説明

複合糸及び繊維構造物

【課題】織編加工性に優れると共に、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を与える複合糸を提供する。
【解決手段】芯成分に鞘成分をカバリング加工してなる芯鞘構造の複合糸であって、前記芯成分が、15cN/dTex以上の強度及び600cN/dTex以上の弾性率を有する有機長繊維を含み、且つ前記鞘成分が水溶性長繊維からなることを特徴とする複合糸とする。また、前記有機長繊維は、パラ配向型アラミド繊維及び/又はPBO繊維とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合糸及び繊維構造物に関する。詳細には、本発明は、耐熱保護具、防災保護具、保護衣料及び軽量複合材等で使用される繊維構造物を与える複合糸に関する。
【背景技術】
【0002】
パラ配向型アラミド繊維は、高強度性、高弾性及び高耐熱性であるにも拘わらず、金属繊維や無機繊維に比べて低比重であるために軽量であり、また耐薬品性にも優れていることから、近年は防護衣料だけでなく各種産業資材用途にも幅広く使用されている。特に、強度が15cN/dTex以上で、且つ弾性率が600cN/dTex以上である、高強度・高弾性率の長繊維は、その高い耐切創性及び強靭性を活かして防護衣料や軽量強化材料として有望視されている。
また、このような高強力・高弾性率の長繊維を用いて作製される繊維構造物は、撚りをかけない長繊維フィラメントを用いた場合に、その独特の風合いを活かした外観を有し、特有の意匠性を発現することが多い。
【0003】
しかし、このような高強度性及び高弾性率の長繊維は、織編加工時にヘルドやリード等の冶具との摩擦又は繊維同士の摩擦によって、フィブリルを発生し易いという欠点を有している。このような織編加工時にフィブリルが発生した織編物は、織編物表面に細かい毛羽が見られるため、商品価値が低下してしまう。また、織編物から脱落した毛羽は、ヘルドやリードに堆積して糸の走行時の摩擦抵抗を大きくしたり、また、経糸に発生した毛羽は、緯糸の走行を妨げるというような織編加工時のトラブルにつながる問題もある。このような問題は、特に600dTex以下の低繊度を有する長繊維にその傾向が強い。そのため、低繊度の長繊維を用いる場合に、織編加工性を向上させることが特に望まれている。
【0004】
このような問題点を解決するために、特定の油剤でパラ配向型アラミド繊維を表面処理すると共に、空気交絡処理を施す方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、油剤処理を施して繊維の摩擦抵抗を減らすことによって、フィブリルの発生を低減する効果が一般に得られるものの、高強力、高弾性率及び低繊度のアラミド繊維を用いる場合には、その効果は必ずしも十分ではない。
【0005】
一方、高強力短繊維からなる紡績糸を加工してなる繊維構造物において、短繊維の端部が繊維構造物の表面に露出してちくちく感を与えることを防止する方法として、無撚りの高強力短繊維からなる芯成分を、水溶性長繊維からなる水溶性長繊維でカバリング加工して芯鞘構造の複合糸を作製した後、この複合糸から織編加工して予備繊維構造物を形成し、次いでこの予備繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解して除去することによって繊維構造物を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、短繊維の端部が繊維構造物の表面から露出して繊維構造物の商品価値が低下することを抑制するために、短繊維を一方向に配向させる手段としてカバリング加工を行うことを技術的特徴としている。
しかしながら、この方法は、芯成分に有機短繊維を限定して用いており、有機長繊維を用いるものではない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−250835号公報
【特許文献2】特開2001−131842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、織編加工性に優れると共に、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を与える複合糸を提供することを目的とする。
また、本発明は、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、芯成分に鞘成分をカバリング加工してなる芯鞘構造の複合糸であって、前記芯成分が、15cN/dTex以上の強度及び600cN/dTex以上の弾性率を有する有機長繊維を含み、且つ前記鞘成分が水溶性長繊維からなることを特徴とする複合糸である。
また、本発明は、上記複合糸を織編加工して予備繊維構造物を形成した後、この予備繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解して除去することによって得られることを特徴とする繊維構造物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、織編加工性に優れると共に、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を与える複合糸を提供することができる。
また、本発明によれば、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、芯成分に鞘成分をカバリング加工してなる芯鞘構造の複合糸である。
本発明において用いられる芯成分は、有機長繊維を含む。かかる有機長繊維は、繊維構造物に要求される強度特性を満足させる観点から、15cN/dTex以上、好ましくは20cN/dTexの強度、及び600cN/dTex以上、好ましくは650cN/dTexの弾性率を有する。かかる有機長繊維において、強度が15cN/dTex未満又は弾性率が600cN/dTex未満であっても、織編加工時のフィブリル化が格別起こり易いということはないが、所望の耐切創性、強靭性及び軽量性が得られない。
【0011】
また、有機長繊維の単糸径は、有機長繊維の種類に応じて適宜設定すればよく、特に制限されることはないが、好ましくは4〜20μmであり、より好ましくは9〜17μmである。単糸径が4μm未満であると、単糸切れが多くなることがあるので好ましくない。一方、単糸径が20μmを超えると、剛直性が増して織編加工性が低下することがあると共に、得られる繊維構造物の強ばりが目的に合致しないことがあるので好ましくない。
さらに、有機長繊維の繊度も、有機長繊維の種類に応じて適宜設定すればよく、特に制限されることはないが、好ましくは1,000dTex以下であり、より好ましくは600dTex以下である。特に、繊維構造物をより軽量化させるには、300dTex以下であることが好ましい。
【0012】
本発明において用いられる有機長繊維としては、パラ配向型アラミド繊維及び/又はPBO(ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維であることが好ましい。ここで、パラ配向型アラミド繊維とは、ジカルボン酸成分の残基としてのジアシル残基がテレフタロイル基であるものである。また、パラ配向型アラミド繊維は、耐熱性と高強度とを両立させる観点から、ジアミン残基として、ベンズイミダゾール構造を含有する基を少なくとも20モル%、好ましくは30〜80モル%含むことが好ましい。ベンズイミダゾール構造を含有する基が20モル%未満であると、ベンズイミダゾール構造を含有する基を有さないパラ配向型アラミド繊維を用いた場合と同程度の強度しか得られず、強度を高める効果が十分に得られないことがある。
【0013】
パラ配向型アラミド繊維の具体例としては、帝人株式会社製ノーメックス(商品名)、及び東レ・デュポン社製ケブラー(商品名)等のようなポリパラフェニレンテレフタルアミド;帝人株式会社製テクノーラ(商品名)等のようなコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド;並びにKAMENSKVOLOKNO社(ロシア)製のSVM(商品名)、ARMOS(商品名)及びRUSAR(商品名)等のような、コポリベンズイミダゾイレン−p−フェニレンテレフタルアミドとポリパラフェニレンテレフタルアミドとの共重合アラミド等が挙げられる。これらの中でも、高強力及び低繊度であるテクノーラ及びRUSARが好ましい。
PBO繊維の具体例としては、東洋紡績株式会社製ザイロン(商品名)等が挙げられる。
【0014】
本発明において用いられる芯成分は、産業上で利用する際の領域を拡大させる観点から、上記有機長繊維と共に様々な長繊維を併用することができる。かかる長繊維を併用する場合、上記有機長繊維と長繊維との合計質量に対して長繊維が50質量%以下であることが好ましい。かかる長繊維が50質量%を超えると、所望の強度特性が得られないことがある。かかる長繊維としては、ポリビニアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、炭素繊維、メタ配向型アラミド繊維、ガラス繊維及びバサルト繊維等が挙げられる。これら長繊維の中でも、ポリビニアルコール繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維を併用する場合には、着色が難しい繊維構造物を着色することが可能となる。また、炭素繊維、メタ配向型アラミド繊維、ガラス繊維及びバサルト繊維を併用する場合には、耐熱性を損なうことなく複合糸の製造コストを低減することが可能となる。
【0015】
芯成分として上記有機長繊維以外の長繊維を併用する場合、上記有機長繊維独特の意匠性を発現させるために、引き揃えて無撚りで使用することが好ましいが、合撚して使用することも可能である。合撚する場合にはターン数を低めにすることが望ましく、ターン数は、好ましくは100T/m以下、より好ましくは50T/m以下である。ターン数が高すぎる場合、得られた繊維構造物に樹脂を複合する際に樹脂の含浸性を低下させて後加工を難しくすることがあるので好ましくない。
【0016】
また、本発明において用いられる芯成分は、カバリング加工性を向上させる観点から、水溶性繊維を含むことができる。この水溶性繊維は、予備繊維構造物を作製した後に、カバリングに使用した水溶性繊維(鞘成分)と共に洗浄除去が可能であるので、繊維構造物中には残存することはない。ここで、芯成分に用いることが可能な水溶性繊維としては、鞘成分に用いられるものと同様であり、以下で詳細に説明する。
【0017】
本発明において用いられる鞘成分は、水溶性長繊維から構成される。かかる水溶性長繊維としては、ポリビニルアルコール繊維及び水溶性ナイロン繊維等を挙げることができる。ポリビニルアルコール繊維の具体例としては、ニチビ株式会社製のソルブロン(登録商標)等を挙げることができる。特に、複合糸を用いて予備繊維構造物を作製した後に鞘成分を溶解洗浄することを考慮すると、水に対する鞘成分の溶解温度は低い方が洗浄除去性に優れるので、水溶性長繊維の溶解点は20〜60℃であることが好ましい。従って、このような特性を有するソルブロンを使用することが好ましい。
【0018】
水溶性長繊維の繊度については、特に制限されることはなく、カバリング加工を行うことができるように芯成分よりも低繊度であればよい。具体的には、水溶性長繊維の繊度は、好ましくは20〜330dTexであり、より好ましくは25〜110dTexである。水溶性長繊維の繊度が20dTex未満であると、取扱いが難しくなることがあるので好ましくない。一方、水溶性長繊維の繊度が330dTexを超えると、複合糸の織編加工性が劣ることがあるので好ましくない。ここで、低繊度である水溶性長繊維の使用は、芯成分の表面被覆率を高くするためにカバリングターン数を高くすることが必要となるものの、複合糸の柔軟性を確保し得る点で有用である。
【0019】
本発明の複合糸は、上記芯成分に上記鞘成分をカバリング加工することによって製造することができる。ここで、カバリング加工の際に用いられる装置は、特に制限されることはなく、従来公知のカバリング加工機を用いることができる。
また、本発明の複合糸は、鞘成分による芯成分の表面被覆率が、好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜60%である。かかる表面被覆率が20%未満であると、カバリング効果が低くなって毛羽を抑え切れないことがあるので好ましくない。一方、かかる表面被覆率が90%を超えても、それにより向上する効果が特にない上、鞘成分の浪費になるだけでなく複合糸のしなやかさが劣る結果となるので好ましくない。
【0020】
また、本発明の複合糸は、芯成分が好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%であり、鞘成分が好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。芯成分が50質量%未満及び鞘成分が50質量%を超えると、予備繊維構造物から洗浄除去すべき鞘成分の比率が高くなり過ぎるため、洗浄除去に時間がかかるだけでなく、鞘成分が無駄になることがあるので好ましくない。一方、鞘成分が5質量%未満及び芯成分が95質量%を超えると、鞘成分による芯成分の被覆率が低すぎて被覆効果が十分に発現しないため、織編加工の際に芯成分のフィブリル化が起こることがあるので好ましくない。
【0021】
このようにして製造される本発明の複合糸は、織編加工性に優れており、織編加工をスムーズに行なって予備繊維構造物を製造することができる。そして、その後に予備繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解し、洗浄除去することで、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を製造することができる。
【0022】
本発明の繊維構造物は、上記複合糸を織編加工して予備繊維構造物を形成した後、この予備繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解して除去することによって得られたものである。
ここで、予備繊維構造物は、上記複合糸を単独で用いることのみならず、他の長繊維と併用することも可能である。他の長繊維としては、ガラス繊維、シリカ繊維、玄武岩繊維、炭素繊維、PBO繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維等が挙げられる。これらの中でも、繊維構造物の耐熱性を向上させる観点から、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素繊維、PBO繊維及びアラミド繊維が好ましい。これらの長繊維を併用する場合、例えば、予め二種以上の長繊維を引き揃えて使用してもよいし、又は平織りの際に経糸と緯糸とを使い分けるようにして併用してもよい。
【0023】
織編加工の際に用いられる装置としては、特に制限されることはなく、従来公知の織編加工機を用いることができる。
また、予備繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解させるには、予備繊維構造物を水で洗浄すればよい。ここで、水の温度は、特に制限されることはなく、水溶性長繊維の溶解点に従い適宜設定すればよいが、一般的に35〜90℃であることが好ましい。
【0024】
このようにして製造される本発明の繊維構造物は、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れたものとなる。従って、本発明の繊維構造物は、これらの特性を活かして、耐熱保護具、防炎保護具、防護衣料、及び軽量複合材等として使用することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。なお、実施例中の評価は、以下のようにして行った。
【0026】
(1)製織性
作製した複合糸を用いて平織りを行ない、製織時の製織走行性を評価した。自動製織において特に問題が認められないケースを○、経糸と緯糸とが絡んで走行トラブルが認められたケースを×と表す。
(2)繊維構造物品質
作製した繊維構造物を、目視で外観検査すると共に、手触りで感触を評価した。毛羽立ちが殆どなく、チクチク感も感じられないものを○、毛羽立ちやチクチク感が僅かにあったものを△、毛羽立ち及びチクチク感があったものを×と表す。
【0027】
[実施例1〜4]
表1に記載のカバリング加工条件下で、表1に記載の芯成分及び鞘成分をカバリング加工機(片岡機械(株)製SSS型機)にかけることにより芯鞘構造を有する複合糸を作製した。このようにして得られた実施例1〜4の複合糸はいずれも毛羽立ちがなかった。
【0028】
【表1】

【0029】
[実施例5]
実施例1で得られた複合糸(以下、複合糸1という)を経緯及び緯糸として製織機((株)石川製作所製レピア織機)を用いて平織りを行ない、予備繊維構造物を作製した。次いで、この予備繊維構造物を、70℃の温水を用いて30分間洗浄することによって水溶性長繊維を除去した後、150℃で1時間熱風乾燥させて繊維構造物を作製した。この繊維構造物の製織性及び品質について評価した結果を表2に示す。
【0030】
[実施例6]
実施例2で得られた複合糸(以下、複合糸2という)を経緯及び緯糸として用いた以外は、実施例5と同様して繊維構造物を得た。この繊維構造物の製織性及び品質について評価した結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例3で得られた複合糸(以下、複合糸3という)を経緯及び緯糸として用いた以外は、実施例5と同様して繊維構造物を得た。この繊維構造物の製織性及び品質について評価した結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例4で得られた複合糸(以下、複合糸4という)を経緯及び緯糸として用いた以外は、実施例5と同様して繊維構造物を得た。この繊維構造物の製織性及び品質について評価した結果を表2に示す。
【0031】
[実施例9]
複合糸1を経糸とし、ベンズイミダゾール構造含有パラ型共重合アラミド(KAMENSKVOLOKMNO社製RUSAR(商品名)63、引張強度23.5cN/dTex、引張弾性率830cN/dTex、繊度63dTex)に150回/mの撚りをかけた撚糸を緯糸とした以外は、実施例5と同様にして繊維構造物を得た。この繊維構造物の製織性及び品質について評価した結果を表2に示す。
【0032】
[比較例1]
ベンズイミダゾール構造含有パラ型共重合アラミド(KAMENSKVOLOKMNO社製RUSAR(商品名)63、引張強度23.5cN/dTex、引張弾性率830cN/dTex、繊度63dTex)を経糸及び緯糸として用いて平織りを行ない、繊維構造物を作製した。この繊維構造物の製織性及び品質について評価した結果を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示されているように、実施例5〜9では、製織時の製織走行性に問題は認められず、製織性が良好であった。また、実施例5〜8で得られた繊維構造物は、毛羽立ちやチクチク感が殆どない良好なものであった。なお、実施例9で得られた繊維構造物は、毛羽立ちが僅かにあったものの、使用に際しては特に問題とならない程度のものであった。
一方、比較例1では、製織中にリードと経糸との摩擦でリードに脱落した毛羽の堆積の増加が観察された。そして、経糸に発生した毛羽が原因となって緯糸の走行を妨げ、長時間の安定した製織が妨げられる結果となった。また、比較例1で得られた繊維構造物は、短い無数の毛羽が生じていた。
【0035】
以上の結果からわかるように、本発明の複合糸は、織編加工性に優れると共に、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れた繊維構造物を与える複合糸を提供することができる。また、本発明の繊維構造物は、毛羽立ちがなく、耐切創性、強靭性、軽量性、耐薬品性及び意匠性に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯成分に鞘成分をカバリング加工してなる芯鞘構造の複合糸であって、前記芯成分が、15cN/dTex以上の強度及び600cN/dTex以上の弾性率を有する有機長繊維を含み、且つ前記鞘成分が水溶性長繊維からなることを特徴とする複合糸。
【請求項2】
前記有機長繊維が、パラ配向型アラミド繊維及び/又はPBO繊維であることを特徴とする請求項1に記載の複合糸。
【請求項3】
前記パラ配向型アラミド繊維のジアミン残基が、ベンズイミダゾール構造を含有する基を少なくとも20モル%含むことを特徴とする請求項2に記載の複合糸。
【請求項4】
前記芯成分が50〜95質量%、前記鞘成分が5〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合糸。
【請求項5】
前記水溶性長繊維が、水溶性ポリビニルアルコール繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合糸。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合糸を織編加工して予備繊維構造物を形成した後、この予備繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解して除去することによって得られることを特徴とする繊維構造物。

【公開番号】特開2008−144304(P2008−144304A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333103(P2006−333103)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【出願人】(592014595)中島織物工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】