル等の各種データや情報を記憶保存(格納)するためのHD等から構成された記憶部12と、外部機器接続部13、を備えて構成され、制御部11、記憶部12、及び外部機器接続部13はバス14を介して相互に接続されている。
【0029】
制御部11は、図示しないCPU、作業用RAM、各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス14を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統轄制御する。
外部機器接続部13は、キーボード及びマウス等の入力手段からの入力データを受信してコンピュータ10内に取り込み、また、コンピュータ10に内蔵されたビデオカード、及び、VGAケーブル、DVIケーブル、BNCケーブルなどを介してモニタへ指示信号を送出するためのものである。
【0030】
図3(B)に示すように、先ず、操作者が、コンピュータ10の外部機器接続部13に接続されたキーボード・マウス等の入力手段を操作することにより、JANが入力される。そして、入力されたJANをJANコード1のデータコード表(図2(A)参照。)に基づいてJANコード1に変換する。
【0031】
続いて、操作者が、コンピュータ10の外部機器接続部13に接続されたキーボード・マウス等の入力手段を操作することにより、IPアドレスが入力される。そして、入力されたIPアドレスを16進数に変換した後に、IPアドレスコード2のデータコード表(図2(B)参照。)に基づいてIPアドレスコード2に変換する。なお、IPアドレスは通常8キャラクタにて構成されるので、2つのIPアドレスコード(IPアドレスコード2AとIPアドレスコード2B)にて1つのIPアドレスが表現されることとなる。
【0032】
図5を用いて具体的に説明する。図5は、複合バーコード作成工程の説明図である。
【0033】
操作者によって、入力されたIPアドレスが「10.255.255.255」である場合、これを16進数変換すると「0A .FF. FF. FF」となる。
このうち、上位4桁「0」「A」「F」「F」の各キャラクタは、IPアドレスコード2Aで表現され、下位4桁「F」「F」「F」「F」の各キャラクタは、IPアドレスコード2Bで表現される。
【0034】
そして、JANコード1に、IPアドレスコード2AとIPアドレスコード2Bを重ね合わせることにより、複合バーコードデータを作成し、プリンタへ送信する(図3(B)参照。)。なお、図5下部に記載の複合バーコード3において、JANコード1と混同を防ぐべく、IPアドレスコード2AとIPアドレスコード2Bのバーを白抜きにて図示した。
【0035】
プリンタは、コンピュータ10より送信された複合バーコードデータを受信して、複合バーコード3を紙やシール等の印刷媒体に印刷する。
【0036】
なお、JANコード1に、IPアドレスコード2AとIPアドレスコード2Bを重ね合わせる際には、JANコード1を構成するバーと、IPアドレスコード2A、2Bを構成するバーとが交差するように重ね合わせる。特に、互いがコードの情報を読み取る際の妨げとなることを防ぐために、JANコード1を構成するバーと、IPアドレスコード2A、2Bを構成するバーとが垂直方向に交差(直交)するよう重ね合わせることが好ましい。
【0037】
また、図5に図示するように、IPアドレスコード2A及び2BはJANコード1のサイズ内に収まることが望ましい。商品等に既に用意されているJANコード1の印刷面積を増加することなく、同面積でより多量の情報を表現可能な複合バーコード3を提供できるからである。
【0038】
以上説明したように、複合バーコード3は、特別なバーコード作成装置等を用いることなく、汎用されるコンピュータとプリンタのみで作成できる。
また、複合バーコード3は、JANコード1の印刷面積を増加させることなくより多量の情報を表現できる。
【0039】
[複合バーコードの情報読み取り]
続いて、複合バーコード3の情報を読み取る際の手順について述べる。
【0040】
ここでは、図6に示す如く、ユーザが携帯電話20に具備するカメラを用いて複合バーコード3を撮影し、複合バーコード3のIPアドレスコード2A、2Bの情報を読み取る際の構成について説明する。なお、複合バーコード3のJANコード1の情報は、上述したように従来公知のJANコード読取装置を用いて読み取ることができるので、説明は省略する。なお、図6中点線は、携帯電話20に具備するカメラの撮影範囲を模式的に示したものである。
【0041】
図7に示す携帯電話20の概要構成例を示すブロック図を用いて、携帯電話20の構成及び機能について説明する。
【0042】
同図に示すように、携帯電話20は、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit)、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等から構成された制御部21と、各種データや情報を記憶保存(格納)するためのHD等から構成された記憶部22と、複合バーコード3を撮影するためのCCD等から成るカメラ23、プッシュボタン、各種機能ボタン等から構成された操作入力部24、を備えて構成され、制御部21、記憶部22、カメラ23及び操作入力部24はバス25を介して相互に接続されている。
【0043】
制御部21は、図示しないCPU、作業用RAM、各種制御プログラムやデータ等を記憶するROM及び発振回路等を備えて構成されており、図示しない操作部からの操作信号に基づいて、当該操作信号に含まれている操作情報に対応する動作を実現すべく上記各構成部材を制御するための制御情報を生成し、バス25を介して当該制御情報を該当する構成部材に出力して当該各構成部材の動作を統轄制御する。
【0044】
図8は、携帯電話20の制御部21おける複合バーコード3のIPアドレスコード情報読み取り処理を示すフローチャートであり、当該フローチャートにより示される処理は、制御部21内の図示しないROM等に予め記憶されているプログラムに基づいて当該制御部21の制御に基づいて実行されるものである。
【0045】
この処理は、携帯電話20のユーザが、商品等に付された複合バーコード3をカメラ23にて撮影することによって、或いは、複合バーコード3の撮影後、ユーザによって、携帯電話20に備えた操作入力部24を操作することにより情報読み取りが指示されることにより実行される。
【0046】
先ず、JANコード1の黒色バーを認識し、複合バーコード3の大きさ、サイズ等を認識する(ステップS10)。
続いて、JANコード1のライトガードバー、レフトガードバー、センターバーを認識できた場合(ステップS11:Yes)には、レフトガードバーからセンターバーまで、センターバーからライトガードバーまでを認識し、夫々IPアドレスコード2A、2Bとして分割する(ステップS13)。
【0047】
具体的には、JANコード1のレフトガードバーとセンターバーの間に位置し、JANコード1と交差する複数のバーから成るバーコードをIPアドレスコード2Aとし、JANコード1のライトガードバーとセンターバーの間に位置し、JANコード1と交差する複数のバーから成るバーコードをIPアドレスコード2Bとする。
一方、JANコード1のライトガードバー、レフトガードバー、センターバーを認識できなかった場合(ステップS11:No)には、携帯電話20の表示画面等に「読み取りエラー」などの文言を表示して、ユーザにエラー提示を行なう等のエラー処理を行ない(ステップS12)処理を終了する。
【0048】
そして、分割された一方のIPアドレスコード2Aを、JANコード1の方向、すなわち、上記ライトガードバー、レフトガードバー及び/又はセンターバーの方向と直交する方向に走査して、図2(B)に示すIPアドレスコード2のデータコード表を参照して、情報を2回読み取り、1回目のデータA(1)と2回目のデータA(2)の読み取り結果が一致するか否かを判定する(ステップS14、S15)。具体的には、データA(1)を読み取った結果と、とデータA(2)を読み取った結果が一致するか否かを判定する。
【0049】
判定の結果、データA(1)とデータA(2)の読み取り結果が一致しない場合(ステップS15:No)には、エラー処理を行ない(ステップS12)処理を終了し、他方、データA(1)とデータA(2)の読み取り結果が一致する場合(ステップS15:Yes)には、分割された他方のIPアドレスコード2Bを、同様に、JANコード1の方向と直交する方向に走査して、図2(B)に示すIPアドレスコード2のデータコード表を参照して、情報を2回読み取り、1回目のデータB(1)と2回目のデータB(2)の読み取り結果が一致するか否かを判定する(ステップS16、S17)。具体的には、データB(1)を読み取った結果と、とデータB(2)を読み取った結果が一致するか否かを判定する。
判定の結果、データB(1)とデータB(2)の読み取り結果が一致しない場合(ステップS17:No)には、エラー処理を行ない(ステップS12)処理を終了し、他方、データB(1)とデータB(2)の読み取り結果が一致する場合(ステップS17:Yes)には、ステップS18へ移行する。
【0050】
なお、上記ステップS14において、IPアドレスコード2Aを2回ずつデータA(1)及びA(2)として読み取っているが、同じIPアドレスコード2A上の同じ箇所を2回読み取ってもよいし、或いは同じIPアドレスコード2A上の異なる箇所を2回読み取っても良い。ステップS16におけるIPアドレスコード2BをデータB(1)及びB(2)として読み取る際も同様である。
そして、ステップS18では、ステップS14及びステップS16において読み取って得られたIPアドレスコード2A、2Bについて、図2(B)に示すIPアドレスコード2のデータコード表を参照して、キャラクタを特定し、特定されたキャラクタを10進法に変換し、IPアドレス情報を生成する(ステップS18)。なお、IPアドレスコード2のデータコード表は、記憶部22に予め記憶してもよく、携帯電話20に備えたアンテナ等を介してインターネット等に接続し、他のコンピュータから取得するよう構成してもよい。
そして、生成されたIPアドレス情報に基づいて、インターネットに接続(ステップS19)して処理を終了する。
【0051】
以上説明したように、複合バーコード3は、JANコード1の情報は、従来公知のJANコード読取装置を用いればよく、また、IPアドレスコード2の情報(IPアドレス情報)は、携帯電話20のカメラなど汎用のCCDカメラにて撮像して読み取ることができるので、特別なバーコード読取装置等を必要とせず、低コストに情報を読み取ることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、携帯電話20にて複合バーコード3を撮像し、IPアドレス情報を取得する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、CCDカメラ等を用いて複合バーコード3を撮像し、パーソナルコンピュータ等に撮像した画像データを保存して、当該パーソナルコンピュータ等の制御部にて上記複合バーコード3のIPアドレスコード情報読み取り処理を行なうよう構成してもよい。
【0053】
[複合バーコードの他の実施形態]
上述した実施形態における複合バーコード3は、JANコード1及び2つのIPアドレスコード2A、2Bにて構成したが、本発明の複合バーコードは、これに限定されるものでは無い。
【0054】
以下に、複合バーコードの他の実施形態について図9を用いて説明する。なお、図9に記載の各複合バーコードにおいて、一のバーコードと混同を防ぐべく、他のバーコードのバーを白抜きにて図示した。
図9(A)に他の実施形態にかかる複合バーコード3Sを示す図である。
【0055】
複合バーコード3Sは、一のバーコード1Sと他のバーコード2Sとから成り、一のバーコード1Sの一部に、他のバーコード2Sを重ね合わせて作成される。このような場合、一のバーコード1Sの、他のバーコード2Sが無い箇所(図中点線枠で表記)を、従来公知のマニュアルスキャン方式(ペン方式等)、CCDスキャン方式(ハンディスキャナ等)、レーザスキャン方式等の各種読取装置によって、レーザ光等の照明光を照射して走査することにより、一のバーコード1Sの情報を読み取ることができる。
【0056】
この場合、他のバーコード2Sが一のバーコード1Sを読み取る際の妨げとならないので、他のバーコード2Sを構成するバーの色を、黒色・白色とすることもできる。
【0057】
また、本発明の複合バーコードは、図9(B)に示すような複合バーコード3Tであってもよい。
【0058】
同図に示すように、複合バーコード3Tは、一のバーコード1Tと他のバーコード2Tとから成り、一のバーコード1Tを構成するバーと、他のバーコード2Tを構成するバーとが直交せずに交差するよう構成してもよい。
【0059】
なお、上述した実施形態のように他のバーコードが、2つで1つの情報(例えば、IPアドレス等)を有するよう構成されている場合、すなわち、図9(C)に示す如く、複合バーコード3Uが一のバーコード1Tと他のバーコード2UA、2UBとから成る場合には、他のバーコード2UA、2UBを、一のバーコード1Tに比してより小さいサイズで構成する。そして、一のバーコード1Uのレフトガードバーからセンターバーまでの領域に他のバーコード2UAを、一のバーコード1Uのライトガードバーからセンターバーまでの領域に他のバーコード2UBを、それぞれ配置させることにより、他のバーコード2UAと他のバーコード2UBとを、確実に分割して認識することができる。
【0060】
なお、このように、一のバーコード1Tを構成するバーと、他のバーコード2Tを構成するバーとを直交させずに交差させた場合に、他のバーコード2Tの情報を読み取る際には、一のバーコード1Tの方向、すなわち、上記ライトガードバー、レフトガードバー及び/又はセンターバーの方向と、交差する方向に何回か走査して、上述したようにデータA(1)及びA(2)、データB(1)及びB(2)として読み取り、夫々の読み取り結果が一致するまで、トライアンドエラーで読み取りを繰り返し行なえばよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(A)JANコード1の説明図である。(B)IPアドレスコード2の説明図である。
【図2】(A)JANコード1のデータコード表である。(B)IPアドレスコード2のデータコード表である。
【図3】(A)本実施形態にかかる複合バーコード作成システムの説明図である。(B)複合バーコード作成手順を示すシーケンスチャートである。
【図4】複合バーコード作成システムにかかるコンピュータ10の概要構成例を示すブロック図である。
【図5】複合バーコード作成工程の説明図である。
【図6】複合バーコード3を読み取る際のイメージ図である。
【図7】携帯電話20の概要構成例を示すブロック図である。
【図8】携帯電話20の制御部21おける複合バーコード3のIPアドレスコード情報読み取り処理を示すフローチャートである。
【図9】他の実施形態にかかる複合バーコードの説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 JANコード
1S、1T、1U 一のコード
2(2A,2B) IPアドレスコード
2S、2T、2U(2UA、2UB) 他のコード
3 複合バーコード
10 コンピュータ
11 制御部
12 記憶部
13 外部機器接続部
14 バス
20 携帯電話
21 制御部
22 記憶部
23 カメラ
24 操作入力部
25 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバーにより情報を表した、一のバーコード及び他のバーコードを有し、
前記他のバーコードを構成する前記複数のバーが、前記一のバーコードを構成する前記複数のバーの少なくとも一部と交差して、前記他のバーコードと前記一のバーコードの少なくとも一部が重なり合うよう形成されることを特徴とする複合バーコード。
【請求項2】
請求項1に記載の複合バーコードにおいて、
前記他のバーコードを構成する前記複数のバーは、前記一のバーコードを構成する前記複数のバーの少なくとも一部と垂直方向に交差することを特徴とする複合バーコード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複合バーコードにおいて、
前記一のバーコードは、黒色バーと白色バーからなり、当該一のバーコードの情報は、当該一のバーコードにレーザ光等の照明光を照射して走査する情報読取装置にて読み取られ、
前記他のバーコードは、薄黄色のバー又は薄赤色のバーと白色バーからなり、当該他のバーコードの情報は、前記情報読取装置によって読み取ることができないことを特徴とする複合バーコード。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合バーコードにおいて、
2つの前記他のバーコードを有し、
各前記他のバーコードが有する情報は、IPアドレス情報であることを特徴とする複合バーコード。
【請求項5】
前記一のバーコードは、当該一のバーコードの中心にセンターバーを、右側部にライトガードバーを、左側部にレフトガードバーを有し、前記一のバーコードのセンターバーとライトガードバーの間の領域と、前記一のバーコードのセンターバーとレフトガードバーの間の領域に、前記他のバーコードが夫々配置されている請求項4に記載の複合バーコードにおける前記各他のバーコードの前記IPアドレス情報を読み取るバーコード読取方法において、
前記複合バーコードを撮像する工程と、
撮像された前記複合バーコードの、前記レフトガイドバーと前記センターバーの間の領域に位置し、前記一のバーコードと交差する複数のバーを一方の前記他のバーコードとして特定し、かつ、前記ライトガイドバーと前記センターバーの間の領域に位置し、前記一のバーコードと交差する複数のバーを他方の前記他のバーコードとして特定する工程と、
特定された各前記他のバーコードと、当該他のバーコードを構成するバーのパターンに対応する予め定められたキャラクタと、を参照して、前記IPアドレス情報を読み取るバーコード読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−179372(P2007−179372A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378008(P2005−378008)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】