説明

複合光学部品の製造方法

【課題】樹脂製の光学レンズと樹脂製のレンズホルダーが一体化された複合光学部品を、工数を増やすことなく、双方の部品を確実に接合した状態で精度良く製造すること。
【解決手段】光学レンズ2とレンズホルダー3を備えた複合光学部品1の製造方法では、熱硬化性樹脂である第1樹脂を用いて光学レンズ2を射出成形し(ST2)、光学レンズ2の熱硬化性樹脂の架橋反応が終了する前の段階において熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂である第2樹脂を用いてレンズホルダー3を射出成形する(ST3、4)。レンズホルダー成形用の樹脂の射出充填後において光学レンズ2の樹脂の架橋反応が進行して、レンズホルダー3の側の樹脂との間で架橋構造による接合状態が形成される。耐熱性に優れた複合光学部品を得ることができ、光照射などの架橋の工程を別途追加することなく、双方の部品2、3を確実に接合して一体化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の光学レンズと、この光学レンズを保持するための樹脂製のレンズホルダーとを備えた複合光学部品の製造方法に関し、特に耐熱性が要求される複合光学部品の製造に適した製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に内蔵されているカメラ、デジタルカメラ、DVDドライバなどのピックアップ、その他の電子機器に組み込まれる撮像レンズ、集光レンズなどの樹脂製の光学レンズは、一般に、回路基板に搭載した樹脂製のレンズホルダーに保持される。レンズホルダーは各種形状を取り得ると共に、光学レンズとは異なる特性が要求されるので、光学レンズとレンズホルダーを別個に成形して一体化している。
【0003】
例えば、光学レンズには透明性が要求されるので透明樹脂が用いられ、レンズホルダーには遮光性が要求されるので黒色樹脂が使用される。また、光学レンズにはコンパウンディングは行わないが、レンズホルダーには強度アップのためにガラス繊維、カーボン繊維などが添加される。さらに、レンズホルダーは半田リフローなどの熱の掛かる工程を経るので、レンズホルダーには放熱性のコンパウンディングが行われる。したがって、光学レンズとレンズホルダーを同一のシリンダで射出成形することができない。
【0004】
光学レンズとレンズホルダーを別個に成形した後にこれらを接合して一体化する方法では、レンズホルダーと光学レンズの芯出しを精度良く出来ない、耐熱性樹脂を用いる場合には双方の部品の接合が不十分になりやすい、などの問題点がある。そこで、特許文献1に記載の光学レンズ−ホルダー複合体の製造方法では、インサート成形あるいは二色成形によって、これらの部品を熱可塑性樹脂から成形している。また、これらの部品の接着性を高めると共に耐熱性を付与するために、光学レンズの成形後に当該光学レンズを架橋する工程、または、インサート成形あるいは二色成形によってレンズホルダーを一体成形した後に、双方の部品を架橋する工程を実行するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−243659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、熱可塑性樹脂からなる光学レンズを成形型内にインサートした状態でレンズホルダーを射出成形する場合、あるいは、光学レンズおよびレンズホルダーをこの順序で二色成形する場合に、高精度のレンズ面を備えた光学レンズ−レンズホルダー複合体が得られないおそれがある。
【0007】
すなわち、熱可塑性樹脂からなる光学レンズは、樹脂であるが故に荷重たわみ温度が存在する。特許文献1に記載されているような熱可塑性樹脂からなる光学レンズは、一般に、1.8MPaの荷重で115℃の温度しか耐えることができない。このため、二次側のレンズホルダー(鏡筒)を成形する際の熱可塑性樹脂の射出圧が1.8MPaの場合には樹脂温度が115℃以下でないと、光学レンズが変形してしまう。通常の熱可塑性樹脂では1.8MPa程度の低い射出圧では成形型内に確実に充填することができず、樹脂温度が115℃以下の熱可塑性樹脂、換言すると射出用のシリンダ温度を115℃以下に抑制できる熱可塑性樹脂は入手が困難である。
【0008】
また、特許文献1に記載の方法では、二色成形あるいはインサート成形の工程に加えて、光照射などによって光学レンズを架橋する工程、あるいは、光学レンズおよびレンズホルダーの双方を架橋する工程が別途必要である。工数が増加するので、その分、製造効率が低下してしまう。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、樹脂製の光学レンズと樹脂製のレンズホルダーが一体化された複合光学部品を、工数を増やすことなく、双方の部品を確実に接合した状態で精度良く製造することのできる製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明による、
樹脂製の光学レンズと、この光学レンズを保持するための樹脂製のレンズホルダーとを備えた複合光学部品の製造方法は、
熱硬化性樹脂である第1樹脂を用いて前記光学レンズを射出成形し、
熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂である第2樹脂を用いて、前記第1樹脂の架橋反応が終了する前の段階の前記光学レンズに対して、当該光学レンズの外周を取り囲む状態に前記レンズホルダーを射出成形し、
前記第1樹脂と前記第2樹脂の間の架橋反応によって、前記光学レンズに前記レンズホルダーを接合することを特徴としている。
【0011】
本発明の方法では、光学レンズを、熱可塑性樹脂に比べて耐熱性の高い熱硬化性樹脂の射出成形品とし、熱硬化性樹脂を成形型内に射出充填した後において、当該熱硬化性樹脂の架橋反応が終了する前の段階、例えば、半架橋状態の段階で、レンズホルダー成形用の熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を成形型に射出充填している。熱硬化性樹脂からなる光学レンズは耐熱性が高く、その荷重たわみ温度も高いので、適切な熱硬化性樹脂を用いることにより、レンズホルダー成形用の樹脂の射出充填時における光学レンズの変形を確実に防止できる。
【0012】
また、光学レンズの熱硬化性樹脂の架橋反応が終了する前の段階においてレンズホルダー成形用の樹脂を射出充填しているので、当該レンズホルダー成形用の樹脂の射出充填後において光学レンズの樹脂の架橋反応が進行して、レンズホルダーの側の樹脂との間の接合強度が高くなる。よって、光照射などの架橋の工程を別途追加することなく、双方の部品を確実に接合して一体化することができる。
【0013】
ここで、第1樹脂を前記光学レンズ成形用の成形型内に充填した後の経過時間に基づき、当該第1樹脂の架橋反応の進行の程度を推測して、前記レンズホルダー成形用の成形型内に前記第2樹脂の注入を始める時点を管理することができる。
【0014】
本発明の方法において、光学レンズおよびレンズホルダーの双方を同一種類あるいは異なる種類の熱硬化性樹脂から成形することができる。また、充分な耐熱性を付与するために、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミドまたはシリコン樹脂を用いることが望ましい。
【0015】
レンズホルダーの側は、熱硬化性樹脂の代わりに熱可塑性樹脂を用いることもできる。この場合には、上記の熱硬化性樹脂に近い耐熱性を備えたものを用いることが望ましく、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイドまたはポリエーテルエーテルケトンを用いることが望ましい。
【0016】
次に、本発明の製造方法ではインサート成形あるいは二色成形を採用することができる。インサート成形では、熱硬化性樹脂によって成形した光学レンズを、その架橋反応が終了する前の段階、例えば半架橋状態の段階で成形型内にセットし、この状態で、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を成形型に射出充填してレンズホルダーを成形する。二色成形では、最初に熱硬化性樹脂を成形型内の光学レンズ成形用のキャビティに射出充填して光学レンズを成形し、当該光学レンズの架橋反応が終了する前の段階、例えば半架橋状態の段階で、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を成形型内のレンズホルダー成形用のキャビティに射出充填してレンズホルダーを成形する。
【0017】
一方、本発明による、樹脂製の光学レンズと、この光学レンズを保持するための樹脂製のレンズホルダーとを備えた複合光学部品は、前記光学レンズが熱硬化性樹脂の射出成形品であり、前記レンズホルダーが熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂の射出成形品であり、これら光学レンズとレンズホルダーの接合面において、これらが架橋構造によって接合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法では、光学レンズを、熱可塑性樹脂に比べて耐熱性の高い熱硬化性樹脂の射出成形品とし、熱硬化性樹脂を成形型内に射出充填した後において、当該熱硬化性樹脂の架橋反応が終了する前の段階、例えば、半架橋状態の段階で、レンズホルダー成形用の熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を成形型に射出充填している。したがって、本発明の製造方法によれば、樹脂製の光学レンズと樹脂製のレンズホルダーが一体化された複合光学部品を、工数を増やすことなく、双方の部品を確実に接合した状態で精度良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の複合光学部品の一例を示す説明図である。
【図2】図1の複合光学部品を二色成形法により製造する場合の概略手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の複合光学部品をインサート成形法により製造する場合の概略手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して本発明による複合光学部品の製造方法の実施の形態を説明する。
【0021】
(複合光学部品の例)
図1に一例を示すように、本発明の対象製品である複合光学部品1は、樹脂製の光学レンズ2と、この光学レンズ2を保持するための樹脂製のレンズホルダー3とを備えている。光学レンズ2は耐熱性の高い熱硬化性樹脂の射出成形品であり、レンズホルダー3は耐熱性の高い熱硬化性樹脂の射出成形品あるいは耐熱性の高い熱可塑性樹脂の射出成形品である。
【0022】
光学レンズ2は、両面がレンズ面21、22となっているレンズ本体部分23と、このレンズ本体部分23の外周縁を取り囲む状態に一体形成されている円環状のフランジ部分24から構成されている。レンズホルダー3(鏡筒)は円筒状部材であり、その一方の開口端側の部分に形成した円環状の段部31の内周面部分32に、同芯状態で光学レンズ2のフランジ部分24の外周面部分25が接合され、これによって、光学レンズ2とレンズホルダー3が一体化されている。レンズホルダー3の段部31の内周面部分32と、光学レンズ2のフランジ部分24の外周面部分25の間は、熱硬化性樹脂の硬化に伴う架橋反応によって形成された架橋構造によって接合されている。
【0023】
光学レンズ2およびレンズホルダー3を熱硬化性樹脂の射出成形品とする場合には、双方を同一種類の樹脂を用いて成形することができる。この代わりに、光学レンズ2とレンズホルダー3を、異なる種類の熱硬化性樹脂を用いて成形することもできる。光学レンズ2およびレンズホルダー3に充分な耐熱性を付与するためには、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミドまたはシリコン樹脂を用いることが望ましい。
【0024】
一方、レンズホルダー3の側は、熱硬化性樹脂の代わりに熱可塑性樹脂を用いることもできる。この場合には、上記の熱硬化性樹脂に近い耐熱性を備えたものを用いることが望ましく、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイドまたはポリエーテルエーテルケトンを用いることが望ましい。また、レンズホルダー3に遮光性、耐熱性、放熱性などの特性を付与するために、各種の添加剤を混合させた熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を用いてレンズホルダー3を成形することができる。例えば、ガラス繊維、ファイバー繊維を混合分散させることにより耐熱性などを確保することができる。
【0025】
(複合光学部品の製造工程)
次に、図2の概略フローチャートを参照して、上記構成の複合光学部品の製造工程を説明する。複合光学部品1は二色成形あるいはインサート成形によって製造することができる。
【0026】
二色成形の場合には、二色成形用の成形型を型締めして光学レンズ2を成形するための第1キャビティを形成し(工程ST1)、この状態で、光学レンズ成形用の第1樹脂である熱硬化性樹脂を第1キャビティ内に注入して充填する(工程ST2)。
【0027】
次に、充填した第1樹脂の硬化を待つと共に、充填後の経過時間(硬化時間)をカウントして、充填した第1樹脂の架橋反応の進行状態を監視する(工程ST3)。第1キャビティに充填されている第1樹脂の架橋反応が終了する前の予め定めた所定の段階に到達するために要する所要時間を予め実験等によって求めておく。
【0028】
経過時間(硬化時間)が当該所要時間に到達すると、二色成形用の成形型においてコアバック、コアスライドなどの操作を行って、レンズホルダー成形用の第2キャビティを形成し、当該第2キャビティに第2樹脂である熱硬化性樹脂(あるいは熱可塑性樹脂)を注入して充填する(工程ST4)。
【0029】
この後は、第2樹脂が硬化するのを待ち(工程ST5)、第2樹脂の硬化後に型開きを行い(工程ST6)、二色成形品である複合光学部品1を成形型から取り出す(工程ST7)。
【0030】
このように、本例の複合光学部品1の製造方法では、光学レンズ2を、熱可塑性樹脂に比べて耐熱性の高い熱硬化性樹脂(第1樹脂)の射出成形品としている。熱硬化性樹脂からなる光学レンズは耐熱性が高く、その荷重たわみ温度も高いので、適切な熱硬化性樹脂を用いることにより、レンズホルダー成形用の樹脂の射出充填時における光学レンズの変形を確実に防止できる。
【0031】
また、熱硬化性樹脂(第1樹脂)を成形型内に注入して充填した後には、当該熱硬化性樹脂の架橋反応が終了する前の段階、例えば、半架橋状態の段階で、レンズホルダー成形用の熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂(第2樹脂)を成形型に注入して充填している。この結果、レンズホルダー用の樹脂を注入して充填した後も、光学レンズとレンズホルダーの接合面において、光学レンズ側の熱硬化性樹脂(第1樹脂)の架橋反応が依然として進行するので、光学レンズ側の樹脂とレンズホルダー側の樹脂の接合面が架橋反応による架橋構造によって確実に接合された状態が形成される。よって、二色成形後に、光照射などによる架橋の工程を追加することなく、二色成形工程の時間内において架橋反応を利用して、確実に一体化された複合光学部品1を効率良く得ることができる。
【0032】
なお、熱硬化性樹脂の架橋反応がどの程度進行した段階で、レンズホルダー成形用の樹脂の注入充填を開始するのかは、事前に、実験などによって接合強度が十分に得られる架橋構造が得られる架橋反応の段階を確認しておけばよい。また、実際の射出成形動作においては、成形型内における樹脂の架橋反応の段階を直接に確認できないので、樹脂を注入して充填した時点からの経過時間、すなわち、充填後の硬化時間をカウントし、当該時間に基づいて架橋反応の段階を推定すればよい。
【0033】
ここで、二色成形の代わりにインサート成形により図1に示す構造の複合光学部品1を製造することもできる。図3を参照して説明すると、この場合には、光学レンズ成形用の成形型の型締めを行い(工程ST11)、光学レンズ用の第1樹脂(熱硬化性樹脂)を成形型内に注入して充填する(工程ST12)。そして、第1樹脂を硬化させると共に、その硬化時間を監視する(工程ST13)。第1樹脂の架橋反応が終了する前の予め定めた段階で型開きを行い(工程ST14)、架橋反応終了前の状態の光学レンズ2を取り出す(工程ST15)。
【0034】
次に、インサート成形用の成形型に光学レンズ2をインサートしてセットし(工程ST16)、型締めを行った後に(工程ST17)、レンズホルダー成形用の第2樹脂を注入して充填する(工程ST18)。この後は、第2樹脂が硬化するのを待ち(工程ST19)、第2樹脂の硬化後に型開きを行い(工程ST20)、インサート成形品である複合光学部品1を成形型から取り出す(工程ST21)。インサート成形によっても、前述した二色成形の場合と同様に、光学レンズ2とレンズホルダー3が確実に接合された精度の良い複合光学部品1を効率良く製造することができる。
【0035】
上記のように二色成形あるいはインサート成形により製造された複合光学部品1は、その素材である第1樹脂(熱硬化性樹脂)および第2樹脂(熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂)を適切に選択することにより、極めて耐熱性に優れたものとすることができる。
【0036】
このために、複合光学部品1を光源(熱源)に近接した位置に配置することが可能になる。例えば、光源(熱源)から0.01mm程度の近接位置に配置することも可能になる。
【0037】
また、回路基板に複合光学部品1を搭載した状態で、回路基板ごとハンダ槽に通してハンダリフロー付けを行うことも可能になる。一般に、回路基板をハンダ槽に通すと、125℃、ピークで260℃の温度が回路基板に掛かる。熱可塑性樹脂からなる光学レンズの場合には一般に240℃〜260℃でブリスターが発生するおそれがあり、ブリスターの発生は光学レンズには致命傷となるので、従来においては複合光学部品1が搭載された回路基板をそのままハンダ槽に通すことが不可能であった。本発明による複合光学部品、特に、光学レンズおよびレンズホルダーが共に熱硬化性樹脂の成形品からなる場合には、極めて高い耐熱性が備わっているので、ハンダリフロー付けが可能になるという利点がある。
【0038】
一方、本発明により製造された複合光学部品1においては、第1樹脂、第2樹脂として放熱性に優れたものを使用することもできる。例えば、放熱性が1W/mk〜70W/mkの熱硬化性樹脂によって透明な光学レンズ2を成形し、この周りを取り囲むレンズホルダー3には、放熱性が0.1W/mk〜5W/mkの熱可塑性樹脂または放熱性が1W/mk〜70W/mkの熱硬化性樹脂を用いればよい。
【符号の説明】
【0039】
1 複合光学部品
2 光学レンズ
21、22 レンズ面
23 レンズ本体部分
24 フランジ部分
25 外周面部分
3 レンズホルダー
31 段部
32 内周面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の光学レンズと、この光学レンズを保持するための樹脂製のレンズホルダーとを備えた複合光学部品の製造方法であって、
熱硬化性樹脂である第1樹脂を用いて前記光学レンズを射出成形し、
熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂である第2樹脂を用いて、前記第1樹脂の架橋反応が終了する前の段階の前記光学レンズに対して、当該光学レンズの外周を取り囲む状態に前記レンズホルダーを射出成形し、
前記第1樹脂と前記第2樹脂の間の架橋反応によって、前記光学レンズに前記レンズホルダーを接合することを特徴とする複合光学部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1樹脂を前記光学レンズ成形用の成形型内に充填した後の経過時間に基づき、当該第1樹脂の架橋反応の進行の程度を推測して、前記レンズホルダー成形用の成形型内に前記第2樹脂の注入を始める時点を管理することを特徴とする複合光学部品の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2樹脂は熱硬化性樹脂であることを特徴とする複合光学部品の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミドまたはシリコン樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイドまたはポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする複合光学部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記光学レンズに対して前記レンズホルダーをインサート成形することを特徴とする複合光学部品の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
二色成形により前記光学レンズおよび前記レンズホルダーを成形することを特徴とする複合光学部品の製造方法。
【請求項7】
樹脂製の光学レンズと、この光学レンズを保持するための樹脂製のレンズホルダーとを備えた複合光学部品であって、
請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする複合光学部品。
【請求項8】
樹脂製の光学レンズと、この光学レンズを保持するための樹脂製のレンズホルダーとが一体化された構成の複合光学部品であって、
前記光学レンズは熱硬化性樹脂の射出成形品であり、
前記レンズホルダーは熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂の射出成形品であり、
前記光学レンズと前記レンズホルダーの接合面は、少なくとも前記光学レンズの側の熱硬化性樹脂の架橋反応による架橋構造によって接合されていることを特徴とする複合光学部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−254538(P2012−254538A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127746(P2011−127746)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(594062879)株式会社シンセイ (5)
【Fターム(参考)】