説明

複合曲率を持つ立体視アイウェア

【解決手段】 複合曲率を持つ立体視アイウェアを用いて3次元コンテンツを見るとしてよい。当該アイウェアの製造は、第1の材料を熱成形する段階と、第2の材料を熱成形する段階とを実行することによって行われるとしてよい。第1の材料および第2の材料は、熱成形の前の時点において、巻いた状態であるとしてよく、第1の層は偏光子材料であるとしてよく、第2の層は位相差板材料であるとしてよい。第1の材料および第2の材料はそれぞれ、最適化された熱成形条件を利用して熱成形されるとしてよい。また、2つの熱成形ラインは、巻いた状態の第1の材料の曲面形状が、巻いた状態の第2の材料の曲面形状と略同期するように、タイミングを調整するとしてよい。これによって、巻いた状態の第1の材料および第2の材料それぞれの曲面形状を接合するとしてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して立体視アイウェアに関し、具体的には複合曲率を持つ立体視アイウェアに関する。
【0002】
[関連出願]
本願は、米国仮特許出願第61/300,396号(出願日:2010年2月1日、発明の名称:「複合曲率を持つ立体視アイウェア」)に対して優先権を主張する。当該仮出願の内容は全て、参照により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
立体画像化では、画像に奥行きの錯覚を与えるべく3次元(3D)視覚情報を含む一対の画像を表示する。脳で奥行き知覚を刺激する方法の1つとして、視聴者の目に対して、両眼視で両目が自然に構成する視点と同様に、わずかなずれで、同じ被写体を2つの視点から見た様子を表す2つの異なる画像を提供する。多くの光学系では、この方法を用いて立体画像を表示する。それぞれの目に特定の画像を分配する手段として偏光がよく利用される。この場合、直交する偏光レンズが適切な画像を選択する。奥行きの錯覚は、写真、映画、ビデオゲームまたはその他の2次元(2D)画像において実現することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示によると、偏光材料を提供する方法は、第1の材料にとって最適な熱条件を採用することによって第1の材料を熱成形する段階と、第2の材料にとって最適な熱条件を採用することによって第2の材料を熱成形する段階と、熱成形された第1の材料の第1の面が熱成形された第2の材料の第1の面と接触するように、熱成形された第1の材料および熱成形された第2の材料を組み合わせる段階とを備えるとしてよい。さらに、第1の材料および第2の材料を熱成形する段階は、略同時に実行されるとしてもよい。当該方法は、第1の材料および第2の材料を実質的に曲面を持つように成形する段階を備えるとしてよく、さらに、第1の材料および第2の材料を積層する段階を備えるとしてもよい。第1の材料および第2の材料は、熱成形された第1の材料の少なくとも第1の表面に接着剤を塗布することによって、積層するとしてよい。接着剤は、紫外光源を利用することによって硬化するとしてよい。さらに、第1の材料および第2の材料を組み合わせる段階は、第1の材料と第2の材料との間に発生する差応力を最小限に抑えつつ行われるとしてよい。さらに、第3の材料を熱成形するとしてよく、第3の材料を、第1の材料の少なくとも第2の面に結合するとしてよい。第3の材料によって、実質的に最適化された表面品質を実現するとしてよい。第1の材料、第2の材料、および/または、第3の材料は、単体で、組み合わせて、または全てが、巻いた状態で、または、任意のその他の適切な状態、例えば、シート状態であるとしてよい。当該方法は、第1の材料の少なくとも第1の面にコロナ処理を適用する段階を備えるとしてよい。一実施形態によると、第1の材料は、直線偏光子であってよく、第2の材料は、位相差板であってよい。当該実施形態について説明を続けると、位相差板は、シクロオレフィンコポリマー材料であってよく、直線偏光子は、ポリ酢酸ビニル材料であってよい。
【0005】
別の側面によると、本願は、複合曲率を持つレンズを提供する方法を開示している。当該方法は、偏光子を熱成形する段階と、位相差板を熱成形する段階と、およそのレターデーション値を略変更することなく偏光子および位相差板を組み合わせる段階とを備えるとしてよい。尚、偏光子の第1の面は、位相差板の第1の面と接触しているとしてよい。位相差板を熱成形する段階は、位相差板について実質的に最適化された熱プロセスによって実行されるとしてよく、偏光子を熱成形する段階は、偏光子について実質的に最適化された熱プロセスによって実行されるとしてよい。当該方法はさらに、偏光子および位相差板を共に一連の略曲面に形成する段階を備えるとしてよく、偏光子および位相差板を共に積層する段階を備えるとしてよい。偏光子および位相差板は、巻いた状態またはシート状態であるとしてよい。
【0006】
本願では、複合曲率を持つ偏光材料を開示している。当該偏光材料は、第1の熱成形層と、第2の熱成形層とを備えるとしてよい。第1の熱成形層は、第1の熱成形層について最適化された第1の群の熱条件を利用して形成するとしてよい。第2の熱成形層は、第2の熱成形層について最適化された第2の群の熱条件を利用して形成するとしてよい。第1の熱成形層および第2の熱成形層は、接着剤によって結合されているとしてよい。偏光材料は、複数の略曲面を含むとしてよい。接着剤を利用して第1の熱成形層および第2の熱成形層を積層するとしてよく、接着剤を、第1の熱成形層の少なくとも第1の面に塗布するとしてよい。接着剤は、紫外光源を利用して硬化させるとしてよい。第1の熱成形層および第2の熱成形層は、略同時に熱成形されるとしてよい。第1の熱成形層および第2の熱成形層は、任意の適切な状態、例えば、これらに限定されないが、巻いた状態、シート状態等の材料として加工されるとしてよい。
【0007】
本開示の上記およびその他の利点および特徴については、本開示の内容をすべて参照することで当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態は添付図面に一例として図示されている。添付図面では、同様の参照番号は同様の構成要素を示す。図面は以下の通りである。
【0009】
【図1】本開示に係る、曲面レンズを持つアイウェアを製造するプロセスの実施形態を説明するためのフローチャートである。
【0010】
【図2】本開示に係る、アイウェアの実施形態を説明するための概略図である。
【0011】
【図3】本開示に係る、プロセスの実施形態を説明するための概略図である。
【0012】
【図4】本開示に係る、プロセスを説明するための概略図である。
【0013】
【図5】本開示に係る、レンズの断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ある側面によると、偏光分析材料を提供する方法は、第1の材料について最適化された熱条件を用いて第1の材料を熱成形する段階と、第2の材料について最適化された熱条件を用いて第2の材料を熱成形する段階とを備えるとしてよい。第1の材料および第2の材料は、略同時に加工されるとしてよく、大量に製造されるとしてよい。また、第1および第2の材料の一方または両方は、巻いた状態、シート状態、または、処理条件を材料毎に個別に最適化できる任意のその他の適切な状態であるとしてよい。また、2つの加工ラインを同期させて、第1のラインの材料の曲面を第2のラインの材料の曲面と略位置合わせするとしてもよい。
【0015】
尚、本開示の実施形態はさまざまな光学系および投影システムで利用され得ることに留意されたい。実施形態は、さまざまなプロジェクタ、投影システム、光学素子、コンピュータシステム、プロセッサ、自立型プロジェクタシステム、視覚システムおよび/または音声視覚システム、ならびに、電気デバイスおよび/または光学デバイスを含むとしてもよいし、または、これらと協働するとしてもよい。本開示の側面は、光学デバイスおよび電気デバイス、光学システム、プレゼンテーションシステムまたは任意の種類の光学システムを含む任意の装置に関連するものであれば、実質的にどのような装置とも利用可能である。したがって、本開示の実施形態は、光学システム、視覚表示および/または光学表示で用いられるデバイス、視覚周辺機器等で、そして、数多くのコンピュータ環境において利用されるとしてよい。
【0016】
実施形態の詳細な内容を開示する前に、本開示からは他の実施形態も実施可能であるので、本開示は、図示した特定の構成の詳細な内容に従って適用または作成することに限定されないことを理解されたい。さらに、本発明の側面は、それぞれが独自に一意的な発明を定義するべく、組み合わせおよび配置を変えて説明するとしてよい。また、本明細書で用いる用語は、本発明を説明することを目的としたものであり、限定するものではない。
【0017】
3D映画で利用されるアイウェアは、プラスチック製のフレームに、ダイカットされた平坦シート状の直線偏光子または円偏光子が実装されているとしてよい。直線偏光子は、延伸/染色を行ったポリビニルアルコール(PVA)膜をトリアセチルセルロース(TAC)基板の間に積層した従来の液晶ディスプレイ偏光子を含むとしてよい。TAC基板は、光学的な機能を持たないとしてよく、主な目的は、機械的な支持、および、外囲環境からのPVA膜の保護のためであるとしてよい。円偏光子(CP)は、延伸ポリマーの4分の1波長板を直線偏光子に粘着剤(PSA)によって積層することによって製造されるとしてよい。円偏光膜は、フレーム凹部に載置されるとしてよく、補助フレーム部材によってレンズ材料が圧入されている。一実施形態によると、実装方式によって、外周応力が最小限に抑制されるとしてよい。外周応力は、要因として、圧迫(特に、個別の実装箇所が原因)および全周にわたって強固に実装したことによって膜の締め付けが過剰になること等、多くの問題が考えられ得る。このような問題によって、複屈折が発生したり、さらに、製品の性能に影響が出たりすることがある。この問題は、CPアイウェアでも顕在するとしてよく、例えば、ポリカーボネートを材料とする位相差板にわずかな応力が加えられると、レターデーション値が大きくずれたり、光軸配向が大きくずれたりする場合がある。このように空間挙動が変化すると、偏光コントラストの損失に応じた光漏れ、または、クロストークが発生する可能性がある。
【0018】
今日の映画用アイウェアは低コストであるが、3D体験を台無しにするような問題が存在し得る。例えば、基板材料は従来、押し出し成形または流延成形を利用して製造されるとしてよい。このプロセスでは、表面に凹凸が出来てしまい、透過する波面が不規則になってしまう場合がある。さらに、平坦なレンズは機械的安定性が無いので、平坦に載置されることはなく、実装後にシワがあり歪んでいるように見える可能性がある。
【0019】
今日の平坦なレンズに代えて、3Dコントラストをほとんどまたは全く劣化させることなく所望のベースカーブを持つ、複合曲率を持つ3Dアイウェア用レンズを製造することが望ましいとしてよい。両方のレンズが同じ配向の偏光フィルタを持ち位相差膜を屈曲する必要がない偏光サングラスを製造する場合には熱成形プロセスが利用されてきた。また、3Dレンズで所望される偏光効率は、わずかな複屈折が3D体験を左右するので、偏光サングラスに必要な偏光効率よりも高い。
【0020】
熱成形プロセスの一例では、加熱した金属成形枠にディスクを載置して、真空を加えてカップ内にディスクを即座に入れ込むとしてよい。厚みおよび機械特性が適切な材料の場合には、ディスクはカップに略コンフォーマルになるとしてよい。所定の待機時間が経過すると、真空が解除されて、ディスクが複合曲率を持つようになるとしてよい。一部の実施形態によると、ベースカーブはカップのベースカーブよりも小さいとしてよく、構造は所望の球体形状とは大幅にかけ離れているとしてよい。このプロセスを薄板材料に利用すると、真空を加えた場合にシワが発生する可能性があるため、レンズが利用できなくなってしまう場合がある。このため、この真空成形プロセスは、特定のサイズの材料には最適であるとしてよい。
【0021】
平面状の積層体を熱成形する場合には、幾つか問題が発生し得る。このような3Dレンズ用の積層体は、PVA偏光子、TAC保護シート、位相差膜、追加の支持基板、および、1以上の接着材料を含んでいる。材料毎に、これらに限定されないが、ガラス転移点(Tg)、応力ひずみ特性、モジュラス、分子量、熱感度等の物理的特性が異なるとしてよい。例えば、高性能PVA偏光子は通常、過剰な熱エネルギーに暴露されると、偏光効率が劣化してしまう。このため、このような積層体を熱成形すると、一因として、さまざまな構成材料のパラメータが最適値を取るようにすると、妥協して処理パラメータを選択しなければならない場合がある。一例を挙げると、最高処理温度は、特定の材料によって制限が課されるとしてよく、この温度は、別の材料のTgを大きく下回るものであるとしてよい。このような構造体を熱成形する場合、Tgが高い材料は、大きな応力にさらされる可能性があり、剥離等のあらゆる問題によって性能に影響がおよび、製品欠陥となる可能性がある。
【0022】
幾つかの例を挙げると、基板は、最終的に得られる製品で特に機能がないまま、積層体に含まれる場合がある。TACは従来、自立型のPVA偏光子を保護するために追加され、追加で基板を含めて熱成形プロセスの厚さ要件を満たすとしてよい。このような基板を利用すると、コストおよび複雑性が増してしまい、異なる化学物質を含めることによって熱成形プロセスが複雑になり、熱成形によって複屈折がさらに発生する可能性がある。一例を挙げると、製品の機能を向上させる材料をレンズに組み込むとしてよい。光学的機能に関しては、偏光の制御を向上させ、透過率を高め、屈折を制御し、透過率を制御し(例えば、フォトクロミック特性)および/または透過される波面を向上させる膜を含めるとしてよい。
【0023】
本開示は、複合曲率を持つ立体視用円偏光3Dレンズであって、所望の偏光制御機能および/または偏光均一性、低コスト、ならびに、高信頼性を実現した3Dレンズを製造するプロセスを提供する。一部の実施形態によると、利用する特定の材料について実質的に最適化された条件下で、偏光機能層を加工するとしてよい。この後、低応力接着剤を用いてレンズを組み立てるとしてよい。一実施形態によると、ウェブベースの組立プロセスを用いて各熱成形層を結合するとしてよい。この後、低温プロセスを用いて、最終製品のレンズの内面、または、内面および(例えば、等方性の)外面を形成するとしてよい。このようにすることで、レンズ構造体は、内部応力を最小限に抑え、性能および製品寿命を最大限に高めつつ製造することができる。「低温」とは、略室温で行われた場合に、構成要素であるレンズ層またはレンズ材料が、最終製品であるレンズが利用できなくなるような大きな拡張または伸縮を発生させることのない大よその範囲内の温度であるとしてよい。この大よその処理範囲の一例としては、約華氏50度と約華氏120度との間の範囲が挙げられるとしてよい。
【0024】
図1は、本開示に係る、曲面レンズを持つアイウェアを製造するプロセスの実施形態を説明するためのフローチャートである。当該フローチャートでは特定の順序で処理を図示しているが、別の順序で処理を実行することも可能であり、必要に応じて処理を省略することも可能である。図1に示したプロセス100は、処理要素102において、第1の材料を熱成形することを含む。第1の材料は、巻いた状態であるとしてよく、偏光子材料であるとしてよい。プロセス100は、処理要素104において、第2の材料を熱成形することを含むとしてよい。第2の材料もまた、巻いた状態であるとしてよく、位相差板材料であるとしてよい。任意の処理要素106では、他の機能層を熱成形するとしてよい。処理要素102、104および106では、それぞれの熱成形処理を、利用する特定の材料について、個別に最適化した条件で実行するとしてよい。また、第1の材料および第2の材料は巻いた状態であってもよいが、処理要素102および104はさらに、シート状態等、個別に最適化された条件下で処理対象の各材料を処理できるような任意の適切な形態で処理を行うとしてよい。
【0025】
一実施形態によると、処理要素102、104および106は、同時に実行されるとしてよい。熱成形により処理要素102、104および106で形成された曲面状の層は、処理要素108において、さまざまな結合手段、例えば、接着剤による積層方式を利用して組み合わせるとしてよい。処理要素110において、低温処理を用いて、最終製品となるレンズの内面、または、内面および(例えば、等方性の)外面の両方を形成するとしてよい。また、処理要素108および110は、一続きのプロセスとして実行されるとしてもよいし、または、図1に示すように別箇のプロセスとして実行されるとしてもよい。一般的に、4分の1波長板および直線偏光子等の事前に形成された材料は、機械的に支持する基板の有無にかかわらず、インサート成形用の金型に載置することができる。この場合、このように事前に形成された材料は、略同時に結合され樹脂内に封止されるとしてよい。処理要素112においては、本開示にしたがって、最終製品であるレンズを立体視アイウェアに実装する。
【0026】
図2は、本開示に係る、アイウェアの実施形態を説明するための概略図である。図2は、曲面レンズ202を含む立体視アイウェア200を示す概略図である。曲面レンズ202は、映画鑑賞に適しているとしてよく、図1に図示したプロセス100または本開示の原理にしたがった任意のその他のプロセスに従って製造されるとしてよい。曲面レンズ202は、レンズ全体が均一に曲面になっているとしてもよいし、曲率が曲面レンズ202全体で変化するとしてもよい。
【0027】
本開示はさらに、熱成形処理を経ても所望の偏光制御特性を維持する適切な材料を利用できるようにする。譲受人が同じである米国特許出願第12/249,876号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、シクロオレフィンコポリマー(COC)は低弾性位相差板であるとしてよい。熱成形により得られたCOC物品は、米国特許出願公開広報第2008/0311370号に記載されている。当該公開広報は、参照により本願に組み込まれ、COC材料およびCOCの処理について説明している。COC膜において特定の線形レターデーションを発生させるためには、応力光学係数が低いので、比較的大きな張力を利用するとしてよい。このように、後続の熱成形処理による変化の影響が比較的少ない。熱成形時に加えられる径方向の応力によって、偏光の制御が空間的に不均一になってしまう。多くのCOC製品はTg値が比較的高いので、積層体に組み込まれる場合には、積層体が破壊されてしまう可能性があるので、COCの熱成形温度を最適化することが難しい。このように、COCは、望ましい位相差膜であるが、形成時の温度が不十分である場合があり、積層体は常に機械的負荷にさらされることになる。
【0028】
代替例として、より低い処理温度で形成可能な材料を利用する。譲受人が同じである米国特許出願第12/249,876号に記載されているように、ポリカーボネート等の材料で製造される一般的なディスプレイ用レターデーション膜は、熱成形プロセスを実行すると、レターデーションの空間分布および光軸配向が大幅に変わる場合がある。この場合、非均一性が大き過ぎて、3Dアイウェアで望ましいコントラスト均一性を満足させることができないとしてよい。これは、ベースカーブが大きい値の場合に特に当てはまり、大半のベンダーは、ベース8製品ラインの処理を要求する(例えば、ベース8レンズを含むアイウェアスタイル)。ポリカーボネートを用いて熱成形したレンズ製品はこのように、位相差板としての性能が劣化してしまうので、ベースカーブが比較的小さい値に限定されてしまう可能性がある。
【0029】
図3は、本開示に係るプロセスを説明するための概略図である。当該プロセスは特定の順序で処理を実行するように図示されているが、別の順序で処理を実行するとしてもよいし、必要に応じて処理を省略することも可能である。図3は、本開示に係る曲面レンズを形成するのに適した熱成形プロセスを示す図である。同図に示すように、米国特許第6,072,158号および米国特許第5,958,470号に記載されているような薄板熱成形処理は、シート状態から所望の形状へと断熱した状態で成形するために用いられるとしてよい。両特許文献は参照により本願に組み込まれる。所望の形状としては、球体形状、トロイダル形状、または、特定材料について最適化された熱パラメータに応じて決定される任意のその他の形状が挙げられるとしてよい。図3では、熱成形プロセス300は、ロール310および熱成形部320を含むとしてよい。一実施形態によると、図3に示すように、ロール310は、略一続きの材料として熱成形部320に入るとしてよく、略一続きの材料として熱成形部320から出るとしてよい。熱成形部320は、加熱領域325および形成領域330を含むとしてよい。加熱領域325は、オーブン等、温度を実質的に制御可能な任意の種類のチャンバであってよい。「チャンバ」という用語を用いているが、一部分または全体が封止されている一般的なチャンバであってよく、対象の領域を取り囲む外囲構造がほとんどまたは全く無い領域であってもよい。また、図3では巻いた状態の材料を図示しているが、ロール310は、任意の適切な形状であるとしてよく、例えば、これらに限定されないが、シート状態、巻いた状態等であってよい。
【0030】
図3では、ロール310から加熱領域325へと供給されることによって、ロール310が適切な軟化温度になるとしてよい。適切な軟化温度は、ロール310固有の温度であるとしてよく、ロール310の種類が変わるとそれぞれの特性に応じて変化するとしてよい。ロール310はこの後、形成領域330へ進むとしてよい。ロール310は、形成領域330では、アレイ状に構成された固定部332に固定されるとしてよい。アレイ状に構成された固定部332は、例えば、これらに限定されないが、球体形状、トロイダル形状、楕円形状等、任意の形状を持つとしてよい。
【0031】
図3に示すように、金型の片側に徐々に差圧を加えるとしてよく、ロール310は、ある程度均一に加熱され、凹型の金型を含む固定部の開口へと徐々に移動するとしてよい。当該プロセスは、一のオーブンで実行されるとしてよい。尚、膜/工具によって2つ以上の部分に分かれているとしてもよい。膜は、フレーム内に固定されているとしてよく、差圧は、膜の温度が選択された温度になると、または、選択された温度に略到達すると、加えることができる。差圧(または、重力によるたわみ)によって、ゴム状の膜が、フレームの開口に向けておよび/またはフレームの開口内に、移動するとしてよい。これによって、風船を膨らませるのと同様に、膜を予め伸長させるとしてよい。このようなプロセスによって、膜に差圧が加えられ、均一に分配されるとしてよい。このため、良好な均一性が得られる。また、その後、凸型の工具を風船(または、アレイ状に並んだ風船)に押し入れて、最終的な形状を得るとしてもよい。実際には、膜はもたれかかるように金型を覆っているので、このステップではほとんどまたは全く延伸しないとしてよい。膜は、金型と接触しているとしてよく、非均一性につながるので、それ以上伸長しないとしてよい。風船を形成する処理では、予め伸長させた風船を反転して金型に入れるとしてよい。代替例として、材料/膜を予め伸長させ、凹型の金型に吹き込むとしてよい。一般的には、できる限り均一になるように、金型と接触させることなく膜の大半を伸長させるとしてよい。
【0032】
図3では金型を凹形状を持つものとして図示しているが、金型は、凸形状、正方形状等の任意の形状であってよい。当該プロセスによって、材料は空間的に略同様の熱条件にさらされることになるので、差分による径方向の延伸の程度が略均一になるとしてよい。金型を利用することによって、積層された耐熱膜を材料に追加することが可能となるとしてよい。図3に示すように、ロール310は、形成領域330を出る際には、オーブン325に入った時点とは形状が異なっているとしてよい。また、ロール310は、オーブン325を出ると異なる形状になっているが、依然として一続きの材料であるとしてよい。さらに、オーブン325から出て行くロール310は、当該プロセスの開始時点のロール310と実質的に連続的に続いているとしてよい。これに代えて、処理後の材料は、その場で切断して、続いて個別に積層処理を行うべく回収されるとしてもよい。
【0033】
図4は、本開示に係るプロセスを示す概略図である。当該プロセスは特定の順序で処理を行うものとして図示されているが、別の順序で処理を実行することも可能であり、必要に応じて処理を省略することも可能である。図4は、別の実施形態に係る、曲面レンズを形成するプロセス400を示す図である。図4に示す実施形態によると、円偏光子を構成する機能層(例えば、ヨウ素−PVA偏光子およびCOC4分の1波長板)はそれぞれ、個別に最適化された熱条件に応じて熱成形されるとしてよい。円偏光子を構成する機能層は、偏光子および位相差板を含むとしてよい。COCは、応力光学係数が低いので位相差板として利用されるとしてよいが、熱成形においてレターデーションおよび光軸を維持するのであればどのような材料を利用するとしてもよい。位相差板は、正または負の一軸性であるとしてよいが、z方向のレターデーションは実質的に持たないことが好ましい。例えば、ジアセテートは通常、厚みにおけるレターデーションが、面内のレターデーションよりも大きい。液晶ポリマー(例えば、Rolic社製)、反応性メソゲン(例えば、Merck社製)、および、リオトロピック液晶ポリマー(例えば、Crysoptix社製)等のコーティング位相差板を代わりに利用するとしてもよい。PVA偏光子として、コーティング偏光子、例えば、Optiva社およびCrysoptix社が開発したものを利用するとしてよい。一実施形態によると、偏光子は、ヨウ素−PVAで形成するとしてよく、位相差板は、COC4分の1波長板で形成するとしてよい。位相差板は、これらに限定されないが、COC、アセテート、ジアセテート、ポリカーボネート等、任意の種類の材料で形成するとしてよい。また、図4に示す偏光子および位相差板は、それぞれ別箇に並列して設けられた製造ラインで熱成形されるとしてよい。
【0034】
図4に示すように、ロール410およびロール420はそれぞれ、形成部415および形成部425に供給されているとしてよい。ロール410および420は、異なる種類の材料であってよく、一実施形態によると、ロール410は、直線偏光子の材料であってよく、ロール420は、位相差板の材料であってよい。上述したように、図4は巻いた状態の材料を含んでいるが、ロール410および420は、これらに限定されないが、シート状態、巻いた状態等、各材料について個別に最適化した処理条件を実現することが可能な任意の適切な状態であってよい。また、形成部415および形成部425は、図3に示す熱成形部320の構成要素と同様の構成要素を含むとしてよい。一例を挙げると、形成部415および425はそれぞれ、加熱領域および形成領域を備えるとしてよい。
【0035】
図4に示すように、ロール410および420は、形成部415および形成部425から出ると、形成部415および形成部425に入る前とは形状が異なっているとしてよい。続いて、接着剤供給部430が、成形後のロール410および425に対して接着剤を供給するとしてよい。供給された接着剤は、図4ではロール420の凹面に位置しているが、ロール410および420の任意の数の箇所に設けることができ、これらに限定されないが、ロール410の凸面、ロール420の凹面等に供給するとしてよい。
【0036】
続いて図4では、ロール410および420は、プレス機440に入るとしてよい。プレス機440は、ロール410および420を共に押圧する機能を持つとしてよい。一例を挙げると、ロール410および420は、所望の形状または外形を持つように形成されるとしてよい。この例に基づいて説明を続けると、プレス機440は、応力を最小限に抑えつつ所望の形状を維持して、ロール410および420を互いに接触させるとしてよい。プレス機440を出ると、ロール410および420は、硬化領域450に入るとしてよい。硬化プロセスは、これらに限定されないが、紫外線(UV)、熱等を利用して行われるとしてよい。ロール410および420は、流延成形領域460に入り、続いて切断プロセス470を行うとしてよい。
【0037】
本開示の一実施形態によると、プロセス400は、直線状に進むプロセスであるとしてよく、2つのラインにおいて滞留時間を略一致させることができ、ロールまたはウェブを略同期させることができるとしてよい。つまり、本実施形態に基づいて説明を続けると、プロセス400の設備は、一方のロールの材料の凸面の曲率半径が他方のロールの材料の凹面の曲率半径に一致するように構成されているとしてよい。この後、接着剤を凹面および/または凸面の一方または両方に供給して、表面同士を接触させることによって、積層を実行するとしてよい。2つのロールの材料はこの後、さまざまな方法を用いて共に押圧し、その後で硬化プロセスを実行するとしてよい。硬化プロセスは、UV、熱、または、関連技術分野で公知の任意の数の他の方法を用いて行うとしてよい。一部の実施形態によると、室温でのプロセスを利用して、内部応力を最小限に抑えるとしてもよい。このような内部応力は、2つのロールの材料の熱膨張係数の不一致が原因であるとしてよく、熱処理を利用すると応力が閉じ込められるとしてよい。一部の実施形態によると、接着剤を塗布する前にコロナ処理および/またはプラズマ処理を行うことで接着が改善されるとしてよい。
【0038】
一般的に、米国特許出願公開広報第2009/0097117号に記載されているように、円偏光子の材料は、位相差板の光軸が偏光子の軸に対して、45度に配向されている材料を含むとしてよい。上記の特許文献は、参照により本願に組み込まれる。ウェブベースのプロセスを用いて、このような円偏光子材料を生成するとしてよく、具体的には、位相差板または偏光子を45度でダイカットして、シート同士を結合してロールを形成するとしてよい。本開示の一実施形態によると、Polaroid(登録商標) Corporation社が開発して、日本ゼオン株式会社がさらに改良した45度の位相差板伸長部を利用するとしてよい。正確に45度で伸長したCOC位相差板のロールを調達することができる。当該ロールを利用することで、ウェブベースの製造ラインで、熱成形した偏光子を位相差板に結合させることが可能になるとしてよい。熱成形されたCP積層体はこの後、詳細に後述するように直線状にバックエンド処理工程を経るか、または、このような追加の処理を行うべくシート状に成形されるとしてよい。
【0039】
図5は、本開示に係る、レンズの断面を示す概略図である。図5に示すように、レンズ500は、複数の層を備えるとしてよい。第1の材料510および第4の材料540は、光学的性質を持つ表面を有する材料であるとしてよい。一般的に、光学的性質を持つ表面とは、波面ひずみを最小限に抑え、透過時に屈折力を略維持する表面であってよい。光学的性質を持つ表面を有する材料は、レンズ500の一部として、レンズ500の内面および/または外面の一方または両方に含まれているとしてよい。
【0040】
図5はさらに、偏光子材料520および位相差板材料530を示しているとしてよい。上述したように、任意の偏光子をレンズ500に用いるとしてよい。これによって、PVA、または、本明細書で説明したものと同様の適切な光学的機能が実現される。同様に、位相差板は、COC、アセテート、ジアセテート、ポリカーボネート等、適切な光学的機能を実現するものであればどのような種類であってもよい。偏光子材料520および位相差板材料530は、接着剤で結合されるとしてよい。本明細書で説明しているように、偏光子材料520および位相差板材料530は、巻いた状態であってよい。2つのロールはこの後、さまざまな方法を用いて共に押圧され、硬化プロセスが続いて行われるとしてよい。硬化プロセスは、UV、熱、または、関連技術分野で公知の任意の数の他の方法を用いて行われるとしてよい。一部の実施形態によると、室温で行われるプロセスを利用して、内部応力を最小限に抑えるとしてよい。
【0041】
さらに、図5に示すように、第1の材料510および第4の材料540は、化学結合および/または接着結合によって、偏光子材料520および位相差板材料530に結合されているとしてよい。関連技術分野で公知の任意の種類の化学結合または接着結合を用いて材料を結合するとしてよい。また、第1の材料510および第4の材料540は、等方性の封止剤として機能するとしてよい。
【0042】
本開示の一実施形態によると、レンズの製造に対する応力の影響を最小限に抑えるべく、米国特許出願公開広報第2009/0079934号に記載されているように、結合した偏光機能層を光学的性質を持つ2つの金型の間の固定部に載置するとしてよい。上記特許文献は参照により本願に組み込まれる。モノマーを注入するとしてよく、偏光機能層の両側で硬化させるとしてよい。これは、無色透明のUV硬化性樹脂であってよく、収縮が少なく、積層体で発生するひずみが最小限に抑えられるとしてよい。さらに、硬化ポリマーには、機械的応力に対する感度が比較的低い材料を選択するとしてよい。一例を挙げると、硬化ポリマーは、応力光学係数が小さい物質であるとしてよい。ある実施形態によると、レンズを実装するプロセスによって、レンズ内で局所的に偏光コントラストが低くなる箇所として顕著となるピンチ箇所を実質的に最小限に抑えられるとしてよい。
【0043】
本開示の実施形態の利点は、本明細書で説明した最終製品であるレンズの内部応力が最小限に抑えられる点であるとしてよい。これによって、製造時の性能を製品寿命が続く限り維持することが可能になるとしてよい。使用する接着剤によっては、内部応力が大きい場合、製品は信頼性が低く、クリープが発生する可能性がある。これには、形状/透過される波面特性の変化、偏光コントラストの低下、および、剥離等の大きな故障が含まれるとしてよい。
【0044】
光学的性質を持つCPレンズは、さらに層を備えるとしてよい。これらの層は、アイウェアレンズ上に設けられるとしてよく、これらに限定されないが、ハードコーティング、曇り防止コーティング、反射防止コーティング等を含むとしてよい。一例を挙げると、樹脂をレンズの外面上で流延成形するのではなく、バリア層をCOCレンズの外面上に含めるとしてよい。バリア層は、レンズを保護するための層であるとしてよい。バリア層を設けない場合、レンズは指の油分が付いて、損傷する可能性がある。半製品のレンズはこの後、加工されて、所望のフレーム内に合うように成形されるとしてよい。
【0045】
一般的に、立体視システムは、光が不十分であるので、構成要素には、特定の所定機能を持ち、光スループットが高いものが選択されるとしてよい。サングラスメーカーは従来、ヨウ素方式の偏光子で発生し得る脱色を避けるべく、染料系偏光子について処理温度を高くしているとしてよい。これは、サングラスは通常、明所視透過率として約10−20%の範囲、さまざまな偏光子の色、および、中程度の偏光効率を要件とするので、問題にはならない場合がある。これに代えて、3D映画では、グレーの見え方を中程度に抑え、偏光効率を最大限に高めつつ、約420−680nmの範囲の可視波長帯域の全域にわたって透過率を最高値にすることが望ましいとしてよい。一例を挙げると、ヨウ素系偏光子は、最高透過率は透過軸に沿った内部損失が約5%で、最高偏光効率は約99.9%を超えるとしてよい。また、ヨウ素系偏光子は、低コストであり、多くのベンダーから調達され得る。本開示のある実施形態によると、ヨウ素系偏光子は、比較的低温で熱成形される一方、性能の低下を略最小限に抑えつつ実質的に所望のベースカーブを実現するとしてよい。つまり、ヨウ素系偏光子は、COC位相差板を形成する場合の温度よりも低い温度で熱成形されるとしてよい。
【0046】
また、3D用アイウェアおよびサングラスという2つの役割を果たすようなアイウェアを設計するとしてもよい。この場合、能動型の調光部を含めて、各製品の最適要件を満たすとしてよい。一実施形態によると、フォトクロミック材料および/またはフォトクロミックコーティングを利用するとしてよい。一部のフォトクロミック材料および/またはフォトクロミックコーティングは、開状態では透過率が低く、閉状態では濃度が高いとしてよい。本開示の一実施形態によると、フォトクロミック材料および/またはフォトクロミックコーティングは、閉状態の内部透過率が、約40−60%の範囲内であるとしてよく、開状態の内部透過率が約95%を超えるとしてよい。一実施形態によると、開状態の内部透過率は約99%であるとしてよい。
【0047】
本明細書で開示した原理に応じたさまざまな実施形態を上述したが、上述した実施形態は本発明を例示するに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解されたい。このため、本開示の範囲は、上述した実施形態例のいずれによっても限定されるべきではなく、本開示内容から明らかとなる請求項およびその均等物によってのみ定義されるべきものである。また、実施形態を説明する際には利点および特徴を挙げたが、上述した利点および特徴は、請求項の適用を、上述した利点の一部または全てを持つ処理および構造に限定するものではない。
【0048】
また、本明細書のセクション名は、米国特許法施行規則第1.77条で規定されている内容に従って記載されたものであるか、または、読みやすさを考えて記載されている。本明細書のセクション名は、本開示内容から明らかとなる請求項に記載される発明を限定または特徴化するものではない。具体的に一例として説明すると、「技術分野」というセクション名があるが、請求項は、いわゆる技術分野を説明するためにこのセクションにおいて用いられている用語によって限定されるべきではない。さらに、「背景技術」のセクションで技術を説明しているが、所与の技術を本開示内容の発明に対する先行技術として認めたものと解釈されるべきではない。また、「発明の概要」も、請求項に記載されている発明の特徴を記載したものと解釈されるべきではない。さらに、本開示において「発明」を単数形で記載していても、本開示の新規性が1つのみであるという主張の根拠とされるべきではない。本開示から明らかとなる複数の請求項の限定事項によって複数の発明を記載することができるので、請求項は、1または複数の発明を定義しており、それらの均等物も保護される。いずれにしても、請求項の範囲は、本開示を鑑みて独立して考慮すべきであり、本明細書に記載したセクション名によって制限されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合曲率を持つレンズを提供する方法であって、
第1の所定の熱成形条件で第1の層を熱成形する段階と、
第2の所定の熱成形条件で第2の層を熱成形する段階と、
熱成形された前記第1の層および前記第2の層を結合する段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記第1の層は、直線偏光子材料を含み、前記第2の層は、位相差板材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記直線偏光子材料および前記位相差板材料のうち少なくとも一方は、熱成形の前の時点において、巻いた状態である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層を熱成形する段階および前記第2の層を熱成形する段階はさらに、前記第1の層を略曲面に形成する段階および前記第2の層を略曲面に形成する段階を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
熱成形された前記第1の層および前記第2の層を結合する段階はさらに、前記直線偏光子材料および前記位相差板材料を接着剤で結合する段階を有する請求項2に記載の方法。
【請求項6】
熱成形された前記第1の層および前記第2の層を結合する段階はさらに、紫外光源で前記接着剤を硬化させる段階を有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の層を熱成形する段階および前記第2の層を熱成形する段階は、略同時に実行される
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の層を一連の曲面に形成する段階および前記第2の層を一連の曲面に形成する段階はさらに、前記第1の層の略凸状の表面の曲率半径を、前記第2の層の略凹状の表面の曲率半径に実質的に一致させる段階を含む請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の層の加工および前記第2の層の加工を実質的に同期させて、前記第1の層の前記略凸状の表面を前記第2の層の前記略凹状の表面に接触させる段階をさらに備える請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の層および前記第2の層を結合する段階は、前記第1の層と前記第2の層との間に発生する差応力を最小限に抑えつつ行われる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第3の層を熱成形する段階をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記位相差板材料は、シクロオレフィンコポリマー材料である請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記直線偏光子材料は、ポリビニルアルコール材料である請求項2に記載の方法。
【請求項14】
複合曲率を持つレンズを製造する方法であって、
偏光子層を熱成形する段階と、
位相差板層を熱成形する段階と、
およそのレターデーション値を実質的に維持しつつ、第1面同士が接触した熱成形された前記偏光子層および前記位相差板層を組み合わせる段階と
を備える製造方法。
【請求項15】
前記偏光子層は、前記偏光子層を熱成形するために最適化された条件下で熱成形され、前記位相差板層は、前記位相差板層を熱成形するために最適化された条件下で熱成形される請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
熱成形した前記偏光子層および前記位相差板層を組み合わせる段階はさらに、前記偏光子層および前記位相差板層を積層する段階を有する請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記偏光子層および前記位相差板層を積層する段階はさらに、少なくとも熱成形された前記偏光子層の第1の表面に、接着剤を供給する段階を含む請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記偏光子層を熱成形する段階および前記位相差板層を熱成形する段階は、略同時に実行される請求項14に記載の製造方法。
【請求項19】
前記偏光子層の熱成形および前記位相差板層の熱成形を略同期させて、前記偏光子層の略凸状の表面を前記位相差板層の略凹状の表面と接触させる段階をさらに備える
請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
第1の所定の熱成形条件を用いて形成された、直線偏光子材料を有する第1の熱成形層と、
第2の所定の熱成形条件を用いて形成された、位相差板材料を含む第2の熱成形層と
を備え、
前記第1の熱成形層および前記第2の熱成形層は、接着剤によって結合される複合曲率を持つレンズ。
【請求項21】
前記直線偏光子材料及び前記位相差板材料を含む偏光材料は、複数の略曲面を持つ請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項22】
前記偏光材料の前記複数の略曲面は、前記第1の熱成形層の複数の略凸状の表面の曲率半径が、前記第2の熱成形層の複数の略凹状の表面の曲率半径と略一致している請求項21に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項23】
前記第1の熱成形層および前記第2の熱成形層は、略同時に熱成形される請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項24】
結合された前記第1の熱成形層および前記第2の熱成形層は、前記第1の熱成形層と前記第2の熱成形層との間の差応力が最小限に抑えられている請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項25】
第3の熱成形層をさらに備える請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項26】
前記直線偏光子材料は、ポリビニルアルコールを有する請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項27】
前記位相差板材料は、シクロオレフィンコポリマーを有する請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項28】
前記直線偏光子材料は、偏光軸を持ち、前記位相差板材料は、レターデーション軸を持ち、前記偏光軸は、前記レターデーション軸に対する角度が、前記レンズの中心領域において、43度と47度との間の範囲内になるように配向されている請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項29】
前記第1の所定の熱成形条件は、前記第2の所定の熱成形条件とは異なる請求項20に記載の複合曲率を持つレンズ。
【請求項30】
直交する円偏光を受光する立体視アイウェアであって、
第1のレンズと、
第2のレンズと、
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズを保持するフレームと
を備え、
前記第1のレンズは、
直線偏光子材料を含み、第1の所定の熱成形条件を用いて形成された第1の熱成形層と、
位相差板材料を含み、第2の所定の熱成形条件を用いて形成された第2の熱成形層と
を有し、
前記第1の熱成形層は、前記第2の熱成形層に結合されており、
前記直線偏光子材料は、偏光軸を持ち、前記位相差板材料は、レターデーション軸を持ち、前記偏光軸は、前記レターデーション軸に対する角度が、前記第1のレンズの中心領域において、+43度と+47度との間の範囲内になるように固定的に維持されており、
前記第2のレンズは、
直線偏光子材料を含み、前記第1の所定の熱成形条件を用いて形成された第3の熱成形層と、
位相差板材料を含み、前記第2の所定の熱成形条件を用いて形成された第4の熱成形層と
を有し、
前記第3の熱成形層は、前記第4の熱成形層に結合されており、
前記直線偏光子材料は、偏光軸を持ち、前記位相差板材料は、レターデーション軸を持ち、前記偏光軸は、前記レターデーション軸に対する角度が、前記第2のレンズの中心領域において、−43度と−47度との間の範囲内になるように固定的に維持されているアイウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−519108(P2013−519108A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551393(P2012−551393)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/023412
【国際公開番号】WO2011/094761
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504156256)リアルディー インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】RealD Inc.
【Fターム(参考)】