説明

複合操作型入力装置

【課題】部品点数の削減及び薄型化を図る。
【解決手段】中央に軸部11aが突設され、その回りに電極パターン23が形成されたベース11と、ベース11上に構成された複数の周辺スイッチ21と、周辺スイッチ21上に配置されたプッシャ14と、円筒部17aの開口部17kが軸部11aに挿通され、フランジ部17bがプッシャ14上に配置された回転体17と、回転体17に取り付けられて電極パターン23と摺接する接点部材15と、カバー18と、円筒部17aに取り付け一体化された操作部材20とよりなる。開口部17kは軸部11aと対向する部分の径が上方に向って拡径され、カバー18の平板部18aと対向するフランジ部17bの面は外周側に向って平板部18aから離れる傾斜面17mとされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は回転操作及び傾倒操作される操作部材を有し、回転操作と傾倒操作の両方を行える複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図18はこの種の複合操作型入力装置の従来例として、特許文献1に記載されている構成を示したものであり、図19はその分解斜視図を示したものである。
【0003】
この例では複合操作型入力装置は操作部材1と、操作体2と、回転体4と、押圧部材5と、ケース体を構成する上ケース体3、中ケース体6及び下ケース体7とを備えている。
【0004】
操作部材1は略円板状をなし、中央には押圧操作部8を配置できるように開口部1aが形成されている。操作部材1の周縁部には係合切り欠き1bが周方向に複数設けられている。
【0005】
操作体2は略円板状をなし、周縁部には操作部材1の係合切り欠き1bに係合する係合突起2aが周方向に複数設けられている。中央部には押圧操作部8を配置できるように開口部2bが形成されている。操作体2は回転体4を取り付けるための取り付け部2cと、操作部材1の傾倒操作に伴い傾倒する傾倒部2dとを有し、内周側の取り付け部2cと外周側の傾倒部2dは操作体2の周方向に延びる複数の弾性腕2eによって連結されている。
【0006】
回転体4は薄板状とされ、外周面には凹凸が形成されている。中央部には開口部4aが形成されている。上面には回転規制部4bとフック部4cが突出形成されており、これら回転規制部4bとフック部4cが操作体2の取り付け部2cに係合されて操作体2と回転体4とが一体化されるものとなっている。
【0007】
上ケース体3の中央部には回転体4のフック部4c及び回転規制部4bを操作体2側に露出させるための開口部3aが形成されている。さらに、複数の挿通孔3bが形成されており、押圧部材5の押圧体5aを挿通させて操作体2側に露出させ、操作体2の傾倒に伴って押圧体5aを押圧できるようにしている。
【0008】
中ケース体6の中央部には略円柱状の内周壁部6aが形成され、外周側には外周壁部6bが略円形状をなすように形成されている。内周壁部6aと外周壁部6bとの間には導電パターンが形成され、回転体4の下面に設けられる摺動子とで回転体4の回転を検出する回転検出手段が構成される。また、外周壁部6bには収納部6cが形成され、この収納部6cにはバネ体6dが納められる。球体6eはバネ体6dによって回転体4の外周面の凹凸に向って付勢される。内周壁部6aには周方向に4つの切り欠き6fが形成されており、この切り欠き6fには球体6gが配置される。球体6gは内周壁部6aと回転体4の内周面との間に配置されることになる。
【0009】
下ケース体7には押圧体5aと対向する位置に固定接点7a及び可動接点7bが設けられている。押圧体5aによって可動接点7bが押圧されることにより、可動接点7bと固定接点7aとが導通し、押圧体5aを押圧する操作体2の傾倒動作を検出することができる。
【0010】
押圧部材5は略円柱状の4つの押圧体5aを有し、4つの押圧体5aは連結部5bによりリング状に連結され、一体化されている。
【0011】
図18に示したように操作体2の上面には操作部材1が固定され、操作体2の取り付け部2cの下側には回転体4が取り付け固定される。操作部材1を一方向に傾倒操作すると、操作体2は外周側の傾倒部2dが傾倒し、押圧部材5を押圧して可動接点7bと固定接点7aとを導通させる。この際、弾性腕2eが上下方向に変形するため、取り付け部2cにおいては上下方向の変位はほとんどなく、従って回転体4は傾倒しない。即ち、この例では操作体2を取り付け部2cと傾倒部2dとを弾性腕2eで連結してなる構成としたことにより、操作部材1の傾倒操作を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−70684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、図18,19に示した従来の複合操作型入力装置では傾倒操作を可能とすべく、弾性腕2eを備えた操作体2を操作部材1の下に配置した構成となっており、そのような操作体2を必要とする分、薄型化が阻害されるものとなっており、また部品点数が多くなっていた。
【0014】
この発明の目的はこのような問題に鑑み、従来に比し、薄型化を図ることができ、かつ部品点数を削減することができるようにした複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明によれば、回転操作及び傾倒操作される操作部材を有する複合操作型入力装置は、中央に軸部が突設され、その軸部の回りの円周上に電極パターンが形成されたベースと、前記電極パターンの回りの円周上に配列されてベース上に構成された複数の周辺スイッチと、ベースの周壁部の内側に位置して各周辺スイッチ上に配置されたプッシャと、円筒部とその一端側に形成されたフランジ部とよりなり、円筒部の前記一端側の開口部が前記軸部に挿通され、フランジ部の外周側がプッシャ上に配置された回転体と、回転体に取り付けられて前記電極パターンと摺接する接点部材と、ベースの周壁部の上面側を蓋するカバーと、カバーの前記周壁部の上面側に位置する平板部の中央に設けられた開口に位置する前記円筒部に取り付け一体化された操作部材とよりなり、前記開口部は前記軸部の周面と対向する部分の径が前記一端と反対の他端側に向って徐々に拡径されており、フランジ部の前記平板部と対向する面は外周側に向って平板部から徐々に離れる傾斜面とされる。
【0016】
請求項2の発明によれば、回転操作及び傾倒操作される操作部材を有する複合操作型入力装置は、中央に軸部が突設され、その軸部の回りの円周上に電極パターンが形成されたベースと、前記電極パターンの回りの円周上に配列されてベース上に構成された複数の周辺スイッチと、ベースの周壁部の内側に位置して各周辺スイッチ上に配置されたプッシャと、円筒部とその一端側に形成されたフランジ部とよりなり、円筒部の前記一端側の開口部が前記軸部に挿通された回転体と、回転体に取り付けられて前記電極パターンと摺接する接点部材と、ベースの周壁部の上面側を蓋するカバーと、カバーの前記周壁部の上面側に位置する平板部の中央に設けられた開口に位置する前記円筒部に取り付け一体化された操作部材とよりなり、操作部材の外周部は前記平板部に形成された穴を挿通して外部に突出するプッシャの突起上に位置され、前記開口部は前記軸部の周面と対向する部分の径が前記一端と反対の他端側に向って徐々に拡径されており、フランジ部の前記平板部と対向する面は外周側に向って平板部から徐々に離れる傾斜面とされる。
【0017】
請求項3の発明によれば、回転操作及び傾倒操作される操作部材を有する複合操作型入力装置は、中央に軸部が突設され、その軸部の回りの円周上に電極パターンが形成されたベースと、前記電極パターンの回りの円周上に配列されてベース上に構成された複数の周辺スイッチと、ベースの周壁部の内側に位置して各周辺スイッチ上に配置されたプッシャと、円筒部とその一端側に形成されたフランジ部とよりなり、円筒部の前記一端側の開口部が前記軸部に挿通され、フランジ部の外周側がプッシャ上に配置された回転体と、回転体に取り付けられて前記電極パターンと摺接する接点部材と、ベースの周壁部の上面側を蓋するカバーと、カバーの前記周壁部の上面側に位置する平板部の中央に設けられた開口に位置する前記円筒部に取り付け一体化された操作部材とよりなり、操作部材の外周部は前記平板部に形成された穴を挿通して外部に突出するプッシャの突起上に位置され、前記開口部は前記軸部の周面と対向する部分の径が前記一端と反対の他端側に向って徐々に拡径されており、フランジ部の前記平板部と対向する面は外周側に向って前記平板部から徐々に離れる傾斜面とされる。
【0018】
請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記平板部と対向する前記傾斜面は内周側において平板部と当接している。
【0019】
請求項5の発明では請求項4の発明において、前記傾斜面と前記平板部との当接部は、操作部材の回転操作により回転する回転体の摺動部をなし、かつ操作部材の傾倒操作により傾倒する回転体の支点をなす。
【0020】
請求項6の発明では請求項1乃至5のいずれかの発明において、周辺スイッチはベースに形成された固定接点と、その固定接点上に配置されたドーム状をなす可動接点とよりなり、可動接点はその外形形状が略長円形とされる。
【0021】
請求項7の発明では請求項1乃至6のいずれかの発明において、フランジ部の外周面に凹凸が周方向に配列形成され、前記凹凸と係合するバネがベースに配置されている。
【0022】
請求項8の発明では請求項1乃至7のいずれかの発明において、操作部材の中央に開口が形成されて、その開口及びその開口と連通する前記円筒部の内側にボタンが配置され、前記軸部は円筒状とされて、その内側のベース上にボタンによって押下操作される中央スイッチが構成される。
【発明の効果】
【0023】
この発明では、ベースの軸部が挿通される回転体の開口部を上方に向って徐々に拡径し、さらに回転体のフランジ部の、カバーの平板部と対向する面を外周側に向って平板部から徐々に離れる傾斜面として、回転体の傾倒動作に必要なスペースを確保し、回転体の傾倒動作を可能としている。
【0024】
従って、この発明によれば、従来のように弾性腕を備えた操作体を用いることなく、回転体と一体化されている操作部材を傾倒操作することができ、操作体が不要となる分、部品点数の削減が可能となり、かつ薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】Aはこの発明による複合操作型入力装置の第1の実施例を示す平面図、Bはその斜視図。
【図2】図1に示した複合操作型入力装置の断面図。
【図3】図1に示した複合操作型入力装置を分解して上方から見た斜視図。
【図4】図1に示した複合操作型入力装置を分解して下方から見た斜視図。
【図5】図1に示した複合操作型入力装置の組み立てを説明するための図。
【図6】図1に示した複合操作型入力装置の動作を説明するための図。
【図7】図1に示した複合操作型入力装置の動作を説明するための図。
【図8】回転体の傾斜面有無に対するカバーの形状を説明するための図。
【図9】Aはこの発明による複合操作型入力装置の第2の実施例を示す断面図、Bはその動作を説明するための断面図。
【図10】図9に示した複合操作型入力装置を分解して上方から見た斜視図。
【図11】図9に示した複合操作型入力装置の組み立てを説明するための図。
【図12】図9に示した複合操作型入力装置の組み立てを説明するための図。
【図13】感触用バネの他の構成例を説明するための図。
【図14】この発明による複合操作型入力装置の第3の実施例におけるプッシャの形状を示す斜視図。
【図15】この発明による複合操作型入力装置の第3の実施例におけるベースの形状を示す斜視図。
【図16】この発明による複合操作型入力装置の第3の実施例の組み立てを説明するための図。
【図17】この発明による複合操作型入力装置の第3の実施例の組み立てを説明するための図。
【図18】複合操作型入力装置の従来構成例を示す断面図。
【図19】図18に示した複合操作型入力装置を分解して上方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0027】
図1はこの発明による複合操作型入力装置の第1の実施例の外観を示したものであり、図2はその断面構造を示したものである。また、図3及び4は各部に分解してそれぞれ上方及び下方より見た状態を示したものである。まず、図3及び4を参照して各部の構成について説明する。
【0028】
この例では複合操作型入力装置は、所定の電極パターン及び固定接点が形成されたベース11と、可動接点12と、押えシート13と、プッシャ14と、接点部材15と、感触用のバネ16と、回転体17と、カバー18と、ボタン19と、操作部材20とによって構成されている。
【0029】
ベース11は方形の角が大きく取られて八角形状をなすものとされ、中央には円筒状をなす軸部11aが突設されている。軸部11aの内周面には中心方向に突出する2つの突部11bが互いに対向して突出形成されている。ベース11はその周縁に周壁部11cを備えており、周壁部11cの外側面には係止爪11dが4箇所に突出形成されている。
【0030】
周壁部11cの内側面は軸部11aと同心の円筒面とされており、周壁部11cには周辺スイッチ配置用の4つの収容部11eが内側面から切り欠かれて円周上に90°間隔で形成されている。また、隣り合う収容部11e間の周壁部11cの一対の対向部には円弧状の溝11fが、その両端が収容部11eに開口して形成されている。溝11fの延伸方向中間部には溝幅が広げられてなる方形状の凹部11gがそれぞれ形成されている。さらに、周壁部11cの他の一対の対向部の一方にはバネ16を収容するための収容部11hが形成されており、収容部11hは切り欠き11iによりベース11の中央側に開口されている。
【0031】
収容部11eの底面は略長円形とされ、ベース11の内部底面11jより1段低くされており、またこの収容部11eと同様の形状を有する中央スイッチ配置用の段部11kが軸部11a内のベース11の内部底面11jに1段低くされて形成されている。収容部11eには周辺スイッチ用の固定接点21a,21bが形成されており、段部11kには中央スイッチ用の固定接点22a,22bが形成されている。
【0032】
一方、軸部11aの回りの円周上には電極パターンが形成され、この電極パターンによってロータリエンコーダ用接点23が形成されている。このロータリエンコーダ用接点23が位置する環状部もベース11の内部底面11jに対して1段低くされている。
【0033】
固定接点21a,21b,22a,22b及びロータリエンコーダ用接点23はこの例では金属板がインサート成形されて形成されており、これら固定接点21a,21b,22a,22b及びロータリエンコーダ用接点23から導出された端子がベース11の周壁部11c及び底面に位置されている。周壁部11cの各辺の中央に位置する端子は周辺スイッチ用の端子24aとされ、3つの端子が位置する2辺のうち、一方の辺の両端の端子はロータリエンコーダ用の端子24bとされる。また、他方の辺の両端の端子は中央スイッチ用の端子24c及びGND端子24dとされる。
【0034】
金属ドームよりなる可動接点12は、この例ではその外形形状が収容部11e及び段部11kの形状と対応する略長円形とされている。
【0035】
プッシャ14はこの例では2つのプッシャ14が細い連結部14aによって連結された構成とされ、円弧状に延伸された連結部14aの中間には係合ブロック14bが形成されている。プッシャ14はブロック状とされ、連結部14aの円弧の中心に向く側の上面には段部14cが1段低くされて形成されている。また、下面には突起14dが形成されている。
【0036】
接点部材15はリング形状とされ、その周方向3箇所には摺動子15aが切り起こされて形成されている。また、穴15bが3箇所に形成されている。
【0037】
回転体17は円筒部17aと、その一端側に形成されたフランジ部17bとよりなり、フランジ部17bの外周面には凹凸17cが周方向に配列されて形成されている。円筒部17aの上端側には周方向3箇所に係合部17dが形成されており、さらにこれら係合部17d間に位置して周方向3箇所に係止部17eが形成されている。係合部17dは円筒部17aの内周面側が切り欠かれて形成されており、係止部17eは円筒部17aの外周面側が切り欠かれて形成されている。係止部17eにはその高さ方向中間に段部17fが形成されている。
【0038】
回転体17の下面には周縁部を除いて浅い段部17gが円環状に形成されている。この段部17gには接点部材15の穴15bに対応して3つのボス17hが突出形成されており、各ボス17h間に位置するように3つの凹部17iが形成されている。これら凹部17iは接点部材15の摺動子15aの先端部の位置と対応して形成されており、傾倒操作時に摺動子15a先端部が回転体17に接触しないようにする逃げとして機能する。なお、段部17gに形成されている3つの穴17jは係止部17eとそれぞれ連通されている。
【0039】
この回転体17の円筒部17aのフランジ部17bが形成されている一端側の開口部17kの径は、上方(一端と反対の他端側)に向って徐々に拡径されており(図2参照)、開口部17kは軸方向にテーパ形状をなすものとされている。また、図2でわかるようにフランジ部17bの上面は外周側に向って下がる傾斜面17mとされている。
【0040】
カバー18はベース11の形状と対応する八角形状の平板部18aを有し、平板部18aの中央には円形の開口18bが形成されている。各辺には折り曲げ部が設けられており、ベース11の係止爪11dが形成されている辺と対応する辺には係止爪11dと係合する係止窓18cを有する係止部18dが折り曲げ形成されている。また、残る4辺の折り曲げ部18eのうち、対向する2辺の折り曲げ部18eにはその先端に幅狭の延長部18fが延長形成されている。
【0041】
ボタン19は円筒状とされ、その閉塞された一端が押圧操作面19aを構成している。押圧操作面19aと反対面側の中央には押圧突起19bが突出形成されている。また、ボタン19の軸方向中間部には大径部19cが形成されており、この大径部19cより下方は大径部19cより上方に比べ、やや小径とされており、この小径部19dの外周面の互いに180°をなす位置にはベース11の軸部11a内の突部11bと係合する凹部19eが形成されている。
【0042】
操作部材20は中央に開口20aを有するドーナツ形状とされ、操作面20bを構成する上面には放射状に多数の微小凸部20cが形成されている。操作面20bの周縁には周壁部20dが形成されており、周壁部20dの下端側にはさらにフランジ部20eが形成されている。操作面20bと反対面側には回転体17の3箇所の係合部17dと対応して3つの係合片20fが突設され、さらに回転体17の3箇所の係止部17eと対応して3つの係止片20gが突設されている。係止片20gの先端には操作部材20の中心側に向く係止爪20hが形成されている。
【0043】
以下、各部の組み立てについて図5も参照して説明する。
【0044】
まず、ベース11の4つの収容部11e及び段部11kに可動接点12をそれぞれ配置する。可動接点12と固定接点21a,21bとによってベース11上に周辺スイッチ21が構成され、可動接点12と固定接点22a,22bとによってベース11上に中央スイッチ22が構成される。これら周辺スイッチ21及び中央スイッチ22はそれぞれ可動接点12がクリック反転することによってON/OFF動作する。中央スイッチ22の可動接点12上には押えシート13が配置され、押えシート13によって可動接点12は段部11k内に位置決めされる。
【0045】
次に、プッシャ14を配置する。図5Aはこの状態を示したものであり、2つのプッシャ14を連結する連結部14aをベース11の溝11fに入れ、連結部14aの中間に形成されている係合ブロック14bをベース11の凹部11gに嵌め込むことによって連結部14a両端のプッシャ14がそれぞれ周辺スイッチ21上に位置され、下面の突起14dが可動接点12と当接される。
【0046】
接点部材15は回転体17に取り付けられる。取り付けは接点部材15の3つの穴15bに回転体17のボス17hを挿入し、ボス17hの先端を熱カシメすることによって行われる。接点部材15は回転体17の下面に形成されている段部17gに位置される。
【0047】
次に、接点部材15を取り付けた回転体17を図5Bに示したようにベース11に組み込む。組み込みは回転体17の開口部17kにベース11の軸部11aを挿通させることによって行われる。回転体17のフランジ部17bの外周側はプッシャ14の段部14c上に位置される。
【0048】
次に、バネ16がベース11の収容部11hに収容される。バネ16はこの例では両端が延ばされたコイルバネとされており、図5Bに示したようにコイル部が切り欠き11iから突出し、回転体17のフランジ部17b外周面の凹凸17cに係合して弾接するように配置される。このバネ16と凹凸17cによってディテント機構が構成される。なお、バネ16はベース11の収容部11hに突設されている突部11mによって抜け止めされる。
【0049】
次に、図5Cに示したようにカバー18が取り付けられる。カバー18はベース11の上方からベース11に被せられ、4つの係止部18dの係止窓18cにベース11の係止爪11dがそれぞれ位置されてベース11に固定される。回転体17はベース11の周壁部11cの上面側に位置するカバー18の平板部18aによって抜け止めされ、その円筒部17aが平板部18aに設けられている開口18bに位置される。
【0050】
次に、開口18bから突出している回転体17の円筒部17a内にボタン19が入れ込まれ、操作部材20が回転体17に取り付けられる。操作部材20の取り付けは3つの係合片20fを回転体17の円筒部17aに形成されている係合部17dにそれぞれ係合させ、3つの係止片20gを円筒部17aに形成されている係止部17eにそれぞれ係合させ、係止爪20hを係止部17eに形成されている段部17fに係止させることによって行われ、これにより操作部材20と回転体17が一体化され、図1及び2に示した複合操作型入力装置が完成する。
【0051】
ボタン19はその大径部19cが操作部材20によって抜け止めされて操作部材20の開口20aに位置され、その押圧突起19bが中央スイッチ22の可動接点12上の押えシート13に当接される。なお、ボタン19の凹部19eはベース11の軸部11a内の突部11bと係合される。接点部材15の3つの摺動子15aは、その先端がロータリエンコーダ用接点23と接触され、これら摺動子15aとロータリエンコーダ用接点23とでロータリエンコーダが構成される。
【0052】
一方、回転体17のフランジ部17b上面の傾斜面17mは、図2に示したようにカバー18の平板部18aと対向し、外周側に向って平板部18aから徐々に離れるものとなっており、図2中、点Pで示した内周側において平板部18aと当接されている。これにより、フランジ部17bの傾斜面17mとカバー18の平板部18aとの間には断面くさび状のスペース(隙間)Sが確保されている。
【0053】
上記のような構成とされた複合操作型入力装置では操作部材20が回転操作されると、接点部材15が取り付けられている回転体17が一体に回転し、摺動子15aがロータリエンコーダ用接点23上を移動する。この移動を電気的に検出することによって操作部材20の回転が検出される。
【0054】
ボタン19が押し込まれると、その押圧突起19bによって中央スイッチ22の可動接点12が押圧操作されて中央スイッチ22がONとなる。押圧が解除されると、可動接点12の復元力によってボタン19は元の位置に復帰し、中央スイッチはOFFとなる。
【0055】
一方、操作部材20の操作面20bを押し、傾倒操作することにより、その傾倒側の周辺スイッチ21を操作することができ、図6はこの状態を示したものである。この例では上述したようにベース11の軸部11aの周面と対向する回転体17の開口部17kの径が上方に向って徐々に拡径されて、図2に示すように軸部11aと開口部17kとの間に断面くさび状のスペース(隙間)Sが確保され、かつ回転体17のフランジ部17bとカバー18との間にも同様のスペースSが確保されているため、回転体17の傾倒動作が可能となっている。従って、回転体17は操作部材20と一体に傾倒し、これによりプッシャ14を介して周辺スイッチ21の可動接点12が図6に示したように押圧操作されて周辺スイッチ21がONとなる。
【0056】
操作部材20への押圧力を解除すると、可動接点12の復元力によってプッシャ14、回転体17及び操作部材20は元の位置に復帰し、周辺スイッチ21はOFFとなる。
【0057】
このように、この例では回転体17の傾倒動作に必要なスペースS,Sを確保したことにより、従来のように弾性腕を備えた操作体を用いることなく、回転体17と一体化されている操作部材20を傾倒操作することができる。よって、従来必要としていた操作体が不要となる分、薄型化を図ることができ、また部品点数を削減することができる。
【0058】
図7Aは上述した複合操作型スイッチの一半部の断面構造を示したものであり、図7Bは操作部材20の操作面20bの図示していない反対側が押され、操作部材20及び回転体17の図示している側が上方へ変位した(浮き上がった)状態を示したものである。また、図7Cは操作部材20の操作面20bの図示している側が押された状態を示したものである。
【0059】
図7Bに示したように操作部材20が傾倒操作された際、その操作側と反対側においては回転体17のフランジ部17bはその傾斜面17mの外周側がカバー18の平板部18aと当接するまで、つまりスペースSがなくなるまで傾倒する。言い換えれば、それ以上の傾倒がカバー18によって阻止されるため、回転体17が必要以上に傾倒することを防止することができ、かつ回転体17と一体化されている操作部材20の過大な浮き上がりを防止することができる。
【0060】
なお、回転体17のフランジ部17bの傾斜面17mとカバー18の平板部18aとが当接している当接部Pは、操作部材20が回転操作された際、回転体17とカバー18との摺動部となり、また操作部材20が傾倒操作された際には傾倒する回転体17の支点となる。
【0061】
図8Aは上述したようにフランジ部17bの上面が傾斜面17mとされている回転体17とカバー18の関係を示したものであり、図8Bは傾斜面17mがない場合の回転体17’とカバー18''の関係を示したものである。
【0062】
回転体17の回転動作時には摺動摩擦力を抑え、なめらかな回転が得られるように、カバー18と回転体17とは面接触していない構造が望ましく、図8Aではそれが実現できている。これに対し、傾斜面17mのない回転体17’では面接触を避けるべく、図8Bに示したように例えばカバー18''に突起18hを設ける必要がある。また、突起18hを設ける分、図8Aに比し、薄型化が阻害される。
【0063】
なお、この例では可動接点12の形状を略長円形とし、その長手方向がベース11の辺(周壁部11c)に沿うように配置しており、このような構成を採用したことにより、例えば可動接点の形状を円形とした場合と比べてベース11の小型化を図ることができるものとなっている。
【0064】
次に、この発明による複合操作型入力装置の第2の実施例について説明する。図9Aは第2の実施例の断面構造を示したものであり、図9Bは操作部材が傾倒操作された状態を示したものである。また、図10は各部に分解して示したものである。
【0065】
前述した第1の実施例では操作部材20を傾倒操作した際、プッシャ14は回転体17によって押圧されるものとなっていたが、この第2の実施例ではプッシャ14’は操作部材20によって直接押圧される。
【0066】
プッシャ14’はこの例では図10に示したようにその上面側にも突起14eを有するものとされ、この突起14eに対応してカバー18’の平板部18aには穴18gが4つ形成されている。プッシャ14’の突起14eは図9Aに示したように穴18gを挿通して外部(カバー18’の平板部18a上)に突出し、この突起14e上に操作部材20のフランジ部20eが位置される。
【0067】
このような構成により、操作部材20を傾倒操作すると、プッシャ14’は操作部材20のフランジ部20eによって図9Bに示したように押圧され、これにより周辺スイッチ21の可動接点12が押圧操作される。なお、回転体17のフランジ部17bとプッシャ14’が干渉(接触)しないように、プッシャ14’は回転体17の径方向において幅狭とされ、つまり第1の実施例のプッシャ14に対し、可動接点12の中央上に位置する突起14dより径方向内側部分は切除されたような形状とされている。
【0068】
この第2の実施例では第1の実施例のような回転体17のフランジ部17bとプッシャ14との高さ方向における重なり部分は存在しないため、その分回転体17をベース11に近づけることができ、つまり薄型化をさらに図ることが可能となる。
【0069】
図11Aは第2の実施例におけるベース11の構成を示したものであり、このベース11は図3に示した第1の実施例のベース11と同じ構成である。なお、図11Aでは固定接点21a,21b,22a,22b及びロータリエンコーダ用接点23にハッチングを付して示している。
【0070】
図11Bはベース11に可動接点12が配置された状態を示したものであり、図11Cはロータリエンコーダ用接点23に対向配置される接点部材15の配置関係を示したものである。
【0071】
図12Aはベース11にプッシャ14’,接点部材15を保持した回転体17及びバネ16が組み込まれた状態を示したものであり、図12Bはカバー18’が取り付けられた状態を示したものである。最後に、ボタン19及び操作部材20を第1の実施例と同様に取り付けることにより、図12Cに示した複合操作型入力装置が完成する。
【0072】
上述した実施例では回転体17のフランジ部17bの凹凸17cと係合してディテント機構を構成するバネ16として、図13Bに示したようにコイルバネを用いるものとなっているが、バネ16はこれに限らず、図13Aに示したように板バネを用いてもよい。
【0073】
次に、この発明による複合操作型入力装置の第3の実施例について説明する。
【0074】
この例ではプッシャ14''−1は図14Aに示したような形状とされ、連結部によって2つが連結されていない単体構造とされる。このプッシャ14''−1は第1の実施例におけるプッシャ14と同様、段部14cと突起14d(図14Aでは隠れて見えない)を備えており、さらに第2の実施例におけるプッシャ14’と同様、突起14eを備えている。また、互いに外向きに形成された2本の軸14fを備えている。なお、突起14eは軸14fより内側(中央スイッチ22側)に設けられている。
【0075】
このプッシャ14''−1が配置されるベース11’は図15に示したような形状とされ、周辺スイッチ21の可動接点12を配置する収容部11eの側壁には互いに対向して2つの軸受部11nが形成されている。プッシャ14''−1はその軸14fが軸受部11nに軸支されて図16に示したように配置される。
【0076】
図17Aはベース11’に接点部材15を保持した回転体17及びバネ16が組み込まれた状態を示したものであり、図17Bはさらにカバー18’が取り付けられた状態を示したものである。図17Cはボタン19及び操作部材20が取り付けられて組み立てが完了した状態を示したものである。
【0077】
この例ではプッシャ14''−1は段部14cが操作部材20と一体に傾倒した回転体17のフランジ部17bによって押圧されると、軸14fを中心に回動するものとなっており、この回動によって可動接点12が押圧操作される。また、同様に、突起14eが操作部材20によって押圧されると、軸14fを中心に回動するものとなっており、この回動によって可動接点12が押圧操作される。この時、突起14eは軸14fを中心に回動するため、カバー18’の穴18gは図17Bに示したように内側に向けて長穴であることが望ましい。
【0078】
なお、図14Aに示したプッシャ14''−1に替え、図14Bや図14Cに示したようなプッシャ14''−2,14''−3を用いることもできる。図14Bに示したプッシャ14''−2は回転体17のフランジ部17bによって押圧される段部14cを備えたものであり、図14Cに示したプッシャ14''−3は操作部材20によって押圧される突起14eを備えたものとなっている。
【0079】
以上説明した実施例ではいずれもボタンによって押下操作される中央スイッチを具備しているが、用途に応じて中央スイッチのない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0080】
11,11’ ベース 11a 軸部
11c 周壁部 11e 収容部
12 可動接点 13 押えシート
14,14’,14''−1,−2,−3 プッシャ 15 接点部材
16 バネ 17,17’ 回転体
17a 円筒部 17b フランジ部
17c 凹凸 17k 開口部
17m 傾斜面 18,18’ ,18'' カバー
18a 平板部 18b 開口
19 ボタン 20 操作部材
20b 操作面 21 周辺スイッチ
21a,21b 固定接点 22 中央スイッチ
22a,22b 固定接点 23 ロータリエンコーダ用接点
P 当接部 S,S スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作及び傾倒操作される操作部材を有する複合操作型入力装置であって、
中央に軸部が突設され、その軸部の回りの円周上に電極パターンが形成されたベースと、
前記電極パターンの回りの円周上に配列されて前記ベース上に構成された複数の周辺スイッチと、
前記ベースの周壁部の内側に位置して前記各周辺スイッチ上に配置されたプッシャと、
円筒部とその一端側に形成されたフランジ部とよりなり、前記円筒部の前記一端側の開口部が前記軸部に挿通され、前記フランジ部の外周側が前記プッシャ上に配置された回転体と、
前記回転体に取り付けられて前記電極パターンと摺接する接点部材と、
前記ベースの、前記周壁部の上面側を蓋するカバーと、
前記カバーの前記周壁部の上面側に位置する平板部の中央に設けられた開口に位置する前記円筒部に取り付け一体化された前記操作部材とよりなり、
前記開口部は前記軸部の周面と対向する部分の径が前記一端と反対の他端側に向って徐々に拡径されており、
前記フランジ部の前記平板部と対向する面は外周側に向って前記平板部から徐々に離れる傾斜面とされていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
回転操作及び傾倒操作される操作部材を有する複合操作型入力装置であって、
中央に軸部が突設され、その軸部の回りの円周上に電極パターンが形成されたベースと、
前記電極パターンの回りの円周上に配列されて前記ベース上に構成された複数の周辺スイッチと、
前記ベースの周壁部の内側に位置して前記各周辺スイッチ上に配置されたプッシャと、
円筒部とその一端側に形成されたフランジ部とよりなり、前記円筒部の前記一端側の開口部が前記軸部に挿通された回転体と、
前記回転体に取り付けられて前記電極パターンと摺接する接点部材と、
前記ベースの、前記周壁部の上面側を蓋するカバーと、
前記カバーの前記周壁部の上面側に位置する平板部の中央に設けられた開口に位置する前記円筒部に取り付け一体化された前記操作部材とよりなり、
前記操作部材の外周部は前記平板部に形成された穴を挿通して外部に突出する前記プッシャの突起上に位置され、
前記開口部は前記軸部の周面と対向する部分の径が前記一端と反対の他端側に向って徐々に拡径されており、
前記フランジ部の前記平板部と対向する面は外周側に向って前記平板部から徐々に離れる傾斜面とされていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
回転操作及び傾倒操作される操作部材を有する複合操作型入力装置であって、
中央に軸部が突設され、その軸部の回りの円周上に電極パターンが形成されたベースと、
前記電極パターンの回りの円周上に配列されて前記ベース上に構成された複数の周辺スイッチと、
前記ベースの周壁部の内側に位置して前記各周辺スイッチ上に配置されたプッシャと、
円筒部とその一端側に形成されたフランジ部とよりなり、前記円筒部の前記一端側の開口部が前記軸部に挿通され、前記フランジ部の外周側が前記プッシャ上に配置された回転体と、
前記回転体に取り付けられて前記電極パターンと摺接する接点部材と、
前記ベースの、前記周壁部の上面側を蓋するカバーと、
前記カバーの前記周壁部の上面側に位置する平板部の中央に設けられた開口に位置する前記円筒部に取り付け一体化された前記操作部材とよりなり、
前記操作部材の外周部は前記平板部に形成された穴を挿通して外部に突出する前記プッシャの突起上に位置され、
前記開口部は前記軸部の周面と対向する部分の径が前記一端と反対の他端側に向って徐々に拡径されており、
前記フランジ部の前記平板部と対向する面は外周側に向って前記平板部から徐々に離れる傾斜面とされていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
請求項1乃至3記載のいずれかの複合操作型入力装置において、
前記平板部と対向する前記傾斜面は内周側において前記平板部と当接していることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
請求項4記載の複合操作型入力装置において、
前記傾斜面と前記平板部との当接部は、前記操作部材の回転操作により回転する前記回転体の摺動部をなし、かつ前記操作部材の傾倒操作により傾倒する前記回転体の支点をなすことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項6】
請求項1乃至5記載のいずれかの複合操作型入力装置において、
前記周辺スイッチは前記ベースに形成された固定接点と、その固定接点上に配置されたドーム状をなす可動接点とよりなり、
前記可動接点はその外形形状が略長円形とされていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載のいずれかの複合操作型入力装置において、
前記フランジ部の外周面に凹凸が周方向に配列形成され、
前記凹凸と係合するバネが前記ベースに配置されていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項8】
請求項1乃至7記載のいずれかの複合操作型入力装置において、
前記操作部材の中央に開口が形成されて、その開口及びその開口と連通する前記円筒部の内側にボタンが配置され、
前記軸部は円筒状とされて、その内側の前記ベース上に前記ボタンによって押下操作される中央スイッチが構成されていることを特徴とする複合操作型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−210528(P2011−210528A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76985(P2010−76985)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】