説明

複合発光材料およびこれを含む発光素子

【課題】2種以上の発光材料を融合して1つの構造に複合化することによって、発光材料を素子に適用する工程を単純化し、発光素子の特性を効率的に調節できる複合発光材料およびこれを含む発光素子を提供する。
【解決手段】無機蛍光体、半導体ナノ結晶および有機染料からなる群より選択される少なくとも2種の発光材料を含み、前記無機蛍光体、前記半導体ナノ結晶、および前記有機染料からなる群より選択される少なくとも1種が表面コーティングされていることを特徴とする、複合発光材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合発光材料およびこれを含む発光素子に関し、より詳細には、無機蛍光体、半導体ナノ結晶および有機染料のうちの2種以上の発光材料を含み、前記無機蛍光体、前記半導体ナノ結晶、および前記有機染料からなる群より選択される少なくとも1種が表面コーティングされていることを特徴とする複合発光材料およびこれを含む発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光材料は、刺激エネルギーによって発光する性質を有する物質で、光源装置、陰極線管、プラズマディスプレイまたは電界放出ディスプレイのような表示装置、およびバイオ標識(bio tagging)用の発光センサに幅広く用いられてきた。このような発光素子には、発光効率を極大化し、発光特性を安定的に維持できる発光材料を採用する必要がある。ディスプレイ向け発光材料の代表的なものに、無機蛍光体、有機染料、半導体ナノ結晶などがある。
【0003】
中でも半導体ナノ結晶(「量子ドット」)は、半導体化合物をナノサイズの結晶に粉砕したもので、その半導体化合物のバルク励起子ボーア半径(bulk exciton Bohr radius)より小さい領域で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示し、このような量子閉じ込め効果によって半導体化合物のバンドギャップエネルギーが変化する。
【0004】
発光材料の発光効率は、発光材料粒子の表面構造、組成、表面結晶性などの表面特性に左右される。半導体ナノ結晶は、そのサイズが非常に小さいため、比較的表面積が大きい。このため、半導体ナノ結晶の表面には欠陥(defect)が生じやすく、これらの欠陥がエネルギーバンドギャップ間に存在する様々なエネルギートラップとして働き、その結果として半導体ナノ結晶の発光効率が低下してしまう。さらに、このような現象は、半導体ナノ結晶を組み合わせる場合に、より深刻になる。
【0005】
無機蛍光体の場合は、酸素および水分との接触により表面が酸化して発光特性が変化しやすい。また、電子が表面に蓄積すると帯電が起きて励起状態に遷移し難くなり、結果として発光効率が低下してしまう。
【0006】
一方、発光体として用いられる有機染料の場合は、高いエネルギーを有する励起光に長時間露出されると物質自体の安定性が低下し、発光効率が急激に減少するという問題がある。
【0007】
このように発光材料は、物質の特性、環境条件およびエネルギー励起状態などの影響を受けて発光特性が変化したり発光効率が低下したりするため、安定な有機または無機物質で発光材料の表面に保護膜を被覆するコーティング方法が利用されてきた。蛍光体粒子の表面への保護物質のコーティング方法には、ゾル−ゲル法、溶液中における静電気の原理に基づく吸着方法などの液状コーティング法などが含まれる(例えば、特許文献1〜7を参照)。
【0008】
なお、特許文献8は、バンドギャップがより大きい半導体化合物で半導体ナノ結晶の表面をコーティングする方法を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,858,277号明細書
【特許文献2】米国特許第6,486,589号明細書
【特許文献3】米国特許第5,856,009号明細書
【特許文献4】米国特許第6,001,477号明細書
【特許文献5】米国特許第5,881,154号明細書
【特許文献6】米国特許第6,013,979号明細書
【特許文献7】大韓民国特許公開第2000−8995号明細書
【特許文献8】米国特許第6,861,155号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、発光材料の発光効率および寿命を向上させるために、表面をコーティングされた2種以上の発光材料を融合させることによって1つの構造に複合化した技術は未だ開示されていないのが現状である。
【0010】
本発明は上記の従来技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、2種以上の発光材料を融合して1つの構造に複合化することによって、発光材料を素子に適用する工程を単純化し、発光素子の特性を効率的に調節できる複合発光材料を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、製造が容易で、再現性に優れており、優れた発光特性を安定的に維持できる発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、無機蛍光体、半導体ナノ結晶および有機染料からなる群より選択される少なくとも2種の発光材料を含み、前記無機蛍光体、前記半導体ナノ結晶、および前記有機染料からなる群より選択される少なくとも1種が表面コーティングされていることを特徴とする、複合発光材料を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記の複合発光材料を含む発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の複合発光材料は、電子の帯電、環境的要因または表面欠陥などにより生じる無機蛍光体、半導体ナノ結晶、および有機染料の発光効率の低下が防止されるため、本発明の複合発光材料は、発光効率に優れているだけでなく、発光特性を安定的に維持することができる。また、本発明によれば、それぞれの発光材料の発光波長と吸収波長を適宜組み合わせることによってエネルギー移動現象を極大化できるため、各発光材料を別々に使用する場合に比べて発光効率を著しく向上させることが可能になる。
【0015】
なお、本発明の複合発光材料は、2種以上の発光材料を融合して一つの構造に複合化することによって、各発光特性を示す材料をそれぞれ素子に適用する方法に比べて工程を減少させることができ、それぞれの発光材料を単純混合する場合とは異なって、エネルギー移動を効率的に実現でき、これにより製造される発光素子の特性を効率的に調節可能である。したがって、本発明の複合発光材料は、高効率および長寿命の発光材料を必要とする発光ダイオードなどの蛍光体として有利に使用されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明についてより詳細に説明する。
【0017】
本発明の典型的な実施形態において、本発明の複合発光材料は、無機蛍光体、半導体ナノ結晶および有機染料からなる群より選択される少なくとも2種の発光材料を含み、前記無機蛍光体、前記半導体ナノ結晶、および前記有機染料からなる群より選択される少なくとも1種が表面コーティングされていることを特徴とする。
【0018】
無機蛍光体は、合成後の安全性を確保するために、表面を金属酸化物などの透明な材料でコーティングされうる。有機染料は、励起光源に暴露されることによる寿命の減少の問題を克服するために、金属酸化物などの透明な材料に封入された複合体の形態で使用されうる。さらに、半導体ナノ結晶は、環境変化による表面欠陥の形成を防ぐために、金属酸化物でコーティングされうる。
【0019】
本発明では、無機蛍光体、半導体ナノ結晶、および有機染料がそれぞれの長所短所を補完し合うように併用される。例えば、有機染料は、発光効率に最も優れるという長所があるが、安定性の低下という短所を有しており、半導体ナノ結晶または無機蛍光体と一緒に使用すると、発光効率に優れ、かつ、寿命特性が良い発光材料が得られる。さらに、近い距離で効率的に起きるエネルギー移動現象を用いて色変換を効率的に調節できる。
【0020】
本発明の典型的な実施形態によれば、本発明の複合発光材料は、透明金属酸化物マトリクス内に、有機染料と半導体ナノ結晶とを含むことが好ましい(後述の表1の実施形態2に相当する)。このような構造では、発光体物質として用いられる半導体ナノ結晶と有機染料とが金属酸化物によってコーティングされるので、表面の欠陥が生成されたり環境による発光効率が低下したりすることなく発光特性を安定的に維持することができる。
【0021】
本発明の複合発光材料は、心材(core material)と透明コーティング層とを含む構造を有することが好ましい。この場合、心材は、無機蛍光体または半導体ナノ結晶とし、この心材の外側に形成される透明コーティング層は、マトリクス内に半導体ナノ結晶もしくは有機染料のいずれか一つまたはその両方を含むことが好ましい。このとき、透明コーティング層に含まれる半導体ナノ結晶は、それ自体がさらにコーティングされても良い。前記マトリクスは、可視光線を透過させうるような透明な金属酸化物または有機高分子から形成されることが好ましい。
【0022】
本発明の複合発光材料の心材および透明コーティング層は、様々な構成で具現化されうる。例えば、心材が半導体ナノ結晶である場合、心材である半導体ナノ結晶の表面にコーティングされる透明コーティング層は、有機染料を含む金属酸化物から構成されることが好ましい(後述の表1の実施形態1に相当する)。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、心材が無機蛍光体である場合には、前記透明コーティング層は、マトリクス内に半導体ナノ結晶もしくは有機染料のいずれか一つまたはその両方を含むことが好ましい(後述の表1の実施形態4〜6に相当する)。また、本発明で使用される半導体ナノ結晶は、透明金属酸化物でコーティングされることが好ましい。したがって、例えば、前記透明コーティング層は、透明金属酸化物マトリクス内に、透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶を含むことが好ましい(後述の表1の実施形態7に相当する)。
【0024】
一方、透明コーティング層中の半導体ナノ結晶は、それ自体が有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされることが好ましい。こうすると、複合発光材料は、無機蛍光体の表面に透明コーティング層が形成された構造を有し、透明コーティング層は、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶が透明金属酸化物マトリクス内に含まれて構成される(後述の表1の実施形態9に相当する)。また、透明コーティング層は、透明金属酸化物マトリクス内に、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶と有機染料との両方を含むことができる(後述の表1の実施形態10に相当する)。前記透明コーティング層の厚さは、好ましくは100nm以上500nm以下である。
【0025】
本発明の複合発光材料の様々な実施態様を、図1ないし図7に示す。
【0026】
図1は、半導体ナノ結晶11の表面を、有機染料を含む透明金属酸化物12でコーティングした構造の複合発光材料を示す模式図である。図1に示すように、半導体ナノ結晶11および有機染料は、半導体ナノ結晶11の表面が有機染料を含む透明金属酸化物12でコーティングされることで複合化され、したがって金属酸化物によってコーティングされることになる(後述の表1の実施形態2に相当する)。
【0027】
図2は、有機染料を含む透明金属酸化物マトリクス23中に半導体ナノ結晶21を含む構造の複合発光材料を示す模式図である。このような構造の複合発光材料では、半導体ナノ結晶21と有機染料とが透明金属酸化物によってコーティングされることになる(後述の表1の実施形態1に相当する)。
【0028】
図3は、無機蛍光体30の表面を、半導体ナノ結晶31を含む透明コーティング層でコーティングされた構造の複合発光材料を示す模式図である。図3の発光材料は、無機蛍光体30の表面に透明コーティング層が形成され、この透明コーティング層は、半導体ナノ結晶31を含む透明金属酸化物マトリクスまたは有機高分子マトリクス35で構成される(後述の表1の実施形態4に相当する)。このような複合発光材料は、金属酸化物の前駆体を酸、塩基などの触媒を用いて一部縮合反応を進行させたゾル状態にしたのち半導体ナノ結晶を混合し、これを無機蛍光体にコーティングすることによって製造できる。また、半導体ナノ結晶の表面を、金属酸化物の前駆体で改質したのち、縮合反応を進行させる過程で無機蛍光体を加えて無機蛍光体をコーティングしても良い。また、半導体ナノ結晶と有機高分子とが溶解した溶液を調製したのち、無機蛍光体を加えて無機蛍光体をコーティングしても良く、半導体ナノ結晶とモノマーやオリゴマーとを混合させた溶液に重合反応を促進する触媒を加え、重合反応を進行させる過程で無機蛍光体を添加することによって無機蛍光体をコーティングしても良い。
【0029】
図4は、無機蛍光体40の表面を、有機染料を含む透明金属酸化物42でコーティングした構造の複合発光材料を示す模式図である。図4の複合発光材料においては、無機蛍光体40の表面に形成されたコーティング層が、有機染料を含む透明金属酸化物42から構成されうる(後述の表1の実施形態3に相当する)。
【0030】
このように有機染料を使ってコーティング層を形成する場合には、濃度を定量した有機染料を、複合体物質の調製に使用される金属酸化物の前駆体とあらかじめ混合させ、通常の複合体物質の調製工程を実施することによって、有機染料とを含む透明金属酸化物を含む透明コーティング層を形成できる。例えば、シリカ複合体を調製する場合には、シリカ複合体の前駆体と有機染料とを単純に混合することによって、有機染料を金属酸化物などの透明な材料に封入し、複合体を作ることができる。
【0031】
図5は、無機蛍光体50の表面を、半導体ナノ結晶51と有機染料とを含む透明コーティング層でコーティングした構造の複合発光材料を示す模式図である。図5の複合発光材料においては、無機蛍光体50の表面に形成された透明コーティング層が、有機染料を含む透明金属酸化物マトリクス53内に半導体ナノ結晶51をも含む(後述の表1の実施形態6に相当する)。
【0032】
このような実施形態による複合発光材料の調製において、半導体ナノ結晶および有機染料を透明金属酸化物の前駆体と混合することによって得られる混合物で無機蛍光体がコーティングされる。この場合には、別の重合工程を進行させるために、酸、塩基などの触媒を使用することが好ましい。金属酸化物の前駆体を、酸、塩基などの触媒を用いた部分的な縮合反応によりゾル状態にしたのち、これに半導体ナノ結晶と有機染料とを混合し、得られた混合物が無機蛍光体のコーティングに用いられる。この工程は、反応混合物を特定の温度下または特定の攪拌条件下に維持することを含む。
【0033】
図6は、有機染料を含む透明金属酸化物62でコーティングされた半導体ナノ結晶61を含む透明コーティング層によって、無機蛍光体60の表面をコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。図6の複合発光材料においては、無機蛍光体60を囲んで形成された透明コーティング層が、透明金属酸化物マトリクスまたは有機高分子マトリクス65内に、表面コーティングされた半導体ナノ結晶66を含む。ここで、表面コーティングされた半導体ナノ結晶66は、半導体ナノ結晶61の表面が、有機染料を含む透明金属酸化物62でコーティングされたものである(後述の表1の実施形態9に相当する)。
【0034】
図7は、透明金属酸化物74でコーティングされた半導体ナノ結晶71と有機染料とを含む透明コーティング層によって、無機蛍光体70の表面をコーティングした構造の複合発光材料を示す模式図である。図7の複合発光材料は、無機蛍光体70とその表面上に形成された透明コーティング層とを含み、該透明コーティング層は、有機染料を含む透明金属酸化物マトリクス73内に、表面コーティングされた半導体ナノ結晶76を含み、この表面コーティングされた半導体ナノ結晶76は、半導体ナノ結晶71の表面を透明金属酸化物74でコーティングされた構造を有する(後述の表1の実施形態8に相当する)。
【0035】
上記の様々な実施形態を含め、本発明の複合発光材料の実施形態をまとめて表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
本発明において、前記透明金属酸化物は、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ハフニウム酸化物、インジウム酸化物、タングステン酸化物、スズ酸化物、亜鉛酸化物、およびチタン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができるが、これらに制限されるわけではない。好ましい金属酸化物の例としては、TiO、SiO、SnO、ZnO、WO、Nb、SrTiO、InTiOなどが挙げられる。
【0038】
上記の実施形態において、無機蛍光体の表面に形成される透明コーティング層のマトリクスは、上述した金属酸化物のほかにも、モノマー、オリゴマーおよび高分子からなる群より選択される任意の材料を含んでもよい。
【0039】
高分子を使用する場合には、溶媒に溶解させた高分子に半導体ナノ結晶または有機染料を混合させたものを無機蛍光体の表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させて除去することによって複合発光材料を製造することができる。このときに使用可能な溶媒は特に制限されず、例えば、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族系溶媒、n−ヘキサン、n−オクタンなどのアルカン溶媒、メチレンクロリド、クロロホルムなどの非極性溶媒、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、または、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの極性溶媒などが挙げられる。
【0040】
マトリクス材料にモノマーを使用する場合には、モノマー、触媒、架橋剤、開始剤等と半導体ナノ結晶または有機染料とを混合したのち、重合して得られる混合物を無機蛍光体の表面にコーティングする。この場合にも、反応混合物に触媒を加え、特定の反応温度および/または反応中の攪拌を維持することが好ましい。
【0041】
モノマーまたはオリゴマーの場合には、例えば、メチルメタクリレート(MMA)モノマーと共に半導体ナノ結晶または有機染料を混合したのち重合反応によってポリメチルメタクリレート(PMMA)を得ることができる。メチルメタクリレートモノマーの代わりにラウリルメタクリレート(laurylmethacrylate:LMA)モノマーを使用すると、ポリラウリルメタクリレートが得られる。同様に、スチレンモノマーを用いて重合し、ポリスチレンとし、前記ポリスチレンをマトリクスの構成材料として用いても良い。
【0042】
本発明で用いられる高分子は、ポリカーボネート、ポリビニルカルバゾール、ポリメチルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリスチレン、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましいが、これらに限定されるわけではない。
【0043】
本発明において用いられる無機蛍光体は特に制限されず、得ようとする発光波長に応じて赤色発光体、緑色発光体、青色発光体、白色発光体、黄色発光体などを使用することができる。本発明で使用可能な無機蛍光体の例としては、(Y,Gd)BO:Eu、Y(V,P)O:Eu、(Y,Gd)O:Eu、LaS:Eu3+、Mg(F)GeO:Mn、Y:Ru、YS:Eu、KEu2.5(WO6.25:Sm0.08、YBOSrS:Eu2+、BaMgAl1017:Eu、Mn、ZnSiO:Mn、(Zn,A)SiO:Mn(Aは、第2族元素)、MgAl:Mn(x=1〜10の整数、y=1〜30の整数)、LaMgAl:Tb(z=1〜14の整数、w=8〜47の整数)、ReBO:Tb(Reは、Sc、Y、La、Ce、およびGdからなる群より選ばれる少なくとも1種の希土類元素である。)、ZnS:Cu:Al、SrGa:Ru、Tb(SrGa:Eu2+)、および(Y,Gd)BO:Tbからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0044】
本発明において用いられる半導体ナノ結晶は、II−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、IV族化合物およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましいが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。また、半導体ナノ結晶は、コア−シェル構造を有していてもよく、合金形態のナノ結晶を有していてもよい。
【0045】
II−VI族化合物の例としては、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTeなどの2元化合物、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTeなどの3元化合物、およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeなどの4元化合物から選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0046】
III−V族化合物の例としては、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbなどの2元化合物、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSbなどの3元化合物、およびGaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbなどの4元化合物から選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0047】
IV−VI族化合物の例としては、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeなどの2元化合物、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeなどの3元化合物、および、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeなどの4元化合物から選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0048】
IV族化合物の例としては、Si、Geなどの単元素およびSiC、SiGeなどの2元化合物から選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。
【0049】
本発明において用いられる有機染料は、有機蛍光染料と有機りん光染料との両方を使用することができ、さらに具体的には、有機金属錯体または有機染料物質を使用することができる。しかし、必ずしもこれらに制限されることはなく、発光特性を示す有機染料であればいずれも使用可能である。本発明で用いられる有機染料としては、例えば、Forrest、Stephen R.et al.Appl.Phys.Lett.、1999、75(1)、p46で使用されたトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))等の有機金属錯体形態の有機染料、または、クマリン(coumarin)、ローダミン(Rhodamine)、フェノキサゾン(phenoxazone)、スチルベン(stilbene)、テルフェニル(terphenyl)、クアテルフェニル(quarterphenyl)などの有機物質のみで構成された有機染料の少なくとも1種を使用することができる。
【0050】
本発明の第2は、本発明の複合発光材料を含む発光素子である。例えば、本発明の複合発光材料は、電気発光素子の発光層形成に使用可能であり、その他にも発光ダイオード(LED)などの発光素子に適用可能である。特に、本発明の複合発光材料は、発光効率に優れており、かつ長寿命特性を示すので、紫外線および青色光源を有する発光ダイオードの蛍光体として使用可能であり、白色発光ダイオード(White LED)にも応用可能である。
【0051】
発光ダイオードなどの発光素子は、環境調和的な材料で製造され、高寿命、高信頼性、高識別性、低消費電力、省スぺースなどの多くの長所を有するため、幅広い分野で活用されている。例えば、発光ダイオードは、自動車計器盤、車両用信号灯機、携帯電話のバックライト、デジタルカメラのバックライト、自動車の室内灯、屋外大型ディスプレイ、飛行機の調整室ディスプレイ、LED照明、LED看板などに用いられている。
【0052】
本発明の発光素子の製造は特別な装置や方法を必要とせず、通常の発光材料を用いた発光ダイオードなどの発光素子の製造方法によって製造すれば良い。例えば、発光ダイオードは、リードフレームに配置された青色発光ダイオードチップの周囲を、無機蛍光体、半導体ナノ結晶または有機染料を分散させた透明マトリクスで取り囲み、透明マトリクス、電線およびリードフレームを封止樹脂で封止することで製造することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を単に説明するためのもので、本発明を制限するためのものではない。
(製造例1:半導体ナノ結晶の製造)
トリオクチルアミン(以下、「TOA」と称す。)32g、オレイン酸1.8g、および酸化カドミウム1.6mmolを、同時に還流コンデンサの設置された125mlフラスコに入れ、反応温度を300℃に調節しながら攪拌した。2Mセレン−トリオクチルホスフィン(Se−TOP)錯体溶液0.2mLを反応混合物にすばやく加え、1分30秒後に、6mLのTOAと混合した0.8mmolのオクチルチオール錯体溶液を徐々に加えた。40分間の反応後に、別途合成したオレイン酸亜鉛錯体溶液16mLを徐々に加えた。
【0054】
オレイン酸亜鉛錯体溶液は、酢酸亜鉛4mmol、オレイン酸2.8g、およびTOA 16gを還流コンデンサの設置された125mLフラスコに入れ、反応温度を200℃に調節しながら攪拌して合成した。合成されたオレイン酸亜鉛錯体溶液を、温度を100℃以下に下げたのち、反応混合物に加えた。オレイン酸亜鉛錯体溶液の添加が完了した後、直ちに6mLのTOAと混合された6.4mmolのオクチルチオール錯体溶液を反応混合物に徐々に加えて約2時間反応させた。上記の手順により、まずCdSeナノ結晶が生成し、次いでその表面上にCdSナノ結晶が成長し、最後にその表面上にZnSが成長した。
【0055】
反応終了後、反応混合物の温度を可能な限り急速に常温まで下げ、非溶媒であるエタノールを加えて遠心分離を実施した。分離された上澄み液を除去し、沈殿をトルエン中に分散させて直径8nmの多層構造のナノ結晶CdSe/CdS/ZnSを合成した。
【0056】
この製造例で合成された赤色発光半導体ナノ結晶の紫外線−可視光線(UV−VIS)吸収スペクトルと紫外線で励起された光励起発光スペクトルを図8に示す。
【0057】
(実施例1:複合発光材料の製造)
上記製造例1で合成された赤色発光半導体ナノ結晶100mgを遠心分離によって分離した後、エタノール中に50質量%で存在する5−アミノ−1−ペンタノール205mgを加えて均一に分散させるために約30分間常温で攪拌した。攪拌した混合物にエタノールを約300mg加えて再び常温で30分間さらに攪拌し、半導体ナノ結晶が均一に分散されている溶液を得た。この溶液に、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート10mgを添加し、続いて3−アミノプロピルトリメトキシシラン50mgを添加した。この溶液を常温で5分程度攪拌した後、緑色発光蛍光体(Sarnoff社製、TG−3540)0.2gを加え、常温で2時間攪拌した。攪拌した溶液に、トルエンとエタノールを1:1で混合した溶液を20ml加え、遠心分離して沈殿を分離した。このようにして得られた沈殿を、150℃で熱処理して製造した複合発光材料の光励起発光スペクトルを図9に示し、走査電子顕微鏡(SEM)写真を図10に示す。図9から、本実施例で製造された複合発光材料は、無機蛍光体と半導体ナノ結晶の発光特性を同時に示すことが確認でき、図10から、無機蛍光体の表面がシリカコーティング層で均一にコーティングされていることが確認できる。
【0058】
(実施例2:複合発光材料の製造)
前記製造例1で合成された赤色発光半導体ナノ結晶100mgを遠心分離して得た後、1質量%でクロロホルム溶媒に分散させた。これとは別に、重量平均分子量が15000であるポリメチルメタクリレート(PMMA)0.05gをクロロホルム2.5mLに溶かし、1時間以上常温で十分に攪拌した。先に製造した半導体ナノ結晶溶液0.3mLをPMMA溶液に加え均一な組成となるように攪拌した。この混合物に緑色発光蛍光体(Sarnoff社製、TG−3540)0.2gを加えた後、常温で2時間攪拌した。攪拌した溶液をそのまま遠心分離して沈殿を分離した。このようにして得られた沈殿を、50℃で熱処理して溶媒を蒸発させて製造した複合発光材料の光励起発光スペクトルを図11に示し、SEM写真を図12に示す。
【0059】
(比較例1)
製造例1で得た赤色発光半導体ナノ結晶100mgを遠心分離して得た後、1質量%でクロロホルム溶媒に分散させ、この溶液に緑色発光蛍光体(Sarnoff社製、TG−3540)0.2gを加えた後、常温で2時間攪拌し、そのまま遠心分離して無機蛍光体と半導体ナノ結晶との単純混合物を得た。この混合物の光励起発光スペクトルを図11に示し、SEM写真を図13に示す。図11を参照すると、本発明の実施例2の複合発光材料が、2種類の発光材料を単純に混合した比較例1の発光材料に比べて発光特性に優れていることが確認できる。
【0060】
(実施例3:発光ダイオードの製造)
上記実施例1で製造した複合発光材料0.025gをエポキシ(SJC Chemical社製、SJ4500 A/B Mixture)0.2mLと均一に混合した後、その混合物約50μLを460nmで青色発光する青色LEDチップ(Osram Gmbh社製の市販品)上に、塗布した。そして、80℃のオーブンに入れて一時間硬化させた。このようにして製造した発光ダイオードの発光スペクトルを、積分球が設置されたISP75 integrating sphere adapter(Instrument System社製)で測定したものを図14に示す。この時の光変換効率(Power conversion efficiency:PCE)は35%であった。
【0061】
(比較例2)
実施例1で製造した複合発光材料と比較するために、緑色発光蛍光体(Sarnoff社製、TG−3540)0.025gをエポキシ(SJC Chemical社製、SJ4500 A/B Mixture)0.2mLと均一に混合させて得たペースト約50μLをLEDチップ(Osram Gmbh社製の市販品)上に塗布し、120℃のオーブンに入れて一時間硬化させた。その上に1質量%に調製された製造例1で得た半導体ナノ結晶のクロロホルム溶液を約50μL塗布したのちオーブンに入れ、溶媒を除去した。上記手順で得たLEDの発光スペクトルを図14に示す。この時のPCEは22%であった。
【0062】
すなわち、本発明の複合発光材料を使用した場合、比較例のLEDを製造する工程に比べて一段階の工程、すなわち、溶媒除去工程が省かれているにもかかわらず、比較例で製造したLEDに比べて光変換効率がより高く、特に、赤色ナノ結晶の発光効率が無機緑色発光蛍光体に比べてより向上している。このことから、緑色発光体に吸収された光を赤色発光体に変換するエネルギー移動がより効率よく起きたことが確認できる。
【0063】
(実施例4:発光ダイオードの製造例)
実施例2で製造した複合発光材料0.025gをエポキシ(SJC Chemical社製、SJ4500 A/B Mixture)0.2mLと均一に混合した後、その混合物約50μLを460nmで青色発光する青色LEDチップ(Osram Gmbh社製の市販品)上に、塗布した。続いて、80℃のオーブンに入れて一時間硬化させた。このようにして製造された発光ダイオードの発光スペクトルを、積分球が設置されたISP 75 Integrating sphere adapter(Instrument System社製)で測定したものを図15に示す。この時、PCEは20%であった。
【0064】
(比較例3)
実施例2で製造した複合発光材料と比較するために、緑色発光蛍光体(Sarnoff社製、TG−3540)0.025gをエポキシ(SJC Chemical社製、SJ4500 A/B Mixture)0.2mLと均一に混合したペースト約50μLを、LEDチップ(Osram Gmbh社製の市販品)上に塗布し、120℃のオーブンに入れて一時間硬化させた。さらにその上に1質量%に調製された製造例1で得た半導体ナノ結晶のクロロホルム溶液を約50μL塗布したのちオーブンに入れ、溶媒を除去した。上記で得たLEDを測定した発光スペクトルを図15に示す。この時、PCEは11%であった。
【0065】
すなわち、本発明の複合発光材料を使用した場合、比較例でLEDを製造する工程に比べて一段階の工程、すなわち、溶媒除去工程が省かれながらも、比較例で得たLEDに比べて光変換効率が約2倍にもなることが確認された。これは、PMMA高分子が無機蛍光体と半導体ナノ結晶との表面を良好に保護することで、光変換効率が向上したと推測される。図15のスペクトルを比較してみると、実施例4で製造した複合発光材料の場合、比較例3の場合に比べて光源に該当する青色波長がより大きく現れており、より少ない光源を吸収して同程度の強度の発光を示すことから発光効率がより高いことが確認できる。特に、赤色ナノ結晶の発光効率が無機緑色発光蛍光体に比べてより向上したことから、緑色発光体に吸収された光を赤色発光体に変換するエネルギー移動がより効率良く起きたことが確認できる。
【0066】
以上、好適な具体例を挙げて本発明を説明してきたが、本発明は、本発明の保護範囲を逸脱しない範囲内で様々な変形を実施することができ、それらの様々な変形例も本発明の保護範囲に含まれることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】半導体ナノ結晶の表面を、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図2】透明金属酸化物マトリクスに有機染料と半導体ナノ結晶とを含む構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図3】無機蛍光体の表面を、半導体ナノ結晶を含むコーティング層でコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図4】無機蛍光体の表面を、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図5】無機蛍光体の表面を、半導体ナノ結晶と有機染料とを含むコーティング層でコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図6】無機蛍光体の表面を、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶を含むコーティング層でコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図7】無機蛍光体の表面を、透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶と有機染料を含むコーティング層でコーティングした構造を有する複合発光材料を示す模式図である。
【図8】製造例1で合成された赤色発光半導体ナノ結晶の紫外線−可視光線(UV−VIS)吸収スペクトルおよび紫外線で励起された光励起発光スペクトルである。
【図9】実施例1で製造された複合発光材料の光励起発光スペクトルである。
【図10】実施例1で製造された複合発光材料のSEM写真である。
【図11】実施例2で製造された複合発光材料および比較例1で製造された発光材料2種の単純混合物の光励起発光スペクトルである。
【図12】実施例2で製造された複合発光材料のSEM写真である。
【図13】比較例1で製造された発光材料2種の単純混合物のSEM写真である。
【図14】実施例3で製造された複合発光材料および比較例2で製造された発光材料2種の単純混合物の光励起発光スペクトルである。
【図15】実施例4で製造された複合発光材料および比較例3で製造された発光材料2種の単純混合物の光励起発光スペクトルである。
【符号の説明】
【0068】
11、21、31、51、61、71 半導体ナノ結晶、
12、42、62 有機染料を含む透明金属酸化物、
23、53、73 有機染料を含む透明金属酸化物マトリクス、
30、40、50、60、70 無機蛍光体、
35、65 透明金属酸化物マトリクスまたは有機高分子マトリクス、
66、76 表面コーティングされた半導体ナノ結晶、
74 透明金属酸化物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機蛍光体、半導体ナノ結晶および有機染料からなる群より選択される少なくとも2種の発光材料を含み、前記無機蛍光体、前記半導体ナノ結晶、および前記有機染料からなる群より選択される少なくとも1種が表面コーティングされていることを特徴とする、複合発光材料。
【請求項2】
前記複合発光材料が、透明金属酸化物マトリクス内に有機染料と半導体ナノ結晶とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合発光材料。
【請求項3】
前記複合発光材料が、心材と透明コーティング層とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の複合発光材料。
【請求項4】
前記心材が、無機蛍光体または半導体ナノ結晶であることを特徴とする、請求項3に記載の複合発光材料。
【請求項5】
前記透明コーティング層が、マトリクス内に半導体ナノ結晶および有機染料のうちのいずれか一つまたはその両方を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の複合発光材料。
【請求項6】
前記マトリクスは、透明金属酸化物または有機高分子から形成されることを特徴とする、請求項5に記載の複合発光材料。
【請求項7】
前記透明コーティング層は、前記マトリクス内に半導体ナノ結晶を含むことを特徴とする、請求項6に記載の複合発光材料。
【請求項8】
前記透明コーティング層は、前記マトリクス内に有機染料を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の複合発光材料。
【請求項9】
前記透明コーティング層は、前記マトリクス内に有機染料と半導体ナノ結晶を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の複合発光材料。
【請求項10】
前記半導体ナノ結晶は、透明金属酸化物でコーティングされたものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合発光材料。
【請求項11】
前記透明コーティング層は、前記マトリクス内に、透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶を含むことを特徴とする、請求項10に記載の複合発光材料。
【請求項12】
前記半導体ナノ結晶は、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされたものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合発光材料。
【請求項13】
前記透明コーティング層は、前記マトリクス内に、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶を含むことを特徴とする、請求項12に記載の複合発光材料。
【請求項14】
前記透明コーティング層は、前記マトリクス内に、有機染料を含む透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶と有機染料とを含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の複合発光材料。
【請求項15】
前記透明コーティング層は、有機染料を含む前記マトリクス内に、透明金属酸化物でコーティングされた半導体ナノ結晶を含むことを特徴とする、請求項10に記載の複合発光材料。
【請求項16】
前記透明金属酸化物は、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ハフニウム酸化物、インジウム酸化物、タングステン酸化物、スズ酸化物、亜鉛酸化物、およびチタン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2〜15のいずれか1項に記載の複合発光材料。
【請求項17】
前記高分子材料は、ポリカーボネート、ポリビニルカルバゾール、ポリメチルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリスチレン、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項6に記載の複合発光材料。
【請求項18】
前記半導体ナノ結晶は、II−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、IV族化合物およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の複合発光材料。
【請求項19】
前記II−VI族化合物は、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTeの2元化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTeの3元化合物;および、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeの4元化合物からなる群より選択される少なくとも1種の物質であり、
前記III−V族化合物半導体は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbの2元化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSbの3元化合物;および、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbの4元化合物からなる群より選択される少なくとも1種の物質であり、
前記IV−VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeの2元化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeの3元化合物;および、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeの4元化合物からなる群より選択される少なくとも1種の物質であり、
前記IV族化合物は、SiまたはGeの単元素およびSiCまたはSiGeの2元化合物からなる群より選択される少なくとも1種の物質であることを特徴とする、請求項18に記載の複合発光材料。
【請求項20】
前記有機染料は、有機金属錯体または有機染料物質であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の複合発光材料。
【請求項21】
前記有機染料物質は、クマリン、ローダミン、フェノキサゾン、スチルベン、テルフェニル、およびクアテルフェニルからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項20に記載の複合発光材料。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の複合発光材料を含む、発光素子。
【請求項23】
前記発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする、請求項22に記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−50603(P2008−50603A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201122(P2007−201122)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】