説明

複合流体分離膜モジュール

本発明は、流体への、または流体からの成分の選択的転送のための膜構造体を含む。この膜構造体は、複数の流路を形成する支持シートの少なくとも一側面上で複数の支持体を有する多層流体不透過性支持シートを含む。多層支持シートの少なくとも1層は結合層である。流体透過性層は流路上に延在し、そして結合層によって複数の支持体に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、流体への、または流体からの成分の選択的転送のための膜構造体に関する。特に本発明は、膜バイオリアクター(MBR)、膜曝気バイオリアクター(membrane aeration bioreactor)(MABR)、ならびに他の濾過および物質転送装置において有用な膜構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第3,472,765号明細書において、分離デバイスの構成要素である選択的透過性流体分離媒体に流体混合物を通過させることによる、流体混合物からの1以上の成分の除去のための生物学的リアクターにおける膜分離デバイスの使用が記載されている。流体膜デバイスとしては、一般的に3種の膜のカテゴリー、すなわち、チューブ状、中空繊維およびフラットシート多孔性膜に収まる膜モジュールが挙げられる。膜モジュールの製造のために適切な当該分野において記載される技術は、米国特許第6,284,137−B1号明細書、米国特許第4,230,463号明細書および米国特許第3,615,024号明細書に開示されている。
【0003】
中空繊維膜モジュールと一緒に板枠式モジュール部分として含まれるフラットシート多孔性膜は、水および廃水を加工するために使用される膜の種類である。多孔性中空繊維膜モジュールおよびそれらの製造方法は、欧州特許公報第1,166,859−A2号明細書、米国特許出願第2002/0011443−A1号明細書、米国特許第4,440,641号明細書、米国特許第4,886,601号明細書、米国特許第6,325,928号明細書、米国特許第5,783,083号明細書、米国特許第5,639,373号明細書、米国特許第5,248,424号明細書、米国特許第5,922,201号明細書および米国特許第5,914,039号明細書に記載されている。
【0004】
フラットシート多孔性膜モジュールは、米国特許第5,651,889号明細書および欧州特許公報第1,127,849−A1号明細書に記載されている。フラットシート多孔性膜モジュールをひだ状カートリッジ、渦巻き状モジュールまたは板枠式構成に組み立てることができる。他の種類の膜モジュールよりも、板枠式フラットシート膜モジュールは典型的に清浄が容易である。
【0005】
2枚のフラットシート膜間の間隔を保持して、フラットシート膜モジュールへ連結したマニホールドを介して膜間の間隔への、または膜間の間隔からの流体の運搬をもたらすために、支持層を使用してもよい。支持層は、いずれもの内部真空または外部圧力下での膜モジュールの崩壊を防止するように設計された透過性メッシュの形態であってよい。あるいは、支持層は、紙メッシュ、不織物または織物繊維ベースの材料の形態であり得る。支持層のいくつかの例は、米国特許第4,701,234号明細書、米国特許第3,679,059号明細書、米国特許第4,871,456号明細書、米国特許第4,264,447号明細書および欧州特許第0,602,560−B1号明細書に開示されている。
【0006】
板枠式モジュールの設計は、膜モジュールに強さおよび剛性をもたらすために支持メッシュよりも支持板を含んでよい。欧州特許第0,602,560−B1号明細書は、流体転送を増強するために、支持板へと切断された溝のメッシュを含有する構造支持板を開示している。米国特許第5,626,751号明細書は、金属製のモジュール支持板を記載している。他の支持板の設計は、米国特許第5,482,625号明細書および国際公開第99/65595号パンフレットに見出される。
【0007】
米国特許第5,071,553号明細書、欧州特許第0,653,240−A1号明細書、米国特許第5,772,831号明細書に開示されるように接着剤によって、あるいは欧州特許第0,602,560−B1号明細書、米国特許第5,482,625号明細書、米国特許第5,651,888号明細書、米国特許第4,701,234号明細書、米国特許第6,287,467−B1号明細書、米国特許第4,264,447号明細書および米国特許第4,302,270号明細書に開示されるように熱融解もしくは超音波を使用して膜、支持板または両方を溶融することによって、膜層への支持層の取り付けを達成することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、流体への、または流体からの成分の選択的転送のための膜構造体を含む。膜構造体は、複数の流路を形成する支持シートの少なくとも一側面上に複数の支持体を有する多層流体不透過性支持シートを含む。多層支持シートの少なくとも1層は結合層である。流体透過性層は流路上に延在し、そして結合層によって複数の支持体に結合されている。本発明は、膜構造体の使用方法をさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、複数の流路を形成する支持シートの少なくとも一側面上に複数の支持体を有する多層流体不透過性支持シートを有する膜構造体を含む。少なくとも1層の流体透過性層は流路上に延在し、そして結合層によって支持体に結合されている。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「微多孔性」は、バブルポイント細孔径ASTM−F−316−80によって測定された場合に、0.05ミクロン〜3.0ミクロンの平均細孔径を有する多孔性フィルム、膜またはフィルム層を指す。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「超多孔性」は、バブルポイント細孔径試験ASTM−F−316−80によって測定された場合に、0.001ミクロン〜0.05ミクロンの平均細孔径を有するフィルム、膜またはフィルム層を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「膜構造体」は、他の成分の輸送を選択的に不可能にしながら、膜を通して流体混合物の少なくとも一成分の選択的輸送を膜が可能にするように、支持体上に膜を有することを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「多孔性膜」は、他の成分の輸送を選択的に不可能にしながら、構造を通して流体混合物の少なくとも一成分の選択的輸送を可能にする、複数の細孔または空孔を有する膜を指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「水分不透過性」は、標準温度および圧力条件下で液状水分に不透過性であることを意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「波形(corrugated)」は、ひだ、または平行および交互の隆起および溝の形状を有することを意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「波形の先端(extremities of the corrugations)」は、支持層の、のこぎり歯または正弦波形プロフィール曲線の先端を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「波状(undulated)」は、波様形状または外観を有することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「軟化温度」は、単独の、または希釈成分とブレンドされたポリマー成分が軟化する温度以上の温度を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「水蒸気透過性」は、膜材料を通して水蒸気の通過が容易に可能であるが、液状水分の通過が容易に可能ではない微多孔性膜材料を記載するために使用される。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「親水性」は、水分と結合するか、または水分を吸収する強い傾向を有することを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「疎水性」は、液状水分、極性または水性溶媒によって湿潤されず、かつ膜を通して液状水分を弾いて、通過を防止する微多孔性膜材料を説明するために使用される。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「疎油性」は、油、グリースまたは炭化水素溶媒のような低表面エネルギー流体によって湿潤されない微多孔性膜材料を説明するために使用される。また用語「疎油性」は、油またはグリースを弾くか、あるいは油またはグリースと結合しない傾向を含むことも意味する。
【0023】
図1に、本発明による膜構造体10を一般的に描写する。膜構造体10は、波形シートの形態で結合層14によって多層流体不透過性支持シート13に結合された流体透過性層12を含む。波形シートは、複数の実質的に平行なひだ15を含む。ひだは、交互の隆起16および溝17によって画定されており、それぞれの隆起16および溝17は、互いに対してある角度(鋭角であってもよい)で配置された、結合している壁部分18、19によって画定されている。
【0024】
透過性層12は、結合層14によって隆起16に結合されている。結合層14は、支持シート13の全表面に沿って延在してもよいし、または隆起16に配置されてもよい。結合層14は、隆起16の先端20を透過性層12に結合し、そして先端20の長さに沿って実質的に連続的なシールを形成する。
【0025】
2つの隣接壁部分および透過性層12を有する2つの隣接隆起に沿った実質的に連続的なシールは、不連続で、隣接流路21から分離された流路21を形成する。実質的に連続的なシール関係における隆起16の実質的に全てに沿った透過性層12の結合は、いずれの破裂も特定の流路21へと局在化し、それによって、透過性層12に全体的な膜構造体10のフラッディングの防止を引き起こし得る。
【0026】
別の膜構造体22は、多層流体不透過性支持シート24の両側面に結合された第1および第2の透過性層23aおよび23bを含む。透過性層支持シート24は、波形シートの形態であるという点から支持シート13と同様であるが、支持シート24は、シート24の両側面に結合層25aおよび25bを有する。またシート24は、透過性層23aに近接して(隣接して)配置された隆起26a、および透過性層23bに近接して(隣接して)配置された隆起26bも有する。また支持シート24は、溝27bが透過性層23bに近接して配置されながら、透過性層23aに近接して配置された溝27aを含む。互いに対してある角度(鋭角であってもよい)で配置された、結合している壁部分28および29は、隆起26aおよび26bならびに溝27aおよび27bを画定する。
【0027】
図1に関して記載された構造体と同様に、透過性層23aおよび23bは、それぞれ隆起26aの先端30aおよび隆起26bの先端30bに結合されている。結合層25aおよび25bを通して結合は達成される。結合層25aおよび25bは、不透過性支持シート24の全表面に沿って延在してもよいか、またはそれぞれ、隆起26aおよび26bの先端30aおよび30bに配置されてもよい。
【0028】
先端30aと30bとの間、および透過性層23aと23bとの間の結合は、それぞれ、それぞれの隆起の長さに沿って実質的に連続的に延在する。2つの隣接隆起に沿った実質的に連続的なシールは、隆起26aであっても隆起26bであっても、2つの隣接壁部分28、29と一緒に、それぞれ流路31aおよび31bを形成する。それぞれの流路は、隣接流路から分離している。隆起26aおよび26bに沿った実質的に連続的なシール関係は、透過性層23aおよび23bに起こりうる破裂を特定の流路へと局在化し、それによって、全体的な膜構造体22のフラッディングの防止をする。
【0029】
同様に、図3の32に一般的に示されるもう1つの膜構造体は、結合層34によって支持シート35に結合された流体透過性層33を含む。支持シート35は、隆起36および溝37を有する正弦曲線の形態である。結合層34は、シート35の全表面に沿って延在してもよいが、透過性層33と支持シート35との間に結合を提供するために隆起36に配置されてもよい。壁部分38および39が、隣接隆起36および溝37の間に配置される。壁部分38および39は、透過性層33と一緒になって不連続流路40を形成する。支持シート35への膜42の結合は、実質的に隆起36の全長に沿った実質的に連続的なシールである。実質的に連続的なシールは、透過性層に起こりうる破裂を特定の流路40へと局在化し、それによって、全体的な膜構造体32のフラッディングの防止をする。
【0030】
図2に関して記載された波形構造体と同様に、支持シート43の正弦構造体は、図4に説明されるように、結合層44aおよび44bによって隆起46aおよび46bに沿って、それらの反対側で支持シート43に結合された透過性層42aおよび42bを有する。結合層44aおよび44bは、支持シート43の両表面に沿って延在してよいが、透過性層42aおよび42bが支持シート43に結合されるように隆起上に配置されてよい。図2に説明される構造体と同様の様式で、分離された流路48aおよび48bは、正弦曲線支持シート43の壁部分45、47、ならびに透過性層42aおよび42bによって画定される。
【0031】
流路21、31a、31b、40、42aおよび42bは、それぞれ、支持シート13、24、35、43の全長に沿って延在するものとして記載されたが、流路21、31a、31b、40、42aおよび42bは、支持シートの全長に沿って延在する必要はない。加えて、流路21、31a、31b、40、42aおよび42bは、直線として記載されているが、分離した流路を形成するように、流体透過性層12、22、32および42が隆起に沿って結合される限り、流路の別の形状、大きさまたは構成も許容される。例えば、図5aのジグザグ構成に図示されるような、図5bの曲線構成に図示されるような、または図5cの迷路状構成に図示されるような蛇行流路を製造するために、多層支持シートを形成することができる。
【0032】
流体透過性層は、一般的に、約0.001マイクロメートル〜約3.0マイクロメートルの範囲であってよい細孔径を有する微多孔性または超多孔性である。好ましくは、流体透過性層の細孔径は、約0.8マイクロメートル未満である。好ましい細孔径は、廃水中の微生物の流体透過性層の透過を防止し、流体透過性層における成長を防止する。
【0033】
ガス−固体、ガス−液体、液体−固体または液体−液体分離の要求条件のような分離の要求条件次第で、流体透過性層は親水性であっても、疎水性であってもよい。流体透過性層12の部分として使用されてよい材料のいくつかの非列挙的な例としては、ポリスルホン、セルロースポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンまたはそれらのいずれかの他の組み合わせが挙げられる。
【0034】
流体透過性層は、限定されないが、微多孔性フィルム、超多孔性フィルム、逆浸透膜、マイクロ穿孔フィルム、不織ウェブ、織物ウェブ、微多孔性発泡体等を含むいずれかの種類の濾過媒体であってよい。加えて、複数層の流体透過性層12を使用する場合、分離目的次第で、それぞれの層は同一であっても異なっていてもよい。例えば、流体透過性層は多孔性膜および繊維状または不織物層を含み得る。
【0035】
一般的に、流体透過性層を調製するために有用ないずれかの適切な技術および装置を使用して、流体透過性層12を製造することができる。例えば、多孔性膜および多孔性膜の製造方法は、一般的に、米国特許第6,284,137−B1号明細書、米国特許第4,230,463号明細書および米国特許第3,615,024号明細書に開示されている。加えて、米国特許第4,539,256号明細書(シップマン(Shipman))、米国特許第4,726,989号明細書(ムロジンスキー(Mrozinski))、米国特許第4,867,881号明細書(キンザー(Kinzer))、米国特許第5,120,594号明細書(ムロジンスキー(Mrozinski))および米国特許第5,238,623号明細書(ムロジンスキー(Mrozinski))に詳細に記載された、熱的誘導された相転移(TIPT)または熱的誘導された相分離(TIPS)プロセスを使用して、流体透過性層を調製してもよい。
【0036】
支持シートの結合層を形成するために使用されてよい材料のいくつかの例としては、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニルターポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリブチレンコポリマー、ポリイソプレン、ポリイソプレンコポリマー、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびそれらの混合物が挙げられる。支持シート13を形成するために使用されてもよい材料のいくつかの非列挙的な例としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0037】
一般的に、本発明の支持シートを調製するために、異形押出、マイクロ複製、キャストおよび硬化法、または当該分野で既知の流体デリバリー層を製造するために適切ないずれかの他の技術のような適切な技術および装置を使用してよい。例として、フラットシートの波形は、本発明に従って流路を有する支持シートを製造するための適切な技術である。米国特許出願第2002/0154406 A1号明細書(メリル(Merrill)ら)は、本発明の波形支持シートを調製するために適切なフラットポリマーフィルムの波形化の代表的な方法を記載している。他の波形化方法も同様に可能である。
【0038】
本発明による膜構造体を調製するために異形押出を使用する場合、図6に最良に描写されるように、多層支持シートを形成することができる。膜構造体60は、流体透過性層62および多層支持シート63を含む。多層支持シート63は、ベース64、およびベース63から延在する複数の間隔配置された実質的に平行なレール65を含む。低融点樹脂層をレール65の遠位端の先端66として配置する。一般的に、ポリオレフィン樹脂のような経済的な樹脂を低融点樹脂と共押出して、多層支持シート63を形成する。
【0039】
共押出後、流体透過性層62の表面67に隣接するように多層支持シート63を配置し、そして過度の熱および/または圧力による流体透過性層62への損害を避けながら、低融点樹脂を部分的または完全に融解して流体透過性層62と支持シート63との間の熱結合を形成するために十分な熱および圧力を適用することによって、流体透過性層62を多層支持シート63に結合させる。流路68は、隣接する間隔配置されたレールおよび結合された透過性層62によって画定される。
【0040】
多層支持シートを形成するために使用される低融点樹脂は、典型的に、流体透過性層62の表面67よりも低い軟化温度を有する。流体透過性層62への損害が生じることなく流体透過性層62と支持シート63との間の熱結合が形成される限り、流体透過性層62よりも低い軟化温度を有するいずれの樹脂も使用のために適切である。
【0041】
支持シート63を形成するために使用してもよい樹脂のいくつかの例としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、フルオロポリマー、またはポリプロピレン、ポリエチレンのようなポリオレフィン樹脂、あるいはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。多層支持シート63の先端66を形成するために使用してもよい低融点樹脂のいくつかの非列挙的な例としては、デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,Delaware)のデュポン ダウ エラストマーズ,LLC(Dupont Dow Elastomers,LLC)から入手可能なエンゲージ(Engage)(登録商標)超低密度ポリエチレン樹脂のようなポリオレフィンエラストマー、ならびにデラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,Delaware)のデュポン ダウ エラストマーズ,LLC(DuPont Dow Elastomers,LLC)から入手可能なエルバックス(Elvax)(登録商標)エチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂のようなエチレン酢酸ビニルコポリマーおよびターポリマーが挙げられる。他の非列挙的な例としては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、ポリブチレンおよびそれらのコポリマー、ポリイソプレンおよびそれらのコポリマー、アクリレート接着剤、シリコーン、ならびに天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴムのようなゴムベースの接着剤、またはそれらのいずれかの組み合わせのような熱シール樹脂が挙げられる。
【0042】
あるいは、図7に図示されるように、膜構造体70は、それらの反対側で多層支持シート73に結合された第1および第2の流体透過性層72aおよび72bを含む。支持シート73は、ベース層74と、反対方向でベース74から外向きに延在する間隔配置されたレール75aおよび75bとを有する。流路77aおよび77bは、それぞれ第1および第2の流体透過性層72aおよび72bに結合されている隣接レール75aまたは75bによって画定される。透過性層とレールとの間の結合はレールの長さに沿って実質的に連続的に存在し、それによって分離した流路が提供される。1つの分離した流路に沿って膜が穿孔されている場合、穿孔は特定の流路に局在化される。増加された膜表面積を有するため、大容量の水または廃水を処理する時に膜構造体70は都合がよい。
【0043】
図7の多層支持シート73は、一直線に配置されたレール75aおよび75b、ならびに低融点ポリマーから製造された先端76(図6の先端66と同様である)を含む。支持シートを押出技術によって製造するため、図8に図示されるように、レール75aは、レール75bからオフセットの関係で配置されてよい。図8において、同様の要素を示すために同様の参照符号が使用されている。加えて、異なるダイ構成を使用して、様々なレール高さおよび大きさを有する支持シートを調製してもよい。
【0044】
図6〜8に描写されるもののような直線状の流路、または図5a〜5cに描写されるもののような蛇行流路を有する多層支持シートを調製するために使用することができる別の方法はマイクロ複製であり、これは、(a)円筒形であり得、そして支持シートにおいて所望される特徴に対応する表面上に複数の幾何学的凹部および対応するピークを含んでなる製造ツールを提供する工程と、(b)キャビティを完全に充填するために必要とされる量より過剰量で、ツール上に多層溶融ポリマーフィルムを共押出して、従って、キャビティを実質的に充填して、キャビティおよびキャビティ周辺の表面上にポリマー層を過剰に形成する工程と、(c)ポリマーフィルムを冷却し、それを凝固して、そして製造ツールのものに対応する永久的な表面テキスチャーを維持する工程と、(d)凝固されたポリマーをツールから連続的に剥離する工程とを含んでなる(例えば、国際公開第99/65664号パンフレット(ベンセン(Bentsen)ら)、ならびに米国特許第5,077,870号明細書(メルバイ(Melbye)ら)、米国特許第5,679,302号明細書(ミラー(Miller)ら)および米国特許第5,792,411号明細書(モーリス(Morris)ら)を参照のこと)。
【0045】
膜曝気バイオリアクター(MABR)におけるようにガスを送達するために本発明の膜構造体を使用する場合、膜表面の変性が必要とされ得る。廃水は、典型的に、時間が経つにつれて膜の湿潤を引き起こし得る油、グリースおよび界面活性剤様分子のような低表面エネルギー流体を含む。従って、廃水処理の間、膜の分離効率および寿命が最大化するように、時間経過による油またはグリースのような低表面エネルギー流体の吸収に対する膜の抵抗を増加させることによって、膜の湿潤を減少させることが望ましい。
【0046】
時間経過による油またはグリースの吸収または吸着に対する膜の抵抗を増加させる一方法は、流体透過性層12の表面エネルギーを減少させることである。流体透過性層12の表面エネルギーを減少させるための一様式は、流体透過性層12を疎油性にさせることである。一般的に、表面の表面エネルギーが減少すると、低エネルギー流体による湿潤に対する表面の抵抗は増加する。
【0047】
W.L.ゴア アンド アソシエーツ インコーポレイテッド(W.L.Gore & Associates,Inc.)から入手可能なゴア−テックス(Gore−Tex)(登録商標)材料のような材料から調製された従来の膜は、典型的に、1センチメートルあたり20ダインより大きい表面エネルギーを有する。しかしながら、低表面エネルギー流体による膜の湿潤を避けるため、本発明の膜は、1センチメートルあたり約20ダイン未満の表面エネルギーを有するように調製されてもよい。
【0048】
流体透過性層12を形成するために使用される材料が十分に疎油性ではない場合、または表面エネルギーが1センチメートルあたり約20ダイン未満ではない場合、疎油性は一般的に、流体透過性層12の近表面領域におけるフッ素含有化学基の組み入れによって改善される。流体透過性層12の近表面領域におけるフッ素含有化学基の組み入れは、以下の一般的な技術のいずれかによって達成され得る。すなわち、(1)流体透過性層を調製するために使用されるバルクポリマー組成物への小分子または巨大分子フッ素化添加剤の組み入れ;(2)フッ素化化学基を含んでなる組成物による仕上げ流体透過性層12のコーティング;(3)ガス状フッ素化種の存在下における電離放射線またはプラズマ放電への流体透過性層12表面の暴露;あるいは(4)流体透過性層ポリマーおよびフッ素含有重合性化学基を提供し、そして流体透過性層ポリマー、重合性化学基のいずれか、または両方において反応基の生成を開始して、表面付近における流体透過性層ポリマー上または内における重合性化学基の重合および/またはグラフト重合の実行。
【0049】
同様に、本発明の膜構造体を水濾過において使用する場合、膜をより親水性にするための膜の変性が都合よい。一般的に、膜をより親水性にするための技術は当該分野で既知である。
【0050】
米国特許第5,639,373号明細書、米国特許第5,204,001号明細書、米国特許第6,406,629−B1号明細書、米国特許第5,192,456号明細書、米国特許第6,375,848−B1号明細書および米国特許第6,303,035−B1号明細書に開示されるような流体濾過系における膜モジュール部分として、本発明の膜構造体を使用することができる。
【0051】
本発明の膜構造体を、(1)米国特許第6,277,209号明細書および米国特許第5,451,317号明細書に開示されるように、ゼオン エンバイロメンタル インコーポレイテッド(Zenon Environmental Inc.)(カナダ、オンタリオ州、オークビル(Oakville,Ontario,Canada))および株式会社クボタ(日本、大阪)によって販売される膜バイオリアクターのような膜バイオリアクター部分として廃水処理または水処理施設において使用することができ、(2)欧州特許第0,510,328−B1号明細書、米国特許第6,193,890−B1号明細書、米国特許出願第2001/0047962−A1号明細書、米国特許第5,192,456号明細書、欧州特許第0,700,713−B1号明細書、米国特許第5,451,317号明細書、欧州特許出願第0,510,328−A2号明細書、米国特許第6,224,766号明細書、国際特許出願国際公開第00/37369号パンフレットおよび米国特許第5,944,997号明細書に開示されるように、生物学的汚損を減少するために様々な大きさのエアバブルによってスパージすることができ、(3)米国特許出願第2001/0052494−A1号明細書、欧州特許第1,166,859−A2号明細書、欧州特許第0,322,753−B1号明細書に開示されるように、化学物質を使用して、および/または膜構造体の背部洗浄によって清浄することができ、そして(4)含浸された膜モジュールの外側の水からの圧力、静水圧差異、またはマニホールドに連結された真空もしくは圧力源のいずれかによって引き起こされた、膜構造体にわたる圧力勾配によって操作することができる。
【0052】
濾過またはバイオリアクター装置に膜モジュールを取り付ける様式、膜モジュールの間隔、細孔径、膜材料、および実際の濾過またはバイオリアクター装置の操作条件のような多数の要因が、含浸された膜フィルターデバイスの性能に影響する。これらの性能要因は当該分野で周知であり、そして米国特許第5,192,456号明細書および欧州特許出願第0,937,494−A3号明細書に開示されている。
【0053】
特に以下の実施例において本発明が説明されるが、これらは説明のみとして意図されており、本発明の範囲内での多くの修正および変更は当業者に明白であろう。
【実施例】
【0054】
実施例1
従来の異形押出装置を使用して、一側面上にレール様突出部を有するテクスチャー流体透過性支持シートを製造した。ポリプロピレン/ポリエチレン衝撃コポリマー(7C06、1.5MFI、ミシガン州、ミッドランド(Midland,MI)のダウ ケミカル コーポレイション(Dow Chemical Corp.))およびポリオレフィンエラストマー エンゲージ(ENGAGE)8100(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE)のデュポン ダウ エラストマーズ(Dupont Dow Elastomers))を共押出して、突出部の最上部表面(先端)が低融点熱シール性エラストマーを含有する、レール様突出部を有するフラットベース層を有する流体不透過性支持シートを形成した。
【0055】
177℃から232℃へ一定増加するバレル温度断面を使用して約27kg/時間の速度で、6.35cm一軸スクリュー押出機(24:1 L/D)によって、ポリプロピレンコポリマーを押出した。約2.3kg/時間の速度で、約3.81cm(28:1 L/D)の直径、および約204℃から232℃へ増加する温度断面を有する第2の一軸スクリュー押出機へとポリオレフィンエラストマーを供給した。両方のポリマーを、232℃に維持されたマスターフレックス(MASTERFLEX)LD−40 フィルムダイ(ウィスコンシン州、オークレア(Eau Claire,WI)のプロダクション コンポネンツ(Production Components))中に供給した。成形断面を有するダイリップを備えたダイを通して垂直に下方向に押出物を押出した。ダイリップによる成形後、水を約16℃〜20℃に維持しながら約2.1メートル/分の速度で水タンク中で押出物をクエンチングした。フィルムダイは、一側面で平滑表面と、反対側で、ベース層から垂直に延在するレール様突出部として成形された均等に間隔配置された特徴から形成されたテクスチャー表面とを有するポリマーベースシートを形成するように配置された放電機械加工による開口切断部を有するダイリップを有した。均等に間隔配置された特徴に面するダイの側でエンゲージ(ENGAGE)8100エラストマーが押出されるように装置を配置した。
【0056】
支持シートのベース層は、約102ミクロン(0.004インチ)の厚さを有し、そしてポリプロピレンコポリマーから構成された。各レール様突出部は、ベース層に沿って連続的に延在した。各レール様突出部の寸法は、約965ミクロン(0.038インチ)の高さ、約406ミクロン(0.016インチ)の厚さ、および約1016ミクロン(0.040インチ)の中心間の間隔であった。加えて、各レール様突出部は、その遠位端(先端)で厚さ約127ミクロン(0.005インチ)の低融点エンゲージ(ENGAGE)8100層を有した。低融点樹脂は多層支持シートの約7.7重量%を占めた。
【0057】
実施例2
実施例1の方法を使用して、支持シートの一側面で突出部を有する第1の流体不透過性支持シートを押出し、そしてロールに巻いた。第1のシートをポータブル巻き戻しステーションから解き、そしてダイリップ出口より約1センチメートル下を平滑な裏側が通過するようにローラーの周りに供給した。実施例1の方法を使用して、支持シートの一側面で突出部を有する第2の流体不透過性支持シートを第1の支持シートの平滑裏側上に押出した。得られた二重層支持シートは両側面でレール様突出部を有し、これは、約305ミクロン(0.012インチ)のベース層厚さ、約965ミクロン(0.036インチ)のレール高さ、および約356ミクロン(0.014インチ)のレール厚さ、ならびに約991ミクロン(0.039インチ)レール中心間の間隔を有した。二重側面支持シートは、ベース層の両側面のレール先端で厚さ約127ミクロン(0.005インチ)のエンゲージ(ENGAGE)8100樹脂層を有した。
【0058】
実施例3
国際公開第9929220号パンフレットの実施例1に記載されるものと同様に、ポリプロピレンの熱的誘導された相分離微多孔性膜に実施例2の二重側面流体不透過性支持シートを熱的に積層化した。膜は、約76ミクロン(0.003インチ)の厚さ、約0.21ミクロンのバブルポイント細孔径および約35%の油含量を有した。
【0059】
張力を提供するためのエアブレーキを備えたポータブル巻き戻しステーション上に、二重側面支持シートのロールを配置した。フィルムに張力を提供するためのエアブレーキを備えたポータブル巻き戻しステーション上に、微多孔性膜のロールを配置した。
【0060】
直径30.5cm(12インチ)のクロムめっきの第1のニップロール上で2時の位置で微多孔性膜および支持シートが接触するようなウェブ経路を確立するために、一連のアイドラーローラーを使用した。ニップロールを約74℃(165°F)まで加熱した。支持シートの底部表面上に位置するレールの低融点樹脂含有チップを微多孔性膜と接触させ、加熱されたニップロールの周囲約60度で積層化を生じさせた。
【0061】
直径30.5cm(12インチ)のクロムめっきの第2のニップロールを第1のニップロールに直接的に隣接させて配置した。第2のニップロールを約74℃(165°F)まで加熱した。支持シートの全厚さより約254ミクロン(0.010インチ)低く設定されたギャップを使用して、約276kPa(40psi)の圧力で両ロールを一緒に挟んだ。
【0062】
張力を提供するようにクラッチを使用して上記の微多孔性膜の第2のロールを解いて、2つのニップロール間のニップに供給し、二重側面支持シートの上部表面上に位置するレールの先端が、第1のニップロールの約3時の位置で微多孔性フィルムと接触するようにさせた。3層積層構造体は、第2のニップロールの周囲約90度で接触し続けた。二重側面支持シートへの微多孔性膜の強い結合が得られた。
【0063】
実施例4
従来の異形押出装置を使用して、両側面上にレール様突出部を有するテクスチャー流体不透過性支持シートを製造した。ポリプロピレン/ポリエチレン衝撃コポリマー(C104、1.5MFI、ミシガン州、ミッドランド(Midland,MI)のダウ ケミカル コーポレイション(Dow Chemical Corp.))およびポリオレフィンエラストマー、エンゲージ(ENGAGE)8100(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington,DE)のデュポン ダウ エラストマーズ(Dupont Dow Elastomers))を共押出して、突出部の最上部表面(先端)が低融点熱シール性エラストマーを含有する、レール様突出部を有するフラットベース層を有する流体不透過性支持シートを形成した。
【0064】
216℃から246℃へ一定増加するバレル温度断面を使用して約26kg/時間の速度で、6.35cm一軸スクリュー押出機(24:1 L/D)によって、ポリプロピレンコポリマーを押出した。約1.4kg/時間の速度で、約3.81cm(28:1 L/D)の直径、および約204℃から241℃へ増加する温度断面を有する第2の一軸スクリュー押出機へとポリオレフィンエラストマーを供給した。ポリプロピレンがB層を形成し、そしてエラストマーが2つのA層を形成している3層A−B−A共押出フィードブロック(テキサス州、オレンジ(Orange,TX)のクローレン カンパニー(Cloeren Co.))中に、両方のポリマーを供給した。3層溶融物の流れを246℃に維持されたオートフレックス(Autoflex)4−H40 押出ダイ(ウィスコンシン州、チペワ フォールズ(Chippewa Falls,WI)のエクストルーション ダイズ インコーポレイテッド(Extrusion Dies,Inc.))中に供給した。成形断面を有するダイリップを備えたダイを通して垂直に下方向に押出物を押出した。ダイリップによる成形後、水を約16℃〜20℃に維持しながら約2.1メートル/分の速度で水タンク中で押出物をクエンチングした。フィルムダイは、両側面で、中心ベース層から垂直に延在する均等に間隔配置された直線状レール様突出部から形成された構造化表面を有する中心ポリマーベースシートを形成するように構成された放電機械加工による開口切断部を有するダイリップを有した。
【0065】
支持シートのベース層は、約165ミクロン(0.0065インチ)の厚さを有した。レール様突出部は、高さ約838ミクロン(0.033インチ)、厚さまたは幅約262ミクロン(0.0103インチ)および約1346ミクロン(0.053インチ)の中心間の間隔であった。加えて、各レール様突出部は、その遠位端(先端)で厚さ約178ミクロン(0.007インチ)の低融点エンゲージ(ENGAGE)8100層を有した。低融点樹脂は多層支持シートの約4.9重量%を占めた。
【0066】
実施例5
上記実施例3の手順を使用して、国際公開第9929220号パンフレットの実施例1に記載されるものと同様に、ポリプロピレンの熱的誘導された相分離微多孔性膜に実施例4の二重側面流体不透過性支持シートを熱的に積層化した。微多孔性膜は、約58.75質量%のポリプロピレン樹脂(5D45、コネチカット州、ダンバリー(Danbury,CT)のユニオン カーバイド コーポレイション(Union Carbide Corp.))、35.0質量%の鉱油(ホワイト ミネラル オイル(White Mineral Oil)#31 USPグレード、アモコ オイル カンパニー(Amoco Oil Company))、25質量%のグリーン#7顔料を含有する4.0質量%のグリーン顔料濃縮物(名10066064 FDA グリーン、ポリワン カンパニー(PolyOne Company))および2.25質量%のフルオロカーボンエステル(3Mカンパニー(3M Company)製、2002年5月29日出願の米国特許出願第10/159,752号明細書、第27頁および第28頁にクエン酸エステルFC425として記載の通り製造されたもの)を含んでなる。要約すると、トルエン、C49SO2N(CH3)CH2CH2OH(MeFBSE)、クエン酸、p−トルエンスルホン酸およびポリエチレンアルコール(テキサス州、シュガーランド(Sugar Land,Texas)のベーカー ペトロライト コーポレイション(Baker Petrolite Corp.)からユニリン(Unilin)−425 105−OH当量として得られたもの)を一緒に混合した。混合物を還流下で15時間加熱した。ディーンスターク(Dean Stark)トラップ(反応フラスコに装備されたもの)に所望量の水が回収された時、トルエンが蒸留除去された。ほとんどのトルエンが蒸留除去された時、溶融生成物をパンの中に注ぎ入れ、そして120℃のオーブン中で4時間乾燥させた。
【0067】
FC−425の構造は、
【化1】

である。
【0068】
60℃に維持されたキャスティングホイール上に38.1cm×0.381mmのオリフィスを有するスリップギャップシートダイを通して250℃から204℃への減少バレル温度断面を有する直径40mmの共回転二軸スクリュー押出機中で、9.08Kg/時間で微多孔性膜のための組成物を溶融混合した。52℃において縦方向で1.8:1の比で、および107℃において横断ウェブ方向で1.8:1の比で連続的様式でキャストフィルムを伸長し、そして熱を130℃に設定した。得られた微多孔性膜は、17ダイン/cm未満の表面エネルギーを有した。
【0069】
膜は、約76ミクロン(0.003インチ)の厚さ、約0.21ミクロンのバブルポイント細孔径および約35%の油含量を有した。
【0070】
実施例6
上記実施例3の手順を使用して、国際公開第9929220号パンフレットの実施例7〜9に記載されるものと同様に、ポリプロピレンの熱的誘導された相分離微多孔性膜に実施例4の二重側面流体不透過性支持シートを熱的に積層化した。膜を親水性にするために、溶融混合物に1.5重量%のソルビタンモノラウリレート(スパン(SPAN)−20、ニュージャージー州、イルビントン(Irvington,NJ)のラガー ケミカル カンパニー インコーポレイテッド(Ruger Chemical Co.,Inc.))を添加した。得られた膜モジュールエレメントは、多層支持シートの両側面で微多孔性膜を含んでなり、微多孔性膜は親水性および水分透過性であった。
【0071】
上記実施形態を参照することによって本発明が説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および細部に変更がなされてもよいことを当業者は認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による膜構造体の部分断面図。
【図2】波形シートの両側面上に流体透過性層を含む波形シートの形態の、本発明の膜構造体の別の実施形態の部分断面図。
【図3】正弦構成の形態の、本発明の膜構造体のもう1つの実施形態の部分断面図。
【図4】シートの両側面上に流体透過性層を含む正弦構成シートの形態の、本発明の膜構造体の別の実施形態の部分断面図。
【図5a】蛇行した流れの道筋を有する流路を図示する、多層支持シートの斜視図。
【図5b】蛇行した流れの道筋を有する流路を図示する、多層支持シートの斜視図。
【図5c】蛇行した流れの道筋を有する流路を図示する、多層支持シートの斜視図。
【図6】支持シートの一側面上にレールおよび流体透過性層を有する押出された支持シートを図示する、本発明の膜構造体の別の実施形態の断面図。
【図7】支持シートの両側面上にレールおよび流体透過性層を有する押出された支持シートを図示する、本発明の膜構造体の別の実施形態の断面図。
【図8】支持シートの一側面上のレールが、他の側面上のレールからオフセットされる、本発明の実施形態の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体への、または流体からの成分の選択的転送のための膜構造体であって、
a)支持シートの少なくとも一側面上に複数の支持体を有し、前記支持体が複数の流路を形成しており、多層シートの少なくとも1層が結合層である、多層流体不透過性支持シートと、
b)複数の前記流路を被覆し、そして前記結合層によって複数の前記支持体に結合された、少なくとも1層の流体透過性層と、
を含んでなる膜構造体。
【請求項2】
前記多層流体不透過性支持シートが波形シートの形態にあり、そして波形の先端が前記支持体を形成する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項3】
前記多層流体不透過性支持シートが、のこぎり歯および正弦構成から選択される横断構成を有する、請求項2に記載の膜構造体。
【請求項4】
前記支持体が、前記多層流体不透過性支持シートの少なくとも一側面から延在するレールを含んでなる、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項5】
前記多層流体不透過性支持シートの両側面上で支持レールを有する、請求項4に記載の膜構造体。
【請求項6】
前記多層流体不透過性支持シートの一側面上の支持レールが、他の側面上の支持レールに関してオフセットの関係にある、請求項5に記載の膜構造体。
【請求項7】
前記流路が、前記流路内のより小さい副流路を特徴とし、前記副流路は、前記支持体間の副突出部によって形成されており、副突出部は、前記支持体のように前記多層不透過性支持シートの表面から遠くに延在しない、請求項4に記載の膜構造体。
【請求項8】
前記結合層が、前記結合層から外方に向く前記流体透過性層の部分よりも低い軟化温度を有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項9】
前記多層流体不透過性支持シートの結合層が、ポリオレフィンエラストマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニルターポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、ポリブチレン、ポリブチレンコポリマー、ポリイソプレン、ポリイソプレンコポリマー、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴムおよびそれらの混合物よりなる群から選択されたポリマー材料から製造される、請求項8に記載の膜構造体。
【請求項10】
少なくとも1層の流体透過性層と前記支持体との間の結合が実質的に連続的である、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項11】
前記流路に連結されたマニホールドをさらに含んでなる、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項12】
前記流路の長さに沿って前記流路の水力半径が一定ではない、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項13】
前記流体透過性層が、多孔性膜および繊維状層を含んでなる、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項14】
前記多層流体不透過性支持シートが、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂またはいずれかのそれらの組み合わせを含んでなる、前記結合層以外の層を含んでなる、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項15】
前記流体透過性層が、約0.8マイクロメートル未満の細孔径を有する多孔性材料を含んでなる、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項16】
前記流体透過性層が、1センチメートルあたり約20ダイン未満の表面エネルギーを有する、請求項1に記載の膜構造体。
【請求項17】
濾液を受け取る流路がより低圧になるように膜の一側面から他方へ圧力差によって、請求項1に記載の膜構造体に液体を通過させることを含んでなる、液体混合物の濾過方法。
【請求項18】
請求項1に記載の膜構造体を液体中に配置することと、ガスを膜の流路中へ、流体透過性層を通して、そして液体中へと流動させることと、を含んでなる、液体へのガスの転送方法。
【請求項19】
a)請求項1に記載の膜構造体を水と接触させて配置することと、
b)流体透過性層において成長するバクテリアの集団を確立することと、
c)空気または酸素を膜の流路中へ、前記流体透過性層を通して、そして液体中へと流動させることと、
を含んでなる、水の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−528069(P2006−528069A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532384(P2006−532384)
【出願日】平成16年4月6日(2004.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/010787
【国際公開番号】WO2004/103535
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】