説明

複合機

【課題】画像形成部を含む本体ユニットの上部に、ADFユニットを備える複合機に関し、当該複合機の小型化に対応しうる複合機を提供する。
【解決手段】複合機1は、ADFユニット15を含む上部カバー10と、スキャナユニット60、画像形成ユニット70を含む本体筐体50を備える。ADFユニット15は、原稿Sの画像を読み取る為に、原稿Sを原稿搬送経路25に沿って搬送する。原稿搬送経路25は、前記原稿Sの短辺方向に対応する幅を有し、複合機1の左右方向に沿って延びており、原稿搬送経路25の左端部にUターン経路26を備える。駆動モータMは、左右方向において、Uターン経路26よりも左側であって、前後方向において、原稿搬送経路25の幅に対応する範囲内に配設され、原稿搬送機構部30に対して駆動力を付与する。画像形成ユニット70で画像が形成される記録用紙Pは、その長辺が左右方向に沿った状態で給紙カセット5に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ機能、プリンタ機能等を有する多機能機であって、画像形成部を含む本体ユニットの上部に、ADFユニットを備える複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機は、画像形成部等を含む本体ユニットと、当該本体ユニットの上部に配設されたADFユニット(所謂、ADF:Auto Document Feeder)と、を有して構成されており、プリンタ機能、スキャナ機能等の種々の機能を実現している。このような複合機において、ADFユニットは、読取部によって、長方形状の原稿の画像を読み取るために、当該原稿を順次、所定の搬送経路に沿って搬送するように構成されている。又、画像形成部は、長方形状の記録紙を搬送しつつ、当該記録紙に対する画像の形成を行うように構成されている。
【0003】
このような複合機に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。特許文献1記載の複合機は、本体と、本体上面に対して開閉自在に配設された原稿押さえカバーとを有して構成されており、本体は、画像形成部、読取部を有し、原稿押さえカバーには、ADFユニットが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−139971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のような複合機において、ADFユニットは、複合機の操作パネル側を前方とした場合の左右方向に沿って伸びた搬送経路に従って、駆動モータの駆動により、長方形状の原稿を搬送するように構成されている。そして、当該原稿は、その短辺を搬送方向上流側及び下流側としつつ、搬送経路に沿って搬送される。
【0006】
ここで、当該複合機において、駆動モータは、ADFユニットにおける搬送経路よりも後方(複合機の背面側)に配設されており、当該搬送経路の後側で、原稿を搬送するための部材(例えば、搬送ローラ等)にその駆動力を伝達するように構成されている。この結果、このような複合機においては、駆動モータの配設位置がADFユニットの搬送経路よりも後方となっているため、複合機の奥行方向(前後方向)を小型化する上で障害となってしまう。
【0007】
更に、当該複合機において、本体に形成された画像形成部は、本体前面から装着される給紙カセット内の記録用紙を、給紙・搬送しつつ、当該記録用紙上に画像を形成する。当該給紙カセットにおいて、長方形状の記録用紙は、その短辺が複合機の左右方向に沿った状態(記録用紙の長辺が複合機の前後方向に沿った状態)で収容されており、画像を形成する際には、当該短辺を先頭に複合機の前後方向に沿って搬送される。従って、画像形成部においても、記録用紙の長辺が複合機の奥行方向に沿った態様で、記録用紙が収容されるため、複合機の奥行方向(前後方向)を小型化する上で障害となってしまう。
【0008】
本発明は、画像形成部を含む本体ユニットの上部に、ADFユニットを備える複合機に関し、小型化に対応しうる複合機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る複合機は、ADFユニットと、当該ADFユニットの下方に配置され、画像形成手段を有する本体ユニットとを有して構成されている。当該ADFユニットは、搬送経路と、搬送手段と、駆動モータと、を有し、画像を読み取る読取部によって、長方形状の原稿の画像を読み取る為に、当該原稿を所定の搬送経路に沿って搬送する。ここで、搬送経路は、前記原稿の短辺方向に対応する幅を有し、前記複合機の上下方向に直交する第1方向に沿って延びている。そして、当該搬送経路は、当該原稿の搬送方向を変換するUターン経路を、前記複合機の第1方向の一端部に備えている。そして、搬送手段は、前記原稿の長辺が前記複合機の第1方向に沿うように、前記原稿を前記搬送経路に従って搬送する。駆動モータは、前記複合機の第1方向において、前記Uターン経路よりも外側であって、前記複合機の第2方向において、前記搬送経路の幅に対応する範囲内に配設され、前記搬送手段に対して駆動力を付与する。前記複合機の第1方向において、前記Uターン経路よりも外側であって、前記複合機の第2方向において、前記搬送経路の幅に対応する範囲内に、駆動モータが配設されることにより、当該複合機は、第2方向における装置外形を小型化しうる。
又、当該本体ユニットは、記録紙の長辺が前記複合機の第1方向に沿った状態で当該記録紙を収容する収容部と、長方形状の記録紙を搬送しつつ、当該記録紙に対して画像を形成する画像形成手段と、を有している。当該複合機によれば、収容部において、記録紙は、その長辺が第1方向に沿った状態で収容されているため、当該複合機は、第2方向における装置外形を小型化しうる。
【0010】
そして、本発明の他の側面に係る複合機において、前記駆動モータは、当該駆動モータの一部が前記ADFユニットの下面から下方に突出するように配設されている。又、前記本体ユニットは、コンタクトガラスと、読取部と、凹部とを、その上面に有している。凹部は、前記本体ユニットの上面において、前記ADFユニット下面における駆動モータの配設位置に対応する部分に形成され、前記ADFユニットの下面から突出した前記駆動モータの一部を収容可能に構成されている。従って、当該複合機は、本体ユニット上面に形成された凹部に、駆動モータの一部を収容可能に構成することによって、その上下方向のサイズを小型化しうる。
【0011】
又、本発明の他の側面に係る複合機において、前記画像形成手段は、前記ADFユニットの搬送手段によって搬送される原稿の搬送方向と交差する方向に、前記記録紙を搬送する。記録紙は、記録紙の長辺が前記複合機の第1方向に沿った状態で収容部に収容されており、前記ADFユニットの搬送手段によって搬送される原稿の搬送方向(即ち、複合機の第1方向)と交差する方向に搬送される。この結果、当該複合機は、画像形成手段における記録紙の搬送経路を短く構成することができ、第2方向における装置外形を小型化しうる。
【0012】
そして、本発明の他の側面に係る複合機において、前記ADFユニットは、第1ギヤ列と、第2ギヤ列と、伝達ギヤとを有している。第1ギヤ列は、前記搬送経路に沿って、前記複合機の第1方向に延び、前記搬送手段に対して前記駆動モータの駆動力を伝達する。第2ギヤ列は、前記複合機の第2方向において、前記第1ギヤ列と異なる位置で、駆動モータの駆動軸から前記複合機の第1方向に向かって延び、当該駆動モータによる駆動力を伝達する。そして、伝達ギヤは、前記複合機の第2方向における前記第1ギヤ列と前記第2ギヤ列の間に相当する厚みを有し、前記第1ギヤ列の一端部に位置するギヤと、前記第2ギヤ列の一端部に位置するギヤと接触する。従って、駆動モータの駆動力は、第1ギヤ列、伝達ギヤ、第2ギヤ列を介して、搬送手段に伝達される。即ち、駆動モータが、前記複合機の第1方向において、前記Uターン経路よりも外側であって、前記複合機の第2方向において、前記搬送経路の幅に対応する範囲内に配設されている場合においても、当該複合機は、ADFユニットにおける第2方向のサイズを大きくすることなく、限られたスペースを活用して、駆動モータの駆動力を搬送手段に伝達しうる。
【0013】
又、本発明の他の側面に係る複合機は、前記ADFユニットを、前記本体ユニットに対して支持するヒンジ部を有し、当該ヒンジ部によって、前記ADFユニットが前記本体ユニットの上面を覆う閉鎖位置と、前記本体ユニットの上面を露出する開放位置との間を開閉可能に支持されている。そして、当該ヒンジ部は、前記駆動モータと前記第1ギヤ列が隣接する前記本体ユニットの上面における角部分に配設されている。従って、当該複合機によれば、駆動モータと第1ギヤ列が隣接する前記本体ユニットの上面における角部分を有効活用でき、第2方向における装置外形を小型化しうる。
【0014】
そして、本発明の他の側面に係る複合機であって、前記ヒンジ部は、前記ADFユニットを開閉自在に軸支する回動軸を有し、前記コンタクトガラスの端縁に沿った位置で、所定範囲内を上下動可能に配設されている。そして、前記回動軸は、前記所定範囲内において前記ヒンジ部が最も下方に位置する場合も、前記本体ユニットの上面よりも上方に位置する。これにより、当該複合機は、コンタクトガラスの端縁に沿った位置にヒンジ部を設けたとしても、ADFユニットの回動を妨げることなく、もって、第2方向における装置外形を小型化しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】複合機の外観斜視図である。
【図2】複合機における上部カバー、スキャナユニットの構成を示す断面図である。
【図3】上部カバーにおけるADFユニットの構成を示す断面図である。
【図4】複合機における駆動モータ、原稿搬送機構部、伝達機構部の構成を示す斜視図である。
【図5】複合機における駆動モータ、原稿搬送機構部、伝達機構部の配置を示す上面図である。
【図6】上部カバーを開放位置にした状態を示す説明図である。
【図7】ヒンジ部の構成を示す断面図である。
【図8】駆動モータ、搬送経路、給紙カセット内の記録用紙の配置を示す上面図である。
【図9】複合機における画像形成部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る複合機を、ADFユニット15、画像形成ユニット70を有する複合機1に具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
先ず、本実施形態に係る複合機1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明においては、複合機1が使用可能に設置された状態を基準として、複合機1の上下方向を定義し、操作パネル2が配設されている側を手前側(正面)として、前後方向を定義して説明する。又、複合機1の左右方向については、複合機1の手前側(正面)から見た場合の左右方向として定義して説明する。
【0018】
図1に示すように、複合機1は、上部カバー10と、本体筐体50とを有している。上部カバー10は、本体筐体50上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されており、その左側部分に、ADFユニット15(所謂、ADF:Auto Document Feeder)を備えている。ADFユニット15は、原稿Sの画像を読み取るために、原稿Sを所定の原稿搬送経路25に沿って搬送するユニットである。当該ADFユニット15の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
そして、本体筐体50は、複合機1における各種機能(スキャナ機能、ファクシミリ機能、及びプリンタ機能等)を実現するための各種構成部品を、当該本体筐体50内部に収容している。具体的には、本体筐体50は、その上部にスキャナユニット60を有し、当該スキャナユニット60の下方に、画像形成ユニット70を有している。スキャナユニット60は、原稿Sの画像を読み取る。画像形成ユニット70は、スキャナユニット60による読取や、外部から入力された画像データに基づいて、記録用紙P上に画像を形成するユニットである。スキャナユニット60及び画像形成ユニット70の構成については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
ここで、上部カバー10は、本体筐体50上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されており、図1〜図3等に示すように、上部カバー10を閉じた場合に本体筐体50上面(即ち、スキャナユニット60の上面)を覆う。従って、上部カバー10を閉じた場合、当該上部カバー10は、スキャナユニット60の読取対象として、後述するコンタクトガラス61上にセットされた原稿Sをその位置に固定しうる。
【0021】
そして、本体筐体50は、当該複合機1の制御の中枢を担う制御部を収容している。当該制御部は、CPU、ROM、RAM等を有しており、ADFユニット15、スキャナユニット60、及び画像形成ユニット70等を制御することにより、複合機1における各種機能(スキャナ機能、ファクシミリ機能、及びプリンタ機能等)を実現する。
【0022】
更に、本体筐体50は、その前側上面に、複数の操作部を有する操作パネル2と、種々の情報を表示する液晶ディスプレイ3を有している。操作パネル2は、制御部と接続されており、複合機1に対する種々の指示を入力する際に操作される。従って、制御部は、操作パネル2に対するユーザの入力操作に基づいて、ユーザ所望の制御を実行しうる。又、液晶ディスプレイ3は、制御部と接続されている。従って、制御部は、操作パネル2に対するユーザの入力操作や演算処理結果に基づいて、液晶ディスプレイ3上に種々の情報を表示しうる。
【0023】
本体筐体50の前面には、前方が開放された空間が形成されており、当該空間には、給紙カセット5が脱着可能に取り付けられている。当該給紙カセット5は、画像形成ユニット70による画像形成に用いられる被記録媒体である長方形状をなす記録用紙Pを積層状態で収容している。給紙カセット5内部において、記録用紙Pは、複合機1の左右方向に沿って当該記録用紙Pの長辺が位置するように収容されている(図8参照)。
又、当該給紙カセット5を前記空間に装着した場合、排紙収容空間6が、当該空間における給紙カセット5の上方に形成される。当該排紙収容空間6は、画像形成ユニット70により画像が形成された記録用紙Pが排紙される空間であり、画像が形成された記録用紙Pは、給紙カセット5上面に順次積層される。
【0024】
次に、複合機1におけるADFユニット15の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2〜図5に示すように、当該ADFユニット15は、原稿載置部20と、原稿搬送経路25と、原稿搬送機構部30と、駆動モータMと、伝達機構部40とを主に備えて構成されており、原稿載置部20に載置された原稿Sを所定の原稿搬送経路25(図3参照)に沿って搬送する。
【0025】
原稿載置部20は、上部カバー10の左右方向における中央部分で、且つ上下方向の中間部分に形成された平面であり、ADFユニット15による搬送対象である原稿Sが、その長辺が左右方向に沿った状態(つまり、短辺が複合機1の前後方向に沿った状態)で載置される部分である。当該原稿載置部20は、原稿搬送経路25における一端側に沿って形成されている。
【0026】
原稿載置部20の上方には、仕切板21が、当該原稿載置部20との間に一定の間隔を隔てて形成されており、ADFユニット15内部において、原稿搬送機構部30の上方部分を覆う仕切りとして機能する。又、当該仕切板21は、原稿搬送経路25における他端側に沿って形成され、その上面には、ADFユニット15によって搬送された原稿Sが積層される。
【0027】
当該原稿搬送経路25は、複合機1の左右方向に沿って、原稿載置部20から延び、仕切板21表面を接続するように、ADFユニット15内部に形成されており、Uターン経路26を有している。そして、当該原稿搬送経路25は、原稿Sの短辺に相当する幅(複合機1における前後方向の寸法)を有している。上述したように、原稿Sは、原稿載置部20において、原稿Sの長辺が複合機1の左右方向に沿って載置されており、複合機1の左右方向に沿って延びる原稿搬送経路25に従って搬送される。従って、原稿Sは、その短辺が複合機1の前後方向に沿った状態で、原稿搬送経路25上を搬送される。
【0028】
そして、Uターン経路26は、ADFユニット15の左側部分に、側面視略U字状に形成されており、原稿載置部20から左方向に向かって搬送された原稿の搬送方向を180度変換しつつ、仕切板21表面に導くための経路である(図3参照)。従って、Uターン経路26は、原稿搬送経路25の内、上部カバー10における左側(後述するコンタクトガラス61よりも左側)に位置する。
【0029】
尚、本実施形態においては、原稿載置部20表面から原稿搬送経路25に沿って仕切板21へ向かう方向を原稿Sの搬送方向という。そして、原稿搬送経路25の幅は、原稿Sの短辺に相当する幅であって、原稿Sの短辺と同サイズ若しくは、原稿Sを円滑に搬送可能なように、原稿Sの短辺に対して一定の余裕を有するサイズを意味する。
【0030】
図3、図4に示すように、原稿搬送機構部30は、ADFユニット15において、原稿載置部20に載置された原稿Sを、給紙・搬送する為の機構部であり、駆動モータMの駆動力が伝達機構部40を介して伝達されることにより、原稿Sを原稿搬送経路25に沿って搬送方向下流側へ搬送する。
【0031】
原稿搬送機構部30は、原稿供給ローラ31、原稿接触部材31A、原稿分離ローラ32、分離パッド33、原稿搬送ローラ対34、メインローラ35、第1従動ローラ36、第2従動ローラ37を有している。原稿供給ローラ31は、原稿載置部20の搬送方向下流側において原稿搬送経路25を搬送される原稿Sの下面に沿う位置に回転自在に軸支されており、駆動モータMの駆動により、原稿載置部20に載置された原稿Sを搬送方向下流側へ搬送する。
【0032】
原稿接触部材31Aは、原稿搬送経路25を介して、原稿供給ローラ31と対向する位置に揺動自在に配設されており、原稿供給ローラ31上に位置する原稿Sの上面と接触している。当該原稿接触部材31Aは、原稿載置部20に積載された原稿Sを、原稿供給ローラ31に押圧する。又、原稿接触部材31Aは、原稿Sの分離を円滑に行うために、原稿Sを捌く機能を有する。
【0033】
原稿分離ローラ32は、原稿供給ローラ31よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路25を搬送される原稿Sの下面に沿う位置に回転自在に軸支されており、駆動モータMの駆動に伴って回転する。そして、当該原稿分離ローラ32は、分離パッド33と協働することで、一枚の原稿Sのみを分離して搬送方向下流側へ搬送する。
【0034】
尚、原稿分離ローラ32と原稿供給ローラ31の間には、原稿供給ローラ31に伝達された駆動力を、原稿供給ローラ31に伝達する為の機構部が配設されている。従って、駆動モータMの駆動力は、原稿分離ローラ32及び当該機構部を介して、原稿供給ローラ31に伝達される。
【0035】
分離パッド33は、所定の可撓性及び摩擦係数を有する材料で構成された薄板状の部材であり、原稿接触部材31Aよりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路25を介して、原稿分離ローラ32と対向する位置に配設されている。そして、当該分離パッド33は、原稿分離ローラ32上に位置する原稿Sの上面に接触するように配設されており、当該原稿Sに摩擦力を付与することによって、原稿分離ローラ32と協働して、原稿Sを一枚ずつに分離する。
【0036】
原稿搬送ローラ対34は、原稿分離ローラ32及び分離パッド33よりも搬送方向下流側において、原稿搬送経路25を介して相互に対向する位置に回転自在に軸支されている。原稿搬送ローラ対34の内、原稿搬送経路25の上部に位置するローラは、駆動モータMの駆動力によって回転駆動し、原稿搬送経路25の下部に位置するローラは、対向するローラの回転に伴って従動する。原稿搬送ローラ対34は、原稿分離ローラ32等によって一枚ずつに分離された原稿を挟持しつつ回転することによって、当該原稿Sを、原稿搬送経路25に沿って搬送方向下流側に搬送する。
【0037】
メインローラ35は、原稿搬送経路25を構成するUターン経路26に沿う位置に回転自在に軸支されており、駆動モータMの駆動により回転駆動する。又、当該メインローラ35の外周面は、そのメインローラ35と対向する湾曲形状のガイド面26Aと共に、Uターン経路26の一部を構成し、当該メインローラ35が回転することによって、原稿搬送ローラ対34から搬送された原稿Sを、Uターン経路26に沿って搬送する。
【0038】
第1従動ローラ36は、メインローラ35の下側において、原稿搬送経路25(Uターン経路26)を介して対向する位置に回転可能に軸支されており、メインローラ35の回転に伴って従動する。又、第2従動ローラ37は、メインローラ35の上側において、原稿搬送経路25(Uターン経路26)を介して対向する位置に回転可能に軸支されており、メインローラ35の回転に伴って従動する。従って、原稿Sは、メインローラ35、第1従動ローラ36、第2従動ローラ37の回転によって、Uターン経路26に従って搬送される。
【0039】
駆動モータMは、ADFユニット15における原稿Sの搬送に関する駆動源であり、制御部の制御に従って駆動する。図2〜図4、図6に示すように、当該駆動モータMは、その一部が本体筐体50側に突出するように配設されている。従って、当該複合機1は、上部カバー10(ADFユニット15)の内部に、駆動モータM全体を収納する場合と比較して、上部カバー10の厚み(上下方向の寸法)を小さくしうる。
【0040】
図2〜図6、図8に示すように、駆動モータMは、複合機1の左右方向において、原稿搬送経路25の内、最も左側に位置するUターン経路26よりもガイド面26Aを挟んで左側に配設されている。そして、駆動モータMは、複合機1の前後方向において、原稿搬送経路25の幅に対応する範囲内であって、複合機1の後部側に配設されている(図4、図5参照)。従って、当該複合機1は、従来のように駆動モータMが原稿搬送経路25の後側に配設されている場合に比べて、上部カバー10の前後方向のサイズを小さくすることができる。又、この場合、当該複合機1は、上部カバー10の前後方向のサイズを小さくしたとしても、Uターン経路26よりも左側に駆動モータMが配設されているため、原稿搬送経路25における原稿Sの搬送を妨げることはない。
【0041】
そして、伝達機構部40は、駆動モータMの駆動力を原稿搬送機構部30に伝達する為の機構部であり、第1ギヤ列41、第2ギヤ列42、伝達ギヤ43により構成される(図4、図5参照)。第1ギヤ列41は、駆動モータMから上部カバー10の後方に向かって延びる駆動軸に接続されており、複合機1の左右方向に沿って、複数のギヤを列設することにより構成されている。当該第1ギヤ列41は、メインローラ35の回転軸に取り付けられたギヤを含んでおり、駆動モータMの駆動力をメインローラ35に伝達しうる。
【0042】
第2ギヤ列42は、原稿搬送経路25の後側側面に沿って、複数のギヤを複合機1の左右方向に列設することによって構成されている(図4、図5参照)。即ち、第2ギヤ列42は、複合機1の前後方向において、第1ギヤ列41よりも所定量後方となる位置で、左右方向に延びている。そして、当該第2ギヤ列42は、原稿搬送ローラ対34の回転軸及び、原稿分離ローラ32の回転軸の夫々に取り付けられたギヤを含んで構成されている。従って、第2ギヤ列42は、駆動モータMの駆動力を原稿搬送ローラ対34及び原稿分離ローラ32に伝達しうる。
【0043】
そして、伝達ギヤ43は、複合機1の前後方向における第1ギヤ列41と第2ギヤ列42の距離に相当する厚みを有しており、第1ギヤ列41の最右端に位置するギヤ及び第2ギヤ列42の最左端に位置するギヤの双方に接触する位置において、回転自在に軸支されている。従って、駆動モータMの駆動力は、第1ギヤ列41及び伝達ギヤ43を介して、第2ギヤ列42に伝達される。
【0044】
即ち、前記複合機1の左右方向において、前記Uターン経路26よりも左側であって、前記複合機1の前後方向において、原稿搬送経路25の幅に対応する範囲内に、駆動モータMが配設されている場合においても、当該複合機1は、上部カバー10における前後方向のサイズを大きくすることなく、限られたスペースを活用して、駆動モータMの駆動力を原稿搬送機構部30に伝達しうる。
【0045】
続いて、複合機1における本体筐体50の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、本体筐体50は、上面側にスキャナユニット60を有し、当該スキャナユニット60の下方に画像形成ユニット70を有している。スキャナユニット60は、原稿載置台として機能するコンタクトガラス61、イメージセンサ62、スライド軸、モータ等を備えている(図2等参照)。コンタクトガラス61は、所謂「プラテンガラス」であり、本体筐体50の左右方向に沿って長辺が位置するA4サイズよりもやや大きな長方形状に形成されている。
【0046】
イメージセンサ62は、所謂、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)により構成され、コンタクトガラス61上に位置する原稿Sの画像を読み取る。当該イメージセンサ62は、主走査方向(即ち、本体筐体50における前後方向)がA4サイズの短辺に相当する長さの読取範囲を有しており、本体筐体50の左右方向に向かって伸びるスライド軸によって、左右方向の一定の範囲(A4サイズの長辺寸法に相当する範囲)内をスライド移動可能に保持されている。従って、当該複合機1は、制御部によるモータの駆動制御に基づいて、イメージセンサ62をスライド軸に沿ってスライド移動しつつ、コンタクトガラス61上に載置された原稿Sの画像を読み取り得る。
【0047】
本体筐体50上面には、凹部65が、上部カバー10における駆動モータMの配設位置に対応する部分に、下方に凹んだ凹状に形成されている(図2〜図6参照)。当該凹部65は、上部カバー10を閉じた場合に、上部カバー10の下方に突出する駆動モータMの一部を収容する。これにより、当該複合機1は、上部カバー10における駆動モータMの配設位置及び凹部65との協働により、複合機1の上下方向におけるサイズを小型化することができる。
【0048】
そして、本体筐体50上面の後端側の2箇所には、ヒンジ部材90が配設されており、上部カバー10の後端部に配設された回動軸91を回動自在に軸支している(図5、図7参照)。即ち、当該ヒンジ部材90は、当該回動軸91を介して、本体筐体50上面に対して上部カバー10を開閉自在に軸支している(図1〜図6参照)。図7に示すように、当該ヒンジ部材90は、コンタクトガラス61の後端縁に沿って上下方向に移動可能に配設されている。そして、当該ヒンジ部材90は、最も下方に位置する場合であっても、回動軸91を本体筐体50上面(即ち、コンタクトガラス61上面)よりも上方に位置させる(図7(a)参照)。これにより、当該複合機1は、コンタクトガラス61の後端縁に沿った位置において、ヒンジ部材90を配設した場合であっても、上部カバー10の開閉動作を妨げることはなく、当該複合機1の前後方向のサイズを小型化しうる。
【0049】
図5に示すように、複合機1の左側に位置するヒンジ部材90は、駆動モータM及び第1ギヤ列41よりも後方に位置する角部分に配設されている。即ち、当該複合機1は、左側のヒンジ部材90を、空きスペースである角部分を有効利用して配設することができ、もって、複合機1の前後方向のサイズを小型化しうる。
【0050】
続いて、画像形成ユニット70の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。当該画像形成ユニット70は、給紙カセット5に収容されている記録用紙Pを、複合機1の前後方向に沿って搬送しつつ、当該記録用紙P上に画像を形成するものであり、記録部75と、用紙搬送路80と、用紙搬送部85とを有している。上述したように、記録用紙Pは、給紙カセット5内部において、当該記録用紙Pの長辺が複合機1の左右方向に沿った状態で収容されており、複合機1の前後方向に沿って延びる用紙搬送路80に従って、用紙搬送部85により搬送される。従って、当該記録用紙Pは、画像形成ユニット70による画像形成に際して、記録用紙Pの長辺側の端部を先頭にして搬送される。
【0051】
図9に示すように、記録部75は、記録ヘッド76と、記録ヘッド76の下方に配設されたプラテン77と、記録ヘッド76を保持するキャリッジ78と、キャリッジ78と共に記録ヘッド76を左右方向にスライド可能に支持するレール(図示せず)と、駆動力をキャリッジ78に伝達する駆動伝達機構を含む駆動部(図示せず)と、を有して構成されており、用紙搬送路80に沿って搬送される記録用紙Pに対して画像を形成する。
【0052】
記録ヘッド76は、吐出口を有するノズルを備えており、制御部の制御に従って、当該ノズルを圧電素子等で変形することで、吐出口からインク滴を下方のプラテン77に向けて吐出する。当該複合機1は、記録用紙Pがプラテン77上を前方に向かって搬送される過程において、記録ヘッド76を左右方向へ往復動させつつ、インクを吐出することにより、記録用紙P表面のほぼ全面に画像を形成しうる。
【0053】
用紙搬送路80は、画像形成ユニット70内において、複合機1の前後方向に沿って形成されており、第1用紙搬送路81と、第2用紙搬送路82とにより構成されている(図9参照)。第1用紙搬送路81は、それぞれ弧状に形成され径方向に互いに対向する内側ガイド部材81Aと外側ガイド部材81Bとにより構成され、一端が給紙カセット5の後端部の上に位置し、そこから上方へ延出されて、他端がプラテン77の後方に位置する断面弧状(湾曲状)に形成されている。
【0054】
第2用紙搬送路82は、第1用紙搬送路81の終端から、記録ヘッド76とプラテン77との間を介して、排紙収容空間6へ向かって延びる断面直線状に形成されている。第2用紙搬送路82の下側ガイド面の一部は、プラテン77の上面によって形成される。従って、給紙カセット5から供給された記録用紙Pは、第1用紙搬送路81及び第2用紙搬送路82に従って記録部75へ到達し、第2用紙搬送路82を介して、排紙収容空間6に排出される。
【0055】
用紙搬送部85は、用紙供給ローラ86と、用紙搬送ローラ対87と、用紙排出ローラ対88と、を有しており、給紙カセット5に収容されている記録用紙Pを、複合機1の前後方向に沿って延びる用紙搬送路80に沿って搬送する。
【0056】
用紙供給ローラ86は、アーム86Aと、ギヤ列86Bと、支軸86Cとを有して構成されており、給紙カセット5に載置された記録用紙Pを用紙搬送路80に供給する。用紙供給ローラ86は、給紙カセット5後部の上方部分において、支軸86Cを中心に回動するアーム86Aの先端で回転可能に支持されている。駆動力が支軸86Cに伝達されると、用紙供給ローラ86は、アーム86A内に配設されたギヤ列86Bを介して伝達された駆動力に基づいて回転する。用紙供給ローラ86は、記録用紙Pに接触した状態で回転することで、記録用紙Pが用紙搬送路80へ搬送される。
【0057】
用紙搬送ローラ対87は、記録部75よりも後方側(搬送方向上流側)において、第2用紙搬送路82を介して相互に対向する位置に回転可能に軸支されており、第2用紙搬送路82を搬送される記録用紙Pを挟持しつつ回転することにより、記録用紙Pを記録部75に対して搬送する。
【0058】
用紙排出ローラ対88は、記録部75よりも前方(搬送方向下流側)において、第2用紙搬送路82を介して相互に対向する位置に回転可能に軸支されており、記録部75によって画像が形成された記録用紙Pを挟持しつつ回転することにより、記録用紙Pを排紙収容空間6に対して排紙する。
【0059】
上述したように、記録用紙Pは、その短辺が複合機1の前後方向に沿った状態で給紙カセット5内に収容されており、用紙搬送路80は、給紙カセット5の後部から上方へ延出されて、プラテン77後方に向かって延びる断面弧状(湾曲状)に形成され、その端部から複合機1の前方に向かって直線状に延びている。つまり、当該複合機1において、用紙搬送路80は、記録用紙Pの短辺方向と略同じ長さで形成される。これにより、当該複合機1は、記録用紙Pの長辺が複合機1の前後方向に沿った状態で、給紙カセット5に収容している場合に比べて、本体筐体50の前後方向のサイズを小さくしうる。
【0060】
図8に示すように、ADFユニット15において、原稿Sは、その短辺が複合機1の前後方向に沿った状態で、原稿載置部20に載置されている。又、本体筐体50において、記録用紙Pは、その短辺が複合機1の前後方向に沿った状態で、給紙カセット5内に収容されている。従って、当該複合機1は、ADFユニット15及び本体筐体50の何れについても、その前後方向のサイズを小型化することができ、もって、複合機1の装置全体における前後方向のサイズを小型化しうる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る複合機1は、ADFユニット15を有する上部カバー10と、スキャナユニット60、画像形成ユニット70を有する本体筐体50により構成されている。当該ADFユニット15は、原稿搬送経路25と、原稿搬送機構部30と、駆動モータMと、を有し、スキャナユニット60によって、原稿Sの画像を読み取る為に、当該原稿Sを原稿搬送経路25に沿って搬送する。ここで、原稿搬送経路25は、前記原稿Sの短辺方向に対応する幅を有し、前記複合機1の左右方向に沿って延びている。そして、当該原稿搬送経路25は、当該原稿Sの搬送方向を変換するUターン経路26を、上部カバー10における左側(原稿搬送経路25の左端部)に備えている。そして、原稿搬送機構部30は、前記原稿Sの長辺が前記複合機の左右方向に沿うように、前記原稿Sを原稿搬送経路25に従って搬送する。駆動モータMは、前記複合機1の左右方向において、前記Uターン経路26よりも左側であって、前記複合機1の前後方向において、前記原稿搬送経路25の幅に対応する範囲内に配設され、前記原稿搬送機構部30に対して駆動力を付与する。従って、当該複合機1は、前後方向における装置外形を、原稿搬送経路25の幅寸法とほぼ同程度まで小型化しうる(図5、図8参照)。
又、当該本体筐体50は、記録用紙Pの長辺が前記複合機1の左右方向に沿った状態で当該記録用紙Pを収容する給紙カセット5と、記録用紙Pを搬送しつつ、当該記録用紙Pに対して画像を形成する画像形成ユニット70と、を有している。当該給紙カセット5において、記録用紙Pは、その長辺が左右方向に沿った状態で収容されているため、当該複合機1は、前後方向における装置外形を小型化しうる。
【0062】
前記駆動モータMは、当該駆動モータMの一部が前記ADFユニット15を含む上部カバー10の下面から下方に突出するように配設されている(図2、図3参照)。又、前記本体筐体50は、コンタクトガラス61と、イメージセンサ62を有するスキャナユニット60と、凹部65とを、その上面に有しておいる。凹部65は、前記本体筐体50の上面において、前記上部カバー10下面における駆動モータMの配設位置に対応する部分に形成され、前記上部カバー10の下面から突出した前記駆動モータMの一部を収容可能に構成されている。従って、当該複合機1は、本体筐体50上面に形成された凹部65に、駆動モータMの一部を収容可能に構成することによって、その上下方向のサイズを小型化しうる。
【0063】
又、前記画像形成ユニット70は、記録用紙Pの長辺が前記複合機1の左右方向に沿った状態で、給紙カセット5に収容されている記録用紙Pを、前記ADFユニット15における原稿Sの搬送方向(左右方向)と直交する複合機1の前後方向に沿って搬送する。
この結果、当該複合機1は、画像形成ユニット70における記録用紙Pの用紙搬送路80を、記録用紙Pの短辺寸法と同程度まで短く構成することができ、前後方向における装置外形を小型化しうる。
【0064】
そして、前記ADFユニット15は、第1ギヤ列41と、第2ギヤ列42と、伝達ギヤ43とを含む伝達機構部40を有している。第1ギヤ列41は、前記原稿搬送経路25に沿って、前記複合機1の左右方向に延び、前記原稿搬送機構部30に対して前記駆動モータMの駆動力を伝達する。第2ギヤ列42は、前記複合機1の前後方向において、前記第1ギヤ列41と異なる位置で、駆動モータMの駆動軸から前記複合機1の左右方向に向かって延び、当該駆動モータMによる駆動力を伝達する。そして、伝達ギヤ43は、前記複合機1の前後方向における前記第1ギヤ列41と前記第2ギヤ列42の間に相当する厚みを有し、前記第1ギヤ列41の一端部に位置するギヤと、前記第2ギヤ列42の一端部に位置するギヤと接触する。従って、駆動モータMの駆動力は、第1ギヤ列41、伝達ギヤ43、第2ギヤ列42を介して、原稿搬送機構部30に伝達される。即ち、駆動モータMが、前記複合機1の左右方向において、前記Uターン経路26よりも左側であって、前記複合機1の前後方向において、前記原稿搬送経路25の幅に対応する範囲内に配設されている場合においても、当該複合機1は、上部カバー10における前後方向のサイズを大きくすることなく、限られたスペースを活用して、駆動モータMの駆動力を原稿搬送機構部30に伝達しうる(図4、図5参照)。
【0065】
又、前記上部カバー10は、ヒンジ部材90によって、前記上部カバー10が本体筐体50の上面を覆う閉鎖位置(図1〜図3等参照)と、前記本体筐体50の上面を露出する開放位置(図6参照)との間を開閉可能に支持されている。そして、当該ヒンジ部材90は、前記駆動モータMと前記第1ギヤ列41が隣接する前記本体筐体50の上面における角部分に配設されている(図5参照)。従って、当該複合機1によれば、駆動モータMと第1ギヤ列41が隣接する前記本体筐体50の上面における角部分を有効活用でき、前後方向における装置外形を小型化しうる。
【0066】
そして、前記ヒンジ部材90は、前記上部カバー10を開閉自在に軸支する回動軸91を有し、前記コンタクトガラス61の端縁に沿った位置で、所定範囲内を上下動可能に配設されている(図7参照)。前記回動軸91は、前記ヒンジ部材90が最も下方に位置する場合も、前記本体筐体50の上面よりも上方に位置する(図7(b)参照)。これにより、当該複合機1は、コンタクトガラス61の後端縁に沿った位置にヒンジ部材90を設けたとしても、上部カバー10の回動を妨げることなく、もって、前後方向における装置外形を小型化しうる。
尚、本実施形態では、原稿Sの短辺がスキャナユニット60におけるイメージセンサ62の主走査方向に対応し、原稿Sの長辺がイメージセンサ62の副走査方向と対応することを前提として説明した。しかし、原稿Sが小サイズであり、その小サイズ原稿の長辺がイメージセンサ62の主走査方向の長さ以下であれば、当該小サイズ原稿の長辺を副走査方向と対応するようにして、小サイズ原稿を搬送しつつ、画像の読取が可能あることは当然である。
【0067】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、本発明における第1方向として、複合機1における左右方向、本発明における第2方向として、複合機1における前後方向としていたが、この態様に限定されるものではなく、前後方向と左右方向を相互に入れ替えてもよい。
【0068】
又、本実施形態においては、画像形成ユニット70は、記録ヘッド76によりインク滴を吐出することで、記録用紙Pに画像を形成するインクジェット方式であったが、この態様に限定されるものではない。記録用紙Pを搬送しつつ画像を形成するものであれば、トナーを用いて画像を形成する方式を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 複合機
5 給紙カセット
10 上部カバー
15 ADFユニット
25 原稿搬送経路
26 Uターン経路
30 原稿搬送機構部
40 伝達機構部
41 第1ギヤ列
42 第2ギヤ列
43 伝達ギヤ
50 本体筐体
60 スキャナユニット
65 凹部
70 画像形成ユニット
75 記録部
80 用紙搬送路
85 用紙搬送部
90 ヒンジ部材
M 駆動モータ
S 原稿
P 記録用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る読取部によって、長方形状の原稿の画像を読み取る為に、当該原稿を所定の搬送経路に沿って搬送するADFユニットと、
前記ADFユニットの下方に配置され、長方形状の記録紙を搬送しつつ、当該記録紙に対して画像を形成する画像形成手段を備える本体ユニットと、を有する複合機であって、
前記ADFユニットは、
前記原稿の短辺方向に対応する幅を有し、前記複合機の上下方向に直交する第1方向に沿って延びると共に、当該原稿の搬送方向を変換するUターン経路を、前記複合機の第1方向の一端部に備える搬送経路と、
前記原稿の長辺が前記複合機の第1方向に沿うように、前記原稿を前記搬送経路に従って搬送する搬送手段と、
前記複合機の第1方向において、前記Uターン経路よりも外側であって、前記複合機の上下方向及び第1方向に直交する第2方向において、前記搬送経路の幅に対応する範囲内に配設され、前記搬送手段に対して駆動力を付与する駆動モータと、を有し、
前記本体ユニットは、
前記記録紙の長辺が前記複合機の第1方向に沿った状態で当該記録紙を収容する収容部と、
前記収容部から所定の搬送方向に従って、前記記録紙を搬送しつつ、当該記録紙に画像を形成する画像形成手段と、を有する
ことを特徴とする複合機。
【請求項2】
請求項1記載の複合機であって、
前記駆動モータは、
当該駆動モータの一部が前記ADFユニットの下面から下方に突出するように配設され、
前記本体ユニットは、
当該本体ユニットの上面に配設され、前記原稿が載置されるコンタクトガラスと、
前記コンタクトガラスの下方に配設され、当該コンタクトガラスに載置された原稿の画像を読取可能な読取部と、
前記本体ユニットの上面において、前記ADFユニット下面における駆動モータの配設位置に対応する部分に形成され、前記ADFユニットの下面から突出した前記駆動モータの一部を収容可能な凹部と、を有する
ことを特徴とする複合機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の複合機であって、
前記画像形成手段は、
前記ADFユニットの搬送手段によって搬送される原稿の搬送方向と交差する方向に、前記記録紙を搬送する
ことを特徴とする複合機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の複合機であって、
前記ADFユニットは、
前記搬送経路に沿って、前記複合機の第1方向に延び、前記搬送手段に対して前記駆動モータの駆動力を伝達する第1ギヤ列と、
前記複合機の第2方向において、前記第1ギヤ列と異なる位置で、駆動モータの駆動軸から前記複合機の第1方向に向かって延び、当該駆動モータによる駆動力を伝達する第2ギヤ列と、
前記複合機の第2方向における前記第1ギヤ列と前記第2ギヤ列の間に相当する厚みを有し、前記第1ギヤ列の一端部に位置するギヤと、前記第2ギヤ列の一端部に位置するギヤと接触する伝達ギヤと、を有する
ことを特徴とする複合機。
【請求項5】
請求項4記載の複合機であって、
前記ADFユニットが前記本体ユニットの上面を覆う閉鎖位置と、前記本体ユニットの上面を露出する開放位置との間を開閉可能となるように、前記ADFユニットを、前記本体ユニットに対して支持するヒンジ部を有し、
前記ヒンジ部は、
前記駆動モータと前記第1ギヤ列が隣接する前記本体ユニットの上面における角部分に配設されている
ことを特徴とする複合機。
【請求項6】
請求項5記載の複合機であって、
前記ヒンジ部は、前記ADFユニットを開閉自在に軸支する回動軸を有し、
前記コンタクトガラスの端縁に沿った位置で、所定範囲内を上下動可能に配設されており、
前記回動軸は、前記所定範囲内において前記ヒンジ部が最も下方に位置する場合も、前記本体ユニットの上面よりも上方に位置する
ことを特徴とする複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58957(P2013−58957A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196751(P2011−196751)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】