説明

複合床版橋

【課題】桁高を小さくするとともに桁幅を大きくすることができ、さらには、幅員方向に並設したときに緊張材で横締めする箇所を少なくすることができる複合桁を用いた複合床版橋を提供することを課題とする。
【解決手段】複合床版橋であって、床版21の幅員方向の両端部を支持している一対の支持部22,22が形成され、橋軸方向の断面形状が門形のコンクリート部材20と、各支持部22,22の下面に取り付けられた鋼板30(鋼材)と、から構成された複合構造の複合桁10を用いていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート部材と鋼材とを組み合わせた複合構造の複合桁、及び複合桁を用いた複合床版橋に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製の主桁を用いた橋梁としては、図8(a)に示すように、中空断面のプレキャスト部材によってコンクリート製の主桁210を形成し、複数の主桁210・・・を幅員方向に並設した橋梁200がある(例えば、特許文献1参照)。
このようなコンクリート製の主桁210を用いた橋梁200では、並設した各主桁210・・・をPC鋼線によって横締めしている。図8(a)に示すような中空断面の主桁210では、幅員方向の断面力(曲げモーメントなど)に対する有効断面(床版厚)を、一般的なプレストレスコンクリート製の桁橋の床版と比較して大きくすることができるため、各主桁210・・・を横締めする箇所を少なくすることができ、橋梁200を架設するときの施工コストを低減することができる。
【0003】
なお、交通路や河川など支間長が小さい施工現場では、桁下空間に制約があるため、主桁210の桁高を小さくすることが望まれている。
また、幅員方向に並設する主桁210の個数が少ない方が、橋梁200の製作コストを低減することができるとともに、橋梁200を架設するときの作業工数を少なくすることができる。そのため、一体の主桁210の桁幅を大きくして、少ない個数の主桁210によって、設定された幅員を確保することが望ましい。
【0004】
前記したコンクリート製の主桁210を支間に架設した場合は、主桁210の上部には橋軸方向の圧縮力が作用し、主桁210の下部には橋軸方向の引張力が作用する。コンクリートは引張力に対する耐力が小さいため、従来のコンクリート製の主桁210では、主桁210の下部に対して多数のPC鋼線を橋軸方向に貫通させてプレストレスを付与することで、主桁210の下部の引張強度を高めている。したがって、従来のコンクリート製の主桁210では、下部に多数のPC鋼線を設けるために、主桁210の下部にコンクリート断面を設ける必要があり、主桁210の桁高を小さくすることができない。
なお、主桁210の桁高を小さくする場合には、圧縮力が作用する主桁210の上部に鋼材を設けるなどの対応が必要となり、橋梁200の製作コストが高くなってしまう(例えば、特許文献2参照)。
また、従来のコンクリート製の主桁210では重量が大きく、主桁210をトラッククレーンなどの揚重機械で吊り上げ可能な重量にするためには、主桁210の桁幅を大きくすることができない。
【0005】
したがって、従来のコンクリート製の主桁210では、桁高が大きく、桁下空間に制約がある施工現場に適用するためには製作コストが高くなるとともに、主桁210の桁幅を大きくすることができないため、設定された幅員を確保するために必要な主桁210の個数が多くなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、図8(b)に示すように、床版121の幅方向の中央部を支持している支持部122が形成されたコンクリート部材120と、支持部122の下面に取り付けられた鋼材130とによって複合構造の複合桁110を構成し、複数の複合桁110・・・を幅員方向に並設した複合床版橋100がある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
この複合床版橋100では、支持部122の下面に取り付けられた鋼材130によって、複合桁110の下部の引張強度を確保しているため、複合桁110の軸断面の高さを小さくすることができる。また、従来のコンクリート製の主桁210(図8(a)参照)と比較して、複合桁110の重量が小さくなるため、従来のコンクリート製の主桁210よりも桁幅を大きくすることができる。これにより、設定された幅員を確保するために必要な複合桁110の個数を少なくすることができる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−169731号公報
【特許文献2】特開平5−340031号公報
【特許文献3】特開2007−254974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記した従来の複合床版橋100では、各複合桁110・・・の床版121の側端部が支持されていないため、各複合桁110・・・を横締めするPC鋼線127を橋軸方向に狭い間隔で多数設けることで、幅員方向の曲げモーメントに抵抗する必要があり、複合床版橋100の施工コストが高くなってしまうという問題がある。
【0010】
本発明では、前記した問題を解決し、桁高を小さくするとともに桁幅を大きくすることができ、さらには、幅員方向に並設したときに緊張材で横締めする箇所を少なくすることができる複合桁、及びその複合桁を用いた複合床版橋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の複合床版橋では、床版の幅方向の両端部を支持している一対の支持部が形成され、橋軸方向の断面形状が門形のコンクリート部材と、前記各支持部の下面に取り付けられた鋼材と、から構成された複合構造の複合桁を用いていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の複合桁は、床版の幅方向の両端部を支持している一対の支持部が形成され、橋軸方向の断面形状が門形のコンクリート部材と、前記各支持部の下面に取り付けられた鋼材と、から構成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明では、支持部の下面に取り付けられた鋼材によって、複合桁の下部の引張強度を確保しており、複合桁の下部の断面を大きくする必要がなくなるため、複合桁の軸断面の高さを小さくすることができる。
また、本発明では、複合桁の重量が小さくなるため、従来のコンクリート製の主桁と同等の重量で、従来のコンクリート製の主桁よりも桁幅を大きくすることができる。これにより、設定された幅員を確保するために必要な複合桁の個数を少なくすることができるため、複合床版橋の製作コストを低減するとともに、複合床版橋を架設するときの作業工数を少なくすることができる。
また、複合桁の橋軸方向の断面形状が門形であり、床版の幅方向の両端部が支持されているとともに、複数の複合桁を幅員方向に並設するときには、各複合桁を接合した状態における接合位置での幅員方向の有効断面を、従来の複合桁の有効断面と比べて大きく採ることができるため、各複合桁を緊張材によって横締めする箇所を少なくすることができ、複合床版橋の施工コストを低減することができる。
また、本発明では、複合桁を搬送車両の荷台に積載したときに、幅方向に配置された一対の支持部によって床版が支持されるため、複合桁を搬送するときの安定性を高めることができる。
【0014】
前記した複合床版橋において、複数の前記複合桁が幅員方向に並設されているように構成することができる。
【0015】
前記した構成では、複合桁の橋軸方向の断面形状が門形であり、床版の幅方向の両端部が支持されているとともに、各複合桁を接合した状態における接合位置での幅員方向の有効断面を、従来の複合桁の有効断面と比べて大きく採ることができるため、各複合桁を緊張材によって横締めする箇所を少なくすることができ、複合床版橋の施工コストを低減することができる。
【0016】
前記した複合床版橋において、前記鋼材は平板状の部材であり、前記支持部の下面に前記鋼材の上面が取り付けられているように構成することができる。
【0017】
この構成では、平板状の部材を用いることで、鋼材の製造コストを低減することができるとともに、鋼材同士を溶接などで接合する必要がないため、鋼材の疲労耐久性を高めることができる。
【0018】
前記した複合床版橋において、前記鋼材の上面には定着部材が突設されており、前記定着部材が前記支持部に埋め込まれることで、前記鋼材が前記支持部の下面に取り付けられているように構成することができる。
【0019】
この構成では、定着部材とコンクリートとの定着力によって、鋼材を支持部の下面に取り付けている。そのため、鋼材をコンクリート部材に対して簡単に取り付けることができるとともに、コンクリート部材と鋼材とを強固に接合することができる。
【0020】
前記した複合床版橋において、前記複合桁はプレキャスト部材によって構成することができる。
この構成では、複合桁が工場などで予め製造されるため、施工現場における施工期間を短くすることができる。また、工場などで型枠内にコンクリートを打設してコンクリート部材を形成するため、複合桁の寸法精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複合桁の下部の断面を大きくする必要がなくなるため、複合桁の軸断面の高さを小さくすることができる。
また、従来のコンクリート製の主桁と同等の重量で、従来のコンクリート製の主桁よりも桁幅を大きくすることができ、設定された幅員を確保するために必要な複合桁の個数を少なくすることができるため、複合床版橋の製作コストを低減するとともに、複合床版橋を架設するときの作業工数を少なくすることができる。
また、複数の複合桁を幅員方向に並設するときには、各複合桁を接合した状態における接合位置での幅員方向の有効断面を、従来の複合桁の有効断面と比べて大きく採ることができるため、各複合桁を緊張材によって横締めする箇所を少なくすることができ、複合床版橋の施工コストを低減することができる。
また、幅方向に配置された一対の支持部によって床版が支持されるため、複合桁を搬送するときの安定性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、図7に示すように、河川の両岸に形成された支承部2,2の間に架設される複合床版橋1であって、支間長が16m以下の小支間で、幅員が約10mの複合床版橋1を例として説明する。
【0023】
複合桁10は、工場などで製造されるプレキャスト部材であり、図2(a)に示すように、鉄筋コンクリート構造のコンクリート部材20と、平板状の鋼板30とを組み合わせた複合構造となっている。本実施形態では、図5に示すように、十一体の複合桁10・・・を幅員方向に並設することで、設定された幅員を確保している。
【0024】
コンクリート部材20は、図2(a)及び(b)に示すように、橋軸方向に所定間隔を離した複数の位置には、橋軸方向の断面形状が矩形に形成された横締め部20a・・・が形成され(図3(b)参照)、各横締め部20a,20aの間には、橋軸方向の断面形状が門形に形成された複合部20bが形成されている(図3(a)参照)。なお、横締め部20aを設ける位置や間隔は限定されるものではないが、本実施形態のように支間長が16m程度であれば、橋軸方向の両端部と、橋軸方向の両端部から4m程度の間隔の位置との四箇所に形成されていればよい。
【0025】
コンクリート部材20の複合部20bには、図1(a)及び(b)に示すように、水平な板状の床版21と、この床版21の幅方向の両端部をそれぞれ支持している垂直な板状の支持部22,22とが形成されており、橋軸方向の断面形状が門形となっている。複合部20bは、各支持部22,22の下面にそれぞれ鋼板30,30が取り付けられることで複合構造を構成している。
【0026】
コンクリート部材20の横締め部20aには、図2(a)及び(b)に示すように、一方の側面から他方の側面に亘って幅員方向に貫通した貫通孔23が四箇所に形成されている。各貫通孔23・・・は、横締め部20aの略中央を幅方向に貫通しており、側面視で上下左右の四箇所に配置されている。
【0027】
また、コンクリート部材20の幅方向の両側面には、図3(a)及び(b)に示すように、幅方向の内側に向けてオフセットされた側面溝部24,24が形成されている。この側面溝部24は、コンクリート部材20の上面から下面の近傍まで高さ方向に形成されており、図2(b)に示すように、コンクリート部材20の橋軸方向の一端部から他端部に亘って形成されている。
【0028】
鋼板30は、図1(b)に示すように、平板状の鋼材であり、二枚の鋼板30,30の上面がコンクリート部材20の各支持部22,22の下面にそれぞれ取り付けられている。この鋼板30は、図2(a)に示すように、コンクリート部材20の橋軸方向の両端部に形成された各横締め部20a,20aの間に取り付けられており、支持部22の幅と略同じ幅の一枚の板部材によって構成されている。そして、鋼板30を支持部22の下面に取り付けた状態では、鋼板30の下面と橋軸方向の両端部の各横締め部20a,20aの下面とが面一になっている。
【0029】
鋼板30の上面には、図2(a)に示すように、複数のスタッドジベル31・・・が突設されている。スタッドジベル31は、図3(a)に示すように、上端部が拡径された棒状部材であり、コンクリート部材20の支持部22の下端部に埋め込まれたときに、支持部22のコンクリートに定着する定着部材である。したがって、鋼板30は、複数のスタッドジベル31・・・と支持部22のコンクリートとの定着力によって、支持部22の下面に取り付けられており、支持部22の下面に鋼板30が貼り付けられた状態となっている。
【0030】
なお、鋼板30は外部に露出しているため、耐候性鋼材を用いたり、鋼板30の表面に防錆処理を施したりして、鋼板30に錆が発生するのを防ぐことで、鋼板30のメンテナンスを簡単にしている。鋼板30の防錆処理としては、防錆塗料を表面に塗布する方法や、コーティング材を表面に溶射する方法、又は表面をめっき処理する方法がある。
【0031】
次に、前記した複合桁10を用いた複合床版橋1を、図7に示す河川の両岸に形成された支承部2,2の間に架設するときの手順について説明する。
まず、図2(a)及び(b)に示す複合桁10を工場で製造し、トラックなどの搬送車両の荷台に積載して施工現場まで搬送する。
複合桁10を工場で製造するときには、鉄筋が配筋された型枠内に鋼板30を配置し、鋼板30の上面に突設された各スタッドジベル31・・・が、支持部22の下端部に埋め込まれるように、型枠内にコンクリートを打設してコンクリート部材20を形成することで、支持部22の下面に鋼板30が取り付けられる。このように、複合桁10を工場などで予め製造することで、施工現場における施工期間を短くすることができる。また、工場などで型枠内にコンクリートを打設してコンクリート部材20を形成するため、複合桁10の寸法精度を高めることができる。
【0032】
施工現場に搬入された複合桁10をトラッククレーンなどの揚重機械によって吊り上げ、複合桁10の橋軸方向の両端部を図7に示す各支承部2,2に取り付けることで、各支承部2,2の間に複合桁10を架設する。
続いて、他の複合桁10を揚重機械によって吊り上げ、図4(a)及び(b)に示すように、二体の複合桁10,10を幅員方向に並設する。隣り合う各複合桁10,10の側面に形成された側面溝部24,24が連結されることで、各複合桁10,10の間には凹状の充填用溝部25が形成される。また、充填用溝部25には、連通管23aを配置することで、隣り合う各複合桁10,10の各貫通孔23,23を連通させている。
なお、本実施形態では、隣り合う各複合桁10,10の下端部の間に隙間が形成されている。この隙間は複合桁10の製作誤差や設置誤差を考慮して形成されたものであり、隣り合う各複合桁10,10の間に隙間を形成しなくてもよい。
【0033】
前記した二体の複合桁10,10の架設手順と同様にして、順次に複合桁10を幅員方向に並設することで、図6(a)に示すように、幅員方向に十一体の複合桁10・・・を並設する。
また、隣り合う各複合桁10,10の間に形成された充填用溝部25には、コンクリート26を充填材として充填する。
【0034】
続いて、図5及び図6(b)に示すように、並設された各複合桁10・・・の横締め部20aに形成された各貫通孔23・・・にそれぞれPC鋼線27・・・を貫通させ、幅員方向の両端に配置された各複合桁10,10の側面にPC鋼線27の両端部を定着させる。これにより、各複合桁10・・・の各横締め部20a・・・がPC鋼線27によって横締めされる。
【0035】
さらに、図6(a)及び(b)に示すように、各複合桁10・・・の上面にアスファルト舗装40を施工するとともに、幅員方向の両端に配置された各複合桁10,10に地覆51,51及び高欄50,50を設けることで、図7に示すように、河川の両岸に設けられた支承部2,2の間に架設された複合床版橋1を完成させる。
【0036】
以上のような構成の複合床版橋1及び複合桁10では、以下のような作用効果を奏する。
複合桁10では、図3(a)に示すように、各支持部22,22の下面にそれぞれ取り付けられた鋼板30,30によって、複合桁10の下部の引張強度を確保しており、複合桁10の下部の断面を大きくする必要がないため、複合桁10の軸断面の高さを小さくすることができる。
【0037】
また、複合桁10の重量が小さくなるため、従来のコンクリート製の主桁210(図8(a)参照)と同等の重量で、従来のコンクリート製の主桁よりも桁幅を大きくすることができる。これにより、設定された幅員を確保するために必要な複合桁10の個数を少なくすることができるため、複合床版橋1の製作コストを低減するとともに、複合床版橋1を架設するときの作業工数を少なくすることができる。
【0038】
また、図6(a)に示すように、複合桁10の橋軸方向の断面形状が門形であり、床版21の幅方向の両端部が支持されているとともに、複数の複合桁10・・・を幅員方向に並設したときに、各複合桁10・・・を接合した状態における接合位置での幅員方向の有効断面を、従来の複合桁110(図8(b)参照)の有効断面と比べて大きく採ることができるため、各複合桁10・・・を横締めする箇所を少なくすることができ、複合床版橋1の施工コストを低減することができる。
【0039】
また、複合桁10を搬送車両の荷台に積載したときには、図3(a)に示すように、幅員方向に配置された一対の支持部22,22によって床版21が支持されるため、複合桁10を搬送するときの安定性を高めることができる。
【0040】
また、コンクリート部材20に取り付ける鋼材として平板状の鋼板30を用いることで、鋼材の製造コストを低減することができるとともに、鋼材同士を溶接などで接合する必要がないため、鋼材の疲労耐久性を高めることができる。
【0041】
また、鋼板30の上面に突設された複数のスタッドジベル31・・・と、コンクリート部材20の支持部22のコンクリートとの定着力によって、鋼板30を支持部22の下面に取り付けている。そのため、鋼板30をコンクリート部材20に対して簡単に取り付けることができるとともに、コンクリート部材20と鋼板30とを強固に接合することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
【0043】
例えば、本実施形態では、図3(a)に示すように、コンクリート部材20の支持部22の下面に平板状の鋼板30を取り付けているが、支持部22の下面に取り付ける鋼材の形状は限定されるものではなく、溝形鋼や山形鋼など各種形状の鋼材を用いることもできる。
【0044】
また、本実施形態では、鋼板30の上面に突設されたスタッドジベル31と、コンクリート部材20の支持部22のコンクリートとの定着力によって、鋼板30を支持部22の下面に取り付けているが、鋼板30の上面に突設される定着部材の形状や個数は限定されるものではなく、ボルトや鉄筋などの棒状部材や、垂直な板状部材を定着部材として鋼板30の上面に突設してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、図6(b)に示すように、各複合桁10・・・をPC鋼線27によって横締めしているが、各複合桁10・・・を横締めするための緊張材の構成は限定されるものではない。
【0046】
また、本実施形態では、図7に示すように、複合床版橋1に複数の横締め部20a・・・を設けているが、横締め部20aを設ける位置や個数は限定されるものではなく、複合床版橋1の橋軸方向の長さや幅員などの設計条件に基づいて設定することができる
【0047】
また、本実施形態では、図4(a)に示すように、隣り合う各複合桁10,10の間に充填用溝部25を設け、この充填用溝部25にコンクリート26を充填しているが、隣り合う各複合桁10,10の間に充填される充填材は限定されるものではなく、モルタルや樹脂材などの各種充填材を用いることができる。
さらに、本実施形態では、隣り合う各複合桁10,10の間に隙間が形成されているが、隣り合う各複合桁10,10の側面を密着させてもよい。この場合には、一方の複合桁10の側面を型枠として利用するマッチキャスト方法によって他方の複合桁10の側面を形成することで、各複合桁10,10の密着性を高めることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態の複合桁を示した図で、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
【図2】本実施形態の複合桁を示した図で、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図3】本実施形態の複合桁を示した図で、(a)は図2(b)のA−A断面図、(b)は図2(b)のB−B矢視図である。
【図4】本実施形態の複合桁を幅員方向に並設した状態を示した図で、(a)は二体の複合桁を接合した状態の断面図、(b)は二体の複合桁を接合した状態の平面図である。
【図5】本実施形態の複合床版橋の橋軸方向の端部を示した平面図である。
【図6】本実施形態の複合床版橋を示した図で、(a)は図5のC−C断面図、(b)は図5のD−D矢視図である。
【図7】本実施形態の複合床版橋を示した側面図である。
【図8】従来の橋梁及び複合床版橋を示した図で、(a)はコンクリート製の主桁を用いた構成の断面図、(b)は複合構造の複合桁を用いた構成の断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 複合床版橋
2 支承部
10 複合桁
20 コンクリート部材
20a 横締め部
20b 複合部
21 床版
22 支持部
25 充填用溝部
26 コンクリート
27 PC鋼線
30 鋼板(鋼材)
31 スタッドジベル(定着部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床版の幅方向の両端部を支持している一対の支持部が形成され、橋軸方向の断面形状が門形のコンクリート部材と、
前記各支持部の下面に取り付けられた鋼材と、から構成された複合構造の複合桁を用いていることを特徴とする複合床版橋。
【請求項2】
複数の前記複合桁が幅員方向に並設されていることを特徴とする請求項1に記載の複合床版橋。
【請求項3】
前記鋼材は平板状の部材であり、前記支持部の下面に前記鋼材の上面が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合床版橋。
【請求項4】
前記鋼材の上面には複数の定着部材が突設されており、前記各定着部材が前記支持部に埋め込まれることで、前記鋼材が前記支持部の下面に取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の複合床版橋。
【請求項5】
前記複合桁は、プレキャスト部材であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合床版橋。
【請求項6】
床版の幅方向の両端部を支持している一対の支持部が形成され、橋軸方向の断面形状が門形のコンクリート部材と、
前記各支持部の下面に取り付けられた鋼材と、から構成されていることを特徴とする複合桁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−275375(P2009−275375A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125775(P2008−125775)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【特許番号】特許第4252617号(P4252617)
【特許公報発行日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【復代理人】
【識別番号】100139516
【弁理士】
【氏名又は名称】藤浪 一郎
【Fターム(参考)】