説明

複合機、情報処理装置、複合機制御システム、プログラムおよび記録媒体

【課題】転送先アドレスなどの制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行可能な複合機を実現する。
【解決手段】本発明に係る複合機1は、第1通信部14またはモデム15により受信された画像データを記憶する画像データ記憶部16と、当該画像データの送信元情報を含む受信情報を情報処理装置2に送信する第1通信部14と、情報処理装置2から受信した制御情報に従って、画像データ記憶部16により記憶された画像データに対して所定の処理を実行する機器制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機と情報処理装置とが連携して動作する複合機制御システムに関し、より詳細には、ファクシミリなどの通信機能を備えた複合機が受信した画像データに対する制御情報を情報処理装置で一元管理する複合機制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリを受信した際、送信元のファクシミリ番号やメールアドレスなどの送信元情報に応じて、予め登録された転送先に受信した画像データを転送する技術(Inbound Routing)が提案されている。
【0003】
このような技術に関連して、特許文献1には、複合機に予め登録された転送先を、通信可能な端末装置によって遠隔的に変更することができるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−060211号公報(2009年3月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、複合機ごとに転送先アドレスなどの制御情報が登録されているため、複数の複合機に登録された制御情報を変更する必要が生じた場合、複合機ごとに変更作業を行う必要がある。このため、制御情報の変更作業が非常に煩雑になるという問題を有している。
【0006】
そこで、特許文献1の問題を解決する手段として、複合機と通信可能な情報処理装置において、制御情報を一元管理するシステムが考えられる。すなわち、複合機によって受信された画像データを情報処理装置に転送し、情報処理装置が予め登録された制御情報に従って、画像データを所定の宛先に転送するシステムである。当該システムによれば、情報処理装置で一元管理された制御情報を変更するだけで、複数の複合機に対する制御情報を変更可能であるため、特許文献1の問題を解決することができる。
【0007】
ところが、このようなシステムでは、複合機によって受信された画像データを、まず複合機から情報処理装置に転送し、さらに、情報処理装置から所定の宛先に転送する必要がある。このため、複合機と情報処理装置との間のネットワークトラフィックが増大し、転送処理に時間を要するという新たな問題が生じる。特に、画像データサイズが大きい場合、転送処理に要する時間は長期化し、この問題はより顕在化する。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、転送先アドレスなどの制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行可能な複合機を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る複合機は、上記の課題を解決するために、通信ネットワークを介して画像データを受信する画像データ受信手段を備え、当該通信ネットワークを介して情報処理装置と通信可能な複合機において、上記画像データ受信手段により受信された画像データを記憶する画像データ記憶手段と、上記画像データ受信手段により受信された画像データの送信元情報を含む受信情報を、上記情報処理装置に送信する受信情報送信手段と、上記受信情報で示される内容で受信した画像データに対して実行する第1の処理内容を含む制御情報を、上記情報処理装置から受信する制御情報受信手段と、上記制御情報に従って、上記画像データ記憶手段により記憶された画像データに対して上記第1の処理内容を実行する機器制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
上記発明によれば、画像データ受信手段が通信ネットワークを介して画像データを受信したとき、画像データ記憶手段は当該画像データを記憶する。一方、受信情報送信手段は、画像データの送信元情報を含む受信情報を情報処理装置に送信する。
【0011】
ここで、受信情報とは、送信元情報などの画像データに関する各種の情報であり、送信元情報には、画像データ送信元のファクシミリ番号、電子メールアドレス、インターネットファクシミリアドレスなどが含まれる。
【0012】
そして、制御情報受信手段が情報処理装置から画像データに対して実行する第1の処理内容を含む制御情報を受信したとき、機器制御手段は、制御情報に従って、画像データに対して第1の処理内容を実行する。
【0013】
このように、上記発明は、受信した画像データを保持したまま、受信情報を情報処理装置に送信することにより、画像データに対する制御情報を取得する構成である。
【0014】
これにより、制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行可能な複合機を実現することができる。
【0015】
また、本発明に係る複合機では、上記第1の処理内容は、転送、印刷、削除または保存であることが好ましい。
【0016】
上記発明によれば、制御情報受信手段が受信する制御情報には、第1の処理内容として転送、印刷、削除または保存が含まれる。このため、機器制御部は、制御情報に従って、画像データに対して転送、印刷、削除または保存の処理を実行可能である。
【0017】
これにより、画像データに対して各種の処理を実行する可能となり、画像データに対する柔軟な運用を実現することができる。
【0018】
また、本発明に係る複合機では、上記制御情報は第2の処理内容を含み、上記機器制御手段は、上記第1の処理内容の実行が失敗したとき、上記第2の処理内容を実行することが好ましい。
【0019】
上記発明によれば、制御情報受信手段が受信する制御情報には、第1の処理内容に加えて、第2の処理内容が含まれている。そして、機器制御手段は、第1の処理内容の実行が失敗したとき、第2の処理内容を画像データに対して実行する構成である。
【0020】
例えば、第1の処理内容が画像データの転送である場合、機器制御部は、制御情報に従って画像データに対して転送処理を実行する。このとき、ネットワークトラブルなどの発生により画像データを転送することができない場合、未完了な転送ジョブが蓄積するという問題が生じる。そこで、転送エラーが発生した場合には、画像データに対して印刷処理を実行するように第2の処理内容を制御情報に含めておくことが好ましい。
【0021】
このように、第1の処理内容の実行エラー発生時に実行する第2の処理内容を制御情報に含めることにより、未完了なジョブが蓄積するなどの問題を解消することができる。
【0022】
また、本発明に係る複合機では、上記画像データ記憶手段に記憶された画像データに対する処理の開始または終了を、上記情報処理装置へ通知する通知手段を備えることが好ましい。
【0023】
上記発明によれば、通知手段は、画像データに対する処理の開始または終了を、情報処理装置へ通知する。このため、画像データに対する処理が正常に実行されたか否かを情報処理装置で把握することが可能となる。
【0024】
これにより、出力データの所在などの情報をユーザーに提供することが可能になる。
【0025】
また、本発明に係る複合機では、上記受信情報は、上記画像データ受信手段により受信された画像データの受信方式を特定する受信種別、画像データサイズ、通信開始時間、通信終了時間、または、回線の種類を含むことが好ましい。
【0026】
上記発明によれば、受信情報送信手段が情報処理装置に対して送信する受診情報には、画像データの受信方式を特定する受信種別、画像データサイズ、通信開始時間、通信終了時間、または、回線の種類が含まれる。
【0027】
受信種別とは、画像データ受信手段が受信した画像データの受信方式を特定するものであり、例えば、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、電子メールなどが含まれる。受信情報に受信種別を含めることにより、インターネットファクシミリ受信の場合は電子メールによる転送、電話回線を用いたファクシミリ受信の場合は印刷といった運用が可能となる。
【0028】
また、受信情報に画像データサイズを含めることにより、画像データサイズに応じて制御情報を変更することが可能となる。例えば、所定サイズ未満の画像データは携帯端末装置へ転送し、所定サイズ以上の画像データはPCへ転送するなどの運用が可能となる。
【0029】
また、受信情報に通信開始時間および通信終了時間を含めることにより、例えば、通信時間が長くかかった画像データは転送する際にも時間がかかることが想定されるため、所定の通信時間を越えた際には転送を行わないなどの運用が可能となる。
【0030】
また、回線の種類とは、例えば、複数のファクシミリ回線を備える場合に、画像データを受信したファクシミリ回線を特定するためのものである。受信情報としてファクシミリ回線の種類を含めることにより、例えば、ファクシミリ回線Aは発注依頼なので受信された画像データを営業部へ転送する、或いは、ファクシミリ回線Bは会社の本支社間の連絡用なので受信された画像データを印刷するといった運用が可能となる。
【0031】
このように、受信情報が受信種別、画像データサイズ、通信開始時間、通信終了時間、または、回線の種類を含むことにより、画像データに対する柔軟な運用を実現することができる。
【0032】
また、本発明に係る複合機では、上記制御情報は、上記画像データ記憶手段により記憶された画像データの転送先、または保存先を指定する宛先情報を含むことが好ましい。
【0033】
上記発明によれば、制御情報には、画像データの転送先、または保存先を指定する宛先情報が含まれる。
【0034】
このため、機器制御部は、制御情報に従って、所定の転送先に画像データを転送したり、所定のフォルダに画像データを保存することが可能となる。
【0035】
通常、宛名を特定できないファクシミリデータは、受信時に印刷されるか、或いは、印刷されずに蓄積されたとしてもプレビューで表示可能である。このため、不特定多数のユーザーがファクシミリデータを閲覧可能な状態にあり、このような状態では情報漏洩の問題が生じる。そこで、例えば、宛先情報で画像データの保存先を指定することにより、同一の送信元から送信された画像データは、特定のユーザーのフォルダへ保存するなどの処理を機器制御部に実行させることができる。
【0036】
これにより、不特定多数のユーザーによる画像データの閲覧を制限し、情報の漏洩を防止することが可能となる。
【0037】
本発明に係る情報処理装置は、上記の課題を解決するために、上記複合機と通信ネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、上記受信情報の中の少なくとも一部の情報であり、少なくとも送信元情報を含む特定情報と、当該特定情報で示される内容で受信した画像データに対して実行すべき第1の処理内容を含む制御情報とを対応付けて記憶する制御情報記憶手段と、上記受信情報送信手段から上記受信情報を受信する受信情報受信手段と、上記受信情報受信手段により受信された上記受信情報に対応する上記制御情報を、上記制御情報記憶手段から読み出す制御情報読出手段と、上記制御情報読出手段により読み出された上記制御情報を、上記制御情報受信手段に送信する制御を行う制御情報送信制御手段とを備えることを特徴としている。
【0038】
上記発明によれば、受信情報受信手段が受信情報を受信したとき、制御情報読出手段は、受信情報に対応する制御情報を、制御情報記憶手段から読み出す。そして、制御情報送信制御手段は、制御情報読出手段により読み出された制御情報を、制御情報受信手段に送信する制御を行う。すなわち、情報処理装置が制御情報を一元管理することができる。
【0039】
これにより、複合機に制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行させることが可能な情報処理装置を実現することがきる。
【0040】
本発明に係る複合機制御システムは、上記の課題を解決するために、上記複合機と、当該複合機と通信する、上記情報処理装置とを備えることを特徴としている。
【0041】
上記発明によれば、上記の課題を解決するために、複合機と、当該複合機と通信する、情報処理装置とを備えているため、複合機に制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行させることが可能な複合機制御システムを実現することがきる。
【0042】
なお、上記複合機および上記情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより複合機および上記情報処理装置をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明に係る複合機は、通信ネットワークを介して画像データを受信する画像データ受信手段を備え、当該通信ネットワークを介して情報処理装置と通信可能な複合機において、上記画像データ受信手段により受信された画像データを記憶する画像データ記憶手段と、上記画像データ受信手段により受信された画像データの送信元情報を含む受信情報を、上記情報処理装置に送信する受信情報送信手段と、上記受信情報で示される内容で受信した画像データに対して実行する第1の処理内容を含む制御情報を、上記情報処理装置から受信する制御情報受信手段と、上記制御情報に従って、上記画像データ記憶手段により記憶された画像データに対して上記第1の処理内容を実行する機器制御手段とを備えている。
【0044】
また、本発明に係る情報処理装置は、上記複合機と通信ネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、上記受信情報の中の少なくとも一部の情報であり、少なくとも送信元情報を含む特定情報と、当該特定情報で示される内容で受信した画像データに対して実行すべき第1の処理内容を含む制御情報とを対応付けて記憶する制御情報記憶手段と、上記受信情報送信手段から上記受信情報を受信する受信情報受信手段と、上記受信情報受信手段により受信された上記受信情報のうちの上記特定情報に対応する上記制御情報を、上記制御情報記憶手段から読み出す制御情報読出手段と、上記制御情報読出手段により読み出された上記制御情報を、上記制御情報受信手段に送信する制御を行う制御情報送信制御手段とを備えている。
【0045】
それゆえ、転送先アドレスなどの制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行可能な複合機、並びに、当該複合機を制御可能な情報処理装置を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る複合機および情報処理装置を備えた複合機制御システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示される複合機および情報処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示される制御情報管理DBで管理される制御情報管理テーブルの一例を示す表である。
【図4】図2に示される複合機と情報処理装置とが連携して行う画像データ連携処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4のS103で複合機から情報処理装置に対して送信される受信通知の一部を図示したものである。
【図6】図4のS106で情報処理装置から複合機に対して送信される制御通知の一部を図示したものである。
【図7】図6に示される制御通知の変形例を図示したものである。
【図8】本実施形態に係る画像データ連携処理の変形例を示すシーケンスである。
【図9】図8のS203で送信される処理開始通知の一部を図示したものである。
【図10】図8のS204で送信される処理終了通知の一部を図示したものである。
【図11】図3に示される制御情報管理テーブルの変形例を示す表である。
【図12】図2に示される画像データ記憶部の内部構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の一実施形態について図1から図12に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る複合機および情報処理装置を備えた複合機制御システムの一例について説明する。
【0048】
〔複合機制御システムの構成〕
図1は、本発明に係る複合機1および情報処理装置2を備えた複合機制御システム100の構成の一例を示す模式図である。
【0049】
図1に示されるように、複合機制御システム100は、複数の複合機1と、各複合機1と連携して動作する複数の情報処理装置2と、ユーザーを認証する認証サーバー3とを備え、LAN、WANといった通信ネットワーク回線50によってそれぞれが接続されている。このため、複合機制御システム100が備える各装置は、通信ネットワーク回線50を通じて所定の通信プロトコルによって通信可能になっている。
【0050】
通信ネットワーク回線50としては、インターネット、電話線、シリアルケーブル、または、他の有線回線、若しくは、無線回線などの各種の通信回線を利用することができる。本実施形態では、通信ネットワーク回線50は、ルーターから光ファイバを介してインターネットに接続されている。
【0051】
図2は、図1に示される複合機1および情報処理装置2の概略構成の一例を示すブロック図である。図2に示されるように、複合機1と情報処理装置2とは、通信ネットワーク回線50によって接続され、例えば、HTTP、HTTPS、またはSOAP(Simple Object Access Protocol)などの通信方式を用いて互いに通信可能である。以下、複合機1および情報処理装置2の構成について説明する。
【0052】
〔複合機の構成〕
まず、複合機1の構成について、図2を参照して説明する。図2に示されるように、複合機1は、機器制御部(機器制御手段)10と、操作部11と、画像読取部12と、画像形成部13と、第1通信部(画像データ受信手段・受信情報送信手段・制御情報受信手段・通知手段)14と、モデム(画像データ受信手段)15と、画像データ記憶部16とを備えたデジタル複合機である。
【0053】
機器制御部10は、複合機1が備える各部を制御するものである。機器制御部10は、外部装置からファクシミリ、インターネットファクシミリまたは電子メールなどを受信したとき、受信した画像データの受信情報を取得すると共に、当該画像データを画像データ記憶部16に保存する。ここで、受信情報とは、受信した画像データに関する各種の情報であり、例えば、ファクシミリ番号、インターネットファクシミリアドレスまたは電子メールアドレスなどの送信元情報のほか、受信種別(ファクシミリ、インターネットファクシミリ、電子メールなど)、画像データサイズ、通信開始時間、通信終了時間、或いは、ファクシミリ回線(回線種類)の種類など受信の内容に関する情報が含まれる。例えば、モデム15によりファクシミリを受信した場合、機器制御部10は、受信した画像データを画像データ記憶部16に保存する。
【0054】
また、機器制御部10は、取得した受信情報を、第1通信部14を介して情報処理装置2に送信するための受信通知を行う。なお、受信通知には、取得した全ての受信情報を含めてもよく、或いは、後述する登録受信情報(図3参照、特定情報)に対応する受信情報のみを含めてもよい。なお、登録受信情報に対応する受信情報のみを受信通知に含める構成であれば、複合機1と情報処理装置2との間のネットワークトラフィックを低減することができる。
【0055】
さらに、機器制御部10は、受信通知に対応した制御通知を情報処理装置2から取得したとき、当該制御通知に含まれる制御情報に従って、画像データに対して所定の処理を実行するように各部を制御する。例えば、制御情報において画像データの転送処理が指示されていた場合、機器制御部10は、対応する画像データを画像データ記憶部16から読み出し、当該読み出した画像データを所定の宛先に転送するように各部を制御する。或いは、制御情報において画像データの印刷が指示されていた場合、機器制御部10は、対応する画像データを画像データ記憶部16から読み出し、画像形成部13を制御して、読み出した画像データの印刷処理を実行する。
【0056】
また、機器制御部10は、ユーザーによって操作部11に入力された指示に応じて、各種の処理を制御する。例えば、操作部11に送信先のファックス番号や送信者名が入力され送信開始ボタンが押下されたとき、機器制御部10は、画像読取部12を制御して原稿の読み取らせ、読み取られた画像データをモデム15にファックス送信可能な形式で出力して、ファックス送信を実行させる。
【0057】
操作部11は、ユーザーに対して各種情報を通知するとともに、ユーザーの入力を受け付けるユーザーインターフェイスである。操作部11は、各種の入力キーを含む入力部11aと、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などの表示部11bとを備えている。なお、操作部11は、入力部11aと表示部11bとが一体として構成されたタッチパネルであってもよい。
【0058】
画像読取部12は、スキャナと、当該スキャナの位置まで原稿を搬送する原稿搬送部とを含んでおり、原稿に印刷された文字や画像などを画像データとして読み取るものである。
【0059】
画像形成部13は、用紙などの記録シートに対して、入力された画像データに対応する画像(文字/写真/グラフィック)を印刷するものであり、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、および用紙トレイなどを含む。具体的には、画像形成部13は、画像読取部12から入力された画像データ、または、第1通信部14またはモデム15を介して外部装置などから受信されたプリントデータやファクシミリなどの画像データに対して印刷処理を実行する。
【0060】
第1通信部14は、有線LAN(Local Area Network)、無線LANなどの通信ネットワーク回線50を介して、情報処理装置2およびその他の外部装置と通信するインターフェイスである。第1通信部14は、インターネットファクシミリまたは電子メールなどを外部装置から受信し、受信した画像データを機器制御部10に出力する。また、第1通信部14は、画像読取部12によって読み取られた画像データが適切な形式に変換された出力信号を、通信ネットワーク回線50を介して外部装置に送信する。なお、第1通信部14は、電子メールにより、画像データを送信することも可能である。
【0061】
モデム15は、電話回線51を介して、外部装置と通信するインターフェイスである。モデム15は、ファクシミリなどを外部装置から受信し、受信した画像データを機器制御部10に出力する。また、モデム15は、画像読取部12によって読み取られた画像データが適切な形式に変換された出力信号を、電話回線51を介して外部装置に送信する。
【0062】
画像データ記憶部16は、ファクシミリ、インターネットファクシミリまたは電子メールなどで受信した画像データを記憶するものである。画像データ記憶部16には、RAMやHDDなどを用いることができる。なお、画像データ記憶部16が記憶する画像データには、文字、写真、グラフィックなどの各種のデータが含まれる。
【0063】
〔情報処理装置の構成〕
次に、情報処理装置2の構成について、図2を参照して説明する。情報処理装置2は、パーソナル・コンピューター上にアプリケーションプログラムを組み込んで構成されている。図2に示されるように、情報処理装置2は、第2通信部(受信情報受信手段)20と、画像データ連携処理部21と、外部アプリケーション部22と、外部アプリケーション記憶部23とを備えたサーバコンピューターである。
【0064】
第2通信部20は、有線LANや無線LANなどの通信ネットワーク回線50を介して、複合機1およびその他の外部装置と通信するインターフェイスである。第2通信部20は、複合機1から受信通知を受信し、画像データ連携処理部21に出力する。また、第2通信部20は、画像データ連携処理部21から出力された制御通知を複合機1に送信する。
【0065】
画像データ連携処理部21は、複合機1と情報処理装置2とが連携して行う画像データ連携処理を制御するものである。画像データ連携処理部21は、複合機1が受信した画像データを受信情報により特定し、当該画像データに対して所定の処理が実行されるように、複合機1に対して制御情報を送信する。図2に示されるように、画像データ連携処理部21は、複合機管理部(制御情報読出手段)24と、複合機制御部(制御情報送信制御手段)25と、制御情報管理データベース(DB:制御情報記憶手段)26とを備えている。
【0066】
複合機管理部24は、制御対象となる複合機1の情報管理を行うものである。複合機管理部24は受信情報を取得したとき、当該受信情報を送信した複合機1が制御対象である否かを判定し、管理対象である場合、制御情報管理データベース(図3参照)26を参照する。そして、複合機管理部24は、受信情報に基づいて画像データに対して実行する処理内容を含む制御情報を制御情報管理テーブルから読み出し、当該制御情報を複合機制御部25に送る。
【0067】
複合機制御部25は、複合機1が受信した画像データに対して所定の処理が実行されるように、複合機管理部24により読み出された制御情報を、複合機1に送信するように制御するものである。具体的には、複合機制御部25は、複合機管理部24から制御情報を取得したとき、取得した制御情報を、第2通信部20を介して複合機1に送信する制御通知を行う。
【0068】
制御情報管理データベース26は、制御情報管理テーブルを記憶・保存するものである。制御情報管理テーブルには、登録識別情報と制御情報とが予め登録されており、互いに対応付けられた状態で管理されている。なお、制御情報管理テーブルの詳細については後述する。
【0069】
外部アプリケーション部22は、所定のウェブアプリケーションに従った動作を行うものである。すなわち、外部アプリケーション部22は、ウェブサーバ上で動作する各種のウェブアプリケーションに従った動作を行う。このウェブアプリケーションは、例えば、Java(登録商標)scriptで記載されたカスタムアプリケーションであり、ウェブサーバ上に設けられたJava(登録商標)script実行環境で動作するアプリケーションである。
【0070】
外部アプリケーション記憶部23は、複合機1を制御するための各種の外部アプリケーション27を記憶している。
【0071】
〔制御情報管理テーブル〕
次に、制御情報管理データベース26に保存される制御情報管理テーブルについて、図3を参照して説明する。
【0072】
図3は、制御情報管理データベース26で管理される制御情報管理テーブルの一例を示す表である。図3に示されるように、制御情報管理テーブルには、登録受信情報と制御情報とが予め登録されており、左側の欄で登録受信情報を、右側の欄で登録受信情報に対応する制御情報が管理されている。
【0073】
ここで、登録受信情報とは、複合機1が受信した画像データを特定するための情報(画像データを受信したときの受信の内容を示す情報ともいえる)であり、複合機1から送信される受信情報に含まれる各種の情報のうち、1つまたは2つ以上の情報が任意に登録されたものである。従って、登録受信情報には、送信元情報、受信種別、画像データサイズ、通信時間(通信開始時間、通信終了時間)、或いは、ファクシミリ回線の種類などが含まれる。
【0074】
送信元情報とは、複合機1が受信した画像データの送信元を特定するものであり、例えば、画像データ送信元のファクシミリ番号、インターネットファクシミリアドレスまたは電子メールアドレスなどが含まれる。登録受信情報として送信元情報を登録することにより、送信元のファクシミリ番号、インターネットファクシミリアドレスまたは電子メールアドレスごとに、画像データに対する制御情報を変更することが可能となる。図3に示される制御情報管理テーブルでは、左側第2列目に送信元情報の一例が示されている。
【0075】
受信種別とは、複合機1が受信した画像データの受信方式を特定するものであり、例えば、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、電子メールなどが含まれる。登録受信情報として受信種別を登録することにより、インターネットファクシミリ受信の場合は電子メールによる転送、電話回線を用いたファクシミリ受信の場合は印刷といった運用が可能となる。図3に示される制御情報管理テーブルでは、左側第1列目に受信種別の一例が示されている。
【0076】
画像データサイズとは、受信した画像データのサイズを特定するものであり、登録受信情報として画像データサイズを登録することにより、画像データサイズに応じて制御情報を変更することが可能となる。例えば、所定サイズ未満の画像データは携帯端末装置へ転送し、所定サイズ以上の画像データはPCへ転送するなどの運用が可能となる。
【0077】
通信時間とは、複合機1が画像データを受信する際の通信開始から通信終了までに要した時間を特定するものである。登録受信情報として通信時間を登録することにより、例えば、通信時間が長くかかった画像データは転送する際にも時間がかかることが想定されるため、所定の通信時間を越えた際には転送を行わないなどの運用が可能となる。
【0078】
ファクシミリ回線の種類とは、複合機1が複数のファクシミリ回線(電話回線)を備える場合に、画像データを受信したファクシミリ回線を特定するためのものである。登録受信情報としてファクシミリ回線の種類を登録することにより、例えば、ファクシミリ回線A(電話番号xxx-xxx-xxx1)は発注依頼なので受信された画像データを営業部へ転送する、或いは、ファクシミリ回線B(電話番号xxx-xxx-xxx2)は会社の本支社間の連絡用なので受信された画像データを印刷するといった運用が可能となる。
【0079】
なお、制御情報管理テーブルで管理する登録受信情報の種類および数は、必要に応じて適宜変更可能である。
【0080】
また、制御情報とは、登録受信情報で特定された画像データに対して所定の処理が実行されるように、複合機1を制御するための情報である。すなわち、制御情報は、登録受信情報で示される内容で受信された画像データに対して実行すべき所定の処理を示す情報である。制御情報には、画像データに対する処理内容や、転送先アドレスなどの宛先情報などが含まれる。
【0081】
処理内容(第1の処理内容)とは、受信した画像データに対して複合機1が実行する処理の内容を指示すものであり、例えば、転送、印刷、削除または保存などが含まれる。図3に示される制御情報管理テーブルでは、右側第2列目に処理内容の一例が示されている。
【0082】
転送は、受信した画像データを、電子メール、ファクシミリ、インターネットファクシミリ、SMB、HTTP POST、FTPなどのデータ転送プロトコルを用いて転送することを指示するものである。
【0083】
印刷は、受信した画像データを複合機1の印刷機能を用いて画像データを印刷することを指示するものである。具体的には、機器制御部10は、画像形成部13を制御して印刷用の画像形成を行わせ、画像データを記録紙などに印刷させる。
【0084】
削除は、受信した画像データを削除することを指示するものである。複合機1が受信した画像データには、広告目的に送信されるファクシミリや電子メールが含まれている可能性がある。このため、制御情報管理テーブルに登録受信情報として登録された特定の送信元からの画像データは、不要なものとして削除することが可能となる。或いは、制御情報管理テーブルに登録受信情報として登録されていない送信元からのデータを削除するように制御情報管理テーブルを設定し、複合機1を制御することも可能である。
【0085】
保存は、受信した画像データを複合機1が供える画像データ記憶部16に記憶した状態を維持することを指示するものである。これにより、例えば、ユーザーが操作部11を操作して画像データを閲覧し、必要であれば印刷を実行し、不要であれば削除するなど、画像データの見てから処理内容を選択することが可能となる。
【0086】
また、宛先情報とは、画像データの転送先、或いは、保存先などを指定するための情報であり、例えば、ファクシミリ番号、インターネットファクシミリアドレス、電子メールアドレス、フォルダ名などが含まれる。宛先情報は、処理内容が転送、或いは、保存の場合に登録される情報である。図3に示される制御情報管理テーブルでは、右側第1列目に宛先情報の一例が示されている。
【0087】
なお、制御情報管理テーブルで管理する制御情報の種類および数は、必要に応じて適宜変更可能である。
【0088】
このように、複合機制御システム100では、従来、複合機ごとに登録していた制御情報を、情報処理装置2で一元管理する構成である。このため、複数の複合機に登録された制御情報を変更する必要が生じた場合であっても、情報処理装置2で管理される制御情報管理テーブルの内容を変更するだけで、各複合機に対する制御情報を変更することができる。
【0089】
〔画像データ連携処理〕
次に、複合機制御システム100が備える複合機1と情報処理装置2とが連携して行う画像データ連携処理の流れについて、図4〜6を参照して説明する。
【0090】
図4は、複合機制御システム100が備える複合機1と情報処理装置2とが連携して行う画像データ連携処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、複合機1は、通信ネットワーク回線50や電話回線51を介して外部装置から画像データを受信することができる。具体的には、複合機1は、ファクシミリの場合は電話回線51を介して、また、インターネットファックス、電子メールなどの場合は通信ネットワーク回線50を介して、画像データを受信する。
【0091】
モデム15或いは第1通信部14を介して画像データを受信すると(S101)、機器制御部10は、受信した画像データの受信情報を取得すると共に、当該画像データを画像データ記憶部16に保存する。このとき、機器制御部10は、画像データに識別情報を付加して画像データ記憶部16に保存する。この識別情報は、後のステップ(S108)で取得する制御情報の対象となる画像データを画像データ記憶部16から読み出す際に用いられる。
【0092】
次に、機器制御部10は、取得した受信情報を含む受信通知を、第1通信部14を介して情報処理装置2に送信する。この受信通知には、受信種別、ファクシミリ番号、送信者名、電子メールアドレスなどの送信元情報、画像データサイズ、通信開始時間、通信終了時間などの受信情報のほか、画像データを識別するための識別情報などが含まれる。
【0093】
図5は、図4のS103で複合機1から情報処理装置2に対して送信される受信通知の一部を図示したものである。なお、図5に示される受信通知は、SOAPベースの一例であり、SOAPは、XML、HTTPなどをベースとした、データやサービスを呼び出すためのプロトコルである。このような受信通知を用いることにより、装置同士を連携させて処理を実行させることができる。
【0094】
図5に示される受信通知において、<fileId>1234</fileId>は識別情報、<type>fax</type>は受信種別、<number>0123-456-xxx</number>は送信元情報、<name>ABC株式会社</name>は送信者名、<size>5MB</size>は画像データサイズ、<startAt>20100501-123456</startAt>は通信開始時間、<endAt>20100501-123538</endAt>は通信終了時間をそれぞれ示している。なお、図5に示される受信通知では、識別情報を受信情報の項目に含めているが、本発明はこれに限定されない。例えば、識別情報に関しては受信情報の項目に含めずに別項目としてよい。
【0095】
次に、機器制御部10は、第1通信部14によって受信通知が情報処理装置2の送信が完了されたか否かを判定する(S103)。
【0096】
受信通知の送信が完了していない場合(S103でNo)、機器制御部10は、第1通信部14を制御して受信通知の再送信処理を行う。一方、受信通知の送信が完了している場合(S103でYes)、複合機1は、情報処理装置2からの制御通知を受信する、或いは、所定時間が経過するまで待機状態となる。
【0097】
一方、情報処理装置2では、第2通信部20を介して複合機1から受信通知を受信したとき(S104)、複合機管理部24は当該受信通知を送信した複合機1が管理対象である否かを判定する。例えば、複合機管理部24は、受信通知に含まれる機器情報などをキーとして、内部メモリを参照することにより複合機1が管理対象であるか否かを判定する。
【0098】
そして、受信通知を行った複合機1が管理対象である場合、複合機管理部24は制御情報管理データベース26を参照して制御情報を特定する(S105)。
【0099】
図3に示される制御情報管理テーブルを用いて具体的に説明すると、複合機管理部24は、まず、受信通知に含まれる受信情報と一致する登録受信情報が、制御情報管理データベース26の左側の欄に登録されているか否かを検索する。
【0100】
一致する登録受信情報が登録されている場合、複合機管理部24は、制御情報管理データベース26の右側の欄から制御情報を読み出し、読み出した制御情報を複合機制御部25に出力する。そして、複合機制御部25は、複合機管理部24から制御情報を取得したとき、取得した制御情報を、第2通信部20を介して複合機1の送信する制御通知を行う(S106)。
【0101】
図6は、図4のS106で情報処理装置2から複合機1に対して送信される制御通知の一部を図示したものである。図6に示される制御通知は、図5に示されるSOAPベースの受信通知に対する応答として、情報処理装置2から複合機1に対して送信されるものである。
【0102】
図6に示される制御通知において、<fileId>1234</fileId>は識別情報、<type>email</type>は処理内容、<address>sample@example.com</address>は宛先情報である。すなわち、図6に示される制御情報は、受信した画像データを「sample@example.com」に転送するように複合機1を制御するものである。
【0103】
情報処理装置2から制御通知を受信した場合(S107でYes)、機器制御部10は、待機状態から復帰して、制御通知から制御情報を取得する(S108)。
【0104】
一方、機器制御部10は、所定時間以内に制御通知を受信しなかった場合(S107でNo)、機器制御部10は、待機状態から復帰して、受信通知の再送信処理を行う。
【0105】
そして、機器制御部10は、制御情報に従って、画像データに対して所定の処理を実行するように各部を制御する(S109)。例えば、図6に示される制御通知を受信した場合、機器制御部10は、識別情報<fileId>1234</fileId>の用いて画像データを画像データ記憶部16から読み出し、処理内容<type>email</type>および宛先情報<address>sample@example.com</address>に従って、各部を制御する制御コマンドを生成し、読み出した画像データに対して転送処理を実行させる。
【0106】
以上のように、本実施形態に係る複合機1は、第1通信部14またはモデム15により受信された画像データを記憶する画像データ記憶部16と、当該画像データの送信元情報を含む受信情報を情報処理装置2に送信する第1通信部14と、情報処理装置2から受信した制御情報に従って、画像データ記憶部16により記憶された画像データに対して所定の処理を実行する機器制御手段とを備えている。
【0107】
また、本実施形態に係る情報処理装置2は、受信情報に含まれる登録受診情報と、当該登録受診情報に対応する制御情報とを記憶する制御情報管理DB26と、複合機1から受信情報を受信する第2通信部20と、第2通信部20により受信された受信情報に対応する制御情報を登録受信上方に基づいて制御情報管理DB26から読み出す取得する複合機管理部24と、複合機管理部24により読み出された制御情報を、複合機1に送信する制御を行う複合機制御部25とを備えている。
【0108】
従って、本実施形態に係る複合機制御システム100では、従来、複合機ごとに登録していた制御情報が、情報処理装置2で一元管理されるため、複数の複合機に登録された制御情報を変更する必要が生じた場合であっても、情報処理装置2の制御情報管理テーブルの内容を変更するだけで、各複合機に対する制御情報を変更することができる。
【0109】
また、本実施形態に係る複合機制御システム100によれば、複合機1が画像データを保持したまま、受信した画像データの受信情報を含む情報処理装置2に受信通知を送信するため、複合機1と情報処理装置2との間のネットワークトラフィックを低減することができる。
【0110】
従って、本実施形態によれば、複合機1に制御情報を登録することなく、受信した画像データに対して所定の処理を実行させることが可能な複合機制御システム100を実現することがきる。
【0111】
なお、本実施形態では、複合機1の機器制御部10が制御情報に従って制御コマンドを生成して、各部を制御する構成について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、情報処理装置2が備える複合機制御部25が制御情報に従って制御コマンドを生成し、複合機1の各部を直接制御する構成であってもよい。
【0112】
(変形例1)
上記実施形態では、図6を参照して、制御情報として処理内容と宛先情報とが含まれる制御通知について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、制御通知には、さらにエラー発生時の制御情報が含まれていてもよい。
【0113】
上述したように、複合機1が取得した制御情報が、画像データを所定の宛先に転送することを指示するものである場合、複合機1は、制御情報に従って画像データに対して転送処理を実行する。このとき、ネットワークトラブルなどの発生により画像データを所定の宛先に転送することができない場合が考えられる。転送エラーが発生した場合、再送信処理を実行するように複合機1を制御することも可能であるが、転送先に不具合がある場合、転送先の不具合が解消されるまで、複合機1は画像データを転送することができない。このため、未完了な転送ジョブが複合機1に蓄積するという問題が生じる。
【0114】
そこで、例えば、転送エラーが発生した場合には、複合機1で印刷処理を実行させる、或いは、電子メールで管理者にその旨を連絡するなど、転送エラー発生時の制御情報として第2の処理内容を制御通知に含めて複合機1に送信しておくことが好ましい。
【0115】
図7は、エラー発生時の制御情報を含む制御通知の一部を図示したものである。図7に示されるように、エラー発生時の制御情報を含む制御通知には、通常の制御情報に加えて、エラー発生時の制御情報が<error><process><type>print</type></process></error>を含まれている。図7に示される制御通知では、<type>print</type>が第2の処理内容を示しており、転送エラーが発生した場合の処理として印刷が指示されている。このため、複合機1は、当該制御通知を受信した場合、まず、通常の制御情報に従って画像データに対して転送処理を実行する。そして、転送エラーが発生した場合には、エラー発生時の制御情報に従って画像データに対して印刷処理を実行する。
【0116】
このように、エラー発生時の制御情報を制御通知に含めることにより、未完了なジョブが複合機1に蓄積するなどの問題を解消することができる。
【0117】
(変形例2)
上記実施形態では、図4を参照して、複合機1から情報処理装置2に対して受信通知を送信し、その応答として情報処理装置2から複合機1に対して制御情報を送信する画像データ連携処理の流れについて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、画像データ連携処理において、複合機1から情報処理装置2に対して処理開始通知および処理終了通知を送信する構成であってもよい。
【0118】
複合機1に対して制御通知を通知し、画像データに対する所定の処理の実行させた場合、その処理が正常に実行されたか否かを情報処理装置2で把握することが好ましい。例えば、画像データに対して所定の宛先への転送を指示した場合、複合機1において転送処理が正常に実行されたか否か、或いは、エラー発生時の印刷処理が正常に実行された否かなどを情報処理装置2で把握することができれば、出力データの所在などの情報をユーザーに提供することが可能になる。
【0119】
図8は、複合機制御システム100が備える複合機1と情報処理装置2とが連携して行う画像データ連携処理の変形例を示すシーケンスである。図8に示されるように、複合機1は、制御通知を受信後(S202)、処理の開始を通知する処理開始通知(A203)と、処理の終了を通知する処理御終了通知(S204)とを情報処理装置2に送信する。この場合、どの画像データに対するジョブの通知であるかを特定することができるように、受信通知、処理開始通知、処理終了通知には、JobIdのような一意にジョブを特定可能な識別情報がそれぞれ含まれている。
【0120】
図9は、図8のS203で送信される処理開始通知の一部を図示したものであり、また、図10は、図8のS204で送信される処理終了通知の一部を図示したものである。図9および図10に示されるように、処理開始通知および処理終了通知には、図5に示される受信通知と同様に、識別情報が含まれており、これにより、どの画像データに対する処理の通知であるかを特定することができる。
【0121】
このように、複合機1から情報処理装置2に対して、処理開始通知および処理御終了通知を送信することにより、複合機1で行われる処理が正常に実行されたか否かを情報処理装置2で把握することができるため、出力データの所在などの情報をユーザーに提供することが可能になる。
【0122】
(変形例3)
上記実施形態では、図3を参照して、制御情報管理テーブルに、制御情報として処理内容および宛先情報とが登録された構成について説明した。このような、制御情報管理テーブルを用いて、登録受信情報ごとに画像データの保存先を指定することにより、第3者による画像データの閲覧を制限し、情報の漏洩を防止することも可能である。
【0123】
通常、宛名を特定できないファクシミリデータは、受信時に印刷されるか、或いは、印刷されずに複合機1に蓄積されたとしてもプレビューで表示可能である。このため、不特定多数のユーザーがファクシミリデータを閲覧可能な状態にあり、このような状態では情報漏洩の問題が生じる。そこで、制御情報管理テーブルにおいて、登録受信情報ごとに画像データの保存先を指定することにより、第3者による画像データの閲覧を制限し、情報の漏洩を防止することが可能となる。
【0124】
図11は、制御情報管理テーブルの変形例を示す表である。図11に示される制御情報管理テーブルでは、画像データの保存先としてユーザーフォルダが指定されており、この制御情報を取得した機器制御部10は、当該制御情報に従って画像データを所定のユーザーフォルダに保存する処理を実行する。なお、ユーザーフォルダが格納される場所は特に限定されないが、ここでは、画像データ記憶部16に各ユーザーフォルダが格納されているものとする。
【0125】
図12は、画像データ記憶部16の内部構成の一例を示す模式図である。図12に示されるように、画像データ記憶部16には、複数のユーザーフォルダが格納されており、各ユーザーフォルダには、送信元情報ごとに画像データが保存されている。例えば、「User1」のフォルダには、2つの画像データのファイルが保存されており、「User2」のフォルダには、画像データのファイルが保存されていないことを示している。
【0126】
そして、ユーザーが複合機1の操作を開始し、認証処理によりログインユーザーが特定されたとき、機器制御部10は、対応するユーザーフォルダに保存された画像データを読み出し、読み出した画像データを表示部11bに表示させる。或いは、機器制御部10は、対応するユーザーフォルダに保存された画像データの有無を表示部11bに表示させるように各部を制御する。
【0127】
このように、制御情報管理テーブルにおいて、送信元情報ごとに画像データの保存先を指定することにより、第3者による画像データの閲覧を制限し、情報の漏洩を防止することが可能となる。
【0128】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0129】
最後に、複合機1および情報処理装置2の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0130】
すなわち、複合機1および情報処理装置2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
【0131】
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである機器制御部10および画像データ連携処理部21の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、複合機1および情報処理装置2に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0132】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0133】
また、複合機1および情報処理装置2を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、ファクシミリなどの通信機能を備えた複合機が受信した画像データに対する制御情報を情報処理装置で一元管理する複合機制御システムに好適に利用可能することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 複合機
2 情報処理装置
10 機器制御部(機器制御手段)
14 第1通信部(画像データ受信手段・受信情報送信手段・制御情報受信手段・通知手段)
15 モデム(画像データ受信手段)
16 画像データ記憶部(画像データ記憶手段)
20 第2通信部(受信情報受信手段)
21 画像データ連携処理部
24 複合機管理部(制御情報読出手段)
25 複合機制御部(制御情報送信制御手段)
26 制御情報データベース(制御情報記憶手段)
50 通信ネットワーク回線(通信ネットワーク)
51 電話回線(通信ネットワーク)
100 複合機制御システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して画像データを受信する画像データ受信手段を備え、当該通信ネットワークを介して情報処理装置と通信可能な複合機において、
上記画像データ受信手段により受信された画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
上記画像データ受信手段により受信された画像データの送信元情報を含む受信情報を、上記情報処理装置に送信する受信情報送信手段と、
上記受信情報で示される内容で受信した画像データに対して実行する第1の処理内容を含む制御情報を、上記情報処理装置から受信する制御情報受信手段と、
上記制御情報に従って、上記画像データ記憶手段により記憶された画像データに対して上記第1の処理内容を実行する機器制御手段と、
を備えることを特徴とする複合機。
【請求項2】
上記第1の処理内容は、転送、印刷、削除または保存であることを特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
上記制御情報は第2の処理内容を含み、
上記機器制御手段は、上記第1の処理内容の実行が失敗したとき、上記第2の処理内容を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の複合機。
【請求項4】
上記画像データ記憶手段に記憶された画像データに対する処理の開始または終了を、上記情報処理装置へ通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の複合機。
【請求項5】
上記受信情報は、上記画像データ受信手段により受信された画像データの受信方式を特定する受信種別、画像データサイズ、通信開始時間、通信終了時間、または、ファクシミリ回線の種類を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の複合機。
【請求項6】
上記制御情報は、上記画像データ記憶手段により記憶された画像データの転送先、または保存先を指定する宛先情報を含むことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の複合機。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の複合機と通信ネットワークを介して通信可能な情報処理装置であって、
上記受信情報の中の少なくとも一部の情報であり、少なくとも送信元情報を含む特定情報と、当該特定情報で示される内容で受信した画像データに対して実行すべき第1の処理内容を含む制御情報とを対応付けて記憶する制御情報記憶手段と、
上記受信情報送信手段から上記受信情報を受信する受信情報受信手段と、
上記受信情報受信手段により受信された上記受信情報のうちの上記特定情報に対応する上記制御情報を、上記制御情報記憶手段から読み出す制御情報読出手段と、
上記制御情報読出手段により読み出された上記制御情報を、上記制御情報受信手段に送信する制御を行う制御情報送信制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合機と、当該複合機と通信する、請求項7に記載の情報処理装置とを備えることを特徴とする複合機制御システム。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合機が備える上記の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項7に記載の情報処理装置が備える上記の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項9または10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−60229(P2012−60229A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198874(P2010−198874)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】