説明

複合モジュールを用いた構造物の製作方法およびそれにより作製された構造物

複数の複合積層モジュール(208d、208e)を形成し、そぎ継ぎを用いて該モジュールをそれらの縁部(210)に沿ってつなぎ合わせることにより、大型複合構造物を製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に複合構造物を製作するための技法に関し、より詳細には、複合モジュールをつなぎ合わせることにより大型複合構造物を製作する方法を扱う。
【背景技術】
【0002】
航空機の胴体外板のような大型複合構造物は、比較的高速で複合材料をレイダウンすることができる高度ファイバー設置(AFP)機械を用いて製作可能である。より高い単位生産速度を達成する一つの方法は、より多くのAFP機械を設けることにより達成可能であるが、追加のAFP機械を用いると、機械コスト、工具据え付けおよび工場の床面積の面で莫大な設備投資が必要となりかねない。
【0003】
よって、比較的少ない設備投資および運転コストで比較的高い生産速度を達成する製造方法が必要である。また、比較的柔軟であり、かつ、AFP機械より複雑でない設備に依存した製造方法も必要である。
【発明の概要】
【0004】
開示される実施形態にしたがって、よりコストの低い設備を用いてより高い生産速度をもたらす複合構造物、とりわけ、大型複合構造物の製作方法を提供する。個別に製作され、次いでつなぎ合わせて共硬化されるモジュールの形態で大型構造物を製作することにより、生産時間を短縮可能である。構造物の個々のモジュールは、合計で従来のAFP機械と比べてより高い材料レイダウン速度が可能であるかもしれない適切な大きさの設備を用いて、並行して製作することができる。また、開示される方法により、構造物の特定の領域における荷重要件を満たすために必要となる可能性のある複数の形態の材料の取り扱いが可能な設備を用いることができるようになる。
【0005】
開示される一実施形態にしたがって、各々が縁部を有する複数の複合モジュールを形成することと、それらの縁部に沿ってモジュールを接合することとを含む複合構造物の製作方法を提供する。モジュールは、1つ以上の重複する斜面を含んでいてもよいモジュールの縁部間のそぎ継ぎを用いて接合することができる。隣接するモジュールは、モジュールが0度または90度以外に配向した一方向強化ファイバーを含む小鈍鋸歯状パターンを形成する複数のそぎ継ぎによりつなぎ合わせることができる。
【0006】
開示される別の方法の実施形態にしたがって、複合構造物を製作することは、複数の複層複合モジュールを形成することと、モジュールの少なくともいくつか同士のそぎ継ぎを形成することを含め、複合モジュールを組み立てることと、そぎ継ぎの形成後にモジュールを共硬化させることとを含む。そぎ継ぎは、隣接するモジュールの同様の層を突き合わせることにより、または、同様の層を重複させることにより形成することができる。
【0007】
開示されるさらなる実施形態にしたがって、航空機用複合構造物は、各々が縁部を有する複数の複合積層モジュールと、それらの縁部に沿ってモジュールを接合するためのそぎ継ぎとを含む。モジュールの各々は、複数の層を含む。モジュールのうち隣り合うものの中の同様の層は、そぎ継ぎにおいて突き合わせるか、または、重複させることができる。一変形例において、そぎ継ぎは、フィンガージョイントであってもよく、かつ、隣り合うモジュールのいくつか同士の接合部は、小鈍鋸歯状パターンを成していてもよい。
【0008】
開示の実施形態は、比較的少ない設備投資に相当する適切な大きさの設備を用いて大型複合構造物を製作する方法に対する必要性を満たす。開示される実施形態はまた、高度に柔軟であり、かつ、構造物の複数のモジュールを並行して形成可能とする製作方法に対する必要性も満たす。
1.各々が縁部を有する複数の複合モジュールを形成することと、
モジュールの縁部に沿ってモジュールをつなぎ合わせることと
を含む複合構造物の製作方法。
2. モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールのそれぞれの縁部間にそぎ継ぎを形成することを含む請求項1に記載の方法。
3. モジュールが、配向軸に対して約45度の角度を成すプリプレグファイバーを含み、かつ、
モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールの縁部に沿って小鈍鋸歯状パターンを規定する接合部を形成することを含む請求項1に記載の方法。
4. モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールの縁部に沿ってそぎ継ぎを形成することを含む請求項3に記載の方法。
5. モジュールの各々が、少なくとも2つの縁部を含み、かつ、モジュールをつなぎ合わせることが、
少なくとも2つの縁部に沿ってそれぞれモジュール間に少なくとも2つのそぎ継ぎを形成することを含む請求項1に記載の方法。
6. モジュールの各々が、複数の層を含み、かつ、モジュールの縁部に沿ってモジュールをつなぎ合わせることが、
縁部に沿って層の少なくともいくつかを重複させることを含む請求項1に記載の方法。
7. モジュールの各々が、複数の層を含み、かつ、モジュールの縁部に沿ってモジュールをつなぎ合わせることが、
縁部に沿って層同士を実質的に突き合わせることを含む請求項1に記載の方法。
8. モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールの縁部に沿って少なくとも1つのそぎ継ぎを形成することを含む請求項1に記載の方法。
9. 請求項1に記載の方法により製作された大型航空機構造物。
10. 複数の複層複合モジュールを形成することと、
複合モジュールの少なくともいくつか同士のそぎ継ぎを形成することを含め、複合モジュールを組み立てることと、
そぎ継ぎの形成後に複合モジュールを共硬化させることと
を含む複合構造物の製作方法。
11. そぎ継ぎを形成することが、つなぎ合わされている少なくともいくつかのモジュールのうちの隣接するものの層を突き合わせることを含む請求項10に記載の方法。
12. そぎ継ぎを形成することが、つなぎ合わされている少なくともいくつかのモジュールのうちの隣接するものの層を実質的に重複させることを含む請求項10に記載の方法。
13. 複層複合モジュールを形成することが、モジュールの縁部が小鈍鋸歯状パターンを形成するようにモジュールの縁部を横切って延在するファイバー配向を有するファイバー強化複合材料の層をレイアップすることを含み、かつ、
モジュールを組み立てることが、つなぎ合わされているモジュールのうち隣接するものの小鈍鋸歯状パターンを嵌め合わせることを含む請求項10に記載の方法。
14. モジュールを組み立てることが、小鈍鋸歯状パターンが互いに対してオフセットするように、モジュールを互いに対して交互にずらして配置することを含む請求項13に記載の方法。
15. モジュールを組み立てることが、そぎ継ぎのうちの1つの上方にモジュールの少なくとも1つを設置することを含む請求項10に記載の方法。
16. モジュールを組み立てることが、硬化工具上にモジュールを互いに対して位置決めすることを含む請求項10に記載の方法。
17. 請求項1に記載の方法により製作された複合航空機構造物。
18. 各々が縁部を有する複数の複合積層モジュールと、
前記モジュールの縁部に沿って前記モジュールを接合するためのそぎ継ぎと
を含む航空機用複合構造物。
19. 前記モジュールの各々が、複数の層を含み、かつ、
前記モジュールのうち隣り合うものの中の同様の層が、前記そぎ継ぎにおいて互いに突き合わされている請求項18に記載の複合構造物。
20. 前記モジュールの各々が、複数の層を含み、かつ、
前記モジュールのうち隣り合うものの中の同様の層が、前記そぎ継ぎにおいて重複している請求項18に記載の複合構造物。
21. 前記そぎ継ぎが、フィンガージョイントである請求項18に記載の複合構造物。
22. 前記そぎ継ぎによりつなぎ合わされている縁部を有する前記モジュールの少なくともいくつかが、各々、共通の配向を有する強化ファイバーを含む少なくとも一層を含み、かつ、
前記いくつかのモジュールを接合している前記そぎ継ぎが、小鈍鋸歯状パターンを成している請求項18に記載の複合構造物。
23. 前記そぎ継ぎの少なくとも1つの上に位置し、かつ、これに接合されている複合材料の少なくとも一層
をさらに含む請求項18に記載の複合構造物。
24. 航空機用大型複合構造物であって、前記構造物は、
各々がファイバー強化樹脂の複数の層を含む複数の共硬化された複合積層モジュールを含み、モジュールの各々が互いを横切って延在している第1縁部および第2縁部を含み、
モジュールのうち隣接するものの層縁部が互いに重複して、隣接するモジュールをつなぎ合わせるそぎ継ぎを形成し、かつ、
隣接するモジュールの少なくともいくつかが、縁部を横切って配向したファイバー強化材を有する層を含み、第1縁部および第2縁部が小鈍鋸歯状パターンを形成する航空機用大型複合構造物。
25. 各々がファイバープリプレグの複数の層を含む複数の複合モジュールを形成することであって、層の少なくともいくつかがモジュールの縁部を横切って延在するファイバー配向を含む、複数の複合モジュールを形成することと、
小鈍鋸歯状の外形を形成するようモジュールの縁部を設置することと、
モジュール間にそぎ継ぎを形成し、隣接するモジュールの小鈍鋸歯状の外形同士を合わせることを含め、複合モジュールを組み立てることと、
硬化工具上にモジュールを設置することと、
硬化工具上へのモジュールの設置後にモジュールを共硬化させることと
を含む大型複合航空機構造物の製作方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、モジュール式複合胴体外板製造方法の例示的実施形態の実施に適した製造システムの模式的上面図である。
【図2】図2は、モジュール式複合胴体外板製造方法の例示的実施形態の実施に適した製造システムの斜視図である。
【図3】図3は、SADL(半自動化ダブラーロケーター)機械、ピックアンドプレース機械および硬化工具の端面図である。
【図4】図4は、モジュール式複合胴体外板製造方法の例示的実施形態を要約するフロー図である。
【図5】図5は、航空機生産および保守方法のフロー図である。
【図6】図6は、航空機のブロック図である。
【図7】図7は、複合構造物を製造するための実施形態を示したフロー図である。
【図8】図8は、複合構造物を製作するための追加の実施形態を示した図である。
【図9】図9は、隣接して設置された複合モジュールの断面図である。
【図10】図10は、開示される実施形態に係る複数のモジュールから形成される航空機胴体外板のサブセクションを示した平面図である。
【図11】図11は、図10に示した種類のサブセクションから形成される胴体セクションの斜視図である。
【図12】図12は、図10の12−12線断面図である。
【図13】図13は、図12に示したそぎ継ぎの層を示した模式図である。
【図14】図14は、図10の14−14線断面図である。
【図15】図15は、図14のそぎ継ぎの層を示した模式図である。
【図16】図16は、図10の「A」で示した範囲の拡大図である。
【図17】図17は、代替の実施形態に係る別のそぎ継ぎの断面図である。
【図18】図18は、図17のそぎ継ぎの層を示した模式図である。
【図19】図19は、小鈍鋸歯状縁部を有する複合モジュールの斜視図である。
【図20】図20は、別の実施形態を形成するそぎ継ぎを示した断面図である。
【図21】図21は、図20のそぎ継ぎの層を示した模式図である。
【図22】図22は、そぎ継ぎの別の実施形態を示した断面図である。
【図23】図23は、図22のそぎ継ぎの層を示した模式図である。
【図24】図24は、複数のモジュール同士の小鈍鋸歯状接合縁部間のオフセットを示した平面図である。
【図25】図25は、開示されている方法の実施形態の工程を大まかに示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まずはじめに図面の図1〜図3を参照して、モジュール式複合製造方法の例示的実施形態の実施に適した製造システムを、全体として参照番号1により示す。製造システム1は、図1において上面図で、図2において斜視図で示されている。モジュール式複合製造方法は、複合航空機胴体またはその他の部品の製作の一部として、連続してではなく並行プロセスでの複合材料のレイダウンを可能とする簡潔で適切な大きさの設備を利用してもよい。航空機胴体外板モジュールまたはその他の部品の自動化積層に対する並行プロセスアプローチの採用により、単一の部品の製作に要するフロー時間が劇的に短縮される可能性がある。このことにより、複合航空機胴体外板またはその他の部品の製作に必要な設備投資、工場床面積および支援スタッフを削減できるかもしれない。さらに、該方法は、例えば限定されないが航空機胴体外板といった平型レイアップ複合部品、または、例えば限定されないが航空機翼外板および安定板といった起伏型レイアップ複合部品の製作において用いることができる。該方法は、パネル、4分の1部分、2分の1胴体部分、胴体の2分の1以上の部分、または全胴体部分の製作に用いることができる。
【0011】
図1および図2に示されているように、製造システム1は、例えば限定されないが航空機胴体外板といった平型レイアップ複合部品の製作を助ける1つまたは複数の平型テープレイアップ機械(FTLM)2を含んでいてもよい。これに加えてまたは代わりに、製造システム1は、例えば限定されないが航空機翼外板、機首外板および/または機尾外板といった起伏型レイアップ複合部品の製作を助ける1つまたは複数の起伏型テープレイアップ機械(CTLM)(図示せず)を含んでいてもよい。FTLMおよびCTLMは、当業者に既知の設計を有する。FTLM2に対する構造例および運転方法を以下に説明するが、FTLM2に加えて、または、これの代わりに1つ以上のCTLMに対して同じ運転方法を利用してもよいことは認識され、かつ、理解されるだろう。
【0012】
各FTLM2は、概して長尺の平行で離間した一対のフレームトラックレール3を含んでいてもよい。キャリッジフレーム4は、フレームトラックレール3に掛け渡され、かつ、これを双方向に横切るよう適合されていてもよい。キャリッジフレーム4は、概して長尺の平行で離間した一対のキャリッジフレーム部材5を含んでいてもよい。キャリッジフレーム部材5は、フレームトラックレール3に対して概して垂直な関係に向けられていてもよい。
【0013】
切断キャリッジ6は、キャリッジフレーム4のキャリッジフレーム部材5を双方向に横切るよう適合されていてもよい。キャリッジモータ(図示せず)は、キャリッジフレーム4上の切断キャリッジ6の移動を助けるために、切断キャリッジ6と係合していてもよい。切断装置7は、切断キャリッジ6上に設けられていてもよい。いくつかの実施形態において、切断装置7は、超音波ナイフであってもよいが、当業者に知られており、かつ、目的に合致した代替の切断実施構成を用いてもよい。
【0014】
フレームトラックレール3の間で、かつ、キャリッジフレーム4の下方に、円形または環状とすることができる搬送プラットフォーム回転トラック10が設けられていてもよい。搬送プラットフォーム回転トラック10上には、搬送プラットフォーム14が着脱可能に設けられていてもよい。搬送プラットフォーム14は、概して正方形とすることができる。搬送プラットフォーム14の角部14aは、例えば限定されないがスルーローラ(図示せず)のような当業者の知見にしたがった搬送プラットフォーム回転トラック10に摺動可能または回転可能に係合していてもよい。ここに説明するように、搬送プラットフォーム14上にキャリアシート16が設置されていてもよい。ここに用いられているように、「モジュール」および「複合モジュール」は、より大型の構造物を形成するためにつなぎ合わされた複合材料セクションを指し、かつ、プリプレグファイバートウまたは布地から形成される単層または複層アセンブリであってもよいが、必ずしもこれらに限定されない。複合モジュール18は、キャリアシート16上に設置されていてもよい。搬送プラットフォーム14は、搬送プラットフォーム回転トラック10上で回転させることができ、キャリッジフレーム4は、フレームトラックレール3に沿って移動させることができ、かつ、切断キャリッジ6は、キャリッジフレーム4のキャリッジフレーム部材5に沿って移動させて、切断装置7の運転により選択された1本以上の軸に沿って複合モジュール18を切断しやすくしてもよい。
【0015】
図1〜図3に示されているように、製造システム1は、SADL(半自動化ダブラーロケーター)機械22をさらに含んでいてもよい。SADL機械22は、複数の台座車輪24により搬送可能とすることができる台座23を含んでいてもよい。モジュール形成プラットフォーム25は、台座23上に設けられていてもよい。モジュール形成プラットフォーム25は、以下に説明する目的のために複合モジュール18が置かれているキャリアシート16を受容かつ支持するよう適合されていてもよい。
【0016】
図1〜図3にさらに示されているように、製造システム1は、ピックアンドプレース機械30をさらに含んでいてもよい。図1および図2に示されているように、ピックアンドプレース機械30は、SADL機械22に概して隣接して位置していてもよい。図1にさらに示されているように、いくつかの実施形態においては、SADL機械22は、ピックアンドプレース機械30のそれぞれの端部に、または、これに概して隣接して設けられていてもよい。ピックアンドプレース機械30は、概して長尺の平行で離間した一対のレール32を有するガントリー31を含んでいてもよい。ガントリー31のレール32は、各々が、図3に示されているような複数の離間したレール支持体33により支持されていてもよい。少なくとも1つの設置ヘッドキャリッジ36は、ガントリー31のレール32に掛け渡され、かつ、これに摺動可能に係合していてもよい。各設置ヘッドキャリッジ36は、図1で両矢印8により示されているように、レール32上の双方向移動用に適合されていてもよい。キャリッジモータ(図示せず)は、各設置ヘッドキャリッジ36に係合して、レール32上の設置ヘッドキャリッジ36の移動を助けていてもよい。
【0017】
図2および図3に示されているように、モジュール設置ヘッド40は、各設置ヘッドキャリッジ36から下垂していてもよい。モジュール設置ヘッド40は、ヘッドシャフト41と、概して湾曲したまたは弓形のモジュール係合部材42とを含んでいてもよい。モジュール設置ヘッド40のヘッドシャフト41は、当業者に知られているあらゆる適切な技法を用いて設置ヘッドキャリッジ36に取り付けられていてもよい。いくつかの実施形態において、設置ヘッドキャリッジ36から少なくとも1つのヘッド装着フランジ37が延在している。ヘッドシャフト41から少なくとも1つのモジュール取り付けブラケット44が延在している。モジュール取り付けブラケット44は、ヘッド固定部材38を介して少なくとも1つのヘッド装着フランジ37に接続されていてもよい。
【0018】
図2および図3にさらに示されているように、モジュール設置ヘッド40のモジュール係合部材42は、概して凸型のモジュール形成面43を含んでいてもよい。点検スキャナシステム46のスキャナ49は、モジュール係合部材42のモジュール形成面43を横切るよう適合されていてもよい。スキャナ49は、目的に合わせて当業者の知見にしたがってモジュール係合部材42に取り付けられていてもよい。いくつかの実施形態において、モジュール形成面43に概して隣接し、かつ、これに沿ったモジュール係合部材42に、概して長尺で湾曲したスキャナスロット47を設けてもよい。スキャナブラケット48は、スキャナスロット47を横切るためにスキャナスロット47と係合していてもよい。スキャナ49は、スキャナブラケット48上に設けられていてもよい。スキャナモータ(図示せず)は、スキャナブラケット48と係合して、スキャナスロット47内のスキャナブラケット48およびスキャナ49が、モジュール係合部材42のモジュール形成面43に沿って、かつ、これに隣接して選択的に移動しやすくしてもよい。点検分析および制御システム(図示せず)は、スキャナモータ(図示せず)およびスキャナ49に接続されて、スキャナ49の走査動作を助け、かつ、スキャナ49から受け取った画像の読み出しおよび分析を行ってもよい。
【0019】
製造システム1は、硬化工具、マンドレルまたはモールド54をさらに含んでいてもよい。硬化工具54は、例えば限定されないが、OML(外側モールドライン)またはIML(内側モールドライン)硬化工具とすることができる。図1、図2および図3に示されているように、硬化工具54は、SADL機械22に概して隣接して、かつ、ピックアンドプレース機械30のレール32の間に位置していてもよい。図3に示されているように、いくつかの実施形態において、硬化工具54は、工具ベース55と、工具ベース55から延在する概して平行で離間した工具側面56とを含んでいてもよい。概して湾曲した、または、半円状のモジュール設置面57は、工具ベース55および工具側面56に設けられていてもよく、かつ、硬化工具54の長手方向に沿って延在していてもよい。ただし、(例えばIML硬化工具の場合のような)硬化工具54は、硬化工具54のモジュール設置面57に対して示されているような完全に円筒状または半円筒状の断面を必ずしも有していなくともよいことは認識され、かつ、理解されるだろう。例えば限定されないが、4分の1パネルに対して該製造方法を利用することが望まれる状況下では、OMLとIMLの両方の構成を有する硬化工具54を用いることが可能である。さらに、硬化工具54は、製作予定の部品次第で、翼または安定板モールド、工具、硬化工具として構成されるか、または、いかなる構成であってもよい。
【0020】
モジュール式複合製造方法の典型的な実施構成において、該方法は、複数の複合モジュール18を用いた航空機の胴体外板60(図1)の製作に用いてもよい。用途および製作予定の部品によっては、各モジュール18は、一方向カーボンファイバープリプレグ、カーボンファイバープリプレグ布地、グラスファイバー、ケブラー(R)ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)またはその他の材料のあらゆる組み合わせを含んでいてもよい。各モジュール18は、少なくとも1つの層を有していてもよい。はじめに、複合モジュール18が配されているキャリアシート16を搬送プラットフォーム14上に設置してもよい。搬送プラットフォーム14は、FTLM2の環状搬送プラットフォーム回転トラック10上に設置してもよい。切断キャリッジ6上の切断装置7を、所望の寸法および形状に複合モジュール18をトリミングするか、または、切断するよう運転してもよい。トリミング、切断またはモジュール化動作中、キャリッジフレーム4のキャリッジフレーム部材5に沿った切断キャリッジ6の移動、フレームトラックレール3に沿ったキャリッジフレーム4の移動、および/または、搬送プラットフォーム回転トラック10上の搬送プラットフォーム14の回転により、切断装置7に対して選択された向きに複合モジュール18を位置決めしてもよい。各FTLM2は、ネットトリミング技術を用いて航空機の胴体外板60を形成すべき複合モジュール18の高速モジュール化を促進することができる。
【0021】
複合モジュール18のトリミングまたは切断後、キャリアシート16およびトリミングまたは切断された複合モジュール18が置かれた搬送プラットフォーム14を、搬送プラットフォーム回転トラック10から除去してもよい。搬送プラットフォーム14は、FTLM2からSADL機械22のうちの1つへ運んでもよい。搬送プラットフォーム回転トラック10からの搬送プラットフォーム14の除去および/または搬送プラットフォーム14の運搬は、自動化されていても、手作業で行ってもよい。SADL機械22において、搬送プラットフォーム14からキャリアシート16を除去して、SADL機械22のモジュール形成プラットフォーム25上に設置してもよい。キャリアシート16は、モジュール形成プラットフォーム25上へのキャリアシート16の適正な位置決めおよび設置を助けるために、SADL機械22に位置合わせ可能な複数の据え付け/位置合わせ開口(図示せず)を備えていてもよい。
【0022】
次に、ピックアンドプレース機械30のガントリー31上のレール32に沿って摺動するよう設置ヘッドキャリッジ36を操作して、モジュール設置ヘッド40のモジュール係合部材42を複合モジュール18の真上に位置させてもよい。次いで、モジュール係合部材42のモジュール形成面43に対してSADL機械22のモジュール形成プラットフォーム25を上昇させて、モジュール圧縮プロセスにより、図3に仮想線で示されているようにモジュール形成面43の概して凸型の起伏に合わせて平型複合モジュール18を形成するか、または、起伏させてもよい。モジュール係合部材42のモジュール形成面43に合わせたモジュール18の形成および起伏付けは、自動化されていてもよい。FTLM機械2からSADL機械22のモジュール形成プラットフォーム25へ追加の複合モジュール18を運び、航空機の胴体外板60(図1)の所望の厚みを達成するのに必要な積層または複層の形態でモジュール係合部材42のモジュール形成面43に合わせて形成してもよい。よって、連続した複合モジュール18が互いの上に設置されて、複数の層を有する積層モジュール18を形成することができる。用途によっては、モジュール設置ヘッド40は、複合モジュール18の編状層とともに連続ファイバー層または連続布地層を設置してもよい。いくつかの実施形態において、後により詳細に取り上げるように、隣接するモジュール18同士を互いに結合してもよい。複合モジュール18が、モジュール設置ヘッド40上でモジュール係合部材42のモジュール形成面43上に必ずしも形成されていなくともよいことは、認識され、かつ、理解されるだろう。IML硬化工具54の場合、モジュール18は、SADL機械22を用いて、硬化工具54上に直接、または、その他の外板層上に形成されてもよい。
【0023】
所望の数の複合モジュール18がピックアンドプレース機械30のモジュール設置ヘッド40上に段階的に設けられた後、複合モジュール18を点検するためにモジュール係合部材42のモジュール形成面43を横切るよう点検スキャナシステム46のスキャナ49を運転してもよい。欠陥のある複合モジュール18は、モジュール設置ヘッド40から除去して、欠陥のない複合モジュール18と置き換えることができる。モジュール設置ヘッド40上のモジュール18の点検は、自動化されたプロセスであってもよい。
【0024】
次いで、ピックアンドプレース機械30の設置ヘッドキャリッジ36は、ピックアンドプレース機械30のガントリー31上のレール32を横切るよう操作され、硬化工具54のモジュール設置面57(図3)上の所望の位置における積み重ねられ、積層され、圧縮され、かつ点検された複合モジュール18の正確な設置を助けてもよい。積み重ねられ、積層され、かつ圧縮された追加のモジュール18を同様にして形成し、モジュール形成面57上の所望の位置に設置することにより、航空機の胴体外板60を形成してもよい。隣接するモジュール18のモジュール縁部19は、航空機の胴体外板60が完全にレイアップされるまで、傾斜をつけ、かつ、そぎ継ぎ(図示せず)または傾斜重ね継ぎ(図示せず)で重複させることができる。
【0025】
次に、図4におけるフロー図300を参照して、モジュール式複合製造方法の例示的実施形態を要約する。該方法は、例えば限定されないが、所望の厚みを有する航空機の胴体外板の製作に用いられてもよい。ブロック302において、複合モジュールをレイアップすることができる。モジュールは、例えば限定されないが、航空機の胴体外板といった構造物の製作に用いることのできる航空機胴体外板モジュールであってもよく、かつ、例えば限定されないが、FTLM(平型テープレイアップ機械)を用いてレイアップしてもよい。これに加えてまたは代わりに、モジュールは、例えば限定されないが、航空機の翼外板、機首外板または機尾外板といった構造物の製作に用いられてもよく、この場合、モジュールは、CTLM(起伏型テープレイアップ機械)を用いてレイアップしてもよい。ブロック304において、モジュールをSADL(半自動化ダブラーロケーター)機械へと搬送することができる。ブロック306において、航空機の胴体外板またはその他の構造物の起伏に合わせてモジュールを形成することができる。ブロック308において、ブロック302、304および306で行われた工程を繰り返して、航空機の胴体外板またはその他の構造物を所望の厚みとすることができる。ブロック310において、モジュールを点検することができる。ブロック312において、積み重ねられたか、または、積層されたモジュールを硬化工具上に積み重ねることができる。硬化工具は、例えば限定されないが、OML(外側モールドライン)またはIML(内側モールドライン)硬化工具であってもよい。ブロック314において、ブロック302、304、306、308、310および312で行われた工程を適宜繰り返して、航空機の胴体外板またはその他の構造物を完全にレイアップすることができる。
【0026】
次に図5および図6を参照して、図5に示されている航空機の製造および保守方法78ならびに図6に示されている航空機94との関連において、本開示の実施形態を用いることができる。本生産の前で、方法例78は、航空機94の仕様および設計80ならびに材料調達82を含んでいてもよい。生産の際は、航空機94の構成部品および部分組立品の製造84ならびにシステム統合86が行われる。その後、航空機94は、認証および納品88を経て、運航90されてもよい。顧客による運航中、航空機94は、(改修、再構成、修繕などを含むかもしれない)定常的整備および保守92を受けることとなる。
【0027】
方法78の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者および/または操作者(例えば、顧客)により行われるかまたは実施されてもよい。本件の説明のため、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造者および主要なシステム下請け業者に限定されないがこれらを含んでもよい。第三者は、任意の数の取り扱い業者、下請け業者および供給業者に限定されないがこれらを含んでもよい。操作者は、航空会社、リース会社、軍隊、保守組織などであってもよい。
【0028】
図6に示されているように、方法例78により製造される航空機94は、複数のシステム96および内装100とともに機体98を含んでいてもよい。高度システム96の例としては、推進システム102、電気システム104、油圧システム106および環境システム108のうちの1つ以上が挙げられる。任意の数の他のシステムを含んでもよい。航空宇宙の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業といった他の産業に適用することもできる。
【0029】
ここで実施されている装置は、製造および保守方法78のいずれか1つまたはそれ以上の段階中に使用してもよい。例えば、生産プロセス84に対応する構成部品や部分組立品は、航空機94が運航されている間に製造される構成部品や部分組立品と同様に組立てまたは製造されてもよい。また、航空機94の組立てを大幅に早めるか、または、航空機94のコストを削減することにより、例えば、製造段階84および86中に、一以上の装置の実施形態を利用してもよい。同様に、航空機94が運航されている間に整備および保守92に、例えば限定されないが一以上の装置の実施形態を利用してもよい。
【0030】
前に言及したとおり、モジュール式複合製造方法は、複合航空機胴体またはその他の部品の製作の一部として、連続してではなく並行プロセスでの複合材料のレイアップを可能とする適切な大きさの設備を利用してもよい。これに関連して、図7および図8に言及する。数多くの実施形態によると、複合構造物を製造する方法700は、図9に示されているようにモジュール18の各々がモジュール18の少なくとも別の1つに隣接するように、かつ、接合部704のように隣接するモジュール18同士が複合構造物を形成するよう接着可能であるように、工具54上に複数のモジュール18を設置すること702を含んでいてもよい。
【0031】
実施形態のうちのいくつかにおいて、2つ以上のモジュール18を工具54上に実質的に同時に設置してもよく、そのような実施形態では、複数の搬送プラットフォーム14を設けてもよい。これに加えて、複合構造物の形成にあたって、モジュール18を工具54上に実質的に順番に設置してもよく、この際、(図8におけるn−1により示したように)工具54上に後続のモジュール18を設置しつつ、(図8におけるn−2により示したように)工具18上にすでに設置されているモジュール18のうちの1つに対して設置後の手順706を行う。多くの実施形態において、設置工程702および設置後プロセス工程706は、(図8におけるnにより示したように)後続のモジュール18の設置準備708を行いつつ、実施することができる。
【0032】
設置後手順706を行うことについて、これは、(図8におけるn−2により示したように)工具18上にすでに設置されているモジュール18のうちの1つを点検すること710を含んでいてもよい。設置後手順の実施706はまた、隣接するモジュール18間に形成された接合部704を加工する(working)ことを含んでいてもよい。図7および図8に示されているような実施形態のいくつかにおいて、製作方法700は、例えば点検工程710および設置後プロセス工程706を、設置されている別々のモジュール18に対して実質的に同時に行うことを含んでいてもよい。
【0033】
多くの実施形態において、工具54上にモジュール18を設置すること702は、搬送プラットフォーム14上にモジュール18を搭載し712、搭載されたモジュールを適正位置に位置合わせし714、かつ/または、次いで工具54上にモジュールをレイアップする716ことを含んでいてもよい。すべてのモジュール18が工具54上に設置され、かつ、あらゆる後続の設置後プロセス706が行われた後で、構造物を硬化させることができる。
【0034】
ここで図10および図11に言及して、上に説明した一般的な複合モジュール208をそれらの共通する縁部210に沿ってつなぎ合わせて、バレル形航空機胴体セクション204のような大型構造物の外板202を形成することができる。より詳細に下に説明するように、モジュール208の各々は、一方向または双方向ファイバーで補強された複合材料の1つ以上の積層を含んでいてもよく、かつ、図11に示されている胴体外板202のドア206といった特徴の形成に用いられる切り欠き(図示せず)および/または補強材(図示せず)および/または外形(図示せず)を含んでいてもよい。
【0035】
ここで図12〜図15を参照して、モジュール208のうち隣接するもの同士をそれらの共通の縁部210に沿ってそぎ継ぎにより接合することができ、この実施例を番号213a、213bにより示す。ここで用いられているように、「そぎ継ぎ」とは、部品がともに設置されているとき、これらが1つの実質的に連続した部材を形成する重複した縁部を有するように、端部、縁部または側面をそぎ継ぎ用に斜めに切るか、または、斜角をつけることにより作製された2片の材料間の接合部を指す。図13に示されているように、そぎ継ぎ213aにより接合された2つの隣接するモジュール208a、208cの各々は、上部および底部フェイスシート216、218の間にそれぞれ挟まれた一方向または双方向予備含浸ファイバーの複数の層212を含んでいてもよい。フェイスシート216、218の各々は、生地またはその他のシート材料を含んでいてもよい。そぎ継ぎ213aは、モジュール208a、208cの同様の層の外側端部214が互いに重複するように2つのモジュール208a、208cの層212をレイアップすることにより形成される。そぎ継ぎ213aは、合計12層の重複層212を含む40:1斜面(すなわち、奥行き対立ち上がり比)を有する単純なそぎ継ぎを表し、用途によっては他の傾斜比率が可能である。
【0036】
ある特定の外板サブセクション200(図10)は、二種類以上のそぎ継ぎ213により共通する縁部210に沿ってつなぎ合わされたモジュール208を含んでいてもよく、実際、ある特定のモジュール208は、その縁部210に沿って種々のそぎ継ぎにより隣接するモジュール208と接合されていてもよい。例えば、図10に示されているモジュール208aの一縁部210aは、図12および図13に示されているそぎ継ぎ213aによりモジュール208cと接合されていてもよい一方で、モジュール208aの別の縁部210bは、図14および図15に示されている別の形態のそぎ継ぎ213bによりモジュール208bと接合されていてもよい。図14および図15に示されているように、そぎ継ぎ213bは、同様の層212の外側縁部214が実質的に同じ平面に存在し、かつ、互いに突き合わされている80:1斜面に配置された12層212を含む単純なそぎ継ぎ構成であり、用途によっては他の傾斜比率が可能である。
【0037】
ここで図10および図16〜図18を参照すると、モジュール208dおよび208eといったモジュール208のいくつかは、強化ファイバーの配向角が縁部210を横切って延在する層212を含んでいてもよい。例示的な実施例において、ファイバーの配向方向は、図16の番号215により示されており、かつ、45度を成す。隣り合うモジュール208dとモジュール208eの間にそぎ継ぎ213cを形成するために、縁部210は、接合部軸221(図16)に対して対称なジグザグまたは小鈍鋸歯状パターン220として形成されている。小鈍鋸歯状パターン220は、直交する二方向においてモジュール208d、208eの縁部210をそぎ継ぎ用に斜めに切ることにより生成する。例示的な実施例では、図18においてもっともよく分かるように、そぎ継ぎ213cは、同様の層が互いに重複するのではなく突き合わされている80:1斜面に配置された12層212を含む。用途によっては80:1以外の傾斜比率が可能である。図19は、小鈍鋸歯状パターンが層ごとにオフセットされている小鈍鋸歯状縁部220を有する典型的なモジュール208を示す。
【0038】
図20および図21は、そぎ継ぎ213dを用いて、同様の層がその縁部217において重複している複数の層212から各々が形成されている2つのモジュール228a、228bを接合しているモジュールアセンブリ219を示す。第3のモジュール226は、そぎ継ぎ213dの上方に設置された複数の層227を含む。図20および図21の実施形態は、そぎ継ぎ213dが、サブセクション200(図10)にわたって交互にずらして配置されてもよく、かつ、サブセクション200の厚み全体を通して連続していなくともよいことを示している。
【0039】
ここで、複数のそぎ継ぎ用斜面221により形成されたフィンガージョイント型のそぎ継ぎ213eを使用するモジュールアセンブリ229の別の実施形態を示す図22および図23に注目する。そぎ継ぎ213eは、モジュールアセンブリ229の厚み全体を通して延在しており、かつ、複数の隣接するモジュール230〜236を接合している。本実施例において、モジュールアセンブリ229は、上部および底部フェイスシート216、218を含む12層212を含み、そぎ継ぎ用斜面221の各々は、80:1斜面を有しており、用途によっては他の傾斜比率が可能である。本実施例ではまた、隣接するモジュール230〜236の同様の層212は、互いに重複するのではなく突き合わされている。
【0040】
ここで、小鈍鋸歯状パターン240を形成するそぎ継ぎ(図示せず)に沿ってつなぎ合わされている複数のモジュール208から形成された積層構造物238を示す図24に注目する。本実施例において、小鈍鋸歯状パターン240は、2つの群240a、240bに分けて配置されている。小鈍鋸歯状パターン240は、2つの群240a、240bの相が距離「x」だけオフセットされていることにより、小鈍鋸歯状パターン240のうちの隣接するものが互いに一直線に並ばないように、互いに対して交互にずらして配置されている。この隣接する小鈍鋸歯状パターン240の交互配置により、積層構造物238の構造特性を高めることができる。
【0041】
ここで、前に説明したモジュール208を用いて構造物を製作するための方法の大まかな工程を要約した図25に注目する。始めに工程246において、単一または複数層の複合材料を含んでいてもよいモジュール208を形成する。次に248において、上に取り上げたさまざまな種類のそぎ継ぎ213のいずれかを用いてモジュール208を組み立てる。組み立てに続いて、工程250において、内側モールドラインまたは外側モールドライン硬化工具を含んでいてもよい硬化工具の上または中にモジュール208を設置してもよい。図1〜図3に関連して前に説明したように、モジュール208は、これらを硬化工具上に順番に設置することにより、または、モジュール208群を組み立ててから、該群を硬化工具上に設置することにより組み立てることができる。最後に工程252において、組み立てられたモジュール208を硬化工具中で共硬化させることにより、固められた実質的に均質の構造物を形成するそぎ継ぎ213を通じた樹脂の流れが生じる。
【0042】
いくつかの例としての実施形態に関して本開示の実施形態を説明したが、当業者は他の変形例に想到するだろうから、該特定の実施形態は、限定ではなく例示を目的としていることは理解されねばならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が縁部を有する複数の複合モジュールを形成することと、
モジュールの縁部に沿ってモジュールをつなぎ合わせることと
を含む複合構造物の製作方法。
【請求項2】
モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールのそれぞれの縁部間にそぎ継ぎを形成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モジュールが、配向軸に対して約45度の角度を成すプリプレグファイバーを含み、かつ、
モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールの縁部に沿って小鈍鋸歯状パターンを規定する接合部を形成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールの縁部に沿ってそぎ継ぎを形成することを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モジュールの各々が少なくとも2つの縁部を含み、かつ、モジュールをつなぎ合わせることが、
少なくとも2つの縁部に沿ってそれぞれモジュール間に少なくとも2つのそぎ継ぎを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
モジュールの各々が複数の層を含み、かつ、モジュールの縁部に沿ってモジュールをつなぎ合わせることが、
縁部に沿って層の少なくともいくつかを重複させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
モジュールの各々が複数の層を含み、かつ、モジュールの縁部に沿ってモジュールをつなぎ合わせることが、
縁部に沿って層同士を実質的に突き合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
モジュールをつなぎ合わせることが、モジュールの縁部に沿って少なくとも1つのそぎ継ぎを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法により製作された大型航空機構造物。
【請求項10】
各々が縁部を有する複数の複合積層モジュールと、
前記モジュールの縁部に沿って前記モジュールを接合するためのそぎ継ぎと
を含む航空機用複合構造物。
【請求項11】
前記モジュールの各々が複数の層を含み、かつ、
前記モジュールのうち隣り合うものの中の同様の層が、前記そぎ継ぎにおいて互いに突き合わされている、請求項10に記載の複合構造物。
【請求項12】
前記モジュールの各々が複数の層を含み、かつ、
前記モジュールのうち隣り合うものの中の同様の層が、前記そぎ継ぎにおいて重複している、請求項10に記載の複合構造物。
【請求項13】
前記そぎ継ぎがフィンガージョイントである請求項10に記載の複合構造物。
【請求項14】
前記そぎ継ぎによりつなぎ合わされている縁部を有する前記モジュールの少なくともいくつかが、各々、共通の配向を有する強化ファイバーを含む少なくとも一層を含み、かつ、
前記いくつかのモジュールを接合している前記そぎ継ぎが、小鈍鋸歯状パターンを成している、請求項10に記載の複合構造物。
【請求項15】
前記そぎ継ぎの少なくとも1つの上に位置し、かつ、これに接合されている複合材料の少なくとも一層
をさらに含む、請求項10に記載の複合構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2012−501274(P2012−501274A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525236(P2011−525236)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055378
【国際公開番号】WO2010/025376
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】