説明

複合型微粒子の製造方法及び複合型微粒子の製造装置

【課題】 粒径、膜厚及び封入容量のばらつきが小さく、物質を効率かつ迅速に封入する一段階乳化法を実現することができる複合型微粒子の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 複合型微粒子20の製造方法において、第1の流体に導出口が接する流路内に第1の流体に比べて導出口との間の親和力が強い第2の流体を供給する工程と、流路内に第2の流体に比べて導出口との間の親和力が弱い第3の流体を供給する工程と、流路内において導出口に前記親和力により第2の流体を保持しながら、第3の流体を注入し、第2の流体内に第3の流体を内包させる複合型微粒子を形成する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合型微粒子の製造方法及び複合型微粒子の製造装置に関し、特にダブルエマルション、ベシクル、リポソーム、逆ベシクル等の複合型微粒子の製造方法及びその複合型微粒子の製造を実現する製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ、医薬、食品、化粧品、塗料等の技術分野において、マイクロカプセルや微粒子と呼ばれる複合型微粒子が幅広く利用されている。複合型微粒子は、その作製に乳化剤として脂質を用いた場合、脂質複合型微粒子と呼ばれている。また、複合型微粒子は、その膜厚によりダブルエマルションとベシクル(逆ベシクル)とに分類されている。ダブルエマルションにおいては、内気相、水相若しくは油相の数により、更に複数相型エマルションと単一相型エマルションとに分類されている。
【0003】
ダブルエマルションの製造方法については、物理化学的乳化法、機械(物理)的乳化法といった古典的な乳化法が知られている。1990年以来、下記特許文献1に記載された膜乳化法、下記特許文献2に記載されたマイクロチャンネル乳化法、下記特許文献3に記載されたマイクロ流路分岐法等の最新材料及び微細流路加工技術を利用した最新機械的(物理的)乳化法が次々に開発されている。これら最新機械的乳化法によれば、ばらつきの小さい粒径のダブルエマルションの製造を実現することができる。
【0004】
しかしながら、この種の最新機械的乳化法はいずれも古典的なダブルエマルションの製造法、すなわち機械的乳化法において利用している「二段階乳化法」からの延長であり、乳化方法を根本から変えたわけではない。例えば、二段階乳化法において、機械的乳化法による複数相型エマルションは、撹拌により分散相又は単分散状のシングルエマルションを連続相に分散させることによって作製している。一方、膜乳化法、マイクロチャンネル乳化法、マイクロ流路分岐法のそれぞれにおいては、分散相又は単分散状のシングルエマルションを連続相に分散させるために、撹拌の代わりに、SPG(Shirasu Porous Glass)膜への圧出による分散、若しくはマイクロチャンネルやマイクロ流路への圧出による分散を利用してダブルエマルションが作製されている。従って、二段階乳化法の利用に起因する問題点がそのまま引き継がれてしまう。
【0005】
二段階乳化法において、解決しなければならない主な問題点は以下の通りである。まず第1に、二段階乳化法は、一次乳化と二次乳化との双方の過程において、単分散状シングルエマルション及びダブルエマルションの安定性を保つために、それぞれの連続相に異なるHLB(Hydrophile - Lipophile Balance)特性の乳化剤を使用する。このため、ドラッグデリバリーシステム(DDS:Drug Delivery System)として、好ましくない乳化剤を使用する必要がある。第2に、乳化剤が連続相に加えられているので、乳化剤の利用効率が低くなる。更に、第3に、ベシクルや逆ベシクルを作製することができない。例えば、膜乳化法の二次乳化の段階において、単分散状のシングルエマルションの粒径より大きいポアサイズのSPG膜を使用する場合、単一相型のダブルエマルションを製造することが困難であり、また、ベシクルや逆ベシクルを作製することができない。また、膜乳化法の二次乳化の段階において、単分散状のシングルエマルションの粒径より小さいポアサイズのSPG膜を使用する場合、単分散状のシングルエマルションのろ過となり、ダブルエマルションを製造することができないとされている。また、一次乳化において製造されたW/O液滴の内部に封入された有用物質が、二次乳化の過程若しくは保存中に外相である連続相に漏洩することが下記特許文献4において指摘されている。その他、二段階乳化法における問題点としては、製造時間が長い、製造コストが高い、未使用の乳化剤の除去工程が必要であり、有用物質の封入効率が低い等がある。
【0006】
脂質複合型微粒子は、薬理効果の増大及び副作用の低減を目的としたDDSにおいて、薬物の放出制御、吸収改善、標的指向の向上の特性を具備するだけではなく、高分子キャリアに比べて毒性、抗原性、刺激性等の点においても優れている。このため、マイクロキャリアとして、脂質複合型微粒子は非常に有望であり、近年その研究が盛んに行われている。しかしながら、脂質複合型微粒子は高分子キャリアに比べて不安定であるため、必要な時、必要な量だけの即時供給が脂質複合型微粒子に要求されていることが現状である。
【0007】
一方、ダブルエマルションの製造法において、複数内水相型のエマルションの製造は容易であるが、製造されたダブルエマルションの粒径はばらつきが大きくなってしまう。このため、マイクロキャリアとして脂質複合型微粒子を使用する場合には、薬物投与量や除放速度を制御することができない等の課題がある。
【0008】
ばらつきの小さい粒径の複数内水相型エマルションの製造法については、同特許文献1に記載されているように、1990年代に宮崎県工業技術センターの中島氏等のグループにより開発された膜乳化法が非常に有用である。DDSへの応用について、膜乳化法の二次乳化のみを用いた水溶性の抗癌剤(塩酸エピルビシン)と油性造影剤とを含むダブルエマルションの製造が実際に行われている。そして、この抗癌剤を用いた末期肝癌の臨床治療が実施され、多くの患者の延命が確認された実績があった。しかしながら、膜乳化法も一次乳化の段階において高圧装置を使用することが必要であるために、臨床治療の際、一次乳化において通常のホモジナイザー法によりW/O型のエマルションを調製し、二次乳化にのみ膜乳化法を使用しているのが現状である。従って、更なる迅速かつ簡便なダブルエマルションの製造法の確立が切に望まれている。
【0009】
一方、単一水相型のW/O/Wエマルション(ベシクル型の液膜エマルション)はDDSにおける薬物投与量や除放速度を制御することができる等の利点があるが、製造が難しい。最近においては、二段階乳化法を利用したマイクロ流路分岐法により、単一水相型のW/O/Wエマルションの作製が行われている。しかしながら、二次乳化の段階において、単一水相型のW/O/Wエマルションを製造するときに、O/Wも同時に製造されてしまう(2004年日本分析機器展の公開資料参照。)。
【0010】
他方、リン脂質を50%以上含む脂質ベシクル(リポソーム)は、DDSにおいて非常に有用であるだけではなく、バイオセンサ、バイオリアクタ及び遺伝子治療においても非常に有用である。遺伝子治療として、特に2001年から革新技術として大きく注目され続けているRNA干渉(Ribonucleic Acid Interference)がある。RNA干渉とは、遺伝子変異が起こったRNAの一部分を鋳型RNAによってブロックすることにより、有害なタンパク質を作らせない方法である。RNA干渉は遺伝子治療に応用することができ、遺伝子レベルにおいて病気を治療することができる。遺伝子治療を実現するには、まず鋳型RNA[siRNA(Small Interfering RNA)] を細胞内に導入しなければならない。しかしながら、細胞には細胞膜が存在しているので、鋳型RNAを導入する際には細胞膜といったバリヤを乗り越えなければならない。
【0011】
DNA(Deoxyribonucleic Acid)やRNA(Ribonucleic Acid)を利用した遺伝子治療法もRNA干渉と同様に遺伝子治療の機能を発現するために、まずDNAやRNAを細胞内に導入させなければならない。近年、レトロウイルス等のウイルスをベクターとして使用し、レトロウイルスを細胞に感染させることによってレトロウイルス内に封入されるDNAやRNAを細胞内に導入し、癌等の末期患者に対する遺伝子臨床治療が行われ、一定の治療効果が得られた。しかしながら、レトロウイルス本来の遺伝子が患者の染色体に組み込まれる危険性もあり、新たな細胞の癌化を引き起こすことも懸念されている。従って、RNA干渉などの遺伝子治療において、細胞内に遺伝子(DNA、RNA、siRNA)を導入するためにはレトロウイルス等のウイルス型ベクターの代わりにより安全性の高い新たなベクターの使用と開発が望まれている。
【0012】
脂質ベシクル(リポソーム)は細胞膜を構成するリン脂質を用いて製造することができるので、上述のような細胞の癌化の危険性を回避することができると考えられている。しかしながら、ベシクル(リポソーム)の製造法においても、多くの課題を抱えているのが現状である。
【0013】
例えば、ばらつきの小さい粒径のベシクルの製造には脂質の乾燥、撹拌、超音波、プレス等の一連の複雑な工程が必要であり、又製造過程においてクロロホルム等の有害な揮発性有機物質を用いるため、環境調和型ではなく、生理活性物質を直接封入することができない。また、ばらつきの小さい粒径のベシクルの迅速自動製造と生理活性物質内包のベシクルの製造とが難しく、内膜と外膜とが非対称のベシクルを製造することができない。更に、製造されたベシクルの粒径は20nm〜50nm程度と小さいので、単位体積当たり充分量の高分子であるタンパク質、DNA、RNA等を高活性において封入することができない。
【特許文献1】特許第2733729号公報(米国特許第5326484号)
【特許文献2】特開2003−71261号公報
【特許文献3】特開2004−12402号公報
【特許文献4】特開2003−164754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
二段階乳化法においては、前述のように様々な課題を抱えている。本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきが小さく、物質を効率かつ迅速に封入する一段階乳化法を実現することができる複合型微粒子の製造方法を提供することである。本発明に係る実施の形態は、バイオ、医薬(DDS、遺伝子治療等を含む。)、食品、化粧品、塗料等の技術分野においてマイクロカプセルや微粒子の調製等に幅広く利用されている複合型微粒子であって、激しい撹拌、超音波等による物理的ストレスを伴わず、更に常温、常圧、中性下の緩和な製造条件を備えた全く新しい乳化法を実現することができ、粒径、膜厚のばらつきが小さく、ばらつきが小さくかつ高い封入容量において薬物等の生理活性物質を高活性により効率よくかつ迅速に封入することができる製造方法を提供する。
【0015】
更に、本発明の目的は、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきが小さい複合型微粒子の製造方法を実現することができる製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、複合型微粒子の製造方法において、第1の流体に導出口が接する流路内に第1の流体に比べて導出口との間の親和力が強い第2の流体を供給する工程と、流路内に第2の流体に比べて導出口との間の親和力が弱い第3の流体を供給する工程と、流路内において導出口に親和力により第2の流体を保持しながら、第3の流体を注入し、第2の流体内に第3の流体を内包させる複合型微粒子を形成する工程とを備える。
【0017】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、複合型微粒子の製造装置において、第1の流体を流動相又は静止相として供給する連続相供給部と、連続相供給部に導出口が連接された流路と、流路内に第2の流体を供給する第2の流体供給部と、流路内に供給する第3の流体供給部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきが小さく、物質を効率かつ迅速に封入する、一段階乳化法を実現することができる複合型微粒子の製造方法を提供することができる。
【0019】
更に、本発明によれば、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきが小さい複合型微粒子の製造方法を実現することができる製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参照して判断すべきものである。又、図面相互間においてもお互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、単一水相型のW/O/Wエマルション、複数内水相型のW/O/Wエマルション、ベシクル、リポソーム、単一油相型のO/W/Oエマルション、複数内油相型のO/W/Oエマルション、逆ベシクル、単一気相型のV/W/Oエマルション、複数内気相型のV/W/Oエマルション、単一気相型のV/O/Wエマルション、複数内気相型のV/O/Wエマルション等の複合型微粒子の製造方法及びその製造装置を説明する。
【0022】
[複合型微粒子の製造装置の基本構造]
図1に示すように、第1の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造装置1は、第1の流体11を流動相又は静止相のいずれかの連続相として供給する連続相供給部2と、連続相供給部2に導出口31が連接された流路3と、導出口31と第1の流体11との間の親和力に対して導出口31との間の親和力が強い乳化剤14を含む第2の流体12を流路3内に供給する第2の流体供給部4と、導出口31と乳化剤14を含む第2の流体12との間の親和力に対して導出口31との間の親和力が弱い第3の流体13を流路3内に供給する第3の流体供給部5とを備えている。更に、製造装置1は、連続相供給部2内に押し出され生成された複合型微粒子20を回収する回収部6を備えている。
【0023】
[複合型微粒子の基本的製造方法]
図1に示す製造装置1においては、第2の流体供給部4からの乳化剤(例えば、図4に示す符号「14」参照。)を含む第2の流体12と第3の流体供給部5からの第3の流体13とのそれぞれを流路3に交互に供給し、導出口31において第2の流体12内に第3の流体13を注入しつつ、この第2の流体12を第1の流体11内に押し出すことにより、複合型微粒子20の中間体10を生成し、更にこの中間体10から第2の流体内に第3の流体を内包させる複合型微粒子20を製造することができる。
【0024】
複合型微粒子20の製造方法において、例えば第2の流体12には1種類以上の乳化剤14が含まれ、この乳化剤14を含む第2の流体12が親和力により導出口31に付着し(保持され)、この第2の流体12内に第3の流体13が注入されると、第2の流体12が第3の流体13と第1の流体11との間の境界膜となり、第3の流体13が注入された第2の流体12を境界膜とする中間体10を生成することができる。第2の流体12内への第3の流体13の注入が中止された場合には、中間体10はそのまま安定状態において存在する。また、第2の流体12内に第3の流体13を継続して注入した場合には、中間体10は、導出口31の内径寸法よりも大きな径寸法の半球状若しくは微小球状まで膨張し、かつ熟成し、最終的に第2の流体内に第3の流体を内包する単相型の複合型微粒子20(単一気相型、水相型又は油相型の液膜エマルション、ベシクル若しくは逆ベシクル)を生成することができる。この複合型微粒子20は親和力に抗して導出口6から離脱する。
【0025】
連続相供給部2に保有された第1の流体(連続相)11が流動相である場合、複合型微粒子20は、第1の流体11の流れ方向に沿って流され、回収部6において回収される。また、第1の流体11が静止相である場合、導出口31から押し出された複合型微粒子20は、流路3外表面との間に適度な親和力を確保することにより、この流路3外表面上に一方向に付着させたり、規則的若しくは不規則的に配列して付着させるこができる。
【0026】
更に、第1の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造方法においては、図2に示すように、最初に供給された乳化剤14を含む第2の流体12a及び第3の流体13aにより生成された複合型微粒子20aが導出口31に形成され、導出口31から完全に離れる前に次に供給された乳化剤14を含む第2の流体12b及び第3の流体13bにより複合型微粒子20bが生成され、引き続き乳化剤14を含む第2の流体12c及び第3の流体13cにより複合型微粒子20cが生成される場合には、合一された乳化剤14を含む第2の流体12a〜12c内部に内包された第3の流体13a〜13が1つに合一された単一相型の複合型微粒子(単相型のエマルション、ベシクル又は逆ベシクル)20Aを、又は合一された第2の流体12a〜12c内部に第3の流体13a〜13cが分散された複数相型の複合型微粒子(複数相型のエマルション)20Bを製造することができる。
【0027】
第2の流体12及び第3の流体13の流路3への導入方法には、直接導入法と吸引法とがある。直接導入法は、例えば、図3に示すように、第2の流体供給部4から導入口4Aを通して流路3内に第2の流体12を供給し、第3の流体供給部5から導入口5Aを通して流路3内に第3の流体13を供給する方法である。第2の流体12、第3の流体13のそれぞれは交互に流路3内に供給される。例えば、第2の流体12のセグメントを一定間隔において流路3内に供給するとともに、この供給間隔間に第3の流体13のセグメントを一定間隔において流路3内に供給することにより、第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを交互に流路3内に供給することができる。また、第3の流体13を流路3に連続的に供給し、この第3の流体13の連続的な供給の流れの最中に第2の流体12のセグメントを一定間隔において割り込ませることにより、第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを交互に流路3内に供給することができる。これら第2の流体12、第3の流体13のそれぞれの流路3内への交互の供給は、流体供給制御弁と、それを制御する弁制御装置とを少なくとも備えた流体切り替え手段により行うことができる。直接導入法の利点は、第2の流体12、第3の流体13の双方を直接流路3内に供給しながら、複合型微粒子20を連続的かつ全自動的に製造することができるので、複合型微粒子20を量産することができる点にある。また、第1の流体11が流動相である場合には、製造された複合型微粒子20を回収部6において簡易に回収することができる。
【0028】
一方、吸引法は、例えば、流路3の導出口31より第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを交互に流路3内に吸引する方法である。吸引法の利点は、同一の導出口31から第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを流路3内に吸引するので、量産向きではないが、装置サイズの小型化を実現することができるとともに、注射器のように必要な量の複合型微粒子20を必要な場所に簡易に提供することができる点にある。
【0029】
流路3の少なくとも導出口31には、第2の流体12を親和力により付着させる材料が使用されている。この流路3の導出口31の表面特性、特に濡れの特性は、第2の流体12に含まれる乳化剤14と第3の流体13とによって相対的に決定することができる。なお、導出口31の材料の選定に代えて、導出口31の表面処理によっても表面特性を制御することができる。例えば、導出口31の表面を粗面加工することにより、第2の流体12が付着する濡れの特性を向上することができる。
【0030】
図4に示すように、例えば流路(例えばマイクロチャンネル)3の導出口31に疎水性を備え、水相(W)を第1の流体11とし、流路3内に乳化剤14を含む油相(Os)を第2の流体12のセグメントとして供給し、更に水相(W)を第3の流体13のセグメントとして供給し、第2の流体12、第3の流体13の双方のセグメントを交互に流路3に流し、導出口31から第1の流体11内に順次第2の流体12とその内部に注入された第3の流体13とを押し出すことにより、第2の流体内に第3の流体を内包させる単一水相型のW/Os/Wエマルションやベシクルの中間体10並びに複合型微粒子20を製造することができる。この場合、第2の流体12又は乳化剤14の疎水基は、疎水性の流路3との間の疎水性相互作用によって、導出口31に付着する。更に、乳化剤14と、第3の流体13、第1の流体11のそれぞれとが接触する界面において、乳化剤14の親水基が第3の流体13、第1の流体11のそれぞれの側に向って整列され、第2の流体12内への第3の流体13の注入に伴い、乳化剤14を境界膜とした半球状又は微小球状へと膨張し、脱離期の大きさになると導出口31から離れてゆき、単一水相型のW/Os/Wエマルションの複合型微粒子20を製造することができる。
【0031】
同様の原理により、流路3内に乳化剤14を含む油相(Os)を第2の流体12のセグメントとして供給し、更に気相(V)を第3の流体13のセグメントとして供給し、第2の流体12、第3の流体13の双方のセグメントを交互に流路3に流し、導出口31から第1の流体11内に順次第2の流体12とその内部に注入された第3の流体13とを押し出すことにより、第2の流体内に第3の流体を内包させる単一気相型のV/Os/Wエマルションの中間体10並びに複合型微粒子20を製造することができる。第2の流体12又は乳化剤14の疎水基は疎水性の流路3との間の疎水性相互作用によって、導出口31に付着する。なお、単一気相型のV/Os/Wエマルションの場合には、乳化剤14と第3の流体13、第1の流体11のそれぞれとが接触する界面において、乳化剤14の疎水基又は親水基が第3の流体13、第1の流体11のそれぞれの側に向って整列される。
【0032】
一方、図5に示すように、流路3の導出口31に親水性を備え、油相(O)を第1の流体11とし、流路3内に乳化剤14を含む水相(Ws)を第2の流体12のセグメントとして供給し、更に油相(O)を第3の流体13のセグメントとして供給し、第2の流体12、第3の流体13の双方のセグメントを交互に流路3に流し、導出口31から第1の流体11内に順次第2の流体12とその内部に注入された第3の流体13とを押し出すことにより、第2の流体内に第3の流体を内包させる単一油相型のO1/Ws/Oエマルションや逆ベシクルの中間体10並びに複合型微粒子20を製造することができる。この場合、第2の流体12又は乳化剤14の親水基は、親水性の流路3との間の親水性相互作用によって、導出口6に付着する。更に、乳化剤14と、第3の流体13、第1の流体11のそれぞれとが接触する界面において、乳化剤14の疎水基が第3の流体13、第1の流体11のそれぞれの側に向って整列され、第2の流体内への第3の流体13の注入に伴い、乳化剤14を境界膜とした半球状又は微小球状へと膨張し、脱離期の大きさになると導出口31から離れてゆき、単一水相型のO1/Ws/Oエマルションの複合型微粒子20を製造することができる。
【0033】
同様の原理により、流路3内に乳化剤14を含む水相(Ws)を第2の流体12のセグメントとして供給し、更に気相(V)を第3の流体13のセグメントとして供給し、第2の流体12、第3の流体13の双方のセグメントを交互に流路3に流し、導出口31から第1の流体11内に順次乳化剤14を含む第2の流体とその内部に注入された第3の流体13とを押し出すことにより、単一気相型のV/Ws/Oエマルションの中間体10並びに複合型微粒子20を製造することができる。
【0034】
[異なる複合型微粒子の製造方法への応用]
図6に示す第1の実施の形態に係る製造装置1は、流路3に供給制御弁44とON/OFF弁45とを通して連接され、かつ並列に連接された複数の供給部41〜43を有する第2の流体供給部4と、流路3に供給制御弁44とON/OFF弁45とを通して連接され、かつ並列に連接された複数の供給部51〜53を有する第3の流体供給部5とを備え、更に流路3の連続相供給部2と第2の流体供給部4及び第3の流体供給部5との間に配置されたペンシルポンプ7とを備えている。第2の流体供給部4の供給部41〜43には各々異なる乳化剤14を含む第2の流体が充填され、これらの第2の流体が流路3内に供給される。第2の流体の供給制御には供給制御弁44とON/OFF弁45とが使用される。第3の流体供給部5の供給部51〜53には各々異なる物質が充填され、異なる物質を含む第3の流体が流路3内に供給される。第3の流体の供給制御には供給制御弁44とON/OFF弁45とが使用される。
【0035】
第1の実施の形態において、第2の流体には乳化剤14に加えて更に異なる物質を添加することができる。この異なる物質として、例えば、リガンド、糖脂質、タンパク質、電子共役系物質、蛍光脂質、シクロデキストリン、フラーレン、分子トング、ポルフィリン類、ステロイド、光感応性分子、蛍光色素、電子共役系物質、クラウンエーテル、デンドリマー、ポリペプチド、金属微粒子、磁性微粒子、高分子微粒子、微粒子または糖脂質、蛍光脂質、たんぱく質を含むミセルや逆ミセルなどを挙げることが出来るが、第2の流体中若しくは乳化剤14分子間、又はタブルエマルション、ベシクル、逆ベシクルの内膜及び外膜に安定に存在することができれば、特に限定されるものではない。
【0036】
第1の実施の形態において、第3の流体に添加する物質には、例えば香り物質、匂い物質、薬物、薬品、色素、蛍光剤、酸化還元剤、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、糖、タンパク質、核酸、核酸関連物質、金属微粒子、磁性微粒子、高分子微粒子、微粒子、デンドリマー、カーボンナノホーン、油溶性の薬物を含むミセル、ウォータープールに水溶性の薬物やタンパク質を含む逆ミセル、例えば乳酸菌や大腸菌などの細胞、又は糖脂質、蛍光脂質、たんぱく質を含むミセルや逆ミセルのいずれか1つ又は複数を挙げることができる。第3の流体に添加される物質は、第2の流体との相互作用により第2の流体中若しくは乳化剤14分子間又はタブルエマルション、ベシクル、逆ベシクルの内膜及び外膜に付着して存在し、第2の流体に添加される物質と同様にダブルエマルション及びベシクル、逆ベシクルとして修飾作用することができる。一方、第3の流体に添加される物質は第2の流体によって形成される複合型微粒子の中に封入される形において存在する物質であってもよい。
【0037】
図6に示す製造装置1においては、異なる乳化剤14を含有する第2の流体12と異なる物質を含有する第3の流体13とを流路3に交互に供給することによって、異なる物質内包の各種複合型微粒子20を製造することができる。また、図6(a)に示す製造装置1においては、内膜と外膜とが非対称型のタブルエマルションやベシクル、各種生理活性物質内包のダブルエマルションやベシクル、膜内タンパク質修飾のタブルエマルション、逆ベシクル等を製造することができる。
【0038】
[第1の変形例]
第1の実施の形態に係わる複合型微粒子20の製造方法においては温度並びに圧力の制御が大切である。製造系の温度を制御する場合、例えば流路3の内部や外部から直接的若しくは間接的に乳化剤14を含む第2の流体12、第3の流体13の温度を部分的に若しくは全体的に制御することができれば、本発明はその温度制御の手段を限定するものではない。また、連続相供給部2においても適切な温度制御を行うことが望ましい。
【0039】
第1の実施の形態において、中間体10並びに複合型微粒子20はいずれも半球状若しくは微小球状の形状として製造しているが、乳化剤の分子構造によって半楕円体状、回転楕円体状等の形状として製造することができるので、本発明はこれらの形状を限定するものではない。
【0040】
第1の実施の形態に係る製造方法においては、製造したい複合型微粒子20の種類によって、第1の流体11、乳化剤14を含む第2の流体12、第3の流体13の各々を気相(V)、水相(W)、油相(O)のいずれかに設定すればよい。例えば、複合型微粒子20としてW/Os/Wエマルションを製造したい場合、図3に示すように、第1の流体11を水相(W2)とし、第2の流体12を乳化剤14を含む油相(Os)とし、第3の流体13を物質を含む水相(W1)とすればよい。更に、第1の流体11には複合型微粒子20を安定化させるための界面活性剤や高分子などを添加することができる。
【0041】
更に、流路3と乳化剤14を含む第2の流体12との間の相互作用により、導出口31に第2の流体12を付着するように設定することができるので、本発明は第2の流体12として水か油かに限定されるものではない。水には例えば純水若しくは各種物質を含む水溶液を実用的に使用することができる。油には、例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、シクロへキサン等の炭化水素、クロロホルム等の疎水性溶媒、メタノール、ブタノール、アセトニトリル等の親水性溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素のいずれかを実用的に使用することができる。これらの溶媒は、単独若しくは混合して使用することができ、又水溶性の生体関連物質を溶解させるために少量の水を添加してもよい。すなわち、乳化剤14を溶解や分散することができる溶媒若しくは混合溶媒であれば、本発明は特に溶媒の種類、混合比、混合状態を限定するものではない。更に、DDS用の複合型微粒子(例えばダブルエマルション、ベシクル、リポソーム等)を製造するために毒性のないグリセリン、エチレングリコール、エタノール、大豆油等を油として用いることができる。
【0042】
更に、乳化剤14を含む第2の流体12には少なくとも1種類以上の物質を含ませることができる。例えば、蛋白質(例えは、酵素、分子シャペロン、抗原、抗体、ホルモン等)、核酸、核酸関連物質、分子、糖脂質、コレステロール、蛍光色素、リガンド、光感応性分子、イオンチャンネル、電子共役系の物質、助界面活性剤、クラウンエーテル、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ポルフィリン類、シクロデキストリン、分子トング、微粒子、デンドリマー、ステロイド、ペプチド、ポリペプチドなどを物質として用いることができる。乳化剤14を含む第2の流体に更に各種物質を含ませることにより、各種物質で修飾されるダブルエマルション及びベシクル、逆ベシクルを製造することができる。
【0043】
また、ダブルエマルションを作製する場合、乳化剤14及び上記物質の他、各種物質を第2の流体12に分散若しくは溶解させることができる。物質として、例えば酸化還元剤、ペプチド、金属微粒子、磁性微粒子、高分子微粒子、微粒子、デンドリマー、カーボンナノホーン、油溶性若しくは水溶性の薬物等の物質を少なくとも1種類以上分散若しくは溶解することができる。
【0044】
乳化剤14を使用しても安定な複合型微粒子20を製造することができる限り、乳化剤14には、脂質と境界脂質、スフィンゴ脂質、蛍光脂質、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、合成高分子、タンパク質などの天然高分子等を適宜選択して使用することができ、本発明は、乳化剤14の種類と組み合わせについて特に限定するものではない。
【0045】
また、乳化剤14として脂質を用いる場合には、例えばトリオレイン、モノオレイン、卵黄レシチン、リン脂質類、合成脂質類、リゾリン脂質類、グリコシルジアシルグリセロール類、プラズマローゲン類、スフィンゴミエリン類、ガングリオシド類、蛍光脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、レシチン、ステロイド、ステロール類、コレステロール、酸化コレステロール、シヒドロコレステロール、グリセリルジステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルジオレエート、イソソルベイトモノブラシデイド、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミトレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノブラシデート、ドデシル酸リン酸塩、ジオクタデシルリン酸塩、トコフェノール、クロロフィル、キサントフィル、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、イノシトール、臭化へキサデシルトリメチルアンモニウム、ジグルコシルジグリセリド、ホスファチジルコリン、レチナール/酸化コレステロール/レクチン/ロドプシン、脳全脂質、ヒト赤血球全脂質等を使用することができるが、その他の複合型微粒子20の製造を実現する脂質及び合成脂質であれば、本発明は特に限定するものではない。
【0046】
また、乳化剤14として各種界面活性剤を用いる場合、例えば、アルキル四級アンモニウム塩(CTAB、TOMAC等)、アルキルピリジニウム塩(CPC等)、ジアルキルスルホコハク酸塩(AOT等)、ジアルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩(SDS等)、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン系界面活性剤(Tween系、Brij系、Triton系等)、アルキルソルビタン(Span系等)、レシチン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、蔗糖脂肪酸エステル等の界面活性剤を用いることができるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
【0047】
また、乳化剤14として高分子乳化剤を使用する場合、例えば、ポリソープ、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール等を使用することができる。
【0048】
また、乳化剤14としてタンパク質の乳化剤を用いる場合、例えば、カゼイン等を使用することができる。
【0049】
更に、第3の流体13においては、複合型微粒子が安定に存在するのであれば、乳化剤14を含む第2の流体12と同様に水、油を適宜選択して使用することができる。勿論、前述のように、第3の流体13には気体も使用することができる。また、第3の流体13のセグメント毎に各種物質を含ませることにより、異なる物質を封入するダブルエマルション及びベシクル、逆ベシクルを製造することができ、内膜と外膜とに異なる物質により修飾されるダブルエマルション、ベシクル、逆ベシクルを製造することができる。第3の流体13に添加する物質として、例えば香り物質、匂い物質、薬物、薬品、色素、蛍光剤、酸化還元剤、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、核酸関連物質、金属微粒子、デンドリマー、カーボンナノホーン、微粒子、金属微粒子、油溶性の薬物を含むミセル、ウォータープールに水溶性の薬物やタンパク質を含む逆ミセル、細胞、すなわち気体、液体、固体、分子集合体等を使用することができる。
【0050】
第1の流体11として液体である水、油を用いることができるほか、気体を用いることができる。また、複合型微粒子20の安定性を増すためには、第1の流体11に界面活性剤及び高分子を適宜添加することができる。
【0051】
第1の実施の形態に係る、流路3を利用した複合型微粒子20の製造方法においては、第2の流体12と第3の流体13との体積比を適切に制御することにより、複合型微粒子20の膜厚と粒径とを容易に制御することができる。更に、導出口31の径寸法、形状、表面特性若しくは流体の押し出し速度、第1の流体11の流速、温度、第2の流体に含まれる乳化剤14、溶媒の種類等の適宜選択と制御とによって、粒径、形状、膜厚のばらつきの小さい複合型微粒子20を迅速かつ自動的に製造することができる。
【0052】
なお、図1及び図3に示す複合型微粒子20の製造装置1においては、複合型微粒子20が正電荷若しくは負電荷を備えていれば、連続相供給部2又は回収部6に電極を配置するだけで電気浸透流を利用して複合型微粒子20を簡易に回収することができる。また、親水性のナノポーラスフィルタは無電解めっきなどの手法で表面処理することによって、その表面に疎水特性を持たせることができる。
【0053】
[第2の変形例]
前述の図3に示す第1の実施の形態に係る製造装置1において、図7(a)に示すように、流路3の導入口4A及び5Aから導出口31に向かって、流路3内に供給された乳化剤14を含む第2の流体12及び第3の流体13を細分化する第1の分岐流路32と、この第1の分岐流路32により細分化された第2の流体12及び第3の流体13を更に細分化する第2の分岐流路33とを備えている。流路3、第1の分岐流路32、第2の分岐流路33の横断面構造及び導出口31の形状を図7(b)に示した。第2の分岐流路33により細分化された第2の流体12内には第3の流体13が注入され、この第3の流体13が注入されることにより第2の流体12が第1の流体11内に押し出され、第2の流体内に第3の流体を内包させる複合型微粒子20を生成することができる。
【0054】
このように構成される、第1の分岐流路32及び第2の分岐流路33を有する流路3を備えた製造装置1及び製造方法においては、最終的な第2の分岐流路33の数に応じた複数の複合型微粒子20を同時に製造することができる。
【0055】
なお、分岐流路の数は特に限定されるものではなく、1又は3以上の分岐流路を流路3に配置することができる。
【0056】
[第3の変形例]
前述の図3に示す第1の実施の形態に係る製造装置1において、図8に示すように、流路3外表面は導出口31と同様な表面特性を備えている。連続相供給部2において第1の流体11の状態等の製造条件を制御することによって、複合型微粒子20を流路3の外表面上に沿って一定方向に付着したり、配列させたりすることができる。これらの複合型微粒子20は、前述の図2に示す単一水相型の複合体微粒子20A若しくは複数相型の複合型微粒子20Bとして製造することもできる。
【0057】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明したように、第1の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造方法においては、一段階乳化法を実現することができ、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきの小さい複合型微粒子20、詳細には複数内水相型のエマルション、複数内油相型のエマルション、複数内気相型のエマルション、単一水相型のエマルション、単一気相型のエマルション、単一油相型のエマルション、ベシクル、リポソーム、又は逆ベシクルを迅速かつ自動的に製造することができる。
【0058】
更に、第1の実施の形態に係る製造方法においては、穏和な製造条件において複合型微粒子20を製造することができ、高活性の生理活性物質を効率よく内部に封入した複合体微粒子20を製造することができる。
【0059】
更に、第1の実施の形態に係る製造方法においては、内膜と外膜の物質が異なる複合型微粒子20を製造することができる。
【0060】
更に、第1の実施の形態に係る製造方法においては、1種類以上の物質を内包させる複合型微粒子20を製造することができる。
【0061】
そして、第1の実施の形態に係る製造装置1においては、上記製造方法を簡易に実現することができる。
【0062】
(実施例)
以下、第1の実施の形態に係る具体的な実施例について説明する。
【0063】
[比較例1]
表面処理を施していない軟質ガラスキャピラリ(内径=200μm、外径=300μm、長さ=40mm)をテフロン(登録商標)ヒートチューブでガスクロマトグラフィー用(10μl、HAMILTON製、84853型)のマイクロシリンジの針に接続し、流路3とした。マイクロシリンジをリピーティングデスペンサーに固定した。
【0064】
乳化剤14としてモノオレイン、第2の流体12としてデカンを用いた。デカン中、モノオレインを5wt%含ませた溶液が乳化剤14を含む第2の流体12とした。第3の流体13として水溶性のブルーインク水溶液を用いた。また、第1の流体11として純水を用いた。
【0065】
次に、吸引法によりW/Os/Wエマルションの製造を行った。具体的に、マイクロシリンジと接続したガラスキャピラリの先端部分(導出口31)を交互に上記の乳化剤14を含む第2の流体12と第3の流体13とに浸漬しながら、それぞれ約35nl〜100nlを吸引した。次に、ガラスキャピラリの先端部分(導出口31)を第1の流体11である純水を含むチューブに平行に挿入し、リピーティングデスペンサーを用いてマイクロシリンジより第2の流体12と第3の流体13とを交互に押し出し、光学顕微鏡(キーエンス VH-5910)を用いて、ブルーインク内包W/Os/Wエマルションの形成の様子を観察した。ガラスキャピラリより乳化剤14を含む第2の流体12であるモノオレイン/デカン(5wt%)(Os)脂質溶液と第3の流体13であるブルーインク溶液を交互に押し出したとき、主に、Os/Wエマルションが得られた。
【0066】
[実施例1]
ポリプロピレン製のマイクロチューブ(内径=200μm、外径=300μm)をガスクロマトグラフィー用(10μl、HAMILTON製、84853型)のマイクロシリンジの針に接続し、流路3とした。この場合、流路3はマイクロチューブを用いたので、以下に流路3をマイクロチューブと記する。
【0067】
次に、比較例1と同様の乳化剤14を含む第2の流体13(Os)、第3の流体13(W1)及び第1の流体11(W)を使用し、同様な吸引法で、ブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションの製造を行った。
【0068】
図9(a)には実施例1に係る吸引法によるインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションの製造の模式図を示した。図9(b)に乳化剤14を含む第2の流体12であるモノオレイン/デカン(5wt%)(Os)(脂質溶液相)に第3の流体13であるブルーインク水溶液を注ぎ込んでいるところを示した。マイクロチューブ(流路3)の周りに白く見えたのはモノオレイン/デカン(5wt%)(Os)(脂質溶液相)による光の屈折に起因する現象である。図9(b)に、疎水性を有するマイクロチューブは疎水性を有する第2の流体12(Os)をトラップすることができるだけではなく、第2の流体12に続く第3の流体13の注入に伴い、第2の流体12は第3の流体13とともに第1の流体11の境界膜として膨張し続けている中間体10をトラップすることができることを示した。この中間体10へ第3の流体13を注入、膨張させ続けると、中間体10は半球状、微小球状へと膨張し、脱離期の大きさまでになると、チューブの先端(導出口31)から第1の流体11内に離れて行き、複合型微粒子20としてインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションを製造することができることを確認できた。
【0069】
実施例1により作製された複合型微粒子20を図9(c)に示した。この複合型微粒子は高濃度の水溶性ブルーインク内包単一水相型のW/Os/Wエマルションであり、針で突いた結果、インク内包エマルションが一瞬に崩壊し、崩壊と同時にインク内包エマルションからブルーインクの放出が観察された。比較のため、水溶液中にブルーインク溶液を落とした際の写真を図9(d)に示した。図9(d)に示したように、ブルーインクは水溶解性であるため、水溶液において、一定の形状を保つことができず、速やかに水溶液中へ拡散していくことが明らかである。このことから、実施例1において製造された図9(c)に示した高濃度ブルーインク内包のエマルションは単一水相型のW/Os/Wエマルションであることが明らかである。
【0070】
一方、図9(a)に示す複合型微粒子20の製造系において、第1の流体11が静止相の場合、複合型微粒子20である高濃度ブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションが前述の方法で製造されたにも関わらず、マイクロチューブ(流路3)から脱離せず、マイクロチューブの外側壁に沿って流動若しくは図9(e)に示すようにマイクロチューブに付着させることができる。この方法によれば、マイクロチューブに沿って複合型微粒子20を並べる(配列させる)ことができる。
【0071】
このように実施例1によれば、ブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションを製造することができる。
【0072】
[実施例2]
第3の流体13として薄いブルーインクを使用し、その他の製造条件は実施例1と同様である。この条件下において、粒径のばらつきの小さい、薄いブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションの製造を行った。図10(a)及び図10(b)にその製造の過程を示した。すなわち、乳化剤14を含む第2の流体12に続く第3の流体13の注入に伴い、第2の流体12は最初に半球状に膨張し、次にチューブの横へ偏りながら変形していく様子が観察された。実施例2において製造された粒径のばらつきの小さい薄いブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションを図10(c)に示した。
【0073】
また、図10(c)に示すように、第1の流体11が静止相である場合には、粒径のばらつきの小さい薄いブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションをマイクロチューブ(流路3)に沿って配置させることができた。
【0074】
[実施例3]
第3の流体13として空気を用い、その他の製造条件は実施例1と同様である。この条件下において、粒径のばらつきの小さい単一気相型のV/Os/Wエマルションを1個、4個、6個、7個と順次製造していく様子を図11(a)乃至図11(d)にそれぞれ示した。
【0075】
[実施例4]
乳化剤14としてソルビタンモノオレエート(Span80)、第2の流体12としてn−ヘキサデカンを用いた。Span80の濃度は0.088M、又は0.1MになるようにSpan80/n−ヘキサデカン溶液を調製し、乳化剤14を含む第2の流体12とした。その他の製造条件は実施例1と同様である。
【0076】
Span80の濃度は0.088Mの場合、製造した遊離及びマイクロチューブ(流路3)の外側壁に付着したブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションをそれぞれ図12(a)及び図12(b)に示した。
【0077】
また、図13(a)には乳化剤14を含む第2の流体12である0.1M Span80/n−ヘキサデカンにブルーインクを注ぎ込んでいる過程を示した。ブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションは、乳化剤14としてモノオレインを用いた場合(図9(b)参照。)と同様に第3の流体13であるブルーインクが第2の流体12である0.1M Span80/n−ヘキサデカンに注ぎ込まれることによって製造することができる。図13(b)及び図13(c)は、この製造条件下において製造したマイクロチューブの外側壁に付着したブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルション及び同一エマルションの崩壊後、ブルーインク放出の様子を示した。この場合、ブルーインク内包のエマルションは一瞬に崩壊すると同時にブルーインクが放出されることが観察されたので、本製造条件下において製造されたエマルションは単一水相型のエマルションであることが明らかである。
【0078】
[比較例2]
製造条件は実施例4と同様であるが、第3の流体13であるブルーインクの体積を実施例4の約10倍の量を用いて、エマルションを製造した。図14(a)及び図14(b)に示すように、複数内水相型エマルションを製造することができた。しかしながら、内水相の大きさのばらつきを小さく制御するのが困難であった。
【0079】
[実施例5]
製造速度(押し出し速度)以外の製造条件は実施例4と同じである。この場合、図2に示す製造原理、すなわち製造された単一水相型のエマルションが導出口より十分に離れる前に次々と単一水相型のエマルションを製造していくと、図15に示すような粒径のばらつきの小さい内水相を有する複数内水相型エマルションを製造することができた。本製造系の第1の流体11は静止系であり、更にマイクロチューブの外側壁は疎水性であるため、製造された複数内水相型エマルションがマイクロチューブの先端へと止まった。
【0080】
[実施例6]
マイクロチューブの内径、外径(内径=100μm、外径=150μm)、乳化剤14を含む第2の流体12(0.1M Span80/n−ヘキサデカン)及び第3の流体13(ブルーインク)の量以外の製造条件は実施例4と同じである。
【0081】
本製造条件下において製造されたブルーインク内包の単一水相型エマルション、粒径のばらつきの小さい内水相を有する複数内水相型エマルションをそれぞれ図16(a)乃至図16(c)に示した。実施例5に係る製造方法により製造された単一水相型エマルションの粒径及び複数内水相型エマルションの内水相の粒径がそれぞれ実施例4及び実施例5に係る粒径より小さいことから、マイクロチューブの内径、第2の流体12と第3の流体13の量とを制御することによって、複合型微粒子の粒径及び内水相の粒径を制御することができた。
【0082】
[実施例7]
第3の流体13として空気及び薄いブルーインクを用い、又第1の流体11として0.1M NaClを用いた。また、第3の流体13として空気と薄いブルーインクをそれぞれ用い、マイクロチューブへ第3の流体13を挟んで交互に流した。その他の製造条件は実施例4と同様である。
【0083】
本製造条件で製造されたマイクロチューブ付着型のブルーインク内包の単一水相型エマルション及び単一気相型エマルションをそれぞれ図17(a)及び図17(b)に示した。
【0084】
また、マイクロチューブへ第3の流体13として空気と薄いブルーインクを交互に流した場合、図17(c)に示したように内気相及び内水相が混在したエマルションを作製することができた。
【0085】
[実施例8]
マイクロチューブとしてマイクロチューブの先端部分(流路3の導出口31)を20度の角度においてカットされたものを用いた。また、第3の流体13として高濃度ブルーインク溶液と空気を用い、第1の流体11として0.1M NaClを用いた。その他の製造条件は実施例4と同様である。
【0086】
このマイクロチューブを用いて製造したブルーインク内包の単一水相型エマルション及び単一気相型エマルションをそれぞれ図18(a)及び図18(b)に示した。
【0087】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、前述の第1の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造方法及び製造装置1において、流路3の構造を代えた例を説明するものである。なお、第2の実施の形態の説明において、前述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同等の機能を有する構成要素には同一符号を付け、その説明は重複するので省略する。
【0088】
[複合型微粒子の製造装置の構造]
第2の実施の形態は、単一水相型のW/O/Wエマルション、複数内水相型のW/O/Wエマルション、ベシクル、単一油相型のO/W/Oエマルション、複数内油相型のO/W/Oエマルション、逆ベシクル、単一気相型のV/O/Wエマルション、複数内気相型のエマルション等の複合型微粒子20の製造装置及び製造方法を説明するものである。
【0089】
第2の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造装置1は、基本的には前述の第1の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造装置1と同様の構成を備えているが、図19(a)及び前述の図3に示すように、流路3の構造に相違点を有する。すなわち、流路3は、乳化剤14を含む第2の流体12を流路3の導入口4Aから導出口31まで導く外輪側流路(外部流路)301と、この外輪側流路301内に配置され、第3の流体13を流路3の導入口5Aから導出口31まで導く内輪側流路(内部流路)302とを備え、2重流路構造により構成されている。導出口31は流路3全体の導出口であるが、導出口31の周辺部分には第2の流体12を排出する外輪側流路301の導出口311が配置され、導出口31の中央部分には第3の流体13を排出する内輪側流路302の導出口312が配置されている。
【0090】
また、図19(b)に示すように、流路3は、第3の流体13を流路3の導入口5Aから導出口31まで導く外輪側流路(外部流路)301と、この外輪側流路301内に配置され、乳化剤14を含む第2の流体12の導入口4Aから導出口31まで導く内輪側流路(内部流路)302とを備え、2重流路構造により構成されている。導出口31は流路3全体の導出口であるが、導出口31の周辺部分には第3の流体13を排出する外輪側流路301の導出口311が配置され、導出口31の中央部分には第2の流体12を排出する内輪側流路302の導出口312が配置されている。
【0091】
[複合型微粒子の基本的製造方法]
図19(a)に示す製造装置1(流路3)においては、図3に示す第2の流体供給部4からの乳化剤14を含む第2の流体12を流路3の外輪側流路301に供給し、第3の流体供給部5からの第3の流体13を流路3の内輪側流路302に供給し、流路3の導出口31において、内輪側流路302の導出口312から第3の流体13を、外輪側流路301の導出口311から第2の流体12をそれぞれ交互に一定間隔において排出することにより、導出口31において第2の流体12内に第3の流体13を注入しつつ、この第2の流体12を第1の流体11内に押し出すことにより、複合型微粒子20の中間体10を生成し、更にこの中間体10から第2の流体12内に第3の流体13を内包させる複合型微粒子20を製造することができる。導出口31から一定の体積比(量)を有する第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを一定間隔において交互に第1の流体11内に押し出すことにより、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきの小さい複合型微粒子20を製造することができる。
【0092】
また、図19(b)に示す製造装置1(流路3)においては、図3に示す第2の流体供給部4からの乳化剤14を含む第2の流体12を流路3の内輪側流路302に供給し、第3の流体供給部5からの第3の流体13を流路3の外輪側流路301に供給し、流路3の導出口31において、内輪側流路302の導出口312から第2の流体12を、外輪側流路301の導出口311から第3の流体13をそれぞれ交互に一定間隔において排出することにより、導出口31において第2の流体12内に第3の流体13を注入しつつ、この第2の流体12を第1の流体11内に押し出すことにより、複合型微粒子20の中間体10を生成し、更にこの中間体10から第2の流体12内に第3の流体13を内包させる複合型微粒子20を製造することができる。導出口31から一定の体積比(量)を有する乳化剤14を含む第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを一定間隔において交互に第1の流体11内に押し出すことにより、粒径、膜厚及び封入容量のばらつきの小さい複合型微粒子20を製造することができる。
【0093】
また、前述の第1の実施の形態の図8において説明した原理と同様の原理により、第2の実施の形態に係る流路3においては、外輪側流路301外表面の濡れの特性、第1の流体11の流速等の製造条件を適宜制御することによって、外輪側流路301外表面上に一定方向に向かって複合型微粒子20を付着させ、更に複合型微粒子20をランダムに配列することができる。このように生成された複合型微粒子20は、第1の実施の形態において説明したように、単一水相型の複合体微粒子20Aとして、若しくは複数相型の複合型微粒子20Bとして、最終的に製造することができる。
【0094】
なお、外輪側流路301外表面の特に濡れの特性においては、第2の流体12に含まれる乳化剤14によって相対的に決定することができる。濡れの特性は、外輪側流路301(流路3)の材料選定により決定することができ、又外輪側流路301表面の粗面加工により決定することができる。
【0095】
[第1の変形例]
第2の実施の形態に係る製造装置1において、流路3の導出口31部分の構造は図19(c)乃至図19(e)のそれぞれに示す構造に代えてもよい。図19(c)に示す流路3は、内輪側流路302の導出口312を外輪側流路301の導出口311に比べて第1の流体11側に突出させている。
【0096】
図19(d)に示す流路3は、図19(c)に示す内輪側流路302の導出口312に前述の図7に示すような分岐流路313を備え、外観的に導出口312を櫛形構造としている。
【0097】
図19(e)に示す流路3は、内輪側流路302の導出口312の位置と外輪側流路301の導出口311の位置とを同一とし、図19(d)に示す分岐流路313を備え、そして外輪側流路301の導出口311にナノポーラスフィルタ303を備えている。外輪側流路301がアルミニウム、チタン、シリコン等の材料により製作されていれば、例えばエレクトロケミカルエッチング(ECE)技術、すなわち陽極酸化やエッチング技術を用いて、導出口311付近にナノポーラスフィルタを簡易に製作することができる。ECEのエッチング条件の制御により、ナノポーラスフィルタの孔直径を5nm〜500nmの範囲内において製作することができる。
【0098】
[第2の変形例]
第2の実施の形態に係る製造装置1において、流路3の導出口31の導出口形状には図20(a)乃至図20(f)のいずれかを使用することができる。導出口31の導出口形状は、基本的には、流路3の導出口31の中央部分に内輪側流路302の導出口312を配置し、導出口31の周辺部分に内輪側流路302の導出口312を取り囲むように外輪側流路301の導出口311を配置している。なお、流路3においては、乳化剤14を含む第2の流体12を供給する外輪側流路301の導出口311に、第3の流体13を効率良く供給することができればよく、本発明は、流路3の導出口31の導出口形状を特に限定するものでない。
【0099】
図20(a)に示す流路3は、内輪側流路302のリング形状の導出口312と、この導出口312と同心円のように配置された、外輪側流路301のリング形状の導出口311とを備えている。図20(a)に示す内輪側流路302の導出口312及び後述する図20(b)〜図20(f)のそれぞれに示す内輪側流路302の導出口312は親水性を有する材料により製作されている。図20(a)に示す外輪側流路301の導出口311及び後述する図20(b)〜図20(f)のそれぞれに示す外輪側流路301の導出口311は疎水性を有する材料により製作され、乳化剤14が含まれる第2の流体12が排出される。
【0100】
図20(b)に示す流路3は、3個の複数の内輪側流路302のリング形状の導出口312と、これらの導出口312の周囲を取り囲むように配置された、外輪側流路301のリング形状の導出口311とを備えている。
【0101】
図20(c)に示す流路3は、6個の複数の内輪側流路302のリング形状の導出口312と、これらの導出口312の周囲を取り囲むように配置された、外輪側流路301のリング形状の導出口311とを備えている。
【0102】
図20(d)に示す流路3は、1個の内輪側流路302に配置されたリング形状の複数の導出口312と、この導出口312の周囲を取り囲むように配置された、外輪側流路301のリング形状の導出口311とを備えている。
【0103】
図20(e)に示す流路3は、内輪側流路302の正三角形状の導出口312と、この導出口312の周囲を取り囲むように配置された、外輪側流路301のリング形状の導出口311を備えている。
【0104】
図20(f)に示す流路3は、内輪側流路302のリング形状の導出口312と、この導出口312の周囲を取り囲むように配置された、外輪側流路301の正四角形状の導出口311とを備えている。
【0105】
図20(b)〜図20(d)に示す複数の内輪側流路302のそれぞれの導入口5Aは、各々別々に構成しても、一体に構成してもよい。導入口5Aを別々に構成した場合には、異なる種類の内気相型、液相型及び油相型のダブルエマルションの複合型微粒子20を製造することができる。
【0106】
なお、第1の流体11、乳化剤14、第2の流体12、第3の流体13のそれぞれには前述の第1の実施の形態と同様のものを使用することができ、製造したい複合型微粒子20によって第1の流体11等は適宜組み合わせることができる。
【0107】
[第3の変形例]
第2の実施の形態に係る製造装置1において、流路3の導出口31の導出口形状には図21(a)乃至図21(d)のいずれかを使用することができる。図21(a)に示す流路3は、前述の図20(a)に示す流路3の導出口31の導出口形状と同様であるが、内輪側流路302の導出口312及び外輪側流路301の導出口311は疎水性を有する材料により製作されている。図21(a)に示す内輪側流路302内及び後述する図21(b)〜図21(d)に示す内輪側流路302内には乳化剤14を含む第2の流体12が供給される。
【0108】
図21(b)に示す流路3は、前述の図20(e)に示す流路3の導出口31の導出口形状と同様であるが、内輪側流路302の導出口312及び外輪側流路301の導出口311は疎水性を有する材料により製作されている。
【0109】
図21(c)に示す流路3は、前述の図20(f)に示す流路3の導出口31の導出口形状と同様であるが、内輪側流路302の導出口312及び外輪側流路301の導出口311は疎水性を有する材料により製作されている。
【0110】
図21(d)に示す流路3は、前述の図20(d)に示す流路3の導出口31の導出口形状とは逆の導出口形状、すなわち内輪側流路302のリング形状の1個の導出口312の周囲に、外輪側流路301のリング形状の3個の導出口311が配置されている。外輪側流路301においては、少なくとも導出口311が配置された外表面に疎水性を有し、それ以外の外表面には親水性を有している。内輪側流路302の導出口312は疎水性を有する材料により製作されている。
【0111】
[第4の変形例]
前述の第2の実施の形態の第2の変形例又は第3の変形例に係る2重流路構造を有する流路3においては、内輪側流路302、外輪側流路301のそれぞれの表面特性と、第1の流体11、第2の流体12、第3の流体13のそれぞれとの組み合わせにより、様々な複合型微粒子20を製造することができる。
【0112】
図22(a)に示すように、疎水性の外輪側流路301を有する流路3、又は内輪側流路302の外壁及び導出口312と外輪側流路301の内壁及び導出口311を部分的に疎水化処理した流路3において、内輪側流路302に第3の流体13として気体(V)若しくは親水性を有する液体(W)を供給し、外輪側流路301に一種類以上の乳化剤14を含む親油性を有する第2の流体12(Os)を供給し、導出口31から親水性を有する第1の流体(W)に第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを一定間隔において押し出すことにより(一段階乳化法により)、単一気相のV/Os/Wエマルション、複数内気相型のV/Os/Wエマルション、単一水相型のW/Os/Wエマルション、複数内水相型のW/Os/Wエマルション、ベシクルの複合型微粒子20を製造することができる。
【0113】
また、図22(b)に示すように、疎水性の内輪側流路302を有する流路3、又は内輪側流路302の外壁及び導出口312と外輪側流路301の内壁及び導出口311を部分的に疎水化処理した流路3において、外輪側流路301に第3の流体13として気体(V)若しくは親水性を有する液体(W)を供給し、内輪側流路302に一種類以上の乳化剤14を含む親油性を有する第2の流体12(Os)を供給し、導出口31から親水性を有する第1の流体(W)に第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを一定間隔において押し出すことにより(一段階乳化法により)、第2の流体内に第3の流体を内包させる単一気相のV/Os/Wエマルション、複数内気相型のV/Os/Wエマルション、単一水相型のW/Os/Wエマルション、複数内水相型のW/Os/Wエマルション、ベシクルの複合型微粒子20を製造することができる。
【0114】
図23(a)に示すように、親水性の外輪側流路301を有する流路3、又は内輪側流路302の外壁及び導出口312と外輪側流路301の内壁及び導出口311を部分的に親水化処理した流路3において、内輪側流路302に第3の流体13として気体(V)若しくは親油性を有する液体(O)を供給し、外輪側流路301に一種類以上の乳化剤14を含む親水性を有する第2の流体12(Ws)を供給し、導出口31から親油性を有する第1の流体(O)に第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを一定間隔において押し出すことにより(一段階乳化法により)、単一気相型のV/Ws/Oエマルション、複数内気相型のV/Ws/Oエマルション、単一油相型のO/Ws/Oエマルション、複数内油相型のO/Ws/Oエマルション、逆ベシクルの複合型微粒子20を製造することができる。
【0115】
また、図23(b)に示すように、親水性の内輪側流路302を有する流路3、又は内輪側流路302の内壁及び導出口312と外輪側流路301の内壁及び導出口311を部分的に親水化処理した流路3において、外輪側流路301に第3の流体13として気体(V)若しくは親油性を有する液体(O)を供給し、内輪側流路302に一種類以上の乳化剤14を含む親水性を有する第2の流体12(Ws)を供給し、導出口31から親油性を有する第1の流体(O)に第2の流体12、第3の流体13のそれぞれを一定間隔において押し出すことにより(一段階乳化法により)、単一気相型のV/Ws/Oエマルション、複数内気相型のV/Ws/Oエマルション、単一油相型のO/Ws/Oエマルション、複数内油相型のO/Ws/Oエマルション、逆ベシクルの複合型微粒子20を製造することができる。
【0116】
[第2の実施の形態の効果]
第2の実施の形態に係る複合型微粒子20の製造方法においては、一段階乳化法を実現することができ、粒径、膜厚、封入容量のばらつきの小さい複合型微粒子20、詳細には単一水相型のエマルション、単一油相型のエマルション、単一気相型のエマルション、ベシクル、リポソーム、逆ベシクル、複数内水相型のエマルション、複数内油相型のダブルエマルション、複数内気相型のエマルションを自動的に製造することができる。
【0117】
更に、第2の実施の形態に係る製造方法においては、穏和な製造条件において複合型微粒子20を製造することができ、高活性の生理活性物質を効率よく内部に封入した複合体微粒子20を製造することができる。
【0118】
更に、第2の実施の形態に係る製造方法においては、内膜と外膜の物質が異なる複合型微粒子20を製造することができる。
【0119】
そして、第2の実施の形態に係る製造装置1においては、上記製造方法を簡易に実現することができる。
【0120】
(実施例)
以下、第2の実施の形態に係る実施例について説明する。
【0121】
[実施例1]
複合型微粒子20としてブルーインク内包W/Os/Wエマルションの製造を前述の図22(a)に示す流路3と同様な構造を用いて行った。具体的に、20度の角度においてカットしたステンレス管(内径=130μm、外径=470μm)を内輪側流路302とし、ポリプロピレン製のマイクロチューブ16を外輪側流路301とする2重流路構造を有する流路3を用いた。
【0122】
乳化剤14としてソルビタンモノオレエート(Span80)、第2の流体12としてn−ヘキサデカンを用いた。Span80の濃度は0.1MになるようにSpan80/n−ヘキサデカン溶液を調製し、乳化剤14を含む第2の流体12とした。第3の流体13として薄い水溶性のブルーインクを使用した。また、第1の流体(連続相)11として純水を用いた。
【0123】
内輪側流路302が外輪側流路301から分岐され、テフロン(登録商標)ヒートチューブを用いてガスクロマトグラフィー用(10μl、HAMILTON製、84853型)のマイクロシリンジの針に接続して、更にマイクロシリンジをリピーティングデスペンサーに固定して使用する。外輪側流路301もガスクロマトグラフィー用(10μl、HAMILTON製、84853型)のマイクロシリンジの針に接続した。
【0124】
ブルーインク内包W/Os/Wエマルションの製造については、まず外輪側流路301において乳化剤14を含む第2の流体12として0.1M Span80/n−ヘキサデカン溶液を押し出し、導入口311にこの溶液を付着させる。次に、内輪側流路302において第3の流体13である薄いブルーインクの水溶液を押し出し、第2の流体12内に注入する。第2の流体12への第3の流体13の注入に伴い、第2の流体12が第3の流体13と第1の流体11との間の境界膜として、図24(a)に示すような半球状の中間体10を形成した。更に、第3の流体13を注入し続けると、中間体10は微小球状へと膨張してゆき、脱離期の大きさになると、導出口31から離れ、図24(b)に示すように外輪側流路301外表面に付着した薄いブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションが形成された。
【0125】
なお、外輪側流路301より導出口311の附近へ第2の流体12を継続的に補充せずに、内輪側流路302より第3の流体13である薄いブルーインクを継続的に排出した場合には、図24(b)及び図24(c)に示すように、ブルーインク内包のエマルションの形成を観察することができず、ブルーインクの流出が観察された。
【0126】
[実施例2]
図25(a)及び図25(b)に示すように、第3の流体13として濃いブルーインクを用い、又内輪側流路302の導出口312は外輪側流路301の導出口311よりも伸長させた。その他の製造条件は第2の実施の形態の実施例1と同様である。
【0127】
この実施例1と同様に、中間体10を作製することができた。また、実施例1と同様に、更に第3の流体13を注入し続けると、中間体10は微小球状へと膨張してゆき、脱離期の大きさになると、導出口31から離れ、外輪側流路301外表面に付着した濃いブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションを作製することができた。図25(b)にはこの作製方法により連続生成した2個の濃いブルーインク内包の単一水相型のW/Os/Wエマルションを示した。
【0128】
[実施例3]
前述の図22(a)に示す流路3と同様な構造を有する流路3を用い、複合型微粒子20としてブルーインク内包V/Os/Wエマルションの製造を行った。具体的には、90度の角度においてカットされたステンレス管(内径=130μm、外径=470μm)を内輪側流路302とし、シリコンチューブを外輪側流路301とする2重流路構造を有する流路を用いた。
【0129】
乳化剤14を含む第2の流体12としてデカン中モノオレインを5wt%含む溶液を用いた。また、第3の流体13として空気を用いた。その他の製造条件は図22(a)に示す実施例1と同様である。この条件下において、図26に示すように、粒径のばらつきの小さい単一気相型のV/Os/Wエマルションの複合型微粒子20を作製することができた。
【0130】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複合型微粒子の製造装置の概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る複合型微粒子の生成過程を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る複合型微粒子の全自動製造装置の構成図である。
【図4】第1の実施の形態に係るW/O/Wエマルションの複合型微粒子の一段階乳化法を説明する模式図である。
【図5】第1の実施の形態に係るO/W/Oエマルションの複合型微粒子の一段階乳化法を説明する模式図である。
【図6】第1の実施の形態の変形例に係る複合型微粒子を製造する製造装置の概略図である。
【図7】第1の実施の形態の第2の変形例に係る複合型微粒子の製造装置の要部概略構成図である。
【図8】第1の実施の形態の第3の変形例に係る複合型微粒子の製造装置の要部概略構成図である。
【図9】(a)〜(e)は第1の実施の形態に係る実施例1を説明するための図である。
【図10】(a)〜(c)は第1の実施の形態に係る実施例2を説明するための図である。
【図11】(a)〜(d)は第1の実施の形態に係る実施例3を説明するための図である。
【図12】(a)及び(b)は第1の実施の形態に係る実施例4を説明するための図である。
【図13】(a)〜(c)は第1の実施の形態に係る実施例4を説明するための図である。
【図14】(a)及び(b)は第1の実施の形態に係る比較例2を説明するための図である。
【図15】第1の実施の形態に係る実施例5を説明するための図である。
【図16】(a)〜(c)は第1の実施の形態に係る実施例6を説明するための図である。
【図17】(a)〜(c)は第1の実施の形態に係る実施例7を説明するための図である。
【図18】(a)及び(b)は第1の実施の形態に係る実施例8を説明するための図である。
【図19】(a)及び(b)は本発明の第2の実施の形態に係る複合型微粒子の製造装置に備えた流路の拡大構成図であり、(c)〜(e)は流路の第1の変形例を示す拡大構成図である。
【図20】(a)〜(f)は第2の実施の形態の第2の変形例に係る流路の導出口の形状を示す図である。
【図21】(a)〜(d)は第2の実施の形態の第3の変形例に係る流路の導出口の形状を示す図である。
【図22】(a)及び(b)は第2の実施の形態の第4の変形例に係る流路の拡大構成図である。
【図23】(a)及び(b)は前述の第4の変形例に係る別の流路の拡大構成図である。
【図24】(a)〜(c)は第2の実施の形態に係る実施例1を説明するための図である。
【図25】(a)及び(b)は第2の実施の形態に係る実施例2を説明するための図である。
【図26】第2の実施の形態に係る実施例3を説明するための図である。
【符号の説明】
【0132】
1 複合型微粒子の製造装置
2 連続相供給部
3 流路
31、311、312 導出口
32 第1の分岐流路
33 第2の分岐流路
301 外輪側流路
302 内輪側流路
313 分岐流路
4 乳化剤14を含む第2の流体供給部
4A〜4C、5A〜5C 供給部
5 第3の流体供給部
6 回収部
7 ペンシルポンプ
10 (複合型微粒子の)中間体
11 第1の流体(連続相)
12 乳化剤14を含む第2の流体
13 第3の流体
14 乳化剤
20 複合型微粒子
44 供給制御弁
45 ON/OFF弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体に導出口が接する流路内に前記第1の流体に比べて前記導出口との間の親和力が強い第2の流体を供給する工程と、
前記流路内に前記第2の流体に比べて前記導出口との間の親和力が弱い第3の流体を供給する工程と、
前記流路内において前記導出口に前記親和力により前記第2の流体を保持しながら、前記第3の流体を注入し、前記第2の流体内に前記第3の流体を内包させる複合型微粒子を形成する工程とを備えたことを特徴とする複合型微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第2の流体を供給する工程は乳化剤を含む第2の流体を供給する工程であり、前記第2の流体を供給する工程及び前記第3の流体を供給する工程は、前記流路に前記第2の流体のセグメント、前記第3の流体のセグメントのそれぞれを交互に供給する工程であることを特徴とする請求項1に記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記流路内に前記第2の流体を供給する工程は前記流路内の外輪側に前記第2の流体を供給する工程であり、前記第3の流体を供給する工程は前記流路内の内輪側に前記第3の流体を供給する工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記流路内に前記第2の流体を供給する工程は前記流路内の内輪側に前記第2の流体を供給する工程であり、前記第3の流体を供給する工程は前記流路内の外輪側に前記第3の流体を供給する工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記第1の流体は親水性の流体であり、前記第2の流体を供給する工程は一種類以上の乳化剤を含む親油性の第2の流体を供給する工程であり、前記第3の流体を供給する工程は親水性の第3の流体を供給する工程であり、前記複合型微粒子を形成する工程は単一相型エマルション(単一水相型のW/O/Wエマルション)、又は複数相型エマルション(複数内水相型W/O/Wエマルション)を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記複合型微粒子を形成する工程はベシクル又はリポソームを形成する工程であることを特徴とする請求項5に記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記第1の流体は親油性の流体であり、前記第2の流体を供給する工程は一種類以上の乳化剤を含む親水性の第2の流体を供給する工程であり、前記第3の流体を供給する工程は親油性の第3の流体を供給する工程であり、前記複合型微粒子を形成する工程は単一相型エマルション(単一油相型のO/W/Oエマルション)、又は複数相型エマルション(複数内油相型のO/W/Oエマルション)を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記複合型微粒子を形成する工程は逆ベシクルを形成する工程であることを特徴とする請求項7に記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記第1の流体は親水性の流体であり、前記第2の流体を供給する工程は一種類以上の乳化剤を含む親油性の第2の流体を供給する工程であり、前記第3の流体を供給する工程は気体を供給する工程であり、前記複合型微粒子を形成する工程は単一相型エマルション(単一気相型のV/O/Wエマルション)、又は複数相型エマルション(複数内気相型のV/O/Wエマルション)を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記第1の流体は親油性の流体であり、前記第2の流体を供給する工程は一種類以上の乳化剤を含む親水性の第2の流体を供給する工程であり、前記第3の流体を供給する工程は気体を供給する工程であり、前記複合型微粒子を形成する工程は単一相型エマルション(単一気相型のV/W/Oエマルション)、又は複数相型エマルション(複数内気相型のV/W/Oエマルション)を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項11】
前記複合型微粒子を形成する工程は、前記流路内の前記導出口に保持される前記第2の流体と前記第3の流体との間の体積比若しくは流量を一定に調整し、前記第2の流体内に前記第3の流体を内包させ、複合型微粒子を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記第1の流体は流動相若しくは静止相のいずれかの連続相であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記第2の流体のセグメント、前記第3の流体のセグメントのそれぞれを交互に供給する工程は、前記第3の流体のセグメントの少なくとも一部に少なくとも1種類以上の物質を含有させて前記第2の流体のセグメント、前記第3の流体のセグメントのそれぞれを交互に供給する工程であり、前記複合型微粒子を形成する工程は、前記複合型微粒子の少なくとも一部に少なくとも1種類以上の物質を内包させる工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記第2の流体のセグメント、前記第3の流体のセグメントのそれぞれを交互に供給する工程は、前記第2の流体のセグメントの少なくとも一部に前記第3の流体と異なる少なくとも1種類以上の物質を含有させて前記第2の流体のセグメント、前記第3の流体のセグメントのそれぞれを交互に供給する工程であり、前記複合型微粒子を形成する工程は、前記複合型微粒子の少なくとも一部に少なくとも1種類以上の物質を存在させる工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の複合型微粒子の製造方法。
【請求項15】
前記物質は下記(1)〜(27)であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の複合型微粒子の製造方法。
(1)リガンド
(2)電子共役系の分子
(3)シクロデキストリン
(4)蛍光脂質を含むミセル
(5)糖脂質を含むミセル
(6)タンパク質を含むミセル
(7)蛍光脂質を含む逆ミセル
(8)糖脂質を含む逆ミセル
(9)タンパク質を含む逆ミセル
(10)香り物質、匂い物質
(11)薬物
(12)薬品
(13)色素
(14)蛍光剤
(15)酸化還元剤
(16)ペプチド
(17)ポリペプチド
(18)核酸
(19)核酸関連物質
(20)タンパク質
(21)金属微粒子、微粒子
(22)デンドリマー
(23)カーボンナノホーン
(24)油溶性の薬物を含むミセル
(25)ウォータープールに水溶性の薬物やタンパク質を含む逆ミセル
(26)細胞
(27)フラーレン
【請求項16】
第1の流体を移動相又は静止相として供給する連続相供給部と、
前記連続相供給部に導出口が連接される流路と、
前記流路内に第2の流体を供給する第2の流体供給部と、
前記流路内に第3の流体を供給する第3の流体供給部と、
を備えたことを特徴とする複合型微粒子の製造装置。
【請求項17】
前記流路内に前記第2の流体、前記第3の流体のそれぞれを交互に供給する流体切替手段を更に備えたことを特徴とする請求項16に記載の複合型微粒子の製造装置。
【請求項18】
前記流路は、前記第2の流体を前記流路内から前記導出口まで導く外輪側流路と、この外輪側流路内に配置され、前記第3の流体を前記流路内から前記導出口まで導く内輪側流路とを備えていることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の複合型微粒子の製造装置。
【請求項19】
前記流路は、前記第3の流体を前記流路内から前記導出口まで導く外輪側流路と、この外輪側流路内に配置され、前記第2の流体を前記流路内から前記導出口まで導く内輪側流路とを備えていることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の複合型微粒子の製造装置。
【請求項20】
前記内輪側流路の前記導出口は、前記外輪側流路の導出口に対して前記連続相供給部側に突出していることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の複合型微粒子の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2006−272196(P2006−272196A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96550(P2005−96550)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】