Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池
説明

複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池

【課題】複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体を含む複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池である。金属ナノ構造体は、多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔内に配置された金属触媒粒子を基にして成長されている。金属触媒粒子は、Au、Cu、Al、Ag及びNiから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池に係り、さらに詳細には、寿命特性を改善することができる複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
PDA(personal digital assistant)、携帯電話、ノート型パソコンのような情報通信のためのポータブル電子機器や、電気自転車、電気自動車などに使われるリチウム二次電池は、既存の電池に比べて、2倍以上の放電電圧を示し、その結果、高いエネルギー密度を示すことができる。
【0003】
リチウム二次電池は、リチウムイオンの吸蔵及び放出が自在な活物質を含んだ正極と負極との間に、有機電解液またはポリマー電解液を充填させた状態で、リチウムイオンが正極及び負極で吸蔵/放出されるときの酸化・還元反応によって、電気エネルギーを生産する。
【0004】
リチウム二次電池の正極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)またはリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(Li[NiCoMn]O、Li[Ni1−x−yCoMn]O)などのように、リチウムイオンの吸蔵が自在な構造を有するリチウムと遷移金属とからなる酸化物を使うことができる。
【0005】
負極活物質としては、リチウムの吸蔵/放出が自在な人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンを含んだ多様な形態の炭素系材料が使われる。しかし、炭素系材料のうち、人造黒鉛または天然黒鉛のような黒鉛を活物質として極板を製造する場合、極板密度が低くなり、極板の単位体積当たりのエネルギー密度の観点からみて、容量が小さくなるという問題点がある。
【0006】
また、Siのような非炭素系物質は、黒鉛対比の容量密度が10倍以上と、非常に高容量を示すことができるが、リチウム充放電時における体積膨脹収縮により、サイクル寿命特性が低下することがある。
【0007】
従って、リチウム充放電時における、Siのような非炭素系物質の体積膨脹収縮による応力を最小化することにより、寿命特性が改善された負極活物質の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一側面は、サイクル寿命特性が改善された複合負極活物質を提供するものである。
【0009】
本発明の他の側面は、サイクル寿命特性が改善された複合負極活物質の製造方法を提供するものである。
【0010】
本発明の他の側面は、サイクル寿命特性が改善されたリチウム二次電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によって、多孔性炭素系材料と、前記多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体と、を含む複合負極活物質が提供される。
【0012】
前記金属ナノ構造体が、前記多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔内に配置された金属触媒粒子を基にして成長されているものであってもよい。
【0013】
前記金属触媒粒子が、Au、Cu、Al、Ag及びNiから選択されたものであってもよい。
【0014】
前記金属ナノ構造体が、元素周期表13族及び14族からなる群から選択された一つ以上の元素を含んでもよい。
【0015】
前記金属ナノ構造体が、Si系金属ナノ構造体を含んでもよい。
【0016】
前記金属ナノ構造体が、金属ナノワイヤを含んでもよい。
【0017】
前記金属ナノワイヤの平均径が、20nmないし100nmであってもよい。
【0018】
前記金属ナノ構造体の含量が、前記多孔性炭素系材料100重量部を基準に、10重量部ないし200重量部であってもよい。
【0019】
前記金属ナノ構造体の含量が、前記多孔性炭素系材料100重量部を基準に、10重量部ないし150重量部であってもよい。
【0020】
前記金属ナノ構造体の含量が、前記多孔性炭素系材料100重量部を基準に、10重量部ないし70重量部であってもよい。
【0021】
前記金属ナノ構造体は、金属ナノフィルム、金属ナノロッド、金属ナノチューブ及び金属ナノリボンからなる群から選択された一つ以上を追加して含んでもよい。
【0022】
前記多孔性炭素系材料の気孔が複数個連結されてチャネルを形成することができる。
【0023】
前記多孔性炭素系材料が三次元に整列されたマクロ多孔性(3−dimenstional ordered macroporous)構造、またはそれと類似した構造を有することができる。
【0024】
前記多孔性炭素系材料が、粒子状であってもよい。
【0025】
前記多孔性炭素系材料の平均粒径が、0.5μmないし50μmであってもよい。
【0026】
前記多孔性炭素系材料は、非晶質カーボンまたは結晶質カーボンであってもよい。
【0027】
前記多孔性炭素系材料の気孔径が、50nmないし300nmであってもよい。
【0028】
前記多孔性炭素系材料のBET比表面積が、10m/gないし1,000m/gであってもよい。
【0029】
前記多孔性炭素系材料のBET比表面積が、10m/gないし100m/gであってもよい。
【0030】
前記多孔性炭素系材料のラマン積分強度比であるD/G(I1360/I1580)が0.1ないし2であってもよい。
【0031】
他の側面によって、気孔形成物質と炭素前駆体との混合物を熱処理し、前記気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階と、前記気孔形成物質をエッチングし、ナノ気孔を有する多孔性炭素を形成する段階と、前記多孔性炭素に触媒を担持させ、前記触媒が担持された多孔性炭素を形成する段階と、前記触媒が担持された多孔性炭素に金属前駆体を供給し、気孔内で金属ナノ構造体を成長させる段階と、を含む複合負極活物質の製造方法が提供される。
【0032】
前記気孔形成物質は、シリコン酸化物であってもよい。
【0033】
前記炭素前駆体は、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、メゾ相ピッチ、フルフリルアルコール、フラン、フェノール、セルロース、スクロース、ポリ塩化ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択されたものであってもよい。
【0034】
前記気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階において、熱処理は、不活性ガス下、800℃ないし3,000℃で行われてもよい。
【0035】
前記気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階において、Fe、Al、CoまたはNiの塩からなる群から選択された黒鉛化促進触媒をさらに含んでもよい。
【0036】
前記多孔性炭素の気孔径が、50nmないし300nmであってもよい。
【0037】
前記触媒は、Au、Ag、Ni及びCuからなる群から選択されたものであってもよい。
【0038】
前記金属前駆体は、SiHまたはSiClを含んでもよい。
【0039】
前記金属ナノ構造体を成長させる段階は、400℃ないし500℃の温度で熱処理する工程を含んでもよい。
【0040】
前記金属ナノ構造体の少なくとも一部が、ナノワイヤ状であってもよい。
【0041】
さらに他の側面によって、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極と負極との間に介在された電解液と、を含み、前記負極活物質は、前述の複合負極活物質を含む、リチウム二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0042】
本発明の一側面による複合負極活物質は、多孔性炭素系材料、及び前記多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体を含むことにより、充放電時、構造安定性が向上するので、寿命特性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一具現例による多孔性炭素の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2A】実施例1による複合負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2B】図2Aの10倍拡大した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2C】実施例2による複合負極活物質の走査電子顕微鏡写真である。
【図3A】比較例1による複合負極活物質の走査電子顕微鏡写真である。
【図3B】比較例2による複合負極活物質の走査電子顕微鏡写真である。
【図4A】−196℃で、製造例1の多孔性炭素の窒素等温吸着試験結果を示したグラフである。
【図4B】−196℃で、実施例1の複合負極活物質の窒素等温吸着試験結果を示したグラフである。
【図4C】−196℃で、実施例2の複合負極活物質の窒素等温吸着試験結果を示したグラフである。
【図5】実施例3,4及び比較例3,4によるリチウム二次電池の容量特性を示したグラフである。
【図6】本発明の一実施例によるリチウム二次電池の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の一具現例による複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池について詳細に説明する。しかし、それらは、例示として提示されるものであって、それによって、本発明が制限されるものではなく、本発明は、後述する特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0045】
一側面で、多孔性炭素系材料と、多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体と、を含む複合負極活物質が提供される。
【0046】
高容量のSiのような非炭素系物質は、リチウム充放電時、体積の膨脹収縮による変化によって、機械的性質だけではなく、サイクル寿命特性も低下する。
【0047】
しかし、複合負極活物質は、多孔性炭素系材料、及び多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体を含むことにより、多孔性炭素内の空き空間が、金属ナノ構造体の体積変化を吸収するようにし、構造的安定性を有することができる。
【0048】
本明細書で、「配置された」というのは、金属ナノ構造体が、多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち、一部に埋め込まれるか(embedded)、及び/または埋め込まれた表面及び内部の気孔表面から、金属ナノ構造体が成長されている状態を意味する。
【0049】
本明細書で、「金属ナノ構造体」というのは、約500nm以下の大きさを有するナノスケールの一次元、二次元または三次元の金属構造体を意味する。
【0050】
金属ナノ構造体は、多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔内に配置された金属触媒粒子を基にして成長されるものであってもよい。金属ナノ構造体を成長させる方法として、公知のVLS(vapor-liquid-solid)成長法が利用されてもよい。VLS成長法は、ナノクラスタ(nano-cluster)またはナノスケールの液滴からなる触媒物質に反応物質を吸着させて一次元で成長させる技術をいう。
【0051】
金属触媒粒子は、Au、Cu、Al、Ag及びNiから選択されたものであってもよく、例えば、金属触媒粒子は、Auである。
【0052】
金属ナノ構造体は、元素周期表13族及び14族からなる群から選択された一つ以上の元素を含んでもよく、例えば、金属ナノ構造体は、元素周期表14族から選択された一つ以上の元素を含む。
【0053】
金属ナノ構造体は、例えば、Si系金属ナノ構造体を含んでもよい。金属ナノ構造体は、黒鉛に比べて容量密度が高く、金属ナノ構造体を含む複合負極活物質は、高容量を示す。
【0054】
金属ナノ構造体は、金属ナノワイヤを含んでもよい。
【0055】
本明細書で「金属ナノワイヤ」という用語は、直径がnmスケール範囲に属し、大きい縦横比(アスペクト比)を有する金属ワイヤ形態を含む概念で使われる。ここで、縦横比というのは、幅に対する長さ(length:width)の比を意味する。
【0056】
金属ナノワイヤの平均径は、20nmないし100nmであってもよく、例えば、30nmないし50nmである。この範囲内の平均径を有する金属ナノワイヤは、適切な範囲内の比表面積を維持することにより、エネルギー密度及び寿命特性の改善した複合負極活物質を得ることができる。金属ナノワイヤの長さは、1μmないし100μmであってもよく、例えば、5μmないし50μmであり、例えば、10μmないし30μmである。
【0057】
金属ナノ構造体の含量は、多孔性炭素材料100重量部を基準に、10重量部ないし200重量部であってもよく、例えば、10重量部ないし150重量部であり、例えば、10重量部ないし70重量部である。金属ナノ構造体の含量が、この範囲内に含まれる場合、リチウム充放電による金属ナノ構造体の体積変化を効果的に緩衝することができる。
【0058】
金属ナノ構造体は、金属ナノフィルム、金属ナノロッド、金属ナノチューブ及び金属ナノリボンからなる群から選択された一つ以上を追加して含んでもよい。
【0059】
本明細書で、「金属ナノフィルム」という用語は、約500nm以下の直径または厚みを有する金属フィルム形態を意味し、「金属ナノロッド」という用語は、本明細書で定義した金属ナノワイヤと類似するが、ナノワイヤの縦横比より小さい縦横比を有する金属ロッド形態を意味し、「金属ナノチューブ」という用語は、約500nmの直径を有する金属チューブ形態を意味し、「金属ナノリボン」という用語は、約100nmの幅を有し、縦横比が約10以上である金属リボン形態を意味する。
【0060】
例えば、金属ナノ構造体は、SiナノフィルムまたはSiナノロッドを追加して含んでもよい。例えば、金属ナノフィルムは、多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に埋め込まれた形態で存在することができ、金属ナノロッドは、多孔性炭素系材料の埋め込まれた表面及び内部の気孔表面から成長されていてもよい。
【0061】
多孔性炭素系材料の気孔は、複数個連結されてチャネルを形成することができる。金属ナノ構造体は、多孔性炭素系材料のチャネル内に配置されてもよい。
【0062】
例えば、図2A及び図2Bから分かるように、金属ナノ構造体は、多孔性炭素系材料の気孔が複数個連結されて形成されたチャネル内に埋め込まれた状態で存在し、また金属ナノ構造体が、埋め込まれた気孔のチャネルの表面から成長されている状態で存在することができる。
【0063】
金属ナノ構造体が、多孔性炭素系材料のチャネル内に配置される場合、多孔性炭素系材料の構造を損傷せず、十分な体積を利用することができ、金属ナノ構造体と多孔性炭素系材料との良好な接触を許容することにより、電子伝導及びイオン伝導の特性が向上し、高率特性及び寿命特性も改善される。
【0064】
多孔性炭素系材料が、三次元に整列されたマクロ多孔性(3−dimensional ordered macroporous)構造、またはそれと類似した構造を有することができる。この「それと類似した構造」には、ハニカム状の均一な気孔を有する構造などが含まれる。
【0065】
多孔性炭素系材料が粒子状であってもよい。
【0066】
多孔性炭素系材料の平均粒径が、0.5μmないし50μmであってもよく、例えば、1μmないし30μmであり、例えば、5μmないし20μmである。
【0067】
多孔性炭素系材料は、非晶質カーボンまたは結晶質カーボンであってもよい。非晶質カーボンの例としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ炭化物、焼成されたコークスなどを挙げることができ、結晶質カーボンの例としては、無定形、板状、フレーク(flake)状、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛を挙げることができる。多孔性炭素は、例えば、黒鉛、グラファイト、炭素粒子、炭素ナノチューブ、グラフェンなどであってもよいが、それらに制限されるのではない。
【0068】
多孔性炭素系材料の気孔径は、50nmないし300nmであってもよく、例えば、50nmないし250nmであり、例えば、50nmないし200nmである。前記範囲内の気孔径を有する多孔性炭素は、電解液との副反応が起きる比表面積が小さく、高率特性に有利なだけでなく、金属ナノ構造体の体積変化による応力を最小化し、寿命特性が改善される。
【0069】
多孔性炭素系材料のBET比表面積は、10m/gないし1,000m/gであってよく、例えば、10m/gないし100m/gであり、10m/gないし50m/gである。多孔性炭素系材料のBET比表面積が、この範囲内である場合、リチウム充放電時、十分な機械的強度を有し、高率特性及び寿命特性の向上が可能である。
【0070】
多孔性炭素系材料のラマン積分強度比であるD/G(I1360/I1580)が0.1ないし2であってもよく、例えば、0.1ないし1.9であり、例えば、0.2ないし1.7である。この範囲内のラマン積分強度比を有する多孔性炭素系材料は、所望の電気伝導性を得ることができる。
【0071】
他の側面で、複合負極活物質の製造方法は、気孔形成物質と炭素前駆体との混合物を熱処理し、気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階と、気孔形成物質をエッチングし、ナノ気孔を有する多孔性炭素を形成する段階と、多孔性炭素に触媒を担持させ、触媒が担持された多孔性炭素を形成する段階と、触媒が担持された多孔性炭素に金属前駆体を供給し、気孔内で金属ナノ構造体を成長させる段階と、を含む。
【0072】
複合負極活物質の製造方法として、気孔形成物質と炭素前駆体とを混合して混合物を形成する。
【0073】
気孔形成物質は、シリコン酸化物であってもよく、例えば、SiOである。気孔形成物質は、一定サイズのナノ気孔を形成することができ、例えば、30nmないし200nmの大きさの粉末または粒子の形態であってもよい。
【0074】
炭素前駆体は、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、メゾ相ピッチ、フルフリルアルコール、フラン、フェノール、セルロース、スクロース、ポリ塩化ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択されたものであってもよく、例えば、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、メゾ相ピッチまたはスクロースであるが、それらに制限されるものではなく、当該技術分野で使われる全ての炭素前駆体の使用が可能である。
【0075】
この混合物を熱処理し、気孔形成物質と炭素との複合体を形成する。
【0076】
熱処理は、不活性ガス下で、800℃ないし3,000℃で行われてもよく、例えば、800℃ないし2,000℃で行われ、0.5時間ないし10時間、例えば、1時間ないし5時間、この混合物を炭化し、気孔形成物質と炭素との複合体を形成する。そのような場合、副反応を抑制することができる。
【0077】
気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階で、Feの塩、Alの塩、Coの塩またはNiの塩からなる群から選択された黒鉛化促進触媒を用いてもよい。例えば、Fe、Al、CoまたはNiの酸化物、窒化物または塩化物を使うことができる。
【0078】
前記気孔形成物質をエッチングし、ナノ気孔を有する多孔性炭素を形成する。
【0079】
多孔性炭素の気孔径が50nmないし300nmであってもよく、例えば、50nmないし250nmであり、例えば、50nmないし200nmである。この範囲内の直径を有する多孔性炭素は、電解液との副反応が起きる比表面積が小さく、高率特性及び寿命特性が改善される。
【0080】
多孔性炭素に触媒を担持させ、触媒が担持された多孔性炭素を形成する。
【0081】
触媒は、Au、Ag、Ni及びCuからなる群から選択されたものであってもよく、例えば、Auである。多孔性炭素を、触媒が含まれた溶液に浸漬して乾燥し、触媒が担持された多孔性炭素を形成する。
【0082】
触媒が担持された多孔性炭素に金属前駆体を供給し、気孔内で金属ナノ構造体を成長させる段階を含む。
【0083】
金属前駆体は、SiHまたはSiClを含んでもよいが、これらに制限されるものではなく、化学気相蒸着(CVD)の金属前駆体として使われる全ての金属前駆体の使用が可能である。
【0084】
金属ナノ構造体を成長させる段階は、400℃ないし500℃の温度で熱処理する工程を含んでもよい。例えば、420℃ないし490℃の温度で熱処理する工程を含み、例えば、420℃ないし470℃の温度で熱処理する工程を含み、例えば、1分ないし10時間、例えば、0.1分ないし3時間行われる。
【0085】
この温度範囲内で、金属ナノ構造体を成長させる場合、多孔性炭素の表面及び内部の気孔及び気孔のうち一つ以上に配置されるか、あるいは、具体的には、多孔性炭素の気孔が複数個連結され、チャネル内に金属ナノ構造体が埋め込まれ、及び/または金属ナノ構造体が、多孔性炭素の埋め込まれた気孔及びチャネルの表面から成長される複合負極活物質を得ることができる。
【0086】
金属ナノ構造体の少なくとも一部が、ナノワイヤ状であってもよい。ナノワイヤの平均径は、20nmないし100nmであってもよく、例えば、20nmないし35nmであり、例えば、20nmないし30nmである。
【0087】
ナノワイヤの長さは、1μmないし100μmであってもよく、例えば、5μmないし50μmであり、例えば、10μmないし30μmである。
【0088】
さらに他の側面で、リチウム二次電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極との間に介在された電解液と、を含み、負極活物質は、前述の複合負極活物質を含む。
【0089】
リチウム二次電池は、多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体を含み、リチウム充放電時、金属ナノ構造体と多孔性炭素系材料との接触が良好であり、高率特性が改善され、金属ナノ構造体の体積変化による応力を最小化し、構造安定性が向上するので、寿命特性が改善することができる。
【0090】
図6は、本発明の一実施例によるリチウム二次電池の分解斜視図である。図6では、円筒状電池の構成を図示した図面を提示しているが、本発明の電池が、これに限定されるものではなく、角形やポーチ型が可能であるということは、言うまでもない。
【0091】
リチウム二次電池は、使うセパレータと電解質との種類によって、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池及びリチウムポリマー電池に分類され、形態によって、円筒状、角形、コイン型、ポーチ型などに分類されてもよく、サイズによって、バルクタイプと薄膜タイプとに分けることができる。本発明の一具現例によるリチウム二次電池は、その形態が特別に制限されるものではなく、それら電池の構造と製造方法は、この分野に周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0092】
図6を参照して、さらに詳細に説明すれば、リチウム二次電池100は円筒状であり、負極112、正極114、負極112と正極114との間に配置されたセパレータ113、負極112、正極114及びセパレータ113に含浸された電解質(図示せず)、電池容器120、及び電池容器120を封入する封入部材140を主な部分にして構成されている。このようなリチウム二次電池100は、負極112、正極114及びセパレータ113を順に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で、電池容器120に収納されて構成される。
【0093】
負極112は、集電体及び集電体上に形成された負極活物質層を含み、負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0094】
負極に使われる集電体は、電圧の領域によって、銅、ニッケルまたはSUS(steel use stainless)の集電体を使うことができ、例えば、銅集電体を使うことができる。
【0095】
負極活物質としては、前述の複合負極活物質を含む。前述の複合負極活物質を含むリチウム二次電池は、充放電時、Siナノ構造体と多孔性炭素との接触が良好であり、高率特性が改善され、リチウム充放電時、Siナノ構造体の体積変化による応力を最小化し、構造安定性が向上するので、寿命特性が改善される。
【0096】
負極活物質層はまた、バインダを含み、選択的に導電材をさらに含んでもよい。
【0097】
バインダは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に望ましく付着させる役割を行い、その代表的な例として、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、酸化エチレンを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーティッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
導電材は、電極に導電性を付与するために使われるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こさずに、電子伝導性材料であるならば、いずれも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素ファイバ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末;または金属ファイバなどを使うことができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を混合して使うことができる。集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、またはそれらの組み合わせであるものを使うことができる。
【0099】
このとき、負極活物質、バインダ及び導電材の含量は、リチウム二次電池で一般的に使うレベルで使うことができ、例えば、負極活物質と、導電材とバインダとの混合重量との重量比は、98:2ないし92:8であってもよく、導電材及びバインダの混合比は、1:1.5ないし3であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0100】
正極114は、電流集電体、及び電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
【0101】
電流集電体としては、Alを使うことができるが、それに限定されるものではない。
【0102】
正極活物質としては、当分野で一般的に使われるものであり、特別に限定されるものではないが、さらに具体的には、リチウムの可逆的な吸蔵及び放出が自在な化合物を使うことができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうち、1種以上のものを使うことができ、その具体的な例としては、Li1−b(前記式で、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li1−b2−c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2−b4−c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1−b−cCoα(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1−b−cCo2−αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cCo2−αF’(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cMnα(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1−b−cMn2−αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1−b−cMn2−αF’(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiIO;LiNiVO;Li3−f(PO(0≦f≦2);Li3−fFe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうちいずれか一つで表現される化合物を使うことができる。
【0103】
正極活物質の例として、LiMn、LiNi、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMnO、LiFePO、LiNiCo(0<x≦0.15、0<y≦0.85)などを挙げることができる。
【0104】
具体的な代表的な正極活物質の例として、Li1+x1−x(0.05≦x≦0.2)を含み、Mは遷移金属であってもよい。Mの遷移金属の例として、Ni、Co、Mn、Fe、Tiなどを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0105】
正極活物質は、遷移金属Mに対して、リチウムイオンの比率が多いために、それを含んだ正極を採用したリチウム二次電池は、容量がさらに向上する。
【0106】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0107】
この化合物表面に、コーティング層を有するものを使うこともできることは、言うまでもないが、前記化合物と、コーティング層を有する化合物とを混合して使うこともできる。このコーティング層は、コーティング元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、オキシカーボネート、またはヒドロキシカーボネートなどのコーティング元素化合物を含んでもよい。それらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、またはそれらの混合物を使うことができる。コーティング層の形成工程は、この化合物に、このような元素を使って正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができるものであれば、いかなるコーティング方法を使っても差し支えなく、これについては、当該分野の当業者には十分に理解されている内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0108】
正極活物質層はまた、バインダ及び導電材を含んでもよい。
【0109】
バインダは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に十分に付着させる役割を行い、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、酸化エチレンを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーティッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
導電材は、電極に導電性を付与するために使われるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性材料であるならば、いかなるものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素ファイバ;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末;金属ファイバなどを使うことができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上を混合して使うことができる。
【0111】
このとき、正極活物質、並びにバインダ及び導電材の含量は、リチウム電池で一般的に使うレベルで使うことができ、例えば、正極活物質と、導電材とバインダとの混合重量との重量比は、98:2ないし92:8であってもよく、導電材及びバインダの混合比は、1:1.5ないし3であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0112】
負極112と正極114は、活物質、バインダ及び導電材を溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は、当該分野に周知の内容であるので、本明細書で詳細な説明は省略する。溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使うことができるが、これに限定されるものではない。
【0113】
リチウム二次電池の種類によって、正極と負極との間にセパレータが存在することも可能である。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの2層以上の多層膜が使われてもよく、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜が使われてもよいことは、言うまでもない。
【0114】
負極112、正極114及びセパレータ113に含浸された電解質(図示せず)は、非水系有機溶媒とリチウム塩とを含んでもよい。
【0115】
非水系有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を行うことができる。
【0116】
このような非水系有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使うことができる。カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などが使われ、エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノライド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使われてもよい。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使われてもよく、ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使われてもよい。また、アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使われてもよく、非プロトン性溶媒としては、R−CN(Rは、C−C20の直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含んでもよい)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類;スルホラン(sulfolane)類などが使われてもよい。
【0117】
非水系有機溶媒は、単独で、または一つ以上を混合して使うことができ、一つ以上を混合して使う場合の混合比は、目的とする電池性能によって、適切に調節することができ、それは、当該分野の当業者には周知である。
【0118】
リチウム塩は、有機溶媒に溶解され、電池内で、リチウムイオンの供給源として作用し、基本的なリチウム電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を行う物質である。このようなリチウム塩の例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、x及びyは、自然数である)、LiCl、LiI及びLiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)からなる群から選択される一つまたは二つ以上を支持(supporting)電解塩として含んでもよい。リチウム塩の濃度は、0.1ないし2.0M範囲内で使われる。リチウム塩の濃度が、前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優秀な電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0119】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。ただ、下記に記載する実施例は、本発明を具体的に例示したり、説明するためのものに過ぎず、それらをもって、本発明が制限されることがあってはならない。
【0120】
また、ここに記載されていない内容は、この技術分野の当業者であれば、十分に技術的に類推することができるものであるので、その説明を省略する。
【実施例】
【0121】
(多孔性炭素の製造)
製造例1
平均径80nmのSiOナノ粉末と石油系ピッチ(AR mesophase pitch、三菱ガス化学(株)製)とを50:50の重量比で混合した。この混合物を窒素ガス下で、1,000℃で熱処理して炭化させ、SiOと炭素との複合体を形成した。この複合体を5M NaOH溶液に浸漬させ、24時間エッチングし、80nmの平均気孔径を有する多孔性炭素を製造した。この多孔性炭素のラマン積分強度比であるD/G(I1360/I1580)は、1.8であり、製造された多孔性炭素の走査電子顕微鏡(SEM)写真は、図1に示されている。
【0122】
比較製造例1
グラファイト(MCMB2528:大阪ガス(株)製)を入手して、そのままの状態で準備した。
【0123】
比較製造例2
非晶質カーボン(スーパー−P:TIMCAL Graphite&Carbon)を入手して、そのままの状態で準備した。
【0124】
(複合負極活物質の製造)
実施例1
製造例1で製造された多孔性炭素2gを、200ccの0.001M HAuCl(Aldrich社製)エタノール溶液に浸漬させ、24時間撹拌した後、80℃で徐々にエタノールを乾燥させ、500℃で6時間熱処理し、Auが担持された多孔性炭素粉末を準備した。この多孔性炭素粉末を、前面と背面とに孔の開いた小さいチューブに入れ、CVDチャンバ内でポンピングする間、この粉末が飛散しないように、石英綿(quartz wool)で両面の孔を塞いだ。10sccmのシラン(SiH、10%希釈されたHガス)ガスを、このCVDチャンバを介して注入し、全体圧力を8Torrにした。このCVDチャンバの中央に置いた小さいチューブを490℃で5分間加熱した。10分間440℃に温度を下げた後、2時間維持し、多孔性炭素内に含まれた気孔内に、Siナノワイヤを成長させた複合負極活物質を得た。この複合負極活物質は、0.18gであり、この複合負極活物質の走査電子写真(SEM)の結果については、後述する図2A及び図2Bで確認することができる。
【0125】
実施例2
10分間440℃に温度を下げた後、2時間維持する代わりに、10分間460℃に温度を下げた後、2時間維持することを除き、実施例1と同一の方法で複合負極活物質を得た。この複合負極活物質は、0.19gであり、この複合負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真の結果については、後述する図2Cで確認することができる。
【0126】
比較例1
前述のAuが担持された多孔性炭素粉末の代わりに、比較製造例1のグラファイトを利用したことを除き、実施例1と同一の方法で複合負極活物質を得た。この複合負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真の結果については、後述する図3Aで確認することができる。
【0127】
比較例2
前述のAuが担持された多孔性炭素粉末の代わりに、比較製造例2の非晶質カーボンを利用したことを除き、実施例1と同一の方法で複合負極活物質を得た。この複合負極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真の結果については、後述する図3Bで確認することができる。
【0128】
(リチウム二次電池の製造)
実施例3
実施例1の複合負極活物質、グラファイト及びポリアミドイミド・バインダを3:6:1の重量比で、N−メチルピロリドン溶媒の中で混合し、負極活物質スラリを製造した。製造されたこの負極活物質スラリを、15μm厚の銅ホイルにコーティングし、200℃で60分間乾燥した後、ロールプレスして負極を製造した。負極、リチウム対極、微細多孔性ポリプロピレン・セパレータ(Celgard 3501)、及びエチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート:フルオロエチレンカーボネート(EC:DEC:FEC)が2:6:2の体積比になっている電解質を使い、ヘリウム充填されたグローブボックスで、コインタイプのハーフセルを製造した。
【0129】
実施例4
実施例1の複合負極活物質の代わりに、実施例2の複合負極活物質を使ったことを除き、実施例3と同一の方法で、コインタイプのハーフセルを製造した。
【0130】
比較例3
実施例1の複合負極活物質の代わりに、比較例1の複合負極活物質を使ったことを除き、実施例3と同一の方法で、コインタイプのハーフセルを製造した。
【0131】
比較例4
実施例1の複合負極活物質の代わりに、比較例2の複合負極活物質を使ったことを除き、実施例3と同一の方法で、コインタイプのハーフセルを製造した。
【0132】
(複合負極活物質及びリチウム二次電池性能評価)
評価例1:走査電子顕微鏡(SEM)写真
実施例1,2及び比較例1,2の複合負極活物質を、走査電子顕微鏡(SEM)を利用して撮影した。その結果を図2Aないし図2C、図3A及び図3Bにそれぞれ示した。
【0133】
図2A及び図2Bを参照すれば、実施例1の複合負極活物質は、SiナノワイヤまたはSiナノフィルムのほとんどが、多孔性炭素内部の気孔、及び気孔が複数個連結されたチャネル内に配置され、Siナノワイヤが埋め込まれて(embedded)おり、またSiナノワイヤが、多孔性炭素の埋め込まれた気孔及びチャネル内に成長されている複合粒子が形成されたことを確認することができる。
【0134】
図2Cを参照すれば、実施例2の複合負極活物質は、SiナノワイヤまたはSiナノフィルムのほとんどが、多孔性炭素の表面の気孔に埋め込まれ、またSiナノワイヤが多孔性炭素の埋め込まれた気孔表面から成長されている複合粒子が形成されたことを確認することができる。
【0135】
図3Aを参照すれば、比較例1の複合負極活物質は、Siナノフィルムがグラファイト表面の上に形成され、その上にSiナノワイヤが成長されていることを確認することができる。
【0136】
図3Bを参照すれば、比較例2の複合負極活物質は、Siナノフィルムが、非晶質カーボン表面の上に形成されているだけであり、その上にSiナノワイヤが成長されていないことを確認することができる。
【0137】
評価例2:窒素等温吸着実験
200℃で300分間、真空・脱ガスされた製造例1の多孔性炭素、及び実施例1,2の複合負極活物質を、Micrometitics社製TriStarガス吸着分析機(gas adsorption analyzer)を利用して測定し、BET比表面積は、0ないし1.0の相対的窒素圧(P/P)範囲内でBET法を利用して計算した。
【0138】
その結果を表1、及び図4Aないし図4Cに示した。
【0139】
図4Aないし図4Cは、相対的窒素圧(P/P)によって、多孔性炭素試料1g当たりの周囲条件下で吸着され、当該温度で、液体窒素の比重によって正規化された窒素量(cc)を図示したものであり、下側の線は、窒素ガスの吸着曲線であり、上側の線は、窒素ガスの脱着曲線である。
【0140】
【表1】

【0141】
表1及び図4Aを参照すれば、製造例1の多孔性炭素のBET比表面積は、24m/gであることを確認することができる。また、表1及び図4B、図4Cを参照すれば、実施例1、実施例2の複合負極活物質のBET比表面積は、それぞれ10m/g及び19m/gであることを確認することができる。
【0142】
評価例3:リチウム二次電池の容量特性
実施例3,4及び比較例3,4のコインタイプのハーフセルを、0.001ないし1.5Vで、0.1Cで50回充放電を実施してサイクル寿命を評価した。その結果を表2及び図5に示した。
【0143】
これらの電池に対して、各サイクルでの放電容量及び50回目のサイクルでの放電容量を測定し、そこからサイクル容量維持率を計算した。容量維持率(%、cycle retention)は、下記数式1のように得られる。
【0144】
[数1]
容量維持率(%)=50回目のサイクルでの放電容量/1回目のサイクルでの放電容量
【0145】
【表2】

【0146】
表2及び図5を参照すれば、実施例3,4で製造されたリチウム二次電池は、比較例3,4に比べて容量維持率が向上した。
【0147】
これにより、実施例1,2の複合負極活物質を含む実施例3,4のリチウム二次電池、すなわち、Siナノ構造体及び多孔性炭素を含み、このSiナノ構造体(SiナノワイヤまたはSiナノフィルム)が、この多孔性炭素の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された複合負極活物質を含むリチウム二次電池が、比較例3,4のリチウム二次電池、すなわち、グラファイト表面の上にSiナノワイヤが成長された複合負極活物質、及び非晶質カーボンの上にSiナノフィルムが形成されている複合負極活物質を含むリチウム二次電池に比べ、充放電時、構造安定性が向上して寿命特性が改善されるということが分かる。
【0148】
以上、本発明の望ましい実施例について説明したが、本発明は、それらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で、さまざまに変形して実施することが可能であり、それらも本発明の範囲に属することは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の複合負極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池は、例えば、電源関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0150】
100 リチウム二次電池
112 負極
113 セパレータ
114 正極
120 電池容器
140 封入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性炭素系材料と、
前記多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔のうち一つ以上に配置された金属ナノ構造体と、を含む複合負極活物質。
【請求項2】
前記金属ナノ構造体が、前記多孔性炭素系材料の表面及び内部の気孔内に配置された金属触媒粒子を基にして成長されていることを特徴とする請求項1に記載の複合負極活物質。
【請求項3】
前記金属触媒粒子が、Au、Cu、Al、Ag及びNiから選択されたことを特徴とする請求項2に記載の複合負極活物質。
【請求項4】
前記金属ナノ構造体が、元素周期表13族及び14族からなる群から選択された一つ以上の元素を含むことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項5】
前記金属ナノ構造体が、Si系金属ナノ構造体を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項6】
前記金属ナノ構造体が、金属ナノワイヤを含むことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項7】
前記金属ナノワイヤの平均径が、20nmないし100nmであることを特徴とする請求項6に記載の複合負極活物質。
【請求項8】
前記金属ナノ構造体の含量が、前記多孔性炭素系材料100重量部を基準に、10重量部ないし200重量部であることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項9】
前記金属ナノ構造体は、金属ナノフィルム、金属ナノロッド、金属ナノチューブ及び金属ナノリボンからなる群から選択された一つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項10】
前記多孔性炭素系材料の気孔が、複数個連結されてチャネルを形成することを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項11】
前記多孔性炭素系材料が、三次元に整列されたマクロ多孔性構造、またはそれと類似した構造を有することを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項12】
前記多孔性炭素系材料が、粒子状であることを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項13】
前記多孔性炭素系材料の平均粒径が、0.5μmないし50μmであることを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項14】
前記多孔性炭素系材料が、非晶質カーボンまたは結晶質カーボンであることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項15】
前記多孔性炭素系材料の気孔径が、50nmないし300nmであることを特徴とする請求項1から14の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項16】
前記多孔性炭素系材料のBET比表面積が、10m/gないし1,000m/gであることを特徴とする請求項1から15の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項17】
前記多孔性炭素系材料のラマン積分強度比であるD/G(I1360/I1580)が、0.1ないし2であることを特徴とする請求項1から16の何れか一項に記載の複合負極活物質。
【請求項18】
気孔形成物質と炭素前駆体との混合物を熱処理し、前記気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階と、
前記気孔形成物質をエッチングし、ナノ気孔を有する多孔性炭素を形成する段階と、
前記多孔性炭素に触媒を担持させ、前記触媒が担持された多孔性炭素を形成する段階と、
前記触媒が担持された多孔性炭素に金属前駆体を供給し、前記ナノ気孔内で金属ナノ構造体を成長させる段階と、を含む複合負極活物質の製造方法。
【請求項19】
前記気孔形成物質は、シリコン酸化物であることを特徴とする請求項18に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項20】
前記炭素前駆体は、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、メゾ相ピッチ、フルフリルアルコール、フラン、フェノール、セルロース、スクロース、ポリ塩化ビニル及びそれらの混合物からなる群から選択されたことを特徴とする請求項18または19に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項21】
前記気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階において、熱処理は、不活性ガス下、800℃ないし3,000℃で行われることを特徴とする請求項18から20の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項22】
前記気孔形成物質と炭素との複合体を形成する段階において、Feの塩、Alの塩、Coの塩またはNiの塩からなる群から選択された黒鉛化促進触媒が用いられることを特徴とする請求項18から21の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項23】
前記多孔性炭素の気孔径が、50nmないし300nmであることを特徴とする請求項18から22の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項24】
前記触媒は、Au、Ag、Ni及びCuからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項18から23の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項25】
前記金属前駆体は、SiHまたはSiClを含むことを特徴とする請求項18から24の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項26】
前記金属ナノ構造体を成長させる段階は、400℃ないし500℃の温度で熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項18から25の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項27】
前記金属ナノ構造体の少なくとも一部が、ナノワイヤ状であることを特徴とする請求項18から26の何れか一項に記載の複合負極活物質の製造方法。
【請求項28】
正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
前記正極と負極との間に介在された電解液と、を含み、
前記負極活物質は、請求項1ないし請求項17のうち何れか一項に記載の複合負極活物質を含むリチウム二次電池。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−110112(P2013−110112A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255089(P2012−255089)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】