複合触媒粒子
【課題】触媒活性粒子の担持安定性が高く、良好な触媒性能を安定して維持できる燃料電池用触媒を提供する。
【解決手段】下記の手段に係る;1.コア部とその周囲の周囲部からなる複合触媒粒子であって、(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子、並びに、2.粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持してなる複合粒子に対して、その表面に炭素成分を真空蒸着することにより製造される、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子。
【解決手段】下記の手段に係る;1.コア部とその周囲の周囲部からなる複合触媒粒子であって、(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子、並びに、2.粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持してなる複合粒子に対して、その表面に炭素成分を真空蒸着することにより製造される、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合触媒粒子及び当該複合触媒粒子を含む電極を備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池用触媒として、担体としての導電性粒子(例えば、炭素粒子)の表面に触媒活性を有する金属粒子(例えば、白金粒子)を担持したものがある。具体的には、炭素粒子の表面にゾル・ゲル法により白金粒子を担持させたものがよく知られている。
【0003】
前記燃料電池用触媒は、触媒活性を有する金属粒子の担持安定性が不十分な場合が多い。具体的には、燃料電池用触媒を電極として用いた場合に、運転中の発熱により金属粒子が担体表面を移動する問題がある。また、炭素粒子自体が長時間加熱されることで変化する問題もあり、これにより金属粒子の担体表面上の移動が加速されて他の金属粒子との間で金属粒子どうしの凝集又は再結晶が生じ、電極の有効表面積が減少する。その結果、触媒活性は経時的に低下する。図1(a)は、炭素粒子の表面に白金粒子を担持してなる燃料電池用触媒のTEM像である。図1(b)は、当該触媒を空気中80℃で1100時間加熱した後のTEM像である。両図を比較すると、加熱により炭素粒子の微細構造が変化し、同時に白金粒子どうしの凝集が生じていることが分かる。
【0004】
前記問題を改善する方策としては、例えば、次のものがある。特許文献1には、炭素に担持されたプラチナ結晶子の担持安定性を高めるため、担持後のプラチナ結晶子及びその周囲にCVD法により多孔性炭素を着装することが開示されている。しかしながら、この方策は操作が煩雑である。しかも、未分解一酸化炭素、酸素等、触媒活性を阻害する不純物が混入し易く、触媒活性は十分とは言い難いものである。
【0005】
従って、触媒活性粒子の担持安定性が高く、良好な触媒性能を安定して維持できる燃料電池用触媒の開発が望まれている。
【特許文献1】特開昭54−82394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、触媒活性粒子の担持安定性が高く、良好な触媒性能を安定して維持できる複合触媒粒子を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、コア部と周囲部とからなる特定の複合触媒粒子が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の複合触媒粒子及び燃料電池に関する。
【0009】
1.コア部とその周囲の周囲部からなる複合触媒粒子であって、
(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、
(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子。
【0010】
2.粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持してなる複合粒子に対して、その表面に炭素成分を真空蒸着することにより製造される、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されている複合触媒粒子。
【0011】
3.無機成分が、炭素成分、酸化モリブデン成分、酸化タングステン成分、酸化インジウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化チタン成分、酸化スズ成分及び酸化鉛成分からなる群から選択された少なくとも1種である、上記項1に記載の複合触媒粒子。
【0012】
4.無機粒子が、炭素粒子、酸化モリブデン粒子、酸化タングステン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子及び酸化鉛粒子からなる群から選択された少なくとも1種である、上記項2に記載の複合触媒粒子。
【0013】
5.コア部の径が10〜100nmである、上記項1又は3に記載の複合触媒粒子。
【0014】
6.無機粒子の粒子径が10〜100nmである、上記項2又は4に記載の複合触媒粒子。
【0015】
7.触媒活性粒子の粒子径が1〜10nmである、上記項1〜6のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【0016】
8.触媒活性粒子が、白金、ニッケル、銅、スズ及びコバルトからなる群から選択された少なくとも1種の金属粒子である、上記項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【0017】
9.触媒活性粒子が白金粒子である、上記項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【0018】
10.上記項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を備えた燃料電池。
【0019】
11.上記項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を水素極として備えた固体高分子形燃料電池。
以下、本発明の複合触媒粒子及び燃料電池について詳細に説明する。
【0020】
本発明の複合触媒粒子は、コア部とその周囲の周囲部からなり、
(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、
(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、ことを特徴とする。
【0021】
コア部は、実質的に無機成分からなる。例えば、無機粒子をコア部とできる。その際は、無機粒子1個をコア部としてもよく、無機粒子が凝集してなる凝集粒子をコア部としても良い。コア部は、球状又は略球状が好ましい。コア部は、実質的に無機成分からなると評価できれば良く、不可避的に混入し得る微量不純物の混入程度は許容される。
【0022】
コア部の径は10nm以上であればよく、その中でも10〜100nm程度が好ましく、10〜30nm程度がより好ましい。コア部が無機粒子(凝集粒子も含む)の場合には、径は粒子径を示す。なお、本明細書における粒子径は、透過型電子顕微鏡(本明細書では「TEM」と記載する)を用いた観察により測定した値である。
【0023】
無機成分としては、炭素成分のほか、金属酸化物成分が挙げられる。金属酸化物成分は、例えば、酸化モリブデン成分、酸化タングステン成分、酸化インジウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化チタン成分、酸化スズ、酸化鉛等が挙げられる。図2〜図6に、金属酸化物粒子(無機導電性粒子)のTEM像の一例を示す。無機成分は触媒活性粒子の担体となり得る成分であれば特に限定されないが、前記例示の通り導電性成分が好ましく、当該観点からは炭素成分が最も好ましい。無機粒子としては、前記成分からなる一次粒子又は凝集粒子が挙げられる。
【0024】
コア部の周囲には周囲部がある。周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は周囲部の炭素成分に埋包されている。そして、触媒活性粒子は周囲部の炭素成分に埋包されているとともにコア部の表面と結合(吸着)している態様が好ましい。
【0025】
触媒活性粒子は所望の触媒活性を発揮する粒子であれば良く、適宜選択できる。例えば、燃料電池の燃料極(例えば、固体高分子形燃料電池「PEFC」の水素極)に含有させる触媒活性粒子としては、白金、ニッケル、銅、スズ、コバルト等の金属粒子(金属酸化物粒子の場合も含まれる)が挙げられる。触媒活性の観点から白金が好ましい。金属粒子は、単独又は2種以上を混合できる。金属粒子の粒子径は限定的ではないが、1〜10nm程度が好ましく、1〜5nm程度がより好ましい。
【0026】
周囲部の厚さは、炭素成分が触媒活性粒子を埋包できる厚さである。当該厚さは触媒活性粒子の粒子径に応じて適宜設定できるが、1〜30nm程度が好ましく、1〜10nm程度がより好ましい。なお、周囲部の炭素は、グラファイト層の数層からなる結晶質積層体が好ましい。
【0027】
周囲部に埋包される触媒活性粒子の含有量は限定的ではないが、例えば、コア部100重量部に対して、触媒活性粒子10〜30重量部程度が好ましく、40〜50重量部程度がより好ましい。
【0028】
本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子が周囲部の炭素成分に埋包されており耐熱性が高い。即ち、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、複合触媒粒子を燃料電池の触媒として使用して熱を受けた場合でも、触媒活性粒子が脱落し難い。また、加熱により触媒活性粒子が担体表面(コア部表面)を移動することに起因する触媒活性粒子どうしの凝集又は再結晶化に基づく触媒性能の低下も抑制されている。具体的には、本発明の複合触媒粒子は、400℃程度の熱を受けても触媒活性粒子の担持安定性は変わらず、好適な態様では1000〜1100℃程度でも安定な担持状態を維持できる。
【0029】
図7(a)は、本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金である)のTEM像の一例である。図7(b)は、前記複合触媒粒子を空気中80℃で1100時間加熱後のTEM像である。両図を比較すると、白金粒子の炭素粒子表面での移動及び凝集は抑制されていることが分かる。図8は、本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金である)を真空中において150℃、350℃、800℃に加熱した場合のTEM像である。図8からは、本発明の複合触媒粒子は、加熱温度を高くしても触媒活性粒子の凝集・脱落等が抑制されていることが分かる。他方、炭素粒子表面に白金粒子を担持(吸着)させただけの従来品の触媒は、真空加熱の場合には、155℃程度から白金粒子が炭素粒子表面を移動して凝集し易い。空気中加熱の場合には、80℃、545時間以上から炭素構造体の変化に伴い白金粒子が凝集を起こし易い。従来品の複合触媒粒子が熱を受けることにより、触媒活性粒子の移動・凝集が生じ易いことは、図1に示される通りである。
【0030】
前記特性を有する本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子の担持安定性が高く、しかも耐熱性も高いため、燃料電池の電極に含有される触媒として有用である。とりわけ、固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極(水素極)に含まれる触媒として有用である。特に燃料電池用電極として用いる場合には、運転中の発熱による触媒活性粒子の移動・凝集が抑制されているため、他の触媒活性粒子との凝集又は再結晶に基づく触媒活性粒子の有効表面積の減少が抑制されている。そのため、良好な触媒活性を安定に維持できる。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、燃料電池の運転時において一酸化炭素が触媒活性粒子に吸着することにより生じる触媒活性阻害(被毒)の問題が生じ難い。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、PEFC用触媒として用いる場合に、触媒活性粒子が強酸性の固体高分子電解質膜に溶解することも抑制されている。本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子が周囲部の炭素成分に埋包されているにも関わらず、燃料電池用触媒として用いた場合に十分な発電性能を発揮する(図11参照)。
【0031】
本発明の複合触媒粒子の製造方法は限定的ではないが、例えば、粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持したもの(以下「複合粒子」とも言う)の表面に炭素成分を真空蒸着することにより、触媒活性粒子を蒸着成分に埋包する工程を有する製造方法が好ましい。以下、本製造方法について説明する。但し、以下では無機粒子として炭素粒子を使用し、触媒活性粒子として白金粒子を使用する場合について例示する。
【0032】
前記複合粒子としては、無機粒子と触媒活性粒子とを含み、粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子が担持されているものであれば特に限定されず、市販品も使用できる。例示すると、粒子径10nm以上の炭素粒子の表面にゾル・ゲル法などにより白金粒子を担持してなる市販の白金触媒などを好適に複合粒子として使用できる。
【0033】
複合粒子の表面に炭素成分を真空蒸着する方法は限定的ではない。例えば、炭素材料に通電してアーク放電を生じさせることにより真空蒸着する方法が好ましい。真空蒸着を簡便に行うことができる蒸発源の概要を図9に示す。
【0034】
図9は、端部に凸部を有するカーボンロッドと端部が平面であるカーボンロッドとを対向配置した図である。ここで、カーボンロッドの凸部と他方のカーボンロッドの端面とをスプリングによって押し付け、接点を通電して抵抗加熱した場合にはアーク放電が生じて炭素蒸着を行うことができる。当該アーク放電は、いわゆる抵抗加熱補助交流アーク法によるアーク放電である。かかる手法によれば、蒸着量の制御が容易である。複合粒子は前記カーボンロッドの接点付近に配置すればよく、接点からの距離、蒸着時間等は、複合粒子の大きさ、蒸着量等に応じて適宜設定できる。
【0035】
カーボンロッドを収容するチャンバ雰囲気は真空雰囲気とする。具体的には、チャンバ内の真空度(ガス圧)は10−3〜10−4Pa程度が望ましい。本明細書では、かかる雰囲気は真空雰囲気と言う。交流アーク放電等の条件は、蒸着量に応じて適宜調整できる。印加電圧は15〜110V程度が好ましく、電流は15〜100A程度が好ましい。また、電力は1.5kW〜3.0kW程度が好ましい。
【0036】
以上の過程を経て、本発明の複合触媒粒子は製造できる。図10(a)は、無機粒子が炭素粒子であり触媒活性粒子が白金粒子である複合粒子のTEM像である。(b)は、複合粒子表面に白金粒子を埋包する態様で炭素成分を真空蒸着した後のTEM像であり、白金粒子が周囲部の炭素成分に埋包されていることが分かる。
【0037】
本発明の複合触媒粒子は、前記の通り、燃料電池用触媒として好適に使用できる。特に、PEFCの水素極触媒(アノード触媒)として好適である。PEFCの水素極触媒として用いる場合には、他の構成要素としては公知のものが使用できる。例えば、高分子電解質としては、フッ素系のパーフルオロスルホン酸イオン交換膜などが使用できる。そして、高分子電解質を挟んでアノード(水素極)とカソードを有し、各電極はガス拡散層と触媒層とに別れた構成のPEFCが良く知られている。
【発明の効果】
【0038】
本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子の担持安定性が高く、しかも耐熱性も高いため、燃料電池の電極に含有される触媒として有用である。特にPEFCの水素極触媒として有用である。特に燃料電池用電極として用いる場合には、運転中の発熱による触媒活性粒子の移動・凝集が抑制されているため、他の触媒活性粒子との凝集又は再結晶に基づく触媒活性粒子の有効表面積の減少が抑制されている。そのため、良好な触媒活性を安定に維持できる。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、燃料電池の運転時において一酸化炭素が触媒活性粒子に吸着することにより生じる触媒活性阻害(被毒)の問題が生じ難い。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、PEFC用触媒として用いる場合に、触媒活性粒子が強酸性の固体高分子電解質膜に溶解することも抑制されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0040】
実施例1(本発明複合触媒粒子の製造)
複合粒子(炭素粒子表面に白金粒子を担持したもの)として、製品名「TKK Pt」50重量%(田中貴金属工業株式会社製)を用意した。炭素粒子の平均粒子径は40nm、白金粒子の平均粒子径は4nmであった。複合粒子のTEM像(Hitachi H-9000NARによるTEM像;以下同じ)を図10(a)に示す。
【0041】
図9に示される蒸発源(一対のカーボンロッド)をチャンバ内に収容した。ロッド接点付近に複合粒子を配置した。チャンバ内を10−4Paの真空雰囲気とし、交流アーク放電を行うことにより炭素を蒸発させて複合粒子の表面に堆積した。放電条件は、印加電圧30V、電流50〜100Aとした。蒸着膜の厚さは1〜10nmであった。
【0042】
真空蒸着により得られた本発明の複合触媒粒子のTEM像を図10(b)に示す。図10(b)から明らかなように、白金粒子は炭素成分に埋包されている。
【0043】
実験例1(触媒粒子の特性評価)
実施例1の複合触媒粒子の特性評価を行った。具体的には、複合触媒粒子の発電可能性を確認した。
【0044】
先ず、複合触媒粒子を用いて燃料電池の電極を作製した。
【0045】
各々の電極を組み込んだ燃料電池を運転した。運転条件は、次の通りとした。
・セル温度:80℃
・アノード・カソード温度:70℃
・アノードガス組成:水素
・カソードガス組成:空気
・水素利用率:70%
・酸素利用率:40%
・セル面積9cm2(3cm×3cm)
上記条件で電圧(V)、電流密度(A/cm2)及び抵抗値(mΩ×cm2)の関係を測定した。結果を図11に示す。図11から明らかな通り、本発明の複合触媒粒子は、燃料電池用触媒として用いた場合に、発電性能を発揮することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来品の燃料電池用触媒(炭素粒子の表面に白金粒子を担持してなるもの)のTEM像である。(a)は加熱処理前のTEM像である。(b)は空気中80℃で1100時間加熱後のTEM像である。
【図2】酸化モリブデン粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図3】酸化タングステン粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図4】酸化インジウム粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図5】酸化アルミニウム粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図6】酸化チタン粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図7】(a)本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金)のTEM像である。(b)空気中80℃で1100時間加熱後のTEM像である。
【図8】本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金)を真空中において150℃、350℃、800℃に加熱した場合のTEM像である。
【図9】実施例1で用いた蒸発源(一対のカーボンロッド)の模式図である。
【図10】(a)実施例1で用いた複合粒子のTEM像である。(b)実施例1で得た複合触媒粒子のTEM像である。
【図11】実施例1の複合触媒粒子の特性評価を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合触媒粒子及び当該複合触媒粒子を含む電極を備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池用触媒として、担体としての導電性粒子(例えば、炭素粒子)の表面に触媒活性を有する金属粒子(例えば、白金粒子)を担持したものがある。具体的には、炭素粒子の表面にゾル・ゲル法により白金粒子を担持させたものがよく知られている。
【0003】
前記燃料電池用触媒は、触媒活性を有する金属粒子の担持安定性が不十分な場合が多い。具体的には、燃料電池用触媒を電極として用いた場合に、運転中の発熱により金属粒子が担体表面を移動する問題がある。また、炭素粒子自体が長時間加熱されることで変化する問題もあり、これにより金属粒子の担体表面上の移動が加速されて他の金属粒子との間で金属粒子どうしの凝集又は再結晶が生じ、電極の有効表面積が減少する。その結果、触媒活性は経時的に低下する。図1(a)は、炭素粒子の表面に白金粒子を担持してなる燃料電池用触媒のTEM像である。図1(b)は、当該触媒を空気中80℃で1100時間加熱した後のTEM像である。両図を比較すると、加熱により炭素粒子の微細構造が変化し、同時に白金粒子どうしの凝集が生じていることが分かる。
【0004】
前記問題を改善する方策としては、例えば、次のものがある。特許文献1には、炭素に担持されたプラチナ結晶子の担持安定性を高めるため、担持後のプラチナ結晶子及びその周囲にCVD法により多孔性炭素を着装することが開示されている。しかしながら、この方策は操作が煩雑である。しかも、未分解一酸化炭素、酸素等、触媒活性を阻害する不純物が混入し易く、触媒活性は十分とは言い難いものである。
【0005】
従って、触媒活性粒子の担持安定性が高く、良好な触媒性能を安定して維持できる燃料電池用触媒の開発が望まれている。
【特許文献1】特開昭54−82394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、触媒活性粒子の担持安定性が高く、良好な触媒性能を安定して維持できる複合触媒粒子を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、コア部と周囲部とからなる特定の複合触媒粒子が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の複合触媒粒子及び燃料電池に関する。
【0009】
1.コア部とその周囲の周囲部からなる複合触媒粒子であって、
(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、
(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子。
【0010】
2.粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持してなる複合粒子に対して、その表面に炭素成分を真空蒸着することにより製造される、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されている複合触媒粒子。
【0011】
3.無機成分が、炭素成分、酸化モリブデン成分、酸化タングステン成分、酸化インジウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化チタン成分、酸化スズ成分及び酸化鉛成分からなる群から選択された少なくとも1種である、上記項1に記載の複合触媒粒子。
【0012】
4.無機粒子が、炭素粒子、酸化モリブデン粒子、酸化タングステン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子及び酸化鉛粒子からなる群から選択された少なくとも1種である、上記項2に記載の複合触媒粒子。
【0013】
5.コア部の径が10〜100nmである、上記項1又は3に記載の複合触媒粒子。
【0014】
6.無機粒子の粒子径が10〜100nmである、上記項2又は4に記載の複合触媒粒子。
【0015】
7.触媒活性粒子の粒子径が1〜10nmである、上記項1〜6のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【0016】
8.触媒活性粒子が、白金、ニッケル、銅、スズ及びコバルトからなる群から選択された少なくとも1種の金属粒子である、上記項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【0017】
9.触媒活性粒子が白金粒子である、上記項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【0018】
10.上記項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を備えた燃料電池。
【0019】
11.上記項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を水素極として備えた固体高分子形燃料電池。
以下、本発明の複合触媒粒子及び燃料電池について詳細に説明する。
【0020】
本発明の複合触媒粒子は、コア部とその周囲の周囲部からなり、
(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、
(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、ことを特徴とする。
【0021】
コア部は、実質的に無機成分からなる。例えば、無機粒子をコア部とできる。その際は、無機粒子1個をコア部としてもよく、無機粒子が凝集してなる凝集粒子をコア部としても良い。コア部は、球状又は略球状が好ましい。コア部は、実質的に無機成分からなると評価できれば良く、不可避的に混入し得る微量不純物の混入程度は許容される。
【0022】
コア部の径は10nm以上であればよく、その中でも10〜100nm程度が好ましく、10〜30nm程度がより好ましい。コア部が無機粒子(凝集粒子も含む)の場合には、径は粒子径を示す。なお、本明細書における粒子径は、透過型電子顕微鏡(本明細書では「TEM」と記載する)を用いた観察により測定した値である。
【0023】
無機成分としては、炭素成分のほか、金属酸化物成分が挙げられる。金属酸化物成分は、例えば、酸化モリブデン成分、酸化タングステン成分、酸化インジウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化チタン成分、酸化スズ、酸化鉛等が挙げられる。図2〜図6に、金属酸化物粒子(無機導電性粒子)のTEM像の一例を示す。無機成分は触媒活性粒子の担体となり得る成分であれば特に限定されないが、前記例示の通り導電性成分が好ましく、当該観点からは炭素成分が最も好ましい。無機粒子としては、前記成分からなる一次粒子又は凝集粒子が挙げられる。
【0024】
コア部の周囲には周囲部がある。周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は周囲部の炭素成分に埋包されている。そして、触媒活性粒子は周囲部の炭素成分に埋包されているとともにコア部の表面と結合(吸着)している態様が好ましい。
【0025】
触媒活性粒子は所望の触媒活性を発揮する粒子であれば良く、適宜選択できる。例えば、燃料電池の燃料極(例えば、固体高分子形燃料電池「PEFC」の水素極)に含有させる触媒活性粒子としては、白金、ニッケル、銅、スズ、コバルト等の金属粒子(金属酸化物粒子の場合も含まれる)が挙げられる。触媒活性の観点から白金が好ましい。金属粒子は、単独又は2種以上を混合できる。金属粒子の粒子径は限定的ではないが、1〜10nm程度が好ましく、1〜5nm程度がより好ましい。
【0026】
周囲部の厚さは、炭素成分が触媒活性粒子を埋包できる厚さである。当該厚さは触媒活性粒子の粒子径に応じて適宜設定できるが、1〜30nm程度が好ましく、1〜10nm程度がより好ましい。なお、周囲部の炭素は、グラファイト層の数層からなる結晶質積層体が好ましい。
【0027】
周囲部に埋包される触媒活性粒子の含有量は限定的ではないが、例えば、コア部100重量部に対して、触媒活性粒子10〜30重量部程度が好ましく、40〜50重量部程度がより好ましい。
【0028】
本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子が周囲部の炭素成分に埋包されており耐熱性が高い。即ち、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、複合触媒粒子を燃料電池の触媒として使用して熱を受けた場合でも、触媒活性粒子が脱落し難い。また、加熱により触媒活性粒子が担体表面(コア部表面)を移動することに起因する触媒活性粒子どうしの凝集又は再結晶化に基づく触媒性能の低下も抑制されている。具体的には、本発明の複合触媒粒子は、400℃程度の熱を受けても触媒活性粒子の担持安定性は変わらず、好適な態様では1000〜1100℃程度でも安定な担持状態を維持できる。
【0029】
図7(a)は、本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金である)のTEM像の一例である。図7(b)は、前記複合触媒粒子を空気中80℃で1100時間加熱後のTEM像である。両図を比較すると、白金粒子の炭素粒子表面での移動及び凝集は抑制されていることが分かる。図8は、本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金である)を真空中において150℃、350℃、800℃に加熱した場合のTEM像である。図8からは、本発明の複合触媒粒子は、加熱温度を高くしても触媒活性粒子の凝集・脱落等が抑制されていることが分かる。他方、炭素粒子表面に白金粒子を担持(吸着)させただけの従来品の触媒は、真空加熱の場合には、155℃程度から白金粒子が炭素粒子表面を移動して凝集し易い。空気中加熱の場合には、80℃、545時間以上から炭素構造体の変化に伴い白金粒子が凝集を起こし易い。従来品の複合触媒粒子が熱を受けることにより、触媒活性粒子の移動・凝集が生じ易いことは、図1に示される通りである。
【0030】
前記特性を有する本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子の担持安定性が高く、しかも耐熱性も高いため、燃料電池の電極に含有される触媒として有用である。とりわけ、固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極(水素極)に含まれる触媒として有用である。特に燃料電池用電極として用いる場合には、運転中の発熱による触媒活性粒子の移動・凝集が抑制されているため、他の触媒活性粒子との凝集又は再結晶に基づく触媒活性粒子の有効表面積の減少が抑制されている。そのため、良好な触媒活性を安定に維持できる。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、燃料電池の運転時において一酸化炭素が触媒活性粒子に吸着することにより生じる触媒活性阻害(被毒)の問題が生じ難い。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、PEFC用触媒として用いる場合に、触媒活性粒子が強酸性の固体高分子電解質膜に溶解することも抑制されている。本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子が周囲部の炭素成分に埋包されているにも関わらず、燃料電池用触媒として用いた場合に十分な発電性能を発揮する(図11参照)。
【0031】
本発明の複合触媒粒子の製造方法は限定的ではないが、例えば、粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持したもの(以下「複合粒子」とも言う)の表面に炭素成分を真空蒸着することにより、触媒活性粒子を蒸着成分に埋包する工程を有する製造方法が好ましい。以下、本製造方法について説明する。但し、以下では無機粒子として炭素粒子を使用し、触媒活性粒子として白金粒子を使用する場合について例示する。
【0032】
前記複合粒子としては、無機粒子と触媒活性粒子とを含み、粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子が担持されているものであれば特に限定されず、市販品も使用できる。例示すると、粒子径10nm以上の炭素粒子の表面にゾル・ゲル法などにより白金粒子を担持してなる市販の白金触媒などを好適に複合粒子として使用できる。
【0033】
複合粒子の表面に炭素成分を真空蒸着する方法は限定的ではない。例えば、炭素材料に通電してアーク放電を生じさせることにより真空蒸着する方法が好ましい。真空蒸着を簡便に行うことができる蒸発源の概要を図9に示す。
【0034】
図9は、端部に凸部を有するカーボンロッドと端部が平面であるカーボンロッドとを対向配置した図である。ここで、カーボンロッドの凸部と他方のカーボンロッドの端面とをスプリングによって押し付け、接点を通電して抵抗加熱した場合にはアーク放電が生じて炭素蒸着を行うことができる。当該アーク放電は、いわゆる抵抗加熱補助交流アーク法によるアーク放電である。かかる手法によれば、蒸着量の制御が容易である。複合粒子は前記カーボンロッドの接点付近に配置すればよく、接点からの距離、蒸着時間等は、複合粒子の大きさ、蒸着量等に応じて適宜設定できる。
【0035】
カーボンロッドを収容するチャンバ雰囲気は真空雰囲気とする。具体的には、チャンバ内の真空度(ガス圧)は10−3〜10−4Pa程度が望ましい。本明細書では、かかる雰囲気は真空雰囲気と言う。交流アーク放電等の条件は、蒸着量に応じて適宜調整できる。印加電圧は15〜110V程度が好ましく、電流は15〜100A程度が好ましい。また、電力は1.5kW〜3.0kW程度が好ましい。
【0036】
以上の過程を経て、本発明の複合触媒粒子は製造できる。図10(a)は、無機粒子が炭素粒子であり触媒活性粒子が白金粒子である複合粒子のTEM像である。(b)は、複合粒子表面に白金粒子を埋包する態様で炭素成分を真空蒸着した後のTEM像であり、白金粒子が周囲部の炭素成分に埋包されていることが分かる。
【0037】
本発明の複合触媒粒子は、前記の通り、燃料電池用触媒として好適に使用できる。特に、PEFCの水素極触媒(アノード触媒)として好適である。PEFCの水素極触媒として用いる場合には、他の構成要素としては公知のものが使用できる。例えば、高分子電解質としては、フッ素系のパーフルオロスルホン酸イオン交換膜などが使用できる。そして、高分子電解質を挟んでアノード(水素極)とカソードを有し、各電極はガス拡散層と触媒層とに別れた構成のPEFCが良く知られている。
【発明の効果】
【0038】
本発明の複合触媒粒子は、触媒活性粒子の担持安定性が高く、しかも耐熱性も高いため、燃料電池の電極に含有される触媒として有用である。特にPEFCの水素極触媒として有用である。特に燃料電池用電極として用いる場合には、運転中の発熱による触媒活性粒子の移動・凝集が抑制されているため、他の触媒活性粒子との凝集又は再結晶に基づく触媒活性粒子の有効表面積の減少が抑制されている。そのため、良好な触媒活性を安定に維持できる。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、燃料電池の運転時において一酸化炭素が触媒活性粒子に吸着することにより生じる触媒活性阻害(被毒)の問題が生じ難い。また、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されているため、PEFC用触媒として用いる場合に、触媒活性粒子が強酸性の固体高分子電解質膜に溶解することも抑制されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0040】
実施例1(本発明複合触媒粒子の製造)
複合粒子(炭素粒子表面に白金粒子を担持したもの)として、製品名「TKK Pt」50重量%(田中貴金属工業株式会社製)を用意した。炭素粒子の平均粒子径は40nm、白金粒子の平均粒子径は4nmであった。複合粒子のTEM像(Hitachi H-9000NARによるTEM像;以下同じ)を図10(a)に示す。
【0041】
図9に示される蒸発源(一対のカーボンロッド)をチャンバ内に収容した。ロッド接点付近に複合粒子を配置した。チャンバ内を10−4Paの真空雰囲気とし、交流アーク放電を行うことにより炭素を蒸発させて複合粒子の表面に堆積した。放電条件は、印加電圧30V、電流50〜100Aとした。蒸着膜の厚さは1〜10nmであった。
【0042】
真空蒸着により得られた本発明の複合触媒粒子のTEM像を図10(b)に示す。図10(b)から明らかなように、白金粒子は炭素成分に埋包されている。
【0043】
実験例1(触媒粒子の特性評価)
実施例1の複合触媒粒子の特性評価を行った。具体的には、複合触媒粒子の発電可能性を確認した。
【0044】
先ず、複合触媒粒子を用いて燃料電池の電極を作製した。
【0045】
各々の電極を組み込んだ燃料電池を運転した。運転条件は、次の通りとした。
・セル温度:80℃
・アノード・カソード温度:70℃
・アノードガス組成:水素
・カソードガス組成:空気
・水素利用率:70%
・酸素利用率:40%
・セル面積9cm2(3cm×3cm)
上記条件で電圧(V)、電流密度(A/cm2)及び抵抗値(mΩ×cm2)の関係を測定した。結果を図11に示す。図11から明らかな通り、本発明の複合触媒粒子は、燃料電池用触媒として用いた場合に、発電性能を発揮することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来品の燃料電池用触媒(炭素粒子の表面に白金粒子を担持してなるもの)のTEM像である。(a)は加熱処理前のTEM像である。(b)は空気中80℃で1100時間加熱後のTEM像である。
【図2】酸化モリブデン粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図3】酸化タングステン粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図4】酸化インジウム粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図5】酸化アルミニウム粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図6】酸化チタン粒子(無機導電性粒子)のTEM像(一例)である。
【図7】(a)本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金)のTEM像である。(b)空気中80℃で1100時間加熱後のTEM像である。
【図8】本発明の複合触媒粒子(コア部が炭素粒子であり、触媒活性粒子が白金)を真空中において150℃、350℃、800℃に加熱した場合のTEM像である。
【図9】実施例1で用いた蒸発源(一対のカーボンロッド)の模式図である。
【図10】(a)実施例1で用いた複合粒子のTEM像である。(b)実施例1で得た複合触媒粒子のTEM像である。
【図11】実施例1の複合触媒粒子の特性評価を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部とその周囲の周囲部からなる複合触媒粒子であって、
(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、
(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子。
【請求項2】
粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持してなる複合粒子に対して、その表面に炭素成分を真空蒸着することにより製造される、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されている複合触媒粒子。
【請求項3】
無機成分が、炭素成分、酸化モリブデン成分、酸化タングステン成分、酸化インジウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化チタン成分、酸化スズ成分及び酸化鉛成分からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の複合触媒粒子。
【請求項4】
無機粒子が、炭素粒子、酸化モリブデン粒子、酸化タングステン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子及び酸化鉛粒子からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の複合触媒粒子。
【請求項5】
コア部の径が10〜100nmである、請求項1又は3に記載の複合触媒粒子。
【請求項6】
無機粒子の粒子径が10〜100nmである、請求項2又は4に記載の複合触媒粒子。
【請求項7】
触媒活性粒子の粒子径が1〜10nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【請求項8】
触媒活性粒子が、白金、ニッケル、銅、スズ及びコバルトからなる群から選択された少なくとも1種の金属粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【請求項9】
触媒活性粒子が白金粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を備えた燃料電池。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を水素極として備えた固体高分子形燃料電池。
【請求項1】
コア部とその周囲の周囲部からなる複合触媒粒子であって、
(1)前記コア部は実質的に無機成分からなり、コア部の径は10nm以上であり、
(2)前記周囲部は炭素成分と触媒活性粒子とを含み、触媒活性粒子は炭素成分に埋包されている、複合触媒粒子。
【請求項2】
粒子径10nm以上の無機粒子の表面に触媒活性粒子を担持してなる複合粒子に対して、その表面に炭素成分を真空蒸着することにより製造される、触媒活性粒子が炭素成分に埋包されている複合触媒粒子。
【請求項3】
無機成分が、炭素成分、酸化モリブデン成分、酸化タングステン成分、酸化インジウム成分、酸化アルミニウム成分、酸化チタン成分、酸化スズ成分及び酸化鉛成分からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の複合触媒粒子。
【請求項4】
無機粒子が、炭素粒子、酸化モリブデン粒子、酸化タングステン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子及び酸化鉛粒子からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の複合触媒粒子。
【請求項5】
コア部の径が10〜100nmである、請求項1又は3に記載の複合触媒粒子。
【請求項6】
無機粒子の粒子径が10〜100nmである、請求項2又は4に記載の複合触媒粒子。
【請求項7】
触媒活性粒子の粒子径が1〜10nmである、請求項1〜6のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【請求項8】
触媒活性粒子が、白金、ニッケル、銅、スズ及びコバルトからなる群から選択された少なくとも1種の金属粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【請求項9】
触媒活性粒子が白金粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載の複合触媒粒子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を備えた燃料電池。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の複合触媒粒子を含む電極を水素極として備えた固体高分子形燃料電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−50319(P2007−50319A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235820(P2005−235820)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(391002487)学校法人大同学園 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(391002487)学校法人大同学園 (23)
【Fターム(参考)】
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